特許第5776115号(P5776115)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5776115(R)−および(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの調製と、その保護された誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776115
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】(R)−および(S)−N−(3,4−ジフルオロ−2−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6−メトキシフェニル)−1−(2,3−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン−1−スルホンアミドの調製と、その保護された誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07C 303/38 20060101AFI20150820BHJP
   C07C 311/28 20060101ALI20150820BHJP
   C07D 317/18 20060101ALI20150820BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20150820BHJP
【FI】
   C07C303/38
   C07C311/28
   C07D317/18CSP
   !C07B53/00 G
【請求項の数】8
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2012-520927(P2012-520927)
(86)(22)【出願日】2010年7月10日
(65)【公表番号】特表2013-500242(P2013-500242A)
(43)【公表日】2013年1月7日
(86)【国際出願番号】EP2010004222
(87)【国際公開番号】WO2011009541
(87)【国際公開日】20110127
【審査請求日】2013年7月9日
(31)【優先権主張番号】61/228,509
(32)【優先日】2009年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/228,501
(32)【優先日】2009年7月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509202949
【氏名又は名称】アルデア バイオサイエンシズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス マダーナ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ミシェル ベルニエール
【審査官】 土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0058340(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/121269(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 303/38
C07C 311/28
C07D 317/18
C07B 53/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I-a):
【化1】
{式中、
1は、Hまたはアルコール保護基であり;
2は、Hまたはアルコール保護基である;または
1とR2が、これらの基が結合する炭素原子と合わさって、環状1,2−ジオール保護基を形成する}
で表される化合物を調製する方法であって、5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンを一般式(II-a):
【化2】
{式中、R1とR2は、上で定義された通りである}
で表される化合物と接触させる操作を含む、前記方法。
【請求項2】
一般式(I-b):
【化3】
{式中、
R1は、Hまたはアルコール保護基であり;
R2は、Hまたはアルコール保護基である;または
R1とR2が、これらの基が結合する炭素原子と合わさって、環状1,2-ジオール保護基を形成する}
で表される化合物を調製する方法であって、5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンを一般式(II-b)の化合物:
【化4】
{式中、R1とR2は、上で定義された通りである}
と接触させる操作を含む、前記方法。
【請求項3】
前記環状1,2-ジオール保護基が、5員の環状1,2-ジオール保護基である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記環状1,2-ジオール保護基が、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルである、請求項に記載の方法。
【請求項5】
(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド:
【化5】
で表される化合物。
【請求項6】
(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド:
【化6】
で表される化合物。
【請求項7】
(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロパ-1-エン-2-スルホニルクロリド:
【化7】
で表される化合物。
【請求項8】
(S)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロパ-1-エン-2-スルホニルクロリド:
【化8】
で表される化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製薬化学と合成有機化学に関する。(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドと(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドはMEK酵素に対する抑制特性を持つことが知られており、治療に用いる価値がある(アメリカ合衆国特許出願公開2008/0058340 Al参照)。この明細書には、その調製方法も記載されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
この明細書には、一般式(I-a)の化合物:
【化1】
を調製する方法として、5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンを一般式(II-a)の化合物:
【化2】
と接触させる操作を含む方法が提示されている。ただし、
R1は、Hまたはアルコール保護基であり;
R2は、Hまたはアルコール保護基である;または
R1とR2は、これらの基が結合する炭素原子と合わさって、環状1,2-ジオール保護基を形成する。
【0003】
いくつかの実施態様では、一般式(I-a)の化合物は、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホンアミド:
【化3】
である。
【0004】
いくつかの実施態様では、一般式(II-a)の化合物は、(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド:
【化4】
である。
【0005】
この明細書には、一般式(I-b)の化合物:
【化5】
を調製する方法として、5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンを一般式(II-b)の化合物:
【化6】
と接触させる操作を含む方法も提示されている。ただし、
R1は、Hまたはアルコール保護基であり;
R2は、Hまたはアルコール保護基である;または
R1とR2は、これらの基が結合する炭素原子と合わさって、環状1,2-ジオール保護基を形成する。
【0006】
いくつかの実施態様では、一般式(I-b)の化合物は、(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホンアミド:
【化7】
である。
【0007】
いくつかの実施態様では、一般式(II-b)の化合物は、(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド:
【化8】
である。
【0008】
この明細書には、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドを調製する方法として、一般式(I-a)の化合物:
【化9】
を酸、塩基、求核剤のいずれかと接触させるか、一般式(I-a)の化合物をUV光に曝露する操作を含む方法も提示されている。ただし、
R1は、Hまたはアルコール保護基であり;
R2は、Hまたはアルコール保護基である;または
R1とR2は、これらの基が結合する炭素原子と合わさって、環状1,2-ジオール保護基を形成する。
【0009】
いくつかの実施態様では、一般式(I-a)の化合物は、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホンアミド:
【化10】
である。
【0010】
この明細書には、(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドを調製する方法として、一般式(I-b)の化合物:
【化11】
を酸、塩基、求核剤のいずれかと接触させるか、一般式(I-b)の化合物をUV光に曝露する操作を含む方法も提示されている。ただし、
R1は、Hまたはアルコール保護基であり;
R2は、Hまたはアルコール保護基である;または
R1とR2は、これらの基が結合する炭素原子と合わさって、環状1,2-ジオール保護基を形成する。
【0011】
いくつかの実施態様では、一般式(I-b)の化合物は、(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホンアミド:
【化12】
である。
【0012】
いくつかの実施態様では、R1はHであり、R2はアルコール保護基である。さらに別の実施態様では、R2はHであり、R1はアルコール保護基である。さらに別の実施態様では、R1とR2の両方ともアルコール保護基である。さらに別の実施態様では、R1とR2の両方とも水素である。さらに別の実施態様では、保護基は同じである。さらに別の実施態様では、保護基は異なっている。さらに別の実施態様では、R1とR2は、これらの基が結合する炭素原子と合わさって、環状1,2-ジオール保護基を形成する。さらに別の実施態様では、環状1,2-ジオール保護基は、5員の環状1,2-ジオール保護基である。さらに別の実施態様では、環状1,2-ジオール保護基は、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イルである。
【0013】
この明細書には、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドまたは(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドの調製に役立つ化合物も提示されている。
【0014】
いくつかの実施態様では、化合物(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリドと(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド:
【化13】
が提供される。
【0015】
いくつかの実施態様では、化合物(R)-3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリドと(S)-3-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリド:
【化14】
が提供される。
【0016】
