【実施例】
【0033】
以下、実施例のスクラブ剤について、図面を用いて説明する。なお、同一部材については同一の符号を用いて説明する。
【0034】
(実施例1)
実施例1のスクラブ剤について、
図1を用いて説明する。
図1に示されるように、本例のスクラブ剤1は、活性炭10を有している。本例では、スクラブ剤1は、活性炭10単体より構成される。
【0035】
ここで、活性炭10は、球状、かつ、粒径がメジアン径で100〜800μmの範囲内にある。また、
活性炭10のピーク細孔直径は、0.7nm〜1.2nmの範囲内にあり、活性炭10のミクロ孔細孔容積は、0.5cm3/g以上である。また、活性炭10は、下記条件(1)を満たしている。
条件(1):温度20℃の純水100gが水深5cmで入れられたビーカーの水面上に活性炭10の試料1gを散布し、ビーカーを真空デシケーター内に載置して真空ポンプを用いて20分間真空引きした後、ビーカー内の純水を撹拌子を用いて回転数100rpmで1分間撹拌し、そのままビーカーを30分間静置した場合に、試料の95質量%以上がビーカーの底に沈殿する。
【0036】
本例では
、活性炭10の比表面積は1000m
2/g以上である。
【0037】
次に、本例のスクラブ剤の作用効果について説明する。
【0038】
本例のスクラブ剤1は、球状、かつ、粒径が特定の範囲内にある活性炭10を有している。そのため、本例のスクラブ剤1が有する活性炭10を皮膚表面上で回転させることにより、比較的簡単に古い皮膚細胞が除去される。この際、活性炭10は球状であるため、過剰に皮膚細胞が除去されるのを抑制することができる。
【0039】
また、本例のスクラブ剤1は、活性炭10が特定の条件(1)を満たしている。そのため、本例のスクラブ剤1が水とともに下水に流された場合、活性炭10は、下水処理施設において処理済み液(上澄み液)ではなく、沈殿により下水汚泥中に入り込む。そのため、本例のスクラブ剤1によれば、スクラブ機能を有する活性炭10が、河川や湖沼、海等への処理済み液の放流を通じて自然環境中に放出されるのを抑制することができる。それ故、本例のスクラブ剤1は、食物連鎖に入り込み難い。
【0040】
また、本例のスクラブ剤1は、活性炭10のピーク細孔直径、ミクロ孔細孔容積、比表面積が上述した範囲内にある。そのため、本例のスクラブ剤1は、スクラブ機能のみならず、皮脂吸着能にも優れる。
【0041】
また、本例のスクラブ剤1は、活性炭10単体より構成される。そのため、本例のスクラブ剤1は、活性炭10が備える、古い皮膚細胞を除去するスクラブ機能と皮脂の吸着機能とを最大限発揮させやすい。また、本例では、粉末状のスクラブ剤1が得られる。
【0042】
(実施例2)
実施例2のスクラブ剤について、
図2を用いて説明する。本例のスクラブ剤1は、活性炭10と、活性炭10を分散させるためのベース11とを有している点で、実施例1のスクラブ剤1と異なっている。本例では、ベース11は、具体的には、水である。その他の構成は、実施例1と同様である。
【0043】
本例のスクラブ剤1も、実施例1のスクラブ剤1と同様に、古い皮膚細胞を除去しやすく、食物連鎖に入り込み難い。また、スクラブ機能のみならず、皮脂吸着能にも優れる。
【0044】
さらに、本例のスクラブ剤1は、活性炭10以外にも、活性炭10を分散させるためのベース11を有している。そのため、本例のスクラブ剤1は、当該スクラブ剤1が手に載せられた場合に、ベース11によって活性炭10が手に保持されやすくなる。そのため、本例のスクラブ剤1は、取扱い性や使用感の向上に有利である。また、本例では、ベース11が水であるため、ベース11による皮膚への刺激が少なく、自然環境への負荷も少ない水系のスクラブ剤1が得られる。
【0045】
(実験例)
以下、実験例を用いてより具体的に説明する。
【0046】
<活性炭AC1、AC2、AC3の作製>
