(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
大きさ及び重量が均一に成形された粒体樹脂を、型開きしたモールド金型に形成された複数のキャビティ凹部のキャビティ容量に応じて計数されて各キャビティ凹部に一括して同時に供給する樹脂供給工程と、
前記モールド金型に前記キャビティ凹部と対応する位置にワークを保持して前記モールド金型をクランプする工程と、
前記キャビティ凹部内に供給されて溶融した樹脂を所定樹脂圧に保圧して加熱硬化させる工程と、
を含むことを特徴とする圧縮成形方法。
前記キャビティ凹部の底部外周を形成する可動キャビティ駒を備えたモールド金型を使用し、当該可動キャビティ駒を含む金型クランプ面をリリースフィルムで覆う工程を有し、
前記可動キャビティ駒が退避位置で前記粒体樹脂が供給され、モールド金型クランプ後に前記可動キャビティ駒をキャビティ底部と面一となる成形位置へ移動させて所定樹脂圧に保圧したまま加熱硬化させる請求項1又は請求項2記載の圧縮成形方法。
前記キャビティ凹部内には、外周側に比較的大径の粒体樹脂を供給し、それより内側に比較的小径の粒体樹脂を組み合わせて供給し、全体の供給量がキャビティ容量に応じて計数されて供給される請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の圧縮成形方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献の樹脂封止装置に用いられるモールド樹脂のように固形状樹脂(樹脂タブレット)は溶融するのに時間がかかり、パッケージ部の厚さが薄いパッケージなどでは使い難い。結果的に、比較的高価な顆粒状樹脂や液状樹脂を使用しなければならず、製造コストが嵩むという課題があった。
固形状樹脂を破砕することで製造する通常の顆粒樹脂を用いる場合、キャビティ容積に合わせた精密な計量が困難であり、マトリクス状の個別のキャビティ凹部に供給するのが困難であるうえに、微粉末状の樹脂が飛散しやすく、装置内に付着してクリーニングが必要になるなどメンテナンス性に課題があった。
【0007】
また、液状樹脂を用いる場合には、塗布量を高精度に制御することができるが、顆粒樹脂などの固体状の樹脂に比べてフィラー含有量が少なく、難燃性が問題となる他、成形可能な形状に制限があり製品形状によっては適用できないこともある。また、環境負荷を軽減するためにハロゲン系の難燃剤を使用しない樹脂が登場しており、難燃性が課題になる場合もある。
【0008】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、大きさ及び重
量が等しい粒状樹脂を計
数することにより、キャビティ容量に見合った樹脂量をキャビティ毎に供給して低コストでメンテナンス性を改善し高い成形品質を維持できる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
即ち、圧縮成形方法においては、大きさ及び重
量が均一に成形された粒体樹脂を
、型開きしたモールド金型に形成された
複数のキャビティについて各キャビティ凹部のキャビティ容量に応じて計
数されてキャビティ
毎に
一括して同時に供給する樹脂供給工程と、前記モールド金型に前記キャビティ凹部と対応する位置にワークを保持して前記モールド金型をクランプする工程と、前記キャビティ凹部内に供給されて溶融した樹脂を所定樹脂圧に保圧して加熱硬化させる工程と、を含むことを特徴とする。
上記圧縮成形方法を用いれば、通常の顆粒樹脂のように微粉末が飛散したり液状樹脂のように加熱硬化が進行したりすることがなく充填性が向上する。また、大きさ及び重
量が均一に成形された粒体樹脂を計
数するだけでキャビティ凹部の容量に応じて供給できるので、通常の顆粒樹脂や液状樹脂のように樹脂量を厳密に計量する必要がなく
複数のキャビティ凹部に対して各キャビティ容量に応じて樹脂を一括して供給するので、樹脂供給動作を
効率がよく迅速かつ簡略にすることができ、しかもキャビティごとの樹脂供給量を高精度に均一量とすることができる。よって、フラッシュばりを防止し、成形品質を向上させることができる。
【0011】
前記モールド金型をクランプする工程において、前記モールド金型内を脱気することで減圧することを特徴とする。
これにより、溶融樹脂に混入するエアを除去して成形品にボイドの発生を防ぐことができる。
【0012】
前記キャビティ凹部の底部を形成する可動キャビティ駒を備えたモールド金型を使用し、前記
可動キャビティ駒が退避位置で前記粒体樹脂が供給され、モールド金型クランプ後に前記可動キャビティ駒を成形位置へ移動させて所定樹脂圧に保圧して加熱硬化させることを特徴とする。
この方法によれば、キャビティ凹部に充填される樹脂量に見合った粒体樹脂を計
数して供給すると粒体樹脂どうしに隙間が生じるため、キャビティ凹部の容積をはみ出して供給されることが想定されるが、キャビティ凹部の底部を予め拡大するように退避位置へ移動させておくことにより、計
数して供給される粒体樹脂がキャビティ凹部の中央部に集まるように充填され樹脂フラッシュを防いで、精密な樹脂量で樹脂モールドすることができる。また、モールド金型クランプ後に可動キャビティ駒を成形位置へ移動させて加熱硬化させるので、狙い通りのパッケージ部の厚さでモールドすることができる。
