特許第5775892号(P5775892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 京セラドキュメントソリューションズ株式会社の特許一覧

特許5775892画像形成装置及びリフレッシュプログラム
<>
  • 特許5775892-画像形成装置及びリフレッシュプログラム 図000002
  • 特許5775892-画像形成装置及びリフレッシュプログラム 図000003
  • 特許5775892-画像形成装置及びリフレッシュプログラム 図000004
  • 特許5775892-画像形成装置及びリフレッシュプログラム 図000005
  • 特許5775892-画像形成装置及びリフレッシュプログラム 図000006
  • 特許5775892-画像形成装置及びリフレッシュプログラム 図000007
  • 特許5775892-画像形成装置及びリフレッシュプログラム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775892
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】画像形成装置及びリフレッシュプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   G03G15/08 310
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-36329(P2013-36329)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-164189(P2014-164189A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】竹内 直樹
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−037192(JP,A)
【文献】 特開2009−092903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成時にトナーを担持して像担持体に供給しトナー像を形成させるトナー担持体を備え、非画像形成時に前記トナー担持体側から前記像担持体側へトナーを吐出するリフレッシュを行う画像形成装置であって、
前記像担持体上に画像幅方向に分割された複数の領域を設定する領域設定部と、
前記複数の領域毎に前記画像形成時の印字率を検出する印字率検出部と、
前記検出された印字率に基づいて前記トナー吐出の要否を各領域について決定する吐出領域決定部と、
前記トナー吐出が必要と判断された領域を、その後の画像形成時の印字率を各別に検出させる複数の領域に再分割する領域再分割部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像形成装置であって、
前記トナー吐出が必要な領域に対して前記トナー吐出を実行する吐出実行部を備え、
前記領域再分割部は、前記トナー吐出が実行された領域に対して前記再分割を行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像形成装置であって、
前記吐出領域決定部は、前記検出された印字率がリフレッシュ用閾値を下回る領域を前記トナー吐出が必要な領域として決定する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置であって、
前記トナー吐出が不要な領域が複数隣接する場合に、それらの領域を結合する領域結合部を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4記載の画像形成装置であって、
前記吐出領域決定部は、前記トナー吐出が不要な領域から前記検出された印字率が結合用閾値を越える場合に前記結合の対象とし、
前記領域結合部は、前記結合の対象となった領域が複数隣接する場合に、それらの領域を結合する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の画像形成装置であって、
前記領域の再分割又は結合後に印字率の傾向が変化した場合に前記領域の再分割又は結合をリセットする領域リセット部を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6記載の画像形成装置であって、
