(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術には、次のような問題がある。
上記従来技術は、読み取りモードの切り替えをユーザーの手動によって行っており、いちいち手動で読み取りモードを切り替えなければならないのは面倒であり、不便である。他方、それを是正するために、座標位置入力装置をディスプレイに設けて、カラーイメージスキャナがディスプレイに装着されたことを検出したときに、読み取りモードを自動で切り替える手段が提案されてはいるが、ユーザーが所有する端末装置のディプレイの個々にこのような座標位置入力装置を設けることは現実的でない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な操作で端末装置の表示画面を読み取ることができるスキャナー装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、原稿台に載置された通常の対象物を読み取る第1モードと、原稿台に載置された自発光する対象物を読み取る第2モードと、を有するスキャナー装置であって、原稿台に載置された対象物の光を検出する光検出部と、前記光検出部の検出結果に基づいて、読み取りモードを、前記第1モードあるいは前記第2モードに切り替える制御部と、を有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、光検出部が原稿台に載置された対象物の光を検出したときは、その対象物が自発光(液晶のバックライトや有機EL(Electro Luminescence)等の発光)する端末装置であると判断し、読み取りモードを自動的に通常の第1モードから、自発光する対象物専用の第2モードに切り替える。したがって、ユーザーは、複雑な操作をすることなく、簡易な操作で端末装置の表示画面を読み取らせることができるようになる。
【0009】
また、本発明では、原稿台に載置された対象物を照明する光源を有しており、前記制御部は、前記光検出部が検出を行うときに、前記光源を消灯させる、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、原稿台に載置された対象物が自発光するものであるか否かを判断する際に対象物を照明する光源を消灯することにより、光検出部は対象物が発する微小な光を検出できるようになるため、光検出精度を向上させることができる。
【0010】
また、本発明では、前記光検出部は、原稿台に入射する外部入射光を非検出とする光学フィルターを有する、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、対象物が厚みのある端末装置であって原稿押さえ等を閉めることができない場合に原稿台に入射してくる外部入射光を光学フィルターで透過させないようにして排除することで、光検出部は原稿台に載置された対象物からの光のみを検出できるようになるため、光検出精度を向上させることができる。
【0011】
また、本発明では、所定の画像を表示する表示部と、前記表示部の表示画面上で為された操作に応じた操作信号を出力する操作部と、前記第2モードにおける複数の読み取り条件を予め記憶している記憶部と、を有しており、前記制御部は、前記第2モードのときに、前記表示画面上に前記複数の読み取り条件を選択させるためのボタンを表示させ、そのボタンの操作信号を検出したときに、対応する読み取り条件に設定して、対象物の読み取りを行わせる、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、光検出で原稿台に載置された対象物が自発光する端末装置であることを検出した後に、ユーザーにその対象物の種類(例えば、携帯端末、スマートフォン、タブレット装置等)を選択させることで、最適な読み取り条件に設定し、その対象物の表示画面の読み取りを行わせることができる。
【0012】
また、本発明では、原稿台に載置された対象物を照明する光源を有しており、前記第2モードの前記光源は、前記第1モードのときよりも明るくなるように設定されている、という構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、通常の設定のまま液晶画面等を読み取った場合には、真っ暗になって画面の識別ができないことが実験的に確認できるため、第2モードの読み取りの際には、通常の第1モードよりも光源を明るく設定し、適切に表示画面を読み取ることができるようにする。
【0013】
また、本発明では、先に記載のスキャナー装置を有する画像形成装置を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、簡易な操作で端末装置の表示画面を読み取って、その読み取り画像を印刷用紙等に印刷することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、簡易な操作で端末装置の表示画面を読み取ることができるスキャナー装置及び画像形成装置が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下では、本発明に係るスキャナー装置を備える画像形成装置として、コピー機、プリンター及びファクシミリ等の機能を併せ持つ複合機を例示して説明する。