【0013】
更には、可動キャビティ駒を含む金型クランプ面がリリースフィルムで覆われているので、キャビティ凹部に粒体樹脂が供給されて溶融した状態で可動キャビティ駒が退避位置から成形位置へ移動しても、溶融した樹脂が金型間の隙間に漏れ出ることがないので、フラッシュばりを確実に防止することができる。
【0014】
前記キャビティ凹部の底部外周を形成する可動キャビティ駒を備えたモールド金型を使用し、当該可動キャビティ駒を含む金型クランプ面をリリースフィルムで覆う工程を有し、前記
可動キャビティ駒が退避位置で前記粒体樹脂が供給され、モールド金型クランプ後に前記可動キャビティ駒を
キャビティ底部と面一となる成形位置へ移動させて所定樹脂圧に保圧したまま加熱硬化させることを特徴とする。
この方法によれば、キャビティ凹部に粒体樹脂を供給する際に、当該キャビティ凹部の底部外周を形成する可動キャビティ駒を退避させておくことで、キャビティ凹部に供給された粒体樹脂がキャビティ内よりこぼれ難くなり、しかも予め半導体チップのないキャビティ底部外周位置に溶融した樹脂を集めることで樹脂の流動が少ない成形が行なえる。
【0015】
前記キャビティ凹部内には、
外周側に比較的大径の粒体樹脂を供給し、それより内側に比較的小径の粒体樹脂を組み合わせて供給
し、全体の供給量がキャビティ容量に応じて計数されて供給されることを特徴とする。
これによれば、キャビティ凹部内に供給されたに臨むワーク(半導体チップ若しくは基板)との間隔が広い領域には比較的大径の粒体樹脂を供給し、間隔が狭い領域には小径の粒体樹脂を供給して充填される樹脂容量に応じたサイズの粒体樹脂を効率よく供給して樹脂の移動量を極力減らすことができる。
【0016】
圧縮成形装置においては、ワークを保持する一方の金型と、大きさ及び重量が均一に成形された粒体樹脂がキャビティ容積に応じて計数されて供給される複数のキャビティ凹部と、前記キャビティ凹部の底部を形成する可動キャビティ駒と、当該可動キャビティ駒を含む金型クランプ面を覆うリリースフィルムと、を有する他方の金型と、を有するモールド金型と、を備え、
型開きした前記モールド金型において前記可動キャビティ駒が退避位置で、計数された前記粒体樹脂が前記リリースフィルムに覆われた前記複数のキャビティ凹部に一括して同時に供給され、前記ワークを保持する前記一方の金型と前記他方の金型とでワークをクランプして前記可動キャビティ駒を成形位置へ移動させて溶融樹脂を所定樹脂圧に保圧したまま加熱硬化させることを特徴とする。
上記圧縮成形装置を用いれば、大きさ及び重量が均一に成形された粒体樹脂を計数するだけでキャビティ凹部の容量に応じて供給できるので、通常の顆粒樹脂や液状樹脂のように樹脂量を厳密に計量する必要がなく、樹脂粉が飛散することもなく、複数のキャビティ凹部に粒体樹脂が一括して同時に供給されるので、樹脂供給動作を効率良く迅速かつ簡略にすることができ、しかもキャビティごとの樹脂供給量を高精度に均一量とすることができる。よって、フラッシュばりを防止し、成形品質を向上させることができる。また、金型内に外部と遮断された減圧空間を形成してモールドするので、ボイドが発生せず成形品質を高めることができる。
更には、可動キャビティ駒を含む金型クランプ面がリリースフィルムで覆われており、キャビティ凹部に粒体樹脂が供給されて溶融した状態で可動キャビティ駒が退避位置から成形位置へ移動しても、溶融した樹脂が金型間の隙間に漏れ出ることがないので、パッケージ部の樹脂量を精密に維持したまま狙い通りの厚さで樹脂モールドすることができる。
【0018】
前記一方の金型が他方の金型に型閉じする際に金型内部空間を外部と遮断された減圧空間が形成される減圧機構を備えたことを特徴とする。
これにより、溶融樹脂に混入するエアを除去して成形品にボイドの発生を防ぐことができる。
【0020】
ワークを保持する一方の金型と、大きさ及び重量が均一に成形された粒体樹脂がキャビティ容積に応じて計数されて供給される複数のキャビティ凹部と、前記キャビティ凹部の底部外周を形成する可動キャビティ駒と、当該可動キャビティ駒を含む金型クランプ面を覆うリリースフィルムと、を有する他方の金型と、を備えたモールド金型と、を備え、
型開きした前記モールド金型において前記可動キャビティ駒が退避位置で、計数された前記粒体樹脂が前記リリースフィルムに覆われた前記複数のキャビティ凹部に一括して同時に供給され、前記ワークを保持する前記一方の金型と前記他方の金型とでワークをクランプして前記可動キャビティ駒をキャビティ底部と面一となる成形位置へ移動させて所定樹脂圧に保圧したまま加熱硬化させることを特徴とする。
上記構成によれば、キャビティ凹部に粒体樹脂を供給する際に、当該キャビティ凹部の底部外周を形成する可動キャビティ駒を退避させておくことで、キャビティ凹部に供給された粒体樹脂がキャビティ内よりこぼれ難くなり、しかも予め半導体チップのないキャビティ底部外周位置に溶融した樹脂を集めることで樹脂の流動が少ない成形が行なえる。
【0021】
前述した型開きしたモールド金型の一方に形成された各キャビティ凹部に供給する樹脂供給ハンドラにおいては、大きさ及び重
量が均一に成形された粒体樹脂をキャビティ容量に応じて計
