(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連動機構は、前記操作子に操作を入力したときに所定量前進する移動ロッドと、前記移動ロッドが後退するのを規制する規制部とを有し、前記操作子に前記一操作を入力したときに前記開状態から前記閉状態に向かう単位閉じ量を調整可能とした、請求項1に記載の処置具。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための形態について説明する。
第1実施形態について、
図1Aから
図3Bを参照しながら説明する。
図1Aに示すように、治療処置システム10は、処置具12と、エネルギ源(制御部)14とを備えている。ここでは、処置具(治療用処置具)12として、例えば腹壁を通して処置を行うための、リニアタイプの外科用処置具を例にして説明する。なお、エネルギ源14には、ケーブル18bにより、ペダル16aを有するフットスイッチ(ハンドスイッチでも良い)16が接続されている。
【0009】
処置具12は、操作者に支持されるハンドル22と、ハンドル22から中心軸Cに沿って延出されたシャフト(連動機構)24と、開閉可能な処置部26とを備えている。ハンドル22は、ケーブル18aを介してエネルギ源14に接続されている。このため、フットスイッチ16のペダル16aを術者が操作することにより、エネルギ源14から外科用処置具12へのエネルギの供給のON/OFFが切り換えられる。ペダル16aが押圧されているときには、エネルギ源14を適宜に設定した状態(エネルギ出力量、エネルギ出力タイミングなどを制御した状態)に基づいてエネルギ源14からエネルギを出力する。ペダル16aの押圧が解除されると、エネルギの出力を強制的に停止させる。
【0010】
図2A及び
図2Bに示すように、シャフト24は、内筒32と、この内筒32の外側に摺動可能に配設された外筒34とを備えている。内筒32は、その基端部でハンドル22(
図1A参照)に固定されている。外筒34は、内筒32の軸方向に沿ってスライド可能である。
【0011】
図1A、
図2A及び
図2Bに示すように、処置部26は、シャフト24の先端に配設されている。この処置部26は、第1処置部26aと、第2処置部26bとを有する。第1処置部26aは、第1ジョー42と、第1把持面44aを有する第1エネルギ出力部44とを有する。第2処置部26bは、第2ジョー52と、第2把持面54aを有する第2エネルギ出力部54とを有する。第1及び第2ジョー42,52は相対的に近接及び離隔可能である。第1及び第2ジョー42,52の先端同士の最大開き幅は略30mm程度である。第1エネルギ出力部44は第1ジョー42に設けられ、第2エネルギ出力部54は第2ジョー52に設けられ、第1及び第2エネルギ出力部44,54の把持面44a,54aは互いに対向している。第2ジョー52及び第2エネルギ出力部54は、第1ジョー42及び第1エネルギ出力部44に対して離隔した開状態と、第1ジョー42及び第1エネルギ出力部44に対して近接した閉状態との間を相対的に開閉可能である。第1及び第2ジョー42,52は、それぞれ全体的に絶縁性を有することが好適である。第1及び第2エネルギ出力部44,54はそれぞれ例えば高周波電極やヒータ等が用いられエネルギ源14に接続されている。このため、第1及び第2エネルギ出力部44,54の把持面44a,54a間に配置された生体組織は熱エネルギにより処置される。
【0012】
第1ジョー42は、その基部42aが、シャフト24の内筒32の先端に固定されている。一方、第2ジョー52は、その基部52aが、シャフト24の軸方向に対して直交する方向に配設された支持ピン(連動機構)36によってシャフト24の内筒32の先端に回動可能に支持されている。第2ジョー52は支持ピン36の軸回りに回動することにより第1ジョー42に対して開閉可能である。そして、この第2ジョー52は第1ジョー42に対して開くように、例えば板バネなどの弾性部材38で付勢されている。
【0013】
そして、外筒34を内筒32に対してスライドさせて、外筒34の先端で第1ジョー42及び第2ジョー52の基部42a,52aを覆うことが可能である。この状態では、
図2Aに示すように、弾性部材38の付勢力に抗して第1ジョー42に対して第2ジョー52が閉じる。一方、外筒34の先端で第1及び第2ジョー42,52の基部42a,52aを覆った状態から外筒34を内筒32の基端側にスライドさせると、
図2Bに示すように、弾性部材38の付勢力によって第1ジョー42に対して第2ジョー52が開く。
【0014】
ハンドル22は、術者が握り易い形状に形成され、例えばこの実施形態では略L字状に形成されている。ハンドル22の一端(先端)22aには、シャフト24の基端が配設されている。例えばこのシャフト24と略同軸上のハンドル22の基端からは、上述したケーブル18aが延出されている。
【0015】
ハンドル22の他端22bは、術者に握持される握持部である。ハンドル22には、一端22aと他端22bとの間のハンドル本体22cに、その他端22bに並設されるように、処置部開閉レバー(操作子)72が配設されている。この実施形態ではハンドル22の他端22bの前側に処置部開閉レバー72が配置されている。
【0016】
処置部開閉レバー72は、ハンドル22の略中央のハンドル本体22cでシャフト24の外筒34(
図2A及び
図2B参照)の基端に連結されている。この処置部開閉レバー72をハンドル22の他端22bに対して近接及び離隔させると、外筒34がその軸方向に沿って移動する。
【0017】
処置部開閉レバー72は、枢支軸82と、操作部84と、1対の爪部86とを有する。を有する。処置部開閉レバー72はハンドル本体22cの内部で枢支軸82により回動可能である。操作部84はハンドル本体22cの下端から外側に突出し、ハンドル22の他端22bの前側に配置されている。このため、操作部84をハンドル22の他端22bに対して近接(
図3B参照)及び離隔(
図3A参照)させることができる。
【0018】
1対の爪部86は処置部開閉レバー72の上端にあって外筒34の基端を支えるように略Y字状に形成され、ハンドル本体22cの内部でシャフト24の外筒34の基端に配置されたピン34aに係合している。ピン34aは外筒34の外周面に対して中心軸Cに対して直交する外向きに延出されている。このため、外筒34の基端に配置されたピン34aは、処置部開閉レバー72の上端の爪部86に対して移動可能に支持されている。このため、外筒34は処置部開閉レバー72の操作部84の操作によりハンドル22及び内筒32に対して移動可能である。
【0019】
この処置部開閉レバー72は、ハンドル22の略中央の部分でシャフト24の後述する外筒34の基端に連結されている。このため、処置部開閉レバー72をハンドル22の他端22bに対して近接させると、ハンドル22に対してシャフト24の後述する外筒34をその軸方向に沿って前進させる。一方、処置部開閉レバー72をハンドル22の他端22bに対して離隔させると、ハンドル22に対して外筒34をその軸方向に沿って後退させる。
