(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラ(以下、単にカメラと言う)の構成を示すブロック図である。ここで、
図1において、矢印付き実線はデータの流れを示し、矢印付き破線は制御信号の流れを示す。
【0013】
図1に示すカメラ1は、撮影レンズ11と、絞り13と、メカシャッタ15と、駆動部17と、操作部19と、撮像素子21と、撮像制御回路23と、A−AMP25と、アナログデジタル変換部(ADC)27と、CPU29と、画像処理部31と、焦点検出回路33と、ビデオエンコーダ35と、表示部37と、バス39と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)41と、ROM(Read Only Memory)43と、記録媒体45とを有する。
【0014】
撮影レンズ11は、被写体100からの像を撮像素子21に形成するための撮影光学系である。撮影レンズ11は、合焦位置を調節するためのフォーカスレンズを有しており、またズームレンズとして構成されていてもよい。絞り13は、撮影レンズ11の光軸上に配置され、その口径が可変に構成されている。絞り13は、撮影レンズ11を通過した被写体100からの光束の量を制限する。メカシャッタ15は、開閉自在に構成されている。メカシャッタ15は、撮像素子21への被写体100からの被写体光束の入射時間(撮像素子21の露光時間)を調節する。メカシャッタ15としては、公知のフォーカルプレーンシャッタ、レンズシャッタ等が採用され得る。駆動部17は、CPU29からの制御信号に基づいて、撮影レンズ11、絞り13及びメカシャッタ15の駆動の制御を行う。
【0015】
操作部19は、電源釦、レリーズ釦、動画釦、再生釦、メニュー釦といった各種の操作釦及びタッチパネル等の各種の操作部材を含む。この操作部19は、各種の操作部材の操作状態を検知し、検知結果を示す信号をCPU29に出力する。ここで、本実施形態の操作部19により、カメラ1の撮影モードを選択することが可能である。すなわち、ユーザは、操作部19を操作することにより、カメラ1の撮影モードを静止画撮影モードと動画撮影モードの何れかから選択することができる。静止画撮影モードは、静止画像を撮影するための撮影モードであり、動画撮影モードは、動画像を撮影するための撮影モードである。
【0016】
撮像素子21は、撮影レンズ11の光軸上であって、メカシャッタ15の後方で、かつ、撮影レンズ11によって被写体光束が結像される位置に配置されている。撮像素子21は、画素を構成するフォトダイオードが二次元的に配置されて構成されている。ここで、本実施形態における撮像素子21は、記録や表示のための画像を取得するための撮像画素と焦点検出をするための焦点検出画素とを有する。
【0017】
撮像素子21を構成するフォトダイオードは、受光量に応じた電荷を生成する。フォトダイオードで発生した電荷は、各フォトダイオードに接続されているキャパシタに蓄積される。このキャパシタに蓄積された電荷が画像信号として読み出される。本実施形態における撮像素子21は、複数の異なる電荷の読み出し方式を有している。撮像素子21に蓄積された電荷は、撮像制御回路23からの制御信号に従って読み出される。
【0018】
また、画素を構成するフォトダイオードの前面には、例えばベイヤ配列のカラーフィルタが配置されている。ベイヤ配列は、水平方向にR画素とG(Gr)画素が交互に配置されたラインと、G(Gb)画素とB画素が交互に配置されたラインを有している。
【0019】
撮像制御回路23は、CPU29からの制御信号に従って撮像素子21の駆動モードを設定し、設定した駆動モードに応じた読み出し方式に従って撮像素子21からの画像信号の読み出しを制御する。例えば、ライブビュー表示時や動画記録時といった撮像素子21からの画素データの読み出しにリアルタイム性が求められるような駆動モードの場合には、画素データの読み出しを高速に行えるよう、複数の同色画素からの画素データを混合して読み出すか、特定の画素の画素データを間引いて読み出す。一方、例えば静止画像の記録時のようなリアルタイム性よりも画質が求められる駆動モードの場合には、混合読み出しや間引き読み出しをせずに全画素の画素データを読み出すことで解像力を維持する。
【0020】
A−AMP25は、撮像制御回路23の制御に従って撮像素子21から読み出された画像信号を増幅する。撮像素子21、撮像制御回路23、A−AMP25とともに撮像部として機能するADC27は、A−AMP25から出力された画像信号を、デジタル形式の画像信号(画素データ)に変換する。以下、本明細書においては、複数の画素データの集まりを撮像データと記す。
【0021】