数されてキャビティ毎に個別に収容するホッパーと、当該ホッパーの下方に開閉可能に配置されて開放することで前記キャビティに前記粒体樹脂を供給するシャッターと、を備え、前記シャッターが一括して開放することにより前記ホッパーに収容された粒体樹脂がキャビティ毎に供給されることを特徴とする。
この樹脂供給ハンドラを用いれば、各キャビティ凹部に供給する粒体樹脂がホッパーに個別に収容されているため、粒体樹脂の供給数を確実に同数にすることができ、各キャビティにおける個別の樹脂供給量を均一にして一括して供給することができる。
【発明の効果】
【0022】
上記圧縮成形方法及び装置を用いれば、大きさ及び重
量が等しい粒体樹脂を計
数することにより、キャビティ容量に見合った樹脂量をキャビティ毎に供給することができ、低コストでメンテナンス性を改善し高い成形品質を維持できる圧縮成形方法及び圧縮成形装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る圧縮成形方法及び圧縮成形装置の好適な実施の形態について添付図面と共に詳述する。以下の圧縮成形方向及び装置では、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等)であって、大きさ及び重
量が均一に成形された粒体樹脂が型開きしたモールド金型に形成されたキャビティ容量応じて計
数されて保持された樹脂供給ハンドラによってキャビティ毎に供給される。また、キャビティ凹部に対応する位置にワークを保持したままモールド金型をクランプし、キャビティ凹部内に供給されて溶融した粒体樹脂を加熱硬化させる工程を含むことを共通にしている。以下、具体的な圧縮成形方法についてその装置構成と共に説明する。
【0025】
[実施例1]
先ず、
図1(a)を参照して圧縮成形装置の概略構成について説明する。
図1(a)において、モールド金型1を構成する上型2と下型3の概略構成について説明する。尚、以下では、上型2を固定型、下型3を上型2に対して接離動する可動型として説明するものとする。型締め機構は、可動型を駆動する駆動源に公知の電動モータを用いトグルリンクなどのリンク機構により昇降するようになっている。尚、下型3を固定型、上型2を下型3に対して接離動する可動型としてもよく、上型2及び下型3を共に可動型とすることもできる。
【0026】
上型2のクランプ面(パーティング面)にはワークWが吸着保持される。ワークWは基板Kに半導体チップTがワイヤボンディング実装或いはバンプによりフリップチップ実装されたものなどが用いられる。なお、爪状の把持部材によりワークWの縁部を把持する構成を採用してもよく、吸着機構と把持機構とを併用する構成を採用してもよい。また、その他の保持構成を採用してもよい。
上型2には真空吸引路2aが形成されており、その一端は上型クランプ面2bに開口している。上型クランプ面2bに開口する真空吸引路2aより外周側にはシール材2c(Oリング)が設けられている。真空吸引路2aはモールド金型1内の閉鎖空間より脱気を行う真空ポンプを備えた減圧機構4に接続されている。尚、減圧機構4とコンプレッサとを切り替え可能な構成を採用してもよい。
【0027】
下型3では、下型クランプ面3aには下型キャビティ凹部3bが設けられている。本実施例では、図示しないベースにスプリングを介して支持されて下型キャビティ凹部3bの底部を形成する可動キャビティ駒3cと、図示しないベースにスプリングを介して支持されて基板Kをクランプする下型3の下型クランパ32において当該可動キャビティ駒3cを含む下型クランプ面3aを覆うリリースフィルム5が吸着保持されている。リリースフィルム5は金型クランプ面に公知の吸引機構により吸着保持されるようになっている。リリースフィルム5としては、モールド金型1の加熱温度に耐えられる耐熱性を有するもので、金型面より容易に剥離するものであって、柔軟性、伸展性を有するフィルム材、例えば、PTFE、ETFE、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。尚、リリースフィルムとして、ロール状のリリースフィルムを用い、モールド金型1の前後に備えた繰り出しロールから所定長ずつ繰り出すと共に巻取りロールで巻き取るような構成を採用してもよく、或いは金型クランプ面を覆う程度の大きさの短冊状に切断されたものを用いる構成を採用してもよい。
【0028】
粒体樹脂6としては、一例として樹脂特性(熱伝導性、色、シリカ等の含有量等)が同一であって、大きさ及び重量が均一に成形されたものが用いられる。粒体樹脂6は、樹脂供給ハンドラ7によって、型開きしたモールド金型1内に搬入される。本実施形態では、粒体樹脂6として同一径を有する球体に形成されている。例えば、直径φ1mmとした粒体樹脂6では、1個供給することで0.523mm
3の樹脂を供給することができる。このように粒体樹脂6の個々の体積(換言すれば、重量)が均一に成形されていれば、キャビティへ供給する粒状樹脂6を計数するだけで計量したことになる。前述した粒体樹脂6のサイズであれば、一例として下型キャビティ凹部3bの矩形サイズの一辺が□12mmで深さが0.2mmのような微小なキャビティに対しても十分な樹脂供給精度を保ちながら成形可能である。
【0029】
