特許第5775897号(P5775897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775897複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、パイプライン処理を実現する論理処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775897
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、パイプライン処理を実現する論理処理装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 19/173 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   H03K19/173 101
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-62454(P2013-62454)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-187636(P2014-187636A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2013年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名倉 康夫
【審査官】 宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】 再公表特許第2006/011232(JP,A1)
【文献】 特表2006−508615(JP,A)
【文献】 特表2013−509718(JP,A)
【文献】 特開2000−340737(JP,A)
【文献】 特開2000−040745(JP,A)
【文献】 特開2010−078673(JP,A)
【文献】 特開2001−274313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K19/098−19/23
G06F15/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサイクルで処理されるマルチサイクル論理演算処理を実行する論理回路において、所定の周期をもって発生する複数のクロック(t0〜)を順次受けて動作する2式の再構成可能な論理回路と当該2式の再構成可能な論理回路の処理結果を保持する2式のレジスタ群とを互い違いに環状に接続した論理回路と、前記複数のクロックのクロック間に前記2式の再生可能な論理回路が2式の論理処理をする論理F(1)、F(2)を割り当てて前記2式の再構成可能な論理回路の処理機能を交互に変更制御する制御手段と、を有する複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、複雑な論理演算処理をパイプライン処理で行う論理処理装置であって、
1枚のボードの両面に前記2式の再構成可能な論理回路C(0)、C(1)を実装し、当該ボードの端には、前記両面の再構成可能な2式の論理回路からアクセス可能な記憶素子群である前記2式のレジスタ群R(0)、R(1)、を設置し、
前記再構成可能な2式の論理回路C(0)、C(2)で以下(1)〜(5)の処理(A)・(B)・(C)・(D)からなる一連の処理を行うことを特徴とする論理演算処理装置。
(1)初期状態として次のように構成する。
再構成可能回路C(0):処理(A)用の構成
再構成可能回路C(1):処理(B)用の構成
記憶素子群(レジスタ群)R(0)の出力:処理(A)の入力
(2)最初のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(0):処理(A)
これにより、レジスタ群R(1)には処理(A)の結果が保持される。
(3)次のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(1):レジスタ群R(1)の内容を入力
再構成可能回路C(1):処理(B)
再構成可能回路C(0):処理(C)に再構成
これにより、レジスタ群R(0)には処理(B)の結果が保持される。
(4)次のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(0):レジスタ群R(0)の内容を入力
再構成可能回路C(0):処理(C)
再構成可能回路C(1):処理(D)用に再構成
これにより、レジスタ群R(1)には処理(C)の結果が保持される。