図1は、本発明の実施形態における複合機1の要部構成を示す正面透視図である。
図2は、本発明の実施形態における複合機1の機能ブロック図である。これらの図に示すように、複合機1は、印刷部10と、スキャナー部(スキャナー装置)20と、GUI(Graphical User Interface)30と、通信部40と、制御部50及び記憶部51とを備えている。
【0017】
印刷部10は、制御部50による制御の下、印刷用紙に画像を印刷して印刷物として出力するものであり、給紙部11、トナー画像形成部12、定着部13及び排紙トレイ14等を備えている。給紙部11は、定型の印刷用紙を複数枚(例えば、数十枚程度)収容可能であると共に、複合機1の正面から引出し可能な給紙カセット11aを備えている。給紙カセット11aの各々に収容された印刷用紙のうちの最上位の印刷用紙は、ピックアップローラー11bの駆動によって繰り出されてトナー画像形成部12へ搬送される。
【0018】
トナー画像形成部12は、印刷すべき画像に応じたトナー画像を印刷用紙に形成するものであり、感光体ドラム12a、露光部12b、現像部12c及び転写部12d等を備えている。感光体ドラム12aは、印刷すべき画像に応じた静電潜像が形成されると共に、現像されたトナー画像を担持する円筒形の感光体である。露光部12bは、感光体ドラム12aの表面に静電潜像を形成するためのレーザー光を感光体ドラム12aに照射する。現像部12cは、静電潜像が形成された感光体ドラム12aにトナーを供給することにより、静電潜像を現像してトナー画像にする。転写部12dは、感光体ドラム12aに担持されているトナー画像を、給紙部11から搬送されてきた印刷用紙に転写する。
【0019】
定着部13は、トナー画像形成部12によって印刷用紙に転写(形成)されたトナー画像を加熱及び加圧して印刷用紙に定着させた後、当該定着処理後の印刷用紙を所望の画像が印刷された印刷物として排紙トレイ14へ排出(出力)する。排紙トレイ14は、定着部13から出力される印刷物を溜め置きするための部位であり、印刷部10の上部に設けられている。
【0020】
スキャナー部20は、制御部50による制御の下、ユーザーにセットされた原稿等(対象物)を読み取り、その原稿の画像を示す原稿画像データを生成して制御部50に出力するものであり、ADF(自動原稿送り装置)21、キャリッジ22、原稿台23及び原稿読取スリット24等を備えている。ADF21は、読み取りを行うべき原稿を順次自動給紙する装置である。キャリッジ22は、露光ランプ(光源)22a及びCCD(Charge Coupled Device)センサー(光検出部)22b等を搭載しており、ADF21によって順次給紙される原稿、或いは原稿台23にセットされた原稿等を読み取る。
【0021】
具体的に、原稿台23にセットされた原稿を読み取る場合には、キャリッジ22は、原稿台23の長手方向に移動しながらCCDセンサー22bにより原稿を読み取る。これに対し、ADF21から給紙される原稿を読み取る場合には、キャリッジ22は、原稿読取スリット24に対向する位置(原稿読取スリット24の下方の位置)において、ADF21から順次給紙される原稿を、原稿読取スリット24を介してCCDセンサー22bにより読み取る。
【0022】
本実施形態のCCDセンサー22bは、原稿台23に入射する外部入射光を非検出とする光学フィルター22cを有している。本実施形態の光学フィルター22cは、例えばバンドパスフィルターから構成され、CCDセンサー22bに入る光のうち、外部入射光成分の波長を透過させないようにすることで、外乱を排除するようになっている。
具体的に、光学フィルター22cは、蛍光灯成分の波長(例えば三波長型蛍光灯であれば490nm、540nm、610nmにピーク)をカットするように設定されている。これにより、CCDセンサー22bは、端末装置の表示画面の光(例えば液晶バックライトの白色LED(Light Emitting Diode)であれば470nm、580nmにピーク)を外乱の影響なく検出することができるようになる。
【0023】
GUI30は、ユーザーによる操作に応じた信号(操作信号)を制御部50に出力すると共に、制御部50による制御に応じて複合機1の状態を示す情報等の各種情報を表示するものであり、操作キー31及び操作表示部32を備えている。操作キー31は、コピースタートキー、コピーストップ/クリアキー、テンキー(数値入力キー)及び機能切替キー等のハードキーである。なお、機能切替キーとは、複合機1で実現されるコピー機能、プリント機能、スキャン機能及びファクシミリ機能の各々をユーザーが使用する場合に、各機能の動作モードへ複合機1を切り替える為のキーである。
【0024】
