特許第5775959号(P5775959)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5775959画像予測符号化方法、画像予測符号化装置、画像予測符号化プログラム、画像予測復号方法、画像予測復号装置及び画像予測復号プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5775959
(24)【登録日】2015年7月10日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】画像予測符号化方法、画像予測符号化装置、画像予測符号化プログラム、画像予測復号方法、画像予測復号装置及び画像予測復号プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/463 20140101AFI20150820BHJP
   H04N 19/593 20140101ALI20150820BHJP
【FI】
   H04N19/463
   H04N19/593
【請求項の数】6
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-227206(P2014-227206)
(22)【出願日】2014年11月7日
(62)【分割の表示】特願2011-4293(P2011-4293)の分割
【原出願日】2011年1月12日
(65)【公開番号】特開2015-27116(P2015-27116A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2014年11月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】ブン チュンセン
(72)【発明者】
【氏名】瀧上 順也
(72)【発明者】
【氏名】タン ティオ ケン
【審査官】 坂東 大五郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−530184(JP,A)
【文献】 特表2005−529527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00−19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像を複数のブロックに分割する領域分割手段と、
前記複数のブロックに対し処理対象である対象ブロックに含まれる画素信号に対し、複数の予測方法から差分値の最も小さい最適予測モードを決定し、前記最適予測モードに従い予測信号を生成する予測信号生成手段と、
前記対象ブロックの画素信号と前記予測信号との残差信号を求める残差信号生成手段と、
前記残差信号を符号化し圧縮信号を生成する信号符号化手段と、
前記最適予測モードを符号化する予測モード符号化手段と、
前記圧縮信号を復元し、再生画素信号として格納する格納手段と、を備える画像予測符号化装置であって、
前記予測モード符号化手段は、前記対象ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分に加えて、重複する予測モードが前記成分として含まれない候補予測モードリストを生成し、前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを符号化する、
ことを特徴とする画像予測符号化装置。
【請求項2】
画像予測符号化装置によって実行される画像予測符号化方法であり、
入力画像を複数のブロックに分割する領域分割ステップと、
前記複数のブロックに対し処理対象である対象ブロックに含まれる画素信号に対し、複数の予測方法から差分値の最も小さい最適予測モードを決定し、前記最適予測モードに従い予測信号を生成する予測信号生成ステップと、
前記対象ブロックの画素信号と前記予測信号との残差信号を求める残差信号生成ステップと、
前記残差信号を符号化し圧縮信号を生成する信号符号化ステップと、
前記最適予測モードを符号化する予測モード符号化ステップと、
前記圧縮信号を復元し、再生画素信号として格納する格納ステップと、を備える画像予測符号化方法であって、
前記予測モード符号化ステップでは、前記対象ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分に加えて、重複する予測モードが前記成分として含まれない候補予測モードリストを生成し、前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを符号化する、
ことを特徴とする画像予測符号化方法。
【請求項3】
画像を複数のブロックに分割し、前記ブロックを予測符号化することにより生成された残差信号及び前記ブロックの予測信号の生成方法を示す予測モードに関する符号化情報と、を含む圧縮画像データを入力する入力手段と、
前記圧縮画像データの中から前記ブロックの残差信号を抽出し、再生残差信号に復元する復元手段と、
前記予測モードに関する符号化情報を復元し、最適予測モードを生成する予測モード復号手段と、
前記最適予測モードに基づいて前記ブロックの予測信号を生成する予測信号生成手段と、
前記予測信号と前記再生残差信号とを加算することによって、前記ブロックの画素信号を復元する画像復元手段と、
前記復元された画素信号を、再生画素信号として格納する格納手段と、を備えることを特徴とする画像予測復号装置であって、
前記予測モード復号手段は、
前記ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分に加えて、重複する予測モードが前記成分として含まれない候補予測モードリストを生成し
前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを復号する、
ことを特徴とする画像予測復号装置。
【請求項4】
画像予測復号装置によって実行される画像予測復号方法であり、
画像を複数のブロックに分割し、前記ブロックを予測符号化することにより生成された残差信号及び前記ブロックの予測信号の生成方法を示す予測モードに関する符号化情報と、を含む圧縮画像データを入力する入力ステップと、
前記圧縮画像データの中から前記ブロックの残差信号を抽出し、再生残差信号に復元する復元ステップと、
前記予測モードに関する符号化情報を復元し、最適予測モードを生成する予測モード復号ステップと、
前記最適予測モードに基づいて前記ブロックの予測信号を生成する予測信号生成ステップと、
前記予測信号と前記再生残差信号とを加算することによって、前記ブロックの画素信号を復元する画像復元ステップと、
前記復元された画素信号を、再生画素信号として格納する格納ステップと、を備えることを特徴とする画像予測復号方法であって、