いくつかの実施態様では、化合物(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウムと(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウム:
【化15】
が提供される。
【0017】
いくつかの実施態様では、化合物(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパンチオールと(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパンチオール:
【化16】
が提供される。
【0018】
いくつかの実施態様では、化合物1,2-ビス(1-(((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファンと1,2-ビス(1-(((S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン:
【化17】
が提供される。
【0019】
参考文献の組み込み
この明細書で言及するあらゆる刊行物と特許出願は、個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別に参考として組み込まれていることが示されているかのようにして参考としてこの明細書に組み込まれている。
【0020】
本発明の新規な特徴は、添付の請求項に特に記載されている。本発明の特徴と利点は、本発明の原理を利用した具体的な実施態様を示す以下の詳細な説明と添付の図面を参照するとよりよく理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドのHPLC曲線を示している。上の曲線1(a)は、(両方の異性体のラセミ混合物をキラル分離して得られた)(-)鏡像異性体の純粋なサンプルを同時に注入した粗材料のHPLC曲線であり;中央の曲線1(b)は、粗材料のHPLC曲線であり;下の曲線1(c)は、(両方の異性体のラセミ混合物をキラル分離して得られた)(+)鏡像異性体の純粋なサンプルを同時に注入した粗材料のHPLC曲線である。
図2】CD3ODの中での(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウムの1H NMRスペクトルを示している。
図3】CD3ODの中での(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウムの13C NMRスペクトルを示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この明細書には本発明の好ましい実施態様を示して説明してあるが、そのような実施態様は単なる例示として与えてあることが当業者には明らかであろう。当業者には、今や、本発明の範囲を逸脱することなく、さまざまなバリエーション、変更、置換が思い浮かぶであろう。この明細書に記載した本発明の実施態様に対するさまざまな代替案を利用して本発明を実施できることを理解されたい。以下の請求項が本発明の範囲を規定していること、そしてこれら請求項の範囲に含まれる方法と構造ならびにその等価物がその請求項によってカバーされることが想定されている。
【0023】
有用な化合物の調製には別の方法があると望ましいことがしばしばある。この明細書には、MEK酵素に対する抑制特性を持つことが知られている(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドと(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドを調製するさまざまな方法が記載されている。
【0024】
I.化合物の調製
【0025】
化学合成の方法
【0026】
以下の説明は、原則として、本発明の化合物をいかにして得るかを説明するためと、本発明の化合物を合成するのに利用できるさまざまな方法のうちのいくつかについての詳細を与えるために提示する。しかしこの説明が、本発明の化合物を調製するのに役立つ反応群または反応系列の範囲を規定または制限することは想定していない。本発明の化合物は、以下の実施例の項に開示した手続きと技術に加え、公知の有機合成技術によって製造することができる。
【0027】
当業者に知られている方法は、さまざまな参考書とデータベースを通じて明らかにすることができる。この明細書に記載した化合物の調製に役立つ反応物の合成を詳細に示すか、その調製を記述する論文に言及している適切な参考書および専門書として、例えば以下のものが挙げられる:『合成有機化学』、ジョン・ワイリー&サンズ社、ニューヨーク;S. R. Sandler他、『有機官能基の調製』、第2版、アカデミック・プレス社、ニューヨーク、1983年;H. O. House、『最新合成反応』、第2版、W.A.ベンジャミン社、メンロ・パーク、カリフォルニア州、1972年;T. L. Gilchrist、『複素環の化学』、第2版、ジョン・ワイリー&サンズ社、ニューヨーク、1992年;J. March、『高等有機化学:反応、メカニズム、構造』、第4版、ワイリー-インターサイエンス社、ニューヨーク、1992年。この明細書に記載した化合物の調製に役立つ反応物の合成を詳細に示すか、その調製を記述する論文に言及している別の適切な参考書および専門書として、例えば以下のものが挙げられる:Fuhrhop, J.とPenzlin G.『有機合成:概念、方法、出発材料』、改訂増補第2版、1994年、ジョン・ワイリー&サンズ社、ISBN: 3-527-29074-5;Hoffman, R.V.『有機化学、中間体テキスト』(1996年)オックスフォード大学出版、ISBN 0-19-509618-5;Larock, R.C.『有機変換総論:官能基の調製入門』、第2版(1999年)ワイリー-VCH社、ISBN: 0-471-19031-4;March, J.『高等有機化学:反応、メカニズム、構造』、第4版(1992年)ジョン・ワイリー&サンズ社、ISBN: 0-471-60180-2;Otera, J.(編)『最新カルボニル化学』(2000年)ワイリー-VCH社、ISBN: 3-527-29871-1;Patai, S.『官能基の化学へのパタイのガイド1992年版』(1992年)インターサイエンス社、ISBN: 0-471-93022-9;Quin, L.D.他『有機リン化学入門』(2000年)ワイリー-インターサイエンス社、ISBN: 0-471-31824-8;Solomons, T.W.G.『有機化学』、第7版(2000年)ジョン・ワイリー&サンズ社、ISBN: 0-471-19095-0;Stowell, J.C.『中間体有機化学』、第2版(1993年)ワイリー-インターサイエンス社、ISBN: 0-471-57456-2;『工業有機化学:出発材料と中間体:ウルマンの百科事典』(1999年)ジョン・ワイリー&サンズ社、ISBN: 3-527-29645-X、全8巻;『有機反応』(1942年〜2000年)ジョン・ワイリー&サンズ社、55巻を超える;『官能基の化学』、ジョン・ワイリー&サンズ社、全73巻。
【0028】
一般に、この明細書に記載した反応で用いる化合物は、市販されている化学物質から、および/または化学文献に記載されている化合物から出発して、当業者に知られている有機合成技術に従って製造することができる。“市販されている化学物質”は、標準的な供給元から得ることができる。その例として、アクロス・オーガニックス社(ピッツバーグ、ペンシルヴェニア州)、オールドリッチ・ケミカル社(ミルウォーキー、ウィスコンシン州、シグマ・ケミカル社とフルカ社を含む)、エイピン・ケミカルズ社(ミルトン・パーク、イギリス国)、アボカド・リサーチ社(ランカシャー、イギリス国)、BDH社(トロント、カナダ国)、バイオネット社(コーンウォール、イギリス国)、ケムサービス社(ウエスト・チェスター、ペンシルヴェニア州)、クレセント・ケミカル社(ホッポージ、ニューヨーク州)、イーストマン・オーガニック・ケミカルズ、イーストマン・コダック社(ロチェスター、ニューヨーク州)、フィッシャー・サイエンティフィック社(ピッツバーグ、ペンシルヴェニア州)、フィソンズ・ケミカルズ社(レスタシャー、イギリス国)、フロンティア・サイエンティフィック社(ローガン、ユタ州)、ICNバイオケミカルズ社(コスタ・メサ、カリフォルニア州)、キー・オーガニクス社(コーンウォール、イギリス国)、ランカスター・シンテシス社(ウィンダム、ニューハンプシャー州)、メイブリッジ・ケミカル社(コーンウォール、イギリス国)、パリッシュ・ケミカル社(オレム、ユタ州)、プファルツ&バウアー社(ウォーターベリー、コネチカット州)、ポリオーガニクス社(ヒューストン、テキサス州)、ピアス・ケミカル社(ロックフォード、イリノイ州)、リーデル・デ・ハーン社(ハノーファー、ドイツ国)、スペクトラム・クォリティ・プロダクト社(ニュー・ブランスウィック、ニュージャージー州)、TCIアメリカ社(ポートランド、オレゴン州)、トランス・ワールド・ケミカルズ社(ロックビル、メリーランド州)、ワコー・ケミカルズUSA社(リッチモンド、ヴァージニア州)がある。
【0029】
具体的な反応物質と類似の反応物質は、アメリカ化学会のケミカル・アブストラクト・サービスによって用意された公知の化学物質の索引を通じて同定することもできる。この索引は、たいていの公共図書館と大学図書館で利用することや、オン-ラインのデータベースを通じて利用することができる。公知だがカタログに載せて市販されていない化学物質は、カスタムの化学合成ハウスで調製することができ、標準的な化学物質供給ハウスの多く(例えば上に列挙した会社)が、カスタムの合成サービスを提供している。
【0030】
方法A:アキラル合成とその後のキラル分離
【0031】
N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドのアキラル合成は以前に報告されており(アメリカ合衆国特許出願公開2008/0058340 Al参照)、以下のスキーム1にまとめてある。この生成物は、(R)鏡像異性体と(S)鏡像異性体のラセミ混合物として得られ、キラルHPLCによって分離される。
【0032】
【化18】
スキーム1:N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドのアキラル合成
【0033】
方法B:キラル出発材料からの合成
【0034】
スキーム2a、3a、4a、5a、6aは、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドを調製できると考えられる合成経路を示している。これらの経路については以下に説明する。
【0035】
スキーム2b、3b、4b、5b、6bは、(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドを調製できると考えられる合成経路を示している。これらの経路については以下に説明する。
【0036】
【化19】
スキーム2a:(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0037】
【化20】
スキーム2b:(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0038】
方法B、経路I:ジオールが保護された4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールのアルケンを通じてシクロプロピル基を導入して保護された3-(1-ヨードシクロプロピル)プロパン-1,2-ジオール誘導体を形成した後、その誘導体をスルホニル化する。5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンとカップリングさせ、最後に保護を外すと、使用した出発材料に応じ、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、または(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、またはこれらのラセミ混合物が得られる。
【0039】
