(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る内視鏡用高周波処置具の一実施形態を、
図1から
図16を参照しながら説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の厚さや寸法の比率は適宜異ならせてある。
図1は、本実施形態に係る内視鏡用高周波処置具の全体図である。
図1に示すように、本実施形態の内視鏡用高周波処置具1は、先端部に処置部20が設けられた軟性の挿入部10を図示しない内視鏡のチャンネル内に挿入して使用される。
【0019】
図2は、本実施形態に係る内視鏡用高周波処置具の押込み状態における先端側の軸線方向の断面図である。本実施形態に係る内視鏡用高周波処置具1は、軟性のシース11と、操作ワイヤ(軸状部材)12と、電極部材21と、を備えている。
【0020】
シース11は、例えばテトラフルオロエチレンなどの電気的な絶縁性を有する材料で形成されている。シース11の外径は、図示しない内視鏡のチャンネル内を挿通可能な大きさに設定されている。シース11内には、操作ワイヤ12が、シース11の長手軸C1に沿う方向に進退可能に挿通されている。操作ワイヤ12は、金属などの導電性を有する材料で形成されている。シース11及び操作ワイヤ12は、内視鏡のチャンネル内に挿通される挿入部10(
図2参照)を構成する。
【0021】
シース11の先端部には、絶縁チップ13が不図示の接着剤などにより固定されている。絶縁チップ13は、ジルコニアやセラミックスなどの耐熱性および絶縁性を有する材料で筒状に形成されている。絶縁チップ13には、シース11の内部空間と連通し、且つ、先端に開口する筒孔13aが形成されている。絶縁チップ13の筒孔13aには、基端側を拡径させることで段部13bが形成されている。絶縁チップ13の外周面には、基端側を縮径させることで外周段部13cが形成されている。
絶縁チップ13の外周段部13cよりも先端側の部分の外径はシース11の外径にほぼ等しい。シース11の先端部と絶縁チップ13の外周段部13cとが固定されている。
【0022】
シース11の基端部には、送液口金14が、筒状の接続部材15を介して取付けられている。送液口金14には、シース11の内部空間11aに連通する注入口(供給口)14aが形成されている。シース11と送液口金14との接続部の外周面には、折れ防止用チューブ16が取付けられている。折れ防止用チューブ16は、シース11の基端部を湾曲させたときにシース11の基端部が折れることを防止するために設けられている。
【0023】
送液口金14には、操作ワイヤ12の基端部が挿通される開口14bが形成されている。送液口金14の開口14b内には、不図示のシール材が設けられている。Oリングなどのシール材により、送液口金14と操作ワイヤ12とが水密に封止され、且つ、操作ワイヤ12が、送液口金14に対して操作ワイヤ12を長手軸C1に沿う方向に進退可能に支持されている。注入口14aには、図示はしないがシリンジ、または送水ポンプから延長された送水チューブなどの送液手段が着脱可能に構成されている。
【0024】
処置部20は、中空の電極部材(電極)21を有している。
図3は、
図2の電極部材の要部の拡大図である。本実施形態では、
図2及び
図3に示すように、電極部材21は管状に形成されて、内部に管路21aが形成されている。
図2に示すように、電極部材21は、操作ワイヤ12の先端部に接続されている。
【0025】
電極部材21の長手軸C1に沿う方向におけるシース11からの最大突出長さ(本実施形態では、電極部材21の絶縁チップ13からの最大突出長さ)は、粘膜組織を切開し、かつ、筋層部分を切除しないために、例えば1mm以上5mm以下程度であることが望ましい。
電極部材21は、ステンレス鋼などの導電性を有する材料で形成されている。
【0026】
図4は、
図3に示す切断線A−Aにおける断面図である。電極部材21は、
図3および
図4に示すように、大径部22と小径部23とを有している。大径部22は、電極部材21の先端側に位置する。小径部23は、大径部22よりも基端側に位置し、大径部22よりも外径が小さい。
図3に示すように、大径部22の先端面22aの外周縁部は、側面視で丸くなるように形成されている。
【0027】
小径部23の外径は、高周波電流の密度を好適に高めるために、例えば0.3mm以上0.5mm以下程度であることが望ましい。小径部23の外径は、絶縁チップ13の筒孔13aにおける段部13bよりも先端側の部分の内径よりもわずかに小さい。電極部材21の小径部23は、絶縁チップ13の筒孔13a内に挿通されている。