前記予測モード復号ステップは、
前記ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分に加えて、重複する予測モードが前記成分として含まれない候補予測モードリストを生成するサブステップと、
前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを復号するサブステップと、
を含む、
ことを特徴とする画像予測復号方法。
【請求項5】
コンピュータを、
入力画像を複数のブロックに分割する領域分割手段と、
前記複数のブロックに対し処理対象である対象ブロックに含まれる画素信号に対し、複数の予測方法から差分値の最も小さい最適予測モードを決定し、前記最適予測モードに従い予測信号を生成する予測信号生成手段と、
前記対象ブロックの画素信号と前記予測信号との残差信号を求める残差信号生成手段と、
前記残差信号を符号化し圧縮信号を生成する信号符号化手段と、
前記最適予測モードを符号化する予測モード符号化手段と、
前記圧縮信号を復元し、再生画素信号として格納する格納手段、
として機能させるための画像予測符号化プログラムであって、
前記予測モード符号化手段は、前記対象ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分に加えて、重複する予測モードが前記成分として含まれない候補予測モードリストを生成し、前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを符号化する、
ことを特徴とする画像予測符号化プログラム。
【請求項6】
コンピュータを、
画像を複数のブロックに分割し、前記ブロックを予測符号化することにより生成された残差信号及び前記ブロックの予測信号の生成方法を示す予測モードに関する符号化情報と、を含む圧縮画像データを入力する入力手段と、
前記圧縮画像データの中から前記ブロックの残差信号を抽出し、再生残差信号に復元する復元手段と、
前記予測モードに関する符号化情報を復元し、最適予測モードを生成する予測モード復号手段と、
前記最適予測モードに基づいて前記ブロックの予測信号を生成する予測信号生成手段と、
前記予測信号と前記再生残差信号とを加算することによって、前記ブロックの画素信号を復元する画像復元手段と、
前記復元された画素信号を、再生画素信号として格納する格納手段、
として機能させるための画像予測復号プログラムであって、
前記予測モード復号手段は、
前記ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分に加えて、重複する予測モードが前記成分として含まれない候補予測モードリストを生成し
前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを復号する、
ことを特徴とする画像予測復号プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像予測符号化・復号方法及び装置、プログラムに関するもので、とりわけ、画面内の信号を用いて予測符号化・復号する方法・装置及びプログラムにかかわるものである。
【背景技術】
【0002】
静止画像や動画像データの伝送や蓄積を効率よく行うために、圧縮符号化技術が用いられる。動画像の場合ではMPEG1〜4やH.261〜H.264の方式が広く用いられている。
【0003】
これらの符号化方式では、符号化の対象となる画像を複数のブロックに分割した上で符号化・復号処理を行う。MPEG4やH.264においては、符号化効率をさらに高めるため、画面内の予測符号化については、対象ブロックと同じ画面内にある隣接する既再生の画素信号(圧縮された画像データを復元されたもの)を用いて予測信号を生成した上で、それを対象ブロックの信号から引き算した差分信号を符号化する。画面間の予測符号化については、対象ブロックと異なる画面にある別の既再生の画像信号を参照し、動きの補正を行ない、予測信号を生成し、生成された予測信号を対象ブロックの信号から引き算した差分信号を符号化する。
【0004】
具体的には、H.264の画面内予測符号化では、符号化の対象となるブロックに隣接する既再生の画素値を所定の方向に外挿して予測信号を生成する方法を採用している。図13はH.264に用いられる画面内予測方法を説明するための模式図である。図13(A)においてブロック1302は対象ブロックであり、その対象ブロックの境界に隣接する画素A〜M(1301)からなる画素群は隣接領域であり、過去の処理において既に再生された画像信号である。この場合、対象ブロック1302の真上にある隣接画素(A〜D)を下方に複製して予測信号を生成する。また図13(B)では、対象ブロック1304の左にある既再生画素(I〜L)を右に複製して予測信号を生成する。予測信号を生成する具体的な方法はたとえば特許文献1に記載されている。このように図13(A)から(I)に示す方法で生成された9つの予測信号のそれぞれを対象ブロックの画素信号との差分をとり、差分値が最も小さいものを最適の予測方法とする。これらの外挿方法は図14のようにまとめることができる。図14の矢印は既再生の画素を引き伸ばす方向を示し、各方向に記している番号は夫々の予測モードの識別番号である。また周辺の既再生の画素の平均で予測する識別番号は2であり、図14ではDCと示している。この識別番号は、画面内予測方法に関する識別情報、またはモード情報、または単に予測モードともいう。
【0005】
画面内予測されるブロックの予測モードを送信側に送る必要がある。その際、対象ブロックの上に隣接するブロックと左に隣接するブロックのそれぞれが有する画面内予測モードを参考に、対象ブロックの画面内予測モードを符号化する。すなわち、上に隣接するブロックと左に隣接するブロックの画面内予測モードを比較し、値の小さいものを参照モード情報(最確モード(most probable mode))として決定する。対象ブロックの画面内予測モードはこの参照モード情報をもとに符号化する。
【0006】
具体的には、対象ブロックの画面内予測モードが参照モード情報と同じかどうかを示すシンボルを符号化する。当該シンボルが1の場合は、対象ブロックの画面内予測モードが参照モード情報と同じである。当該シンボルが0の場合は、対象ブロックの画面内予測モードに関する情報を符号化する。但し、対象ブロックの画面内予測モードを示す番号が、参照モード情報の番号よりも大きい場合は、対象ブロックの画面内予測モードを示す番号から1を引いた上で符号化する。
【0007】