操作表示部32は、制御部50による制御の下、所定の画像を表示する表示部32aと、この表示部32aの表示画面上で為された操作に応じた操作信号を制御部50に出力する操作部32bとを備えている。なお、表示部32aは、例えば液晶パネル或いは有機ELパネルである。また、操作部32bは、例えば表示部32aの表示画面に対向配置されたタッチパネルであり、上記操作信号としてユーザーに押下された部位の座標を示す信号を出力する。
【0025】
通信部40は、相手先ファクシミリやパーソナルコンピューター等の外部機器との通信を行うものであり、ファクシミリ通信部41及びネットワークI/F部42を備える。ファクシミリ通信部41は、公衆電話回線に接続されて相手先ファクシミリとの間で通信を行う。ネットワークI/F部42は、例えばLAN(Local Area Network)に接続されて、同じくLANに接続されたパーソナルコンピューター等の端末装置との間で通信を行う。
【0026】
制御部50は、GUI30から入力された操作信号、及び通信部40を介して外部機器から受信した信号に基づいて、複合機1の全体動作を統括制御する。制御部50は、内部メモリ、CPU(Central Processing Unit)、及び他の各部とのデータ授受を行う各種入出力インターフェース回線等から構成される。
【0027】
制御部50は、スキャナー部20の読み取りモードを、原稿台23に載置された通常の対象物(原稿等)を読み取る通常原稿スキャンモード(第1モード)と、原稿台23に載置された自発光する対象物(携帯電話、スマートフォン、タブレット装置等)の表示画面(液晶画面、有機EL画面等)を読み取る表示画面スキャンモード(第2モード)と、に切り替えることができるようになっている。下表1に、通常原稿スキャンモードの読み取り条件と、表示画面スキャンモードの読み取り条件の初期設定の一例を示す。
【0029】
表1に示すように、表示画面スキャンモードでは、通常原稿スキャンモードのように規格により定められた定型サイズではなく、端末装置の種類(携帯電話、スマートフォン、タブレット装置)毎に読み取る原稿サイズが予め設定されている。また、表示画面スキャンモードでは、通常原稿スキャンモードよりも、露光ランプ22aの照明条件が明るく設定されている。また、表示画面スキャンモードでは、通常原稿スキャンモードよりも、CCDセンサー22bの読み取り解像度(DPI(Dots Per Inch))条件が感度よく設定されている。
【0030】
記憶部51は、磁気ディスクやフラッシュメモリ等の記憶媒体を備えている。記憶部51は、表示画面スキャンモードの複数の読み取り条件を記憶している。複数の読み取り条件は、例えば端末装置の種類(携帯電話、スマートフォン、タブレット装置)毎に設定されている。
また、詳細は後述するが、本実施形態の制御部50は、CCDセンサー22bによる光検出結果に基づいて、スキャナー部20の読み取りモードを、通常原稿スキャンモードあるいは表示画面スキャンモードに自動で切り替えるようになっている。
【0031】
次に、上記のように構成された複合機1の動作について説明する。
図3は、本発明の実施形態における複合機1の動作(特にスキャナー部20における各種処理のシーケンス)を示すフローチャートである。
ある対象物をスキャナー部20に読み取らせる場合、先ず、ユーザーは、原稿台23に対象物をセットする(ステップS1)。
【0032】
図4は、本発明の実施形態における原稿台23に読み取り対象物として端末装置Sを載置した状態を示す図である。
図4に示すように、ユーザーは、ADF21が一体的に設けられた原稿押さえカバー21aを開けて、通常の原稿と同じように、対象物(端末装置S)を原稿台23の奥隅の角に合わせてセットする。ここで、対象物が、端末装置Sのように厚みがあるものである場合は、原稿押さえカバー21aが半開きとなり、原稿台23には外乱光が入射することとなる。
【0033】
次に、制御部50は、原稿台23に載置された対象物の光を検出する光検出スキャンを実行させる(ステップS2)。
光検出スキャンは、例えばユーザーが操作キー31のスタートキーを操作したことをトリガーとして実行させる。この光検出スキャンとは、キャリッジ22が原稿台23の長手方向に移動しながらCCDセンサー22bによって、原稿台23に載置された対象物からの光の有無を検出するものである。
【0034】
光検出スキャンは、原稿台23に載置された対象物が自発光するものであるか否かを判断するものであって、通常の原稿スキャンとは異なり、対象物を照明する露光ランプ22aは光検出の妨げとなる。したがって、制御部50は、CCDセンサー22bが光検出スキャンを行うときは、露光ランプ22aを消灯させる。これにより、CCDセンサー22bは、対象物が発する微小な光(液晶画面のバックライト等)を検出できるようになり、ステップS2における光検出精度を向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態では、CCDセンサー22bが原稿台23に入射する外部入射光を非検出とする光学フィルター22cを有している。
