(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、
図8に示した管継手には、次のような問題点がある。(i)抜止めリング39は大きな部品でなければ正規の姿勢を常に維持することが困難であり、正確にパイプ35の外周面に食い込んで係止できない点、(ii)抜止めリング39はパイプ35が矢印C方向に僅かに引抜かれることでテーパ面41A,38が摺接しつつバネ片部41が縮径方向に変形して係止爪部40がパイプ35の外周面に食い込む構成であるので、管継手内部に大きな空間部42を必要として管継手が大型となると共に、管継手とパイプ35が相対的にアキシャル方向に動く点、(iii)袋ナット33は抜止めリング39をそのテーパ面38にて強力に押圧せねばならず、従って、テーパ面38近傍の肉厚が極めて大きくせねばならない点、(iv)継手本体30Aは内周面にOリング用シール溝を加工せねばならず作業能率が低かった。(v)抜止めリング39は高精度の部品として製作が困難でコスト高となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決して、全体がコンパクトで、かつ、製作も容易でコスト低減も図り得て、しかも、大きいパイプ引抜力を発揮し、かつ、配管接続完了の後にパイプが引抜方向に全く移動せずに常に安定して大きい耐抜止力を発揮する管継手を提供することを目的とする
。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被接続パイプが差込まれる孔部を有すると共に外周に雄ねじ部を有する突出状筒部を備えたプラスチック製継手本体と、上記雄ねじ部に螺着される袋ナットと、を具備する管継手に於て;上記筒部は上記雄ねじ部よりも先端側の外周面に、凹溝部が形成され、かつ、該凹溝部の奥部には溝底薄壁部を有し;さらに、上記筒部の上記孔部の開口端部から挿入されて上記凹溝部の溝底薄壁部の位置まで到達するアキシャル方向長さ寸法の内装筒状部を有し、かつ、該内装筒状部は内端縁部に於て多数のアキシャル方向切り目によって形成された多数の係止片を有する金属板製のパイプ抜止め円筒体を備え;上記袋ナットを上記継手本体の雄ねじ部に螺着させる際に、上記筒部が上記袋ナットからアキシャル方向圧縮力を受けて、上記凹溝部の幅寸法が減少しつつ、上記溝底薄壁部がラジアル内方向へ突出するようにU字状乃至V字状に変形して、上記パイプ抜止め円筒体の上記内装筒状部の内端縁部をラジアル内方向へ押圧し、該内端縁部の上記係止片を、挿入されたパイプの外周面側に食い込ませて抜止めするように構成したものである。
【0007】
また、
本発明は、プラスチック製継手本体の突出状筒部の外周に凹溝部を形成して、該凹溝部の奥部に溝底薄壁部を設け、袋ナットを上記筒部の雄ねじ部に螺着させるアキシャル方向圧縮力によって、上記溝底薄壁部をラジアル内方向へ突出するU字状乃至V字状に変形させて、上記突出状筒部に予め挿入した金属板製のパイプ抜止め円筒体の内端縁部の多数の係止片を、挿入されたパイプの外周面側に食い込ませて抜止めするように構成し;さらに、上記継手本体の突出状筒部の内周面と、上記パイプ抜止め円筒体の外周面との間、及び、上記突出状筒部の内周面と該内周面に直接に対面するパイプ外周面との間、に渡って、密封用円筒型ゴムシートを、介装したものである。
また、上記パイプ抜止め円筒体は、外端に外フランジ部を一体に有し、かつ、パイプ外周面への食い込み状態で、上記係止片は、継手軸心を含んだ縦断面に於て該継手軸心と鋭角を成すように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る管継手によれば、構成部品の各々が簡単かつ容易・安価に製作できる。管継手とパイプとは、パイプの軸心方向(アキシャル方向)へ相対移動せず、接続作業完了時から一体化される。また、プラスチックにて継手本体は安価に大量生産可能であるにかかわらず、強大な耐引抜力を発揮する。特に、プラスチックと金属(板)とを巧妙に結合することで、確実に強力な耐引抜力を発揮すると共に、長い使用期間の後もその耐引抜力が維持される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1と