再生側では、画面内予測された対象ブロックにおいて、まずは前記のシンボルを復号する。当該シンボルが1の場合は、対象ブロックの画面内予測モードを参照モード情報と同じであることを意味する。当該シンボルが0の場合は、さらに画面内予測モードに関する情報を復号する。但し、復号された予測モードの番号が参照モード情報と同じまたは大きい場合は、1を加算した上で、対象ブロックの画面内予測モードとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許公報第6765964号.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来技術よりも多くの画面内予測モードを設けることにより画面内予測の精度が向上することがわかっている。すなわち、図14に示されている9つのモードに加えて、中間の角度(方向)から予測信号を外挿する選択肢があったほうが効果的である。
【0010】
ところが、予測方法を増やすことにより、従来技術による画面内予測方法を特定するための識別情報(予測モード)の符号化効率が低下してしまう課題がある。
【0011】
その理由として、画面内予測モードの数が増えることにより、統計的に対象ブロックの予測モードが参照モード情報(最確モード)と一致する確率は低下してしまうからである。それに加えて、参照モード情報と一致しない場合における予測モードそのものの符号化も、画面内予測モードの数が多いため、より多くのビット数が必要となる。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決し、画面内予測信号生成の方法において一層多くの予測モードが設けられた場合、対象ブロックの画面内予測方法を識別するためのモード情報を効率よく符号化する方法、装置及びプログラムを提供することを目的とする。また、本発明は、符号化されたモード情報を効率よく復号する方法、装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像予測符号化装置は、入力画像を複数のブロックに分割する領域分割手段と、前記複数のブロックに対し処理対象である対象ブロックに含まれる画素信号に対し、複数の予測方法から差分値の最も小さい最適予測モードを決定し、前記最適予測モードに従い予測信号を生成する予測信号生成手段と、前記対象ブロックの画素信号と前記予測信号との残差信号を求める残差信号生成手段と、前記残差信号を符号化し圧縮信号を生成する信号符号化手段と、前記最適予測モードを符号化する予測モード符号化手段と、前記圧縮信号を復元し、再生画素信号として格納する格納手段と、を備える画像予測符号化装置であって、前記予測モード符号化手段は、前記対象ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分とする候補予測モードリストを生成し、前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを符号化する、ことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像予測符号化方法は、画像予測符号化装置によって実行される画像予測符号化方法であり、入力画像を複数のブロックに分割する領域分割ステップと、前記複数のブロックに対し処理対象である対象ブロックに含まれる画素信号に対し、複数の予測方法から差分値の最も小さい最適予測モードを決定し、前記最適予測モードに従い予測信号を生成する予測信号生成ステップと、前記対象ブロックの画素信号と前記予測信号との残差信号を求める残差信号生成ステップと、前記残差信号を符号化し圧縮信号を生成する信号符号化ステップと、前記最適予測モードを符号化する予測モード符号化ステップと、前記圧縮信号を復元し、再生画素信号として格納する格納ステップと、を備える画像予測符号化方法であって、前記予測モード符号化ステップでは、前記対象ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分とする候補予測モードリストを生成し、前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを符号化する、ことを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像予測復号装置は、画像を複数のブロックに分割し、前記ブロックを予測符号化することにより生成された残差信号及び前記ブロックの予測信号の生成方法を示す予測モードに関する符号化情報と、を含む圧縮画像データを入力する入力手段と、前記圧縮画像データの中から前記ブロックの残差信号を抽出し、再生残差信号に復元する復元手段と、前記予測モードに関する符号化情報を復元し、最適予測モードを生成する予測モード復号手段と、前記最適予測モードに基づいて前記ブロックの予測信号を生成する予測信号生成手段と、前記予測信号と前記再生残差信号とを加算することによって、前記ブロックの画素信号を復元する画像復元手段と、前記復元された画素信号を、再生画素信号として格納する格納手段と、を備えることを特徴とする画像予測復号装置であって、前記予測モード復号手段は、前記ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分とする候補予測モードリストを生成し、前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを復号する、ことを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像予測復号方法は、画像予測復号装置によって実行される画像予測復号方法であり、画像を複数のブロックに分割し、前記ブロックを予測符号化することにより生成された残差信号及び前記ブロックの予測信号の生成方法を示す予測モードに関する符号化情報と、を含む圧縮画像データを入力する入力ステップと、前記圧縮画像データの中から前記ブロックの残差信号を抽出し、再生残差信号に復元する復元ステップと、前記予測モードに関する符号化情報を復元し、最適予測モードを生成する予測モード復号ステップと、前記最適予測モードに基づいて前記ブロックの予測信号を生成する予測信号生成ステップと、前記予測信号と前記再生残差信号とを加算することによって、前記ブロックの画素信号を復元する画像復元ステップと、前記復元された画素信号を、再生画素信号として格納する格納ステップと、を備えることを特徴とする画像予測復号方法であって、前記予測モード復号ステップは、前記ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分とする候補予測モードリストを生成するサブステップと、前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを復号するサブステップと、を含む、ことを特徴とする。