粒径がメジアン径で250μmである球状のフェノール樹脂粉末を、活性炭製造装置(エム・イー・ティー社製)の炭化炉内で、窒素雰囲気下、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温し、30分間保持することにより、炭化処理し、球状の炭化物粉末を得た。次いで、得られた球状の炭化物粉末を、上記活性炭製造装置の賦活炉内で、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温した後、12g/分の水蒸気を流入させ、5時間、10時間、または、24時間保持することにより、賦活処理した。これにより、上記保持時間に対応して収率がそれぞれ31.1%、25%、7%である球状の活性炭粉末AC3、AC2、AC1を得た。なお、上記収率は、絶乾状態での原料の質量に対する、得られた活性炭の質量の比率(%)のことである。
【0047】
<炭化物Cの作製>
上記活性炭の作製の途中にて得られた球状の炭化物粉末を炭化物Cとした。
【0048】
<杉炭化物BCの作製>
杉破砕物を120℃で含水率12質量%以下になるまで乾燥した。次いで、乾燥された杉粉砕物を、バイオマスペレット製造装置(アースエンジニアリング社製、「EF−BS−150」)を用いて、ペレット化し、杉ペレットを得た。次いで、得られた杉ペレットを、上記活性炭製造装置の炭化炉内で、窒素雰囲気下、昇温速度3℃/分にて850℃まで昇温し、30分間保持することにより、炭化処理した。次いで、得られた杉炭化物を、乳鉢にて粉砕し、非球状で粒状の杉炭化物BCを得た。
【0049】
<粒径の測定の作製>
レーザー回折・散乱式の粒度分布測定装置(堀場製作所社製、「LA−700」)を用い、各活性炭、炭化物C、杉炭化物BCのメジアン径d50をそれぞれ測定した。また、体積基準の累積度数分布が、90%を示すときの粒子径(直径)d90も併せて測定した。
【0050】
<条件(1)を満たすか否かに関する確認試験>
温度20℃の純水100gが水深5cmで入れられたビーカーを準備した。次いで、このビーカーの水面上に、測定対象の活性炭の試料1gを散布し、9Lの真空デシケーター内に載置した。次いで、真空ポンプ(アルバック機工社製、「DA−5S」)を用いて20分間真空引きすることにより、水面上に浮かぶ活性炭の細孔内の空気を脱気した。なお、到達圧力は、33.3Paとした。次いで、真空解放後、真空デシケーターからビーカーを取り出した。次いで、ビーカー内の純水を撹拌子を用いて回転数100rpmで1分間撹拌し、そのままビーカーを30分間静置した。そして、試料の95質量%以上がビーカーの底に沈殿した場合を、条件(1)を満たすとし、それ以外を条件(1)を満たさないとした。なお、炭化物C、杉炭化物BCは、活性炭ではないため、本確認試験は省略した。
【0051】
<各活性炭、炭化物Cの微分細孔容積分布>
各活性炭、炭化物Cについて、前処理装置(日本ベル社製、「BELSORP−VACII」)を用い、300℃、10
−2kPa以下で2時間保持するという条件にて前処理を実施した。そして、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−miniII」)を用い、定温(77K)下での圧力と窒素ガスの吸着量との変化を表す吸着等温線を作成した。その後、MP法により微分細孔容積分布およびミクロ孔細孔容積を求めた。
図3に、各活性炭、炭化物Cの微分細孔容積分布を示す。なお、杉炭化物BCは、ミクロ孔細孔がほぼない状態であるため、解析不能であった。
【0052】
<各活性炭、炭化物C、杉炭化物BCの比表面積>
各活性炭、炭化物C、杉炭化物BCについて、前処理装置(日本ベル社製、「BELSORP−VACII」)を用い、300℃、10