方法B、経路II:上記の経路Aとはわずかに異なるアプローチにより、ジアリールアミンとのカップリングの後にシクロプロパン化反応に影響を与えることができる。ジオールが保護された4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールを塩化スルホニルに変換した後、5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンとカップルさせる。必要に応じてアミン官能基を保護し、アルケンをシクロプロピル基に変換し、残っているすべての保護基を必要に応じて最後に除去すると、使用した出発材料に応じ、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、または(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、またはこれらのラセミ混合物が得られる。
【0040】
これらの経路は両方とも、出発材料として、ジオールが保護された4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールを必要とする。この出発材料は、以下のスキームに従って調製することができる。
【0041】
【化21】
スキーム3a:(R)-ジオールが保護された4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオール
【0042】
【化22】
スキーム3b:(S)-ジオールが保護された4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオール
【0043】
出発材料のグリシドールは、(R)鏡像異性体、(S)鏡像異性体、(R/S)-(+/-)混合物のいずれかとして市販されている。このアルコールは、例えばt-ブチルジメチルシリルクロリドまたは他の適切な保護基との反応によって保護することができる。あるいはTBSが保護されたグリシドールは、(R)鏡像異性体、(S)鏡像異性体、(R/S)-(+/-)混合物のいずれかとして市販されている。保護されたアセチレンとのカップリングの後、保護を外し、9-ヨード-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-I-BBN)などの試薬を用いてヨード化すると、4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールが得られるため、ジオールを保護する。この合成中に立体化学の転換はないにもかかわらず、(R)-(+)-グリシドールから出発すると(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドが形成され、(S)-(-)-グリシドールから出発すると(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドが形成されることに注意されたい。
【0044】
方法B、ジオールが保護された1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド:いくつかの実施態様では、ジオールが保護された1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド中間体を用いる。1,2-ジオール保護基は従来からよく知られており、例えば1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン、2-t-ブチル-1,3-ジオキソラン、2-フェニル-1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン、ジ-パラ-メトキシベンジルオキシメチルエーテル、ジ-t-ブチルジメチルシリルエーテルなどがあるが、これだけに限られるわけではない。
【0045】
【化23】
【0046】
1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリドを調製するための合成スキームを以下に示す。
【0047】
経路i:
【化24】
【0048】
経路ii:
【化25】
【0049】
経路iii:
【化26】
【0050】
方法B、経路III
【0051】
【化27】
スキーム4a:(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0052】
【化28】
スキーム4b:(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0053】
保護されたグリシドールをシクロプロパンスルホン酸エステルである例えばシクロプロパンスルホン酸ブチルとカップリングさせると、1-(2-ヒドロキシ-3-保護されたヒドロキシプロピル)シクロプロパンスルホン酸ブチルが得られる。このスルホン酸エステルを塩化スルホニルに変換すると、塩化スルホニル誘導体である1-(2-ヒドロキシ-3-保護されたヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリドが得られるため、それを5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンとカップルさせる。必要に応じて残っている保護基をすべて除去すると、使用した出発材料に応じ、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、または(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、またはこれらのラセミ混合物が得られる。
【0054】
方法B、経路IV
【0055】
【化29】
スキーム5a:(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0056】
【化30】
スキーム5b:(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0057】
5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンをシクロプロパンスルホニルクロリドとカップルさせると、N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)シクロプロパンスルホンアミドが得られる。必要に応じ、適切な保護基を用いてアミン基を保護する。保護基として、例えばプロピル、ジ-プロピル、パラ-メトキシベンジル、ジ-パラ-メトキシベンジル、環状基などがあるが、これだけに限られるわけではない。
【0058】
【化31】
【0059】
アミンが保護されたN-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)シクロプロパンスルホンアミドを保護されたグリシドールとカップルさせ、必要に応じて保護基を最後に除去すると、使用した出発材料に応じ、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、または(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、またはこれらのラセミ混合物が得られる。
【0060】
方法B、経路V
【0061】
【化32】
スキーム6a:(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0062】
【化33】
スキーム6b:(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0063】
5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシ-N1が保護されたベンゼン-1,2-ジアミンを塩化チオニルで処理し、第一級アミンをチアゼートに変換する。ジオールが保護された(1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロピル)リチウムとカップリングさせるとスルフィンアミド誘導体が得られ、その誘導体を酸化させてスルホンアミドにする。必要に応じて保護基を最後に除去すると、使用した出発材料に応じ、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、または(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、またはこれらのラセミ混合物が得られる。
【0064】
方法C1:キラル試薬を用いた合成 - (i)キラル・エポキシ化
【0065】
【化34】
【0066】
アミンが保護された1-アリル-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)シクロプロパン-1-スルホンアミドのキラル・エポキシ化(例えば次亜塩素酸ナトリウム/Mn-サレン触媒を用いるヤコブセン・エポキシ化(J. Am. Chem. Soc.、1991年、第113巻、7063〜7064ページ、または J. Am. Chem. Soc.、2003年、第125巻、5250〜5251ページ);またはグルコース由来のケトンとオキソンを用いるシー・エポキシ化(J. Org. Chem.、2007年、第72巻、4093〜4097ページ)の後、エポキシドを開いて必要に応じて保護基を除去すると、望むキラル生成物が得られる。
【0067】
方法C2:キラル試薬を用いた合成 - (ii)キラル・ケトン酸化
【0068】
【化35】
【0069】
アミンが保護された1-アリル-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)シクロプロパン-1-スルホンアミドの酸化性開裂(例えばオゾン分解またはルミュー-ジョンソン酸化)の後にα-ヒドロキシケトンに変換し、ケトンのキラル還元(例えばコーリーCBS還元)を行ない、必要に応じて保護基を除去すると、望むキラル生成物が得られる。
【0070】
方法C3:キラル試薬を用いた合成 - (iii)キラル・アルケン酸化
【0071】
【化36】
ただしLはキラル助剤である
【0072】
トリフルオロアセトアミドとしての1-アリル-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)シクロプロパン-1-スルホンアミドを保護した後、不斉ジヒドロキシル化(例えばシャープレス不斉ジヒドロキシル化)を行ない、必要に応じて保護基を除去すると、望むキラル生成物が得られる。
【0073】
方法C4:キラル出発材料からの合成
【0074】
以下のスキーム7aは、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドを調製するための合成経路を示している。
【0075】
以下のスキーム7bは、(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドを調製するための合成経路を示している。
【0076】
【化37】
スキーム7a:(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0077】
【化38】
スキーム7b:(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【0078】
ジオールが保護された1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリドを5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンとカップルさせると、ジオールが保護された生成物が得られる。いくつかの場合には、カップリングは高温で実施することができる。最後に保護を外すと、使用した出発材料に応じ、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、または(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド、またはこれらのラセミ混合物が得られる。保護を外す条件は、使用する保護基によって異なるであろうし、有機化学の当業者には知られているであろう。
【0079】
ジオールが保護された1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリドの調製方法として、以下の方法がある。
【0080】
経路i):グリシドール-アセチレンのカップリング/ハロゲン化/シクロプロパン化/スルホニル化を経由
【0081】
【化39】
【化40】