【0020】
ハンドル22の他端22bの前面には、収容部92が形成されている。その収容部92には定荷重バネ又は定圧バネなどの弾性部材(連動機構)94が配置されている。
図1A及び
図1Bに示すように、この実施形態に係る弾性部材94は定荷重バネ又は定圧バネが用いられ、ハンドル22の他端22bの収容部92に回転可能に支持されたドラム102と、ドラム102の外周に巻回されたバネ材104とを有する。バネ材104の延出端部104aは開閉レバー72の操作部84に固定されている。なお、この実施形態に係る弾性部材94としての定荷重バネ又は定圧バネの最大出力はバネ材104の幅や厚さにより調整可能である。そして、定荷重バネ又は定圧バネが用いられる弾性部材94は、処置部開閉レバー(操作子)72の操作部84を開状態で開放したときから閉状態に至るまでの閉じ時間を調整している。ここでは特に定荷重バネ又は定圧バネの弾性部材(連動機構)94を用いることで単位時間当たりの閉じ量を調整している。
【0021】
次に、この実施形態に係る治療処置システム10の作用について説明する。
図2Bに示すように、第1ジョー42に対して第2ジョー52を閉じた状態で、例えば、腹壁を通して腹腔内に外科用処置具12の処置部26及びシャフト24を挿入する。外科用処置具12の処置部26を処置対象の生体組織に対して対峙させる。
【0022】
第1及び第2ジョー42,52、すなわち、第1及び第2エネルギ出力部44,54を閉じた状態でハンドル22の他端22bに対して開閉レバー72を離隔させると、ドラム102からバネ材104が引き出される。この状態で、第1及び第2ジョー42,52の第1及び第2エネルギ出力部44,54間に生体組織を把持するため、ハンドル22を操作して、処置部26を動作させる。
【0023】
この状態で、操作者が開閉レバー72を離す。このため、定荷重バネや定圧バネ等の弾性部材94の作用により、開閉レバー72をハンドル22の他端22bに向かって引っ張る引っ張り力が働く。そして、弾性部材94により、定荷重又は定圧で開閉レバー72に引張り力を負荷する。このため、バネ材104の調整によるが、単位時間当たりの閉じ量を調整して、例えば数分間から5分程度をかけて、ハンドル22の開閉レバー72を
図3Aに示す状態から
図3Bに示す状態に移動させることができる。したがって、開閉レバー72の動作に連動する外筒34を、ハンドル22の開閉レバー72をハンドル22に近づけるにつれて前進させることができる。このため、第1ジョー42に対して第2ジョー52を、支持ピン(連動機構)36を支点として、数分間から5分程度をかけて、閉じることができる。したがって、第1及び第2エネルギ出力部44,54間で、生体組織を、数分間から5分程度をかけて徐々に押圧力を増すように把持することができる。このため、例えば膵臓の一部等の非常に柔らかい生体組織を把持する際に、挫滅や阻血を防止することができる。
【0024】
この状態で、フットスイッチ16のペダル16aを操作して、挫滅や阻血を防止しながら把持した生体組織を、第1及び第2エネルギ出力部44,54から把持した生体組織に付加される高周波エネルギや熱エネルギで、処置することができる。
【0025】
一方、ハンドル22の開閉レバー72の操作部84をハンドル22の他端22bに対して離隔させる場合、弾性部材94の付勢力に抗して開くことができる。すなわち、弾性部材38の付勢力により、第1ジョー42に対して第2ジョー52を開くことができる。
【0026】
以上説明したように、この実施形態によれば、以下のことが言える。
この実施形態に係る処置具12によれば、開閉レバー72とハンドル22の他端22bとの間に、開閉レバー72をハンドル22の他端22bに向かって引っ張る弾性部材94を配置したので、弾性部材94により、第1ジョー42に対して第2ジョー52を、数分間から5分程度をかけて、閉じることができる。すなわち、開閉レバー72を離したときに勢い良く、急激に内筒32に対して外筒34が前進するのを防止できる。このため、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止され、ゆっくりと時間をかけて閉じられる。このとき、術者は、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止されるようにハンドル22の開閉レバー72を操作し続ける必要がなく、術者の負担を大きく減らすことができる。生体組織に対して1対の把持面による圧力をゆっくりと時間をかけて徐々に大きくすることによって、膵臓等の柔らかい生体組織を把持面になじませて圧力をかけることができる。そして、把持面の縁部で生体組織に局所的に大きな圧力をかけるのを防止することができる。また、第1及び第2ジョー42,52が弾性部材94により相対的に定荷重又は定圧で閉じるので、術者の力加減による、開閉レバー72をハンドル22の他端22bに近接させる、単位時間当たりの閉量のばらつきを抑制でき、治療の質の統一を図ることができる。
【0027】
なお、弾性部材94は収容部92に対して着脱可能であり、かつ、ハンドル22の開閉レバー72に対して着脱可能であることも好適である。弾性部材94を収容部92から取り外した場合、開閉レバー72の操作により第1及び第2ジョー42,52を自在の速度で開閉することができる。
【0028】
また、この実施形態では、第1エネルギ出力部44が第1ジョー42に、第2エネルギ出力部54が第2ジョー52に配置されているものとして説明したが、必ずしも2つのエネルギ出力部44,54は必要ではなく、第1エネルギ出力部44又は第2エネルギ出力部54が配置されていれば良い。なお、第1エネルギ出力部44及び第2エネルギ出力部54は、生体組織を把持する把持面として形成されることは必要である。
【0029】
次に、第2実施形態について
図4A及び
図4Bを用いて説明する。この実施形態は第1実施形態の変形例であって、第1実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材に同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0030】
図4A及び
図4Bに示すように、この実施形態に係る処置具12のハンドル22は、筒状に形成されている。この実施形態に係る処置具12では、開閉レバー72に代わりに回転ロッド(操作子)122を有する。回転ロッド122には、第1及び第2ジョー42,52を相対的に近接及び離隔させる操作を入力可能である。回転ロッド122の先端には、雄ネジ部124aを有する大径部124が配設されている。大径部124は回転ロッド122の外径よりも大きい外径を有する。なお、ハンドル22の内部(内側)には大径部124の雄ネジ部124aに螺合可能な雌ネジ部126が形成されている。
【0031】
回転ロッド122の先端の大径部124のさらに先端には回転ロッド122が軸方向に移動するのにともなって回転が規制された状態で軸方向に移動する軸方向移動体としての移動ロッド(連動機構)128が支持されている。大径部124と移動ロッド128とは公知のボールねじの構造のように形成されている。