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像予測符号化プログラムは、コンピュータを、入力画像を複数のブロックに分割する領域分割手段と、前記複数のブロックに対し処理対象である対象ブロックに含まれる画素信号に対し、複数の予測方法から差分値の最も小さい最適予測モードを決定し、前記最適予測モードに従い予測信号を生成する予測信号生成手段と、前記対象ブロックの画素信号と前記予測信号との残差信号を求める残差信号生成手段と、前記残差信号を符号化し圧縮信号を生成する信号符号化手段と、前記最適予測モードを符号化する予測モード符号化手段と、前記圧縮信号を復元し、再生画素信号として格納する格納手段、として機能させるための画像予測符号化プログラムであって、前記予測モード符号化手段は、前記対象ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分とする候補予測モードリストを生成し、前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを符号化する、ことを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像予測復号プログラムは、コンピュータを、画像を複数のブロックに分割し、前記ブロックを予測符号化することにより生成された残差信号及び前記ブロックの予測信号の生成方法を示す予測モードに関する符号化情報と、を含む圧縮画像データを入力する入力手段と、前記圧縮画像データの中から前記ブロックの残差信号を抽出し、再生残差信号に復元する復元手段と、前記予測モードに関する符号化情報を復元し、最適予測モードを生成する予測モード復号手段と、前記最適予測モードに基づいて前記ブロックの予測信号を生成する予測信号生成手段と、前記予測信号と前記再生残差信号とを加算することによって、前記ブロックの画素信号を復元する画像復元手段と、前記復元された画素信号を、再生画素信号として格納する格納手段、として機能させるための画像予測復号プログラムであって、前記予測モード復号手段は、前記ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分とする候補予測モードリストを生成し、前記候補予測モードリストに前記最適予測モードに該当する成分があるかどうかを示すフラグを復号する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明は、以下の態様を採用してもよい。
【0020】
本発明に係る画像予測符号化方法は、入力画像を複数のブロックに分割する領域分割ステップと、複数のブロックに対し処理対象である対象ブロックに含まれる画素信号に対し、複数の予測方法から差分値の最も小さい最適予測モードを決定し、最適予測モードに従い予測信号を生成する予測信号生成ステップと、対象ブロックの画素信号と予測信号との残差信号を求める残差信号生成ステップと、残差信号を符号化し圧縮信号を生成する信号符号化ステップと、最適予測モードを符号化する予測モード符号化ステップと、圧縮信号を復元し、再生画素信号として格納する格納ステップと、を具備し、予測モード符号化ステップでは、対象ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分とする候補予測モードリストを生成し、候補予測モードリストに最適予測モードが該当する成分があるかどうかを示すフラグを符号化し、該当する成分がある場合は候補予測モードリストにある該当する成分へのインデックスをさらに符号化し、該当する成分がない場合は、候補予測モードリストにある各成分を取り除いた番号付けで最適予測モードを符号化することを含むことを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る画像予測復号方法は、画像を複数のブロックに分割し対象ブロックを予測符号化することにより生成された残差信号及び対象ブロックの予測信号の生成方法を示す予測モードに関する符号化情報を含む圧縮画像データを入力する入力ステップと、圧縮画像データの中から対象ブロックの残差信号を抽出し、再生残差信号に復元する復元ステップと、予測モードに関する符号化情報を復元し、最適予測モードを生成する予測モード復号ステップと、最適予測モードに基づいて対象ブロックの予測信号を生成する予測信号生成ステップと、予測信号と再生残差信号とを加算することによって、対象ブロックの画素信号を復元する画像復元ステップと、復元された画素信号を、再生画素信号として格納する格納ステップと、を具備し、予測モード復号ステップは、対象ブロックに隣接する複数の既再生ブロックの最適予測モードを成分とする候補予測モードリストを生成し、候補予測モードリストに最適予測モードが該当する成分があるかどうかを示すフラグを復号し、当該フラグが「該当する成分がある」と示す場合は候補予測モードリストに指すインデックスをさらに復号し、そのインデックスの指す成分を最適予測モードとし、当該フラグが「該当する成分がない」と示す場合は、REMモードに関する情報をさらに復号し、候補予測モードリストに基づいて変換されたREMモードの値を最適予測モードとすることを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来技術よりも多くの画面内予測モードで画面内予測を行う画像予測符号化方法において、対象ブロックの予測モード情報を符号化する際に、複数個の予測モードからなる候補予測モードリストを用意し、その中から対象ブロックの予測モードと一致する成分の識別子を符号化するため、対象ブロックの予測モードと一致する成分の出現確率が高くなり、より少ないビット数で予測モード情報を符号化することができる。言い換えれば、従来ではひとつの「最確モード」しかないのに対し、本発明では複数の「最確モード」が用意されているため、対象ブロックの予測モードと一致する「最確モード」が出現する確率が高くなる効果がある。
【0023】
また、対象ブロックの予測モードが候補予測モードリストに存在しない場合は、対象ブロックの予測モードそのものを符号化するが、候補予測モードリストに含まれている複数の予測モードを取り除き、残った予測モードで改めて識別番号を割り当てて用いるため、対象ブロックの予測モードをより小さい数値で表せることになり、より短いビット長で符号化することができる。
【0024】