(5)次のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(1):レジスタ群R(0)の内容を入力
再構成可能回路C(1):処理(D)
これにより、レジスタ群R(0)には処理(D)の結果が保持される。
【請求項2】
請求項1に記載の複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、複雑な論理演算処理をパイプライン処理で行う論理処理装置であって、
前記2式の再構成可能な論理回路は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を構成要素とすることを特徴とする複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、複雑な論理演算処理をパイプライン処理で行う論理処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、複雑な論理演算処理をパイプライン処理で行う論理処理装置であって、
前記2式の再構成可能な論理回路は、処理対象のマルチサイクル論理演算処理の段数より少ない動的再構成可能論理回路とレジスタ群の組み合わせで構成されることを特徴とする複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、複雑な論理演算処理をパイプライン処理で行う論理処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、複雑な論理演算処理をパイプライン処理にて行う論理処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の論理演算処理装置を利用して、例えば、図1に示すような4サイクルからなるマルチサイクル論理演算処理系を考え、各サイクル単位の入出力値IをI(0)〜I(3)とし、論理演算FをF(0)〜F(3)の変数とした場合、一般的には、以下に示すような論理演算処理系が考えられる。
【0003】
例えば、図5に示す如く、5つのレジスタ群R(0)〜R(4)、4つの論理回路C(0)〜C(3)を有し、5つのレジスタ群と4つの論理回路とを交互に従属接続し、図6に示すクロックt(0)、t(1)、・・・のタイムチャートで、R(0)入出力、C(0)入出力、R(1)入出力、C(1)入出力、R(2)入出力、C(2)入出力、R(3)入出力、C(3)入出力、R(4)入出力、の順に処理する一般的な論理処理系(第1の従来技術)である。
【0004】
また、図7に示す如く、2つのレジスタ群R(0)、R(1)、1つの再構成可能な論理回路C(0)、1つの再構成回路割当用制御器、を有し、2つのレジスタ群との間に1つの再構成可能な論理回路C(0)を従属接続し、当該再構成回路割当制御器により当該論理回路を再構成する回路構成をもって、図8に示すクロックt(0)、t(1)、・・・のタイムチャートで、R(0)入出力、C(0)入出力、R(1)入出力、I(1)の値を一次退避(退避値格納)、C(0)にF(1)割当て(回路再構成)、R(0)入力に退避値設定、を順次繰り返して処理する再構成可能回路による論理処理系(第2の従来技術)である。
【0005】
また、本技術の背景技術として、例えば、特開2000−90237号公報(特許文献1)に記載されたようなデータ処理を再構成可能なハードウェア(フィールドプログラマブルゲートアレイ:以下、FPGAと言う)を用いる方法がある。
【0006】
この公報には、課題として、「描画処理装置全体としての回路規模をコンパクトにし、かつ十分な高速処理を実現する」を挙げ、その解決手段として、「入力画像データの処理を再構成可能なハードウェア(FPGA)によって実行する。ノンリアルタイムパスとリアルタイムパス両方のパスにおいて共通の再構成可能なハードウェアを使用し、一連の画像処理に必要となる処理ロジックをノンリアルタイムパスとリアルタイムパスを組み合わせてテーブル化したデータとする。書き換え制御手段は、テーブルに基づいてFPGAの書き換えを実行する。また、一連の処理をモジュールとし、FPGAのゲート換算数に基づいてモジュールを適宜組み合わせてFPGAの書き換えを行う。」と記載されている(要約書参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−90237号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%9A%84%E5%86%8D%E6%A7%8B%E6%88%90
