【課題を解決するための手段】
【0023】
以下、添付図面を参照して本発明の太陽電池及びその製造方法を詳細に説明する。次に、開示される図面は、当業者に本発明の思想が十分に伝達されることができるようにするために例として提供されるものである。従って、本発明は、以下に提示される図面に限定されず、他の形態に具体化されてもよく、以下に提示される図面は、本発明の思想を明確にするために誇張されて示すことができる。また、明細書の全体にわたって同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0024】
この時、使われる技術用語及び科学用語において、他の定義がない限り、本発明が属する技術分野において、通常の知識を有する者が通常的に理解している意味を有し、以下の説明及び添付図面で本発明の要旨を不明瞭にする公知機能及び構成に対する説明は省略する。
【0025】
本発明による太陽電池は、光アノード、太陽光を吸収して光電子−光正孔を生成する光吸収層(sensitizer)、正孔伝達層が全て固体である全固体型(full solid-state)太陽電池であるという特徴がある。また、本発明による太陽電池は、有機物と無機物が界面をなして結合したヘテロ接合構造を有する特徴がある。なお、本発明による太陽電池は、光感応物質が色素(dye)でない無機半導体であるという特徴がある。さらに、本発明による太陽電池は、前記無機半導体と共に太陽光を吸収してエキシトン(exciton)を生成する有機光電物質(organic photovoltaic material)が正孔伝達物質として使われる特徴がある。
【0026】
詳細に、本発明による太陽電池は、電子伝達物質(electron transporting material)として金属酸化物を採択し、光吸収体(sensitizer)として無機半導体を採択し、有機正孔伝達物質(organic hole transporting material)として下記一般式1の有機光電物質(organic photovoltaic material)を採択する特徴がある。
【0027】
[一般式1]
【0028】
(式中、R
1及びR
2は、互いに独立に水素またはC1〜C12アルキル基から選択され、R
1及びR
2のうちいずれか一つは、C1〜C12アルキル基であり、R
1及びR
2が同時に水素ではなく、nは2〜10,000である。)
【0029】
詳細に、本発明による太陽電池は、金属酸化物粒子を含む多孔性の無機電子伝達層(electron transporting layer);無機半導体を含む光吸収体;及び、一般式1の有機光電物質を含む有機正孔伝達層(organic hole transporting layer);を含む。
【0030】
前記無機半導体は、前記電子伝達層と有機正孔伝達層との間に位置し、前記電子伝達層及び前記有機正孔伝達層の各々とヘテロ接合界面(heterojunction interface)をなして界面接触する特徴があり、前記有機正孔伝達層は、無機半導体型光吸収体で吸収されない太陽光を追加的に吸収してエキシトン(exciton)を生成する能力と正孔伝達能力を有する。
【0031】
前記光吸収体である無機半導体は、太陽光を吸収して光電子−光正孔対を生成する無機半導体物質を意味し、バンドギャップ(bandgap)が小さく、光吸収係数が高くて太陽光を効率的に吸収しつつ、電子伝達層と有機正孔伝達層との間に位置し、各要素成分間エネルギーバンドマッチングが優れ、光により生成されたエキシトンの効率的な分離及び伝達が可能な無機半導体であるのが好ましい。
【0032】
前記バンドギャップは、無機半導体物質が有する伝導帯(conduction band)と価電子帯(valence band)との差を意味し、物質固有の特性に依存したバンドギャップまたは粒子の大きさが小さい場合、量子拘束効果(Quantum-confinement effect)によりナノ粒子大きさによって物質固有の特性から変化されたバンドギャップを含む。
【0033】
前記無機半導体を含む前記光吸収体は、無機半導体の粒子、無機半導体粒子が不連続的に連結された膜形状である不連続層または無機半導体粒子が連続的に連結された膜形状である連続層を含む。前記無機半導体粒子は、量子拘束効果を有するナノ大きさの粒子(量子ドット(quantum dot)を含む)を意味し、平均粒子大きさが数nm乃至数十nmである粒子を意味し、好ましくは、平均粒子直径が0.5nm乃至10nmである粒子を含む。
【0034】
前記光吸収体が無機半導体粒子を含んで構成される場合、多数個の無機半導体粒子が均一に分布され、電子伝達層の金属酸化物に接して付着される。詳細に、前記光吸収体が無機半導体粒子を含んで構成される場合、前記無機半導体は、前記多孔性無機電子伝達層の気孔による表面を含む前記無機電子伝達層の表面に接して形成される。無機半導体が無機電子伝達層の表面に接する状態は、前記無機半導体が前記無機電子伝達層の無機半導体粒子に2次元の界面をなして付着された状態を含む。
【0035】
前記光吸収体が無機半導体粒子の不連続層(discontinuous layer)を含んで構成される場合、前記不連続層を含んで構成される光吸収体は、無機半導体粒子が隣接無機半導体粒子と粒界をなして接しておらず、無機半導体粒子間互いに分離された状態を含む。また、前記不連続層を含んで構成される光吸収体は、無機半導体粒子が少なくても一つ以上の隣接無機半導体粒子と粒界をなして接しており、無機半導体粒子間に無機粒子を互いに分離させる気孔が均質に存在して全体的に無機半導体ナノ粒子からなる膜の形状を有するが、膜を貫通する気孔の存在する多孔構造を含む。