前記領域リセット部は、前記領域の再分割又は結合を全領域の平均印字率の変化量が許容変化幅を越えたときに前記リセットを行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7記載の画像形成装置であって、
前記領域リセット部は、前記平均印字率の変化量が許容変化幅の範囲内であっても、少なくとも前記領域の何れか一つの変化量が領域単位の許容変化幅を越えて変化した場合に前記リセットを行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
画像形成時にトナーを担持して像担持体に供給しトナー像を形成させるトナー担持体を備えた画像形成装置に対し、非画像形成時に前記トナー担持体側から前記像担持体側へトナーを吐出するリフレッシュを行うリフレッシュプログラムであって、
前記像担持体上に画像幅方向に分割された複数の領域を設定する領域設定機能と、
前記複数の領域毎に前記画像形成時の印字率を検出する印字率検出機能と、
前記検出された印字率に基づいて前記トナー吐出の要否を各領域について決定する吐出領域決定機能と、
前記トナー吐出が必要と判断された領域を、その後の画像形成時の印字率を各別に検出させる複数の領域に再分割する領域再分割機能と、
をコンピューターに実現させることを特徴とするリフレッシュプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非画像形成時にトナー担持体側から像担持体側へトナーを吐出するリフレッシュを行う画像形成装置及びリフレッシュプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター等の画像形成装置においては、現像装置内のトナーを現像ローラー(トナー担持体)に担持して感光ドラム(像担持体)に供給し、現像を行わせるようになっている。
【0003】
このような画像形成装置では、形成される画像上の印字率が低いと、現像に用いられるトナーが少ないので現像装置内でのトナーの入れ替わりが少なくなる。これが連続すると、現像装置内でトナーが過剰に帯電し、画像濃度低下やカブリが発生して画像品質を低下させることがあった。
【0004】
これに対し、トナー自体の改良がなされてきているものの、画像品質の低下を確実に抑制するまでには至っていないのが現状である。
【0005】
一方、現像装置内のトナーを強制排出してリフレッシュする技術も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0006】
しかし、この技術では、トナー消費量が感光ドラムの画像幅方向に偏りがある場合でも一律にリフレッシュが行われることから、十分なトナー消費量がある部分等にも余計なリフレッシュが行われてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−75438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする問題点は、トナー消費量が画像幅方向に偏りがある場合に余計なリフレッシュが行われる点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、トナー消費量が画像幅方向に偏りがある場合に余計なリフレッシュを抑制するため、画像形成時にトナーを担持して像担持体に供給しトナー像を形成させるトナー担持体を備え、非画像形成時に前記トナー担持体側から前記像担持体側へトナーを吐出するリフレッシュを行う画像形成装置であって、前記像担持体上に画像幅方向に分割された複数の領域を設定する領域設定部と、前記複数の領域毎に前記画像形成時の印字率を検出する印字率検出部と、前記検出された印字率に基づいて前記トナー吐出の要否を各領域について決定する吐出領域決定部と、前記トナー吐出が必要と判断された領域を、その後の画像形成時の印字率を各別に検出させる複数の領域に再分割する領域再分割部とを備えたことを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、像担持体上での画像幅方向に分割された複数の領域毎に印字率に基づくトナー吐出の要否を決定するから、必要な領域についてのみトナー吐出を行わせて余計なリフレッシュを抑制できる。
【0011】
しかも、トナー吐出が必要な領域については、その後に行われる印字率に基づくトナー吐出の要否を再分割された領域に対して細かく決定することができ、より確実に余計なリフレッシュの抑制が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像形成装置の概略構成図である(実施例1)。
