特許第5776027号(P5776027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776027
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】巻き爪パッド
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/11 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   A61F5/11
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2010-294684(P2010-294684)
(22)【出願日】2010年12月13日
(65)【公開番号】特開2012-125527(P2012-125527A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年12月3日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】593118782
【氏名又は名称】澤木 英夫
(73)【特許権者】
【識別番号】509207977
【氏名又は名称】澤木 由弥子
(72)【発明者】
【氏名】澤木 英夫
(72)【発明者】
【氏名】澤木 由弥子
【審査官】 貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−296569(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3091516(JP,U)
【文献】 特開2006−239376(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/129414(WO,A1)
【文献】 特開平9−253111(JP,A)
【文献】 実開昭57−90125(JP,U)
【文献】 特開平10−314215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/11、 13/02、 13/10
C09J 7/02、 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝材からなるシート状の基材と、該基材の片面で長手方向両端に設けた端部粘
着剤層と、該端部粘着剤層と同じ面で前記基材の中央の短手方向の片側に設けた
中央粘着剤層と、該中央粘着剤層と対向する側に形成されるパッドと、前記端部粘
着剤層と前記中央粘着剤層に貼着した剥離シート、とでなる巻き爪パッド。
【請求項2】
シート状の基材と、該基材の片面の全面に設けた粘着剤層と、略長方形で短手方
向は前記基材の中央の短手方向より短く、長手方向は前記基材の長手方向より短く
形成したパッドと、該パッドの短手方向の一方の端部が前記粘着剤層の長手方向の
中央の短手方向の一方の端部と同一面、又は、該同一面より一部突出させて貼着
し、以上により前記同一面と対向する側に中央粘着剤層と、前記粘着剤層の長手方
向両端に端部粘着剤層とが形成され、該端部粘着剤層と前記中央粘着剤層に貼着
した剥離シート、とでなる巻き爪パッド
【請求項3】
前記パッドの内部に薄板片よりなる矯正板を封入又は、前記パッドを袋状に形成
し、該袋状の開口部から前記矯正板を挿入できるようにした請求項1または請求項2
に記載の巻き爪パッド。
【請求項4】
前記巻き爪パッドを使用した状態で、さらに、前記基材のパッドとは反対の面と爪の
間に挿入することができる大きさに形成した薄板片よりなる矯正板と、該矯正板の挿
入状態を粘着により保持するための前記矯正板より大きい寸法に形成した粘着シー
トと、該粘着シートに貼着した剥離シートとでなる請求項1から請求項3のいずれかに
記載の巻き爪パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪と皮膚の間に挿入して痛みを緩和し、治療する巻き爪パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
重症な巻き爪に対しては、爪を切除する手術と矯正具による治療がある。
軽症な場合や進行の度合いにより、丸めた脱脂綿を爪と皮膚の間に詰めることで爪と皮膚を隔離させ、歩行や運動の際に指先に力を入れられるようにし、脱脂綿を通して爪を下から押し上げる状態を長期間続けることで徐々に改善させる治療が従来から行われている。
その脱脂綿に替わるものとして、各種の考案・発明がある。
特許文献1では、紐状のパッドを爪と皮膚の間に挿入する器具である。
特許文献2では、金属又はプラスチックの薄板を爪と皮膚の間に挿入し、粘着テープで止着するものである。
特許文献3では、プラスチックにより形成したコの字状の部分で爪を挟み接着し、更に矯正状態で接着剤により固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−321586号公報
【特許文献2】実用新案登録第3091516号公報
【特許文献3】特許第3393865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
丸めた脱脂綿が、爪と皮膚の間の圧迫と摩擦により保持されているため、圧迫が弱い場合や靴下を着脱時の接触などで脱落することがある。