【0032】
このため、回転ロッド122を中心軸Cの軸周りに回転させると、第1実施形態で説明したのと同様に、移動ロッド128がその軸方向に移動して、内筒32に対して外筒34をその軸方向に相対的に移動させることができる。
【0033】
回転ロッド122の基端には、支軸132を介してぜんまいバネなどの弾性部材(連動機構)134が配設されている。弾性部材134は、付勢された状態を維持するロック機構140を有する。ロック機構140は弾性部材134に係合可能なロックピン142を有する。ロックピン142をロック機構140から取り外すと、弾性部材134の付勢力により、支軸132を介して回転ロッド122がその中心軸Cの軸回りに回転する。回転ロッド122がその中心軸Cの軸回りに回転することにより、外筒34が前進する。
【0034】
このとき、回転ロッド122の回転運動を、ボールネジにより軸方向の移動に変換するので、回転ロッド122を直接軸方向に移動させるよりも、第1ジョー42に対する第2ジョー52の閉じ方を遅くすることができる。
【0035】
この実施形態に係るぜんまいバネなどの弾性部材(連動機構)134は、ロック機構140のロックピン142を開放したときに開状態から閉状態に移行し始め、開状態から閉状態に至るまでの閉じ時間を調整している。ここでは特にぜんまいバネの弾性部材134を用いることで単位時間当たりの閉じ量を調整している。
【0036】
このため、第1実施形態で説明したように、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止され、ゆっくりと時間をかけて閉じられる。このとき、術者は、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止されるようにハンドル22の回転ロッド122を操作し続ける必要がなく、術者の負担を大きく減らすことができる。また、第1及び第2ジョー42,52が弾性部材134により相対的に略定速度で閉じるので、術者の力加減による、回転ロッド122をハンドル22に対して中心軸Cの軸周りに回転させる、単位時間当たりの閉量のばらつきを抑制でき、治療の質の統一を図ることができる。
【0037】
なお、第1及び第2ジョー42,52を開く場合、回転ロッド122を上述した中心軸Cの軸周りに対して逆方向に回転させれば良い。このとき、ぜんまいバネの弾性部材134に付勢力が付与されていく。このため、ロック機構140のロックピン142をロック機構140に係合することにより、弾性部材134を付勢した状態に支持することができる。
【0038】
次に、第3実施形態について
図5A及び
図5Bを用いて説明する。この実施形態は第1及び第2実施形態の変形例であって、第1及び第2実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材に同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0039】
図5A及び
図5Bに示すように、この実施形態に係る処置具12は、例えばハンドル22の内部にスライダ(連動機構)152が配設された筒状のスライダ収容部154が形成されている。スライダ収容部154はスライダ152を軸方向に移動させることが可能であるが、スライダ152とスライダ収容部154との間の摩擦又はスライダ収納部154内に密封されたオイル等により動き難く形成されている。ここでは、スライダ152とスライダ収容部154との間に摩擦を有するものとして説明する。
【0040】
スライダ収容部154には、スライダ152の移動を規制するように規制位置と開放位置との間を移動可能な規制ピン(操作子)156が支持されている。規制ピン156はスライダ収容部154に対して出し入れ可能である。このため、
図5Aに示すように規制ピン156をスライダ収容部154の内部に突出させたときにはスライダ152が後端側に移動するのを規制する。一方、
図5Bに示すように規制ピン156をスライダ収容部154の内部から除去したときにはスライダ152が規制ピン156よりも後端側に移動するのを許容する。ただし、このときのスライダ152の移動は摩擦により急激に移動するのが防止されている。
【0041】
そして、スライダ収容部154の内部であって、スライダ152とスライダ収容部154の前端との間には、圧縮コイルバネ(連動機構)158が配置されている。スライダ152には、圧縮コイルバネ158の中心(例えば中心軸C)を通してワイヤ(連動機構)160の基端が支持されている。ワイヤ160の先端にはワイヤ160の長手軸(例えば中心軸C)に直交する支持ピン162が固定されている。支持ピン162は第1ジョー42に設けられた係合孔164に配置されている。圧縮コイルバネ158は、スライダ152を後端側に付勢している。
【0042】
なお、ハンドル22には、圧縮コイルバネ158の付勢力に抗してスライダ152を
図5Bから
図5Aに示す位置に移動可能、すなわち、先端側に移動可能な押圧体166が配置されている。このため、第1ジョー42に対して第2ジョー52を開く際に、押圧体166を前側に移動させて、スライダ152をスライダ収容部154の前端に向かって移動させる。このとき、スライダ152とスライダ収容部154との間の摩擦力はスライダ152を後端側に移動させる場合よりも小さい。
【0043】
スライダ152とスライダ収容部154との間は摩擦により動き難く、
図5Aに示す第2ジョー52が
図5Bに示す状態に至る(開状態から閉状態に至る)までに数分から5分程度かけるように調整されている。
【0044】
スライダ152が一方向に動く際に摩擦力を高くし、逆方向に動く際に摩擦力を低くする例としては、例えば緩い傾斜を付ければ良い。すなわち、スライダ152及びスライダ収容部154をクサビ状に形成することが好適である。
【0045】
次に、この実施形態に係る処置具12の作用について説明する。
図5Bに示すように第1ジョー42に対して第2ジョー52を閉じた状態で、生体組織に処置部26を対峙させる。この状態で、押圧体166を前進させ、圧縮コイルバネ158の付勢力に抗してスライダ152を前進させる。そして、規制ピン156でスライダ152を所定の位置に支持する。このとき、第1ジョー42に対して第2ジョー52が開く。
【0046】
図5Aに示すように、第1ジョー42に対して第2ジョー52を開いた状態で、一部がスライダ収容部154の内部に配置された規制ピン(操作子)156を、スライダ収容部154の外部に移動させる。圧縮コイルバネ(連動機構)158の付勢力によって、スライダ(連動機構)152が基端側に移動するとともに、ワイヤ(連動機構)160を牽引して、規制ピン156の位置が
図5A中の左上から右下に向かって移動する。このため、第2ジョー52が第1ジョー42に近接していく。このとき、スライダ152はスライダ収容部154に対して摩擦により後端側に動き難い。このため、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止され、ゆっくりと時間をかけて閉じられる。
