(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面は模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る内視鏡システムの概略構成を示す図である。同図に示す内視鏡システム1は、挿入部2と、光源装置3と、カメラヘッド部4と、制御装置5と、表示装置6と、ライトガイド7と、集合ケーブル8と、コネクタ9とを備える。内視鏡システム1は、被検体の腹腔に挿入されて腹腔鏡科外科手術(鏡視下手術)等で使用される硬性鏡である。
【0019】
挿入部2は、硬質で細長形状をなし、体腔内や管路内等に挿入され、被写体像を集光する光学系を内部に有する。
光源装置3は、ライトガイド7を介して挿入部2へ照射光を供給する。
カメラヘッド部4は、挿入部2の基端に設けられる接眼部21に着脱自在に取り付けられる。カメラヘッド部4は、挿入部2が集光した被写体像を結像し、電気信号に光電変換して出力する撮像素子41を有する。
制御装置5は、カメラヘッド部4が取得した画像に対して画像処理を施す機能を有するとともに内視鏡システム1全体の動作を統括的に制御する機能を有する。
表示装置6は、制御装置5が画像処理を施した画像を表示する。
集合ケーブル8は、複数の信号線を束ねてなり、一端がカメラヘッド部4に接続され、他端にはコネクタ9が設けられる。集合ケーブル8が有する複数の信号線には、撮像素子41が出力した画像信号を制御装置5へ伝送する信号線や、制御装置5が出力する制御信号を撮像素子41へ伝送する信号線などが含まれる。
コネクタ9は、制御装置5に着脱自在に接続される。
【0020】
図2は、内視鏡システム1の要部の機能構成を示すブロック図である。まず、挿入部2の構成を説明する。挿入部2は、集光用の光学系22と、ライトガイド7の先端に設けられる照明レンズ23とを有する。
【0021】
次に、光源装置3の構成を説明する。光源装置3は、特定の物質からの戻り光を生じさせる照明光を視野領域に対して出射可能な照明部としての機能を有する。具体的には、光源装置3は、白色光源31と、特殊光光源32と、光源制御部33と、LED(Light Emitting Diode)ドライバ34とを有する。
【0022】
白色光源31は、白色LEDからなり、白色照明光を発生する。
特殊光光源32は、例えば所定の波長を有する蛍光を発生させるための励起光を発生する。なお、特殊光光源32が発生する特殊光としては、より一般に、特定の物質からの戻り光を生じさせる光であればどのようなものでもよい。このような光としては、例えば赤外光を挙げることができる。
【0023】
光源制御部33は、制御装置5の調光部54(後述)から送信されてくる光源同期信号および制御部59(後述)からの制御信号にしたがって白色光源31または特殊光光源32に供給する電流量を制御する。
【0024】
LEDドライバ34は、白色光源31または特殊光光源32に対して光源制御部33の制御のもとで電流を供給することにより、白色光源31または特殊光光源32に光を発生させる。白色光源31または特殊光光源32が発生した光は、ライトガイド7を経由して挿入部2の先端から外部へ照射される。
【0025】
次に、撮像素子41の構成を説明する。撮像素子41は、挿入部2の光学系22からの光を光電変換して電気信号を出力するセンサ部41aと、センサ部41aが出力した電気信号に対してノイズ除去やA/D変換を行うアナログフロントエンド(AFE)部41bと、アナログフロントエンド部41bが出力したデジタル信号をパラレル/シリアル変換するP/S変換部41cと、センサ部41aの駆動タイミングパルス、ならびにアナログフロントエンド部41bおよびP/S変換部41cにおける各種信号処理用のパルスを発生するタイミングジェネレータ41dと、撮像素子41の設定データ等の情報を記憶する撮像記憶部41eと、撮像素子41の動作を制御する撮像制御部41fと、を有する。撮像素子41は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
【0026】