特許文献1では、紐状のパッドで前記脱脂綿と同じ保持方法のため、同じく脱落の問題がある。又、巻き爪と皮膚は線接触となっていることに対し、脱脂綿や紐状のパッドは略点接触により爪と皮膚を隔離するため、爪と皮膚が接触している全域を隔離することが難しい。
特許文献2では、爪の内側の薄い皮膚に接して硬質の薄板が存在するため、挿入時や外部からの接触で力がかかった時に薄板の角が皮膚に接触しないよう注意して使用する必要がある。
特許文献3では、爪を上部から引き上げる作用であり、爪と皮膚の間に部材を挿入して爪を下から押し上げるものではない。また、接着剤により長期間固定するため、事前に消毒薬の入った湯に足を漬け、よく乾かすなどの準備が必要である。
本発明の課題は、
1.巻き爪が皮膚を圧迫する程度に応じて段階的に対応可能にする。
2.爪と皮膚に対して面接触でパッドをあてがい接触面を広くする。
3.パッドが安定して長時間固定できるようにする。
4.矯正板が皮膚に触れることなく安全に使用できるようにする。
5.美容上の支障が無く、簡単に装着でき、安価で手軽に続けられるようにする。
以上により痛みを軽減させ、歩行を正常化し症状を改善させる巻き爪パッドを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1] 緩衝材からなるシート状の基材と、該基材の片面で長手方向両端に設けた端
部粘着剤層と、該端部粘着剤層と同じ面で前記基材の中央の短手方向の片側に設
けた中央粘着剤層と、該中央粘着剤層と対向する側に形成されるパッドと、前記端部
粘着剤層と前記中央粘着剤層に貼着した剥離シート、とでなる巻き爪パッド。
[2] シート状の基材と、該基材の片面の全面に設けた粘着剤層と、略長方形で短
手方向は前記基材の中央の短手方向より短く、長手方向は前記基材の長手方向よ
り短く形成したパッドと、該パッドの短手方向の一方の端部が前記粘着剤層の長手方
向の略中央の短手方向の一方の端部と同一面、又は、該同一面より一部突出させて
貼着し、以上により前記同一面と対向する側に中央粘着剤層と、前記粘着剤層の長
手方向両端に端部粘着剤層とが形成され、該端部粘着剤層と前記中央粘着剤層に
貼着した剥離シート、とでなる巻き爪パッド
[3]前記パッドの内部に薄板片よりなる矯正板を封入又は、前記パッドを袋状に形
成し、該袋状の開口部から前記矯正板を挿入できるようにした[1]又は[2]に記載の
巻き爪パッド。
[4]前記巻き爪パッドを使用した状態で、さらに、前記基材のパッドとは反対の面と
爪の間に挿入することができる大きさに形成した薄板片よりなる矯正板と、該矯正板
の挿入状態を粘着により保持するための前記矯正板より大きい寸法に形成した粘着
シートと、該粘着シートに貼着した剥離シートとでなる[1]から[3]のいずれかに記載の
巻き爪パッド。
【発明の効果】
【0006】
本発明の巻き爪パッドは、軽症には請求項1又は2が適応し、やや進行した爪には請求項3が適応し、更に進行した爪には請求項4が適応することで症状に応じて対応できる。
爪と皮膚に面接触でパッドをあてがうことで巻き爪の略全部分を隔離できて痛みを軽減し、3箇所の粘着剤層により長時間固定でき、硬い矯正板が皮膚に接触せず安全で、簡単に装着でき安価で手軽に続けられることで症状を改善させられる。
請求項1によれば、シート状の緩衝材を基材とパッドに形成することで、基材専用の材料を省き製造原価を下げられる。
又、パッドと基体が一体のため強度が高く、両端を両手で持って爪と皮膚の間に挿入する際、力をかけて挿入でき、爪の圧迫が強くても挿入しやすい。中央粘着剤層は、爪と皮膚の間に挿入したパッドが外れないための抑えの役割を果たし、長時間固定できる。
請求項2によれば、基材にパッドを貼着したことで、硬い爪を基材が受け止め、皮膚に柔らかいパッドが接して保護する。
中央粘着剤層が、爪と皮膚の間に挿入したパッドが外れないための抑えの役割を果たし、長時間固定できる。
基材と同一面よりパッドを突出させたものは、皮膚にパッドが広く接することで感触がよい。また、後述する請求項4の矯正板が皮膚に触れないよう更に隔離できる。
請求項3によれば、パッドの内部に矯正板を設けることで、爪の圧迫が強い状態でも矯正板により皮膚を保護できる。
矯正板がパッドで覆われ、皮膚に接触することなく安全である。
矯正板が見えないため装着した部分が目立たず、美容上の外見を損なわずに矯正できる。
請求項4によれば、症状が進行している爪には、更に矯正板を挿入することで、皮膚を保護し、矯正の効果をあげられる。
又、矯正板を基材と爪の間に挿入するので、硬い矯正板が皮膚に接触することなく安全でスムーズに挿入でき、粘着シートで長時間固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】 請求項1の実施例を示し、Aは断面図であり、B・Cは平面図である。
図2】 請求項2の実施例を示し、Aは断面図であり、B・C・Dは平面図である。
図3】 請求項3の実施例を示し、A・Bは断面図であり、C・Dは平面図である。
図4】 請求項1から3の使用方法を示す斜視図である。
図5】 請求項4の使用方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(各実施例の共通事項)
緩衝材を用いた基材1およびパッド3の材質は、ガーゼ・織布・不織布・軟質樹脂などから選択する。
基材1の形状は、略長方形又は略楕円形などから選択する。
基材1の端部粘着剤層2および中央粘着剤層5とは反対の面は、平滑に形成する。
