特許第5776030号(P5776030)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ 岡室 信幸の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776030
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】下衣の装着自助具
(51)【国際特許分類】
   A47G 25/90 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   A47G25/90
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-266228(P2012-266228)
(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公開番号】特開2014-110839(P2014-110839A)
(43)【公開日】2014年6月19日
【審査請求日】2014年8月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】712011046
【氏名又は名称】岡室 信幸
(72)【発明者】
【氏名】岡室 信幸
【審査官】 青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0101046(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0049201(US,A1)
【文献】 米国特許第6056171(US,A)
【文献】 特開2003−219954(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3158045(JP,U)
【文献】 特開2009−082666(JP,A)
【文献】 特開2006−015103(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 25/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズボン、スカート等の下衣を装着するための自助具であって、前記自助具は、装着者が片手で握る棒状の握り柄部と、前記握り柄部が取り付けられた板状部とを備え、前記板状部が、前記下衣に装着できるサイズの弧状型の薄い弾性板で形成され、かつ前記板状部の前記握り柄部から伸びる先端部は左右二又に分かれ、前記二又に分かれた先端部が前記下衣の大腿部に挿入される形状に形成され、前記握り柄部が取り付けられた前記板状部には、前記下衣のウェスト部を挟む挟着具が設けられた下衣の装着自助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、足腰の力の弱い高齢者、腰や膝の関節が充分に曲げられない人が介助者なしで、一人で楽にズボン、スカート、下着など下衣を穿くことができる下衣装着自助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
足腰の力の弱い高齢者や特に股関節や膝関節が人工関節になって充分に曲がらなくなった人、腰が曲げられない人にとっては、独りで下着、ズボン、スカートを着る動作を行うには、中腰になり股関節、両膝関節を十分に曲げなければならず困難で、介助者の手を借りなければならない。また衣服の着る動作は毎日のことなので介助者に対しても心理的苦痛である。
【0003】
従来の下衣の着用補助具には、下半身用下着の装着補助具(特開2003−219954)、下半身下着や靴下等の装着補助具(特開2007−29239)、靴下ズボン等の着脱補助具(特開2007−209723)、ズボンおよび下着着脱自助具(特開2008−307345)、下半身用の下着の着用補助具(特開2009−82666)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−219954
【特許文献2】特開2007−29239
【特許文献3】特開2007−209723
【特許文献4】特開2009−82666
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、靴下ズボン等の着脱補助具(特開2007−209723)、下半身下着や靴下等の装着補助具(特開2007−29239)はバンド或いはアーム先のクリップでズボンや下着、靴下の履き口を留めてバンド或いは握り柄で下衣を引き上げる方法なので履き口が広がらず、特にウェスト部のゴムがある下衣に足を入れることは困難であるという課題があった。
【0006】
下半身用下着の装着補助具(特開2003−219954)、下半身用の下着の着用補助具(特開2009−82666)はウェスト部分の履き口を広げ下衣に足を容易に入れるようにすることで上記の課題を解決したが、上記の補助具の同じように下衣をぶら下げる方法なので以下の課題がある。
1.股下の長い下衣で特にウェストがゴムのパジャマのズボン、丈の長いスカートはウェスト部分を広げるが、足を入れる太腿部分まで広がらないので見えず、足腰の筋力の弱い高齢者や関節が十分に曲がらない障害者にとって下衣の足部分に足を通すことは困難である。
2.着用補助具に下衣を装着して斜めにすると、股下の長い下衣は垂れて折れ曲がり、ウェスト部は広がっても足を通す部分が見えず、足を通すとズボンに引っかかる。見えるようにするには真下に着脱補助具を位置して下衣を真下にぶら下げる必要がある。
3.真下に着脱補助具を位置して下衣を真下にぶら下げると、座った姿勢で足を大きく垂直に持ち上げて下衣に足を通すのと同時に履き口を見るために腰を曲げる必要があり履きにくい。
【0007】