センサ部41aは、光量に応じた電荷を蓄積するフォトダイオードおよびフォトダイオードが蓄積した電荷を増幅する増幅器をそれぞれ有する複数の画素が二次元面上にマトリックス状に配設された受光部41gと、受光部41gの複数の画素のうち読み出し対象として任意に設定された画素が生成した電気信号を画像情報として読み出す読み出し部41hとを有する。白色光源31が白色光を発生する場合、受光部41gには、画素ごとにRGB個別のカラーフィルタが設けられており、カラー画像の取得を可能にしている。これに対して、特殊光光源32が発生する特殊光として蛍光励起光を発生する場合、受光部41gには、励起光をカットして蛍光のみを透過するフィルタが設けられる。このように、白色光源31および特殊光光源32のうち使用する光源の種類によって受光部41gに設けられるフィルタは異なる。通常は、光源の種類に応じてカメラヘッド部4を交換するが、受光部41gにおけるフィルタを交換するような構成としてもよい。
【0027】
アナログフロントエンド部41bは、信号に含まれるノイズ成分を低減するノイズ低減部41iと、ノイズが低減された信号をA/D変換するA/D変換部41jとを有する。ノイズ低減部41iは、例えば相関二重サンプリング(Correleted Double Sampling)法を用いてノイズの低減を行う。なお、ノイズ低減部41iとA/D変換部41jとの間に、自動的に信号のゲインを調整して常に一定の出力レベルを維持するAGC(Auto Gain Control)回路を設けてもよい。
【0028】
タイミングジェネレータ41dは、受光部41gの複数の画素が蓄積する電荷を開放するためのリセットパルスを順次生成するリセットパルス生成部としての機能を有する。
【0029】
撮像記憶部41eは、制御装置5の制御部59から送信されてくる各種設定データや制御用のパラメータを記憶するレジスタである。
【0030】
撮像制御部41fは、制御装置5から受信した設定データにしたがって、撮像素子41の動作を制御する。撮像制御部41fは、CPU(Central Proccessing Unit)等を用いて構成される。撮像制御部41fは、生成順が連続する二つのリセットパルスがそれぞれ生成される間の期間に画像の複数のフレームが少なくとも一部ずつ含まれるように、リセットパルスの生成タイミングを調整する信号をタイミングジェネレータ41dへ送信する。この意味で、本実施の形態においては、撮像制御部41fがリセットパルス制御部の少なくとも一部の機能を有する。
【0031】
次に、制御装置5の構成を説明する。制御装置5は、S/P変換部51、画像処理部52、明るさ検出部53、調光部54、読出アドレス設定部55、駆動信号生成部56、入力部57、記憶部58、制御部59および基準クロック生成部5aを有する。
【0032】
S/P変換部51は、カメラヘッド部4から受信した画像信号(デジタル信号)をシリアル/パラレル変換する。
【0033】
画像処理部52は、S/P変換部51から出力されたパラレル形態の画像信号をもとに、表示装置6が表示する体内画像を生成する。画像処理部52は、同時化部521、ホワイトバランス(WB)調整部522、ゲイン調整部523、γ補正部524、D/A変換部525、フォーマット変更部526、サンプル用メモリ527および静止画像用メモリ528を備える。
【0034】
同時化部521は、画像情報として入力された画像信号を、画素ごとに設けられた3つのメモリ(図示せず)に入力し、読み出し部41hが読み出した受光部41gの画素のアドレスに対応させて、各メモリの値を順次更新しながら保持するとともに、これら3つのメモリの画像信号をRGB画像信号として同時化する。同時化部521は、同時化した画像信号をホワイトバランス調整部522へ順次出力するとともに、一部の画像信号を、明るさ検出などの画像解析用としてサンプル用メモリ527へ出力する。
ホワイトバランス調整部522は、画像信号のホワイトバランスを調整する。
ゲイン調整部523は、画像信号のゲイン調整を行う。ゲイン調整部523は、ゲイン調整を行った画像信号をγ補正部524へ出力するとともに、一部の画像信号を、静止画像表示用、拡大画像表示用または強調画像表示用として静止画像用メモリ528へ出力する。
γ補正部524は、表示装置6に対応させて画像信号の階調補正(γ補正)を行う。
D/A変換部525は、γ補正部524が出力した階調補正後の画像信号をアナログ信号に変換する。