【0047】
このため、第1実施形態で説明したように、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止され、ゆっくりと時間をかけて閉じられる。このとき、術者は、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止されるようにワイヤ160を操作し続ける必要がなく、術者の負担を大きく減らすことができる。また、第1及び第2ジョー42,52がスライダ収容部154に対してスライダ152を後端側に動かし難くする程度にもよるが、略定速度で閉じるので、術者の力加減による、ワイヤ160をハンドル22に対して牽引する、単位時間当たりの閉量のばらつきを抑制でき、治療の質の統一を図ることができる。
【0048】
なお、エネルギを用いた処置を終了した後、押圧体166を前進させ、圧縮コイルバネ158の付勢力に抗してスライダ152を前進させる。そして、規制ピン156でスライダ152を所定の位置に支持する。このため、第1ジョー42に対して第2ジョー52を開くことができる。
【0049】
この実施形態では圧縮コイルバネ(連動機構)158を用いる例について説明したが、
図6A及び
図6Bに示すように、ぜんまいバネ(連動機構)168を用いることも好適である。ぜんまいバネ168は、スライダ152を前側に移動させたときにスライダ152を後端に向かって付勢する付勢力を大きくし、スライダ152を後側に移動させたときに付勢力を最も小さくする。
【0050】
次に、第4実施形態について
図7及び
図8を用いて説明する。この実施形態は第1から第3実施形態の変形例であって、第1から第3実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0051】
この実施形態に係る処置具12のハンドル22の後方には、カム機構(連動機構)202が配置された固定板204が延出されている。ハンドル22には、シャフト24の長手軸に沿って移動可能な可動レバー(操作子)206が支持されている。可動レバー206にはハンドル22に設けられたピン22dが係合される長穴206aが形成されている。このため、可動レバー206は所定の範囲内のみ動くように形成されている。
【0052】
この実施形態では、カム機構202は、固定板204の後端に、懐中時計や腕時計等に用いられる、調速機(連動機構)212及び脱進機(連動機構)214を有する。カム機構202は、さらにカム(連動機構)216を有する。
図8(A)−(F)に示すように、調速機212は、中心位置にある振り座222と、振り座222に設けられ偏心位置にある振り石224と、振り座222を中心として円環状のテンプ226と、振り座222を中心として伸縮するひげぜんまい228とを有する。調速機212は、等時性を有するひげぜんまい228の伸縮で、テンプ226が規則正しい往復回転運動を繰り返す。
【0053】
脱進機214は、テンプ226の往復運動により振り子運動するアンクル232と、中心に歯車部234aを有するガンギ車234とを有する。アンクル232が振り子運動することで、ガンギ車234を回転させ、歯車部234aを回転させる。一方、ガンギ車234及びアンクル232はテンプ226が往復運動するための力を付与し続ける。ガンギ車234の歯車部234aには、カム216が固定されている。
【0054】
このため、
図8(A)から(C)に示すように、テンプ226が右回りに回転する。その後、ひげぜんまい228により、
図8(D)から(F)に示すように、テンプ226が左回りに回転する。なお、テンプ226の単位時間あたりのスピードは適宜に設定可能である。
【0055】
ひげぜんまい(連動機構)228からの力がガンギ車(連動機構)234に伝えられる。ガンギ車234が回転しようとする力でアンクル(連動機構)232を動かす。アンクル232はテンプ(連動機構)226を振動(回動)させる。テンプ226の振動はアンクル232を左右に交互に動かすように働く。アンクル232の動きはガンギ車234の歯を一つずつ送っていく。テンプ226が1往復するとガンギ車234は歯数/360度分回る。
【0056】
そして、ガンギ車234の中心の歯車部234aにより、カム216を回転させる。このため、カム216は可動レバー(操作子)206を押圧して前進させる。
【0057】
したがって、押圧体としての可動レバー206の前進に伴って外筒34が前進する。カム216の形状によるが、第1及び第2ジョー42,52が略適宜の量ずつ閉じていく。
【0058】
したがって、第1実施形態で説明したように、この実施形態に係る処置具12によれば、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止され、ゆっくりと時間をかけて閉じられる。このとき、術者は、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止されるようにハンドル22の可動レバー206を操作し続ける必要がなく、術者の負担を大きく減らすことができる。また、第1及び第2ジョー42,52が調速機212及び脱進機214を有するカム機構202により相対的に略定速度で閉じるので、術者の力加減による、可動レバー206をハンドル22に対して押圧させる、単位時間当たりの閉量のばらつきを抑制でき、治療の質の統一を図ることができる。
【0059】
なお、第1及び第2ジョー42,52を開く場合、可動レバー206を後端側に移動させれば良い。
【0060】
次に、第5実施形態について
図9A及び
図9Bを用いて説明する。この実施形態は第1から第4実施形態の変形例であって、第1から第4実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0061】
図9Aに示すように、開閉レバー(操作子)72とハンドル22の他端22bとの間には、ラック(連動機構)254を有する支持体252が支持されている。支持体252は枢支部252aで枢支されている。ハンドル22の他端22bには、ラック254に噛み合わせられたピニオン(連動機構)256が
図9Bに示すぜんまいバネなどの弾性部材(連動機構)258により回転可能に支持されている。ぜんまいバネ258は開閉レバー72の位置によりピニオン256を付勢した状態に支持可能である。すなわち、開閉レバー72をハンドル22の他端22bに対して離しているとき、ぜんまいバネ258はピニオン256に付勢力を働かせる。言い換えると、ピニオン256のぜんまいばね(弾性部材)258は、開閉レバー(操作子)72とハンドル本体22cとの間に開閉レバー72をハンドル本体22cに向かって付勢する付勢力を発揮させる。一方、開閉レバー72をハンドル22の他端22bに対して近接させているとき、ぜんまいバネ258はピニオン256に付勢力を働かせない。
【0062】