−2kPa以下で2時間保持するという条件にて前処理を実施した。そして、自動比表面積/細孔分布測定装置(日本ベル社製、「BELSORP−miniII」)を用い、定温(77K)下での圧力と窒素ガスの吸着量との変化を表す吸着等温線を作成した。その後、ISO9277に準拠してBET法により比表面積を求めた。
【0053】
<試料1〜試料5のスクラブ剤>
活性炭AC1を試料1のスクラブ剤とした。活性炭AC2を試料2のスクラブ剤とした。活性炭AC3を試料3のスクラブ剤とした。炭化物Cを試料4のスクラブ剤とした。杉炭化物BCを試料5のスクラブ剤とした。なお、試料4および試料5のスクラブ剤は、参考例である。
【0054】
<オレイン酸の吸着試験>
試料1〜試料5のスクラブ剤について、オレイン酸の吸着率を測定した。なお、オレイン酸は、皮脂を模擬したものである。つまり、本試験により、試料1〜試料5のスクラブ剤の皮脂吸着性能を確認することができる。
【0055】
質量比で1000ppmのオレイン酸を含む水溶液を調製し、十分に撹拌した。次いで、試料瓶に、上記水溶液:50g、試料のスクラブ剤:絶乾重量1gをこの順に入れて密閉した。次いで、振とう機(TAITEC社製、「RECIPRO SHAKER NR−1」)を用い、温度:35℃、振とう速度:150回往復/分、振とう時間:24時間という条件で、上記密閉後の試料瓶を振とうさせた。次いで、振とう後の試料瓶の透明性を目視にて確認した。
図4に、振とう後の各試料瓶の状態を示す。次いで、試料瓶内の液を濾過し、試料のスクラブ剤を取り出し、温度25℃で1日静置し、乾燥させた。次いで、乾燥後の試料のスクラブ剤を、熱重量分析計(RIGAKU社製、「THERMO PLUS TG8120」)を用いて分析した。この際の分析条件は、窒素雰囲気下、昇温速度2℃/分、105℃で2時間保持した後、以降650℃まで加熱するという条件とした。次いで、以下の計算式よりオレイン酸の吸着率(%)を算出した。
オレイン酸の吸着率(%)=(600℃のときの重量減少量−105℃のときの重量減少量)×100/(試料のスクラブ剤の絶乾重量)
【0056】
上記結果をまとめて表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
試料1〜試料3のスクラブ剤は、球状、かつ、粒径が特定の範囲内にある活性炭を有している。また、試料1〜試料3のスクラブ剤は、試料4、試料5のスクラブ剤に比べ、オレイン酸の吸着率が大きい。そのため、試料1〜試料3のスクラブ剤は、古い皮膚細胞を活性炭のスクラブ機能により除去しながら、同時に、皮脂を吸着により除去することができるといえる。なお、
図4に示されるように、試料1のスクラブ剤の入った試料瓶は、透明であり、試料3のスクラブ剤の入った試料瓶は、僅かに白濁が見られたものの、ほとんど透明であった。これに対し、試料4、試料5のスクラブ剤の入った試料瓶は、試料瓶の奥側が十分確認できないほど白濁していた。これは、オレイン酸を十分に吸着できなかったためである。上記結果は、オレイン酸の吸着率の測定結果とも合致している。
【0059】
また、試料1〜試料3のスクラブ剤は、活性炭が条件(1)を満たしている。そのため、各スクラブ剤が水とともに下水に流された場合、各活性炭は、下水処理施設において処理済み液(上澄み液)ではなく、沈殿により下水汚泥中に入り込むことができる。そのため、上記スクラブ剤は、スクラブ機能を有する活性炭が、河川や湖沼、海等への処理済み液の放流を通じて自然環境中に放出されるのを抑制することができる。それ故、上記スクラブ剤は、食物連鎖に入り込み難いといえる。なお、従来、スクラブ剤として用いられているマイクロビーズは、水に浮くことが明らかであるから、条件(1)を満たさないのは明らかである。また、マイクロビーズ自体に皮脂吸着能がないことも明らかである。
【0060】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲内で種々の変更が可能である。