図2図1の画像形成装置の現像装置の概略断面図である(実施例1)。
図3図1の画像形成装置に用いられる制御部を示すブロック図である(実施例1)。
図4】領域毎の印字率の一例を示す概念図である(実施例1)。
図5】領域の再分割及び結合の一例であり、(a)は再分割及び結合前の分割領域の概念図、(b)は(a)の分割領域をその印字率等と共に示す概念図、(c)は再分割及び結合後の分割領域をその印字率等と共に示す概念図である(実施例1)。
図6図3の制御部によるリフレッシュ処理を示すフローチャートである(実施例1)。
図7】画像形成装置に用いられる制御部を示すブロック図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
トナー消費量が画像幅方向に偏りがある場合に余計なリフレッシュを抑制するという目的を、像担持体上での複数の領域毎に印字率に基づくトナー吐出の要否を決定し、且つトナー吐出の必要な領域を複数の領域に再分割することで実現した。
【実施例1】
【0014】
[画像形成装置の概略構成]
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成装置の概略構成図である。
【0015】
本実施例の画像形成装置1は、例えばプリンターやデジタル複合機等からなり、少なくとも印刷(画像形成)を行うと共に非印刷時(非画像形成時)にトナーの吐出によるリフレッシュを行う。なお、リフレッシュについては、図3の制御部57の構成と共に後述する。
【0016】
印刷の際は、図1のように、給紙機構3からの用紙Pが用紙搬送路5によって排出トレイ7へ搬送され、この搬送中に転写部9及び定着部11によって用紙P上にトナー像が転写され定着するようになっている。
【0017】
転写部9は、像担持体としての感光ドラム13と、中間転写ベルト15と、転写ローラー17とを備えている。
【0018】
感光ドラム13は、例えば回転自在なアルミドラムに、アモルファスシリコン感光体や有機感光体(OPC感光体)等の感光層が積層されている。感光ドラム13は、帯電ユニット19により表面が帯電し、露光ユニット21からレーザビームを照射されることで静電潜像が形成される。なお、レーザービームの照射は、パーソナルコンピュータ等から入力された原稿画像データに基づいて行われる。この感光ドラム13に、現像ユニット23からトナーが供給されてトナー像が形成(現像)される。
【0019】
現像ユニット23は、現像装置とトナー容器が一体化されたカートリッジ式であり、本実施例でイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の現像装置23a、23b、23c、23dを備えている。現像装置23a〜23dへのトナー補給(トナーインストール)は、トナーカートリッジ25から補給パイプ25aを介して行われる。
【0020】
現像装置23a〜23dは、感光ドラム13に対向する位置に順次回転移動し、感光ドラム13上の静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。形成されたトナー像は、感光ドラム13から中間転写ベルト15に転写される(一次転写)。なお、トナー像の転写後には感光ドラム13上の表面に残留したトナーがクリーニングローラー27a及びクリーニングブレード27bにより除去される。
【0021】
中間転写ベルト15は、誘電体樹脂製のシートからなり、駆動ローラー29及び従動ローラー31間に掛け回されている。この中間転写ベルト15は、中間転写ローラー33a,33bによって感光ドラム13に当接する。
【0022】
中間転写ローラー33a,33bは、負極性の転写バイアス(正帯電トナーを用いる場合)が印加され、感光ドラム13から中間転写ベルト15上へトナー像を転写させる。これが各色において行われることで、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト15に転写されることになる。フルカラーのトナー像は、中間転写ベルト15と転写ローラー17との間で用紙Pに対して転写される(二次転写)。
【0023】
転写ローラー17は、負極性の転写バイアスが印加されており、中間転写ベルト15との間で用紙Pを挟み込む。これにより、中間転写ベルト15から用紙P上へトナー像を転写させることになる。転写ローラー17の下流側には、中間転写ベルト15表面の残留トナーを除去するベルトクリーニングブレード35が配置されている。
