特許第5775888号(P5775888)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775888非対称圧延装置、非対称圧延方法及びそれを用いて製造された圧延材
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775888
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】非対称圧延装置、非対称圧延方法及びそれを用いて製造された圧延材
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/22 20060101AFI20150820BHJP
   B21B 35/12 20060101ALI20150820BHJP
   B21B 13/14 20060101ALI20150820BHJP
   B21B 3/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   B21B1/22 G
   B21B35/12
   B21B13/14 A
   B21B3/00 Z
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-558078(P2012-558078)
(86)(22)【出願日】2011年3月15日
(65)【公表番号】特表2013-525111(P2013-525111A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】KR2011001781
(87)【国際公開番号】WO2011115402
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2012年9月13日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0024299
(32)【優先日】2010年3月18日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512238472
【氏名又は名称】ガンヌン−ウォンジュ ナショナル ユニバーシティ インダストリー アカデミー コーポレイション グループ
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ヒョウ−タイ
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ビュン−ハク
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−296303(JP,A)
【文献】 特開昭60−003903(JP,A)
【文献】 特表2010−529908(JP,A)
【文献】 特表2005−500164(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/103436(WO,A1)
【文献】 実開昭58−043808(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/22
B21B 3/00
B21B 13/14
B21B 35/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面を含む被圧延材を第1ロール及び前記第1ロールよりも大径を有する第2ロールの間に配置し、
動力提供部から前記第1ロール及び第2ロールのそれぞれに供給される動力を調節して、前記第1ロール及び第2ロールの回転線速度を同一になるように制御することによって、前記第1ロールによって、前記被圧延材の第1面及び第2面のうちの何れか1面に印加されるせん断ひずみと前記第2ロールによって、前記第1面及び第2面のうちの他面に印加されるせん断ひずみとが互いに異なかつ、前記被圧延材の基底面スリップ系が前記第1ロール及び前記第2ロールによって画定される圧延面に対して0度以上90度未満の角度で傾くように、前記被圧延材を圧延する非対称圧延方法。
【請求項2】
前記第1ロールは、前記第1面にせん断ひずみを印加し、前記第2ロールは、前記第2面にせん断ひずみを印加するように設定して、連続して2回以上前記被圧延材を圧延する請求項1に記載の非対称圧延方法。
【請求項3】
前記被圧延材の前記第1ロール及び第2ロールからせん断ひずみを印加される面を変えて、圧延する回数を少なくとも1回含み、2回以上前記被圧延材を圧延する請求項1に記載の非対称圧延方法。
【請求項4】
前記被圧延材の圧延方向を同様に設定して、2回以上前記被圧延材を圧延する請求項1に記載の非対称圧延方法。
【請求項5】
前記被圧延材の圧延方向を異ならせて、圧延する回数を少なくとも1回含み、2回以上前記被圧延材を圧延する請求項1に記載の非対称圧延方法。
【請求項6】
第1面及び第2面を含む被圧延材を第1ロール及び前記第1ロールよりも大径を有する第2ロールの間に配置し、
前記第1ロールよりも大径を有する第3ロールを前記第2ロールの反対側で前記第1ロールに結合させて、前記第1ロールを支持させ、