図2に示す実施の一形態、及び、
図3と
図4に示した他の実施の形態に於て、Pは被接続パイプ、2は本発明に係る管継手であって、
図1,
図2はソケット型を示すが、これはエルボ型やチーズ型等であっても良く、継手本体10の一端のみならず、複数端に袋ナット20を有するも好ましい。継手本体10は架橋ポリエチレン等のプラスチック製とすると共に、パイプPは架橋ポリエチレン等のプラスチックとする。また、袋ナット20も同種のプラスチックとする。
【0011】
この継手本体10は、被接続パイプPの端部が差込まれる孔部11を有し、外周の基端寄りに雄ねじ部3を有する突出状筒部4を備える。この筒部4は雄ねじ部3よりも先端側(矢印Y方向側)の外周面5には、2本の凹溝部6A,6Bが形成されている。この凹溝部6A,6Bは、
図1,
図3に示す未圧縮状態では、断面がU字状又は半円形であって、凹溝部6A,6Bの奥部には溝底薄壁部7を有する。
【0012】
雄ねじ部3に上記袋ナット20が矢印M方向に回転力を付与することで螺進する。雄ねじ部3の基端に、作業工具等にて掴持自在な、六角形や滑り止め凸条や滑り止め小凹溝を有する膨出部8を有し、さらに、
図1と
図2では、テーパねじ等の雄ねじ部9を有する。
【0013】
また、12は内挿管部であって、筒部4と同心状に突設され、筒部4に差込まれたパイプPの内周面に(密嵌状に)嵌合する。即ち、パイプPが(後述するように)ラジアル内方向の外力を受けて縮径方向へ過大に変形するのを防止する補強用の管状部分である。従って、アキシャル方向(軸心L
0と平行方向)から見て、円形状の環状凹周溝13が形成され、その深さは十分に深く、雄ねじ部3の存在するアキシャル方向位置にまで達している。
継手本体10の流路孔14は、
図1,
図2に示した雄ねじ部9側から、上記内挿管部12の内部孔に連続して貫通状に形成される。
【0014】
図1〜
図4、及び、
図5〜
図7に示したように、突出状筒部4の孔部11の開口端部11Aから挿入されて、先端側の凹溝部6Aの溝底薄壁部7の位置まで到達するアキシャル方向長さ寸法L
15の内装筒状部15を有する金属板製のパイプ抜止め円筒体16を備えている。
このパイプ抜止め円筒体16は、外端に外フランジ部17を一体に有し、材質はステンレス鋼等が好ましい。また、内装筒状部15は、内端縁部18に於て、多数のアキシャル方向切り目19によって多数の係止片22が形成されている。
【0015】
図5(A)(B)(C)に示す具体例では切り目19は一文字型であり、
図5(D)では細長三角形型であり、
図5(E)では一文字型であって奥に小円形部を有する形状である。従って。係止片22は、
図5(C)又は(E)では長方形であり、
図5(D)では台形である。
【0016】
ところで、
図6(B)に示すように、内装筒状部15の奥側の最内端部15Aのアキシャル方向位置は、凹溝部6Aの外側面26と、凹溝部6Aの溝幅寸法Wの半分の位置との範囲(1/2・W)の位置に設定する。つまり、前記アキシャル方向長さ寸法L
15を、
図6(B)に示す如く、凹溝部6Aの外側面26と、凹溝部6Aの溝幅中央部までの範囲(1/2・W)の位置に、最内端部15Aが、未圧縮状態にて、存在するように、設定する。
【0017】
また、継手本体10の突出状筒部4の(孔部11の)内周面24と、上述のパイプ抜止め円筒体16(の内装筒状部15)の外周面21との間、及び、筒部4の(孔部11の)内周面24と該内周面24に直接に(他の物体を介さずに)対面するパイプ外周面23との間に、渡って、密封用円筒型ゴムシート25を、介装している。
【0018】
この円筒型ゴムシート25は、
図1,
図6,
図7のように筒部4の孔部11のアキシャル方向の略全体に対応する継ぎ目(切れ目)の無い円筒型とする場合と、
図3に示すように外端に外フランジ部25Fを有すると共に筒部4の孔部11のアキシャル方向の略全体及び筒部4の外端面4Aに対応する継ぎ目(切れ目)の無い円筒型とする場合が、選択可能である。
【0019】
ところで、筒部4の内周面24の内径寸法について言えば、パイプ抜止め円筒体16の内装筒状部15の存在する範囲(アキシャル方向長さ寸法L