【0024】
図2は、図1の画像形成装置の現像装置の断面図である。なお、以下の説明では、図1の現像装置23aの構成及び動作について説明するが、現像装置23b〜23dの構成及び動作については基本的に同様であるので説明は省略する。
【0025】
現像装置23aは、図2のように、樹脂製の現像容器37内にトナー撹拌部39とトナー供給部41とが設けられている。トナー撹拌部39は、トナーを収納すると共に回転する撹拌パドル43によってトナー供給部41へ供給する。
【0026】
トナー供給部41は、トナー撹拌部39に対し区画壁45によって区画されている。区画壁45には、開口部47a,47bが形成され、一方の開口部47aからトナー供給部41へのトナーの供給を行わせる。他方の開口部47bは、トナー供給部41内の余剰となったトナーをトナー撹拌部39に戻す。
【0027】
このトナー供給部41内には、供給ローラー49及び現像ローラー51が設けられている。供給ローラー49は、一方の開口部47aに対応して設けられ、回転により現像ローラー51にトナーを供給する。
【0028】
現像ローラー51は、トナーを担持するトナー担持体であり、回転により対向する感光ドラム13側にトナーを供給する(図1参照)。この現像ローラー51と現像容器37との間には、規制部材53及びシール部材55が設けられている。
【0029】
規制部材53は、現像ローラー51上のトナーの層厚を規制すると共に摩擦帯電を行い、感光ドラム13上への現像を可能とする。シール部材55は、現像ローラー51と現像容器37との間を封止してトナー漏れを防止している。
【0030】
このような現像装置23aでは、トナー撹拌部39内のトナーが、撹拌パドル43の回転により開口部47aを通過してトナー供給部41へ送られる。トナー供給部41側へ送られたトナーは、供給ローラー49により現像ローラー51へ運ばれ、規制部材53で薄層規制された後に感光ドラム13上の静電潜像を現像する。
【0031】
現像後に現像ローラー51上に残ったトナーは、シール部材55を通過後、供給ローラー49により剥離されてトナー供給部41内に戻される。トナー供給部41内は、戻されたトナーと新たに供給されるトナーとが収容されるが、余剰となったトナーは、区画壁45の開口部47bからトナー撹拌部39に戻されることになる。
[制御部の構成]
図3は、図1の画像形成装置の制御部を示すブロック図である。
【0032】
本実施例の画像形成装置1は、制御部57によって動作制御され、上記印刷動作の他、非印刷時のリフレッシュを行う。
【0033】
制御部57は、CPU(Central Processing Unit)59、ROM(Read Only Memory)61、RAM(Random Access Memory)63等を備えて構成されている。
【0034】
CPU59は、プログラムの実行により、所定の処理を実行する演算処理装置である。ROM61は、プログラム等を記憶する不揮発性のメモリー(記憶装置)である。RAM63は、プログラムを実行する際に、そのプログラムや各種データを一時的に記憶する作業領域としてのメモリー(記憶装置)である。
【0035】
本実施例においては、CPU59がROM61内のリフレッシュプログラムを実行することで、領域設定部64、印字率検出部65、吐出領域決定部67、吐出実行部69、領域再分割部71、領域結合部73として機能する。なお、印刷動作の制御は、周知のプログラム及びそれによる機能によって実現可能であるから説明を省略する。
【0036】
領域設定部64は、領域設定機能を実現するものであり、感光ドラム13上に現像領域の幅方向(画像幅方向)で分割された複数の領域を設定する。図4に分割された領域の一例を示す。図4では、画像幅方向で等分割された8つの領域R1〜R8が設定されている。なお、領域の分割数は、任意であり、画像形成装置1の操作パネル等から変更することも可能である。
【0037】
印字率検出部65は、印字率検出機能を実現するものであり、感光ドラム13上での複数の領域毎に印刷時の印字率を検出する。領域毎の印字率の検出は、直前の印刷時の印字率を逐次検出していき、リフレッシュが実行されるまで集計することで行う。
【0038】
なお、印字率は、画像形成可能な面積(用紙面積)に対する印字される面積の割合をいう。印字は、画像形成を意味し、文字に限られるのではなく、写真やグラフィック画像も含む。
【0039】
図4の例では、領域R1及びR8の印字率が0%、領域R2〜R5の印字率が5.75%、領域R6の印字率が0.7%、領域R7の印字率が0.3%となっている。