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記第1の従来技術の如く、複数の論理回路C(0)及びレジスタ群R(0)、R(1)を従属接続し、縦列的に順次論理計算する論理処理系は、少ないサイクルで処理できる特長を有するが、その反面論理規模が大きくなる。例えば、目的論理関数の数だけ論理回路、またそれに応じたレジスタ群を必要とし、その分だけ規模が大きくなってしまうと言う課題があった。
【0010】
また、前記第2の従来技術の如く、1つの再構成可能回路C(0)を、再構成回路割当用制御器をもって回路を再構成し、1つの再構成可能回路をもって複数の論理を計算する論理処理系によれば、論理規模が小さくでき、一般的な論理処理系の課題を是正することができるが、その反面実行サイクルが長くなる課題があった。
【0011】
また、前記特許文献1も、前段の論理回路の処理結果を一旦ストレージなどに格納し、当該論理回路を次段の論理回路の処理用に再構成した後に、当該レジスタから処理結果を読み出し、再構成後の論理回路の入力側に転送すると言う処理が必要となることから、再構成可能回路による論理処理系と同様に、実行サイクルが長くなり、処理速度が低下すると言う課題があった。
【0012】
そこで、本発明は、論理演算処理装置の回路規模が小さく、かつ複数のクロックで処理されるマルチサイクル論理演算処理の実行サイクルが短い、つまり高速処理が可能なパイプライン処理を実現する論理演算処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を達成するために、本発明は、2式の動的再構成可能な論理回路と、2式の記憶素子群(以下、レジスタ群と言う)、を有し、これらをもってマルチサイクル論理演算処理を実行する。
【0014】
例えば、本発明の複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続した論理演算処理装置は、
複数のサイクルで処理されるマルチサイクル論理演算処理を実行する論理回路において、所定の周期をもって発生する複数のクロック(t0〜)を順次受けて動作する2式の再構成可能な論理回路と当該2式の再構成可能な論理回路の処理結果を保持する2式のレジスタ群とを互い違いに環状に接続した論理回路と、前記複数のクロックのクロック間に前記2式の再生可能な論理回路が2式の論理処理をする論理F(1)、F(2)を割り当てて前記2式の再構成可能な論理回路の処理機能を交互に変更制御する制御手段と、を有する複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、複雑な論理演算処理をパイプライン処理で行う論理処理装置であって、
1枚のボードの両面に前記2式の再構成可能な論理回路C(0)、C(1)を実装し、当該ボードの端には、前記両面の再構成可能な2式の論理回路からアクセス可能な記憶素子群である前記2式のレジスタ群R(0)、R(1)、を設置し、
前記再構成可能な2式の論理回路C(0)、C(2)で以下(1)〜(5)の処理(A)・(B)・(C)・(D)からなる一連の処理を行うことを特徴とする。
(1)初期状態として次のように構成する。
再構成可能回路C(0):処理(A)用の構成
再構成可能回路C(1):処理(B)用の構成
記憶素子群(レジスタ群)R(0)の出力:処理(A)の入力
(2)最初のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(0):処理(A)
これにより、レジスタ群R(1)には処理(A)の結果が保持される。
(3)次のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(1):レジスタ群R(1)の内容を入力
再構成可能回路C(1):処理(B)
再構成可能回路C(0):処理(C)に再構成
これにより、レジスタ群R(0)には処理(B)の結果が保持される。
(4)次のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(0):レジスタ群R(0)の内容を入力
再構成可能回路C(0):処理(C)
再構成可能回路C(1):処理(D)用に再構成
これにより、レジスタ群R(1)には処理(C)の結果が保持される。
(5)次のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(1):レジスタ群R(0)の内容を入力
再構成可能回路C(1):処理(D)
これにより、レジスタ群R(0)には処理(D)の結果が保持される。
【0015】
本発明の2式の再構成可能な論理回路は、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)を構成要素とすることを特徴とする。
【0016】