CPU29は、ROM43に記憶されているプログラムに従ってカメラ1の全体制御を行う。画像処理部31は、撮像データに対して各種の画像処理を施して画像データを生成する。例えば画像処理部31は、静止画像の記録の際には、静止画記録用の画像処理を施して静止画像データを生成する。同様に、画像処理部31は、動画像の記録の際には、動画記録用の画像処理を施して動画像データを生成する。さらに、画像処理部31は、ライブビュー表示時には、表示用の画像処理を施して表示用画像データを生成する。このような画像処理部31の構成については後で詳しく説明する。
【0022】
焦点検出回路33は、焦点検出画素からの画素データを取得し、取得した画素データに基づき、公知の位相差方式を用いて撮影レンズ11の合焦位置に対するデフォーカス方向及びデフォーカス量を算出する。
【0023】
ビデオエンコーダ35は、画像処理部31で生成された表示用画像データを映像データに変換し、この映像データを表示部37に入力して表示部37に画像を表示させる。
【0024】
表示部37は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイといった表示部であって、例えばカメラ1の背面に配置される。この表示部37は、ビデオエンコーダ35の動作に従って画像を表示する。表示部37は、ライブビュー表示や記録済み画像の表示等に使用される。
【0025】
バス39は、ADC27、CPU29、画像処理部31、焦点検出回路33、DRAM41、ROM43、記録媒体45に接続され、これらのブロックで発生した各種のデータを転送するための転送路として機能する。
【0026】
DRAM41は、電気的に書き換え可能なメモリであり、前述した撮像データ(画素データ)、記録用画像データ、表示用画像データ、CPU29における処理データといった各種データを一時的に記憶する。なお、一時記憶用としてSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)が用いられてもよい。ROM43は、マスクROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。ROM43は、CPU29で使用されるプログラム、カメラ1の調整値等の各種データを記憶している。記録媒体45は、カメラ1に内蔵されるか又は装填されるように構成されており、記録用画像データを所定の形式の画像ファイルとして記録する。
【0027】
図2を用いて撮像素子21の構成について説明する。
図2は、撮像素子21の画素配列の例を示した図である。また、
図2の右側には、一部の画素を拡大して示している。
図2は、ベイヤ配列の例であるが、カラーフィルタの配列はベイヤ配列に限るものではなく、種々の配列が適用され得る。
【0028】
前述したように、ベイヤ配列の撮像素子21は、水平方向にR画素とG(Gr)画素が交互に配置された画素行と、G(Gb)画素とB画素が交互に配置された画素行とを有している。言い換えれば、右側の拡大図で示すGr画素と、R画素、Gb画素、B画素の4画素の組が水平及び垂直方向に繰り返して配置されている。
【0029】
本実施形態においては、一部の撮像画素21aの位置に焦点検出画素21bを配置する。焦点検出画素は、例えば左右の何れかの領域を遮光膜によって遮光した画素である。
図2の例では、左半面を遮光した焦点検出画素(以下、右開口焦点検出画素と言う)の行と、右半面を遮光した焦点検出画素(以下、左開口焦点検出画素と言う)の行とを垂直方向に沿って近接するように配置している。
【0030】
高画素数の撮像素子の場合には個々の画素の面積が小さくなるので、近接して配置される画素にはほぼ同じ像が結像すると考えることができる。したがって、
図2に示すようにして焦点検出画素を配置することにより、
図2のA行の焦点検出画素とB行の焦点検出画素の対で位相差を検出することができる。また、C行の焦点検出画素とD行の焦点検出画素の対でも位相差を検出することができる。
【0031】
ここで、
図2の例では、焦点検出画素中の遮光する領域を、左右何れかの領域としている。この場合、水平位相差を検出することが可能である。これに対し、遮光する領域を上下何れかの領域としたり、斜め方向の領域としたりすることで、垂直位相差や斜め方向の位相差を検出することも可能である。また、ある程度の面積を有していれば遮光面積も画素領域の1/2でなくともよい。さらに、
図2では焦点検出画素をG画素に配置しているが、G画素以外の、R画素、B画素の何れかに配置するようにしてもよい。また、
図2の例は、焦点検出画素の一部領域を遮光することによって瞳分割をする例を示しているが、焦点検出画素は、撮影レンズ11の異なる瞳領域を通過した対をなす被写体光束のうちの一方を選択的に受光できればよい。このため、一部領域を遮光する構成とせず、例えば瞳分割用のマイクロレンズによって瞳分割をするようにしてもよい。さらに、