【0040】
吐出領域決定部67は、吐出領域決定機能を実現するものであり、検出された印字率に基づいて、トナー吐出の要否を各領域について決定する。
【0041】
具体的には、印字率検出部65で検出された領域毎の印字率を基準印字率(リフレッシュ用閾値)と比較し、基準印字率以下の領域をトナー吐出が必要な領域として決定する。例えば図4の場合は、基準印字率C1=1.5%とすると、領域R1,R6〜R8がトナー吐出が必要な領域となる。
【0042】
トナー吐出の要否を行うタイミング(リフレッシュのタイミング)は、特に限定されないが、例えば印刷枚数が所定数を越えたとき、トナー使用量が所定量を越えたとき、或いは領域毎の最も高い印字率と最も低い印字率との差が所定値以上となったとき等とすることができる。
【0043】
吐出領域決定部67は、トナー吐出の要否と共に吐出量も決定する。吐出量は、例えばトナー吐出による印字長さとして決定される。この場合は、基準印字率C1に対して不足する印字率に、感光ドラム13上での現像領域の長さ(周方向長さ)を乗じることで決定することができる。
【0044】
すなわち、n番目の領域Rnに対する印字長さをLnとし、同印字率をbnとし、周方向長さをL0とすると、Ln=L0×(C1−bn)/100によって算出できる。
【0045】
図4の場合は、基準印字率C1を1.5%、周方向長さを297mm(A4サイズ)とすると、領域R1及びR8で印字長さL11及びL81が約4.46mm、領域R6で印字長さL16が約2.38mm、領域R7で印字長さL71が約3.56mmとなる。これら全体で図4のトナー吐出パターンT1が設定される。
【0046】
吐出実行部69は、吐出実行手順を実現するものであり、トナー吐出が必要な領域に対してリフレッシュとしてのトナー吐出を実行する(「トナー吐出」を「リフレッシュ」と称することがある)。本実施例では、図1の感光ドラム13、帯電ユニット19、露光ユニット21、及び現像ユニット23等を制御して、感光ドラム13上にトナー吐出パターンを吐出させる。
【0047】
このトナー吐出によるリフレッシュ後には、領域再分割部71及び領域結合部73によって、本実施例の領域の再分割及び結合が行われる。
【0048】
図5は、領域の再分割及び結合の一例であり、(a)は再分割及び結合前の分割領域の概念図、(b)は(a)の分割領域をその印字率等と共に示す概念図、(c)は再分割及び結合後の分割領域をその印字率等と共に示す概念図である。
【0049】
なお、図5の例では、図5(a)のように、総ドット数が約4800万(A4サイズ)の場合に、デフォルト設定として画像幅方向で5つの領域R11〜R15に等分割してリフレッシュチェック領域として管理している。なお、リフレッシュチェック領域は、リフレッシュのための印字率が検出される領域である。
【0050】
また、この例では、20枚印刷する毎にリフレッシュを行っており、その際に印字率が5%(リフレッシュ用閾値)以下である領域が吐出領域決定部67によりトナー吐出の必要な領域として決定される。
【0051】
具体的には、図5(b)及び図5(c)間並びに図5(c)の後にリフレッシュが行われており、図5(b)において領域R11がトナー吐出の必要な領域として決定され、図5(c)において領域R11−2がトナー吐出の必要な領域として決定されている(図5(b)及び図(c)の「リフレッシュ対象」)。
【0052】
領域再分割部71は、そのようなリフレッシュの際のトナー吐出の必要な領域を複数の領域に再分割する。領域の再分割は、その対象となる領域(トナー吐出の必要な領域)をリフレッシュしてから行う。従って、本実施例の領域再分割部71は、吐出実行部69によりトナー吐出が実行された領域に対して再分割を行う。
【0053】
図5の例では、図5(b)の印字率5%以下の領域R11が図5(c)のように領域R11−1及びR11−2に再分割されている。なお、領域の再分割は、画像幅方向での2分割となっているが、分割元となる領域の印字率や領域幅等に応じて3分割以上としてもよい。
【0054】
再分割された領域は、その後のリフレッシュのための印字率の検出が印字率検出部65によって各別に行われる。図5の例では、図5(c)のように分割された領域R11−1及びR11−2の印字率が他の領域と共に検出されている。印字率が5%以下である領域R11−2は、トナー吐出の必要な領域として次のリフレッシュ後に再分割されることになる。
【0055】