フォーマット変更部526は、アナログ信号に変換された画像信号を動画用のファイルフォーマットに変更して表示装置6に出力する。このファイルフォーマットとして、AVI形式、MPEG形式などを適用することができる。
【0035】
明るさ検出部53は、サンプル用メモリ527が保持する画像信号から、各画素に対応する明るさレベルを検出し、検出した明るさレベルを内部に設けられたメモリに記録するとともに制御部59へ出力する。また、明るさ検出部53は、検出した明るさレベルをもとにゲイン調整値および光照射量を算出し、ゲイン調整値をゲイン調整部523へ出力する一方、光照射量を調光部54へ出力する。
【0036】
調光部54は、制御部59の制御のもと、明るさ検出部53が算出した光照射量をもとに光源装置3が発生する光の種別、光量、発光タイミング等を設定し、この設定した条件を含む光源同期信号を光源装置3へ送信する。
【0037】
読出アドレス設定部55は、センサ部41aの受光部における読み出し対象の画素および読み出し順序を設定する機能を有する。すなわち、読出アドレス設定部55は、アナログフロントエンド部41bが読み出すセンサ部41aの画素のアドレスを設定する機能を有する。また、読出アドレス設定部55は、設定した読み出し対象の画素のアドレス情報を同時化部521へ出力する。
【0038】
駆動信号生成部56は、撮像素子41を駆動するための駆動用のタイミング信号を生成し、集合ケーブル256に含まれる所定の信号線を介してタイミングジェネレータ41dへ送信する。このタイミング信号は、読み出し対象の画素のアドレス情報を含む。
入力部57は、内視鏡システム1の動作を指示する動作指示信号等の各種信号の入力を受け付ける。
【0039】
記憶部58は、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリを用いて実現される。記憶部58は、内視鏡システム1を動作させるための各種プログラム、および内視鏡システム1の動作に必要な各種パラメータ等を含むデータを記憶する。
【0040】
制御部59は、CPU等を用いて構成され、カメラヘッド部4および光源装置3を含む各構成部の駆動制御、および各構成部に対する情報の入出力制御などを行う。制御部59は、撮像制御のための設定データを、集合ケーブル256に含まれる所定の信号線を介して撮像素子41へ送信する。ここで、設定データは、撮像素子41の撮像速度(フレームレート)、およびセンサ部41aの任意の画素からの画素情報の読み出し速度を指示する指示情報、ならびにアナログフロントエンド部41bが読み出した画素情報の伝送制御情報などを含む。
【0041】
基準クロック生成部5aは、内視鏡システム1の各構成部の動作の基準となる基準クロック信号を生成し、内視鏡システム1の各構成部に対して生成した基準クロック信号を供給する。
【0042】
次に、表示装置6の構成を説明する。表示装置6は、制御装置5が生成した体内画像を制御装置5から受信して表示する機能を有する。表示装置6は、液晶、有機EL(Electro Luminescence)等の表示ディスプレイを有する。
【0043】
図3は、以上の構成を有する内視鏡システム1が行う画像取得方法の概要を模式的に示す図である。上述したように、撮像素子41はCMOSイメージセンサであり、複数のフレームを連続的に撮像する場合、蓄積された電荷の読み出しを1つの水平ラインごとに順次行う。このため、読み出し部41hが最初に読み出す水平ライン(
図3の場合は画面最上部)と最後に読み出す水平ライン(
図3の場合は画面最下部)との間には、読み出しのタイミングに時間差が生じることとなる。以下の説明において、光源装置3は同じ照明光(例えば蛍光励起光)を連続して発生しているものとする。
【0044】
撮像素子41では、露光期間P
1の間水平ラインごとに順次露光した後、読み出し部41hが露光によって受光部41gの各画素に蓄積された電荷を読み出してアナログフロントエンド部41bへ転送する(転送期間P
2)。
【0045】
撮像制御部41fは、従来のように露光および転送を一組とするサイクルが終了するたびに電荷のリセットを行うことなく、フレーム周期Tfよりも長いリセット周期Tr(>Tf)で受光部41gが蓄積した電荷のリセットを行う。ここで、撮像制御部41fは、タイミングジェネレータ41dにリセットパルスを生成させることによってリセット処理を行う。