即ち、このような外形寸法のキャビティで半導体チップの体積を計算しない場合を仮定すると容積は28.8mm
3となるが、直径φ1mmとした粒体樹脂6を55個使用することで28.77 mm
3の樹脂を供給できる。この場合の成形厚の誤差は0.11μmにすることができ、成形厚の誤差を極めて小さくすることができる。但し、キャビティの容積(1回分の樹脂モールドに必要な分量)として、実際にはキャビティの容積から封止される半導体チップ等の体積を差し引いた値として表されるパッケージ内における樹脂成分の容積が用いられる。尚、上述した例では、1個の粒体樹脂6の増減によって成形厚を約4μmの精度で調整できるため、粒体樹脂6の供給個数によってパッケージの成形厚を成形誤差の範囲内としやすい。
【0030】
また、このように粒体樹脂6の個数の増減による成形厚の変動が小さい場合には、例えば供給数が目標値から1,2粒程度離れてしまっても供給精度は高く保つことができる。このため、粒体樹脂6を計数する計数装置として、上部が開口した所定容量の容器内に粒体樹脂6をいっぱいに充填し、容器外にはみ出した部分を脱落させることで計数するような簡易な構成としてもよい。
【0031】
なお、粒体樹脂6の大きさが小さければ供給精度は向上できるものの取扱いにくくなったり計数に要する時間が長くなり、逆に大きければ取扱いが容易であったり計数に要する時間は短くなるものの供給精度の向上は難しくなる。このため、粒体樹脂6の大きさは、キャビティの容積や成形品の厚みにおける誤差の許容範囲に応じて適宜選択する必要があり、成形する対象に応じて最適な大きさが異なる。なお、上述したようなサイズのPOPパッケージであれば要求される成形誤差に応じて直径0.5mm〜2mm程度の粒体樹脂6が利用可能である。また、キャビティの容積が大きなパッケージであれば、粒体樹脂6の大きさはこれに応じて大きくすることができる。
【0032】
本発明にかかる粒体樹脂6は、一例として、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤(フィラー)等を配合した原料を溶融混練装置で混練し押出した後、成形用ロールを通過させるなどの成形工程を経ることで製造可能である。また、粒体樹脂6は、大きさ又は重量が均一に成形されている必要があるが、その精度は成形過程で所定の平均粒径を目標値として製造することでこの平均粒径に対して大きく外れていなければ成形は可能である(ただし、粒体樹脂6を個別に計量し粒を揃えておいたほうが好ましい)。即ち、粒体樹脂6の1個1個に誤差があってもそれぞれの平均粒径に対する誤差が互いに相殺される。このため、全体として誤差を問題にならない程度に小さくすることができる。
【0033】
樹脂供給ハンドラ7の内部には粒体樹脂6が充填されるホッパー7aが内蔵されており、シャッター7bを開放することでホッパー7aの底部を開口して下型キャビティ凹部3bに粒体樹脂6を供給することができるようになっている。ホッパー7aは、下型3の下型キャビティ凹部3bのレイアウトに応じて樹脂供給ハンドラ7に設けられている。各ホッパー7aには、下型キャビティ凹部3bの容積に応じて1回分の樹脂モールドに必要な分量の粒体樹脂6が収容可能となっている。このように、各下型キャビティ凹部3bに供給する粒体樹脂6が各ホッパー7aに個別に収容されているため、粒体樹脂6の供給数を確実に同数にすることができ、各キャビティにおける個別の樹脂供給量を均一にすることができる。なお、1回分の樹脂モールドに必要な分量の粒体樹脂6を各ホッパー7aに投入するための構成として、粒体樹脂6の貯留装置から管路を介して各ホッパー7aに供給する構成を採用できる。この場合、管路内において粒体樹脂6の吐出数を計数し、供給数が所定値に達したときに管路を閉じれば、正確な個数の計数が可能である。このように、上述した粒体樹脂6を用いた場合、1個のキャビティ凹部3bに供給する粒体樹脂6の計量は短時間で済むため、キャビティ凹部3bが多いモールド金型1を用いたときには樹脂計量に要する時間を大幅に短縮することができる。
【0034】
また、各ホッパー7aには、その下方開口にシャッター7bが開閉可能に設けられている。シャッター7bは一対の板体が開口中央部において接離動することでホッパー7aの下方開口を開閉する。シャッター7bは、粒体樹脂6の供給時に開口中央部から開放することで下型キャビティ凹部3bの中央に対して粒体樹脂6を供給可能となっている。
【0035】
また、1回分の樹脂モールドに必要な樹脂量を計数しながらシャッター7bの開閉によって供給するようになっていても良い。さらに、シャッター7bとしてはホッパー7aからの粒体樹脂6の供給を止められる構成であれば他の構成を採用してもよい。
尚、樹脂供給ハンドラ7は、粒体樹脂6のみを供給するだけでなく、ワークWを上型2に供給するようになっていてもよい。また、ホッパー7a上方において粒体樹脂6の充填時に開放可能な蓋体を備えることで上型2からの輻射熱により粒体樹脂6のホッパー7a内での溶融を防止する構成を採用することもできる。また、樹脂供給前に粒体樹脂6がホッパー7a内で溶融するのを防止するために、ペルチェ素子のような冷却素子やその他の冷却手段を用いてホッパー7a内を冷却する冷却機構を備えてもよく、樹脂供給ハンドラ7を断熱構造としてもよい。
【0036】