なお、領域の再分割は、リフレッシュとは切り離して行うことも可能である。例えば、吐出領域決定部67がリフレッシュよりも短い周期でトナー吐出が必要になる領域を決定し、その周期毎に決定された領域を領域再分割部71が逐次再分割してもよい。
【0056】
領域結合部73は、領域結合機能を実現し、トナー吐出が不要(リフレッシュが不要)な領域が複数隣接する場合に、それらの領域を結合する。
【0057】
本実施例では、吐出領域決定部67がトナー吐出が不要な領域の中から印字率が結合用閾値を越える領域を結合対象とする。ただし、トナー吐出が不要な領域を全て結合対象としてもよい。結合用閾値は、任意に設定することができ、本実施例では、全領域の平均印字率となっている。領域結合部73は、結合対象となった領域が複数隣接する場合に、それらの領域を一つの領域として結合する。
【0058】
図5の例では、図5(b)のように全領域の平均印字率(結合用閾値)が10%であるから、10%以上の印字率を有して隣接する領域R13及びR14が結合対象となっている(図5(b)の「まとめ対象」)。これらの領域R13及びR14が、図5(c)のように領域R16に結合されている。
【0059】
なお、領域R14に隣接する領域R15も印字率が10%以上であるが、相対的に高い印字率の二つの領域R13及びR14を優先して結合し、相対的に低い印字率の領域R15を結合から除外している。ただし、領域R13〜R15の全てを結合しても良い。
【0060】
結合された領域は、再分割された領域と同様に、その後のリフレッシュのための印字率の検出が印字率検出部65によって行われる。図5の例では、図5(c)のように結合された領域R16の印字率が他の領域と共に検出され、印字率が10%以上の隣接する領域R16及びR15が次のリフレッシュ後に結合される。
【0061】
なお、領域の結合の際は、その対象となる領域をリフレッシュしないが、領域の再分割と同時期に行うのが好ましい。
[リフレッシュ処理]
以下、本実施例の画像形成装置1によるリフレッシュ処理について図5と共に図6を参照して説明する。
【0062】
図6は、図3の制御部によるリフレッシュ処理を示すフローチャートである。なお、リフレッシュ処理は、現像ユニット23の現像装置23a〜23dの一つに対して行うものであるが、他の現像装置に対しても同様にして行われる。
【0063】
本実施例のリフレッシュ処理は、図5の例において図5(b)と図5(c)との間で行われるもので、印刷終了後に図6のフローチャートが開始される。
【0064】
まず、ステップS1では、「領域毎の印字率の検出」が行われる。この処理では、印字率検出部65が直前の印刷による印字率を領域毎に検出する。本実施例では、図5(b)のように、5つの領域R11〜R15の各印字率を検出する。
【0065】
こうしてステップS1が完了すると、ステップS2へ移行する。
【0066】
ステップS2では、「リフレッシュ開始?」の処理が行われる。この処理では、リフレッシュの開始条件を満たしているか否かが判断される。開始条件は、図5の例において印刷枚数が20枚となった場合である。この処理は、例えば吐出領域決定部67に行わせることができ、吐出領域決定部67が上述の開始条件からトナー吐出の要否を決定するか否かを判断する。
【0067】
リフレッシュを開始する場合はステップS3へ移行し(YES)、開始しない場合はリフレッシュ処理が終了する(NO)。
【0068】
ステップS3では、「リフレッシュ対象領域あり?」の処理が行われる。すなわち、吐出領域決定部67は、領域毎に算出された印字率がリフレッシュ用閾値(基準印字率)以下か否かを判断する。
【0069】
印字率がリフレッシュ用閾値以下の領域があれば、リフレッシュ(トナー吐出)が必要な領域と判断されて、処理がステップS4へ移行する(YES)。一方、印字率がリフレッシュ用閾値以下の領域がなければ、ステップS7へ移行する(NO)。
【0070】
図5の例では、上述したようにリフレッシュ用閾値が5%であるから、図5(b)の領域R11がリフレッシュが必要な領域となってステップS4へ移行することになる。
【0071】
ステップS4では、「吐出量の算出」の処理が行われる。すなわち、吐出領域決定部67は、リフレッシュが必要な領域に対してトナー吐出量である印字長さを算出する。本実施例では、図4で説明したのと同様にして図5(b)の領域R11に対するトナー吐出パターンが設定される。
【0072】
こうしてステップS4が完了すると、ステップS5へ移行する。
【0073】