基材1の寸法は、長手方向が爪31の生え際から先端までの長さの3倍から5倍の範囲内で、短手方向は爪31の横幅の0.5倍から1.2倍の範囲でよい。
パッド3の寸法は、長手方向が爪31の生え際から先端までの長さの1倍から2倍の範囲内で、短手方向は爪の横幅の0.3倍から0.6倍の範囲でよい。
対象者の大部分が適用できる寸法は、基材1の寸法は、長手方向が60ミリから80ミリ・短手方向が10ミリから15ミリの範囲が好適であり、パッド3の寸法は、長手方向が20ミリから30ミリ・短手方向が5ミリから10ミリの範囲が好適である。
パッド3の長手方向の断面形状は、矩形・梯形・半円形・楔形などが適用できる。
パッド3の短手方向の断面形状は、前記長手方向と同様に適用できるが、楔形の場合は中央粘着剤層5側が高く反対側の短手方向の端部へ向けて低くなるよう形成する。
剥離シート4は両端の端部粘着剤層2にそれぞれ貼着する。
各部材の寸法や硬軟の程度は、症状や指の大きさにあわせて使用する。
基材1や端部粘着剤層2や中央粘着剤層5ならびに剥離シート4に用いられる材料は、絆創膏など人体に用いる公知の材料でよい。
【0009】
図1は、(A)が断面図であり、(B)が平面図であり、(C)が剥離シート4を貼着する前の平面図である。
緩衝材よりなるシート状の基材1の片面で長手方向両端を端部粘着剤層2にし、中央の短手方向の片側を中央粘着剤層5にすることで、中央部に略長方形のパッド3が形成される。中央粘着剤層5と端部粘着剤層2に剥離シート4を貼着する。
【0010】
図2は、(A)が断面図であり、(B)が平面図であり、(C)と(D)が剥離シート4を貼着する前の平面図である。
シート状の基材1の片面の全面に形成した粘着剤層2に、略長方形で短手方向は基材の短手方向より短く形成したパッド3と、該パッド3の短手方向端部を基材1の長手方向中央で短手方向の一方の端部とを同一面6として貼着し、該同一面6の反対側に形成される中央粘着剤層5と端部粘着剤層2に剥離シート4を貼着する。
(D)は、(C)に対し、基材1と短手方向が同一面6側の前記パッド3を、同一面6より突出7させたものである。
【0011】
図3は(A)がパッド3の内部に、金属又は合成樹脂あるいは紙で形成した矯正板21を封入した断面図である。
(B)が基材1とパッド3の間に矯正板21を接着した断面図であり、矯正板21の寸法は、パッド3と同寸法で角を揃え接着する。又はパッド3の寸法より周囲を0.5ミリから2.0ミリの範囲で小さくし、パッド3の中央位置に矯正板21を接着する。
(C)(D)は、平面図であり、矯正板21の寸法をパッドの内側に入る寸法にし、袋状のパッド3あるいは基材1に設けた開口部8から矯正板21を挿入する。
矯正板の材質は可塑性を有する金属又は合成樹脂が好適である。
【0012】
図4は、使用方法を示す斜視図である。
A.両側の剥離シート4を中央からはがし、
B.パッド3と端部粘着剤層2の間で折り返す。
C.両端部粘着剤層2と折り返した剥離シート4を重ねて両手の指41でつまむ。
D.パッド3側を指方向に向け、パッド3の中央粘着剤層5と対向する側の短手方向端 部9を、爪31と皮膚32の間に当接させ長手方向前後にスライドさせながら、爪 31と皮膚32の間に挿入する。
なお、挿入が困難な場合は、パッド3部分より薄い端部粘着剤層2と折り返した 剥離シート4を重ねた部分から挿入し、パッド3側にスライドさせて挿入する。
又はパッド3の断面形状を梯形又はドーム状あるいはクサビ状に形成したものを用 いパッド3の低い位置を爪31と皮膚32の間に挿入し、高い位置にスライドさせ て挿入する。
E.指の腹側35からの斜視図であり、パッド3を挿入した状態である。
F.両側の剥離シート4をはがし、端部粘着剤層2を指の先端部33に貼着し、他の端 部粘着剤層を指の側面34に貼着する。
G.装着完了を示す斜視図である。
【0013】
図5は、図4に加え更に矯正板21を用いる斜視図である。
A.基材1と爪31との間に、矯正板21を挿入する。
B.粘着シート22を、剥離シート4をはがして爪31と矯正板21を上から覆うよう にし、指の先端部33から指の側面34に貼着する。
C.指先33方向からの斜視図であり、装着完了の状態を示すものである。
矯正板21、は金属又は合成樹脂あるいは紙で形成する。紙は硬質で表面が平滑なものが好適である。いずれも可塑性を有する材質にすることで指の形に沿う形にでき好適である。
矯正板21の寸法は、パッド3の寸法と略同寸法でよい。ただし長手方向が長いほど手に持ちやすく操作しやすい。紙の場合は長く形成し、挿入後に適当寸法に鋏で切って調整すればよい。
矯正板21の厚さは材質硬度により異なるが0.1ミリから1.0ミリの範囲で数種類ほど用意し症状により選択すればよい。
粘着シート22は、矯正板21の周囲より10ミリから20ミリ大きく形成する。
【0014】
図3に示す矯正板21を取り付けた巻き爪パッドの使用方法は、図4と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0015】
現代病である巻き爪に悩む多くの人達の要請に応えるものであり、将来にわたり大量需要が予測され、製造販売に産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0016】
1 基材
2 端部粘着剤層
3 パッド
4 剥離シート
5 中央粘着剤層
6 同一面
7 パットの突出部
8 パッドの開口部
21 矯正板
22 粘着シート
31 爪
32 皮膚
33 指の先端部
34 指の側面
35 指の裏面
図1
図2
図3
図4
図5