【0036】
前記光吸収体が無機半導体粒子の連続層(continuous layer)を含んで構成される場合、前記連続層を含んで構成される光吸収体は、無機半導体粒子が全ての隣接無機半導体粒子と粒界をなして接しており、無機半導体粒子間で連続的に互いに連結された構造を有し、全体的に膜の形状を有する構造を意味する。この時、前記連続層(continuous layer)は、気孔がない緻密な膜、粒界のトリプルポイント(triple-point)に閉じられている気孔が存在する膜、または膜を厚さ方向に貫通する気孔が部分的に不均一に存在する膜を含む。
【0037】
前記無機半導体は、多孔性の電子伝達層の表面に接して備えられ、前記電子伝達層の表面は、多孔性電子伝達層の開いている気孔による表面を含む。前記無機半導体が開いている気孔による表面に備えられることは、前記無機半導体が多孔性電子伝達層の気孔内に前記金属酸化物粒子と接して備えられる状態を含む。前記無機半導体が前記電子伝達層の表面に備えられることによって、前記無機半導体は、前記電子伝達層の金属酸化物粒子と接するようになり、前記電子伝達層の気孔を充填するようになる有機正孔伝達物質とも接するようになる。
【0038】
前記有機正孔伝達層(物質)は、太陽光を吸収してエキシトン(exciton)を生成し、正孔が移動される有機物を意味し、好ましくは、最高被占分子軌道(HOMO;Highest Occupied Molecular Orbital)エネルギー準位(以下、HOMOレベル)と最低空分子軌道(LUMO;Lowest Unoccupied Molecular Orbital)エネルギー準位(以下、LUMOレベル)との差が太陽光を吸収することができる大きさである0.5乃至3.5eVである有機物であり、より好ましくは、前記有機正孔伝達層(物質)は、下記一般式1の有機物である。
【0039】
[一般式1]
【0040】
(式中、R
1及びR
2は、互いに独立に水素またはC1〜C12アルキル基から選択され、R
1及びR
2のうちいずれか一つは、C1〜C12アルキル基であり、R
1及びR
2が同時に水素ではなく、nは2〜10,000である。)
【0041】
多孔性電子伝達層は、無機物である金属酸化物粒子または金属酸化物棒が開いている気孔を有しつつ、互いに接触した形態を意味する。前記電子伝達層の前記多孔性構造は、開いている気孔構造を必須的に含み、一部閉じられている気孔構造をさらに含むことができる。前記電子伝達層の気孔には無機半導体が位置するようになり、無機半導体が位置した電子伝達層の気孔は、前記正孔伝達物質で充填されるようになる。そのため、前記正孔伝達層は、前記電子伝達層の上部を覆い、電子伝達層の開いている気孔を充填した構造を有するようになる。
【0042】
前述したように、本発明による太陽電池は、電子伝達物質が金属酸化物を含む無機物で形成され、太陽光を吸収して光電子−光正孔対を生成する光吸収体が色素でない無機半導体で形成され、正孔伝達物質として無機半導体光吸収層が吸収されない太陽光を追加的に吸収して光電子−光正孔対のエキシトン(exciton)を生成する一般式1の有機光電物質を含む有機物で正孔伝達物質が形成され、無機物の電子伝達層の上部に存在する無機半導体光吸収体と界面(interphase interface)をなし、無機半導体光吸収体で分離された正孔を伝達する能力と自体生成したエキシトンを界面で再び分離することができるカスケード(cascade)型エネルギーマッチングが形成されるという特徴がある。
【0043】
本発明による太陽電池は、色素増感型太陽電池の有機色素(dye)の代わりに薄膜型無機太陽電池に使われる無機半導体型光吸収体を採択し、正孔伝導性物質として有機太陽電池の活性層を構成するp型有機半導体物質を採択し、各々の太陽電池が有する長所を結合した構造を考案して高効率を有し、取扱が容易で、熱的、光的、化学的、物理的に安定であり、低価の原料及び緩和された工程条件で大量生産可能であるという特徴がある。
【0044】
本発明による太陽電池は、光吸収体として無機半導体を採択し、有機正孔伝達物質(organic hole transporting material)として一般式1の有機光電物質(organic photovoltaic material)を採択することによって、前記無機半導体(光吸収体)及び前記正孔伝達物質(正孔伝達層)から互いに補完的に太陽光を吸収して光電子−光正孔対を生成する特徴がある。
【0045】
前記無機半導体で生成された光電子は、前記電子伝達層に分離及び移動し、前記有機光電物質で生成された光電子は、前記無機半導体(及び/または電子伝達層)に分離及び移動する。
【0046】
前記一般式1の正孔伝達物質の太陽光吸収により生成されたエキシトンは、ヘテロ接合界面(光吸収体の無機半導体と正孔伝達物質との間のヘテロ接合界面、及び/または電子伝達層の金属酸化物と正孔伝達物質との間のヘテロ接合界面)で分離され、光電子は光吸収体の無機半導体と金属酸化物粒子;または金属酸化物粒子;を介して素子外部に移動し、光正孔は自体の媒質(正孔伝達物質)を介して移動し、追加的な光電流生成が可能であるという特徴があるため、効率がさらに向上した特徴がある。