次に、圧縮成形方法について
図1乃至
図3を参照して説明する。なお、以下の説明において、粒体樹脂6が溶融した樹脂を「溶融樹脂6」と称する場合がある。
図1(a)において、型開きしたモールド金型1には、図示しない搬送装置によってワークWが半導体チップ搭載面を下向きにして上型クランプ面2bに吸着保持されている。
樹脂供給ハンドラ7によって粒体樹脂6が下型3に搬入される。下型クランプ面3aにはリリースフィルム5が吸着保持されている。尚、下型キャビティ凹部3bの底部を構成する可動キャビティ駒3cはキュア時のキャビティ底部の位置(成形位置)より退避した退避位置にある。同図に示すように、リリースフィルム5は、下型キャビティ凹部3bの形状に沿うように吸着しておくことが好ましい。これにより、下型キャビティ凹部3b内で粒体樹脂6を収容できる容積がリリースフィルム5を張ることで減少するのを最小限にして粒体樹脂6を供給し易くすると共に、粒体樹脂6を加熱し易くして成形時間を短縮することができる。
【0037】
図1(a)に示すように、ホッパー7aと下型キャビティ凹部3bとを位置合わせした状態で、
図1(b)に示すようにシャッター7bを同期して開放することでホッパー7aより粒体樹脂6が下型キャビティ凹部3bに一括して供給される。ホッパー7aには1回分の成形に必要な粒体樹脂6が予め計数されて収容されている。粒体樹脂6は、可動キャビティ3cが退避位置にあるため、下型キャビティ凹部3bから零れ出すことはない。また、シャッター7bを一括して開放し粒体樹脂6を同時に供給することにより、下型キャビティ凹部3bにおいて同時に加熱を開始させて均一に加熱することができ、溶融及び硬化の状態を均一にすることができる。また、シャッター7bが中央から外側に離れるように動作して開放することで中央に優先的に供給することができる。このため、例えばシャッターを一方向に向けて開放するような構成と比較して、下型キャビティ凹部3bに均一に供給することができるほか、下型キャビティ凹部3bの外側に投下されてしまうような事態を確実に防止することができる。
【0038】
樹脂供給ハンドラ7がモールド金型1より退避移動すると、
図2(a)に示すように上型2に接続する減圧機構4を作動させながら、下型3を上昇させて型閉じを行う。上型クランプ面2bに設けられたシール材2cが下型クランプ面3aにリリースフィルム5を介して当接したときから金型空間を外部から遮断して脱気しながら減圧空間が形成される。このように、減圧空間内で昇温するため、粒体樹脂6に含まれる余剰成分を十分に排出した上で成形するので溶融樹脂6にボイドの少ない高い成形品質を維持することができる。また、
図2(b)に示すように、下型キャビティ凹部3bに供給された粒体樹脂6は、昇温された金型に加熱されて溶融状態となる。
【0039】
尚、コンプレッサを備える構成とした場合には、閉鎖空間内に金型温度よりも高温の気体を吹き込んで充填し粒体樹脂の溶融を補助する構成を採用することもできる。この場合、粒体樹脂6を用いているため微粉がほとんど含まれておらず、閉鎖空間内に気体を吹き込んで対流が発生しても、微粉が金型内で舞い上がって金型内に付着しフラッシュばりの原因となったりメンテナンス上で問題となったりすることがない。
【0040】
図3(a)に示すようにシール材2cがさらに圧縮されて、ワークWが上型クランプ面2bと下型クランプ面3aに挟み込まれた状態で型閉じ動作が完了する。このとき、ワークWの半導体チップTは下型キャビティ凹部3b内の溶融樹脂6に浸漬し始める。
【0041】
次に、
図3(b)に示すように、可動キャビティ駒3cを退避位置から上昇させて、キャビティの深さを基板K上に成形するパッケージ部分の厚みとなるようにキャビティ底部が溶融樹脂6を所定の樹脂圧で加圧する成形位置まで上昇させる。これによって、キャビティ内に溶融した溶融樹脂6を所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。
【0042】
このように、本実施形態では、通常の顆粒樹脂のように微粉末が飛散したり液状樹脂のように加熱硬化が進行したりすることがなく容易に取り扱うことができる。また、樹脂特性が同一であって大きさ及び重量が均一に成形された粒体樹脂を計数するだけで各キャビティ凹部の容量に応じて供給できるので、通常の顆粒樹脂や液状樹脂のように樹脂量を計量する必要がなく樹脂供給動作を迅速かつ簡略にすることができ、しかもキャビティごとの樹脂供給量を高精度に均一量とすることができる。よって、フラッシュばりを防止し、成形品質を向上させることができる。
【0043】
また、粒体樹脂6を使用した場合、その形状に起因して必然的に粒体樹脂6どうしに隙間が生じるため、下型キャビティ凹部3bの容積をはみ出して供給されることが想定されるが、下型キャビティ凹部3bの底部を予め拡大するように可動キャビティ駒3cを退避位置へ移動させておくことにより、粒体樹脂6が下型キャビティ凹部3bの縁よりも低い位置に充填することにより樹脂フラッシュを防いで、精密な樹脂量で樹脂モールドすることができる。また、モールド金型クランプ後に可動キャビティ駒3cを成形位置へ移動させて加熱硬化させるので、狙い通りのパッケージ部の厚さでモールドすることができる。
【0044】