動力提供部から前記第2ロール及び第3ロールのそれぞれに供給される動力を調節して、前記第2ロールと、前記第3ロールとの摩擦によって回転する前記第1ロールの回転線速度を同一になるように制御することによって、前記第1ロールによって、前記被圧延材の第1面及び第2面のうちの何れか1面に印加されるせん断ひずみと前記第2ロールによって、前記第1面及び第2面のうちの他面に印加されるせん断ひずみとが互いに異なかつ、前記被圧延材の基底面スリップ系が前記第1ロール及び前記第2ロールによって画定される圧延面に対して0度以上90度未満の角度で傾くように、前記被圧延材を圧延する非対称圧延方法。
【請求項7】
互いに異なる直径を有し、動力提供部からそれぞれ提供される動力によって同じ回転線速度を有して回転するように制御される圧延ロールが、1対を成す1つ以上の作業ロールを用いて、被圧延材の基底面スリップ系が、前記1つ以上の作業ロールによって画定される圧延面に対して0度以上90度未満の角度で傾くように、前記被圧延材を圧延する非対称圧延方法。
【請求項8】
複数の回数からなり、
前記複数の回数は、前記被圧延材をひっくり返して圧延する回数を少なくとも1回含む、請求項7に記載の非対称圧延方法。
【請求項9】
複数の回数からなり、
前記複数の回数は、前記被圧延材の圧延方向を異ならせて、圧延する回数を少なくとも1回含む、請求項7に記載の非対称圧延方法。
【請求項10】
前記作業ロールのうち相対的に大径を有する圧延ロールの反対側に、前記作業ロールのうち直径が相対的に小径を有する圧延ロールを支持する補強ロールを結合させる請求項7に記載の非対称圧延方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部材などを圧延材に成形するために行われる圧延技術に係り、特に、圧延材の集合組職を制御することによって、圧延材の成形性またはそれ以外の材料物性を向上させる圧延技術に関する。
【背景技術】
【0002】
金属部材を一定の規格を有した板材などの形態で加工するために、一般的に圧延が行われるようになる。圧延過程で被圧延材の体積変化によって、被圧延材内部の微細組職も、これに伴って変化される。このような被圧延材の微細組職変化によって、結晶が優先方位方向に配向される集合組職(texture)を表わす。このような圧延によって表われる集合組職は、被圧延材の成形性と非常に密接な関係を有している。したがって、圧延工程で、このような被圧延材の集合組職を制御することによって、圧延後、被圧延材の成形性を向上させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、圧延材の集合組職を制御することによって、高成形性を付与することができる圧延方法の提供を目的とする。また、このような圧延方法によって、成形性が向上した圧延材の提供を他の目的とする。また、このような圧延方法を具現することができる圧延装置の提供をさらに他の目的とする。
【0004】
このような本発明の目的は、前述したものに制限されず、言及されていない、さらなる課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、第1面及び第2面を含む被圧延材を第1ロール及び第1ロールよりも大径を有する第2ロールの間に配置し、動力提供部から前記第1ロール及び第2ロールのそれぞれに供給される動力を調節して、回転角速度を互いに異なるように制御して、第1ロールによって、被圧延材の第1面及び第2面のうちの何れか1面に印加されるせん断ひずみと第2ロールによって、前記第1面及び第2面のうちの他面に印加されるせん断ひずみとが互いに異なるように制御して、被圧延材を圧延する非対称圧延方法が提供される。
【0006】
本発明の一側面による非対称圧延方法の他の特徴によれば、第1ロール及び第2ロールの回転線速度を同様に保持しながら、被圧延材を圧延することができる。
【0007】
本発明の一側面による非対称圧延方法のさらに他の特徴によれば、第1ロール及び第2ロールの回転線速度の差に関する下記の数式1と定義される回転線速度の差が、10%以下であり得る。
【数1】

υ:第1ロールの回転線速度
υ:第2ロールの回転線速度
【0008】
本発明の一側面による圧延方法のさらに他の特徴によれば、第1ロールは、第1面にせん断ひずみを印加し、第2ロールは、第2面にせん断ひずみを印加するように設定して、連続して2回以上被圧延材を圧延することができる。
【0009】
本発明の一側面による非対称圧延方法のさらに他の特徴によれば、被圧延材が、第1ロール及び第2ロールからせん断ひずみを印加される面を変えて、圧延する回数を少なくとも1回含み、2回以上被圧延材を圧延することができる。
【0010】
本発明の一側面による非対称圧延方法のさらに他の特徴によれば、被圧延材の圧延方向を同様に設定して、2回以上被圧延材を圧延することができる。
【0011】
本発明の一側面による非対称圧延方法のさらに他の特徴によれば、被圧延材の圧延方向を異ならせて、圧延する回数を少なくとも1回含み、2回以上被圧延材を圧延することができる。
【0012】
本発明の一側面による非対称圧延方法のさらに他の特徴によれば、第1ロールよりも大径を有する第3ロールを前記第2ロールの反対側で第1ロールに結合させて、第1ロールを支持させる。
【0013】
本発明の他の一側面によれば、互いに異なる直径を有するならば、動力提供部からそれぞれ提供される動力によって同じ回転線速度を有して回転するように制御される圧延ロールが、1対を成す1つ以上の作業ロールを用いて、被圧延材を圧延する非対称圧延方法が提供される。