本発明の2式の再構成可能な論理回路は、処理対象のマルチサイクル論理演算処理の段数より少ない動的再構成可能論理回路とレジスタ群の組み合わせで構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、二式の動的再構成可能回路(FPGA等)と、二式の記憶素子(レジスタ等)群、をもってマルチサイクル論理演算処理を実行する論理演算処理装置を提供することができる。従って、論理演算処理装置の回路規模を小さくすることができる。例えば、これらの論理回路、記憶素子群を基板の両面(表面、裏面)に実装することにより、より回路規模を小さくできる。
【0018】
また、二式の再構成可能回路と記憶素子(レジスタ)群を循環状に構成することで、一連の処理を途切れさせることなく処理でき、高速処理が可能である。
【0019】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】マルチサイクル論理演算処理のモデル例を示し、入力I(0)を受け、4サイクルからなるマルチサイクル論理演算処理F(0)〜F(3)し、OUTする処理系を模式的に示す図である。
図2】本発明の複数の再構成可能論理回路を環状直列に接続して、複雑な論理演算処理をパイプライン処理で行う論理処理装置の再構成可能回路と記憶素子群と再構成回路割当用制御器の接続関係を示す構成図である。
図3図2の論理演算処理装置の各部における処理のプロセスを説明するタイムチャート図である。
図4】本発明の論理演算処理装置の再構成可能回路と記憶素子群のボードへの実装例を示す図である。
図5】従来の論理演算処理装置の一例を示す構成図である。
図6図5の論理演算処理装置の各部における処理のプロセスを説明するタイムチャート図である。
図7】従来の論理演算処理装置の他の例を示す構成図である。
図8図7の論理演算処理装置の各部における処理のプロセスを説明するタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、実施例を、図面を用いて説明する。本実施例では、二式の動的再構成可能回路として周知技術のFPGAとし、二式の記憶素子群としてレジスタ群を前提として説明する。
【0022】
図1は、マルチサイクル論理演算処理のモデル例を示し、入力I(0)を受け、4サイクルからなるマルチサイクル論理演算処理F(0)〜F(3)し、OUTする処理系を模式的に示す図である。
【0023】
係るマルチサイクル論理演算処理を実行する方法として、上述した方法が提案されているが、上述した課題があった。
【0024】
本発明は、係る課題に鑑み、論理規模が小さく、しかも実行サイクルが短くてよい論理演算処理装置を提供するものである。以下、その具体例について説明する。
【実施例1】
【0025】
図2は、本発明の論理演算処理装置の二式の動的再構成可能回路と二式のレジスタ群と再構成回路割当用制御器の接続関係を示す構成図である。
【0026】
同図において、論理演算処理装置100は、二式の動的再構成可能回路110、120(C0、C1)、二式のレジスタ群130、140(以下、R(0)、R(1)と言う)、再構成回路割当用制御器150、160、を有する。
【0027】
レジスタ群R(0)、R(1)は、それぞれクロックt(0)〜t(4)を受け、当該クロックに基づいて後述する動作を実行する。
【0028】
また、レジスタ群R(0)、R(1)は、それぞれ再構成可能回路C(0)、C(1)から出力される処理結果を受ける入力端子IN、当該レジスタ群の出力値を再構成可能回路に出力する出力端子OUTを有する。
【0029】
そして、レジスタ群130の出力端子OUTは動的再構成可能回路110(C(0))の入力側に接続し、レジスタ群130の入力端子INは動的再構成可能回路120(C(1))の出力側に接続する。レジスタ群140の入力側端子INは、動的再構成可能回路110(C(0))の出力側に接続し、レジスタ群140の出力端子OUTは動的再構成可能回路120(C(1))の入力側に接続する。
【0030】
つまり、動的再構成可能回路110(C(0))の出力側と動的再構成可能回路120(C(1))の入力側との間にレジスタ群140(R1)を配置し、動的再構成可能回路120(C(1))の出力側と動的再構成可能回路110(C(0))の入力側との間にレジスタ群130(R0)を配置し、それぞれが環状構成となるように接続する。
【0031】
再構成回路割当用制御器150は、例えば再構成可能回路C(0)が、演算処理F(0)を実行し、当該処理結果をレジスタ群R(1)に格納するとき、再構成可能回路C(1)の回路を次の演算処理F(1)を行う論理を割当てるように再構成する。また、再構成回路割当用制御器160は、例えば再構成可能回路C(1)が、演算処理F(1)を実行し、当該処理結果をレジスタ群R(0)に格納するとき、再構成可能回路C(0)の回路を次の演算処理F(2)を行う論理を割当てるように再構成する。以下、同様に論理を順次割当てる再構成する機能を有する。