可動キャビティ駒3cを含む金型クランプ面がリリースフィルム5で覆われているので、下型キャビティ凹部3bに粒体樹脂6が供給されて溶融した状態で可動キャビティ駒3cが退避位置から成形位置へ移動しても、溶融した樹脂が金型間の隙間に漏れ出ることがない。また、基板Kにおける微小な凹凸を塞いで成形できるので、フラッシュばりを確実に防止することができる。
【0045】
[第2実施例]
次に圧縮成形方法及び装置の他例について
図4乃至
図6を参照して説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付与して説明を援用するものとし、異なる構成を中心に説明する。ワークWは、基板Kに半導体チップTなどが基板実装されたものが用いられる。上述した実施例では、下型3のキャビティ底部を構成する可動キャビティ駒3cが設けられていた。本実施例では
図6に示すように、キャビティ凹部3bの底部外周を形成する可動キャビティ駒3cを備えている。
図4(a)に示すように可動キャビティ駒3cを含む下型クランプ面3aはリリースフィルム5に覆われている点は同様である。また、粒体樹脂6がキャビティ凹部3bに供給される際には、可動キャビティ駒3cはキャビティ底部より下方に退避した退避位置にある。
【0046】
図4(a)は、図示しない樹脂供給ハンドラ7によって粒体樹脂6が下型キャビティ凹部3bに供給され、モールド金型1が型閉じ動作を開始した状態を示す。キャビティ凹部3bに供給された粒体樹脂6は、当該キャビティ凹部3bの底部外周を形成する可動キャビティ駒3cを退避させておくことで、粒体樹脂6が積み上がったとしてもキャビティ内よりこぼれることなく供給することができる。
【0047】
上型クランプ面2bに設けられたシール材2cが下型クランプ面3aにリリースフィルム5を介して当接したときから金型空間を外部から遮断して脱気しながら減圧空間が形成される。このように、減圧空間内で成形するので溶融樹脂にボイドの少ない高い成形品質を維持することができる。また、
図4(b)に示すように、下型キャビティ凹部3bに供給された粒体樹脂6は、昇温された金型によって溶融する。
【0048】
図5(a)に示すようにシール材2cがさらに圧縮されて、ワークWが上型クランプ面2bと下型クランプ面3aに挟み込まれた状態で型閉じ動作が完了する。このとき、ワークWの半導体チップTは下型キャビティ凹部3b内の溶融樹脂6に浸漬し始める。
【0049】
次に、
図5(b)に示すように、可動キャビティ駒3cを退避位置から上昇させてキャビティ底部と面一となる成形位置まで上昇させる。これにより下型キャビティ凹部3b内における溶融樹脂6の充填が完了する。この際に、半導体チップTの外周側に設けられた可動キャビティ駒3c上に厚く存在する溶融樹脂6が外周側において充填の完了していない領域に充填されるため、溶融樹脂6の平面方向における流動はほとんど起こさずに溶融樹脂6の充填を完了し保圧することができる。これによって、キャビティ内に溶融した溶融樹脂6を所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。
上記構成によれば、予め半導体チップTのないキャビティ凹部3bの底部外周側に溶融した樹脂を集めることで樹脂の流動が少ない成形が行なえ、ワイヤーフローを防止することができる。
【0050】
[実施例3]
次に圧縮成形方法及び装置の他例について
図7及び
図8を参照して説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付与して説明を援用するものとし、異なる構成を中心に説明する。本実施例では、ワークWは、半導体チップが積層されたもののように厚みの大きな半導体チップTなどが基板Kに基板実装されたものが用いられる。上述した各実施例では、下型3に可動部(可動キャビティ駒3c)が設けられていたが、本実施例では下型3には可動キャビティ駒3cのような可動部は設けられておらず、下型クランプ面3aを覆うリリースフィルム5も省略されており、構成が簡素化されている分だけ安価な成形が可能となっている。
【0051】
図7(a)において、型開きしたモールド金型1には、ワークWが半導体チップ搭載面を下向きにして上型クランプ面2bに吸着保持されている。樹脂供給ハンドラ7によって粒体樹脂6が下型3の下型キャビティ凹部3bに供給される。
【0052】
樹脂供給ハンドラ7がモールド金型1から退避すると、モールド金型1が型閉じ動作を開始する。
図7(b)に示すように、減圧機構4を作動したまま上型クランプ面2bに設けられたシール材2cが下型クランプ面3aに当接したときから金型空間を外部から遮断して脱気しながら減圧空間が形成される。このように、減圧空間内で成形するので溶融樹脂にボイドの少ない高い成形品質を維持することができる。また、
図8(a)に示すように、下型キャビティ凹部3bに供給された粒体樹脂6は、昇温された金型によって溶融する。
【0053】