【0082】
出発材料のグリシドールは、(R)鏡像異性体、(S)鏡像異性体、(R/S)-(+/-)混合物のいずれかとして市販されている。このアルコールは、例えばt-ブチルジメチルシリルクロリド(TBS-Cl)または他の適切な保護基との反応によって保護することができる。あるいはTBSが保護されたグリシドールは、(R)鏡像異性体、(S)鏡像異性体、(R/S)-(+/-)混合物のいずれかとして市販されている。保護されたアセチレンとのカップリング(≡-PG2)の後、保護を外し、9-ヨード-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-I-BBN)などの試薬を用いてヨード化すると、4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールが得られるので、ジオールを保護する。ジオールが保護された4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールのアルケンを横断してシクロプロピル基を導入し、保護された3-(1-ヨードシクロプロピル)プロパン-1,2-ジオール誘導体を形成し、その誘導体をスルホニル化する。立体化学の転換はないにもかかわらず、(R)-(+)-グリシドールから出発すると(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドが形成され、(S)-(-)-グリシドールから出発すると(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドが形成されることに注意されたい。
【0083】
経路ii):3,3'-(1,1'-ジスルファンジイルビス(シクロプロパン-1,1-ジイル))ジプロパン-1,2-ジオール中間体(その中のPG3=2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン)を経由
【0084】
経路ii-a
【化41】
【0085】
経路ii-b
【化42】
【0086】
1,2-ビス(1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン中間体は、1,2-ジシクロプロピルジスルファンを4-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソランと反応させることによって直接調製すること(経路ii-a)、または1,2-ジシクロプロピルジスルファンをt-ブチルジメチル(オキシラン-2-イルメトキシ)シランとカップリングさせた後、TBS保護基を除去し、得られるジオールを保護して調製すること(経路ii-b)ができる。
【0087】
1,2-ビス(1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファンは、塩化スルホニルに直接変換すること(経路ii-c)、またはスルホン酸塩を経由してそれを塩化物に変換すること(経路ii-d)ができる。あるいはこのジスルファンを還元して硫化物にした後、それを酸化してスルホン酸塩にし、変換して塩化スルホニルにすること(経路ii-e)ができる。
【0088】
経路ii-c
【化43】
【0089】
経路ii-d
【化44】
【0090】
経路ii-e
【化45】
【0091】
II.保護基
【0092】
説明した反応では、反応性のアルコール官能基および/またはアミン官能基を保護する必要があろう。保護基は、アルコール官能基および/またはアミン官能基のいくつかまたはすべてをブロックし、保護基が除去されるまでそれらが化学反応に関与しないようにするために用いられる。2個以上の保護基が必要とされるいくつかの実施態様では、各保護基は異なる手段で除去することができる。2個以上の保護基が必要とされる別の実施態様では、多数の保護基を同じ手段で除去することができる。2個以上の保護基が必要とされるいくつかの実施態様では、保護基を1つだけ用いて多数の官能基を保護することができる(例えば環状基)。保護基は、酸、塩基、求核剤、水素化分解、UV光への曝露のいずれか、またはこれらの組み合わせで処理することによって除去できる。例えばトリチル、ジメトキシトリチル、アセタール、t-ブチルジメチルシリルなどの基は、酸に対して不安定であり、メチル、エチル、アセチルなどの基は、塩基に対して不安定であり、カルバミン酸t-ブチル、ベンジルなどの基は、加水分解によって除去される。別の形態の保護基は、化合物または中間体を結合させることのできる樹脂である。残基が樹脂に結合している限り、その官能基はブロックされて反応できない。その官能基は、樹脂から解放されると反応に利用できる。他の保護基の説明と、保護基を付加したり除去したりするのに利用できる技術の説明は、GreeneとWutsによる『有機合成における保護基』、第3版、1999年、ジョン・ワイリー&サンズ社、ニューヨーク、ニューヨーク州に記載されている(参考としてこの明細書に組み込まれている)。
【0093】
いくつかの実施態様では、保護されたアルコールを含む中間体が必要とされる。アルコール保護基は有機化学の当業者によく知られており、文献に十分に記載されている(例えばGreeneとWutsによる『有機合成における保護基』、第3版、1999年、ジョン・ワイリー&サンズ社、ニューヨーク、ニューヨーク州;第2章 - 「1,2-ジオールと1,3-ジオールを含めた、ヒドロキシル基の保護」を参照)。アルコール保護基の例として、置換されたメチルエーテル(メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、p-メトキシベンジルオキシメチル、t-ブトキシメチル、テトラヒドロピラニル、メトキシシクロヘキシル、メトキシテトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニルなど);置換されたエチルエーテル(エトキシエチル、t-ブチル、アリル、プロパルギルなど);置換されたベンジルエーテル(p-メトキシベンジル、ピコリル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチルなど);シリルエーテル(トリメチルシリル、トリイソプロピルシリル、t-ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリルなど);エステル、炭酸塩、スルホン酸塩などがあるが、これだけに限られるわけではない。
【0094】
いくつかの実施態様では、保護された1,2-ジオールを含む中間体が必要とされる。1,2-ジオール保護基は有機化学の当業者によく知られている。1,2-ジオール保護基の例として、1,3-ジオキソラン、2-メチル-1,3-ジオキソラン、2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン、2-t-ブチル-1,3-ジオキソラン、2-フェニル-1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサスピロ[4.5]デカン、ジ-パラ-メトキシベンジルオキシメチルエーテル、ジ-t-ブチルジメチルシリルエーテルなどがあるが、これだけに限られるわけではない。
【化46】
【0095】
以下に提示する実施例と調製物は、本発明の化合物とそのような化合物の調製方法のさらなる説明と例示である。本発明の範囲が以下の実施例と調製物の範囲には決して限定されないことを理解されたい。
【実施例1】
【0096】
(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【化47】
【0097】
ステップA:(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-(トリメチルシリル)ペント-4-イン-2-オール
【化48】
TMS-アセチレン(2.12g、21.7ミリモル)をTHF(40ml)に溶かした-78℃の溶液にt-ブチルリチウム(12.4ml、1.7M、21.1ミリモル)を添加し、この反応混合物をさらに30分間にわたって撹拌した。(R)-t-ブチルジメチル(オキシラン-2-イルメトキシ)シラン(2g、10.6ミリモル)とBF3・EtO2(3g、21.1ミリモル)を添加し、-78℃にて4.5時間にわたって撹拌した。その後塩化アンモニウム水溶液を添加して反応を停止させ、この混合物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮すると、望む材料がかなりの収率で得られた。その材料をさらに精製することなく次のステップで使用した。
【0098】
ステップB:(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オール
【化49】
(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-(トリメチルシリル)ペント-4-イン-2-オール(3g、10.6ミリモル)をメタノール(100ml)に溶かした溶液に炭酸カリウム(2.14g、15.5ミリモル)を添加し、この混合物を室温にて8時間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた油に塩化アンモニウム水溶液(100ml)を添加した。この混合物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。ヘキサン中のEtOAc勾配を用いて粗材料をフラッシュ・クロマトグラフィ(バイオタージ社)によって精製すると、(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オールが得られた(1.81g、8.44ミリモル、80%)。
1H NMR (CDCl3, 300MHz):δ3.78〜3.86 (m, 1H)、3.71 (dd, 1H)、3.64 (dd, 1H)、2.52 (d, 1H)、2.36〜2.44 (m, 2H)、0.96 (s, 9H)、0.05 (s, 6H)。
【0099】
ステップC:(R)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオール
【化50】
(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オール(476mg、2.22ミリモル)を0℃のジクロロメタン(2ml)に溶かした溶液に9-ヨード-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-I-BBN)を一滴ずつ添加し、この反応物を0℃にて4時間にわたって撹拌した。次に氷酢酸(0.26ml)を添加し、得られた混合物を0℃にてさらに1時間にわたって撹拌した。Na2CO3/Na2S2O3の水性混合物(40ml、1:1)を添加することによって反応を停止させ、得られた溶液を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮すると、(R)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールが得られた。
1H NMR (CDCl3, 300MHz):δ6.11 (s, 1H)、5.85 (s, 1H)、3.98〜4.07 (m, 1H)、3.74 (dd, 1H)、3.54 (dd, 1H)、2.62 (d, 2H)、2.19 (bs, OH)、1.64 (bs, OH)。
【0100】
ステップD:(R)-5-(2-ヨードアリル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカン
【化51】
(R)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオール(224mg、1ミリモル)をTHF(6ml)に溶かした溶液を0℃に冷却し、ピリジン(293mg、3.7ミリモル)とトリフルオロメタンスルホン酸t-ブチルジメチルシリル(TBSOTf)を一滴ずつ添加した。この反応混合物を室温まで温め、さらに20分間にわたって撹拌し、溶媒を減圧下で除去した。粗材料をクロロホルムに溶かし、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮し、ヘキサン中の酢酸エチル勾配を用いてフラッシュ・クロマトグラフィによって精製すると、(R)-5-(2-ヨードアリル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカンが得られた(254mg、56%)。