【0047】
特徴的に、前記無機半導体(光吸収体)で生成された光電子は、無機物の電子伝達層に移動し、前記無機半導体(光吸収体)で生成された光正孔は、前記有機光電物質を含有する正孔伝達層に移動し、光電子と光正孔が分離される特徴があり、前記有機光電物質で生成されたエキシトン(有機光電物質で生成された光電子−光正孔が互いに分離される前状態をエキシトンと呼ぶ)は、前記無機半導体と前記有機光電物質(正孔伝達層)との間の界面で光電子−光正孔の分離が発生し、前記光電子は無機半導体(光吸収体)に移動し、前記光正孔は正孔伝達物質(自体媒質)を介して移動する特徴がある。
【0048】
詳細に、光吸収体(無機半導体)と正孔伝達層の各々で相互補完的に太陽光を吸収して光電子と光正孔対を生成し、前記光吸収体で生成された光電子−光正孔対は、前記電子伝達層と正孔伝達層により光電子−光正孔対の分離及び移動が発生し、前記正孔伝達層で生成された光電子−光正孔対は、前記光吸収体と正孔伝達層の界面で光電子−光正孔対が分離され、光電子は前記光吸収体を介して前記電子伝達層に移動し、光正孔は正孔伝達層を介して移動する。
【0049】
前記正孔伝達層(正孔伝達物質)が前記多孔性電子伝達層の開いている気孔を充填する構造を有することによって、前記正孔伝達層(正孔伝達物質)が光吸収体でない電子伝達層(金属酸化物)とも接するようになり、この時、前記正孔伝達層(正孔伝達物質)で生成された光電子−光正孔対は、前記正孔伝達層(正孔伝達物質)と前記正孔伝達層(正孔伝達物質)の界面で、光電子は電子伝達層に分離及び移動し、光正孔は正孔伝達層に移動する特徴がある。
【0050】
前記太陽電池は、光吸収体と正孔伝達層の各々で相互補完的に太陽光を吸収することによって、前記太陽電池は、前記光吸収体による第1の太陽光吸収スペクトル(absorption spectra)と共に前記正孔伝達層の有機光電物質による第2の太陽光吸収スペクトル(absorption spectra)を有する特徴がある。
【0051】
従って、本発明による太陽電池は、より広い波長帯域の太陽光を吸収する特徴があり、前記光吸収体で吸収されない太陽光が太陽電池の外部に損失されずに、前記正孔伝達層で吸収され、同じ光量でより多くの太陽光を吸収することができる特徴がある。
【0052】
また、前記光吸収体が量子拘束効果を有するナノ粒子からなる場合、ナノ粒子の物質、ナノ粒子の平均粒子の大きさ、及びナノ粒子の粒度分布によって広い波長帯域を有する太陽光のスペクトルを均等に吸収することができるという長所がある。
【0053】
太陽光が前記光吸収体及び正孔伝達物質の各々で相互補完的に吸収される本発明の構成で、一定光量の太陽光をより多く吸収し、より広い波長帯域を吸収し、波長別により等しく吸収するために。前記第1の太陽光吸収スペクトルで吸収ピーク(peak)の中心波長は350乃至650nmであり、前記第2の太陽光吸収スペクトルで吸収ピーク(peak)の中心波長は550乃至800nmであるのが好ましい。
【0054】
本発明による太陽電池は、互いに対向する第1の電極及び第2の電極をさらに含み、前記電子伝達層の下部(
図1の下部)に第1の電極が備えられ、前記正孔伝達層の上部(
図1の上部)に第2の電極が備えられることができる。
【0055】
前記第1の電極及び第2の電極がさらに備えられる場合、前記光吸収体で生成された光電子は、前記電子伝達層の伝導帯の拡散により前記第1の電極に移動し、前記光吸収体で生成された光正孔は、前記正孔伝達層を介して前記第2の電極に移動し、前記正孔伝達層で生成された光電子は、前記光吸収体及び前記電子伝達層を介して前記第1の電極に移動し、前記正孔伝達層で生成された光正孔は、前記自体媒質(正孔伝達層)を介して第2の電極に移動する。
【0056】
本発明による太陽電池は、前記第1の電極と前記電子伝達層との間に形成された金属酸化物薄膜をさらに含み、そのため、第1の電極−金属酸化物薄膜−電子伝達層が順次積層された構造を有するのが好ましい。前記金属酸化物薄膜は、前記電子伝達層の気孔を充填する正孔伝達物質と前記第1の電極が互いに接触することを防止し、前記電子伝達層を介して移動する電子の円滑な流れを誘導する。電子の円滑な流れ観点で、前記金属酸化物薄膜の金属酸化物は、前記電子伝達層(金属酸化物粒子)と同じ物質であるのが好ましい。
【0057】
前述したように、本発明による太陽電池は、色素増感型太陽電池で色素の代わりに無機半導体を光感応物質として採択し、正孔伝達物質として前記無機半導体と相互補完的に太陽光を吸収してエキシトンを生成する一般式1の有機感光物質を採択し、金属酸化物粒子で構成された開いている気孔を有する多孔性電子伝達層の表面及び開いている気孔の内部に前記無機半導体を前記金属酸化物粒子と接するように備え、前記有機感光物質が前記多孔性電子伝達層の気孔を充填するように形成され、よく規定された(well-defined)パーコレイション(percolation)構造を有し、人工太陽光エネルギーが100mW/cm
2(1sun)の光量で変換効率(energy conversion efficiency)5%以上であり、光量の変化に関係なく変換効率(energy conversion efficiency)がほぼ一定であるという特徴がある。
【0058】
図1に示す好ましい一例に基づき、本発明による太陽電池の構造を説明する。