ピニオン256及びぜんまいバネ258の周囲には、ラック254も含めて例えばオイルが収容されるダンパ260が配置されている。ダンパ260は、開閉レバー72とハンドル本体22cとの間に、付勢力を緩衝し第1及び第2ジョー42,52が開状態から閉状態に至るまでの閉じ時間を調整する。ダンパ260はブレード262aを有する摩擦板262を有する。なお、ピニオン256及びぜんまいバネ258は同軸上にあり、ピニオン256及びぜんまいバネ258にはブレード262aを有する摩擦板262が配置されている。摩擦板262の周囲にはオイルが存在しているので、ぜんまいバネ258によるピニオン256の回転は、摩擦板262により制御される。例えば、ブレード262aの形状や大きさ、摩擦板262自体の形状や大きさにより、ピニオン256の回転し易さが決定される。また、オイルの種類等を適宜に設定することで粘性を調整して、ピニオン256の単位時間当たりの回転量を調整することができる。
【0063】
術者は、ハンドル22の他端22bに対して開閉レバー72を離隔させ、ぜんまいバネ258に徐々に付勢力が付加される。このとき、第1ジョー42に対して第2ジョー52が開く。この状態で術者が開閉レバー72を離すと、ぜんまいバネ258の付勢力によりピニオン256が
図9Aに示す方向に回転する。このため、ラック254により開閉レバー72がハンドル22の他端22bに近接していく。このとき、摩擦板262を有するオイルダンパ260はピニオン256の急激な回転を抑制することができる。
【0064】
したがって、開閉レバー72がハンドル22の他端22bに近接するのに伴って外筒34が前進し、第1及び第2ジョー42,52が略適宜の量ずつ閉じていく。
【0065】
したがって、第1実施形態で説明したように、この実施形態に係る処置具12によれば、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止され、ゆっくりと時間をかけて閉じられる。このとき、術者は、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止されるようにハンドル22の開閉レバー72を操作し続ける必要がなく、術者の負担を大きく減らすことができる。また、第1及び第2ジョー42,52が相対的に略定速度で閉じるので、術者の力加減による、開閉レバー72をハンドル22に対して押圧させる、単位時間当たりの閉量のばらつきを抑制でき、治療の質の統一を図ることができる。
【0066】
なお、第1及び第2ジョー42,52を開く場合、開閉レバー72をハンドル22の他端22bに対して離隔させれば良い。
【0067】
次に、第6実施形態について
図10A及び
図10Bを用いて説明する。この実施形態は第1から第5実施形態の変形例であって、第1から第5実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0068】
図10A及び
図10Bに示すように、この実施形態に係る処置具12は、ワイヤ状、ロッド状又は筒状で、軸方向に沿って移動可能な移動部材(連動機構)272を有する。
【0069】
ハンドル22には、開閉レバー(操作子)282が枢支部282aにより枢支されている。ハンドル22にはさらに、移動部材272に例えば平行に延出された延出部(連動機構)284と、移動部材272の移動を規制する押圧体としてのロック板(連動機構)286と、ロック板286を後端側に向かって付勢する圧縮コイルバネなどの弾性部材(連動機構)288と、移動部材272の外周に配置され延出部284に対して支持されたOリング(連動機構)290とが配設されている。Oリング290は、延出部284の軸方向に移動するのが規制され、移動部材272の外周面との間に摩擦力を付与している。
【0070】
延出部284には、移動部材272を挿通可能な孔部286aを有するロック板286が配置されている。延出部284には、圧縮コイルバネ288の一端を支持する支持板284aが配置されている。圧縮コイルバネ288の他端はロック板286に支持されている。ロック板286は開閉レバー282に支持されている。延出部284にはOリング290の前後方向の移動を規制する挟持部284bが形成されている。
【0071】
図10Aに示すように、移動部材272は、移動部材272の外周面とロック板286の孔部286aとの間の摩擦により移動が規制されている。ハンドル22の他端にレバー282を圧縮コイルバネ288の付勢力に抗して近接させると、
図10Bに示すように、移動部材272の外周面とロック板286の孔部286aとの間の摩擦により、移動部材272を前進させる。
【0072】
なお、Oリング290と移動部材272の外周面との間の摩擦力は、開閉レバー282を操作することで移動部材272を前進させることができるが、開閉レバー282をハンドル22に対して相対的に停止させた状態のとき、移動部材272をOリング290に対して移動を停止させておく程度である。
【0073】
なお、移動部材272は、Oリング290との間の摩擦力により移動させ難い。すなわち、Oリング290は、移動ロッド272が後退するのを規制する規制部として機能する。このため、移動部材272は、Oリング290に対してゆっくりと前進する。
【0074】
そして、開閉レバー282を開放すると、圧縮コイルバネ288の付勢力によってロック板286が元の位置に戻る。一方、Oリング290は移動部材272の外周面との間の摩擦力により移動部材272の移動にブレーキをかける。このため、
図10Bに示す状態にジョー42,52が閉じた状態で、開閉レバー282だけを
図10Aに示す状態に戻すことができる。
【0075】
したがって、開閉レバー282をハンドル22に対して近接させたり離隔させたりすることによって、徐々に移動部材272が前進してジョー42,52が相対的に閉じていく。すなわち、移動部材(連動機構)272は、開閉レバー(操作子)282をハンドル本体22cに近接させ、離隔させる操作を1サイクルとして入力するたびに、第1及び第2ジョー42,52の開状態を閉状態に近づけるように構成されている。
ここで、開閉レバー282の握り込み一回あたりのジョー42,52の閉量、すなわち、一操作あたりの単位閉じ量が一定となる。このため、操作者の力加減による閉量のバラつきを抑制することができる。
【0076】
ハンドル22に対して開閉レバー282に複数サイクルの操作を入力したときに第1及び第2ジョー42,52が開状態から閉状態に至るまでの1サイクルごとの閉じ量(単位閉じ量)を調整することができる。
【0077】
なお、
図10Bに示すように、第2ジョー52を第1ジョー42に対して閉じた状態から
図10Aに示すように開いた状態に移行する場合、開閉レバー282をハンドル22に対して閉じる。このため、移動部材272とロック板286の孔部286aとの間の摩擦力が小さくなる。この状態で、移動部材272の基端272aを、Oリング290の摩擦力に抗して後端側に引っ張る。したがって、第1ジョー42に対して第2ジョー52を簡単に開くことができる。
【0078】
次に、第7実施形態について
図11A及び
図11Bを用いて説明する。この実施形態は第1から第6実施形態の変形例であって、第1から第6実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0079】