【0014】
本発明の他の一側面による非対称圧延方法の他の特徴によれば、このような圧延方法は、複数の圧延回数からなり、このような複数の回数は、被圧延材をひっくり返して圧延する圧延回数を少なくとも1回含みうる。
【0015】
本発明の他の一側面による非対称圧延方法のさらに他の特徴によれば、このような圧延方法は、複数の圧延回数からなり、このような複数の圧延回数は、被圧延材の圧延方向を異ならせて、圧延する圧延回数を少なくとも1回含みうる。
【0016】
本発明の他の一側面による非対称圧延方法のさらに他の特徴によれば、作業ロールのうち相対的に大径を有する圧延ロールの反対側に作業ロールのうち直径が相対的に小径を有する圧延ロールを支持する補強ロールを結合させることができる。
【0017】
本発明のさらに他の一側面によれば、前述した非対称圧延方法を用いて製造した圧延材が提供される。
【0018】
本発明のさらに他の一側面による圧延材の他の特徴によれば、このような圧延材は、稠密充填六方晶(Hexagonal Close−Packed)結晶構造を有した金属であり得る。また、マグネシウム(Mg)、マグネシウム合金、チタン(Ti)、チタン合金を含み、他の例として、アルミニウム、アルミニウム合金またはFe−Si合金を含みうる。
【0019】
本発明のさらに他の一側面によれば、被圧延材の第1面に接触される第1ロールと、第1ロールよりも大径を有し、第1面の反対面である第2面に接触される第2ロールと、第1ロール及び第2ロールの回転角速度の比が調節されるように、第1ロール及び第2ロールに動力を供給する動力提供部と、を含む非対称圧延装置が提供される。
【0020】
本発明のさらに他の一側面による非対称圧延装置の他の特徴によれば、動力提供部は、第1ロールの回転線速度及び第2ロールの回転線速度が互いに同一になるように調節することができる。
【0021】
本発明のさらに他の一側面による非対称圧延装置のさらに他の特徴によれば、動力提供部は、第1ロール及び第2ロールをそれぞれ駆動させる第1モータ及び第2モータと、第1モータ及び第2モータの回転角速度を制御することができるモータ制御部と、を含みうる。
【0022】
本発明のさらに他の一側面による非対称圧延装置のさらに他の特徴によれば、第1ロールに連結される第1ギアと、第2ロールに連結され、第1ギアと互いに異なるギア比で結合される第2ギアと、を含み、動力提供部は、第1または第2ギアに駆動力を提供するモータを含みうる。
【0023】
本発明のさらに他の一側面による非対称圧延装置のさらに他の特徴によれば、第1ロールよりも大径を有し、第2ロールの反対側で第1ロールを支持するように結合される第3ロールをさらに含みうる。
【0024】
本発明のさらに他の一側面による非対称圧延装置のさらに他の特徴によれば、第1ロールまたは第3ロールを駆動させる第1モータと、第2ロールを駆動させる第2モータと、第1モータ及び第2モータの回転角速度を制御することができるモータ制御部と、を含みうる。
【0025】
本発明のさらに他の一側面による非対称圧延装置のさらに他の特徴によれば、第1ロールまたは第3ロールに連結される第1ギアと、第2ロールに連結され、前記第1ギアと互いに異なるギア比を有して結合される第2ギアと、を含み、動力提供部は、第1ギアまたは第2ギアに駆動力を伝達するモータを含みうる。
【0026】
本発明のさらに他の一側面による非対称圧延装置のさらに他の特徴によれば、第1ギアまたは第2ギアは、1つ以上のギア比を可変的に変化させる可変ギアであり、このような第1ギア及び第2ギア間のギア比を制御するために備えられるギア制御部をさらに含みうる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の実施形態による圧延方法及び圧延装置による時、従来に比べて成形性が大きく向上した圧延材を製造することができる。特に、マグネシウム合金のように常温の成形性が劣悪な金属材料を本発明の実施形態によって圧延する場合、常温でもせん断ひずみがよく起こるようにスリップ系が配されることによって、従来に得られなかった優れた常温成形性を有しうる。
【0028】
本発明の効果は、前述したものに制限されず、圧延によって成形性の向上が可能なあらゆる材料に適用可能であるということは自明であり、言及されていない、さらなる効果は、下記の記載から当業者に明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1の(a)及び図1の(b)は、本発明の一実施形態による圧延装置の正面図及び斜視図である。
図2図2の(a)及び図2の(b)は、本発明の他の一実施形態による圧延装置の正面図及び斜視図である。
図3】本発明のさらに他の一実施形態による圧延装置の正面図である。
図4】稠密充填六方晶(Hexagonal Close−Packed、HCP)構造を有するマグネシウムのスリップ系を示す図である。
図5】被圧延材内部に配列される稠密充填六方晶の態様を示す図である。
図6】稠密充填六方晶の(0001)極点図内に図5のA、B、C、D結晶の極点を示す図である。
図7】本発明の一実施形態による圧延方法で圧延されたAZ31合金の(0001)極点図を示す図である。