図3では、撮像制御部41fが、4フレームに1回の割合で受光部41gが蓄積した電荷のリセットを行う(リセット期間P
3)場合を示しているが、これはあくまでも一例に過ぎない。例えば、フレームレートを30fpsとし、リセット周期Trを0.5s前後(15フレーム程度ごとにリセット)とすることができる。
【0046】
図4は、内視鏡システム1が撮像した画像の時間変化例を示す模式図である。各画像に対応する時間t
i(i=1〜4)は、
図3に示す時間t
iにそれぞれ対応している。
図4では、挿入部2がほぼ同じ速度で体内を移動した場合の蛍光画像の変化を模式的に示している。時間t=t
1における蛍光画像101では、蛍光像201が写っている。時間t=t
2における蛍光画像102では、蛍光像202に加えて、蛍光画像101で映っていた蛍光像201が写っている。時間t=t
3における蛍光画像103では、蛍光像203に加えて、蛍光画像102で映っていた蛍光像201、202が写っている。時間t=t
4における蛍光画像104では、それまで写っていた蛍光像が全て消滅している。なお、蛍光画像101〜104は、本来蛍光像以外の部分が真っ暗であり、蛍光像の部分のみぼんやりと光って見えるような画像である。
【0047】
蛍光画像102において、それ以前に取得された蛍光画像101に写っていた蛍光像201が写っているのは、蛍光画像101の取得タイミングと蛍光画像102の取得タイミングとの間でリセット処理が行われていないためである。同様に、蛍光画像103において、それ以前に取得された蛍光画像102に写っていた蛍光像201、202が写っているのは、蛍光画像102の取得タイミングと蛍光画像103の取得タイミングとの間でリセット処理が行われていないためである。これに対して、蛍光画像104で蛍光像が全く写っていないのは、蛍光画像103の取得タイミングと蛍光画像104の取得タイミングとの間でリセット処理が行われたためである。
【0048】
このように、リセット処理が行われない期間に撮像された蛍光画像に含まれる蛍光像には、時間とともに尾を引くような残像が生じているように見える。
【0049】
これに対して、蛍光画像を撮影する場合において、ある時点でのリセット処理後に挿入部2がほとんど動かなかったとき、次のリセット処理を行うまでの間、撮像画像に含まれる蛍光像は徐々に明るさを増していくような蛍光画像が順次得られる。
【0050】
本実施の形態1では、撮像のフレームレートを変更せずに、受光部41gの各画素が蓄積する電荷を所定期間リセットをかけずに蓄積して増感することで、蛍光画像などの低輝度の画像であっても明るい画像を得ることができる。
【0051】
蛍光などの微弱な発光によって生体内に生じた癌などの腫瘍を探す方法においては、検査者が微弱な発光を見逃す恐れがある。この点、本実施の形態1では、リセット周期Trをフレーム周期Tfよりも長くしているため、微弱発光部位が動く場合には残像を生じさせる一方、微弱発光部位が静止している場合には明滅させることによって微弱発光部位の視認性を高めることができる。
【0052】
また、本実施の形態1において、画像のフレームレートは変更されないため、低フレームレートの画像のように映像がちらついて不自然さを生じることがない。また、画像のフレームレートが変更されないため、画像の読み出しは、通常の撮像と同様のタイミング、処理を継続することができる。
【0053】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、生成順が連続する二つのリセットパルスがそれぞれ生成される間の期間に画像の複数のフレームが少なくとも一部ずつ含まれるように前記リセットパルスの生成タイミングを調整するため、フレームレートを変更することなく、ダイナミックレンジが広く視認性に優れた画像を取得することができる。
【0054】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、リセットパルスの生成タイミングを画像の明るさに応じて変更することを特徴とする。本実施の形態2に係る内視鏡システムは、実施の形態1で説明した内視鏡システム1と同様の構成を有する。
【0055】