図8(b)に示すようにシール材2cがさらに圧縮されて、ワークWが上型クランプ面2bと下型クランプ面3aに挟み込まれた状態で型閉じ動作が完了する。このとき、ワークWの半導体チップTは下型キャビティ凹部3b内の溶融樹脂6に浸漬する。この状態で、更に金型のクランプ力を上昇させることで、基板Kの弾性により下型キャビティ凹部3bの容積を減少させることでキャビティ内に溶融した溶融樹脂6を所定樹脂圧に保圧して加熱硬化(キュア)させる。尚、本実施形態のように厚みが大きく下型キャビティ凹部3b内の容積において大きな部分を占めるような半導体チップTを封止する際には、可動キャビティ駒3cを設けない構成であっても下型キャビティ凹部3b内に溶融樹脂6を充填し保圧することができる。
【0054】
尚、加熱硬化後の成形品は、下型3に公知のエジェクタピン機構を設けて基板Kをエジェクタピンで突き上げることで、下型3から離型させることができる。本実施例のような構成では、可動キャビティ駒3cを用いる上述した実施例とは異なり、下型キャビティ凹部3b内の容積を変化させられる量が少ないため、体積が均一な半導体チップTを基板実装したワークWを使用するのが好ましい。
【0055】
図9(a)〜(c)は他例に係る樹脂供給方法の断面図である。
樹脂供給ハンドラ7には同一粒径の粒体樹脂6だけでなく異なる粒径の複数種類の粒体樹脂6を供給するようにしても良い。そして、下型キャビティ凹部3b内には、粒径の異なる粒体樹脂6を組み合わせて全体の容積又は重量がキャビティ容量に合わせて計数されて供給されるようにしても良い。
【0056】
例えば、
図9(a)において、下型キャビティ凹部3b内に供給されたに臨むワーク(半導体チップT若しくは基板K)との間隔が広い領域には比較的大径の粒体樹脂6aを供給し、間隔が狭い領域には小径の粒体樹脂6bを供給して充填される樹脂容量に応じたサイズの粒体樹脂6を効率よく供給するようにしても良い。この場合、例えば同図に示すように外側に比較的大径の粒体樹脂6aを配置し内側に比較的小径の粒体樹脂6bを配置するようなときには、この配置に応じて複数の粒体樹脂6a,6bをそれぞれ吸着可能な吸着部を粒体樹脂6a,6bの個数だけ備えた樹脂供給ハンドラを使用し、下型キャビティ凹部3b上において吸着解除することで供給する構成を採用すればよい。
【0057】
図9(b)は、下型キャビティ凹部3bに供給された粒体樹脂6a,6bが下型3によって溶融し、溶融樹脂6に凹状のメニスカスが形成された状態を示す。この状態で上型2と下型3がワークWをクランプした状態を
図9(c)に示す。半導体チップTが、溶融樹脂6に浸漬され、所定樹脂圧に保圧されたまま加熱硬化される。
これにより、圧縮成形の際に溶融樹脂6の移動量を極力減らすことができる。このように複数種類の粒体樹脂6を使用する場合にもそれぞれを計数するだけの簡易な構成で高精度に樹脂供給することができる。
【0058】
[第4実施例]
次に圧縮成形方法及び装置の他例について
図10乃至
図11を参照して説明する。実施例1と同一部材には同一番号を付与して説明を援用するものとし、異なる構成を中心に説明する。上述した実施例では、下型3にキャビティ凹部3bが設けられていた。本実施例では
図10に示すように、キャビティ凹部3bの側壁を形成するキャビティプレート40を備え、下型30に載置されたワークWとキャビティプレート40とによって下型30側にキャビティ凹部3bが形成される。上型20は、キャビティの配置に対応して複数設けられて個別に昇降可能に構成された可動キャビティ駒21と、可動キャビティ駒21が挿入可能な挿入孔が形成された上型クランパ22とを備えている。可動キャビティ駒21及び上型クランパ22は、図示しないベースにスプリングを介して別個に支持されている。上型20のパーティング面にはその形状に倣うようにリリースフィルム5が吸着保持されている。
【0059】
キャビティプレート40には、ワークWに基板実装された半導体チップTの配置に対応するように複数のキャビティ孔41が設けられている。キャビティ孔41は、その下方においてキャビティ凹部3bの側壁を構成する成形部41aと、上型20の可動キャビティ駒21に対してキャビティ孔41を位置決めするための位置決め凹部41bとで構成されている。位置決め凹部41bは、成形部41aよりも断面形状(孔径)が大きく形成されており、型閉じ状態で上型20の挿入孔の周囲に突起状に形成された位置決め凸部22aが位置決め凹部41bに挿入される(凹凸嵌合する)ことで、上型20の可動キャビティ駒21に対するキャビティ孔41(成形部41a)の位置を位置決めする。下型30は、ワークWが載置される下型インサート31と、下型インサート31を囲うように配置された下型クランパ32とを備えている。下型インサート31及び下型クランパ32は、図示しないベースにスプリングを介して別個に支持されている。下型クランパ32には、キャビティプレート40が載置される位置を避けて開口する真空吸引路32aが形成されており、その外周側にはシール材32bが設けられている。
【0060】
図10(a)は、粒体樹脂6が下型キャビティ凹部3bに供給された状態を示す。この際に、下型30の下型インサート31に載置されたワークWにキャビティプレート40が重ねられた状態になることにより、下型30側に粒体樹脂6を供給可能な下型キャビティ凹部3bが形成される。この場合、キャビティプレート40の成形部41aは、キャビティ凹部3bに供給された粒体樹脂6が成形部41aの上端部の高さを越えない高さとなるように設定するのが好ましく、少なくとも粒体樹脂6が位置決め部に乗り上げない高さに設定しておくこと必要がある。これにより、粒体樹脂6がキャビティ内からこぼれ出ず、こぼれ出した粒体樹脂6を挟み込んで発生する樹脂ばりを確実に防止することができる。