図4に示すように、対象物が厚みのある端末装置Sであって原稿押さえカバー21aを閉めることができない場合に、原稿台23に入射してくる外部入射光(例えば蛍光灯成分の波長)を光学フィルター22cで透過させないようにして排除することで、CCDセンサー22bは原稿台23に載置された対象物からの光のみを検出できるようになり、ステップS2における光検出精度をさらに向上させることができる。
【0036】
次に、制御部50は、光検出スキャンの結果、CCDセンサー22bが対象物の光を検出したか否かを判定する(ステップS3)。
ステップS3の判定で「YES」の場合、すなわち原稿台23に載置された対象物が、端末装置S等の自発光する対象物である場合は、ステップS4に移行する。一方、ステップS3の判定で「NO」の場合、すなわち原稿台23に載置された対象物が、端末装置S等の自発光する対象物でなく、通常の原稿である場合は、ステップS20に移行する。
【0037】
ステップS20に移行した場合、制御部50は、スキャナー部20の読み取りモードを上述した通常原稿スキャンモードに切り替える。そして、ユーザーのスタートキーの操作を待って(ステップS21)、通常原稿スキャン(露光ランプ22aは点灯)を実行し(S22)、スキャンシーケンスを終了する。
他方、ステップS4に移行した場合は、制御部50は、スキャナー部20の読み取りモードを上述した表示画面スキャンモードに切り替える前に、表示画面スキャンモード切り替え承認画面を表示部32aに表示させる。
【0038】
図5は、本発明の実施形態における表示画面スキャンモード切り替え承認画面を示す図である。
制御部50は、
図5に示すように、表示部32aに、表示画面スキャンモード切り替え承認ボタン100aと非承認ボタン100bとを表示させる。制御部50は、「はい」の承認ボタン100aが押下されたか、あるいは、「いいえ」の非承認ボタン100bが押下されたかを判定する(ステップS5)。ステップS5は、スキャナー部20の読み取りモードの切り替え前に、ユーザーに事前確認をとるものである。
【0039】
ステップS5の判定で「YES」の場合、すなわち原稿台23に載置した対象物が端末装置S等の自発光する対象物であって、承認ボタン100aが押下された場合は、ステップS6に移行する。一方、ステップS5の判定で「NO」の場合、すなわち原稿台23に載置した対象物が実際は通常の原稿で、光検出スキャンの誤検出等によるユーザーが意図しないモード切り替えであり、その結果、非承認ボタン100bが押下された場合は、ステップS20に移行する。
【0040】
ステップS20に移行した場合、制御部50は、スキャナー部20の読み取りモードを上述した通常原稿スキャンモードに切り替える。そして、ユーザーのスタートキーの操作を待って(ステップS21)、通常原稿スキャン(露光ランプ22aは点灯)を実行し(S22)、スキャンシーケンスを終了する。
他方、ステップS6に移行した場合は、制御部50は、スキャナー部20の読み取りモードを上述した表示画面スキャンモード(初期値)に切り替える。次に、制御部50は、表示画面スキャンモードにおける読み取り条件の詳細な設定選択画面を表示部32aに表示させる(ステップS7)。
【0041】
図6は、本発明の実施形態における表示画面スキャンモードの読み取り条件の設定選択画面を示す図である。
制御部50は、
図6に示すように、表示部32aに、初期値に設定された表示画面スキャンモードの読み取り条件を個別に変更するためのボタン101a〜101cを表示させる。本実施形態では、ボタン100aが「原稿サイズの選択」であり、ボタン100bが「露光の設定」であり、ボタン101cが「解像度の設定」のボタンとなっている。ユーザーは、必要に応じてボタン101a〜101cを操作し、読み取り条件を選択する(ステップS8)。
【0042】
図7は、本発明の実施形態における表示画面スキャンモードの読み取り条件の原稿サイズの選択画面を示す図である。
制御部50は、「原稿サイズの選択」のボタン101aが押下された場合、
図7に示すように、表示部32aに、「自動サイズ検知」のボタン102と、「サイズ入力」のボタン103と、予め記憶部51に記憶された読み取り条件(原稿サイズ)である「携帯電話」のボタン104a、「スマートフォン」のボタン104b、「タブレット」のボタン104cと、を表示させる。
【0043】
「自動サイズ検知」のボタン102は、通常の原稿のサイズを自動検知する要領で、端末装置S等の自発光する対象物の原稿サイズを検知するものである。「サイズ入力」のボタン103は、例えば端末装置Sが新製品や非定型製品等である場合に、ユーザーが手動により原稿のサイズを入力するものである。ボタン104a〜104cは、予め記憶しておいた読み取り条件であって、原稿台23に載置した自発光する対象物が「携帯電話」、「スマートフォン」、「タブレット装置」のいずれかである場合、ユーザーが対応するボタン押下することで、対応した読み取り条件に容易に設定できるようにするものである。
【0044】