すなわち、本発明によれば、従来技術よりも多くの画面内予測モードで画面内予測を行う場合において、より効率よく予測モードに関する情報を符号化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態による画像予測符号化装置を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態による画像予測符号化装置に用いられる画面内予測モードに対応する画素外挿方向を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態による画面内予測モード符号化器の処理を示す流れ図である。
図4】本発明の実施形態による画面内予測モードの符号化処理を説明するための例を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態による画面内予測モード符号化器の処理(図3)におけるREMモード番号の生成処理(ステップ360)を示す流れ図である。
図6】本発明の実施形態による画面内予測モード符号化器の処理(図3)におけるREMモード番号の生成処理を説明するための模式図である。
図7】本発明の実施形態による画像予測復号装置を示すブロック図である。
図8】本発明の実施形態による画面内予測モード復号器の処理を示す流れ図である。
図9】本発明の実施形態による画面内予測モード復号器の処理(図8)における対象ブロックの予測モードの生成処理(ステップ860)を示す流れ図である。
図10】本発明の実施形態による画面内予測モード符号化方法の処理を、候補予測モードが2つの場合について、説明するための模式図である。
図11】記録媒体に記録されたプログラムを実行するためのコンピュータのハードウェア構成を示す図である。
図12】記録媒体に記憶されたプログラムを実行するためのコンピュータの斜視図である。
図13】従来技術による対象ブロックの予測信号を生成する方法を示す模式図である。
図14】従来技術による対象ブロックの予測信号を生成する複数の方法を1つにまとめたときの模式図である。
図15】画像予測符号化プログラムのモジュールを示すブロック図である。
図16】画像予測復号プログラムのモジュールを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図1から図12を用いて説明する。
【0027】
図1は本発明の実施形態による画像予測符号化装置を示すブロック図である。画像予測符号化装置は、入力端子101、ブロック分割器102、画面間予測信号生成方法決定器103、画面間予測信号生成器104、画面内予測信号生成方法決定器105、画面内予測信号生成器106、切り替えスイッチ109、減算器110、変換器111、量子化器112、逆量子化器113、逆変換器114、加算器115、フレームメモリ116、画面内予測モード符号化器117、エントロピー符号化器118、及び出力端子119を備える。
【0028】
以上のように構成された画像予測符号化装置について、以下その動作を述べる。複数枚の画像からなる動画像の信号は入力端子101に入力される。符号化の対象となる画像はブロック分割器102にて、複数の領域に分割される。本発明による実施形態では、8×8の画素からなるブロックに分割されるが、それ以外のブロックの大きさまたは形に分割してもよい。次に符号化処理の対象となる領域(以下「対象ブロック」とよぶ)に対して、予測信号を生成する。本発明による実施形態では、画面間予測と画面内予測の2種類の予測方法が用いられる。
【0029】
画面間予測では、表示時間が対象画像と異なり過去に符号化されたのちに復元された再生画像を参照画像として、この参照画像から対象ブロックに対する誤差の最も小さい予測信号を与える動き情報を求める。また場合に応じて、対象ブロックを再分割し、再分割された小領域に対し画面間予測方法を決定してもよい。この場合、各種の分割方法の中から、対象ブロック全体に対し最も効率のよい分割方法及び対応する動き情報を決定する。本発明による実施形態では、この処理は画面間予測信号生成方法決定器103にて行われ、対象ブロックはラインL102経由で、参照画像はL119経由で入力される。参照画像としては、過去に符号化され復元された複数の画像を参照画像として用いる。詳細は従来の技術であるMPEG−2,4、H.264のうちいずれかの方法と同じである。このように決定された動き情報及び小領域の分割方法は、ラインL104を経由して画面間予測信号生成器104に送られる。またこれらの情報はラインL103経由でエントロピー符号化器118に送られ符号化した上で出力端子119から送出される。画面間予測信号生成器104では、小領域の分割方法及びそれぞれの小領域に対応する動き情報をもとにフレームメモリ116(ラインL119経由)から参照信号を取得し、予測信号を生成する。このように生成された画面間予測信号は端子107経由で次の処理ブロックに送られる。
【0030】
画面内予測では、対象ブロックに同じ画面内に隣接する既再生の画素値を用いて画面内予測信号を生成する。画面内予測信号を生成する方法は、画面内予測信号生成方法決定器105にて決定される。画面内予測信号生成方法決定器105の処理は後に説明する。このように決定された画面内予測方法に関する情報(予測モード)はラインL106経由で画面内予測信号生成器106に送られる。またこれらの画面内予測方法に関する情報(予測モード)はラインL105経由で画面内予測モード符号化器117に送られる。画面内予測モード符号化器117の処理については後に説明する。その処理結果はエントロピー符号化器118に送られ符号化した上で出力端子119から送出される。画面内予測信号生成器106では、予測方法に関する情報をもとにフレームメモリ116(ラインL116経由)から同じ画面内にある隣接する既再生の画素信号を取得し、所定の方法で予測信号を生成する。このように生成された画面内予測信号は端子108経由で次の処理ブロックに送られる。
【0031】
上述のように求められた画面間予測信号と画面内予測信号に対し、切り替えスイッチ109によって誤差の最も小さいものが選択され、減算器110に送られる。但し、一枚目の画像については過去の画像がないことにより、全ての対象ブロックは画面内予測で処理される。この場合、当該画像を処理する際には切り替えスイッチ109は常に端子108に接続される。なお、下記に述べる画面内予測方法及び画面内予測モード符号化方法は静止画像の符号化・復号にも適用できる。
【0032】
減算器110にて対象ブロックの信号(ラインL102経由)から予測信号(ラインL109経由)を引き算し、残差信号を生成する。この残差信号は変換器111にて離散コサイン変換され、その各係数は量子化器112にて量子化される。最後にエントロピー符号化器118にて量子化された変換係数を符号化して、予測方法に関する情報(予測モード)などとともに出力端子119より送出される。
【0033】