【0101】
1H NMR (CDCl3, 500MHz):δ6.13 (s, 1H)、5.79 (s, 1H)、3.86〜3.95 (m, 1H)、3.64 (dd, J=10, 4Hz, 1H)、3.49 (dd, J=10, 6Hz, 1H)、2.52 (d, J = 6Hz, 2H)、2.35 (d, J=4Hz, OH)、0.89 (s, 18H)、0.04 (s, 12H)。
【0102】
ステップE:(R)-5-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカン
【化52】
ジエチル亜鉛(ZnEt2、2.5ml、ヘキサン中に2.5M)を0℃のDCE(1ml)に溶かした溶液にトリフルオロ酢酸(TFA;281mg、2.47ミリモル)を添加し、35分間にわたって撹拌した。次にジヨードメタン(CH2I2、66mg、2.5ミリモル)を0℃にて添加し、得られた混合物をさらに20分間にわたって撹拌した。(R)-5-(2-ヨードアリル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカン(ステップD;188mg、0.41ミリモル)をDCE(2ml)に溶かした溶液を添加し、得られた反応物を室温にて一晩にわたって撹拌した。次にメタノール(5ml)とブライン(0.5ml)の混合物を添加した反応を停止させた。さらに1時間にわたって撹拌した後、この混合物を減圧下で濃縮した。粗材料を水性NH4Cl/CHCl3で抽出し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。粗材料をヘキサンの中で研和し、溶液を濾過し、蒸発させると、(R)-5-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカンが得られた(148mg、77%)。
1H NMR (CDCl3, 500MHz):δ3.91〜3.95 (m, 1H)、3.60 (dd, J=10, 5Hz, 1H)、3.47 (dd, J=10, 6Hz, 1H)、1.95 (dd, J=10, 4Hz, 1H)、1.28 (dd, J=10, 6Hz,1H)、0.99〜1.07 (m, 2H)、0.75〜0.90 (m, 2H)、0.89 (s, 18H)、0.12 (s, 3H)、0.08 (s, 3H)、0.04 (s, 6H)。
【0103】
ステップF:(R)-3-(1-ヨードシクロプロピル)プロパン-1,2-ジオール
【化53】
(R)-5-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカン(ステップE、281mg、0.598ミリモル)を0℃のTHF(2ml)に溶かした溶液にHCl水溶液(0.3ml、1N)を添加した。この混合物をゆっくりと温めて室温にし、24時間にわたって撹拌した。NaHCO3水溶液を添加して反応を停止させ、酢酸エチルで抽出した。1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮すると、(R)-3-(1-ヨードシクロプロピル)プロパン-1,2-ジオールが得られた(0.598ミリモル)。それをさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0104】
ステップG:(R)-4-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン
【化54】
粗(R)-3-(1-ヨードシクロプロピル)プロパン-1,2-ジオール(ステップF、0.598ミリモル)をジクロロメタン(3ml)に溶かした溶液に2,2-ジメトキシプロパン(140mg、1.337ミリモル)とp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS、6mg)を添加し、この混合物を室温にて2時間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチル/ヘキサン(1:10)溶離液を用いて粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィによって精製すると、(R)-4-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソランが得られた(84mg、50%)。
1H NMR (CDCl3, 500MHz):δ4.31〜4.37 (m, 1H)、4.16 (dd, J=10, 5Hz, 1H)、3.56 (dd, J=10, 8 Hz, 1H)、1.72〜1.80 (m, 2H)、1.35 (s, 6H)、1.04〜1.11 (m, 2H)、0.90〜0.94 (m, 1H)、0.73〜0.77 (m, 1H)。
【0105】
ステップH:(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化55】
(R)-4-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(ステップG、45mg、0.16ミリモル)を-78℃のエーテル(1ml)に溶かした溶液にt-ブチルリチウム(0.2ml、0.34ミリモル、1.7M)を添加し、この混合物を-78℃にて30分間にわたって撹拌した。次に、塩化チオニル(26μl)をエーテル(0.5ml)に溶かした溶液を添加した。得られたオレンジ色の溶液を温めて室温にした後、減圧下で濃縮した。残留物をクロロホルムに溶かし、濾過し、減圧下で乾燥させると、(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリドが得られた(23.7mg、57%)。
m/z=255 [M+1]-
【0106】
ステップI:(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【化56】
5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミン(22mg、0.065ミリモル)を乾燥ピリジン(0.5ml)に溶かした溶液を(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド(ステップH)に添加し、この混合物を室温にて一晩にわたって撹拌した。次に溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチルに溶かし、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮すると、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホンアミドが得られた。それをさらに精製せずに次のステップで使用した。
m/z=611 [M-1]-
【0107】
ステップJ:(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【化57】
THF(1ml)とHCl(1.2N、0.15ml)の混合物に粗(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホンアミドを溶かし、室温にて一晩にわたって撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチルに溶かした。有機相を水性NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮すると、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドが得られた(1.4mg、粗)。
【0108】
CHIRALPAK AD-Hカラム(20×250mm)を室温で用いてこの化合物を順相HPLCによって分析した。そのtきヘキサンと2-プロパノール(80:20)からなる移動相を12ml/分で使用した。254nmで検出した。保持時間は22分であると決定され、これは(+)N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)フェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドの保持時間に対応している。
【0109】
図1(a)は、(両方の異性体のラセミ混合物をキラル分離して得られた)(-)鏡像異性体の純粋なサンプルを同時に注入した粗材料のHPLC曲線である。
【0110】
図1(b)は、粗材料のHPLC曲線である。
【0111】
図1(c)は、(両方の異性体のラセミ混合物をキラル分離して得られた)(+)鏡像異性体の純粋なサンプルを同時に注入した粗材料のHPLC曲線である。
【実施例2】
【0112】
(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【化58】
【0113】
ステップA:(S)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-(トリメチルシリル)ペント-4-イン-2-オール
【化59】
TMS-アセチレン(2当量)を-78℃のTHFに溶かした溶液にt-ブチルリチウム(2当量)を添加し、この反応混合物をさらに30分間にわたって撹拌する。(S)-t-ブチルジメチル(オキシラン-2-イルメトキシ)シラン(1当量)とBF3・EtO2(2当量)を添加し、-78℃にて4.5時間にわたって撹拌する。塩化アンモニウム水溶液を添加して反応を停止させ、得られた溶液を酢酸エチル(3×)で抽出する。1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮すると、(S)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-(トリメチルシリル)ペント-4-イン-2-オールが得られる。
【0114】
ステップB:(S)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オール
【化60】
(S)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-(トリメチルシリル)ペント-4-イン-2-オール(1当量)をメタノールに溶かした溶液に炭酸カリウム(1.5当量)を添加し、この混合物を室温にて8時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、塩化アンモニウム水溶液を添加する。この混合物を酢酸エチルで抽出し(3×)、1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮し、ヘキサン中のEtOAc勾配を用いてフラッシュ・クロマトグラフィ(バイオタージ社)によって精製する。
【0115】
ステップC:(S)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオール
【化61】
(S)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オールを0℃のジクロロメタン(2ml)に溶かした溶液に9-ヨード-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-I-BBN)を一滴ずつ添加し、この反応物を0℃にて4時間にわたって撹拌する。氷酢酸を添加し、得られた混合物を0℃にてさらに1時間にわたって撹拌する。Na2CO3/Na2S2O3の水性混合物(40ml、1:1)を添加することによって反応を停止させ、得られた溶液を酢酸エチルで抽出し(3×)、1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮すると、(S)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールが得られる。
【0116】
ステップD:(S)-5-(2-ヨードアリル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカン
【化62】
(S)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオール(1当量)をTHFに溶かした溶液を0℃に冷却し、ピリジン(3.7当量)とトリフルオロメタンスルホン酸t-ブチルジメチルシリル(TBSOTf)を一滴ずつ添加する。この反応混合物を室温まで温め、さらに20分間にわたって撹拌し、溶媒を減圧下で除去する。粗材料をクロロホルムに溶かし、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮し、ヘキサン中の酢酸エチル勾配を用いてフラッシュ・クロマトグラフィによって精製すると、(S)-5-(2-ヨードアリル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカンが得られる。
【0117】
ステップE:(S)-5-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカン
【化63】
ジエチル亜鉛(16当量)を0℃のDCEに溶かした溶液にトリフルオロ酢酸(8当量)を添加し、35分間にわたって撹拌する。ジヨードメタン(8当量)を0℃にて添加し、得られた混合物をさらに20分間にわたって撹拌する。(S)-5-(2-ヨードアリル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカン(1当量)をDCEに溶かした溶液を添加し、この反応物を室温にて一晩にわたって撹拌する。メタノールとブラインの混合物を添加した反応を停止させる。さらに1時間にわたって撹拌した後、この混合物を減圧下で濃縮する。粗材料を水性NH4Cl/CHCl3で抽出し、有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮する。粗材料をヘキサンの中で研和し、溶液を濾過し、蒸発させると、(S)-5-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカンが得られる。
【0118】
ステップF:(S)-3-(1-ヨードシクロプロピル)プロパン-1,2-ジオール
【化64】
(S)-5-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2,3,3,8,8,9,9-オクタメチル-4,7-ジオキサ-3,8-ジシラデカンを0℃のTHFに溶かした溶液にHCl水溶液を添加する。この混合物をゆっくりと温めて室温にし、24時間にわたって撹拌する。NaHCO3水溶液を添加して反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し、1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮すると、(S)-3-(1-ヨードシクロプロピル)プロパン-1,2-ジオールが得られる(0.598ミリモル)。
【0119】
ステップG:(S)-4-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン
【化65】
(S)-3-(1-ヨードシクロプロピル)プロパン-1,2-ジオールをジクロロメタンに溶かした溶液に2,2-ジメトキシプロパンとp-トルエンスルホン酸ピリジニウムを添加し、この混合物を室温にて2時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチル/ヘキサン(1:10)溶離液を用いて粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィによって精製する。
【0120】
ステップH:(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化66】
(S)-4-((1-ヨードシクロプロピル)メチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(1当量)を-78℃のエーテルに溶かした溶液にt-ブチルリチウム(2当量)を添加し、この混合物を-78℃にて30分間にわたって撹拌する。塩化チオニルをエーテルに溶かした溶液を添加し、得られた混合物を温めて室温にした後、減圧下で濃縮する。残留物をクロロホルムに溶かし、濾過し、減圧下で乾燥させる。
【0121】
ステップI:(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【化67】
5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミンを乾燥ピリジンに溶かした溶液を(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリドに添加し、この混合物を室温にて一晩にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチルに溶かし、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濃縮する。
【0122】
ステップJ:(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミド
【化68】
(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-1-(2,3-ジヒドロキシプロピル)シクロプロパン-1-スルホンアミドをTHFとHClの混合物に溶かし、室温にて一晩にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、残留物を酢酸エチルに溶かす。有機相を水性NaHCO3で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮する。
【実施例3】
【0123】
(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリド
【化69】
【0124】
ステップA:(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オール
【化70】
(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-(トリメチルシリル)ペント-4-イン-2-オール(3g、10.6ミリモル)をメタノール(100ml)に溶かした溶液に炭酸カリウム(2.14g、15.5ミリモル)を添加し、この混合物を室温にて8時間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、得られた油に塩化アンモニウム水溶液(100ml)を添加した。この混合物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮した。ヘキサン中のEtOAc勾配を用いて粗材料をフラッシュ・クロマトグラフィ(バイオタージ社)によって精製すると、(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オールが得られた(1.81g、8.44ミリモル、80%)。
1H NMR (CDCl3, 300MHz):δ3.78〜3.86 (m, 1H)、3.71 (dd, 1H)、3.64 (dd, 1H)、2.52 (d, 1H)、2.36〜2.44 (m, 2H)、0.96 (s, 9H)、0.05 (s, 6H)。
【0125】
ステップB:(R)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオール
【化71】
(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オール(476mg、2.22ミリモル)を0℃のジクロロメタン(2ml)に溶かした溶液に9-ヨード-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-I-BBN)を一滴ずつ添加し、この反応物を0℃にて4時間にわたって撹拌した。次に氷酢酸(0.26ml)を添加し、得られた混合物を0℃にてさらに1時間にわたって撹拌した。Na2CO3/Na2S2O3の水性混合物(40ml、1:1)を添加することによって反応を停止させ、得られた溶液を酢酸エチル(3×30ml)で抽出した。1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮すると、(R)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールが得られた。
1H NMR (CDCl3, 300MHz):δ6.11 (s, 1H)、5.85 (s, 1H)、3.98〜4.07 (m, 1H)、3.74 (dd, 1H)、3.54 (dd, 1H)、2.62 (d, 2H)、2.19 (bs, OH)、1.64 (bs, OH)。
【0126】
ステップC:(R)-4-(2-ヨードアリル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン
【化72】
(R)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールをジクロロメタンに溶かした溶液に2,2-ジメトキシプロパンとp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)を添加し、この混合物を室温にて2時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチル/ヘキサン(1:10)溶離液を用いて粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィによって精製する。
【0127】
ステップD:(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリド
【化73】
(R)-4-(2-ヨードアリル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソランを-78℃のエーテルに溶かした溶液に-78℃でt-ブチルリチウムを添加し、この混合物を-78℃にて30分間にわたって撹拌する。次に、塩化チオニルをエーテルに溶かした溶液を添加し、この混合物を温めて室温にした後、減圧下で濃縮する。残留物をクロロホルムに溶かし、濾過し、減圧下で乾燥させる。
【実施例4】
【0128】
(S)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリド
【化74】
【0129】
ステップA:(S)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オール
【化75】
(S)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)-5-(トリメチルシリル)ペント-4-イン-2-オールをメタノールに溶かした溶液に炭酸カリウムを添加し、この混合物を室温にて8時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、塩化アンモニウム水溶液を添加し、この混合物を酢酸エチルで抽出する(3×)。1つにまとめた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮し、フラッシュ・クロマトグラフィ(バイオタージ社;酢酸エチル/ヘキサン勾配)によって精製する。
【0130】
ステップB:(S)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオール
【化76】
(S)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オールを0℃のジクロロメタンに溶かした溶液に9-ヨード-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-I-BBN)を一滴ずつ添加し、この反応物を0℃にて4時間にわたって撹拌した。氷酢酸を添加し、得られた混合物を0℃にてさらに1時間にわたって撹拌する。Na2CO3/Na2S2O3の水性混合物(1:1)を添加し、得られた溶液を酢酸エチルで抽出する(3×)。1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮する。