【0028】
電極部材21の管路21aは、小径部23を通って大径部22の先端面に開口する。すなわち、電極部材21の管路21aは、電極部材21を長手軸C1に沿う方向に貫通していて、電極部材21は、長手軸C1に沿って管路21aが形成された管状電極である。
【0029】
管路21aの内径は、長手軸C1に沿う方向の位置によらず一定である。管路21aの内径は、粘膜下に適切に生理食塩水や薬液を注入するための噴出圧力及び噴出流径を実現するために、例えば0.2mm以上0.4mm以下程度となることが望ましい。
【0030】
図2に示すように、小径部23の長手軸C1に沿う方向の中間部には、小径部23の外周面23aから内周面まで貫通する連通孔23bが形成されている。
【0031】
大径部22の外周面22bおよび小径部23の外周面23aのJIS B0601−1994に規定される算術平均粗さ(Ra)は、管路21aの内周面21bの算術平均粗さよりも大きい(粗い)。管路21aの内周面21bの算術平均粗さは、0.1μm(マイクロメートル)以下であり、この例では、0.02μmである。なお、内周面21bの算術平均粗さは、0.05μm以下であることがより好ましい。
【0032】
図3および
図4に示す大径部22の外周面22bの算術平均粗さ、および小径部23の外周面23aの算術平均粗さは、例えば6.3μmである。管路21aの内周面21bの算術平均粗さは、大径部22の外周面22bの算術平均粗さの6分の1以下であり、小径部23の外周面23aの算術平均粗さの6分の1以下である。
【0033】
大径部22の先端面22aの算術平均粗さは、管路21aの内周面21bの算術平均粗さよりも大きく、大径部22の外周面22bの算術平均粗さ以下であって小径部23の外周面23aの算術平均粗さ以下である。本実施形態では、大径部22の先端面22aの算術平均粗さは、例えば2.5μmである。
【0034】
さらに、小径部23の外周面23a、管路21aの内周面21b、および電極部材21の先端面22aが、それぞれ後述する粘膜などの組織と接触する際の摩擦係数は次のように設定される。
【0035】
外周面23aにおける摩擦係数は、内周面21bにおける摩擦係数よりも大きく先端面22aにおける摩擦係数以上である。先端面22aにおける摩擦係数は、外周面23aにおける摩擦係数以下であり、かつ内周面21bにおける摩擦係数よりも大きい。内周面21bにおける摩擦係数は、外周面23aにおける摩擦係数および先端面22aにおける摩擦係数よりも小さい。
【0036】
電極部材21は、例えば外径が電極部材21の大径部22よりも太いパイプの基端側の外周面を削り出すことで形成することができる。
管路21aの内周面21bの加工は、微細な砥粒を用いた電解研磨や、CMP(Chemical Mechanical Polishing)研磨などの公知の研磨方法を適宜選択して用いることができる。
【0037】
図2に示すように、小径部23と操作ワイヤ12との接続部の外周面には筒状のストッパ部材25が取付けられていて、ストッパ部材25は電極部材21と操作ワイヤ12とを接続している。ストッパ部材25には、ストッパ部材25を外周面から内周面まで貫通する透孔25aが形成されている。ストッパ部材25の透孔25aは、電極部材21の連通孔23bと連通している。電極部材21の管路21aは、電極部材21の連通孔23bおよびストッパ部材25の透孔25aを介して、シース11の内部空間11aに連通している。
ストッパ部材25の外径は、絶縁チップ13の筒孔13aにおける段部13bよりも基端側の部分の内径よりもわずかに小さい。筒孔13aに挿通された小径部23及びストッパ部25は、操作ワイヤ12を進退させることにより、筒孔13aのうち段部13bよりも基端側の範囲を進退可能に構成されている。
【0038】
本実施形態では、内視鏡用高周波処置具1は、
図1に示すように、操作部30を更に備えている。操作部30は、挿入部10の基端部に設けられている。
操作部30は、操作部本体31と、操作用スライダ32とを備えている。操作部本体12は、送液口金14の基端部に固定されている。操作用スライダ32は、操作部本体31に対してスライド可能に設けられている。
【0039】
操作部本体31には、長手軸C1に沿ってスリット31aが形成されている。操作用スライダ32は、操作部本体31に対してスリット31aに沿ってスライド可能である。操作部本体31は、指掛け用のリング31bを基端部に備えている。