図1(a)に示すように、本発明による太陽電池は、好ましくは、第1の電極10、前記第1の電極の上部に形成され、電子の移動経路を提供する多数個の金属酸化物粒子31を含んで構成された多孔性電子伝達層30、前記電子伝達層30の金属酸化物粒子31と接する無機半導体40を含む光吸収体、有機光電物質を含み、前記多孔性電子伝達層30の気孔を充填し、前記電子伝達層30の一面を覆う正孔伝達層50、及び前記第1の電極と対向するように前記正孔伝達層50の上部に形成される第2の電極60を含んで構成される。
【0059】
光電子の移動経路を提供する電子伝達層30は、多数個の金属酸化物粒子31を含んで構成されて開いている気孔を有する多孔性構造である。開いている気孔構造を有する多孔性電子伝達層30の気孔内部に金属酸化物粒子31と接して光吸収体40が備えられ、正孔伝達層50が多孔性電子伝達層30の空隙を充填する構造は、有機太陽電池のパーコレイション(percolation)構造と同様に光を吸収することができる領域である光感応領域を極大化させ、多孔性電子伝達層30の開いている気孔を充填した正孔伝達物質で発生したエキシトンの分離効率を増加させる。
【0060】
光感応領域の極大化及び正孔伝達物質で生成されたエキシトンの分離効率極大化と共に金属酸化物粒子31を介して円滑に電子が移動されるために、前記無機電子伝達層の比表面積は、10乃至100m
2/gであるのが好ましい。前記比表面積は、電子が円滑に移動されて電子伝達層30を介した移動時の電子の消滅を抑制し、多量の光吸収体40が担持され、光感応領域を増加させ、正孔伝達物質で生成されたエキシトンが消滅される前に金属酸化物粒子31と正孔伝達物質50との界面または無機半導体40と正孔伝達物質50との界面で光電子と光正孔が円滑に分離される比表面積である。より詳しく、前記10乃至100m
2/gの比表面積は、前記多孔性電子伝達層30の開いている気孔が有機光電物質により充填され、無機半導体40と正孔伝達層50の両方で太陽光を吸収して光電子−光正孔対を生成することによって、前記無機半導体40で生成される光正孔の円滑な伝達、金属酸化物粒子31を介した光電子の円滑な伝達、太陽電池の太陽光吸収効率、及び前記開いている気孔に充填されている有機光電物質で発生する光正孔の円滑な伝達が行われる比表面積である。
【0061】
また、前記金属酸化物粒子31で構成された前記多孔性電子伝達層30の厚さは、高い光電効率、円滑な光電流の流れ側面で、0.1乃至5μmが好ましい。前記多孔性半導体層30の厚さが0.1μm未満である時は、多孔性電子伝達層30に形成される無機半導体40の量が減少するため素子の効率が減少し、厚さが5μmを超過する時は、無機半導体40及び正孔伝達層50で生成された光電流の移動距離が長くなるため素子の効率が減少するおそれがある。
【0062】
前記無機電子伝達層30は、TiO
2、SnO
2、ZnO、及びNb
2O
5から一つ以上選択された物質であり、高い電子移動度及び電子の消滅防止側面でTiO
2であるのが好ましい。金属酸化物粒子31は、TiO
2、SnO
2、ZnO、WO
3、及びNb
2O
5から一つ以上選択された粒子であり、高い電子移動度及び電子の消滅防止側面でTiO
2粒子であるのが好ましい。
【0063】
光吸収体である無機半導体40は、前記多孔性電子伝達層30の表面または気孔内部に備えられ、前記金属酸化物粒子31と面接触して界面を形成する。前記金属酸化物粒子31と前記無機半導体40が面接触して異相粒界(interphase-boundary)を形成することで、前記無機ナノ粒子30と無機電子伝達層30との間にはビルトインポテンシャル(built-in potential)が形成され、前記異相粒界を中心にビルトインポテンシャルによる電界が形成される特徴がある。前記電界により光電子−光正孔対の分離がより円滑且つ効果的に行われ、光電子−光正孔の再結合が防止されるため、素子の効率を増加させる。
【0064】
前記光吸収体は、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、Bi
2S
3、Bi
2Se
3、InP、InCuS
2、In(CuGa)Se
2、Sb
2S
3、Sb
2Se
3、SnS
x(1≦x≦2)、NiS、CoS、FeS
y(1≦y≦2)、In
2S
3、MoS、MoSe、及びこれらの合金から一つ以上選択された物質であるのが好ましく、より好ましくは、環境親和的であり、バンドギャップが相対的に狭くて太陽電池の吸収を多くすることができ、リソースとして豊富でコストが低廉なBi
2S
3、Bi
2Se
3、InP、InCuS
2、In(CuGa)Se
2、Sb
2S
3、Sb
2Se
3、SnS
x(1≦x≦2)、NiS、CoS、FeS
y(1≦y≦2)、In
2S
3、MoS、MoSe、及びこれらの合金から一つ以上選択された物質であるのが好ましい。
【0065】
この時、前述したように、前記光吸収体は、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、Bi
2S
3、Bi
2Se
3、InP、InCuS
2、In(CuGa)Se
2、Sb
2S
3、Sb
2Se
3、SnS
x(1≦x≦2)、NiS、CoS、FeS
y(1≦y≦2)、In
2S
3、MoS、MoSe、及びこれらの合金から一つ以上選択された物質であり、好ましくは、Bi
2S
3、Bi
2Se
3、InP、InCuS
2、In(CuGa)Se
2、Sb