【0032】
クロックtは、再構成が完了したタイミングで、次のクロックt(1)、・・・でレジスタ群130、140、に与えるようにする。クロックtは、クロック発生部を含むクロック同期回路(図示せず)をもって行う。詳細は後述する。
【0033】
本実施例では、2つの再構成回路割当用制御器をもって論理を割当てる再構成を実現しているが、1つの再構成回路割当用制御器をもって上述した再構成を実現するようにしてもよい。
【0034】
所謂、再構成可能回路C(0)、C(1)の論理処理結果が循環するように、再構成可能回路C(0)、C(1)、レジスタ群R(0)、R(1)、を図示の如く、互い違いに環状に配置し、構成する。
【0035】
そして、二式の再構成可能回路C(0)、C(1)による論理演算処理を、それぞれ1クロックごとの処理に分解し、当該論理回路に実装される目的論理関数F(0),F(1)・・・・F(m)のマルチサイクル論理演算処理を実行する。
【0036】
次に、論理演算処理装置の論理処理、処理結果保持、論理再割当て(再構成)、等の処理動作について説明する。前提とし、マルチサイクル論理演算処理を、1クロックごとの処理に分解し、これらを目的論理関数F(0),F(1)・・・・F(m)とする。ここで、mは論理演算処理の段数を示す。このクロックは、図3に示すタイミングで行う。
【0037】
図3は、タイムチャートを示す図であって、横軸に時間Tを示し、縦軸に論理演算処理装置のクロック、再構成可能回路C(0)、C(1)、レジスタ群R(0)、R(1)を示し、これら各部の処理タイミングを示している。
【0038】
図3において、まず、初期状態において、再構成回路割当用制御器150により、再構成可能回路C(0)にF(0)の処理をする論理をもって割り当てる。この再構成回路割当用制御器は、公知の技術、例えば、上述した非特許文献1に記載の「動的再構成」を利用し、その詳細説明は省略する。
【0039】
次に、再構成可能回路C(0)、C(1)、レジスタ群R(0)、R(1)に最初のクロックt(0)を与える(図3a参照)。すると、再構成可能回路C(0)は、レジスタR(0)から出力されるI(0)を受け、F(0)の処理を実行し、I(1)を出力する(図3b〜d参照)。このときの処理結果I(1)は、レジスタ群R(1)に保持(記憶・格納)する(図3e〜f参照)。と共に、再構成可能回路C(1)にF(1)の論理を割当て、当該再構成可能回路を再構成する(図3g参照)。
【0040】
論理回路C(1)の再構成が完了した時点で、次のクロックt(1)を与える。すると、再構成可能回路C(1)は、レジスタ群R(1)から出力されるI(1)を受け、F(1)の処理を実行し、I(2)を出力する(図3h〜i参照)。このときの処理結果I(2)は、レジスタ群R(0)に保持(記憶・格納)する(図3j〜k参照)。と共に、再構成可能回路C(0)にF(2)の論理を割り当て、当該再構成可能回路を再構成する(図3l参照)。
【0041】
再構成可能回路C(0)の再構成が完了した時点で、次のクロックt(2)を与える。すると、再構成可能回路C(0)は、レジスタ群R(0)から出力されるI(2)を受け、F(2)の処理を実行し、I(3)を出力する(図3m〜n参照)。このときの処理結果I(3)は、レジスタ群R(1)に保持(記憶・格納)する(図3o〜p参照)。と共に、再構成可能回路C(1)にF(3)の論理を割り当て、当該再構成可能回路を再構成する(図3q参照)。
【0042】
再構成可能回路C(1)の再構成が完了した時点で、次のクロックt(3)を与える。すると、再構成可能回路C(1)は、F(3)の処理を実行し、OUTを出力する(図3r〜s参照)。このときの出力(OUT)は、レジスタ群R(0)に保持(記憶・格納)する(図3(t)〜(u)参照)。
【0043】
上述した処理を、論理演算処理の段数F(m)が完了するまで繰り返す。
これにより、二式の再構成可能回路C(0)C(1)、二式のレジスタ群R(1)、R(2)をもって、マルチサイクル論理演算処理を実行することができる。
【0044】
上述した動作について、一般式で記述すれば、以下のように記述できる。以下のnは、0以上の整数とし、初期状態では、論理回路C(0)には、F(0)の処理をする論理を割り当てる。また、レジスタ群R(0)の入力に、論理演算処理の入力I(0)を与えておく。
【0045】
(1)t(2n)のクロックを論理回路C(0)、C(1)、レジスタ群R(0)、R(1)に与える。このことにより、レジスタ群R(0)の入力側の値が出力側に取り込まれ、論理回路C(0)の入力となる。
(2)t(2n)からt(2n+1)のクロックの間に以下の処理を行う。