【0040】
操作用スライダ32は、指掛け用のリング32a、32bを長手軸C1に対して直交する方向に並べて備えている。操作用スライダ32は、接続コネクタ部33を備えている。接続コネクタ部33は、図示しない高周波発生装置に通じるコードが電気的に接続される。
操作ワイヤ12の基端部は、操作用スライダ32に固定されているとともに接続コネクタ部33に電気的に接続されている。
【0041】
次に、以上のように構成された内視鏡用高周波処置具1の動作について説明する。本実施形態に係る内視鏡用高周波処置具1は、例えば操作部本体31のリング31bに術者などである使用者が親指を入れ、操作用スライダ32のリング32a、32bに人差指および中指を入れて操作する。この操作により、操作部本体31に対して操作用スライダ32を長手軸C1に沿う方向に片手でスライドさせることができる。
そして、操作部本体31に対して操作用スライダ32を先端側に移動させることでシース11に対して操作ワイヤ12を先端側に移動させる(押込む)と、
図2に示すように絶縁チップ13の段部13bにストッパ部材25が係止されることで、操作ワイヤ12を先端側に押込んだ押込み状態が位置決めされる。
【0042】
この押込み状態では、絶縁チップ13の筒孔13aを通して電極部材21の小径部23をシース11よりも先端側に突出させることができる。送液口金14の注入口14aから生理食塩水(流体)L1をシース11の内部空間11aに供給する。生理食塩水L1は、ストッパ部材25の透孔25aおよび電極部材21の連通孔23bを通して電極部材21の管路21aに供給されて管路21aの内周面21bを通過し、電極部材21の前方に噴出する。
【0043】
図5は本実施形態に係る内視鏡用高周波処置具1の引戻し状態における先端側の軸線方向の断面図である。操作部本体31に対して操作用スライダ32を基端側に移動させることでシース11に対して操作ワイヤ12を基端側に移動させる(引戻す)。この結果、
図5に示すように、シース11の内部空間11aに電極部材21の小径部23が収容されて絶縁チップ13の先端面に大径部22が当接する。これにより、操作ワイヤ12を基端側に引戻した引戻し状態が位置決めされる。
【0044】
次に、本実施形態に係る内視鏡用高周波処置具1を用いた処置について説明する。以下では、本実施形態に係る内視鏡用高周波処置具1を用いて、例えば経内視鏡的に体腔内の粘膜切除を行なう際の動作について説明する。
【0045】
まず、患者に対極板(図示せず)を装着しておく。図示しない内視鏡のチャンネルを通じて、引戻し状態にした内視鏡用高周波処置具1を経内視鏡的に体腔内に導入する。このとき、内視鏡の観察ユニットで取得した画像をモニタなどの表示部で観察しながら導入する。
内視鏡のチャンネルから内視鏡用高周波処置具1の挿入部10の先端部を突出させ、体腔内における切除すべき目的部位である病変粘膜部分に処置部20を対向させる。
【0046】
送液口金14の注入口14aに、不図示のシリンジまたは送水チューブを取付ける。使用者は、リング31b、32a、32bにそれぞれ指を入れ、操作部本体31に対して操作用スライダ32を押込み、内視鏡用高周波処置具1を押込み状態にして電極部材21を絶縁チップ13から前進させる。
図6は、病変粘膜部分を隆起させた状態を示す図である。
図6に示すように、病変粘膜部分P1の近傍に電極部材21を刺し入れ、シリンジまたは送水ポンプに収容されている生理食塩水L1をシース11の内部空間11aに供給し電極部材21から前方に噴出させる。噴出された生理食塩水L1は、病変粘膜部分P1の粘膜下層に注入され、病変粘膜部分P1を隆起させる。
【0047】
次に、操作部30の接続コネクタ部33に、不図示の高周波発生装置を接続する。高周波発生装置により、接続コネクタ部33、操作ワイヤ12を介して電極部材21に高周波電圧を印加する。このとき、電極部材21は、約100℃の高温になる。
【0048】
図7は、病変粘膜部分を切開していくときの状態を示す図である。
図7に示すように、内視鏡用高周波処置具1の電極部材21を長手軸C1に直交する横方向に動かすと、電極部材21に接触する粘膜(組織)P2が切開される。小径部23の外周面23aの算術平均粗さは、管路21aの内周面21bの算術平均粗さよりも大きく、具体的には例えば6.3μmである。また、外周面23aと粘膜P2との間の摩擦係数が前述のように設定されている。このため、小径部23の外周面23aに粘膜P2が確実に引っ掛かり、外周面23aに接触した粘膜P2が切開される。このように、小径部23の外周面23aは、外周面23aに接触した粘膜P2に通電して処置を行うように構成されている。