後続する対象ブロックに対する画面内予測もしくは画面間予測を行うために、圧縮された対象ブロックの信号を逆処理し復元する必要がある。すなわち、量子化された変換係数は逆量子化器113にて逆量子化されたのちに逆変換器114にて逆離散コサイン変換され、残差信号を復元する。加算器115にて復元された残差信号とラインL109から送られた予測信号とを加算し、対象ブロックの画素信号を再生し、フレームメモリ116に格納する。
【0034】
次に、本発明に用いられる画面内予測信号生成方法決定器105について説明する。図2は、本発明の実施形態に用いられる画面内予測モードに対応する画素外挿方向を示す模式図である。本実施形態においては、合計16個の方法で画面内予測信号を生成する。図2にある番号は、画面内予測方法を識別するための識別番号であり、予測モード情報または単位予測モードという。各予測モード(0番から15番)については、図2の矢印の示す方向で、対象ブロックに隣接する既再生の画素信号を外挿し画面内予測信号を生成する。予測モード0から8についての具体的な外挿方法は図13に示されており、算出方法は特許文献1に記載されている。予測モード9から15についても同様に、周囲の既再生画素信号を線形補間し、矢印の方向で補間された値を複製することにより画面内予測信号を生成する。本実施形態では、16個の画面内予測方法を用いているが、それ以外の個数の予測モードや予測信号を生成する方法を用いる場合でも、本発明による予測モードの符号化・復号方法を適用することができる。
【0035】
画面内予測信号生成方法決定器105では、これらの16個の予測モードに基づいて16個の画面内予測信号を生成し、それぞれについて、ラインL102経由で送られる対象ブロックの画素信号との差分を求める。最も小さい差分値を与える予測モードを対象ブロックの画面内予測モードとして決定する。
【0036】
上述したように、対象ブロックに対して(切り替えスイッチ109によって)画面内予測と画面間予測のいずれかが選択されるが、画面内予測が選択された場合に、対象ブロックの画面内予測モードは、画面内予測モード符号化器117にて処理される。本発明による画面内予測モードの符号化方法では、過去に符号化されたブロックの画面内予測モード(識別番号)を用いる必要があり、過去に符号化されたブロックの画面内予測モード(識別番号)を格納するため、画面内予測モード符号化器117は格納メモリ(不図示)を具備している。
【0037】
図3は本発明の実施形態による画面内予測モード符号化器117の処理を示す流れ図である。ステップ310では、まず候補予測モードのリストを生成する。このリストの成分として、対象ブロックの周辺にある既再生された複数のブロックの予測モードが用いられる。本実施形態では、図4に示される対象ブロック400に隣接する周辺既再生のブロック410〜450が保有する予測モードが、候補予測モードリストの成分となる。図6(A)は候補予測モードリストの一例であり、各升目の数値は各周辺ブロック(410〜450)に対応する予測モードの識別番号を示す。この例では、周辺ブロック(410〜450)はそれぞれ異なる予測モードをもつが、同じ予測モードが出現する場合はそれを1つの成分として取り扱われる。例えば、ブロック410と420が同じ予測モードをもつ場合は、候補予測モードリストの成分の個数は5つではなくて、4つになる。すなわち、候補予測モードリストの成分の数は最大5つで、最小1つとなる場合がある。特に対象ブロックに隣接する周辺ブロックが画面「間」予測された場合は、画面内予測のモードは存在しない。本実施形態では、モード2(DC予測)を候補予測モードリストの唯一の成分とする。なお、図6(A)では、候補予測モードリストの成分の値が大きくなる順に並べているが、小さくなる順に候補予測モードリストを構成してもよい。なお、後続ブロックの予測モードを符号化する際の候補予測モードリストを構成するため、画面内予測モード符号化器117は、現対象ブロックの予測モードを、前述した格納メモリに格納しておく。
【0038】
次にステップ320にて、対象ブロックの画面内予測モードと候補予測モードリストの各成分とを比較し、一致する成分があるかどうかを調べる。
【0039】
候補予測モードリストに対象ブロックの画面内予測モードが見つかる場合は、ステップ330に進む。ここでは、「1」と符号化する。この「1」は対象ブロックの画面内予測モードが候補予測モードリストに含まれていることを示す。次に対象ブロックの予測モードと一致する候補予測モードリストにある成分への識別子(インデックス)を符号化する(ステップ340)。本実施形態では、図6(A)の左より各升目のインデックスにそれぞれ0、1、2、3、4を割り当て、対象ブロックの予測モードが「8」の場合はインデックスとして2を符号化する。これらのインデックスは一進法符号(unary符号)で符号化する。すなわち、(0,1,2,3,4)は(0, 01, 001, 0001, 00001)の各符号を割り当てる。なお、最大のインデックスの符号の最後のビットを切り捨ててもよい。つまり、「4」の符号「00001」は「0000」としてよい。また、他の方法として固定長符号で符号化してもよい。その場合、候補予測モードリストのサイズ(成分の個数)によって固定符号の符号長を変えてもよい。例えば候補予測モードリストのサイズが4の場合は2ビット、サイズが2の場合は1ビットで符号化することになる。候補予測モードリストのサイズ(成分の個数)に基づいたインデックスの符号化が効率的である。
【0040】
ステップ320にて候補予測モードリストに対象ブロックの画面内予測モードがない場合は、ステップ350に進む。ここでは、「0」と符号化する。この「0」は対象ブロックの画面内予測モードが候補予測モードリストに含まれていないことを示す。この場合、対象ブロックの予測モードを符号化する必要がある。本実施形態では対象ブロックの予測モードを「REMモード」として符号化する。候補予測モードリストには、対象ブロックの予測モードがないことがわかっているので、予測モードのもとの識別番号ではなくて、候補予測モードリストにある各成分を取り除いた、残りの予測モードに改めて割り当てられた識別番号を符号化することになる。図6を用いて説明する。図6(A)は候補予測モードリストの各成分を示し、対象ブロックの予測モードに該当するものはない。そこで、これらの予測モードを取り除いた残りの予測モードは図6(B)に示される。この図6(B)の左より各升目にそれぞれ0、1、2、3、4...を割り当てなおした結果は、図6(C)に示される。例えば、対象ブロックの予測モードが「9」の場合、「9」を符号化するのではなくて、図6(B)の「9」は図6(C)にて「6」に割り当てなおされたため、「6」をREMモードとして符号化する。すなわち、同じ対象ブロックの予測モードをより小さい数値、すなわち少ないビット数で符号化することができる。このように予測モードの識別番号を割り当てなおすことは図3のステップ360で行われる。