図11A及び
図11Bに示すように、この実施形態に係る処置具12は、軸方向に沿って移動可能な移動ロッド(連動機構)302を有する。
【0080】
軸方向に沿って移動可能な移動ロッド302は、軸方向に沿って複数の溝部304と、軸方向に沿って複数の突起306とを有する。複数の溝部304及び複数の突起306はそれぞれ所定の間隔ごとに配置されている。
【0081】
複数の溝部304は全て
図11A及び
図11B中の上側に配置され、複数の突起306は全て
図11A及び
図11B中の下側に配置されている。すなわち、複数の溝部304及び複数の突起306は互いに移動ロッド302の中心軸に対して反対の位置に形成されている。各溝部304は、先端側が外周面から深く削られ中心軸Cに直交する直交面304aと、直交面304aのうち外周面に対する深部から基端側に向かうにつれて外周面に近づく斜面304bとを有する。各突起306は、基端側に外周面から突出し中心軸Cに直交する直交面306aと、直交面306aのうち外周面に対する突出部から先端側に向かうにつれて外周面に近づく斜面306bとを有する。
【0082】
ハンドル22には、引張コイルバネなどの弾性部材312の一端(基端)が支持され、引張コイルバネ312の他端(先端)が作動板(連動機構)314を支持している。作動板314は引張コイルバネ312によりハンドル22の基端に向かって引っ張られている。作動板314は、開閉レバー282の操作により押圧力が付加される押圧力受部314aと、溝部304の斜面304bに沿った斜面314bとを有する。
【0083】
シャフト24又はハンドル22には、突起306を係合する係合部(連動機構)316が配置されている。係合部316は、突起306の斜面306bに沿う斜面316aと、突起306の直交面306aに対向する直交面316bとを有し、突起306が係合される。係合部316は、基端側に、突起306が摺動される基端側斜面316cを有する。なお、係合部316は、移動ロッド302に対して近接及び離隔可能であり、ジョー42,52を閉じる際には近接させ、ジョー42,52を開く際には離隔させる。ジョー42,52を閉じる際には近接させたとき、係合部316は、移動ロッド302が後退するのを規制する規制部として機能する。
【0084】
図11Aに示す状態で、開閉レバー282をハンドル22の他端22bに近接させると、
図11Bに示すように、作動板314が引張コイルバネ312の付勢力に抗して前進する。このとき、作動板314は溝部304の直交面304aを押圧する。このため、移動ロッド302が前進する。
【0085】
移動ロッド302の前進に伴って、突起306は係合部316の基端側斜面316cを乗り越える。このため、突起306が係合部316に係合される。一方、作動板314は引張コイルバネ312の引っ張り力により、ある溝部304の斜面304b及び外周面を滑って、その溝部304よりも基端側の溝部304に配置される。このとき、
図11Aに示すように、作動板314の押圧力受部314aが開閉レバー282に支持されている。
【0086】
このような動作(サイクル)を繰り返し、移動ロッド302を徐々に前進させていく。このため、第1ジョー42に対して第2ジョー52を所定量ずつ、ゆっくりと徐々に閉じることができる。
【0087】
なお、第1ジョー42に対して第2ジョー52を開く場合、係合部316を移動ロッド302に対して離隔させる。このため、移動ロッド302を基端側に移動させる際に、係合することが防止される。
【0088】
したがって、開閉レバー282をハンドル22に対して近接させたり離隔させたりすることによって、徐々にジョー42,52が相対的に閉じていく。ここで、開閉レバー282の握り込み一回あたりのジョー42,52の閉量(一操作あたりの単位閉じ量)は略一定となる。このため、操作者の力加減による閉量のバラつきを抑制することができる。
【0089】
ハンドル22に対して開閉レバー282に複数サイクルの操作を入力したときに第1及び第2ジョー42,52が開状態から閉状態に至るまでの1サイクルごとの閉じ量(単位閉じ量)を調整することができる。
【0090】
第1ジョー42に対して第2ジョー52を開く場合、係合部316をハンドル22の内部から退避させる。そして、移動ロッド302の基端を基端側に引っ張る。このため、移動ロッド302が徐々に後端側に移動する。このため、第1ジョー42に対して第2ジョー52が開く。そして、作動板314は最も前側の溝部304に係合される。そして、開閉レバー282を操作するたびに、作動板314が1つずつ後ろ側の溝部304に係合される。
【0091】
次に、第8実施形態について
図12Aから
図12Cを用いて説明する。この実施形態は第1から第7実施形態の変形例であって、第1から第7実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0092】
図12Aから
図12Cに示すように、この実施形態に係る処置具12は、中心軸Cの軸回りに回転することにより軸方向に沿って移動可能な回転ロッド(操作子)322を有する。回転ロッド322の先端には、雄ネジ部324aを有する大径部324が配設されている。大径部324は回転ロッド322の外径よりも大きい外径を有する。なお、ハンドル22の内部(内側)には大径部324の雄ネジ部324aに螺合可能な雌ネジ部326が形成されている。
【0093】
回転ロッド322の先端の大径部324のさらに先端には回転ロッド322が軸方向に移動するのにともなって回転が規制された状態で軸方向に移動する移動ロッド328が支持されている。大径部324と移動ロッド328とは公知のボールねじの構造のように形成されている。
【0094】
図12Cに示すように、回転ロッド322には軸方向に直交する方向に凹部322aが形成されている。凹部322aには圧縮コイルバネなどの弾性部材(連動機構)332を介して凸部(突出体)334が配置されている。凸部334は回転ロッド322の径方向外方側の方が、径方向内方よりも先細りに形成されている。そして、凸部334は圧縮コイルバネ332の付勢力によりハンドル本体22cの径方向の外方に突出している。
【0095】
ハンドル22の本体22cには、凸部334が回転ロッド322に対して径方向外方に付勢されて突出するように、例えば軸方向に長い長穴(連動機構)336が形成されている。回転ロッド322を中心軸Cの軸周りに1回転させるたびに圧縮コイルバネ332の作用により凸部334が長穴336に対して突出する。ここで、凸部334は径方向外方側の方が、径方向内方よりも先細りに形成されているので、回転ロッド322を中心軸Cの軸周りに1回転させるたびに必ず長穴336に対して径方向外方に突出する。そして、回転ロッド322を所定の方向(中心軸Cの軸周り)に1回転(1サイクル)させるたびに凸部334は軸方向先端に向かって所定のピッチずつ移動する。
【0096】
このため、ハンドル22に対して回転ロッド322を中心軸Cの軸周りに1回転させるたびに凸部334を長穴336に対して突出させることができる。そして、回転ロッド322の凸部334を押圧しながら回転させることで、回転ロッド322に次の1回転をさせることが可能となる。