15)が僅かに(残部よりも)大きい。つまり、パイプ抜止め円筒体16の肉厚寸法をT
16とすれば、内周面24の内径寸法が内装筒状部15に存在する範囲では、2・T
16だけ大きく設定されている。従って、
図6と
図7に示すように、半径に於て、肉厚寸法T
16に相当する段差部が形成されるが、この段差部の形状は、アキシャル内方向に縮径するテーパ状部28に形成する。
【0020】
袋ナット20の外面形状は、六角形としたり、アキシャル方向に滑り止め用の小凹溝や小凸条を有する形状とする。そして、
図1(
図3)及び
図6(A)から、
図2(
図4)及び
図6(C)に示すように、袋ナット20を継手本体10の雄ねじ部3に螺着させる(矢印M方向に回転する)際に、筒部4が袋ナット20から、アキシャル方向圧縮力Fを受けて、凹溝部6Aの幅寸法Wが減少しつつ、溝底薄壁部7がラジアル内方向へ突出するようにU字状乃至V字状に変形してゆく。ラジアル内方向へ突出するように変形する溝底薄壁部7に摺接しつつ、パイプ抜止め円筒体16の内装筒状部15の内端縁部18は、ラジアル内方向へベクトル(矢印)F
7にて示す如く押圧され、この内端縁部18の係止片22を、パイプPの外周面23側へ食い込ませて抜止めする(
図2,
図4,
図6(C)参照)。
パイプ外周面23への食い込み状態で、係止片22は、継手軸心L
0を含んだ縦断面に於て継手軸心L
0と鋭角θを成す。
【0021】
以上を要約して説明すると、本発明に係る管継手は、プラスチック製継手本体10の突出状筒部4の外周に凹溝部6Aを形成して、該凹溝部6Aの奥部に溝底薄壁部7を設け、袋ナット20を上記筒部4の雄ねじ部3に螺着させるアキシャル方向圧縮力Fによって、上記溝底薄壁部7をラジアル内方向へ突出するU字状乃至V字状に変形させて、上記突出状筒部4に予め挿入した金属板製のパイプ抜止め円筒体16の内端縁部18の多数の係止片22を、挿入されたパイプPの外周面23側に食い込ませて抜止めするように構成したものである。
【0022】
図7に於て、袋ナット20の内周面と、突出状筒部4及びパイプ抜止め円筒体16の外フランジ部17との間に、相対的回転滑り助長用円筒状カバー部材27を介在させている。カバー部材27はステンレス鋼等の硬質金属やプラスチック等とし、摩擦係数の低い材質が好ましい。
【0023】
図面からも明らかなように、凹溝部6A,6Bが2本設けられており、内方側の凹溝部6Bは圧縮力Fによって(外方側の凹溝部6Aと同様に)弯曲変形するが、ゴムシート25を整然と圧縮して、密封性を高める作用をなすと共に、パイプ引抜力向上にも貢献する。なお、凹溝部6Bに対応して、パイプ抜止め円筒体16を付設するも、自由である(図示省略)。また、内方側の凹溝部6Bを省略することも可能である。
【0024】
図示の実施の形態では、Oリング等シール材を全く省略したので、継手本体10には、シール凹溝が省略され、これによって、プラスチック成型が容易となり、あるいは、追加の機械加工が省略できる利点があり、コストダウンも図り得て、大量生産も可能となる。
【0025】
なお、図示の実施の形態では、内挿管部12を設けた構成によって、次のような利点がある。(i)湯水に主として用いる場合に、湯水に混入している塩素ガス等によって、長期使用期間後にはゴム等の劣化の虞れがあるが、内挿管部12の外周面がパイプPの内周面に密に嵌合しており、上記塩素ガス等の有害気体がゴムシート25に到達しにくく、ゴムの劣化が生じ難く長寿命となる。(ii)パイプPが
図2,
図4,
図6に示した矢印(ベクトル)F
7の力を受けて縮径方向に逃げようとするが、ラジアル内方向から十分な補強の機能を発揮する。従って、係止片22の食い込みが確実に行われることとなる。
【0026】
ところで、プラスチック製継手本体10は、外周面側には凹溝部6A,6B及び雄ねじ部3が存在するが、射出成型上は問題がない。これに対し、内挿管部12及び環状凹周溝13の内面には凹溝部が存在すると射出成型が著しく困難となる。図示の実施の形態では、そのような凹溝部やねじ部が、内挿管部12及び環状凹周溝13の内面に存在せず、射出成型の作業性が良好であり、安価な大量生産も可能となる。