本実施の形態2では、制御装置5の制御部59が撮像素子41に対してリセット禁止信号を送信することにより、タイミングジェネレータ41dが発生するリセットパルスをマスクすることでリセットパルスの生成タイミングを調整する。したがって、電荷の蓄積期間は、リセット禁止信号のアクティブ期間に含まれるフレーム数によって決定されることとなる。この意味で、本実施の形態2においては、制御装置5の制御部59が、リセットパルス制御部の少なくとも一部の機能を有することとなる。
【0056】
図5は、本実施の形態2に係る内視鏡システム1が行う処理の特徴を模式的に示す図である。内視鏡システム1は、明るさ検波値が所定の閾値より大きくて画像の明るさを十分確保できるような場合には、1フレーム期間におけるタイミングを変化させながらフレームごとにリセットパルスを発生させる方式(電子シャッタモード)へ移行する。以下、電子シャッタモードとは異なるモードであって生成順が連続する二つのリセットパルスがそれぞれ生成される間の期間に少なくとも一つのフレームの露光期間P
1が全て含まれるモードのことを長時間蓄積モードという。
図5に示す場合、リセット周期は、明るさ検波値の上昇にしたがって徐々に短くなっていく(Tr1、Tr2、Tr3、・・・)。そして、明るさ検波値が閾値THを超えると、長時間蓄積モードから電子シャッタモードへ移行する(リセット周期はTr1’、Tr2’、・・・)。
【0057】
図6は、長時間蓄積モードにおけるリセットタイミングと露光時間の関係をより詳細に示す図である。長時間蓄積モードにおける電荷の蓄積時間Tcは、フレーム周期Tf内で露光を行い続けるフレームの数(全露光フレーム数)a、および露光開始フレームにおけるリセット開始から読み出し開始までの時間tを用いて、
Tc=a・Tf+t ・・・(1)
と表される。
図6は、全露光フレーム数aが2の場合を例示している。
【0058】
内視鏡システム1は、ある蓄積期間において、全露光フレーム数aが経過した後、直前に読み込んだ画像信号Pの明るさ検波値に応じて露光時間を変化させる(
図6のΔt)。この露光時間の変化は、電子シャッタによるリセットタイミングの変化によって実現される。すなわち、露光開始フレームにおけるリセット開始から読み出し開始までの時間がt+Δtとなるようにリセット信号Rを発生させることによって実現される。新たな蓄積時間Tc’は、露光時間の変化量を用いて
Tc’=Tc+Δt ・・・(2)
と表される。また、一つ前のリセット信号発生時を基準とするリセット周期Trは、
Tr=Tc+Tf−(t+Δt)=(a+1)Tf−Δt ・・・(3)
となる。
【0059】
図7は、電子シャッタモードにおけるリセットタイミングと露光時間の関係をより詳細に示す図である。電子シャッタモードでは、蓄積時間Tcがフレーム周期Tfよりも短く、全露光フレーム数aがゼロである。したがって、式(1)はTc=tとなる。電子シャッタモードにおいても、式(2)、(3)が成立していることはいうまでもない。
【0060】
なお、全露光フレーム数aの値に応じてフィードバックの時定数が変化することに鑑み、リセットパルスのフィードバックタイミングは、全露光フレーム数aに応じて決定してもよい。具体的には、全露光フレーム数aが小さい場合には、所定フレーム経過後に露光時間を変化させるようにしてもよい。
【0061】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、生成順が連続する二つのリセットパルスがそれぞれ生成される間の期間に画像の複数のフレームが少なくとも一部ずつ含まれるように前記リセットパルスの生成タイミングを調整するため、フレームレートを変更することなく、ダイナミックレンジが広く視認性に優れた画像を取得することができる。
【0062】
また、本実施の形態2によれば、リセットパルス発生後の画像読み出し開始からの時間を、画像の明るさ情報によって可変とすることにより、長時間露光から電子シャッタによる減光までを制御することが可能となる。これにより、例えば蛍光観察の際、視野内の蛍光像の観察と、蛍光像に近づいた後の高輝度画像の撮像を、リセットパルスの生成タイミングの変更のみによって連続的に行うことができる。
【0063】
(実施の形態2の変形例1)