図2は、水平方向に沿って4画素周期で焦点検出画素を配置した例を示している。焦点検出画素を配置する周期は特定の周期に限定されるものではない。
【0032】
ここで、焦点検出画素の一部の領域は遮光されているので、光量の低下が発生する。この光量の低下は、焦点検出画素に形成された遮光膜の面積の他、遮光膜の位置、焦点検出画素に入射する光の角度、像高によっても異なるものである。このような光量の低下が画像処理部31において補正される。
【0033】
図3は、画像処理部31の詳細な構成を示す図である。
図3では、画像処理部31以外のブロックについては図示を省略している。
図3に示すように、画像処理部31は、ホワイトバランス(WB)補正処理部311と、ゲイン量推定部312と、ゲイン補正部313と、補間判断処理部314と、補間処理部315と、同時化処理部316と、輝度特性変換部317と、エッジ強調処理部318と、ノイズ低減(NR)処理部319と、色再現処理部320とを有している。
【0034】
WB補正処理部311は、撮像データの各色成分を所定のゲイン量で増幅することにより、画像の色バランスを補正するホワイトバランス補正処理を行う。
【0035】
ゲイン量推定部312は、ゲイン補正部313において焦点検出画素の画素出力を補正するためのゲイン量を推定する。このゲイン量は、撮像画素に対する焦点検出画素の光量低下量に応じて推定される。焦点検出画素の光量低下量は、焦点検出画素の画素出力と焦点検出画素の近傍の撮像画素の画素出力との比率に基づいて算出される。ゲイン補正部313は、ゲイン量推定部312で推定されたゲイン量に従って焦点検出画素の画素出力を補正する。
【0036】
補間判断処理部314は、ゲイン補正部313でゲイン補正された焦点検出画素の画素出力の適用割合を判断する。適用割合とは、例えばゲイン補正がされた焦点検出画素の画素出力と焦点検出画素の周辺の撮像画素の画素出力との重み付け加算の際の重み付け係数である。ここで、周辺の撮像画素とは、例えば焦点検出画素の周辺の同色(ベイヤ配列の場合には同一成分)の4個の撮像画素のことである。勿論、周辺の撮像画素の画素数は、4画素に限られない。また、適用割合は、例えば位相差検出画素の周辺の撮像画素の画素出力のばらつき(標準偏差)に従って判断される。
【0037】
補間処理部315は、補間判断処理部314で判断された適用割合に従ってゲイン補正部313でゲイン補正された焦点検出画素の画素出力とその周辺の撮像画素の画素出力とを重み付け加算する補間処理を行う。
【0038】
同時化処理部316は、例えばベイヤ配列に対応して撮像素子21を介して出力される撮像データ等の、1つの画素が1つの色成分に対応している撮像データを、1つの画素が複数の色成分に対応している画像データに変換する。輝度特性変換部317は、画像データの輝度特性(ガンマ特性)を、表示や記録に適するように変換する。エッジ強調処理部318は、画像データからバンドパスフィルタ等を用いて抽出したエッジ信号にエッジ強調係数を乗じ、この結果をもとの画像データに加算することによって、画像データにおけるエッジ(輪郭)成分を強調する。NR処理部319は、コアリング処理等を用いて、画像データにおけるノイズ成分を除去する。色再現処理部320は、画像データの色再現を適切なものとするための各種の処理を行う。この処理としては、例えばカラーマトリクス演算処理がある。カラーマトリクス演算処理は、画像データに対して、例えばホワイトバランスモードに応じたカラーマトリクス係数を乗じる処理である。この他、色再現処理部320は、彩度・色相の補正を行う。
【0039】
図4は、補間判断処理部314の構成を示す図である。補間判断処理部314は、高周波パターン検出部3141と、適用判断部3142とを有している。
【0040】
高周波パターン検出部3141は、撮像データにおける被写体像パターンが高周波である度合いを検出する。ゲイン適用判断部3142は、高周波パターン検出部3141で検出された被写体像パターンが高周波である度合いに基づいて、ゲイン補正部313でゲイン補正された焦点検出画素の画素出力の適用割合を算出する。被写体像パターンが高周波である度合いの検出手法及び適用割合の算出手法の詳細については後で説明する。
【0041】
次に、焦点検出画素を有する撮像素子において生じる位相差ずれについて
図5を参照して説明する。ここで、
図5(a)は、撮像画素21aにおける像の結像状態を示す。また、
図5(b)は、焦点検出画素21bにおける像の結像状態を示す。
【0042】