図8】比較例による圧延方法で圧延されたAZ31合金の(0001)極点図を示す図である。
図9】比較例による圧延方法で圧延されたAZ31合金の(0001)極点図を示す図である。
図10】比較例による圧延方法で圧延されたAZ31合金の(0001)極点図を示す図である。
図11】本発明の他の一実施形態による圧延方法を示す図である。
図12図11に示された圧延方法によって圧延されたAZ31合金の(0001)極点図を示す図である。
図13】本発明のさらに他の一実施形態による圧延方法を示す図である。
図14図13に示された圧延方法によって圧延されたAZ31合金の(0001)極点図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明の望ましい実施形態について詳細に説明する。同時に、本発明を説明するに当って、関連した公知構成または機能についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明にする恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0031】
本発明を通じて提供される圧延装置及び圧延方法は、成形性を向上させるために適用可能な如何なる被圧延材にも適用可能であり、以下の実施形態は、このような本発明の技術的思想を例示するものである。
【0032】
また、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され、単に本実施形態は、本発明の開示を完全にさせ、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものである。図面で、構成要素は、説明の便宜上、そのサイズが誇張または縮小されうる。
【0033】
本発明の実施形態で、集合組職は、多結晶材料の各結晶粒(crystalline grains)が一定の方向に整列された状態を表すことができる。本発明の実施形態で、集合組職は、テクスチャまたはテクスチャと呼ばれることもあり、その名称によって、その範囲が制限されるものではない。本発明の実施形態で、材料が有する集合組職は、絶対的な概念よりは相対的な概念として使われる。すなわち、1つの材料が所定方向の集合組職を有するということは、その材料の相当部分の結晶粒が、その方向の集合組職を有するということを意味するだけであり、その材料のあらゆる結晶粒が、その方向の集合組職を有するということを意味しない。
【0034】
本発明の実施形態で、極点図(pole figure)は、材料の結晶方位または集合組職の分析において、結晶学的な格子面の分布方向を示す平射投影(stereographic projection)形態の絵を表すことができる。極点図は、X線回折(X−ray diffraction;XRD)分析を用いて図示することができる。
【0035】
本発明の実施形態で、被圧延材は、圧延が行われる対象を意味し、圧延材は、被圧延材が圧延が完了して目的する形状に変更された対象を意味する。
【0036】
図1の(a)及び図1の(b)には、本発明の一実施形態による圧延装置が示されている。具体的に、図1の(a)は、本発明の一実施形態による圧延装置100の正面図であり、図1の(b)は、図1の(a)の圧延装置のうち、圧延ロール101、102及び被圧延材104部分のみを別途に示した斜視図である。図1の(a)及び図1の(b)に示されているように、本発明の一実施形態による圧延装置100は、第1ロール101及び第2ロール102の直径が互いに異なる非対称圧延装置であり、具体的に、被圧延材104の第1面104aに接触される第1ロール101、第1ロール101よりも大径を有し、被圧延材104の第1面104aの反対面である第2面104bに接触される第2ロール102及びこのような第1ロール101及び第2ロール102の回転角速度が互いに異なるように調節されるように、第1ロール101及び第2ロール102に動力を供給する動力提供部105を含む。
【0037】
図1の(a)及び図1の(b)には、圧延を行う作業ロール(working roll)である第1ロール101及び第2ロール102が、それぞれ上部ロール及び下部ロールとして設定されているが、これは例示的なものであり、これと異なる形態で設定されても良い。また、説明の便宜上、図1の圧延装置100によって最初圧延される被圧延材104の面のうち、上部ロールである第1ロール101に接触する面を第1面104a、下部ロールである第2ロール102に接触する面を第2面104bと定義する。したがって、図1の被圧延材104をひっくり返して圧延する場合、第1ロール101は、被圧延材104の第2面104bと接し、第2ロール102は、被圧延材104の第1面104aと接する。
【0038】
このような第1及び第2ロール101は、基部110上に平行に離隔して形成され、ネジのような締結部材112によって固定されたフレーム111の間に装着される。
【0039】
この際、動力提供部105は、図1の(a)に示したように、第1ロール101及び第2ロール102をそれぞれ駆動させる第1モータ106及び第2モータ107と、このような第1モータ106及び第2モータ107の回転角速度を制御することができるモータ制御部108とを含みうる。
【0040】
