特許第5776111号(P5776111)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5776111時間的パラメータを使用して神経刺激のターゲットを制御するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776111
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】時間的パラメータを使用して神経刺激のターゲットを制御するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/365 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   A61N1/365
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-513217(P2013-513217)
(86)(22)【出願日】2011年5月24日
(65)【公表番号】特表2013-527007(P2013-527007A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】US2011037738
(87)【国際公開番号】WO2011153027
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年5月23日
(31)【優先権主張番号】61/351,186
(32)【優先日】2010年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505003528
【氏名又は名称】カーディアック ペースメイカーズ, インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】507189666
【氏名又は名称】デューク ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ヨー ポール ビー
(72)【発明者】
【氏名】グリル ウォーレン エム
(72)【発明者】
【氏名】ヒンカピー オルドニェス ファン ガブリエル
【審査官】 堀川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−541850(JP,A)
【文献】 特表2010−502271(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0063376(US,A1)
【文献】 特開2008−194496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓及び喉頭筋を有する生体の迷走神経を電気的に刺激するためのシステム(100)であって、
電気刺激パルスを迷走神経に送出するように構成された刺激回路(240)と、
複数の刺激パラメータを使用して前記電気刺激パルスの前記送出を制御するように構成された刺激制御回路(242)であって、喉頭筋の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能を調節するための、前記電気刺激パルスの前記送出に対して選択された少なくとも1つの刺激パラメータを含む前記複数の刺激パラメータを格納するストレージ回路(246)と、心臓血管機能の調節を示す複数の第1のパラメータが各々第1の閾値範囲内にあり且つ喉頭筋の収縮の非発生を示す第2のパラメータが第2の閾値範囲内にあるように、前記少なくとも1つの刺激パラメータを調節するように構成されたパラメータ調節器(244)と、を含む、刺激制御回路(242)と、
喉頭筋の収縮を示す筋電図(EMG)信号を感知するように構成された筋電図(EMG)感知回路(572)と、
前記EMG信号を使用して前記EMG信号の振幅を生成するように構成されたEMG振幅生成器(582)であって、前記振幅が、前記第2のパラメータである、EMG振幅生成器(582)と、
前記心臓血管機能を示す心電図(ECG)信号を感知するように構成されたECG感知回路(552)と、
前記ECG信号を使用して心拍数を生成するように構成された心拍数生成器(562)であって、前記心拍数は、前記第1のパラメータのうちのパラメータである、心拍数生成器(562)と、
前記心臓血管機能を示す動脈血圧信号を感知するように構成された動脈血圧(BP)感知回路(554)と、
動脈血圧信号を使用して平均動脈BPを生成するように構成された平均BP生成器(564)であって、前記平均動脈BPが、前記第1のパラメータのうちのパラメータである、平均BP生成器(564)と、
前記心臓血管機能を示す左心室(LV)血圧信号を感知するように構成されたLV圧力感知回路(556)と、
LV収縮力の尺度であり前記第1のパラメータのうちのパラメータであるLV圧力変化の比率を生成するように構成されたLV収縮力生成器(566)と、を含む、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記刺激回路及び前記刺激制御回路を封入する埋め込み型ハウジング(112)を含む、埋め込み型医療デバイス(110)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
双極神経カフ電極(136,236)と、前記双極神経カフ電極が前記埋め込み型医療デバイスに電気的に接続される埋め込み型リード(130)と、を更に含む、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記埋め込み型医療デバイスは、心臓ペースメーカーを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記埋め込み型医療デバイスは、心臓除細動器または除細動器を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