【0041】
ステップ360の別の実施方法を図5に示す。ステップ510にて、REMモードとして、決定された対象ブロックの画面内予測モードの識別番号が代入される。ステップ520では、候補予測モードリストにおいてまだ比較に使用されていない成分の中で番号の最も大きい成分をXとする。ステップ530では、REMモードとXとを比較する。REMモードがXより大きい場合はステップ540にてREMモードの値を1減らす。ステップ550にて候補予測リストに未比較の成分があるかどうか確認し、ある場合はステップ520に戻り、ない場合は終了とする。
【0042】
図5の処理の変形として、ステップ520では最も小さい成分をXとし、ステップ530では「対象ブロックの画面内予測モード≦X?」としても同じ結果が得られる。この場合「対象ブロックの画面内予測モード≦X?」が否となれば即に終了することになる。
【0043】
このように生成されたREMモードの値は、ステップ370にて符号化される。本実施形態では固定長符号を用いて符号化されるが、可変長符号で符号化してもよい。これらの符号長は、候補予測モードリストの補集合の成分の個数に基づいてもよい。
【0044】
本実施形態では、候補予測モードリストのサイズS(成分の個数)が最大5の場合について説明したが、Sは任意の数値でもよい。但し符号化装置と復号装置は同じ方法でこのリストを生成する必要がある。図4の対象ブロック400の上(420)と左(440)のブロックの予測モードで候補予測モードリストを生成する場合はS=2となる。この場合、候補予測モードリストは2種類ある。周辺のブロック2つとも画面内予測された場合はリストの成分は2、周辺のブロックのひとつのみが画面内予測された場合はリストの成分は1である。リスト成分が1の場合は図10(A)、リスト成分が2の場合は図10(B)に示される。
【0045】
図10(A)のノード80は候補予測モードリストの中に対象ブロックの予測モードに一致するものがあるかないかを示す。一致するものがない場合はREMモードを符号化する(82)。一致するものがある場合(81)は、リストにひとつの成分しかないため、インデックスを符号化する必要はない。図10(B)は同様に、リストに一致するものがない場合はREMモードを符号化する(94)。一致するものがある場合(91)は、2つの成分があるため、第1と第2候補のうちどれと一致するかを示すインデックスを符号化する。
【0046】
次に、本発明による画像予測復号方法について説明する。図7は本発明の実施形態による画像予測復号装置を示すブロック図である。画像予測復号装置は、入力端子700、データ解析器701、逆量子化器702、逆変換器703、加算器704、予測信号生成器705、フレームメモリ706、画面内予測モード復元器707、及び出力端子708を備える。
【0047】
以上のように構成された画像予測復号装置について、以下その動作を述べる。上述した方法で圧縮符号化された圧縮データは入力端子700から入力される。この圧縮データには、画像を複数のブロックに分割された対象ブロックを予測し符号化された残差信号及び予測方法に関するモード情報が含まれている。データ解析器701にて、圧縮データより、対象ブロックの残差信号、予測方法に関する情報、量子化パラメータ、画面間予測の場合はさらに動き情報、画面内予測されたブロックについては上述した画面内予測モードに関する符号化情報を抽出する。対象ブロックの残差信号と量子化パラメータ(ラインL701経由)は逆量子化器702に送られ、逆量子化処理が行われる。その結果は逆変換器703にて逆離散コサイン変換される。
【0048】
データ解析器701にて対象ブロックが画面間予測されたものと判断された場合、ラインL709経由で動き情報が予測信号生成器705に送られる。そこでは、当該動き情報をもとにフレームメモリ706より過去に再生された画像より予測信号を取得する。一方、データ解析器701にて対象ブロックが画面内予測されたものと判断された場合、ラインL710経由で画面内予測に関するモード情報が画面内予測モード復元器707に送られて、画面内予測モードが復元され予測信号生成器705に送られる。予測信号生成器705は、この画面内予測モードをもとにフレームメモリ706より同じ画面内にある過去に再生された画素信号を取得して予測信号を生成する。画面内予測信号の具体的な生成方法は既に図2で説明されている。画面内予測モード復元器707の詳細については、後述する。
【0049】
予測信号生成器705で生成した予測信号は、ラインL705経由で加算器704にて、復元された残差信号に加算され、対象ブロックの画素信号を再生する。再生された画像はラインL704経由で出力すると同時にラインL708経由でフレームメモリ706に格納される。
【0050】
次に、本実施形態による画面内予測モード復元器707の処理について説明する。画面内予測モード復元器707の出力は、対象ブロックの画面内予測モードの識別番号であり、ラインL707経由で出力されると同時に、後続のブロックの予測モードを復元するために必要となるため、画面内予測モード復元器707内にあるメモリ(不図示)に格納される。
【0051】
図8は、本発明の実施形態による画面内予測モード復号器の処理を示す流れ図である。ステップ810ではまず候補予測モードのリストを生成する。このリストの成分として、図4に示される対象ブロック400の周辺にある既再生された複数のブロック(410〜450)の予測モードが用いられる。具体的な説明は図3のステップ301と同じである。符号化装置と復号装置は、全く同じ方法でこの候補予測モードリストを生成する必要がある。
【0052】
次にステップ820にて、一ビットを復号する。この一ビットはデータ解析器701からラインL710経由で伝送される場合は、実際の復号処理はデータ解析器701にて行われる。この一ビットにより、対象ブロックの画面内予測モードが候補予測モードリストに含まれているかどうかを示す。そこで、ステップ830にて、この一ビットが「1」であるかどうかを比較する。「1」の場合はステップ840に進む。そうでない場合ステップ850に進む。
【0053】
ステップ840では、対象ブロックの画面内予測モードが候補予測モードリストに含まれているので、さらに候補予測モードリストにあるどの成分が対象ブロックの画面内予測モードであるかを示す識別子(インデックス)を復号する。そのインデックスにより指し示される候補予測モードリストの成分が対象ブロックの予測モードとなる。例えば、インデックスが「2」とすると、図6(A)の左から3番目の升目にあるモード識別番号「8」が対象ブロックの予測モードになる。本実施形態では、このインデックスは一進法符号(unary符号)として復号される。他の方法として、候補予測モードリストのサイズ(成分の個数)をもとにインデックスのビット長が定まる符号化方法が用いられる場合は、候補予測モードリストのサイズ(成分の個数)をデータ解析器701に送る必要がある(ラインL711)。