【0061】
図10(b)に示すように、下型クランプ面に設けられたシール材32bが上型クランプ面にリリースフィルム5を介して当接したときから金型空間を外部から遮断して脱気しながら減圧空間が形成される。粒体樹脂6は、昇温された金型によって溶融させられると共に余剰成分が排出される。さらに型閉じすることで
図11(a)に示すようにシール材がさらに圧縮されて、キャビティプレート40が上型クランプ面と下型クランプ面に挟み込まれた状態となり型閉じ動作が完了する。この際に、上型20の位置決め凸部22aがキャビティプレート40の位置決め凹部41bに挿入されることで、上型20の可動キャビティ駒21に対するキャビティ孔41(成形部41a)の位置が位置決めされる。
【0062】
次に、
図11(b)に示すように、可動キャビティ駒21を初期位置(上述の「退避位置」に相当)から成形位置まで下降させてキャビティ孔41の成形部41aに挿入することで溶融樹脂6を加圧し、下型キャビティ凹部3b内における溶融樹脂6の充填が完了する。この際に、キャビティ内にて溶融樹脂6を所定樹脂圧に保圧し加熱硬化(キュア)させる。以上の構成によれば、上記の実施例と同様に、迅速かつ簡略に樹脂供給動作を行え、樹脂供給量を高精度に均一量とすることができ、フラッシュばりも防止して成形品質を向上させることもできる。また、キャビティプレート40の厚み(具体的には成形部41aの深さ)を変更することで成形品におけるパッケージ厚を簡易に変更することができる。
【0063】
尚、位置決め凹部41b及び位置決め凸部22aを用いてキャビティ孔41の位置を調整する構成を採用したが本発明はこれに限定されず、上型20又は下型30に立設した位置決めピンをキャビティプレート40に設けた位置決め孔に挿入することで位置決めしてもよい。
【0064】
尚、粒体樹脂6の供給は上述の実施形態と同様にモールド金型1内で行うことができる。また、キャビティプレート40が重ねられたワークWに対してモールド金型1の外部で粒体樹脂6を供給し、モールド金型1に一括して搬入する構成としてもよい。この場合、モールド金型1の外部では単に粒体樹脂6を供給するだけとしてもよく、キャビティプレート40が重ねられたワークWと粒体樹脂6をプリヒートして溶融させてから搬入してもよい。
【0065】
尚、上型20は、上記の可動キャビティ駒21に替えてキャビティ孔41に挿入することで溶融樹脂6を加圧する凸部を固定的に備える構成としてもよい。また、キャビティ凹部41に可動キャビティ駒21に相当する部分を挿入することなくフラットなキャビティプレート40をクランプしキャビティプレート40の弾性により下型キャビティ凹部3bの容積を減少させることで樹脂圧を加える構成としてもよい。
【0066】
上述した実施例は、粒体樹脂6として球状の樹脂について説明したが、大きさ及び重量が均一ならば、球状に限らず他の形状(多面体状、非球面体、柱状体など)であっても良い。ただし、搬送や計数などの際に欠けが生じるのを防止するために鋭角部分のない形態が好ましい。また、特性の異なる複数種類の粒体樹脂6を所定の割合で混合し使用することでパッケージの特性を調整することもできる。例えば、フィラーの配合量が異なる2種類の粒体樹脂6を必要個数に対して半数ずつ使用することで、パッケージにおけるフィラーの配合量を適宜調整するといったことも可能である。このように、要求される成形品質に応じて各種配合原料の配合割合を変えることで、最適な組成を確認したうえで量産化したり、個別製品で要求される組成を装置内で指示して変更したりして対応するといった使用も可能である。
【0067】
この場合、ホッパー7aに対して粒体樹脂6を投入する際に特性の異なる複数種類の粒体樹脂6を所定の割合で投入し混合して、混合された粒体樹脂6を下型キャビティ凹部3bに供給すればよい。また、各ホッパー7a内には樹脂特性が均一な粒体樹脂6を投入し、複数のホッパー7aから投入することで、特性の異なる複数種類の粒体樹脂6を下型キャビティ凹部3bに供給する構成を採用することもできる。
【0068】
尚、上述した実施例においては、下型キャビティ凹部3bに粒体樹脂6を供給する構成について説明したが本発明はこれに限定されず上型2に設けたキャビティを用いて成形する場合に粒体樹脂6を使用する構成を採用してもよい。また、キャビティは必ずしも複数ある必要はなく単一のキャビティが設けられたモールド金型1に対して粒体樹脂6を供給し成形してもよい。この場合でも、フラッシュばりの防止など上述した各実施形態と同様の作用効果を奏することができ、成形品質を向上させることができる。
【0069】
尚、上述した実施例においては、粒体樹脂6を計数する構成について説明したが本発明はこれに限定されず粒体樹脂6を計量する構成を採用してもよい。即ち、液状樹脂や通常の顆粒樹脂とは異なり、粒体樹脂6を1個ずつ吐出するだけで計量装置内における微小量での吐出が可能であり、液状樹脂や顆粒樹脂と比較して簡易な構成での高精度な樹脂供給手段が構成できる。さらに、粒体樹脂6を計数したうえで計量して供給してもよい。これにより、計数後の粒体樹脂6を計量することで信頼性を向上させる構成を採用してもよい。