筋肉内電極(538)を更に含み、前記筋電図(EMG)感知回路(572)は、前記筋肉内電極を用いて前記EMG信号を感知するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
表面電極(553)を更に含み、前記心電図(ECG)感知回路(552)は、前記表面電極を用いて心臓血管機能を示すECG信号を感知するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
血管内圧力感知カテーテル(555)を更に含み、前記動脈血圧(BP)感知回路(554)は、前記血管内圧力感知カテーテルを用いて心臓血管機能を示す動脈血圧信号を感知するように構成される請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
血管内圧力感知カテーテル(557)を含み、前記左心室(LV)圧力感知回路(556)は、前記血管内圧力感知カテーテルを用いて心臓血管機能を示す左心室(LV)血圧信号を感知するように構成される請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本明細書において引用により組み込まれている2010年6月3日出願の米国特許仮出願第61/351,186号の「35 U.S.C.§119(e)」の下での優先権の恩典を主張する。
【0002】
本文献は、一般的に神経刺激に関し、より具体的には、1つ又はそれよりも多くのターゲット生理的機能を1つ又はそれよりも多くの非ターゲット生理的機能を実質的に調節することなく調節するように選択された1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータを用いる迷走神経刺激(VNS)に関する。
【背景技術】
【0003】
迷走神経刺激(VNS)は、様々な生理的機能を調節して様々な病気を治療するのに適用されている。一例は、心不全又は心筋梗塞を罹っている患者の心臓機能の調節である。心筋は、迷走神経の心臓枝を含む交感神経及び副交感神経で神経支配されている。人工的に印加された電気刺激を含む迷走神経の活動は、心拍数及び収縮力(心筋収縮の強度)を調節する。迷走神経に印加された電気刺激は、心拍数及び収縮力を低減することが公知であり、心臓周期の収縮期を延長させ、心臓周期の拡張期を短縮させる。VNSのこの機能を利用し、例えば、心筋リモデリングを制御する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
心筋リモデリングのような心臓疾患の治療に加えて、VNSはまた、以下に限定されるものではないが、抑鬱症、神経性無食欲症/摂食障害、膵臓機能、てんかん、高血圧症、炎症性疾患、及び糖尿病を含む疾患を治療するのに有効であることが公知である。多くの生理的機能は、迷走神経の神経活動によって制御され、又は影響を受け入れているので、副作用を最小にしながら望ましい機能転帰のためにVNSを制御する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
迷走神経刺激(VNS)の1つ又はそれよりも多くの時間的刺激パラメータは、1つ又はそれよりも多くの非ターゲット生理的機能を実質的に調節することなく1つ又はそれよりも多くのターゲット生理的機能を実質的に調節するように選択される。1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータは、電気刺激パルスのタイミングを指定する。
【0006】
一実施形態では、電気刺激パルスは、迷走神経に送出される。電気刺激パルスの送出は、第2の生理的機能の実質的な変化なしに第1の生理的機能の実質的な変化をもたらすように選択された1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータを使用して制御される。第1及び第2の生理的機能は、迷走神経に送出された電気刺激パルスによって各々調節可能である。
【0007】
一実施形態では、電気刺激パルスは、迷走神経に送出される。電気刺激パルスの送出は、喉頭筋の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能を調節するように選択された時間的パラメータを使用して制御される。
【0008】
一実施形態では、迷走神経を電気的に刺激するためのシステムは、刺激回路及び刺激制御回路を含む。刺激回路は、電気刺激パルスを迷走神経に送出する。刺激制御回路は、複数の刺激パラメータを使用して電気刺激パルスの送出を制御する。刺激制御回路は、喉頭筋の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能を調節する電気刺激パルスの送出のために選択された少なくとも1つの刺激パラメータを含む複数の刺激パラメータを格納するストレージ回路を含む。
【0009】
この要約は、本出願の教示の一部の概観であり、本主題の排他的又は網羅的取り扱いであるように考えられるものではない。本主題に関する更なる詳細は、詳細説明及び特許請求の範囲に見出される。本発明の他の態様は、以下の詳細説明を読んで理解し、その一部を形成する図面を見ると当業者には明らかであろう。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって定められる。
【0010】
図面は、一般的に一例として本文献で説明する様々な実施形態を示している。図面は、単に例示的な目的のためであり、正確な縮尺になっていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】迷走神経刺激(VNS)システムの実施形態及びVNSシステムを使用する環境の各部分を例示する図である。