【0097】
回転ロッド322を中心軸Cの軸周りに1回転(1サイクル)させたとき、移動ロッド328の移動量は所定量である。したがって、回転ロッド322に1サイクル(1回転)の操作を入力したときに移動ロッド328が所定量前進する。すなわち、移動ロッド(連動機構)328は、回転ロッド(操作子)322をハンドル本体22cに対して所定の方向に1回転させる操作を1サイクルとして入力するたびに、第1及び第2ジョー42,52の開状態を閉状態に近づけるように構成されている。このため、回転ロッド322に1サイクル(1回転)の操作を入力したときの閉じ量(一操作あたりの単位閉じ量)を調整することができる。すなわち、第1及び第2ジョー42,52が開状態から閉状態に至るまで複数サイクル(複数回転)必要であるが、開状態から閉状態に至るまでの必要サイクル数を調整することができる。
【0098】
なお、第1ジョー42に対して第2ジョー52を閉状態から開状態にする場合、回転ロッド322を中心軸Cの軸周りに逆回転させることで、移動ロッド328を基端側に移動させれば良い。このとき、凸部334及び長穴336は、移動ロッド328が後退するのを規制する規制部として機能する。
【0099】
次に、第9実施形態について
図13A及び
図13Bを用いて説明する。この実施形態は第1から第8実施形態の変形例であって、第1から第8実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0100】
図13A及び
図13Bに示すように、この実施形態に係る処置具12のハンドル22と第1及び第2ジョー42,52との間はワイヤ(連動機構)352で連結されている。ワイヤ352を牽引することで徐々に第1ジョー42に対して第2ジョー52を閉じることができる。
【0101】
ハンドル22には、収容室(連動機構)354が形成されている。収容室354にはワイヤ352の軸方向に沿って移動可能な移動体(連動機構)356が配置されている。移動体356はハンドル22の他端22bに並設されるように、ハンドル本体22cから延出されている。
【0102】
収容室354には、ワイヤ352が挿通され、ワイヤ352の基端が移動体356に固定されている。移動体356と収容室354の前端との間には、ワイヤ352の外周に沿って圧縮コイルバネ等の弾性部材(連動機構)358が支持されている。
【0103】
図13Aに示すように、この実施形態では、移動体356をワイヤ352の軸方向後端に向かって牽引することで第1ジョー42に対して第2ジョー52が閉じるように形成されている。
【0104】
図13A及び
図13Bに示すように、移動体356には回転軸362で枢支された回動ロッド(操作子)364の一端が支持されている。ハンドル22の他端22bには、回動ロッド364の他端を支持する複数の係合部(連動機構)366が形成されている。
【0105】
このため、
図13Aに示すように、回動ロッド364がワイヤ352に水平又は略水平の状態に配置されたときに第1ジョー42に対して第2ジョー52が最も開く。回動ロッド364がワイヤ352に対して傾斜し、移動体356の延出方向に近接するにつれてワイヤ352が後端側に牽引される牽引量が大きくなるので、第1ジョー42に対して第2ジョー52が閉じていく。
【0106】
このとき、ハンドル22の他端22bの複数の係合部366のうち、ワイヤ352に近接する位置から離隔する位置に向かって順に回転ロッド364の他端が逐一支持される。このため、第1ジョー42に対して第2ジョー52が徐々に閉じていく。
【0107】
したがって、回動ロッド364をワイヤ352に対して水平状態から傾斜状態に徐々に移行させることにより、徐々にジョー42,52が相対的に閉じていく。ここで、回動ロッド364の係合位置を弾性部材358の付勢力に抗して1つずつずらす、1サイクルあたりのジョー42,52の閉量(一操作あたりの単位閉じ量)が略一定となる。このため、操作者の力加減による閉量のバラつきを抑制することができる。
【0108】
ハンドル22に対して回動ロッド364に複数サイクルの操作を入力したときに第1及び第2ジョー42,52が開状態から閉状態に至るまでの1サイクルごとの閉じ量(単位閉じ量)を調整することができる。そして、術者は回転ロッド364を動かす時間を適宜に設定できる。このため、開状態から閉状態に至るまでの時間を調整することができる。
【0109】
なお、第1ジョー42に対して第2ジョー52を開く際には、移動体356を弾性部材358の付勢力に抗して前進させれば良い。
【0110】
次に、第10実施形態について
図14A及び
図14Bを用いて説明する。この実施形態は第1から第9実施形態の変形例であって、第1から第9実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。この実施形態は特に第9実施形態の変形例である。
【0111】
この実施形態に係る処置具12のハンドル22の収容室(連動機構)354には、圧縮コイルバネ等の弾性部材(連動機構)358の基端にスライダ(連動機構)372が支持されている。スライダ372には、ハンドル22の基端から延出された係合ロッド(操作子)374が固定されている。係合ロッド374は、複数の係止部(連動機構)374aを有する。
【0112】
図14A及び
図14Bに示すように、ハンドル22の基端には係合部(連動機構)376が固定されている。係合部376は、可撓性を有する延出部382と、一端にツマミ384aを有し他端が係合ロッド374の係止部374aに係止される硬質ピン384とを有する。なお、延出部382は延出方向に延びることが防止されるが、所定の範囲内で曲がるように形成されている。
【0113】
なお、
図14Aに示すように、硬質ピン384は係合ロッド374の後退を防止している。
【0114】
ツマミ384aを操作して、係合ロッド374を弾性部材358の付勢力により後退させることができる。係合ロッド374の係止部374aのうち、後端側に硬質ピン384を係合させると、開状態の第2ジョー52が第1ジョー42に向かって閉じる。このときの閉じ量は係合ロッド374の後端からの距離による。係合ロッド374の係止部374aのうち、先端側に例えば1段ずつ硬質ピン384を係合させ、係合を解除させていく。このため、第2ジョー52が第1ジョー42に向かって、係合ロッド374の後端からの距離に応じて閉じる。
【0115】
したがって、弾性部材358の付勢力により係合ロッド374を後退させ、すなわちワイヤ352を後端側に牽引することにより、徐々にジョー42,52が相対的に閉じていく。ここで、係合ロッド374の係止部374aと硬質ピン384との係合位置を係合ロッド374の係止部374aを硬質ピン384に対して後端側に1つずつずらす1サイクルあたりのジョー42,52の閉量(一操作あたりの単位閉じ量)が略一定となる。このため、操作者の力加減による閉量のバラつきを抑制することができる。
【0116】