本実施形態では、「携帯電話」、「スマートフォン」、「タブレット装置」のボタン104a〜104cを選択した場合、対応する適切な「原稿サイズ」と共に、「露光の設定」及び「解像度の設定」において、予め記憶された実験等に基づく適切な値が設定されるようになっている。これにより、ユーザーが読み取り対象物の種類(本実施形態では、携帯端末、スマートフォン、タブレット装置)を選択するだけで、最適な読み取り条件に設定し、その対象物の表示画面の読み取りを行わせることができるようになる。なお、個別に設定を変更したい場合には、
図6に示す画面に戻って、「露光の設定」や「解像度の設定」を行うことができる。
【0045】
次に、制御部50は、ユーザーのスタートキーの操作を待って(ステップS9)、表示画面スキャンを実行させる(ステップS10)。本実施形態では、原稿台23に載置された対象物を照明する露光ランプ22aを有しており、表1に示すように、表示画面スキャンモードの露光ランプ22aは、通常原稿スキャンモードのときよりも明るくなるように設定されている。これは、
図8に示すように、端末装置Sの表示画面を適切にスキャンするには、通常の原稿よりも露光ランプ22aの光を多く必要とするからである。
【0046】
図8は、本発明の実施形態における通常原稿スキャンモードで端末装置Sの液晶画面を読み取った画像と、表示画面スキャンモードで端末装置Sの液晶画面を読み取った画像を示すイメージ図である。
図8(a)に示すように、通常原稿スキャンモードのまま液晶画面を読み取った場合には、真っ暗になって画面の識別ができないことが分かる。一方、
図8(b)に示すように、表示画面スキャンモードに切り換えて露光ランプ22aを明るめ(表1参照)に設定した場合には、画面の識別ができていることが分かる。
【0047】
このように、表示画面スキャンモードの読み取りの際には、通常原稿スキャンモードよりも露光ランプ22aを明るく設定することで、適切に表示画面を読み取ることができるようになることが実験的に分かる。
なお、次の表示画面スキャンを行う場合には、ステップS8に戻り、必要に応じて読み取り条件を選択させる(ステップS11)。一方、次の表示画面スキャンを行わない場合には、表示画面スキャンモードのスキャンシーケンスを終了する。
【0048】
このように、上述した実施形態によれば、原稿台23に載置された通常の対象物を読み取る通常原稿スキャンモードと、原稿台23に載置された自発光する対象物を読み取る表示画面スキャンモードと、を有するスキャナー部20であって、原稿台23に載置された対象物の光を検出するCCDセンサー22bと、CCDセンサー22bの検出結果に基づいて、読み取りモードを、通常原稿スキャンモードあるいは表示画面スキャンモードに切り替える制御部50と、を有する、という構成を採用することによって、上述のようにCCDセンサー22bが原稿台23に載置された対象物の光を検出したときは、その対象物が自発光する端末装置Sであると判断し、読み取りモードを自動的に通常の通常原稿スキャンモードから、自発光する対象物専用の表示画面スキャンモードに切り替える。したがって、ユーザーは、複雑な操作をすることなく、簡易な操作で端末装置Sの表示画面を読み取らせることができるようになる。このため、簡易な操作で端末装置Sの表示画面を読み取ることができるスキャナー部20及び複合機1が得られる。
【0049】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、原稿を読み取るCCDセンサーを光検出部として兼用した形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、光検出部として別途専用の光検出センサーを設けることもできる。
【0051】
また、例えば、上記実施形態では、通常原稿スキャンモードの読み取り条件と、表示画面スキャンモードの読み取り条件の初期設定の一例として、表1に示すように、「原稿サイズ」と、「露光」と、「解像度」とを例示したが、本発明はこれに限定されず、複合機がカラーコピー対応のものであれば、さらに「カラーモード」を設定してもよい。例えば、通常原稿スキャンモードでは「モノクロ」に設定され、表示画面スキャンモードでは「カラー」あるいは「グレースケール」を選択できるように設定されていてもよい。
【0052】
また、例えば、上記実施形態では、次の表示画面スキャンを行う場合には必要に応じて読み取り条件を選択させる(ステップS11→ステップS8)と説明したが、このとき、読み取った画像を、例えば
図6に示す画面にプレビュー表示させ、それと共に画像調整ボタンを表示し、適宜画像調整できるようにしてもよい。
【0053】
また、例えば、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置として複合機を参照しながら説明したが、本発明はこれに限定されず、コピー機などの他の画像形成装置に適用することができる。また、本発明は、画像形成装置と分離したスキャナー装置単体に適用することができる。この場合には、制御部等の構成要件はスキャナー装置に設けられる。