2S
3、Sb
2Se
3、SnS
x(1≦x≦2)、NiS、CoS、FeS
y(1≦y≦2)、In
2S
3、MoS、MoSe、及びこれらの合金から一つ以上選択された物質であり、前記光吸収体は、互いに分離された多数個のナノ粒子、ナノ粒子の不連続層または連続層の構造を有する。
【0066】
前記正孔伝達層50は、前記多孔性電子伝達層30の気孔を充填し、前記電子伝達層30と前記第2の電極60が分離されるように前記多孔性電子伝達層30の前記第2の電極が備えられる方向の面を覆うように備えられる。
【0067】
前述したように、前記正孔伝達層(正孔伝達物質)50は、有機光電物質を含有し、前記有機光電物質は、共役高分子(conjugated polymer)であるという特徴があり、詳細に、HOMOレベルとLUMOレベルのエネルギー差が0.5eV乃至3.5eVであり、太陽光を吸収してエキシトンを生成する共役高分子であるという特徴がある。
【0068】
より詳細に、前記有機光電物質は、下記一般式1である特徴があり、P3HT[poly(3−hexylthiophene)]、P3AT[poly(3−alkylthiophene)]、P3OT[poly(3−octylthiophene、及びPEDOT:PSS[Poly(3,4−ethylenedioxythiophene)poly(styrenesulfonate)]から一つ以上選択された物質であるのが好ましい。
【0069】
[一般式1]
【0070】
(式中、R
1及びR
2は、互いに独立に水素またはC1〜C12アルキル基から選択され、R
1及びR
2のうちいずれか一つは、C1〜C12アルキル基であり、R
1及びR
2が同時に水素ではなく、nは2〜10,000である。)
【0071】
前記一般式1の有機光電物質は、無機半導体40及び金属酸化物の電子伝達層30を採択した本発明の太陽電池で、無機半導体40と補完的に太陽光を吸収して多量のエキシトンを生成し、正孔伝達物質で生成されたエキシトンの消滅を抑制し、正孔伝達物質及び無機半導体で生成された光正孔が円滑に移動し、移動時に正孔の消滅を防止する。
【0072】
第2の電極60は、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、及びこれらの複合物から一つ以上選択された物質であり、前記正孔伝達層50の上部に備えられる。
【0073】
この時、図面に示していないが、前記第2の電極60と前記正孔伝達層50との間に、第2の電極60と正孔伝達層50との間の結合力を向上させるポリチオフェン系有機光電物質を含有する接合層がさらに備えられることができる。
【0074】
図1(b)は、本発明による太陽電池の他の例を示すものであり、
図1(b)に示すように、本発明による太陽電池は、金属酸化物薄膜20をさらに含み、前記金属酸化物薄膜20が前記電子伝達層30の下部に備えられる特徴がある。この時、前記金属酸化物薄膜20の物質は、前記電子伝達層30の金属酸化物粒子31と同じ物質であるのが好ましい。
【0075】
前記金属酸化物薄膜20は、開いている気孔構造を有する電子伝達層30で気孔を正孔伝達物質50が充填することによって、正孔伝達物質50と第1の電極10を分離させるためのものであり、前記正孔伝達層50が第1の電極10と接しないようにする役割を主に実行する。緻密構造の前記金属酸化物薄膜20は、前記電子伝達層30の金属酸化物粒子31と同じ物質であるのが好ましく、詳細に、TiO
2、SnO
2、ZnO、WO
3、及びNb
2O
5から一つ以上選択された物質である。
【0076】
第1の電極10と電子伝達層30との間で電子の円滑な移動経路を提供し、正孔伝達層50の正孔が第1の電極10に移動することを防止するために、前記金属酸化物薄膜20の厚さは、30nm以上であるのが好ましく、実質的に50nm乃至100nmである。
【0077】
図2は、本発明による太陽電池の他の好ましい例を示すものであり、本発明による太陽電池は、透明基板70をさらに含み、前記第1の電極10で前記金属酸化物薄膜20と接する面の対向面または前記第2の電極60で前記正孔伝達物質50と接する面の対向面に前記透明基板70が備えられる。
【0078】
図2に示すように、前記透明基板70は、太陽光(
図2のsunlight)が入射される側に備えられ、外部から素子を物理/化学的に保護する役割を実行する。前記透明基板70が備えられる側の電極(第1の電極または第2の電極)は、透明電極であるのが好ましく、前記透明電極は、FTO(Fluorine doped Tin Oxide)またはITO(Indium doped Tin Oxide)を含む。
【0079】
この時、
図2に示すように、前記第1の電極10と前記第2の電極60が外部の負荷(
図2のLoad)と連結され、光起電効果により太陽電池で生成された電圧がワーク(work)を実行することができることはもちろんである。
【0080】
図3は、本発明による太陽電池の他の好ましい例を示すものであり、本発明による太陽電池で前記光吸収体40′は、隣接する無機半導体粒子間で粒界をなし、物理的に互いに接触されて無機半導体粒子(
図3のNP)間で連続的に連結された連続層(continuous layer)の構造である場合を示す。
【0081】