図2】VNSシステムの電極及び神経刺激器の実施形態を示すブロック図である。
図3】選択された時間的パラメータを使用する選択的VNSの方法の実施形態を示す流れ図である。
図4】選択された時間的パラメータを使用する選択的VNSの方法の別の実施形態を示す流れ図である。
図5図4の方法を試験するためのシステムを例示する図である。
図6図4の方法を試験した結果を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の詳細説明において、その一部を形成する添付の図面を参照し、そこには、本発明を実施することができる例示的な特定的な実施形態を示している。それらの実施形態は、十分詳細に説明され、当業者が本発明を実施することを可能にし、実施形態を組み合わせることができること、又は他の実施形態を利用することができること、及び構造的、論理的、及び電気的変更を本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行うことができることは理解されるものとする。以下の詳細説明は、実施例を提供し、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びそれらの法的均等物によって定められる。
【0013】
本発明の開示における「実施形態」、「一実施形態」、又は「様々な実施形態」の参照は、必ずしも同じ実施形態に対してではなく、このような参照は、1つよりも多くの実施形態を考えている点に注意すべきである。
【0014】
本文献は、刺激誘発副作用を最小にしながら迷走神経を刺激して1つ又はそれよりも多くのターゲット生理的機能を調節する方法及びシステムを説明する。迷走神経刺激(VNS)は、抑鬱症及びてんかんを含む神経疾患の治療に対して使用されている。VNSはまた、アルツハイマー病、不安神経症、心不全、及び肥満のような様々な疾患の治療に対して調査されている。
【0015】
迷走神経は、骨髄から出ており、複合機能神経支配パターンを通して人体における複数の臓器をターゲットにする。迷走神経幹内には、食道、胃腸管、腎臓及び膵臓(迷走神経の腹部枝)のような内臓器官、心臓及び肺(迷走神経の胸部枝)のような胸部器官、並びに頸の随意筋及び上気道(反回神経RLN)の複数のセグメントに出入りする神経活動を伝達する遠心性及び求心性神経繊維の両方が存在する。このような複雑性は、この治療から利益を得ることができるVNSの有効性及び患者集団全体を有意に制限している。
【0016】
VNSの治療応用における難しさは、迷走神経幹内の繊維の総数及び異なる直径を有する神経繊維の分布によって更に複雑になっている。人の迷走神経に対する動物モデルとして使用されている成犬において、頸迷走神経幹は、約20,000の有髄神経及び更に多数の無髄神経を含む。人及び犬の迷走神経の両方はまた、神経繊維の直径によって定められる共通の分類体系を共有する。これは、表1に要約するようなA(有髄)、B(有髄の副交感神経)、及びC(無髄)型繊維の古典的な名称に基づいている。
【0017】
【表1】
【0018】
現在、VNS治療のための電極埋め込みの典型的な部位は、患者の甲状軟骨と胸骨の間の頸部脊椎レベルにある。この位置において、迷走神経は、表1に要約したように豊富な神経繊維を含む単一神経束である。その結果、VNS治療に使用する刺激パラメータは、大部分は、電気パルスの様々な時間的特性(例えば、振幅、周波数、負荷サイクル)を調節することによって判断される。動物モデル及び人の患者にVNSを適用する様々な研究は、抗てんかん薬のための推奨される臨床パラメータ及びVNSの他の適用確立をもたらしている。しかし、嗄声、咳、及び疼痛のような刺激誘発副作用は、VNS治療を適用するのに依然として問題である。VNSのそれらの好ましくない影響は、(1)電気刺激中の有髄神経繊維の動員順序の反転(すなわち、より大きな直径の繊維に対する活性閾値を下げる)から生じ、(2)迷走神経内のより大きな直径の繊維の大部分は、RLNを通じて喉頭及び上気道を神経支配する。例えば、双極神経カフ電極による迷走神経への電気刺激の送出は、神経幹内の全ての神経繊維の非選択的活性化もたらし、従って、意図しない喉頭活動を含む副作用の意図しない発生に対して殆ど制御できないことは公知である。
【0019】
本方法及びシステムは、1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータを使用して刺激誘発副作用を最小にし、それによってVNSの全体の治療効果を最大にする。本文献では、「時間的パラメータ」は、パルス周波数及び負荷サイクルのような電気刺激パルスのタイミングを指定するパラメータを意味する。様々な実施形態では、電気刺激は、好ましくない生理的反応を誘発することなく患者の心臓血管機能を調節するように選択された1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータを有する患者の迷走神経の一部分に送出される。このような生理的反応は、迷走神経によって調節されるが意図する電気刺激の結果のものではない患者の様々な機能を含む。一実施形態では、本方法及びシステムの例として本文献で上述したように、電気刺激は、好ましくない喉頭活動を誘発することなく患者の心臓血管機能を調節するように選択された刺激負荷サイクルを用いて患者の迷走神経の頸部又は胸部に送出される。
【0020】