以上のような問題に鑑みて、本発明は、下衣の装着自助具においてズボン、スカートのウェスト部から大腿部の挿入口まで十分に広げてより足を挿入しやすくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、ズボン、スカート等の下衣を装着するための自助具であって、前記自助具は、装着者が片手で握る棒状の握り柄部と、前記握り柄部が取り付けられた板状部とを備え、前記板状部が、前記下衣に装着できるサイズの弧状型の薄い弾性板で形成され、かつ前記板状部の前記握り柄部から伸びる先端部は左右二又に分かれ、前記二又に分かれた先端部が前記下衣の大腿部に挿入される形状に形成され、前記握り柄部が取り付けられた前記板状部には、前記下衣のウェスト部を挟む挟着具が設けられた下衣の装着自助具であることを特徴とする。


【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ズボン、丈の長いスカートのウェスト部分と左右の足の入れる部分である大腿部の挿入口まで十分に広げて足をより挿入しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】下衣の装着自助具の斜視図である。
図2】下衣の装着自助具の正面図である。
図3】下衣の装着自助具の底面図である。
図4】下衣の装着自助具にズボンを装着した状態を示す斜視図である。
図5】ズボンを装着した下衣の装着自助具を斜め上から見た図である。
図6】下衣の装着自助具にズボンを装着してズボンを穿くために引き上げている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
図1に本実施形態に係る下衣の装着自助具の斜視図を示し、図2に本実施形態に係る下衣の装着自助具の正面図を示し、図3に本実施形態に係る下衣の装着自助具の底面図を示す。
弧状型の薄い弾性のある板状部2は、軽いポリプロプレンまたはポリ塩化ビニール等がよい、弧状の形はズボンのウェスト部の穿き口方向の前の楕円形の半分に合致するものであり、長さはウェストから足の付け根までで横部にいくほど丸みを持っており容易に手や衣服のゴムで中心に丸まるようになっている。その上部中央に、伸縮機能7が設けられた、上部にはグリップ6がついた棒状の握り柄部1を有している。素材はアルミ製やプラスチックが適材と思われる。握り柄部1下端部と弧状型の薄い弾性の板状部2の上部はカシメ8で緊結している。
【0013】
弧状型の薄い弾性のある板状部2上縁外側には狭持具5を4個設けている。狭持具は下衣のウェスト部の開口部を挟み保持するので指で軽い力で押して容易に開くクリップなどが良い。
【0014】
弧状型の薄い弾性の板状部2の下部から下方に左右に分かれた弧状型の薄い弾性のある板状部3、4は容易に手や衣服のゴムで丸まり広がりやすくしかも下衣服を装着させた時下衣を内側から広げ下衣の重さで折れ曲がらない弾性の軽いポリプロプレンまたはポリ塩化ビニール等が良い。薄い弾性のある板状部3、4の大きさは半円筒型で大腿部の前側半分を覆うような形になっていて下に行くほど細くなり下縁は丸みを持っている。上記の板状部3、4の長さは足の付け根から膝の上までとなっている。
【0015】
以下、本発明の実際の使い方を図を参照しながら説明する。
(イ) 椅子に座って、左右に分かれた半円筒形の薄い弾性のある板状部3、4の下の先端からズボンを被せていき、右の弧状型の薄い弾性のある板状部3には右のズボンの前側の太腿部まで差し込みズボンの右足部を通す。左の弧状型の薄い弾性のある板状部4には左のズボンの前側大腿部まで差し込みズボンの左足部を通す。そして、胴部であるウェスト部のゴム部分を弧状型の薄い弾性のある板状部2の上縁部まで来るまで被せる。なお、ズボンのウェスト部が小さい時は、下衣の装着自助具の弧状型の薄い弾性のある板状部2の両側を手で丸めてウェスト部の開口部に入れる。
(ロ) 次にウェスト部であるズボンの開口部の前半分を弧状型の薄い弾性のある板状部2の上縁に設けているすべてのクリップ5で止めてズボンがクリップ5から外れないように装着する。
上記のようにすると、図4に示すように、下衣の装着自助具の弧状型の薄い弾性のある板状部2はズボンのウェスト部を内側から押し広げたようになり、また弧状型の薄い弾性のある板状2の下部から下方に左右に分かれた弧状型の薄い弾性のある板状部3、4はそれぞれズボンの左右足の前側太腿部を内側から押し広げたようになる。また、上から見ると図5に示すような状態となり、ウェスト部の開口部から左右の足の挿入口がはっきりと見える。
(ハ) 握り柄部1の先端のグリップ6を片手で持ち、自分の足を入れやすいようにウェスト部の開口部11を位置づける。もし股関節、膝、腰がほとんど曲がらない場合は、握り柄部1の伸縮部7を回して棒の長さを伸ばして位置を調整する。
(ニ) 図6に示すように、自分の両足をウェスト部の開口部11から通し左右の足の挿入口12、13に通してゆっくりとグリップ6持ち下衣の装着自助具を装着したズボンを大腿部上まで引き上げる。
(ホ) 自分の手が届く範囲までズボンが引き上げられたら、クリップ6からズボン9(下衣)を外して下衣の着脱装具を上に引き抜き、ズボンを下衣の着脱装具から外す。後は、自分の手でズボンをウェストまで引き上げることでズボンの装着は完了する。
【0016】
なお、丈の長いスカートも上記と同様に左右に分かれた弧状型の薄い弾性のある板状部3、4の下の先端から被せて行き、ウェスト部を弧状型の薄い弾性のある板状2の上縁部まで来るまで被せる。
股下丈の短い下着等は左右に分かれた弧状型の薄い弾性のある板状部3、4を左右の足挿入口に通して下着から出してウェスト部を弧状型の薄い弾性の板状2の上縁部まで来るまで被せる。
座った姿勢で腰が曲げられず足元が見られないときは図4のように握り柄部1を持ってズボンを装着した着脱補助具を斜めにしてもズボンの左右の足を入れる部分を広げて挿入口を見られるので足を挿入しやすい。座着脱補助具を斜めにすると足を少し上げるだけでズボンを穿くことが可能である。また座ることが困難で仰向けに寝て使用するときは、横に位置して下衣を装着しても股下の長いズボンの左右の足の挿入口部分を広げて挿入しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0017】
1 棒状の握り柄
2 弧状型の薄い弾性のある板状部
3 右の弧状型の薄い弾性のある板状部
4 左の弧状型の薄い弾性のある板状部
5 挟持具
6 グリップ
7 伸縮部
8 カシメ
9 下衣
10ウェスト部
11ウェスト部開口
12右足挿入口
13左足挿入口
図1
図2
図3
図4
図5
図6