本発明に係るパイプ抜止め円筒体16の肉厚は、0.15mm〜0.4mm 、望ましくは0.18mm〜0.3mm でも十分である
。
【0027】
本発明は、以上述べたように、被接続パイプPが差込まれる孔部11を有すると共に外周に雄ねじ部3を有する突出状筒部4を備えたプラスチック製継手本体2と、上記雄ねじ部3に螺着される袋ナット20と、を具備する管継手に於て;上記筒部4は上記雄ねじ部3よりも先端側の外周面5に、凹溝部6Aが形成され、かつ、該凹溝部6Aの奥部には溝底薄壁部7を有し;さらに、上記筒部4の上記孔部11の開口端部11Aから挿入されて上記凹溝部6Aの溝底薄壁部7の位置まで到達するアキシャル方向長さ寸法L
15の内装筒状部15を有し、かつ、該内装筒状部15は内端縁部18に於て多数のアキシャル方向切り目19によって形成された多数の係止片22を有する金属板製のパイプ抜止め円筒体16を備え;上記袋ナット20を上記継手本体10の雄ねじ部3に螺着させる際に、上記筒部4が上記袋ナット20からアキシャル方向圧縮力Fを受けて、上記凹溝部6Aの幅寸法Wが減少しつつ、上記溝底薄壁部7がラジアル内方向へ突出するようにU字状乃至V字状に変形して、上記パイプ抜止め円筒体16の上記内装筒状部15の内端縁部18をラジアル内方向へ押圧し、該内端縁部18の上記係止片22を、挿入されたパイプPの外周面23側に食い込ませて抜止めするように構成したので、所期目的を達成できて、製作の容易化を図り、コスト低減も可能となり、プラスチックと金属とを結合して、確実かつ強固に耐引抜力を維持できる管継手が得られる。即ち、プラスチックのパイプPに対して、プラスチックの溝底薄壁部7の食い込みでは、滑り易かったり、クリープ現象にて食い込みが浅くなる変形が長期使用期間後に発生する虞れがあったのに対して、本発明では、小さな係止部位である係止片22が金属板片として、最先端のエッジ(刃先)は塑性変形して、長期使用期間後も、確実に安定して、強力な耐引抜力を発揮する。
【0028】
また、
本発明は、以上述べたように、プラスチック製継手本体10の突出状筒部4の外周に凹溝部6Aを形成して、該凹溝部6Aの奥部に溝底薄壁部7を設け、袋ナット20を上記筒部4の雄ねじ部3に螺着させるアキシャル方向圧縮力Fによって、上記溝底薄壁部7をラジアル内方向へ突出するU字状乃至V字状に変形させて、上記突出状筒部4に予め挿入した金属板製のパイプ抜止め円筒体16の内端縁部18の多数の係止片22を、挿入されたパイプPの外周面23側に食い込ませて抜止めするように構成したので、既述の所期目的を達成し、全体のコンパクト化、製作の容易化、コスト低減を図り、しかも、プラスチックと金属とを巧妙に結合して、プラスチックの一部位の変形を、金属板製の係止片を強力に押圧して、係止片の鋭利な先端(エッジ)を、パイプに食い込ませて、長期にわたって強力な安定した耐引抜力を発揮できる。
さらに、上記継手本体10の突出状筒部4の内周面24と、上記パイプ抜止め円筒体16の外周面21との間、及び、上記突出状筒部4の内周面24と該内周面24に直接に対面するパイプ外周面23との間、に渡って、密封用円筒型ゴムシート25を、介装した構成であるので、シール溝の加工を省略できて、継手本体10のプラスチック成型も容易であり、かつ、管継手としての外径寸法も小さくできる。さらに、溝底薄壁部7のU字状乃至V字状の変形に伴って局部的にゴムシート25が閉円環状に弾性圧縮されて(
図2,
図4,
図6(C)参照)、一層安定した密封性能を発揮できる。
【0029】
また、上記パイプ抜止め円筒体16は、外端に外フランジ部17を一体に有し、かつ、パイプ外周面23への食い込み状態で、上記係止片22は、継手軸心L
0を含んだ縦断面に於て該継手軸心L
0と鋭角θを成すように構成したので、パイプ抜止め円筒体16を筒部4に挿入した際の差込み深さが一定となり、内端縁部18の最内端部15Aのアキシャル方向位置が凹溝部6Aの溝底薄壁部7のアキシャル方向位置に対応する。従って、確実に(
図6に示したように)係止片22がパイプPの外周面に食い込む。しかも、鋭角θを成すように係止片22が食い込むので、パイプPの耐引抜力は極めて大きくなる。