説明を簡単にするために被写体が点光源であり、撮影レンズ11が合焦状態であるとすると、被写体から出射され、撮影レンズ11の光軸中心に対して対称な異なる瞳領域を通過した対をなす被写体光束は撮像素子21上の同一の位置に結像される。このことは、撮像画素21aに形成される被写体像のピーク位置と焦点検出画素21bに形成される被写体像のピーク位置とが一致することを意味している。ここで、撮像画素21aについては、
図5(a)に示すように、異なる瞳領域を通過した対をなす被写体光束の両方が入射する。したがって、撮像画素21aについては、光量の低下がない。一方、焦点検出画素21bについては、
図5(b)に示すように、対をなす被写体光束の一方のみが撮像素子21に入射する。したがって、焦点検出画素21bについては、光量の低下が生じる。
【0043】
一方、撮影レンズ11が非合焦状態であるとき、被写体から出射され、撮影レンズ11の異なる瞳領域を通過した対をなす被写体光束は、撮像素子21上の異なる位置に結像する。すなわち、これらの対をなす被写体光束によって形成される被写体像の間には位相差が生じる。この位相差を右開口焦点検出画素と左開口焦点検出画素とのそれぞれで検出される被写体像の相関関係から検出することにより、撮影レンズ11のデフォーカス量及びデフォーカス方向が検出される。ここで、撮像画素21aについては、
図5(b)に示すように、異なる瞳領域を通過した被写体光束の両方が入射する。したがって、撮像画素21aについては、光量の低下は生じないものの異なる位置に入射する被写体光束によってぼけが生じる。一方、焦点検出画素21bについては、
図5(b)に示すように、対をなす被写体光束の一方のみが撮像素子21に入射する。この場合、撮像画素21aのようなぼけは生じないものの、ピーク位置が、撮影レンズ11が合焦状態である場合のピーク位置からずれることになる。本実施形態においては、このようなピーク位置がずれる現象を位相ずれと言うことにする。動画撮影時やライブビュー表示時に位相ずれが発生すると、位相ずれの影響がモアレとして画像として現れる。このようなモアレの影響を画像処理部31において補正する。
【0044】
以下、本実施形態の撮像装置の動作を説明する。
図6は、撮像装置による動画記録処理を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートの処理は、ROM43に記憶されているプログラムに基づいてCPU29によって実行される。また、
図6に示す処理は、静止画記録処理やライブビュー表示処理に対しても適用可能である。
【0045】
図6のフローチャートの処理が開始されると、CPU29は、撮像素子21による撮像(露光)を実行させる(ステップ101)。撮像により得られた画像信号は、予め設定された駆動モードに応じた読み出し方式に従って撮像素子21から読み出される。この読み出された画像信号は、A−AMP25で増幅され、ADC27においてデジタル化された後、撮像データとしてDRAM41に一時記憶される。
【0046】
次に、CPU29は、焦点検出処理を行う(ステップS102)。ここでは、CPU29は、焦点検出回路33に焦点検出処理を実行させる。焦点検出処理の実行指示を受けて、焦点検出回路33は、DRAM41に一時記憶された撮像データの中から、焦点検出画素に対応した画素データを読み出し、この画素データを用いて公知の位相差法によって撮影レンズ11のデフォーカス方向及びデフォーカス量を算出する。次に、CPU29は、焦点検出回路33により検出された撮影レンズ11のデフォーカス方向及びデフォーカス量に基づいて駆動部17を制御し、撮影レンズ11を合焦させる。
【0047】
焦点検出処理の後、CPU29は、画像処理部31による画像処理を実行させる。これを受けて画像処理部31のWB補正処理部311は、画素データに対してホワイトバランス補正処理を施す(ステップS103)。続いて、ゲイン量推定部312は、ゲイン推定処理を行う(ステップS104)。ゲイン量は、例えば焦点検出画素の画素出力とその焦点検出画素の周辺の同色の撮像画素の画素出力の比又は差から推定される。例えば、画素出力の比Dif_pは、以下の(式1)に従って算出される。
Dif_p=Gr1/Gr2 (式1)
(式1)のGr1が撮像画素の画素出力を示し、(式1)のGr2が焦点検出画素の画素出力を示している。ここで、撮像画素Gr1は、焦点検出画素による位相差の検出方向と直交する方向に配列された同色の撮像画素の画素出力である。例えば、ベイヤ配列の撮像素子の場合であって焦点検出画素が
図2と同様にGr画素に配置されているとすると、撮像画素Gr1は、例えば焦点検出画素Gr2の2画素だけ上方向又は下方向にずれた位置のGr画素である。勿論、画素ずらしの量は2画素に限られない。
【0048】