図1は、VNSシステム100の実施形態及びシステム100を使用する環境の一部分を例示する図である。図1は、頸迷走神経102及びRLN106を含むセグメント又は枝を有する迷走神経101の一部分を示している。刺激電極136は、迷走神経102上に置かれ、迷走神経101の様々な枝によって神経支配された心臓105を含む胸部器官及び/又は腹部器官の機能を調節するためにVNSの送出を可能にする。図示の実施形態では、刺激電極136は、頸迷走神経(RLN106が枝を出すところの頭方の迷走神経102の一部分)上に置かれる。別の実施形態では、刺激電極136は、胸部迷走神経(RLN106が枝を出すところの頭方の迷走神経102の一部分)上に置かれる。RLN106は、喉頭筋(喉頭筋107によって表される)を神経支配し、電極136を通して送出されたVNSによるその活性化は、典型的には、好ましくない副作用と考えられる。患者に心臓血管機能の改善のような治療効果を提供するために、VNSは、喉頭筋107の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能を調節するように選択された1つ又はそれよりも多くの時間的刺激パラメータを用いて迷走神経102に送出される。一実施形態では、1つ又はそれよりも多くの時間的刺激パラメータは、負荷サイクルを含む。
【0021】
図1に示すように迷走神経102、RLN106、及び喉頭筋107に関する用途は、本文献では特定的な例として説明されるが、本方法は、神経刺激のターゲットである迷走神経又は他の神経の他の枝に適用することができる。様々な実施形態では、1つ又はそれよりも多くの時間的刺激パラメータは、電気刺激が送出される神経によって神経支配されるターゲット器官の選択的活性化のために選択される。
【0022】
図示の実施形態では、システム100は、埋め込み型リード130を通して電極136に電気的に接続された埋め込み型医療デバイス110を含む。埋め込み型医療デバイス110は、埋め込み型ハウジング112及び埋め込み型ハウジング112に取り付けられたヘッダ114によって封入され、リード130に接続するために設けられた神経刺激器120を含む。神経刺激器120は、図2を参照して下に説明する。一実施形態では、埋め込み型医療デバイス110は、神経刺激器である。他の実施形態では、神経刺激器120に加えて、埋め込み型医療デバイス110は、心臓ペースメーカー、心臓除細動器/除細動器、薬物送出システム、生物学的療法デバイス、及びいずれかの他のモニタリング又は治療デバイスのうちの1つ又はそれよりも多くを含む。リード130は、近位端132、遠位端133、及び近位端132と遠位端133の間に結合された細長本体131を含む。近位端132は、埋め込み型医療デバイス110に接続されるように構成される。遠位端133は、刺激電極136を含み又はそうでなければこれに結合される。刺激電極136は、双極神経カフ電極である。様々な他の実施形態では、刺激電極136は、神経刺激器120から送出された電気刺激によって迷走神経102の活性化を可能にするあらゆる形態の電極を含む。
【0023】
図2は、電極236及び神経刺激器220の実施形態を示すブロック図である。電極236は、刺激電極136の実施形態を表している。神経刺激器220は、神経刺激器120の実施形態を表している。
【0024】
神経刺激器220は、刺激回路240及び刺激制御回路242を含む。刺激回路240は、電気刺激パルスを生成し、電気刺激パルスを電極236に送出する。刺激制御回路242は、複数の刺激パラメータを使用して電気刺激パルスの送出を制御し、パラメータ調節器244及びストレージ回路246を含む。パラメータ調節器244は、迷走神経によって制御された生理的機能の選択的活性化又は調節のために複数の刺激パラメータのうちの1つ又はそれよりも多くの刺激パラメータの調節を可能にする。一実施形態では、複数の刺激パラメータは、パルス振幅、パルス幅、パルス周波数、負荷サイクル、サイクル単位、及び刺激持続時間を含む。パルス振幅は、電圧(例えば、一定の電圧パルスに対して)又は電流(例えば、一定の電流パルスに対して)として指定された各電気刺激パルス振幅である。パルス幅は、各電気刺激パルスの持続時間である。パルス周波数は、電気刺激パルスが送出される周波数であり、また連続パルス間の時間間隔であるパルス間隔として指定することができる。負荷サイクルは、電気刺激パルスがサイクル単位に送出される刺激間隔の比率である。刺激持続時間は、神経刺激治療の施行の持続時間である。サイクル単位及び刺激持続時間は、パルスの時間又は数によって指定することができ、負荷サイクルは、各サイクル単位におけるパルスの時間又は数によって指定することができる。例えば、「10%の負荷サイクル及び1秒の単位サイクルにおける20Hzのパルス周波数で送出されたパルス」は、「20パルスの単位サイクル当たり2パルスの負荷サイクルにおける20Hzのパルス周波数で送出されたパルス」と同等である。
【0025】
ストレージ回路246は、1つ又はそれよりも多くの非ターゲット生理的機能に実質的に影響を与えることなく1つ又はそれよりも多くのターゲット生理的機能を調節するように選択された1つ又はそれよりも多くの刺激パラメータのうちの1つ又はそれよりも多くの値を含む複数の刺激パラメータに対する値を格納する。一実施形態では、ストレージ回路246は、喉頭筋の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能を調節するように選択された1つ又はそれよりも多くの刺激パラメータのうちの1つ又はそれよりも多くの値を格納する。一実施形態では、負荷サイクルの値は、別の生理的機能に実質的に影響を与えることなく生理的機能を調節するように選択され、ストレージ回路246に格納される。
【0026】
様々な実施形態では、本文献で説明するその様々な要素を含む神経刺激器220の回路は、ハードウエア及びソフトウエアの組合せを使用して考えられている。様々な実施形態では、刺激制御回路242は、1つ又はそれよりも多くの特定の機能を実施するように構成された用途特定の回路、又はこのような機能を実施するようにプログラムされた汎用回路を使用して考えることができる。このような汎用回路は、以下に限定されるものではないが、マイクロプロセッサ又はその一部分、マイクロコントローラ又はその一部分、プログラマブル論理回路又はその一部分を含む。