前記光吸収体40′が無機半導体の連続層で構成された場合、太陽電池に担持される無機半導体(光吸収体)の担持量を極大化することができ、前記電子伝達層と前記光吸収体との間のビルトインポテンシャルが形成される異相粒界面積が極大化され、前記ビルトインポテンシャルの電界による光電子−光正孔の分離効率が増大され、分離された光電子と光正孔の再結合が効果的に防止される特徴がある。
【0082】
図3のように無機半導体の連続層に光吸収体40′が形成される場合、大部分の正孔伝達物質50は、無機半導体と異相粒界を形成し、そのため、前記正孔伝達層で生成された大部分の光電子は、前記無機半導体の連続層及び前記電子伝達層を介して前記第1の電極に移動するようになる。
【0083】
図4は、前述した本発明による太陽電池で金属酸化物粒子31を含んで構成される電子伝達層30、光吸収体である無機半導体40、有機光電物質を含んで構成される正孔伝達層50間のエネルギー準位を示す概念図である。
【0084】
図4に示すように、前記電子伝達層30のバンドギャップエネルギーは、前記無機半導体40のバンドギャップエネルギーより大きい特徴があり、前記無機半導体40と前記電子伝達層30の伝導帯(conduction band)の電位差(
図4のelectron transporting layerとnano particleとの間のEcレベル差)により、前記無機半導体40で生成された光電子は、前記電子伝達層30の金属酸化物粒子31の伝導帯(conduction band)に注入(injection)される特徴がある。
【0085】
また、正孔伝導性を有する前記正孔伝達層50は、電子伝達層30に面接触して付着されている無機半導体40が電子伝達層30の伝導帯に光電子を注入し、残っている光正孔を効果的に伝導するために、無機半導体40の価電子帯(
図4のnano particleのEvレベル)より高いHOMO電位を有して電位差(
図4のnano particleのEvレベルとHOMOレベルとの差)により、前記無機半導体40で生成された光正孔は、自発的(spontaneous)に正孔伝達層50に移動する特徴がある。
【0086】
また、前記正孔伝達層の自体で太陽光を吸収して生成された光電子が自発的に前記無機半導体40に移動するために、前記正孔伝達層50は、前記無機半導体の伝導帯(
図4のnano particleのEcレベル)より高いLUMO電位(
図4のLUMOレベル)を有して電位差(
図4のnano particleのEcレベルとLUMOレベルとの差)により、前記正孔伝達層50で生成された光電子は、自発的(spontaneous)に前記無機半導体40に移動する特徴がある。
【0087】
前記第1の電極10は、前記電子伝達層30の伝導帯(
図4のelectron transporting layerのEcレベル)より低いフェルミレベル(Fermi level)を有するのが好ましく、前記第2の電極60は、前記正孔伝達層50のHOMO電位(
図4のHOMOレベル)より高いフェルミレベル(Fermi level)を有するのが好ましい。
【0088】
図1乃至
図3に基づいて詳述した金属酸化物、無機半導体、及び有機光電物質は、
図4に基づいて詳述したエネルギーバンド関係を満たす物質であるのが好ましい。
図1乃至
図4に基づいて詳述した本発明による太陽電池の一例に、金属酸化物粒子としてTiO
2粒子が採択され、無機半導体としてSb
2S
3が採択され、正孔伝達物質としてP3HT(poly(3−hexylthiophene))が採択されるのが好ましい。この時、第1の電極としてFTO(Fluorine-doped Tin Oxide、SnO
2:F)が採択され、第2の電極として金(Au)が採択されるのが好ましい。
【0089】
以下、本発明による太陽電池の製造方法を説明する。
【0090】
本発明による太陽電池の製造方法は、a)金属酸化物粒子を含有するスラリーを塗布し、熱処理して多孔性電子伝達層(electron transporting layer)を形成する段階;b)前記多孔性電子伝達層の金属酸化物粒子の表面に無機半導体を形成する段階;及び、c)前記無機半導体が形成された多孔性電子伝達層に下記一般式1である有機光電物質(organic photovoltaic material)を含有する溶液を含浸して正孔伝達層(hole transporting layer)を形成する段階;を含んで実行される特徴がある。
【0091】
図5に基づいて好ましい本発明の製造方法を説明する。好ましくは、本発明による太陽電池の製造方法は、第1の電極10または透明基板70に積層された第1の電極10の上部に金属酸化物粒子31を含有するスラリーを塗布した後、熱処理して多孔性電子伝達層(electron transporting layer)30を形成する段階(電子伝達層形成段階)、前記多孔性電子伝達層の勤続酸化物粒子の表面に太陽光を吸収して光電子−光正孔対を生成する無機半導体光吸収体40を形成する段階(光吸収層形成段階)、及び前記半導体光吸収体40が形成された多孔性電子伝達層30に太陽光を吸収してエキシトン(exciton)を生成する正孔伝導性有機光電物質(organic photovoltaic material)が溶解された有機溶液を塗布して正孔伝達層(hole transporting layer)50を形成する段階(正孔伝達層形成段階)を含んで実行され、好ましくは、前記正孔伝達層50の上部に第2の電極60を形成する段階(対電極形成段階)を含んで実行される特徴がある。
【0092】