ゲイン推定処理の後、ゲイン補正部313は、ゲイン補正処理を行う(ステップS105)。ゲイン補正処理は、(式1)で得られた値を、各焦点検出画素の画素出力に乗じる補正である。この補正により、各焦点検出画素の画素出力における光量低下が補正される。
【0049】
ゲイン補正処理の後、補間判断処理部314の高周波パターン検出部3141は、撮像データにおける被写体像パターンが高周波である度合いを検出する高周波パターン検出処理を行う(ステップS106)。以下、高周波パターン検出処理の例を説明する。
【0050】
図7は、高周波パターン検出処理の例を説明するための図である。本実施形態における「被写体像パターンが高周波である度合いが高い」状態とは、被写体像にモアレ等に起因する繰り返しパターンが発生している状態のことを言う。このような状態を判断するため、高周波パターン検出部3141は、
図7(a)に示すように、補間処理の対象となる焦点検出画素Gr(AF)に対して位相差の検出方向である水平方向の同位置の2つの焦点検出画素Gr(AF)の画素、すなわち補間処理の対象となる焦点検出画素Gr(AF)の垂直方向に跨る焦点検出画素の画素出力の相加平均値を算出する。続いて、高周波パターン検出部3141は、補間処理の対象となる焦点検出画素Gr(AF)に対して位相差の検出方向である水平方向(右方向及び左方向)に沿って2画素ずらした位置にある別の焦点検出画素Gr(AF)の垂直方向に跨る2つの焦点検出画素Gr(AF)の画素出力の相加平均値を算出する。さらに、高周波パターン検出部3141は、前述の計算によって得られた3つの相加平均値を積算する。各相加平均値は、位相差の検出方向に対して垂直な方向で見た焦点検出画素の画素出力の平均の変化量を表す。そして、これらの相加平均値の積算した結果は、焦点検出画素に結像した被写体像のパターンを表す。
【0051】
続いて、高周波パターン検出部3141は、
図7(b)に示すように、補間処理の対象となる焦点検出画素Gr(AF)の周辺の(図では右斜め下の)撮像画素Gbの垂直方向に跨る撮像画素Gbの画素出力の相加平均値を算出する。さらに、高周波パターン検出部3141は、先に相加平均値を算出した撮像画素Gbに対して水平方向(右方向及び左方向)に沿って2画素ずらした位置にある撮像画素Gbの垂直方向に跨る2つの撮像画素Gbの画素出力の相加平均値を算出する。その後、高周波パターン検出部3141は、前述の計算によって得られた3つの相加平均値を積算する。各相加平均値は、位相差の検出方向に対して垂直な方向で見た撮像画素の画素出力の平均の変化量を表す。そして、これらの相加平均値の積算した結果は、撮像画素に結像した被写体像のパターンを表す。
【0052】
続いて、高周波パターン検出部3141は、焦点検出画素Gr(AF)について算出した積算値と撮像画素Gbについて算出した積算値との差分絶対値を、被写体像パターンが高周波である程度を示す評価値として算出する。この評価値は、焦点検出画素Gr(AF)における画素出力変化と撮像画素Gbにおける画素出力変化との間の差が大きいほど値が大きくなる。したがって、評価値は、値が大きいほどに被写体像パターンが高周波である、すなわち被写体像が繰り返しパターンである可能性が高いことを示す。繰り返しパターンの場合、焦点検出画素の画素出力変化とその周辺の撮像画素の画素出力変化との間に大きな差異があるので、周辺画素を用いて焦点検出画素の画素出力を補正してしまうと焦点検出画素の画素出力が周囲画素の影響を受けて大きな誤差が生じることになる。このため、本実施形態では、被写体像が高周波である度合いが高い場合には周辺画素を用いた補間処理の割合を減らすようにする。
【0053】
高周波パターン検出処理の後、補間判断処理部314の適用判断部3142は、ゲイン補正部313でゲイン補正された焦点検出画素の画素出力の適用割合を判断するためのゲイン適用判断処理を行う(ステップS107)。このゲイン適用判断処理に際し、適用判断部3142は、まず、位相差検出画素の周辺の撮像画素の画素出力のばらつき(標準偏差)に従って仮の適用割合を算出する。そして、適用判断部3142は、評価値が高いほどに、すなわち被写体像パターンが高周波である度合いが高いほどにゲイン補正された焦点検出画素の画素出力の適用割合が高くなるように、最終的な適用割合を決定する。例えば、評価値の大きさに対して線形にゲイン補正された焦点検出画素の画素出力の適用割合の大きさを変化させる。
【0054】
ゲイン適用判断処理の後、補間処理部315は、補間判断処理部314で判断された適用割合に従ってゲイン補正部313でゲイン補正された焦点検出画素の画素出力とその周辺の撮像画素の画素出力とを重み付け加算する補間処理を行う(ステップS108)。
【0055】