この際、第1モータ106及び第2モータ107は、連結部材109を通じて回転動力を第1ロール101及び第2ロール102に伝達する。
【0041】
モータ制御部108は、第1モータ106及び第2モータ107の回転角速度を制御することによって、これに連結された第1ロール101及び第2ロール102の回転角速度を制御し、このような制御を通じてロールの半径に回転角速度を乗算した値と定義される回転線速度を制御することができる。
【0042】
このような回転線速度の制御を通じて第1ロール101が被圧延材104の第1面104aに印加するせん断ひずみと第2ロール102が被圧延材104の第2面104bに印加するせん断ひずみとが互いに異なるように制御することができる。
【0043】
一例として、モータ制御部108は、第1ロール101及び第2ロール102の回転線速度を同様に保持し、第1ロール101及び第2ロール102の間に配された被圧延材104を圧延するように制御することができる。すなわち、第1ロール101及び第2ロール102の角速度の比が、第1ロール101及び第2ロール102の半径の逆数の比と同一になるように制御することによって、第1ロール101及び第2ロール102の線速度を同様に保持することができる。ここでの“同一”の意味は、完全同一であるだけではなく、作業者が両ロールの角速度を同様にする意図として制御部の信号を制御したにも、機械装置の特性上、不可避に内包している誤差に起因した工程マージン内での同一性まで含む実質的意味の同一性で把握しなければならない。このような第1ロール101及び第2ロール102の回転線速度の“同一”は、以下でも同じ意味として適用される。
【0044】
一方、本発明による他の実施形態として、図2の(a)及び図2の(b)に示されたように、第1ロール101よりも大径を有し、第2ロール102の反対側で前記第1ロール101に結合されて、前記第1ロール101を支持するように配される第3ロール103をさらに含みうる。この際、第1ロール101及び第2ロール102は、被圧延材104の表面に接触して、直接せん断ひずみを印加する作業ロールになり、第3ロール103は、第1ロール101が圧延過程でさらに大径を有する第2ロール102から加えられる外力に対して均衡を保持させる補強ロール(backup roll)になりうる。
【0045】
この際、動力提供部105は、第1ロール101または第3ロール103を駆動させる第1モータ106、第2ロール102を駆動させる第2モータ107及び前記第1モータ106と第2モータ107との回転角速度を制御することができるモータ制御部108を含みうる。
【0046】
一例として、第1モータ106は、図2の(a)に示されたように、第3ロール103に連結されて駆動力を伝達し、第3ロール103が回転することによって、これに接するように結合された第1ロール101は、摩擦によって共に回転する。図示していないが、第1モータ106は、第1ロール101に連結されて第1ロール101を回転させ、前記のような原理で摩擦によって第3ロール103が回転することも可能である。
【0047】
一方、本発明によるさらに他の実施形態の場合、動力提供部から提供される動力は、ギアを通じて作業ロールに伝達されうる。一例として、図3に示したように、第1ロール101ないし第3ロール103で構成された圧延装置では、第1ロール101または第3ロール103に連結される第1ギア114と第2ロール102に連結され、第1ギア114と互いに異なるギア比を有して結合される第2ギア115とを含み、前記動力提供部105は、第1ギア114または第2ギア115に駆動力を伝達するモータ113を含みうる。
【0048】
この際、図3には、モータ113の動力が駆動ギア116を通じて第2ギア115に伝達されるように構成されているが、本実施形態の圧延装置は、これに限定されず、モータ113が駆動ギア116なしに直接第1ギア114または第2ギア115に連結されて動力を伝達することも含む。
【0049】
また、図3には、補強ロールである第3ロール103がある圧延装置に対して示したが、第3ロール103なしに第1ロール101及び第2ロール102のみ備えられた場合にも、前述したような方式で第1ギア114が第1ロール101に連結され、第2ギア115が第2ロール102に連結されうる。
【0050】
一方、前述した第1ギア114または第2ギア115は、1つ以上のギア比を可変的に変化させることができる可変ギアの形態であり、ギア比を制御するために、第1ギア114または第2ギア115と連結されるギア制御部117をさらに含みうる。
【0051】
このような本実施形態による圧延装置の場合、第1ロール101及び第2ロール102の直径を勘案して、第1ギア114及び第2ギア115のギア比を調節することによって、両ロールの回転線速度を制御することができる。一例として、モータ113から発生した動力は、このように設定されたギア比によって、第1ロール101及び第2ロール102が同じ回転線速度を有するように伝達されうる。また、第1ギア114及び第2ギア115が可変ギアで構成される場合には、ギア制御部117によって装着される第1ロール101または第2ロール102の直径によって、ギア比を可変的に制御して、第1ロール101及び第2ロール102の回転線速度を同様に制御することができる。
【0052】