より好ましくは、本発明による太陽電池の製造方法は、
図5(c)の前記電子伝達層形成段階が実行される前、
図5(b)のように金属酸化物の薄膜20を前記第1の電極10上に形成する段階(薄膜形成段階)がさらに実行される。前記薄膜形成段階は、通常の半導体工程で使われる化学的または物理的蒸着により実行されることができ、噴霧熱分解法(SPM;spray pyrolysis method)により実行されることができる。この時、前記金属酸化物薄膜20の金属酸化物は、前記電子伝達層30の金属酸化物粒子31と同じ物質であるのが好ましい。
【0093】
図5(c)の前記電子伝達層形成段階s10は、金属酸化物粒子を含有したスラリーを用いて、前記スラリーの塗布は、スクリーンプリンティング(screen printing);スピンコーティング(Spin coating);バーコーティング(Bar coating);グラビアコーティング(Gravure coating);ブレードコーティング(Blade coating);及び、ロールコーティング(Roll coating);から一つ以上選択された方法により実行されるのが好ましい。
【0094】
前記金属酸化物粒子は、TiO
2、SnO
2、ZnO、WO
3、及びNb
2O
5から一つ以上選択されたのが好ましく、TiO
2であるのがより好ましい。
【0095】
前記電子伝達層形成段階で塗布されたスラリーが乾燥された後、熱処理されて製造される前記電子伝達層の比表面積が10乃至100m
2/gになるように、前記スラリーの濃度、塗布時に印加される圧力、スラリーに含まれている金属酸化物粒子の平均大きさ、スラリーに含まれている金属酸化物粒子の粒度分布、熱処理温度、及び熱処理時間から選択された一つ以上の因子(factor)を調節するのが好ましい。
【0096】
前記電子伝達層の比表面積及び開いている気孔構造に大きく影響を及ぼす因子は、金属酸化物粒子の平均粒子大きさと電子伝達層を形成するために実行される熱処理温度であり、好ましくは、前記金属酸化物粒子の平均粒子大きさは、5乃至100nmであるのが好ましく、前記熱処理は、空気中で200乃至550℃で実行されるのが好ましい。
【0097】
前記電子伝達層形成段階で塗布されたスラリーが乾燥された後、熱処理されて製造される前記電子伝達層の厚さが0.1乃至5μmになるように、前記スラリーの塗布厚さを調節するのが好ましい。
【0098】
前記電子伝達層の形成時、前記金属酸化物粒子の金属元素を含有する金属前駆体溶解液に多孔性電子伝達層を含浸する後処理段階がさらに実行されるのが好ましい。
【0099】
前記後処理段階の金属前駆体は、金属塩化物、金属フッ化物、金属ヨウ化物を含む金属ハライドであるのが好ましく、前記金属前駆体溶解液は、金属前駆体が10乃至40mMの低濃度に溶解された液であるのが好ましく、前記含浸が6乃至18時間実行された後、基板を分離回収するのが好ましい。
【0100】
前記後処理で金属酸化物粒子を含有するスラリーを塗布した後、熱処理により製造される多孔性電子伝達層を相当うすい金属前駆体溶解液に放置すると、時間増加に応じて常温でも加水分解により相当小さい金属酸化物粒子が多孔性電子伝達層に付着されて生成される。
【0101】
このような後処理により生成された相当微細な金属酸化物粒子(後処理粒子)は、欠陥(defect)が相対的に多くの多孔性電子伝達層の粒子と粒子との間等に存在するようになって、多孔性構造を有する電子伝達層の電子流れを良くし、消滅を防止して素子の効率を増加させ、また、電子伝達層の比表面積を増加させて光吸収体の付着量を増加させる。
【0102】
前記後処理段階で前記金属前駆体溶解液への含浸が実行された後、熱処理が実行されることができ、前記金属前駆体溶解液への含浸後に実行される熱処理は、空気中で200乃至550℃で実行されるのが好ましい。より好ましくは、前記後処理以後に実行される熱処理は、前記電子伝達層の形成のための熱処理の延長であり、前記熱処理の延長は、電子伝達層の形成のための熱処理を中間で止め、金属前駆体溶解液に熱処理された電子伝達層を一定時間含浸した後に分離回収し、また、電子伝達層の形成のための熱処理を再開することを意味する。
【0103】
図5(d)の光吸収層形成段階は、コロイド状のナノ粒子分散液の塗布(吸着による付着方法);噴霧熱分解法(SPM;spray pyrolysis method);化学浴析出法(CBD;chemical bath deposition method);及び、連続イオン層吸着及び反応法(SILAR;Successive Ionic Layer Adsorption and Reaction method);から一つ以上選択された方法により実行されることができるが、金属酸化物粒子と無機半導体との間の面接触を容易に形成し、多孔性の電子伝達層表面及び内部気孔に均一に分布する無機ナノ粒子を形成するために、化学浴析出法(CBD;chemical bath deposition method)及び連続イオン層吸着及び反応法(SILAR;Successive Ionic Layer Adsorption and Reaction method)から一つ以上選択された方法により実行されるのがより好ましい。
【0104】
前記無機半導体(光吸収体)は、互いに分離された多数個の粒子または気孔による表面を含む前記電子伝達層の表面を覆う膜形状に製造される特徴がある。好ましくは、前記無機半導体(光吸収体)は、前記電子伝達層をなす金属酸化物粒子の表面を覆う連続層または不連続層の膜形状である。