補間処理の後、画像処理部31は、補間処理以後の画像処理を実行する(ステップS109)。画像処理の終了後、CPU29は、画像処理の結果としてDRAM41に一時記憶された画像データを記録媒体45に記録する(ステップS110)。次に、CPU29は、動画記録を停止させるか否かを判定する(ステップS111)。ここでは、CPU29は、操作部19のレリーズ釦の操作状態を判定する。すなわち、レリーズ釦が再び押された場合に、CPU29は、動画記録を停止させると判定する。
【0056】
ステップS111において、動画記録を停止させないと判定した場合に、CPU29は、処理をステップS101に戻し、動画記録を続行する。一方、ステップS112において、動画記録を停止させると判定した場合に、CPU29は、
図6の処理を終了させる。
【0057】
以上説明したように本実施形態においては、焦点検出画素の周囲の被写体像パターンが高周波パターンである程度を判断し、被写体像パターンが高周波パターンである程度が高い場合には、焦点検出画素の周囲の撮像画素から補間出力に比してゲイン補正された焦点検出画素の画素出力の適用割合を高めるようにしている。これにより、被写体像が繰り返しパターンのときなどにおいて補間処理を適用してしまうことによる画質劣化を低減させることが可能である。
【0058】
ここで、本実施形態では、補間処理の対象となる焦点検出画素の2画素上及び2画素下の焦点検出画素の画素出力の相加平均値を算出している。しかしながら、補間処理の対象となる焦点検出画素からの画素ずらし量は2画素に限るものではない。例えば、ベイヤ配列の場合には4画素上及び4画素下の焦点検出画素の画素出力の平均値が算出されてもよい。ただし、焦点検出画素の垂直方向の画素ずらし量と撮像画素の垂直方向の画素ずらし量とは一致させることが望ましい。また、相加平均値を求める焦点検出画素が補間処理の対象となる焦点検出画素から水平方向にずらした別の焦点検出画素に跨る焦点検出画素であってもよい。
【0059】
また、本実施形態では、補間処理の対象となる焦点検出画素に対して水平方向1画素隣りの撮像画素に対し相加平均値を算出している。この水平方向の画素ずらし量も1画素に限るものではない。また、水平方向の画素ずらしの結果、相加平均値を求める撮像画素の色が焦点検出画素と異なってしまってもよいし、相加平均値を求める撮像画素が焦点検出画素になってしまってもよい。
【0060】
さらには、撮像素子21の駆動モード等の諸条件に応じて画素ずらし量を適応的に変化させてもよい。例えば、撮像素子21の駆動モードが動画記録用の駆動モードの時やライブビュー表示時には画素ずらし量を減らすことで、被写体像パターンが高周波である程度を精度よく判断可能である。
【0061】
また、本実施形態では、垂直方向に配列された画素同士の画素出力の相加平均値を算出するようにしている。これは、位相差の検出方向が水平方向であるためである。例えば、位相差の検出方向が垂直方向である場合には、水平方向に配列された画素同士の相加平均値を算出することによって、被写体像パターンが高周波である程度が判断される。すなわち、位相差の検出方向に対して垂直な方向に配列される画素同士の相加平均値が算出されればよい。
【0062】
さらに、本実施形態では、被写体像パターンが高周波である程度を判断するために、位相差の検出方向に対して垂直な方向に配列される画素同士の相加平均値を算出しているが、相乗平均値などであってもよい。また、評価値も差分絶対値でなく、差分二乗値であってもよい。このように、評価値等は四則演算を適宜組み合わせることによって算出される。
【0063】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。また、前述の各動作フローチャートの説明において、便宜上「まず」、「次に」等を用いて動作を説明しているが、この順で動作を実施することが必須であることを意味するものではない。
【0064】
また、上述した実施形態による各処理は、CPU29に実行させることができるプログラムとして記憶させておくこともできる。この他、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フロッピディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の外部記憶装置の記憶媒体に格納して配布することができる。そして、CPU29は、この外部記憶装置の記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、この読み込んだプログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行することができる。
【0065】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。