【0049】
大径部22の先端面22aの算術平均粗さが、管路21aの内周面21bの算術平均粗さよりも大きく、小径部23の外周面23aの算術平均粗さ以下である。また、先端面22aと粘膜P2との間の摩擦係数が前述のように設定されている。このため、周辺の組織に大径部22の先端面22aが接触した状態で電極部材21が移動しても、先端面22aが組織に負荷を与えることが少ない。
【0050】
図8は、電極部材の管路内に体液が入り込む状態を示す図である。
図8に示すように、粘膜P2の切開や出血点を凝固させる処置を行うときに、血液などの体液L2が毛細管現象などにより電極部材21の管路21a内に先端側から入り込むことがある。この場合、高温の電極部材21から熱が伝達されることで体液L2が管路21aの内周面21bで凝固する。体液L2が管路21a内で凝固したか否かは、シリンジにより生理食塩水L1を供給するときに要する力や送水ポンプを駆動するのに要する電力により認識することができる。体液L2が管路21aの内周面21bで凝固することにより管路21aの流路面積が狭くなるからである。
【0051】
図9は、電極部材21の管路内21aから生理食塩水L1を噴出する状態を示す模式図である。体液L2が管路21aの内周面21bで凝固した場合には、
図9に示すように、電極部材21の管路21aを通して生理食塩水L1を前方に大きな圧力で噴出させる。管路21aの内周面21bの算術平均粗さは、0.1μm以下であり、内周面21bと粘膜P2との間の摩擦係数が前述のように設定されている。このため、管路21aの内周面21bで凝固した体液L2の凝固物L3は、生理食塩水L1の圧力で内周面21bから剥され、排出される。大径部22の先端面22aの算術平均粗さ、および粘膜P2との間の摩擦係数が前述のように設定されているため、管路21aから排出される凝固物L3が先端面22aに留まるのを防ぐことができる。
【0052】
このとき、シリンジまたは送水ポンプから送水される生理食塩水L1は、送液口金14の注入口14aにおいて、100kPa(キロパスカル)以上3000kPa以下程度の圧力で供給されることが望ましい。供給圧力が100kPa未満になると、凝固物L3の剥離が不十分になる可能性がある。供給圧力が3000kPaを超えると、生理食塩水L1の流入圧力によりシース11が破損する可能性がある。
【0053】
図10は、病変粘膜部分を剥離していく状態を示す図である。病変粘膜部分P1を周方向にわたって完全に切開したら、
図10に示すように、病変粘膜部分P1の周囲を切開した切り口P3に電極部材21を当接させて、病変粘膜部分P1を順次切開して病変粘膜部分P1を全て切除して剥離させる。
【0054】
続いて、内視鏡用高周波処置具1を引戻し状態にして内視鏡のチャンネル内から手元側に引き抜く。内視鏡の空いたチャンネルに、図示しない把持鉗子などを挿通させる。把持鉗子を操作して経内視鏡的に病変粘膜部分P1を取出し、一連の処置を終了する。
【0055】
以上説明したように、本実施形態に係る内視鏡用高周波処置具1によれば、電極部材21の内周面21bの算術平均粗さが0.1μm以下である。このため、この内周面21bに付着した凝固物L3を生理食塩水L1の圧力で内周面21bから容易に剥離し、電極部材21の外部に容易に押し流すことができる。したがって、電極部材21の管路21aが凝固物L3で詰まるのを抑制することができる。
【0056】
本実施形態では、小径部23の外周面23aの算術平均粗さが管路21aの内周面21bの算術平均粗さよりも大きいため、小径部23の外周面23aに粘膜P2が確実に引っ掛かり、高温の電極部材21から粘膜P2に熱が確実に伝達される。これにより、電極部材21で粘膜P2を確実に切開することができる。
【0057】
大径部22の先端面22aの算術平均粗さが管路21aの内周面21bの算術平均粗さよりも大きいため、大径部22の先端面22aの加工を公知の研磨などにより比較的容易に行うことができる。大径部22の先端面22aの算術平均粗さが小径部23の外周面23aの算術平均粗さ以下であるため、大径部22の先端面22aが周辺の組織に負荷を与えることを抑制することができる。