【0027】
図3は、選択された1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータを使用する選択的VNSの方法300の実施形態を示す流れ図である。一実施形態では、方法300は、本文献で説明するその実施形態を含むシステム100を使用して実施される。
【0028】
310において、電気刺激パルスは、迷走神経に送出される。一実施形態では、電気刺激パルスは、迷走神経上に置かれた双極神経カフ電極のような刺激電極を通して迷走神経に送出される。一実施形態では、電気刺激パルスは、刺激電極を含む埋め込み型リードに接続され、又はそうでなければこれに電気的に接続された埋め込み型医療デバイスから送出される。
【0029】
320において、電気刺激パルスの送出は、患者の第2の生理的機能を実質的に調節することなく第1の生理的機能を実質的に調節するように選択された1つ又はそれよりも多くの刺激パラメータを使用して制御される。一実施形態では、第2の生理的機能を実質的に調節することなく第1の生理的機能を実質的に調節するために、負荷サイクルのような時間的パラメータを使用して電気刺激パルスの送出を制御する。第2の生理的機能は、迷走神経によって調節される1つ又はそれよりも多くの生理的機能を表すが、様々な実施形態ではVNSの好ましくない副作用と考えられる。
【0030】
一実施形態では、時間的パラメータの値は、第1及び第2の生理的機能に対する電気刺激パルスの送出の影響をモニタすることによって判断される。第1の生理的機能を示す第1の生理的信号が感知され、第1の生理的機能を示す第1のパラメータは、第1の生理的信号を使用して生成される。第2の生理的機能を示す第2の生理的信号が感知され、第2の生理的機能を示す第2のパラメータは、第2の生理的信号を使用して生成される。時間的パラメータの値は、第1のパラメータ及び第2のパラメータを使用して判断される。一実施形態では、時間的パラメータを調節し、第1の閾値範囲にある第1のパラメータ及び第2の閾値範囲にある第2のパラメータをもたらす値を判断する。一実施形態では、第1のパラメータの第1の基本値は、電気刺激パルスのいずれも送出されていない間に感知された第1の生理的信号を使用して生成される。第2のパラメータの第2の基本値は、電気刺激パルスのいずれも送出されていない間に感知された第2の生理的信号を使用して生成される。第1のパラメータの1つ又はそれよりも多くの第1の刺激値は、電気刺激パルスが時間的パラメータの1つ又はそれよりも多くの値のうちの1つで送出される間に感知された第1の生理的信号を使用して各々生成される。第2のパラメータの1つ又はそれよりも多くの第2の刺激値は、電気刺激パルスが時間的パラメータの1つ又はそれよりも多くの値のうちの1つで送出される間に感知された第2の生理的信号を使用して各々生成される。時間的パラメータの値は、第1の基本値、第2の基本値、1つ又はそれよりも多くの第1の刺激値、及び1つ又はそれよりも多くの第2の刺激値を使用して判断される。
【0031】
別の実施形態では、時間的パラメータの値は、第1の生理的機能に対する電気刺激パルスの送出の影響をモニタ又は使用することなく、第2の生理的機能に対する電気刺激パルスの送出の影響をモニタ及び使用することによって判断される。第2の生理的機能を示す第2の生理的信号が感知され、第2の生理的機能を示す第2のパラメータは、第2の生理的信号を使用して生成される。時間的パラメータの値は、第2のパラメータを使用して判断される。一実施形態では、時間的パラメータを調節し、第2の閾値範囲にある第2のパラメータをもたらす値を判断する。一実施形態では、第2のパラメータの第2の基本値は、電気刺激パルスのいずれも送出されていない間に感知された第2の生理的信号を使用して生成される。第2のパラメータの1つ又はそれよりも多くの第2の刺激値は、電気刺激パルスが時間的パラメータの1つ又はそれよりも多くの値のうちの1つで送出される間に感知された第2の生理的信号を使用して各々生成される。時間的パラメータの値は、第2の基本値及び1つ又はそれよりも多くの刺激値を使用して判断される。
【0032】
図4は、選択された1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータを使用する選択的VNSの方法400の実施形態を示す流れ図である。方法400は、心臓血管機能である第1の生理的機能及び喉頭筋の収縮を含む第2の生理的機能を用いる方法300の実施形態である。一実施形態では、方法400は、本文献で説明するその実施形態を含むシステム100を使用して実施される。
【0033】
410において、電気刺激パルスは、迷走神経に送出されて心臓血管機能を調節する。一実施形態では、電気刺激パルスは、迷走神経上に置かれた双極神経カフ電極のような刺激電極を通して迷走神経に送出される。一実施形態では、電気刺激パルスは、刺激電極を含む埋め込み型リードに接続され、又はそうでなければこれに電気的に接続された埋め込み型医療デバイスから送出される。
【0034】
420において、電気刺激パルスの送出は、喉頭筋の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能を調節するように選択された1つ又はそれよりも多くの刺激パラメータを使用して制御される。一実施形態では、喉頭筋の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能を調節するために、負荷サイクルのような時間的パラメータを使用して電気刺激パルスの送出を制御する。
【0035】