図8は、本発明の実施の形態2の変形例1に係る内視鏡システムの要部の機能構成を示すブロック図である。同図に示す内視鏡システム11は、画像処理部の構成が、上述した内視鏡システム1と異なる。
【0064】
内視鏡システム11の画像処理部12は、内視鏡システム1の画像処理部52の構成に加えて、複数のフレーム間における被写体の動きを検出する動き検出部121をさらに有する。制御部59は、動き検出部121が検出した被写体の動きに基づいて画像間の相関を算出し、この算出結果と明るさ検波値とに基づいて次のリセットパルスの生成タイミングを決定する。例えば、蛍光画像間における被写体の動きが大きい場合(画像間の相関が小さい場合)、制御部59は、リセットパルスの生成タイミングを遅らせる。なお、制御部59によるリセットパルスの生成タイミングの決定には、明るさ検波値も寄与するため、被写体の動きが大きい場合に生成タイミングが常に遅れるとは限らない。
【0065】
以上説明した本発明の実施の形態2の変形例1によれば、実施の形態2と同様の効果に加えて、蛍光像の残像を一段と強調して視認性を高めることができる。
【0066】
(実施の形態2の変形例2)
本発明の実施の形態2の変形例2は、画像全体の明るさの平均値と比較して所定の条件をみたす像が存在する場合、制御部59が電荷の蓄積時間を変更する制御を行うことを特徴とする。本変形例2に係る内視鏡システムは、実施の形態2で説明した内視鏡システム1と同様の構成を有する。
【0067】
図9は、内視鏡システム1が取得した画像における明るさ(画素値)と明るさごとの画素数との関係の例を示す図である。
図9において、明るさTH1、TH2は、画像全体の明るさの平均値との差が所定の範囲にある明るさ(所定の条件を満たす明るさ)の上限と下限である。この意味で、明るさTH1、TH2は、観察対象となる像(例えば蛍光像)に対してバックグラウンドやノイズ(迷光成分)を排除できるような明るさであることが望ましい。
【0068】
制御部59は、明るさTH1〜TH2の範囲にある画素が所定数以上存在する場合、電荷の蓄積時間を延長する制御を行う。なお、制御部59は、例えば明るさTH1〜TH2の範囲で所定の画素数を超える明るさがある場合、電荷の蓄積時間を延長するようにしてもよい。
【0069】
読み出した画像に上述した条件を満たす像が存在しない場合、内視鏡システム1は、実施の形態2で説明した処理を行う。
【0070】
以上説明した本発明の実施の形態2の変形例2によれば、画像全体の明るさの平均値に対する差分をとることにより特に蛍光画像の場合、バックグラウンドの影響を排除して蛍光像の視認性を向上させることができる。
【0071】
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る内視鏡システムが行う画像取得方法の概要を模式的に示す図である。なお、本実施の形態3に係る内視鏡システムは、実施の形態2で説明した内視鏡システム1と同様の機能構成を有する。本実施の形態3において、内視鏡システム1は、取得した画像における残像や像の脈動を強調するように、フレームごとの照明強度を変えることを特徴とする。
【0072】
図10に示すように、光源装置3は、制御装置5と連携して、受光部41gの全ての水平ラインが露光状態にある期間の中で、発光強度を一定に保ちながら発光時間を周期的に変化させている。具体的には、光源装置3の光源制御部33は、制御装置5の制御部59と連携して、発光強度を一定に保ちながらフレームごとの発光時間を徐々に長くしていく制御を行う。発光時間の最大値は、全ての水平ラインが渡航状態にある期間の長さTa以下である。
【0073】
光源装置3は、リセットパルスによって受光部41gにおける電荷の蓄積がリセットされた後、フレームごとの発光時間もリセットして初期値(最も短い発光期間)に戻る。
図10では、フレームごとの光源発光状態として、順に発光時間が長くなっていく4つの光源発光状態A
1、A
2、A
3、A
4を採用した場合を例示している。
【0074】
このように、二つの連続するリセット処理の間に含まれる複数のフレームにおいて、フレームごとの光源の発光時間を徐々に長くしていくと、例えば
図4に示す場合、蛍光像201、202、203の順に徐々に蛍光像が明るくなっていく。したがって、蛍光像の視認性を一段と向上させることができる。
【0075】
なお、