【0054】
ステップ850では、対象ブロックの画面内予測モードが候補予測モードリストに含まれていないので、REMモードの値を復号する。本実施形態では固定長符号として数値に復元される。(図5で説明したように)このREMモードの値は実際の予測モードの識別番号と異なるので、ステップ860にて実際の識別番号にマッピングしなおした上で、対象ブロックの画面内予測モードとする。
【0055】
図9は、REMモードから実際の予測モードの識別番号に戻す一実施方法を示す。ステップ910では、復号されたREMモードの値をPREDモードに代入する。このPREDモードは、対象ブロックの画面内予測モードのための変数である。
【0056】
ステップ920では、候補予測モードリストにおいてまだ比較に使用されていない成分の中で番号の最も小さい成分をXとする。ステップ930では、PREDモードとXとを比較する。PREDモードがXより大きいまたは等しい場合はステップ940にてPREDモードの値に1を加算する。ステップ950にて候補予測リストに未比較の成分があるかどうか確認し、ある場合はステップ920に戻り、ない場合は終了とする。終了後のPREDモードは、対象ブロックの予測モードの実際の識別番号を与えることになる。
【0057】
図9の処理の代わりに、図6(B)のように図6(A)の補集合を作り、左から数えてN+1(N=REMモードの値)番目の成分が対象ブロックの予測モードとする方法もある。
【0058】
なお、図7では画面内予測モード復元器707は、独立した機能ブロックとして描かれているが、データ解析器701内に組み込まれてもよい。この場合ラインL710は予測信号生成器705に直接に接続し、画面内予測モードを予測信号生成器705に送ることになる。
【0059】
上記の実施形態では、画面内予測に関する予測モード情報の符号化について説明したが、画面間予測の場合においても同じ符号化・復号方法が適用できる。画面間予測の場合の予測モードに関する情報についても、候補予測モードリストを用いて符号化・復号してもよい。この場合、候補予測モードリストは周囲の既再生のブロックの有する画面間予測モードの情報を成分とする。さらに、画面間予測の場合の動き情報も同様に符号化・復号することができる。この場合、候補予測モードリストは周囲の既再生のブロックの有する動き情報を成分とする。
【0060】
コンピュータに、本発明に係る画像予測符号化方法を実行させるための画像予測符号化プログラムは、記録媒体に格納されて提供される。また、コンピュータに、本発明に係る画像予測復号方法を実行させるための画像予測復号プログラムは、記録媒体に格納されて提供される。記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD、あるいはROM等の記録媒体、あるいは半導体メモリ等が例示される。
【0061】
図15は、画像予測符号化方法を実行することができる画像予測符号化プログラムのモジュールを示すブロック図である。画像予測符号化プログラムP100は、領域分割モジュールP101、予測信号生成モジュールP102、残差信号生成モジュールP103、信号符号化モジュールP104、予測モード符号化モジュールP105、及び格納モジュールP106を備えている。上記各モジュールがコンピュータによって実行されることにより実現される機能は、上述した画像予測符号化装置の機能と同じである。また、図16は、画像予測復号方法を実行することができる画像予測復号プログラムのモジュールを示すブロック図である。画像予測復号プログラムP200は、入力モジュールP201、復元モジュールP202,予測モード復号モジュールP203、予測信号生成モジュールP204、画像復元モジュールP205、及び格納モジュールP206を備えている。上記各モジュールがコンピュータによって実行されることにより実現される機能は、上述した画像予測復号装置の機能と同じである。このように構成された画像予測符号化プログラムP100、画像予測復号プログラムP200は、記録媒体に記憶され、後述するコンピュータにより実行される。
【0062】
図11は、記録媒体に記録されたプログラムを実行するためのコンピュータのハードウェア構成を示す図であり、図12は、記録媒体に記憶されたプログラムを実行するためのコンピュータの斜視図である。コンピュータとして、CPUを具備しソフトウエアによる処理や制御を行なうDVDプレーヤ、セットトップボックス、携帯電話などを含む。
【0063】
図11に示すように、コンピュータ30は、フレキシブルディスクドライブ装置、CD−ROMドライブ装置、DVDドライブ装置等の読み取り装置12と、オペレーティングシステムを常駐させた作業用メモリ(RAM)14と、記録媒体10に記憶されたプログラムを記憶するメモリ16と、ディスプレイといった表示装置18と、入力装置であるマウス20及びキーボード22と、データ等の送受を行うための通信装置24と、プログラムの実行を制御するCPU26とを備えている。コンピュータ30は、画像予測符号化プログラムP100を格納した記録媒体10が読み取り装置12に挿入されると、読み取り装置12から記録媒体10に格納された画像予測符号化プログラムP100にアクセス可能になり、当該画像予測符号化プログラムP100によって、本発明による画像予測符号化装置として動作することが可能になる。また、コンピュータ30は、画像予測復号プログラムP200を格納した記録媒体10が読み取り装置12に挿入されると、読み取り装置12から記録媒体10に格納された画像予測復号プログラムP200にアクセス可能になり、当該画像予測復号プログラムP200によって、本発明による画像予測復号装置として動作することが可能になる。
【符号の説明】
【0064】
101…入力端子、102…ブロック分割器、103…画面間予測信号生成方法決定器、104…画面間予測信号生成器、105…画面内予測信号生成方法決定器、106…画面内予測信号生成器、109…切り替えスイッチ、110…減算器、111…変換器、112…量子化器、113…逆量子化器、114…逆変換器、115…加算器、116…フレームメモリ、117…画面内予測モード符号化器、118…エントロピー符号化器、119…出力端子、700…入力端子、701…データ解析器、702…逆量子化器、703…逆変換器、704…加算器、705…予測信号生成器、706…フレームメモリ、707…画面内予測モード復元器、708…出力端子。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16