一方、図1ないし図3には、直径の差がある第1ロール101と第2ロール102が、1対を成す1つの作業ロールに対して示されているが、本発明は、これに限定されず、このような作業ロールが近接して、複数個形成された場合も含む。したがって、本発明のあらゆる実施形態として記述される圧延方法は、互いに異なる直径を有する圧延ロールが、1対を成す少なくとも1つ以上の作業ロールを用いて、被圧延材を圧延する方法を含みうる。
【0053】
このような非対称圧延装置によって圧延が行われる被圧延材は、稠密充填六方晶(HCP)構造を有するマグネシウムまたはマグネシウム合金を含みうる。最近、次世代軽量化部材として研究されているマグネシウムは、密度が1.74g/cmであって、密度が7.90g/cmである鉄や、2.7g/cmであるアルミニウムに比べて、軽く、かつ非常に優れた比強度と比弾性係数とを有する。また、振動、衝撃、電磁波などに対する吸収能力が卓越し、電気及び熱伝導度に優れるので、自動車、航空機などの軽量化素材だけではなく、携帯用電話機、ノート型パソコンなどの電子産業分野にも応用されている。
【0054】
しかし、このような稠密充填六方晶結晶構造を有するマグネシウムは、成形のためのスリップ系が発達しなくて、常温での成形性が落ちる。すなわち、マグネシウムの変形機構は、図4に示されたように、成形時、主に{0001}<1120>の基底面スリップ系(basal plane slip system)と{1010}<1120>プリズマティックスリップ系(prismatic slip system)、{1011}<1120>ピラミダルスリップ系(piramidal slip system)などが作用すると知られている。しかし、常温で基底面スリップ系以外の変更機構に対する臨界分解せん断応力(critical resolved shear stress)値は、基底面スリップ系の臨界分解せん断応力に比べて非常に大きいために、基底面スリップ系の試片内での配置が常温成形性に重要な影響を及ぼす。
【0055】
図5のAのように、基底面スリップ系が被圧延材104の圧延面と平行に配される場合(すなわち、図5のNDと垂直な場合)または図5のBのように、基底面スリップ系が横軸方向TDと垂直に配されるか、図5のCのように、基底面スリップ系が圧延方向RDに垂直に配される場合には、常温での成形性が劣悪となる。これは、圧延されたマグネシウムの成形時、主変形方向(すなわち、図5のND、RD及びTD)と基底面スリップ系が、互いに垂直であるか、水平を成して、外部応力によって基底面スリップ系の作動が難しくなるためである。
【0056】
一方、基底面スリップ系が、図5のDのように、材料の変形が容易に主変形方向に対して一定角度で傾いて配される場合には、優れた常温成形性を表わす。
【0057】
このような材料内での基底面スリップ系の配列方向と分布は、図6の(0001)極点図を通じて確認することができるので、図6には、図5に表示された結晶の配列方式A、B、C、Dによる(0001)極点図上での極点配置が示されている。
【0058】
図1ないし図3に示された本発明の一実施形態による非対称圧延装置を用いて圧延を実施する場合、このようなマグネシウムまたはマグネシウム合金の結晶の配列が成形性が有利になるように配置される。具体的に、本発明の一実施形態による非対称圧延方法は、第1面104a及び第2面104bを含む被圧延材104を第1ロール101及び第2ロール102の間に配置し、第1ロール101及び第2ロール102の回転角速度を互いに異なるように調節して、第1ロール101によって被圧延材104の第1面104a及び第2面104bのうちの何れか1面、一例として、第1面104aに印加されるせん断ひずみと前記第2ロール102によって、前記第1面104a及び第2面104bのうちの他面、一例として、第2面104bに印加されるせん断ひずみが互いに異なるように制御して、被圧延材104を圧延することができる。
【0059】
この際、一例として、第1ロール101及び第2ロール102の回転線速度を同様に保持しながら、被圧延材104を圧延することができる。
【0060】
また、被圧延材104は、マグネシウム合金として合金名AZ31を含み、以下、被圧延材としてAZ31合金を例示する。
【0061】
一方、本発明のさらに他の一実施形態による非対称圧延方法は、同じ被圧延材を複数の回数にわたって圧延する方法を含む。このような複数の回数にわたった圧延方法は、被圧延材に適正レベルに調節された圧下量を順次に印加することによって、急な圧下量を印加した場合に表われる問題点を防止するために実施されうる。
【0062】
この際、複数の回数は、作業ロールによって圧延された被圧延材を再び同じ作業ロールに投入するか、複数個備えられた作業ロールを被圧延材が通過することによって、被圧延材の総圧延回数が2回以上になることを意味するものであって、この際、圧延された被圧延材が、前記作業ロールに投入される過程が連続的な場合と断続的な場合とをいずれも含む。
【0063】
また、複数の回数は、被圧延材が、前記圧延装置の作業ロールから物理的に離脱された後、再び投入されるものだけではなく、被圧延材が作業ロールの間に依然として配された状態で作業ロールの回転方向が反対になることによって、再び作業ロールの間に投入される場合も含む。
【0064】
この際、場合によって、複数の回数を構成する各回当たり圧延遂行を“パス(pass)”と名付けることができる。