ハンドル22に対して係合ロッド374に複数サイクルの操作を入力したときに第1及び第2ジョー42,52が開状態から閉状態に至るまでの1サイクルごとの閉じ量(単位閉じ量)を調整することができる。そして、術者は係合ロッド374を動かす時間を適宜に設定できる。このため、開状態から閉状態に至るまでの時間を調整することができる。
【0117】
なお、第1ジョー42に対して第2ジョー52を開く際には、係合ロッド374を弾性部材358の付勢力に抗して先端側に向かって押圧し、すなわち、スライダ372を弾性部材358の付勢力に抗して前進させれば良い。
【0118】
次に、第11実施形態について
図15Aから
図16Bを用いて説明する。この実施形態は第1から第10実施形態の変形例であって、第1から第10実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。この実施形態は第9及び第10実施形態の変形例である。
【0119】
図15A及び
図16Aに示すように、この実施形態ではワイヤ352の代わりに移動ロッド(連動機構)392が用いられる。移動体(操作子)356は移動ロッド392に平行に移動させることができる。移動体356にはハンドル22の他端22bとは反対方向に延出された係止ピン394が固定されている。
【0120】
図15B及び
図16Bに示すように、ハンドル22の一端22aには係止ピン394を移動ロッド392の軸方向に移動可能であるとともに、移動ロッド392の軸方向に直交する方向に等間隔に複数の係止溝(連動機構)396が形成されている。係止溝396に係止ピン394が入れられる場合、圧入等により係止されることが好適である。係止ピン394を係止溝396から取り出す場合、係止ピン394を係止溝396から引っ張り出せば良い。
【0121】
図15B及び
図16Bに示すように、係止ピン394を適宜の位置に係止溝396に係合させることができる。このとき、係止溝396は移動ロッド392を軸方向に移動するのが規制するように保持する。
【0122】
係止溝396の近傍には、開状態を時間0(秒)として各係止溝396に至る最低時間(秒)目盛398が記載されている。このため、術者は、第1ジョー42に対して第2ジョー52を閉じ始める時間に対して目盛398と実際の時間とを見比べて、移動体356をハンドル22の基端に向かって係止溝396に対して係合及び離脱を繰り返しながら移動させる。すなわち、目盛398の指示にしたがって移動体356及び係止ピン394を移動させる。
【0123】
したがって、
図15A及び
図15Bに示す移動体356をハンドル本体22cの先端側から、
図16A及び
図16Bに示す基端側に、複数の係止溝396に対して順に移動させることにより、徐々にジョー42,52が相対的に閉じていく。ここで、係止ピン394を係止溝396に係止させる位置を1つずつ後端側ずらす、1サイクルあたりのジョー42,52の閉量(一操作あたりの単位閉じ量)が略一定となる。このため、操作者の力加減による閉量(単位閉じ量)のバラつきを抑制することができる。
【0124】
ハンドル22に対して移動体356に複数サイクルの操作を入力したときに第1及び第2ジョー42,52が開状態から閉状態に至るまでの1サイクルごとの閉じ量(単位閉じ量)を調整することができる。そして、術者は移動体356を動かす時間を適宜に設定できる。このため、開状態から閉状態に至るまでの時間を調整することができる。
【0125】
なお、第1ジョー42に対して第2ジョー52を開く際には、係止ピン394を係止溝396に係合させずに先端側に移動させ、すなわち、移動体356を前進させれば良い。
【0126】
次に、第12実施形態について
図17A及び
図17Bを用いて説明する。この実施形態は第1から第11実施形態の変形例であって、第1から第11実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0127】
図17Aに示すように、この実施形態に係る処置具12は、ハンドル22内に形成された収容室(連動機構)354と、収容室354に配置され収容室354の内部と外部とを連通する口金402と、収容室354に配置された圧力リリーフ弁(連動機構)404とを有する。口金402にはホース402aの一端が連結される。ホース402aの他端は水、空気又は油等をホース402aに通して収容室354に流す流体放出部(操作子)406に連結されている。このため、圧力リリーフ弁404は、所定の圧力を超える圧力が加えられたときに、開放されて流体が排出される。
【0128】
収容室354には、ワイヤ352が挿通され、ワイヤ352の基端にスライダ372が配置されている。ワイヤ352の周囲には、スライダ372を先端側に付勢する引張コイルバネ等の弾性部材(連動機構)408が配置されている。なお、収容室354の前端及びスライダ372の外周面にはOリング(連動機構)410a,410bが配置されている。
【0129】
このため、流体放出部406からホース402a及び口金402を通して流体が流し込まれると、弾性部材408の付勢力に抗してスライダ372が基端側に移動する。このため、この移動量を調整することで、第1ジョー42に対する第2ジョー52の閉じ量を調整することができる。ここでは特に収容室354に入れる流体の流量を用いることで単位時間当たりの閉じ量を調整している。
【0130】
このため、流体放出部406を制御することで第1実施形態で説明したように、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止され、ゆっくりと時間をかけて閉じられる。このとき、術者は、第1及び第2ジョー42,52が勢い良く閉じるのが防止されるようにハンドル22の移動体356を操作し続ける必要がなく、術者の負担を大きく減らすことができる。また、第1及び第2ジョー42,52が弾性部材134により相対的に略定速度で閉じるので、術者の力加減による、回転ロッド122をハンドル22に対して回転させる、単位時間当たりの閉量のばらつきを抑制でき、治療の質の統一を図ることができる。
【0131】
なお、リリーフ弁404を開放することにより、引張コイルバネ408でスライダ372を先端側に移動させて第1ジョー42に対して第2ジョー52を開くことができる。
【0132】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
生体組織にエネルギを付加してその生体組織を処置するための処置具は、第1ジョーに設けられた第1把持面と、第2ジョーに設けられた第2把持面と、前記第1及び第2把持面の少なくとも一方に設けられ前記第1及び第2把持面間に把持される生体組織にエネルギを出力するエネルギ出力部と、操作者に支持されるハンドルと、前記ハンドルに設けられ、前記第1及び第2ジョーを相対的に近接させる操作を入力可能な操作子と、前記ハンドルに対して前記操作子に一操作を入力したときに前記第1及び第2ジョーが開状態から閉状態に至るまでの閉じ時間、及び、前記開状態から前記閉状態に向かう単位閉じ量、の少なくとも一方を調整し、前記第1及び第2ジョーの少なくとも一方と前記操作子とを連動させる連動機構とを有する。