ステップS5では、「リフレッシュ実行」が行われる。この処理では、吐出実行部69が現像ローラー51から感光ドラム13上にトナー吐出パターンを吐出させる。なお、トナー吐出は、図5(b)の領域R11から隣接する領域R12にはみ出すように設定してもよい。この場合、領域R11の隣接領域に対する境界上でのトナーの載りを向上させて確実なリフレッシュが可能となる。
【0074】
こうしてステップS5が完了すると、ステップS6へ移行する。
【0075】
なお、感光ドラム13上のトナー吐出パターンは、クリーニングローラー27a及びクリーニングブレード27bで除去し、或いは中間転写ベルト15に一次転写した後にベルトクリーニングブレード35で除去すればよい(図1参照)。
【0076】
ステップS6では、「領域の再分割」が行われる。この処理では、領域再分割部71がリフレッシュされた領域を画像幅方向に二つの領域に再分割する。図5の例では、図5(b)の領域R11を図5(c)のように二つの領域R11−1及びR11−2に再分割する。
【0077】
こうしてステップS6が完了すると、ステップS7へ移行する。
【0078】
ステップS7では、「結合対象領域あり?」の処理が行われる。すなわち、吐出領域決定部67は、リフレッシュが不要と判断された領域の印字率が、結合用閾値としての平均印字率以上である否かを判断する。
【0079】
平均印字率以上の領域がある場合はステップS8へ移行し(YES)、その領域がない場合は本リフレッシュ処理が終了する。
【0080】
図5の例では、図5(b)のように平均印字率である10%以上の印字率を有する領域R13〜R15があるので、それが結合対象となってステップS8へ移行する。
【0081】
ステップS8では、「結合可能?」の処理が行われる。この処理では、領域結合部73により結合対象となった領域が複数隣接するか否かを判断する。
【0082】
結合対象となった領域が複数隣接する場合はステップS9へ移行し、結合対象となった領域が複数隣接しない場合は本リフレッシュ処理が終了する。
【0083】
図5の例では、結合対象となった領域R13〜R15が複数隣接しているため、ステップS9へ移行する。
【0084】
ステップS9では、「領域結合」の処理が行われる。この処理では、領域結合部73により隣接する結合対象の領域を結合する。図5の例では、領域R13〜R15の中から相対的に高い印字率の二つの領域R13及びR14を優先して一つの領域R16として結合する。これにより、本リフレッシュ処理が終了する。
【0085】
本リフレッシュ処理が終了した後は、次のリフレッシュのために図6のフローチャートが繰り返されることになる。それによって、図5の例では、図5(c)のように、領域R11−2が再分割され、領域R16及びR15が結合されることになる。
[実施例1の効果]
本実施例は、画像形成(印刷)時にトナーを担持して感光ドラム13に供給しトナー像を形成させる現像ローラー51を備え、非画像形成時に現像ローラー51側から感光ドラム13側へトナーを吐出するリフレッシュを行う画像形成装置1であって、感光ドラム13上に画像幅方向に分割された複数の領域R11〜R15を設定する領域設定部64と、複数の領域R11〜R15毎に画像形成時の印字率を検出する印字率検出部65と、検出された印字率に基づいてトナー吐出の要否を各領域について決定する吐出領域決定部67と、トナー吐出が必要と判断された領域R11を、その後の画像形成時の印字率を各別に検出させる複数の領域R11−1及びR11−2に再分割する領域再分割部71とを備える。
【0086】
従って、本実施例では、画像幅方向の複数の領域R11〜R15毎に印字率に基づいてトナー吐出の要否が決定されるため、必要な領域についてのみリフレッシュを行うことができる。
【0087】
結果として、本実施例では、印刷部分に印字率の偏りがある場合でも、現像ローラー51上のトナー消費量を画像幅方向において均一化することができる。
【0088】
しかも、リフレッシュ(トナー吐出)が必要な領域R11については、その後の印字率が各別に検出される複数の領域R11−1及びR11−2に再分割されるので、印字率に基づくトナー吐出の要否を再分割された領域に対して細かく決定することができる。
【0089】
このため、より確実に余計なリフレッシュの抑制が可能になると共に必要な領域には適切にリフレッシュを行うことが可能となる。
【0090】