【0065】
図7には、図2に例示された圧延装置を用いて第1ロール101及び第2ロール102が同じ回転線速度を有するように制御しながら、AZ31合金を5回圧延した場合の(0001)極点図が示されている。この際、AZ31合金の圧下率は、75%であり、圧延温度は、300℃であった。5回にわたった圧延は、同じ圧延方向に被圧延材であるAZ31の第1面104a及び第2面104bが、それぞれ第1ロール101及び第2ロール102に接触されて、せん断ひずみを印加されるように設定されたものであった。図7の下部図面は、第1ロール101によってせん断ひずみを受けた第1面104aの(0001)極点図であり、上部図面は、第2ロール102によってせん断ひずみを受けた第2面104bの(0001)極点図である。
【0066】
図7に示したように、本発明の一実施形態による非対称圧延方法の場合、(0001)極点図上で稠密充填六方晶の基底面、すなわち、(0001)面の結晶方向が中心から確実に外れているということが分かる。具体的に、第1ロール101によってせん断ひずみを受けた第1面104aで基底面極点の回転角度(すなわち、中心から外れた角度)は、約15°であり、第2ロール102によってせん断ひずみを受けた第2面104bでは、約6°であった。
【0067】
比較例として、図8ないし図10には、作業ロールが同じ直径を有する従来の圧延装置を用いて、マグネシウム合金AZ31を圧延した後の極点図を示した。
【0068】
図8の極点図は、圧下率を75%にし、圧延温度を300℃に保持しながら、被圧延材であるAZ31合金の第1面及び第2面が、それぞれ第1ロール及び第2ロールに接触されて、せん断ひずみを印加されるように設定した後、複数の回数にわたって圧延した後の(0001)極点図結果である。具体的に、図8の(a)は、圧延1回当り圧下量を10%にして、12回圧延した後、図8の(b)は、圧延1回当り圧下量を20%にして、6回圧延した後、図8の(c)は、圧延1回当り圧下量を30%にして、4回圧延した後の極点図を示したものである。図8の(a)ないし図8の(c)に示したように、あらゆる条件で極点は10%以上の最大極強度を有し、いずれも中心に集まっているということが分かる。
【0069】
さらに他の比較例である図9の(a)ないし図9の(c)の極点図は、圧延温度を200℃に保持しながら圧延を行ったAZ31合金から得たものであって、圧下量が、それぞれ50%、30%、15%であった。図9の(a)ないし図9の(c)に示したように、やはり基底面の極点は、12%以上の最大極強度を有し、いずれも中心に集まっているということが分かる。
【0070】
このような結果から、第1ロール及び第2ロールのサイズが、同一の従来の圧延装置で圧延を行った場合、圧下量または圧延温度を変化させても、基底面の極点が中心に集まり、したがって、発明の一実施形態によって圧延されたAZ31合金の集合組職は、従来の同じ直径を有する圧延ロールを用いて圧延したAZ31合金に比べて、成形性が顕著に向上する方向に配列されるということが分かる。
【0071】
一方、図10の(a)ないし図10の(c)には、同じ直径を有する作業ロールのうちの何れか1つのロールの回転線速度を他の何れか1つのロールの回転線速度に比べてさらに大きく保持し、圧延を行う従来の異周速圧延方法によって圧延されたAZ31合金の(0001)極点図が示されている。この際、異なる回転線速度を有する両ロールの回転線速度の比は、3:1に保持され、圧延温度は、200℃であり、圧下量は、図10の(a)ないし図10の(c)で、それぞれ70%、30%、15%であった。図10の(a)ないし図10の(c)の下部図面は、迅速に回転したロールによってせん断ひずみを受けた面の(0001)極点図であり、上部図面は、遅く回転したロールによってせん断ひずみを受けた面の(0001)極点図である。
【0072】
このような異周速圧延を行った場合にも、圧下量及び両ロールの回転線速度の差に関係なく、図7と比較する時、結晶の防衛が中心側に集まっており、図7に示されたように、基底面の極点が顕著に中心から移動した結果は表われないということが分かる。
【0073】
これにより本発明の一実施形態による非対称圧延方法によって圧延されたAZ31合金は、比較例のように、同じ直径を有した圧延ロールを用いて圧延したAZ31合金に比べて、基底面の結晶方向が格段に優れた成形性を有しうる方向に配列されることが分かる。
【0074】
また、同じ直径を有した作業ロールを利用した異周速圧延の場合には、両ロールの回転線速度の差によって、圧延中に被圧延材の滑り現象によって、実際圧延ロールから被圧延材にせん断ひずみが印加されていない場合が発生し、圧延ロールを抜け出す被圧延材が反るか、または表面が粗くなる問題点がある。
【0075】
一方、本発明の一実施形態による非対称圧延方法による場合には、両ロールの直径差に起因した非対称せん断ひずみの印加が、両ロールが同じ回転線速度を有する過程中になされることによって、非対称圧延であるにも被圧延材が滑る現象が発生せず、異周速圧延でのような被圧延材の反り現象や表面が粗くなる問題が発生していない。
【0076】
一方、本発明の他の一実施形態による非対称圧延方法による場合、第1ロール101及び第2ロール102の回転角速度は、下記の数式1と定義される回転線速度の差が、10%以下になるように制御することができる。