1)再構成可能回路C(0)にてF(2n)の処理を行い、処理結果がレジスタ群R(1)の入力側に設定される。
2)再構成可能回路C(1)を再構成し、F(2n+1)の処理を行う論理を割り当てる。
(3)t(2n+1)のクロックを論理回路C(0)、C(1)に与える。このことにより、レジスタ群R(1)の入力側の値が出力側に取り込まれ、再構成可能回路C(1)の入力となる。
1)再構成可能回路C(1)にてF(2n+1)の処理を行い、処理結果がレジスタ群R(0)の入力側に設定される。
2)再構成可能回路C(0)を再構成し、F(2(n+1))の処理を行う論理を割り当てる。
(4)t(2n+1)からt(2(n+1))のクロックの間に以下の処理を行う。
1)論理回路C(0)にてF(2(n+1))の論理処理を行い、当該処理結果がレジスタ群R(1)の入力側に設定される。
2)再構成可能回路C(0)を再構成し、F(2n+1)の処理を行う論理を割り当てる。
【0046】
上記(1)〜(4)の処理を、F(m)の処理が完了するまで繰り返す。
ここで、F(m)の処理が終了した時点で、mが奇数の場合にはレジスタ群R(0)の入力となっている値を、mが偶数の場合にはレジスタ群R(1)の入力となっている値を取り出せば、マルチサイクル論理演算処理の結果を取り出したことになる。
【実施例2】
【0047】
図4は、1枚のボード(回路基板)の両面(表面、裏面)に再構成可能回路C(0)、C(1)を実装し、ボードの端には、両面の再構成可能論理回路110、120からアクセス可能な記憶素子群であるレジスタ群R(0)、R(1)、を設置する例を示す図である。
【0048】
すなわち、以下の処理(A)・(B)・(C)・(D)からなる一連の処理を図に示す構成の再構成可能回路C(0)、C(2)で処理する場合を考える。
【0049】
(1)初期状態として次のように構成する。
再構成可能回路C(0):処理(A)用の構成
再構成可能回路C(1):処理(B)用の構成
記憶素子群(レジスタ群)R(0)の出力:処理(A)の入力
【0050】
(2)最初のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(0):処理(A)
これにより、レジスタ群R(1)には処理(A)の結果が保持される。
【0051】
(3)次のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(1):レジスタ群R(1)の内容を入力
再構成可能回路C(1):処理(B)
再構成可能回路C(0):処理(C)に再構成
これにより、レジスタ群R(0)には処理(B)結果が保持される。
【0052】
(4)次のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(0):レジスタ群R(0)の内容を入力
再構成可能回路C(0):処理(C)
再構成可能回路C(1):処理(D)用に再構成
これにより、レジスタ群R(1)には処理(C)の結果が保持される。
【0053】
(5)次のクロック単位で以下の処理を行う。
再構成可能回路C(1):レジスタ群R(1)の内容を入力
再構成可能回路C(1):処理(D)
【0054】
上記一連の処理により、レジスタ群R(1)には処理(D)の結果が保持される。
【0055】
上記構成における再構成可能回路C(0)、C(1)とレジスタ群R(0)、R(1)との関係は次のようになっている。
・再構成可能回路C0
入力:レジスタ群R(0)、
出力:レジスタ群R(1)
・再構成可能回路C(1)
入力:レジスタ群R(1)、
出力:レジスタ群R(0)
【0056】
以上述べた実施例によれば、複数のクロックで処理される多段論理演算処理を行う処理装置の回路規模を小さくし、かつ十分な高速処理を実現することができる。
【0057】
また、複数クロックで処理される多段(マルチ)論理演算処理を、二式の動的再構成可能論理回路、例えばFPGA)と二式のレジスタ群にて実現可能である。
【0058】
また、ボードの両面に再構成可能回路と記憶素子群を配置することにより、実装密度を上げることができ、論理回路の規模を小さくすることができる。
【0059】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
FPGAなどの再構成可能論理を用いた論理検証用ボードベンダにおいても適用することが可能である。
【符号の説明】
【0061】
110、120(C0、C1) 再構成可能回路
130、140(R1、R2) 記憶素子群(レジスタ群)
150、160 再構成回路割当用制御器(制御手段)
t クロック
400 ボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8