例えば、用紙の端部には印字されることが少ないが、若干内側に入った部分に枠線等のパターンが位置することがある。それらの用紙の端部とパターンが同一の領域に存在する場合は、領域の再分割が行われないと、用紙の端部に対応する部分のリフレッシュが行われないおそれやパターンに対応する部分の不要なリフレッシュが行われるおそれがある。
【0091】
本実施例では、領域の再分割によって、そのような不具合を確実に抑制することができる。
【0092】
さらに、本実施例では、より細かいリフレッシュチェックが必要になる部分のみを再分割によって細分化するので、全領域を予め細分化しておく場合と比較して、処理速度を向上することができる。
【0093】
本実施例の画像形成装置1は、リフレッシュが必要な領域R11に対してリフレッシュを実行する吐出実行部69を備え、領域再分割部71がトナー吐出が実行された領域R11に対して再分割を行う。
【0094】
このため、本実施例では、リフレッシュ周期でリフレッシュが必要な領域を確実に再分割することができる。
【0095】
吐出領域決定部67は、検出された印字率がリフレッシュ用閾値を下回る領域をリフレッシュが必要な領域として決定する。
【0096】
このため、本実施例では、より確実にリフレッシュが必要な領域を再分割することができる。
【0097】
本実施例の画像形成装置1は、リフレッシュが不要な領域が複数隣接する場合に、それらの領域を結合する領域結合部73を備える。
【0098】
このため、本実施例では、リフレッシュチェック領域を低減することができる。特に、領域の再分割を行うとリフレッシュチェック領域数が増加するが、リフレッシュが不要な領域の結合を併せて行えば、リフレッシュチェック領域数が増加せず或いは低減して処理の煩雑化を回避できる。
【0099】
吐出領域決定部67は、リフレッシュが不要な領域から検出された印字率が結合用閾値を越える場合に結合の対象とし、領域結合部73は、結合の対象となった領域が複数隣接する場合に、それらの領域を結合する。
【0100】
従って、本実施例では、領域の再分割と同様に、リフレッシュ周期でリフレッシュが不要な領域を確実に結合することができる。
【実施例2】
【0101】
図7は、画像形成装置の制御部を示すブロック図である。なお、本実施例は、基本構成が実施例1と共通するため、対応する構成に同符号又は同符号にAを付した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0102】
本実施例は、制御部57Aが領域リセット部75を更に備える。
【0103】
領域リセット部75は、領域リセット機能を実現するもので、領域の再分割又は結合後に印字率の傾向が変化した場合に、その領域の再分割又は結合をリセットする。本実施例では、全領域の平均印字率の変化量が許容変化幅を越えたときに印字率の傾向が変化したものとする。
【0104】
これにより、全体としての印字率の傾向が変化した場合に対応でき、より確実に余計なリフレッシュの抑制や必要な領域に適切なリフレッシュを行うことが可能となる。なお、許容変化幅は、任意に設定することができる。
【0105】
また、領域リセット部75は、平均印字率の変化量が許容変化幅の範囲内であっても、少なくとも領域の何れか一つの変化量が領域単位の許容変化幅を越えて変化した場合にも印字率の傾向が変化したものとする。
【0106】
これにより、局所的な印字率の変化に対応できるようになり、より確実に余計なリフレッシュの抑制や必要な領域に適切なリフレッシュを行うことが可能となる。なお、領域単位の許容変化幅は、任意に設定することができる。
【0107】
リセットの条件は、適宜設定することができ、例えば領域の結合ができなくなったときにリセットを行うようにすることも可能である。図5の例で説明すると、図5(c)の領域R16及びR15が結合された後、それに領域R12をさらに結合したような場合、リフレッシュが必要な領域R11−2に隣接することになるため、領域の結合ができなくなる。この状態でリセットを行わせればよい。
【0108】
本実施例では、上述のリセットによる作用効果に加え、実施例1と同様の作用効果をも奏することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 画像形成装置
13 感光ドラム(像担持体)
51 現像ローラー(トナー担持体)
64 領域設定部
65 印字率検出部
67 吐出領域決定部
69 吐出実行部
71 領域再分割部
73 領域結合部
75 領域リセット部
R1〜8、R11〜R16、R11−1、R11−2 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7