喉頭筋の収縮は、迷走神経への電気刺激パルスの送出の好ましくない副作用の特定的な例として説明する。様々な実施形態では、電気刺激パルスの送出は、好ましくない副作用と考えられる1つ又はそれよりも多くの生理的機能各々を引き起こすことなく心臓血管機能を調節するように選択された1つ又はそれよりも多くの刺激パラメータを使用して制御される。
【0036】
一実施形態では、時間的パラメータの値は、心臓血管機能及び喉頭筋の収縮に対する電気刺激パルスの送出の影響をモニタすることによって判断される。心臓血管機能を示す第1の生理的信号が感知され、心臓血管機能を示す第1のパラメータは、第1の生理的信号を使用して生成される。喉頭筋の収縮を示す第2の生理的信号が感知され、喉頭筋の収縮を示す第2のパラメータは、第2の生理的信号を使用して生成される。時間的パラメータの値は、第1のパラメータ及び第2のパラメータを使用して判断される。一実施形態では、時間的パラメータを調節して、第1の閾値範囲にある第1のパラメータ及び第2の閾値内にある第2のパラメータをもたらす値を判断する。
【0037】
別の実施形態では、時間的パラメータの値は、心臓血管機能に対する電気刺激パルスの送出の影響をモニタ又は使用することなく、喉頭筋の収縮に対して電気刺激パルスの送出の影響をモニタ及び使用することによって判断される。喉頭筋の収縮を示す第2の生理的信号が感知され、喉頭筋の収縮を示す第2のパラメータは、第2の生理的信号を使用して生成される。時間的パラメータの値は、第2のパラメータを使用して判断される。一実施形態では、時間的パラメータを調節して、第2の閾値範囲にある第2のパラメータをもたらす値を判断する。
【0038】
心臓血管機能に対する電気刺激パルスの送出の影響がモニタされて使用される実施形態では、第1の生理的信号は、心電図(ECG)信号を含み、第1のパラメータは、心拍数(1分当たりの拍動bpmで)を含む。様々な実施形態では、第1の生理的信号はまた、動脈血圧信号及び/又は左心室(LV)血圧信号を含むことができ、第1のパラメータはまた、動脈血圧信号を使用して生成する平均血圧(mmHgで)及び/又はLV血圧信号を使用して生成するLV収縮力(mmHg/minのLV血圧変化の比率)を含むことができる。一実施形態では、第2の生理的信号は、後輪状甲状筋のような喉頭筋から感知された筋電図(EMG)信号を含み、第2のパラメータは、EMG信号(mVで)の振幅を含む。様々な実施形態では、第2の生理的信号はまた、喉頭筋の中に又はこの上に置かれた加速度計によって感知された加速度信号のような喉頭筋の移動を示す信号を含むことができ、第1のパラメータはまた、加速度信号の振幅のような信号の振幅を含むことができる。
【0039】
一実施形態では、時間的パラメータを調節して、指定された量だけEMGの振幅を増加させることなく、指定されたマージンだけ心拍数の変化をもたらす値を判断する。様々な他の実施形態では、時間的パラメータを更に調節して、指定された量だけEMGの振幅を増加させることなく、指定されたマージンだけ血圧の変化及び/又は指定されたマージンだけ心収縮力の尺度の変化を同様にもたらす値を判断する。一実施形態では、心拍数の基本値は、電気刺激パルスのいずれも送出されていない間に感知されたECG信号を使用して生成される。EMG信号の振幅の基本値は、電気刺激パルスのいずれも送出されていない間に感知されたEMG信号を使用して生成される。心拍数の1つ又はそれよりも多くの刺激値は、電気刺激パルスが時間的パラメータの1つ又はそれよりも多くの値のうちの1つで送出される間に感知されたECG信号を使用して各々生成される。EMGの振幅の1つ又はそれよりも多くの刺激値は、電気刺激パルスが時間的パラメータの1つ又はそれよりも多くの値のうちの1つで送出される間に感知されたEMG信号を使用して各々生成される。時間的パラメータの値は、心拍数の基本値、EMG信号の振幅の基本値、心拍数の1つ又はそれよりも多くの刺激値、及びEMG信号の振幅の1つ又はそれよりも多くの刺激値を使用して判断される。
【0040】
別の実施形態では、時間的パラメータを調節して、EMG又は加速度信号の振幅の指定された量の増加を引き起こさない値を判断する。一実施形態では、EMG信号又は加速度信号の振幅の基本値は、電気刺激パルスのいずれも送出されていない間に感知されたEMG信号又は加速度信号それぞれを使用して生成される。EMG又は加速度信号の振幅の1つ又はそれよりも多くの刺激値は、電気刺激パルスが時間的パラメータの1つ又はそれよりも多くの値のうちの1つで達される間に感知されたEMG信号又は加速度信号それぞれを使用して各々生成される。時間的パラメータの値は、EMG信号又は加速度信号の振幅の基本値と、EMG信号又は加速度信号の振幅の1つ又はそれよりも多くの刺激値とを使用して判断される。
【0041】
図5は、方法400を試験するためのシステム500を例示する図である。双極螺旋状神経カフ電極536は、迷走神経102上に置かれ、VNSの負荷サイクルを選択することにより、望ましくない喉頭筋の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能を調節する実行可能性を試験する。
【0042】
神経刺激器520は、電極536に電気的に接続され、電気刺激パルスを迷走神経102に送出する。神経刺激器520のための例は、上述のような神経刺激器220である。神経刺激器520は、埋め込み型又は経皮的リードを通じて対応する電極に電気的に接続された埋め込み型デバイス又は外部デバイスとすることができる。
【0043】