【0105】
無機半導体の膜を形成するために、前記b)段階は、化学浴析出法(CBD;chemical bath deposition method)及び連続イオン層吸着及び反応法(SILAR;Successive Ionic Layer Adsorption and Reaction method)から一つ以上選択された方法により実行されるのが好ましく、均質且つ均一な厚さを有して緻密な連続層を形成するために化学浴析出法(CBD;chemical bath deposition method)を用いて実行されるのが好ましい。
【0106】
SILARの場合、無機半導体を構成する各元素の前駆体を前駆体別に溶解させて前駆体溶液を製造した後、多孔性電子伝達層が形成された溶解された第1の電極を前駆体溶液別に交代に浸漬した後、洗浄する工程を単位工程とし、前記単位工程の繰り返し回数を調節して各々が島(island)形態に金属酸化物粒子の表面に付着された無機半導体または金属酸化物粒子の表面に膜を形成する無機半導体を製造することができる。前駆体として、塩化物、ヨウ化物、フッ化物、窒化物、有機物または無機物が使われることができ、一例に、無機半導体がSb
2S
3である場合、Sbの前駆体としてSb
2O
3を酒石酸(tartaric acid)のようなキレート剤に溶かし、Sの前駆体としてNa
2S
2O
3を主に使用する。
【0107】
CBDの場合、無機半導体を構成する各元素の前駆体を前駆体別に溶解させて前駆体溶液を製造した後、各前駆体溶液を混合して混合溶液を製造し、多孔性電子伝達層が形成された第1の電極を混合溶液に含浸させて前記光吸収体を製造する。この時、前記混合溶液の前駆体濃度または混合溶液への含浸時間を調節し、各々が島(island)形態に金属酸化物粒子の表面に付着された無機半導体または金属酸化物粒子の表面に膜を形成する無機半導体を製造することができる。前駆体として、塩化物、ヨウ化物、フッ化物、窒化物、有機物または無機物が使われることができ、一例に、無機半導体がSb
2S
3である場合、Sbの前駆体としてSbの塩化物を使用し、Sの前駆体として硫黄含有有機物または硫黄含有無機物を使用し、好ましくは、硫黄含有無機物としてNa
2S
2O
3を使用し、前記CBDは10℃以下で実行されるのが好ましい。
【0108】
光吸収層形成段階で製造される前記無機半導体は、CdS、CdSe、CdTe、PbS、PbSe、Bi
2S
3、Bi
2Se
3、InP、Sb
2S
3、Sb
2Se
3、SnS
x(1≦x≦2)、NiS、CoS、FeS
y(1≦y≦2)、In
2S
3、MoS、MoSe、及びこれらの合金から一つ以上選択されたのが好ましく、無機半導体が粒子として存在する場合、粒子の平均直径は0.5nm乃至10nmであるのが好ましく、無機半導体が不連続層または連続層に存在する場合、平均直径が0.5nm乃至10nmである粒子(grain)からなる0.5nm乃至20nm厚さの膜であるのが好ましい。
【0109】
正孔伝達層形成段階s30は、前記多孔性電子伝達層30に存在する空隙を充填し、多孔性電子伝達層30の上部を覆うように有機光電物質を含有する溶液を含浸する段階である。前記含浸は、スピンコーティングにより実行されるのが好ましい。前記電子伝達層30の最上部を基準に前記電子伝達層を覆った有機光電物質の厚さは、30nm乃至200nmであるのが好ましい。
【0110】
前記正孔伝導性の有機光電物質は、共役高分子(conjugated polymer)である特徴があり、下記一般式1であるのが好ましく、P3HT[poly(3−hexylthiophene)]、P3AT[poly(3−alkylthiophene)]、P3OT[poly(3−octylthiophene]、PEDOT:PSS[Poly(3,4−ethylenedioxythiophene)poly(styrenesulfonate)]及びMEH−PPV[poly(2−methoxy−5−(2−ethy−hexyloxy−1,4−phenylene vinyleneから一つ以上選択された物質であるのがより好ましい。これは、太陽光を吸収して多量のエキシトンを生成し、正孔伝達物質で生成されたエキシトンの消滅を抑制し、正孔伝達物質及び無機ナノ粒子の生成された光正孔が円滑に移動し、移動時に正孔の消滅を防止するためである。
【0111】
[一般式1]
【0112】
(式中、R
1及びR
2は、互いに独立に水素またはC1〜C12アルキル基から選択され、R
1及びR
2のうちいずれか一つは、C1〜C12アルキル基であり、R
1及びR
2が同時に水素ではなく、nは2〜10,000である。)
【0113】
より好ましくは、本発明による太陽電池の製造方法は、含浸により前記正孔伝達層50を形成した後、第2の電極60と正孔伝達層50との間の結合力を向上させる接合層を形成する段階がさらに実行される。前記接合層は、ポリチオフェン系有機光電物質を含有する溶液の塗布により形成され、前記塗布は、スピンコーティングであるのが好ましい。
【0114】
前記第2の電極60は、物理的蒸着(physical vapor deposition)または化学的蒸着(chemical vapor deposition)を用いて実行されることができ、熱蒸着(thermal evaporation)により製造されるのが好ましい。