【0131】
ステップC:(S)-4-(2-ヨードアリル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン
【化77】
(S)-4-ヨードペント-4-エン-1,2-ジオールをジクロロメタンに溶かした溶液に2,2-ジメトキシプロパンとp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS)を添加し、この混合物を室温にて2時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、酢酸エチル/ヘキサン(1:10)溶離液を用いて粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィによって精製する。
【0132】
ステップD:(S)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリド
【化78】
(S)-4-(2-ヨードアリル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソランを-78℃のエーテルに溶かした溶液にt-ブチルリチウムを添加し、この混合物を-78℃にて30分間にわたって撹拌する。次に、塩化チオニルをエーテルに溶かした溶液を添加し、この混合物を温めて室温にした後、減圧下で濃縮する。残留物をクロロホルムに溶かし、濾過し、減圧下で乾燥させる。
【実施例5】
【0133】
(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホンアミド
【化79】
【0134】
ステップA:(R)-4-ブロモペント-4-エン-1,2-ジオール
【化80】
(R)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オール(755mg、3.53ミリモル)を0℃のジクロロメタン(4ml)に溶かした溶液に、9-ヨード-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-I-BBN)をジクロロメタンに溶かした溶液(1M、10.6ml)を一滴ずつ添加し、この混合物を0℃にて4時間にわたって撹拌した。氷酢酸(0.65ml、11.35ミリモル)を添加し、0℃にてさらに1時間にわたって撹拌を続けた。エタノールアミン(2.5ml、41.5ミリモル)を添加し、得られた混合物を放置して室温まで温めた。Na2CO3/Na2S2O3の水性混合物(40ml、1:1)を添加することによって反応を停止させ、酢酸エチル(3×30ml)で抽出し、1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮すると、(R)-4-ブロモペント-4-エン-1,2-ジオールが得られた。
m/z=182 [M+1]-
【0135】
ステップB:(R)-4-(2-ヨードアリル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン
【化81】
(R)-4-ブロモペント-4-エン-1,2-ジオール(1.15g、6.36ミリモル)をジクロロメタン(15ml)に溶かした溶液に2,2-ジメトキシプロパン(993mg、9.5ミリモル)とp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(PPTS、320mg、1.27ミリモル)を添加し、この混合物を室温にて4時間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチル:ヘキサン、1:10溶離液)によって精製すると、(R)-4-(2-ヨードアリル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソランが得られた(1.12g、80%)。
1H NMR (500MHz, クロロホルム-d):δppm 1.34 (s, 3H)、1.39 (s, 3H)、2.52 (dd, J=14.49, 6.05Hz, 1H)、2.73 (dd, J=14.67, 6.60Hz, 1H)、3.60 (dd, J=8.16, 6.14Hz, 1H)、4.06 (dd, J=8.07, 6.05Hz, 1H)、4.34 (quin, J=6.28Hz, 1H)、5.78 (d, J=1.10Hz, 1H)、6.13 (d, J=1.10Hz, 1H)。
【0136】
ステップC:(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリド
【化82】
(R)-4-(2-ヨードアリル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(1.21g、6.5ミリモル)を-78℃のジエチルエーテル(12ml)に溶かした溶液に、t-ブチルリチウムをヘキサンに溶かした溶液(1.7M、7.65ml)を一滴ずつ添加し、この反応物を-78℃にて30分間にわたって撹拌した。二塩化スルフリル(SO2Cl2、538μl、6.5ミリモル)を添加し、得られた混合物を室温まで温め、溶媒を減圧下で除去した。生成物をさらに精製せずに次のステップで使用した。
【0137】
ステップD:(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホンアミド
【化83】
ステップCからの(R)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリドをピリジン(12ml)に溶かし、5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミン(2.56g、6.5ミリモル)を添加した。この溶液を100℃にて2時間にわたって撹拌した後、水と酢酸エチルを用いて分離した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮し、シリカ上のフラッシュ・カラム・クロマトグラフィ(30%酢酸エチル/ヘキサン溶離液)によって精製すると、(R)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホンアミドが得られた(651mg、17%)。
【0138】
1H NMR (500MHz, クロロホルム-d):δppm 1.32 (s, 3H)、1.39 (s, 3H)、2.57〜2.64 (m, 1H)、2.64〜2.72 (m, 1H)、3.59 (dd, J=8.25, 6.60 Hz, 1H)、3.78 (s, 3H)、4.00〜4.13 (m, 1H)、4.27〜4.36 (m, 1H)、5.72 (s, 1H)、5.92 (s, 1H)、6.21 (s, 1H)、6.41 (td, J=8.62, 5.14Hz, 1H)、6.47 (dd, J=11.19, 6.60Hz, 1H)、7.15 (s, 1H)、7.25 (s, 1H)、7.35 (dd, J=10.45, 1.83Hz, 1H)。
【実施例6】
【0139】
(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホンアミド
【化84】
【0140】
ステップA:(S)-4-ブロモペント-4-エン-1,2-ジオール
【化85】
(S)-1-(t-ブチルジメチルシリルオキシ)ペント-4-イン-2-オールを0℃のジクロロメタンに溶かした溶液に、9-ヨード-9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(9-I-BBN)をジクロロメタンに溶かした溶液を一滴ずつ添加し、この混合物を0℃にて4時間にわたって撹拌する。氷酢酸を添加し、0℃にてさらに1時間にわたって撹拌を続ける。エタノールアミンを添加し、得られた混合物を放置して室温まで温める。Na2CO3/Na2S2O3の水性混合物(1:1)を添加することによって反応を停止させ、酢酸エチルで抽出し(3×)、1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮すると、(S)-4-ブロモペント-4-エン-1,2-ジオールが得られる。
【0141】
ステップB:(S)-4-(2-ヨードアリル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン
【化86】
(S)-4-ブロモペント-4-エン-1,2-ジオール(5当量)をジクロロメタンに溶かした溶液に2,2-ジメトキシプロパン(7.5当量)とp-トルエンスルホン酸ピリジニウム(1当量)を添加し、この混合物を室温にて4時間にわたって撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物をフラッシュ・クロマトグラフィ(10%酢酸エチル/ヘキサン、溶離液)によって精製する。
【0142】
ステップC:(S)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリド
【化87】
(S)-4-(2-ヨードアリル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(1当量)を-78℃のジエチルエーテルに溶かした溶液に、t-ブチルリチウムをヘキサンに溶かした溶液(1.7M、2当量)を一滴ずつ添加し、この反応物を-78℃にて30分間にわたって撹拌する。二塩化スルフリル(1当量)を添加し、得られた混合物を室温まで温め、溶媒を減圧下で除去する。
【0143】
ステップD:(S)-N-(3,4-ジフルオロ-2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-6-メトキシフェニル)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホンアミド
【化88】
(S)-3-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)プロプ-1-エン-2-スルホニルクロリド(1当量)をピリジンに溶かし、5,6-ジフルオロ-N1-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)-3-メトキシベンゼン-1,2-ジアミン(1当量)を添加する。この溶液を100℃にて2時間にわたって撹拌した後、水と酢酸エチルを用いて分離する。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮し、シリカ上のフラッシュ・カラム・クロマトグラフィ(30%酢酸エチル/ヘキサン溶離液)によって精製する。
【実施例7】
【0144】
(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化89】
【0145】
ステップA:1,2-ビス(1-(((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン
【化90】
1,2-ジシクロプロピルジスルファン(1当量)を-20℃のTHF(1.5ml/ミリモル)に溶かした溶液にn-ブチルリチウム(ヘキサン中に1.7M、1.2当量)を一滴ずつ1時間かけて添加する。次に(S)-4-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(1.1当量)を-78℃で添加し、-78℃にてさらに4時間にわたって撹拌を続ける。飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出する(3×)。1つにまとめた抽出液を乾燥させ(Na2SO4)、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチルを含むヘキサン溶離液)によって精製する。
【0146】
ステップB:(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化91】