【数2】

υ:第1ロールの回転線速度
υ:第2ロールの回転線速度
【0077】
この際、互いに異なる直径を有する第1ロール101及び第2ロール102の前記の数式と定義される回転線速度の差が、10%より大きな場合、両圧延ロールを抜け出す被圧延材が、応力不均衡などで反るなどの問題点が発生する恐れがある。
【0078】
一方、複数の回数で構成された非対称圧延方法の一実施形態として、被圧延材104の第1ロール101及び第2ロール102からせん断ひずみを印加される面を変えて、圧延する回数を少なくとも1回含み、2回以上被圧延材を圧延する方法を含む。
【0079】
例えば、図11に示したように、圧延方向を同一にし、圧延の第1パス時には、第1ロール101と第2ロール102とに被圧延材104の第1面104a及び第2面104bが、それぞれ接触するように被圧延材104を配置させて圧延した後、連続して同一被圧延材104の第1面104aが、第2ロール102に接触され、第2面104bが、第1ロール103に接触するように被圧延材104をひっくり返して圧延の第2パスを実施することができる。
【0080】
この際、2パス以上の複数のパスは、同じ圧延ロールで一括型(batch type)に行われ、あるいは各パスを担当する互いに異なる複数の圧延ロールでそれぞれ行われる。
【0081】
この場合、第1ロール101及び第2ロール102の直径差によって、非対称的に印加されるせん断ひずみが交互に第1面104a及び第2面104b面に印加されることによって、圧延の第1パス及び第2パスのうち、各面に印加されたせん断ひずみが一定レベルに平均化される効果が得られる。圧延の回数は、目的する圧下量によって、2回以上実施し、この際、互いに被圧延材の第1面及び第2面が、上下に交互に圧延される段階が含まれているならば、その回数や交番周期は制限がない。
【0082】
図12には、被圧延材であるAZ31合金を300℃の圧延温度で1回を周期で圧延面を上下に交互に総5パスの圧延(圧下率が75%)を行った場合の(0001)極点図が示されている。基底面の回転角度は、約17°であって、図8ないし図10に示された極点図に比べて、格段に高い値を有するということが分かる。
【0083】
一方、本発明のさらに他の一実施形態による圧延方法は、圧延方向を互いに異ならせながら、複数の回数にわたって圧延する方法をいずれも含む。
【0084】
例えば、図13に示されているように、圧延の第1パス時には、第1ロール101及び第2ロール102の間に被圧延材104のA方向が先に投入されるように、被圧延材104の圧延方向を設定した後、連続して同一被圧延材104の第1面104a及び第2面104bは、第1パス時と同様に保持した後、両圧延ロールに投入される方向のみ180°変更させて、被圧延材104のB方向が先に投入されるように設定する方法である。
【0085】
図14には、被圧延材であるAZ31合金を300℃の圧延温度で1回周期で圧延方向を180°交互に総5パスの圧延(圧下率が75%)を行った場合の(0001)極点図が示されている。図14の下部図面は、第1ロール101によってせん断ひずみを受けた第1面104aの(0001)極点図であり、上部図面は、第2ロール102によってせん断ひずみを受けた第2面104bの(0001)極点図である。図14に示したように、第1ロール101によってせん断ひずみを受けた第1面104aで、回転角度は、約5°であり、第2ロール102によってせん断ひずみを受けた第2面104bでは、約17°であった。これにより図8ないし図10に示された極点図に比べて、格段に高い回転角度を示すということが分かった。
【0086】
圧延方向を互いに異ならせながら、複数の回数にわたって圧延する方法をさらに他の例として、図13のように、被圧延材が、前記圧延装置の作業ロールから物理的に離脱された後、再び投入されるものだけではなく、被圧延材が作業ロールの間に依然として配された状態で作業ロールの回転方向が反対になることによって、再び作業ロールの間に投入される場合も含む。
【0087】
前述した圧延装置及び圧延方法は、前記でマグネシウムまたはマグネシウム合金以外にも、圧延材の集合組職を制御する如何なる材料にも適用できるということは言うまでもない。例えば、チタン(Ti)またはチタン合金を含む稠密充填六方晶結晶構造を有した金属材料を被圧延材にするか、アルミニウム、アルミニウム合金を含む金属材料または圧延材の結晶方向が磁気的性質に影響を与えるFe−Si合金にも被圧延材に含まれうる。
【0088】
前述した実施形態は、本発明を限定するものではなく、例証するものであり、当業者ならば、添付した請求項によって定義された本発明の範囲から外れず、多くの他の実施形態を設計することができる。このような本発明の技術が、当業者によって容易に変形実施される可能性が自明であり、このような変形された実施形態は、本発明の特許請求の範囲に記載の技術思想に含まれると言わなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、非対称圧延装置、非対称圧延方法及びそれを用いて製造された圧延材関連の分野に適用可能である。
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14