大径部22の先端面22aの算術平均粗さをこのように設定することで、大径部22の表面が適度な粗さとなり、組織に対し大径部22がスリップすることや大径部22が組織に引っ掛かることが起こりにくく、内視鏡用高周波処置具1のコントロール精度が良くなる。
【0058】
さらに、管路21aは大径部22の先端面22aに面して開口しているが、先端面22aが適度な表面粗さを有することで、電極部材21の内周面21bから剥離された凝固物L3が大径部22の表面に留まることなく、確実に凝固物L3を管路21aから排出させることができる。
【0059】
本実施形態に係る内視鏡用高周波処置具1の電極部材21は、以下に説明するようにその形状を様々に変形させることができる。
例えば、
図11は、本実施形態の第1変形例の電極部材41の先端部分を示す断面図である。
図11に示す内視鏡用高周波処置具1Aのように、本実施形態に係る電極部材21に代えて電極部材41を備えてもよい。本変形例の電極部材41は、電極本体42の内周面42aに被覆層43が設けられる点で上記実施形態と異なる。
【0060】
被覆層43は、例えばテトラフルオロエチレンなどの、耐熱性を有するとともに表面が滑らかとなる材料で形成することができる。被覆層43の内周面43aの算術平均粗さは、0.1μm以下である。また、大径部22の先端面22aの算術平均粗さは、被覆層43の内周面43aの算術平均粗さよりも大きい。
このように構成された内視鏡用高周波処置具1Aによっても、上記実施形態に係る内視鏡用高周波処置具1と同様の効果を奏することができる。
【0061】
図12及び
図13は、上記実施形態の第2変形例の電極部材46の先端部分を示す断面図である。
図12および
図13に示す電極部材46のように、大径部47が長手軸C1に対して交差する一方向側のみに延びるように形成されていてもよい。本変形例では、電極部材46は全体としてL字状に形成されている。
【0062】
本変形例では、中空の電極部材46の先端面には、大径部47の先端面47aだけでなく、大径部47の延在方向の先端となる面47bも含まれる。すなわち、大径部47の先端面47aおよび面47bの各面における算術平均粗さは、電極部材46の管路46aの内周面46bの算術平均粗さよりも大きく、小径部23の外周面23aの算術平均粗さ以下であることが好ましい。
【0063】
図14は、上記実施形態の第3変形例の電極部材51の先端部分を示す断面図である。
図14に示す電極部材51のように、大径部52を先端側に向かって凸となる曲面を有する半球状に形成してもよい。この場合、大径部52をセラミックスなどの絶縁性を有する材料で形成することで、電極部材51の先端面に接触した組織が切開されるのを防止することができる。
【0064】
図15は、上記実施形態の第4変形例の電極部材56の先端部分を示す断面図である。
図16は、上記実施形態の第4変形例の電極部材56の先端部分を示す斜視図である。
図15および
図16に示す電極部材56のように、大径部57を長手軸C1に沿う方向に見たときに三角形となる板状に形成してもよい。なお、大径部を長手軸C1に沿う方向および長手軸C1に垂直な方向から見たときの形状は、三角形に限られず、四角形などの多角形でもよいし、楕円でもよい。
【0065】
上記実施形態では、大径部22の先端面22aの算術平均粗さは、管路21aの内周面21bの算術平均粗さよりも大きく、小径部23の外周面23aの算術平均粗さ以下であるとした。しかし、大径部22の先端面22aの算術平均粗さを、管路21aの内周面21bの算術平均粗さ以下にしたり、小径部23の外周面23aの算術平均粗さよりも大きくしたりしてもよい。
上記実施形態では、流体は生理食塩水L1であるとしたが、流体はこれに限られず、滅菌水や薬液などでもよい。
【0066】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態における構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
この内視鏡用高周波処置具は、絶縁性を有する材料で形成されたシースと、導電性を有する材料で形成され、シース内に進退可能に挿通された軸状部材と、シース内に供給された流体を前方に噴出可能な管路が形成され、軸状部材の先端部に接続された電極とを備え、電極は、接触した組織に通電して処置を行う外周面、および流体の供給時に流体に面する管路の内周面を有し、外周面の算術平均粗さは、内周面の算術平均粗さよりも大きく、かつ、内周面の算術平均粗さは、0.1μm以下である。