2MのHCl(0.6ml/ミリモル)とアセトニトリル(3.4ml/ミリモル)の混合物にN-クロロスクシンイミド(NCS、1当量)を添加し、10℃に冷却する。1,2-ビス(1-(((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン(2.5当量)をアセトニトリル(0.25ml/ミリモル)に溶かした溶液をこの混合物に一滴ずつ添加し、20℃未満で20分間にわたって撹拌する。ジ-イソ-プロピルエーテル(15ml/ミリモル)を添加し、分離した有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で濃縮し、粗材料をフラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチルを含むヘキサン溶離液)によって精製する。さらなる詳細に関しては、Nishiguchi他、Synthesis、2006年、第24巻、4131〜4134ページ参照。
【実施例8】
【0147】
1,2-ビス(1-(((S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン
【化92】
【0148】
ステップA:1,2-ビス(1-(((S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン
【化93】
1,2-ジシクロプロピルジスルファン(1当量)を-20℃のTHF(1.5ml/ミリモル)に溶かした溶液にn-ブチルリチウム(ヘキサン中に1.7M、1.2当量)を一滴ずつ1時間かけて添加する。次に(R)-4-(ブロモメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン(1.1当量)を-78℃で添加し、-78℃にてさらに4時間にわたって撹拌を続ける。飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、得られた混合物を酢酸エチルで抽出する(3×)。1つにまとめた抽出液を乾燥させ(Na2SO4)、フラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチルを含むヘキサン溶離液)によって精製する。
【0149】
ステップB:(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化94】
2MのHCl(0.6ml/ミリモル)とアセトニトリル(3.4ml/ミリモル)の混合物にN-クロロスクシンイミド(NCS、1当量)を添加し、10℃に冷却する。1,2-ビス(1-(((S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン(2.5当量)をアセトニトリル(0.25ml/ミリモル)に溶かした溶液をこの混合物に一滴ずつ添加し、20℃未満で20分間にわたって撹拌する。ジ-イソ-プロピルエーテル(15ml/ミリモル)を添加し、分離した有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で濃縮し、粗材料をフラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチルを含むヘキサン溶離液)によって精製する。さらなる詳細に関しては、Nishiguchi他、Synthesis、2006年、第24巻、4131〜4134ページ参照。
【実施例9】
【0150】
(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化95】
【0151】
ステップA:(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウム
【化96】
1,2-ビス(1-(((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン(1当量)と酢酸ナトリウム(2当量)を酢酸(5ml/ミリモル)に溶かした溶液に30%過酸化水素(9当量)を添加する。この溶液を1時間にわたって80℃に加熱し、冷却し、減圧下で濃縮し、粗材料を再結晶化によって精製する。さらなる詳細に関しては、Fernandez-Bolanos他、Carbohydrate Research, 1988年、第173巻(1)、33〜40ページ参照。
【0152】
ステップB:(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化97】
(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウム(1当量)と三塩化ホスホリル(POCl3、0.7ml/ミリモル)の溶液を1時間にわたって80℃に加熱する。この反応混合物を室温まで冷却し、氷の上に注ぎ、30分間にわたって撹拌し、クロロホルムを用いて抽出する(2×)。1つにまとめた有機抽出液を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮する。
【実施例10】
【0153】
(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化98】
【0154】
ステップA:(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウム
【化99】
1,2-ビス(1-(((S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン(1当量)と酢酸ナトリウム(2当量)を酢酸(5ml/ミリモル)に溶かした溶液に30%過酸化水素(9当量)を添加する。この溶液を1時間にわたって80℃に加熱し、冷却し、減圧下で濃縮し、粗材料を再結晶化によって精製する。さらなる詳細に関しては、Fernandez-Bolanos他、Carbohydrate Research、1988年、第173巻(1)、33〜40ページ参照。
【0155】
ステップB:(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化100】
(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウム(1当量)と三塩化ホスホリル(POCl3、0.7ml/ミリモル)の溶液を1時間にわたって80℃に加熱する。この反応混合物を室温まで冷却し、氷の上に注ぎ、30分間にわたって撹拌し、クロロホルムを用いて抽出する(2×)。1つにまとめた有機抽出液を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮する。
【実施例11】
【0156】
(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化101】
【0157】
ステップA:(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパンチオール
【化102】
1,2-ビス(1-(((R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン(1当量)とトリフェニルホスフィンがジオキサンと水の混合物(4/1)に溶けていて2滴の濃塩酸を含む溶液を40℃にて20分間にわたって撹拌し、減圧下で濃縮する。粗材料をフラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチルを含むヘキサン溶離液)によって精製する。さらなる詳細に関しては、Overman他、Synthesis、1974年、59〜60ページ参照。
【0158】
ステップB:(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウム
【化103】
(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパンチオール(1当量)をDMF(0.5ml/ミリモル)に溶かした溶液に水酸化ナトリウム(4当量)を添加し、室温にて一晩にわたって撹拌し、加水分解させる。この混合物を酢酸エチルで抽出し(3×)、1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮し、粗材料を再結晶させる。
【0159】
ステップC:(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化104】
(R)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウム(1当量)と三塩化ホスホリル(POCl3、0.7ml/ミリモル)の溶液を1時間にわたって80℃に加熱する。この反応混合物を室温まで冷却し、氷の上に注ぎ、30分間にわたって撹拌し、クロロホルムを用いて抽出する(2×)。1つにまとめた有機抽出液を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮する。
【実施例12】
【0160】
(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化105】
【0161】
ステップA:(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパンチオール
【化106】
1,2-ビス(1-(((S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロピル)ジスルファン(1当量)とトリフェニルホスフィンがジオキサンと水の混合物(4/1)に溶けていて2滴の濃塩酸を含む溶液を40℃にて20分間にわたって撹拌し、減圧下で濃縮する。粗材料をフラッシュ・クロマトグラフィ(酢酸エチルを含むヘキサン溶離液)によって精製する。さらなる詳細に関しては、Overman他、 Synthesis、1974年、59〜60ページ参照。
【0162】
ステップB:(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウム
【化107】
(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパンチオール(1当量)をDMF(0.5ml/ミリモル)に溶かした溶液に水酸化ナトリウム(4当量)を添加し、室温にて一晩にわたって撹拌し、加水分解させる。この混合物を酢酸エチルで抽出し(3×)、1つにまとめた有機層を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮し、粗材料を再結晶させる。
【0163】
ステップC:(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホニルクロリド
【化108】
(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウム(1当量)と三塩化ホスホリル(POCl3、0.7ml/ミリモル)の溶液を1時間にわたって80℃に加熱する。この反応混合物を室温まで冷却し、氷の上に注ぎ、30分間にわたって撹拌し、クロロホルムを用いて抽出する(2×)。1つにまとめた有機抽出液を乾燥させ(MgSO4)、減圧下で濃縮する。
【実施例13】
【0164】
図2は、CD3ODの中での(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウムの1H NMRスペクトルを示している。
1H NMR (400MHz, CD3OD):δppm 0.39 (ddd, J=9.85, 6.71, 5.27Hz, 1H)、0.57〜0.76 (m, 2H), 0.76〜0.89 (m, 1H)、1.31 (s, 3H)、1.51 (dd, J=13.30, 2.76Hz, 1H)、1.57 (s, 3H)、1.94〜2.07 (m, 1H)、2.89 (dd, J=13.80, 8.03Hz, 1H)、3.07 (dd, J=13.80, 4.27Hz, 1H)、4.51〜4.62 (m, 1H)。
【実施例14】
【0165】
図3は、CD3ODの中での(S)-1-((2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル)シクロプロパン-1-スルホン酸ナトリウムの13C NMRスペクトルを示している。
13C NMR (メタノール-d4)δppm 10.30、15.17、21.75、30.13、38.88、54.79、58.37、67.15、101.78。
図1
図2
図3