第1の感知回路550は、心臓血管機能を示す第1の生理的信号を感知する。第1のパラメータ生成器560は、第1の生理的信号を使用して心臓血管機能を示す第1のパラメータを生成する。図5に示すように、第1の感知回路550は、ECG感知回路552、動脈血圧(BP)感知回路554、及びLV圧力感知回路556を含む。第1のパラメータ生成器560は、心拍数(HR)生成器562、平均BP生成器564、及びLV収縮力生成器566を含む。ECG感知回路552は、表面電極553を使用してECG信号を感知する。HR生成器562は、ECG信号を使用して心拍数を生成する。動脈BP感知回路554は、血管内圧力感知カテーテル555を使用して動脈血圧信号を感知する。
平均BP生成器564は、動脈血圧信号を使用して平均動脈BPを生成する。LV圧力感知回路556は、血管内圧力感知カテーテル557を使用してLV血圧信号を感知する。
LV収縮力生成器566は、LV収縮力の尺度であるLV圧力変化の比率を生成する。様々な実施形態では、第1の感知回路550は、調節すべき心臓血管機能の性質、及びモニタするように選択されたその心臓血管機能の尺度又は目安に応じて、ECG感知回路552、動脈BP感知回路554、LV圧力感知回路556、及び心臓血管機能を示す信号を感知する他の感知回路のうちのいずれか1つ又はそれよりも多くを含む。同様に、第1のパラメータ生成器560は、HR生成器562、平均BP生成器564、LV収縮力生成器566、及び心臓血管機能を示すパラメータを生成する他のパラメータ生成器のうちのいずれか1つ又はそれよりも多くを含む。
【0044】
第2の感知回路570は、喉頭筋の収縮を示す第2の生理的信号を感知する。第2のパラメータ生成器580は、第2の生理的信号を使用して喉頭筋の収縮を示す第2のパラメータを生成する。図5に示すように、第2の感知回路570は、喉頭筋107(例えば、後輪状甲状筋)の中に挿入された筋肉内電極538を使用してEMG信号を感知するEMG感知回路572を含む。第2のパラメータ生成器580は、EMG信号を使用してEMG信号の振幅を生成するEMG振幅生成器582を含む。
【0045】
図6は、方法400を試験した結果を例示する図である。選択された時間的パラメータを有するVNSによって生理的機能を選択的に調節する実行可能性は、犬モデル及びシステム500を使用して調査された。図6は、システム500を使用して様々な負荷サイクルを有するVNS中に感知されたECG信号(ECG)、EMG信号(EMG)、心房BP信号(BP)、及びLV圧力信号(LVP)を示している。基線と比べて、3mAのパルス振幅、300μsのパルス幅、及び20Hzのパルス周波数で頸迷走神経に送出された電気刺激パルスは、ECG信号、心房BP信号、及びLV圧力信号の目に見える減少を誘発した。減少のマグニチュードは、負荷サイクルの関数として変化し、負荷サイクルは、単位サイクル(1秒又は20パルス)当たり送出されたバースト当たりのパルスのパーセント及び数の両方として図6に表記される。図6に示す結果は、表2の20秒(20単位サイクル)にわたって平均したパラメータとして定量化したものである。パラメータの基本値は、頸迷走神経への電気刺激パルスの送出前に20秒にわたって感知された信号を使用して生成される。表2は、例えば、5%負荷サイクルにおいて心拍数の21%低下が達成されることを示している。連続刺激中のEMG信号の振幅の増加(基線から263%増加)と比べると、EMG信号の振幅の非常に小さい増加が、5%負荷サイクル(基線から47%増加)において刺激中に達成される。心臓血管機能を示すそれらのパラメータの変化は、電気刺激パルスが送出されるQ波のようなECGの相とは無関係である点に注意されたい。これは、VNSが、患者の各心臓周期の相のタイミングをモニタするためのセンサの必要なく心臓血管機能を調節するように送出することができることを示唆する。
【0046】
【表2】
【0047】
様々な実施形態では、VNSは、負荷サイクルのような時間的パラメータを用いて適用され、患者に対して別の生理的機能に実質的に影響を与えることなく患者の生理的機能を実質的に調節する。生理的機能は、この生理的機能の刺激誘発変化が指定された閾値に達するか又はそれを超えると実質的に調節される。生理的機能は、この生理的機能の刺激誘発変化が、指定された閾値よりも小さいと実質的に影響を受けない。様々な実施形態では、時間的パラメータは、例えば、それらの生理的機能を示すパラメータとそれらの生理的機能に対する影響の間の平衡点を表す閾値とを使用して選択される。
【0048】
上述の詳細説明は、例示的であって制限を意図するものではないことは理解されるものとする。他の実施形態は、以上の説明を読んで理解すると当業者には明らかであろう。本発明の範囲は、従って、このような特許請求の範囲が権利を与えられた均等物の全範囲と共に添付の特許請求の範囲に関連して判断すべきである。
本発明は、以下の態様であってもよい。
(1)迷走神経を電気的に刺激する方法であって、迷走神経に電気刺激パルスを送出する段階と、第2の生理的機能の実質的な変化なしに第1の生理的機能の実質的な変化をもたらすように選択された1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータを使用して、前記電気刺激パルスの送出を制御する段階と、を含み、前記1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータは、前記電気刺激パルスのタイミングを指定し、前記第1の生理的機能及び前記第2の生理的機能の各々は、前記迷走神経に送出される前記電気刺激パルスによって調節可能である、ことを特徴とする方法。
(2)前記電気刺激パルスを前記迷走神経に送出する段階は、該電気刺激パルスを埋め込み型医療デバイスから送出する段階を含むことを特徴とする上記(1)に記載の方法。
(3)喉頭筋の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能の実質的な変化をもたらすように選択された負荷サイクルを使用する段階を含むことを特徴とする上記(1)または(2)に記載の方法。