図10に示す場合と逆に、二つの連続するリセット処理の間に含まれる複数のフレームにおいて、フレームごとの発光時間を徐々に短くしていってもよい。この場合には、
図4において、蛍光像201、202、203の順に徐々に蛍光像が暗くなっていき、結果的に視認性を向上させることができる。
【0076】
また、二つの連続するリセット処理の間に含まれる複数のフレームにおいて、フレームごとの光源の発光時間を常に増加または減少させる必要はなく、段階的に増加または減少させるようにしてもよいし、増加または減少を適宜混合して変化させるようにしてもよい。
【0077】
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、生成順が連続する二つのリセットパルスがそれぞれ生成される間の期間に画像の複数のフレームが少なくとも一部ずつ含まれるように前記リセットパルスの生成タイミングを調整するため、フレームレートを変更することなく、ダイナミックレンジが広く視認性に優れた画像を取得することができる。
【0078】
また、本実施の形態3によれば、取得した画像のフレームごとの照明強度が変化することで、一段と視認性を向上させることができる。
【0079】
(実施の形態3の変形例)
図11は、本発明の実施の形態3の変形例に係る内視鏡システム1が行う画像取得方法の概要を模式的に示す図である。
図11に示すように、光源装置3は、受光部41gの全ての水平ラインが露光状態にある期間の中で、フレームごとの発光時間を一定に保ちながら発光強度を周期的に変化させている。具体的には、光源装置3は、フレームごとの発光時間を一定に保ちながらフレームごとの発光強度を徐々に大きくしていく。そして、リセット信号によって受光部41gにおける電荷の蓄積がリセットされた後、フレームごとの発光強度もリセットして初期値(最も小さい発光強度)に戻る。
図11では、フレームごとの光源発光状態として、順に発光強度が小さくなっていく4つの光源発光状態B
1、B
2、B
3、B
4を採用している。
【0080】
このようにして、二つの連続するリセット処理の間に含まれる複数のフレームにおいて、フレームごとの光源の発光強度を徐々に大きくしていくと、上述した実施の形態3と同様、蛍光像の視認性を一段と向上させることができる。
【0081】
なお、本変形例において、二つの連続するリセット処理の間に含まれる複数のフレームにおいて、フレームごとの発光時間を一定に保ちながら発光強度を徐々に小さくしていってもよい。
【0082】
また、本変形例において、二つの連続するリセット処理の間に含まれる複数のフレームにおいて、フレームごとの発光強度を常に増加または減少させる必要はなく、段階的に増加または減少するようにしてもよいし、増加または減少を適宜混合して変化させるようにしてもよい。
【0083】
また、本変形例を実施の形態3と組み合わせることにより、フレームごとに発光強度と発光時間をともに変化させるようにしてもよい。
【0084】
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態1〜3によってのみ限定されるべきものではない。例えば、実施の形態1においても、実施の形態2等と同様に、制御装置5がリセット禁止信号を発生することによってリセットパルスの生成タイミングを調整するようにしてもよい。
【0085】
また、本発明において、制御装置のゲイン調整部が、二つの連続するリセット処理の間に含まれる複数のフレームにおいて、フレームごとの増幅率を変更するようにしてもよい。この場合には、フレームごとの増幅率を徐々に増加または減少させてもよいし、増幅率の増加または減少を適宜混合して変化させるようにしてもよい。
【0086】
また、本発明において、撮像素子をCCDイメージセンサによって構成することも可能である。
【0087】
また、本発明に係る内視鏡システムは、被検体内に挿入して臓器内部を観察する軟性鏡として実現することも可能である。
【0088】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態を含みうるものであり、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内で種々の設計変更等を行うことが可能である。