(4)前記第2の生理的機能を示す第2の生理的信号を感知する段階と、前記第2の生理的信号を使用して前記1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータのうちのパラメータを判断する段階と、を含むことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の方法。
(5)前記第1の生理的機能を示す第1の生理的信号を感知する段階を更に含み、前記1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータのうちの前記パラメータを判断する段階は、前記第1の生理的信号及び前記第2の生理的信号を使用して該1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータのうちの該パラメータを判断する段階を含む、ことを特徴とする上記(4)に記載の方法。
(6)前記1つ又はそれよりも多くの時間的パラメータのうちの前記パラメータを判断する段階は、負荷サイクルを判断する段階を含むことを特徴とする上記(4)または(5)に記載の方法。
(7)前記電気刺激パルスを送出する段階は、指定されたバースト周波数でバースト列を送出する段階を含み、前記負荷サイクルを判断する段階は、該バーストの各々におけるパルスの数を判断する段階を含むことを特徴とする上記(6)に記載の方法。
(8)前記第1の刺激パラメータを判断する段階は、前記第1の生理的信号を使用して前記第1の生理的機能を示す第1のパラメータを生成する段階と、前記第2の生理的信号を使用して前記第2の生理的機能を示す第2のパラメータを生成する段階と、前記第1のパラメータ及び前記第2のパラメータを使用して前記第1の刺激パラメータに対する値を判断する段階と、を含む、ことを特徴とする上記(5)から(7)のいずれか1つに記載の方法。
(9)前記第1の刺激パラメータに対する前記値を判断する段階は、前記電気刺激パルスのいずれも送出されていない間に感知された前記第1の生理的信号を使用して前記第1のパラメータの第1の基本値を生成する段階と、前記電気刺激パルスのいずれも送出されていない間に感知された前記第2の生理的信号を使用して前記第2のパラメータの第2の基本値を生成する段階と、前記電気刺激パルスが送出されている間に感知された前記第1の生理的信号を各々使用して前記第1のパラメータの1つ又はそれよりも多くの第1の刺激値を生成する段階と、前記電気刺激パルスが送出されている間に感知された前記第2の信号を各々使用して前記第2のパラメータの1つ又はそれよりも多くの第2の刺激値を生成する段階と、前記第1の基本値、前記第2の基本値、前記1つ又はそれよりも多くの第1の刺激値、及び前記1つ又はそれよりも多くの第2の刺激値を使用して前記第1の刺激パラメータに対する前記値を判断する段階と、を含む、ことを特徴とする上記(8)に記載の方法。
(10)迷走神経を電気的に刺激する方法であって、迷走神経に電気刺激パルスを送出する段階と、喉頭筋の収縮を引き起こすことなく心臓血管機能を調節するように選択された時間的パラメータを使用して前記電気刺激パルスの送出を制御する段階と、を含み、前記時間的パラメータは、前記電気刺激パルスのタイミングを指定する、ことを特徴とする方法。
(11)前記時間的パラメータを使用して前記電気刺激パルスの前記送出を制御する段階は、前記喉頭筋の収縮を引き起こすことなく指定のマージンだけ心拍数を変化させるように選択された時間的パラメータを使用して該電気刺激パルスの送出を制御する段階を含むことを特徴とする上記(10)に記載の方法。
(12)前記時間的パラメータを使用して前記電気刺激パルスの前記送出を制御する段階は、前記喉頭筋の収縮を引き起こすことなく指定のマージンだけ血圧を変化させるように選択された時間的パラメータを使用して該電気刺激パルスの送出を制御する段階を含むことを特徴とする上記(10)に記載の方法。
(13)前記時間的パラメータを使用して前記電気刺激パルスの前記送出を制御する段階は、前記喉頭筋の収縮を引き起こすことなく指定のマージンだけ心収縮力の尺度を変化させるように選択された時間的パラメータを使用して該電気刺激パルスの送出を制御する段階を含むことを特徴とする上記(10)に記載の方法。
(14)負荷サイクルを前記時間的パラメータとして判断する段階を特徴とする上記(10)から(13)のいずれか1つに記載の方法。
(15)前記喉頭筋の収縮を示す第2の生理的信号を感知する段階と、該第2の生理的信号を使用して前記負荷サイクルを判断する段階とを含むことを特徴とする上記(14)に記載の方法。
(16)前記心臓血管機能を示す第1の生理的信号を感知する段階を更に含み、前記負荷サイクルを判断する段階は、前記第1の生理的信号及び前記第2の生理的信号を使用して該負荷サイクルを判断する段階を含む、ことを特徴とする上記(15)に記載の方法。
(17)前記第1の生理的信号を感知する段階は、心電図(ECG)信号を感知する段階を含み、前記第1のパラメータを生成する段階は、該ECG信号を使用して心拍数を生成する段階を含み、前記第2の生理的信号を感知する段階は、前記喉頭筋からの筋電図(EMG)信号を感知する段階を含み、前記第2のパラメータを生成する段階は、該EMG信号の振幅を生成する段階を含むことを特徴とする上記(16)に記載の方法。
(18)指定の量だけ前記EMGの前記振幅を増加させることなく指定のマージンだけ前記心拍数を変化させるように前記負荷サイクルを調節する段階を含むことを特徴とする上記(17)に記載の方法。
【符号の説明】
【0049】
100 VNSシステム
101 迷走神経
110 埋め込み型医療デバイス
120 神経刺激器
136 電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6