(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続部材を覆うように金属テープがさらに設けられ、前記樹脂含浸テープは、前記金属テープの外周から巻き付けられることを特徴とする請求項4記載の電力ケーブルの接続構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図7に従来の電力ケーブル同士の接続構造100を示す。この接続構造100は、電線103a、103bの端部同士が接続されている。電線103a、103bは、内部に導体部105を有し、導体部105の外周側に内部から順に絶縁部107、半導電部109、アルミニウム波付管111、外部シース113が設けられる。
【0005】
導体部105の端部同士は導体接続部106によって接続される。導体部105同士の接続部の外周には、絶縁性を確保するために所定の厚みを有するゴム部材137が設けられる。また、ゴム部材137を覆うように、金属管である銅管115aが設けられる。
【0006】
銅管115aは、端部が一方の電線103aのアルミニウム波付管111と導通するように配置される。また、他方の電線103bのアルミニウム波付管111には、端部が導通するように、銅管115bが配置される。なお、銅管115a、115bとアルミニウム波付管111との接続は、例えば半田によって行われ、外周に防水テープ等が巻きつけられる。
【0007】
銅管115a、115bのそれぞれの対向する端部には、フランジ部117a、117bが設けられる。フランジ部117a、117bは、それぞれ絶縁部材119の両端部に接合される。すなわち、銅管115a、115bは、絶縁部材119を介して接合され、互いに導通することがない。なお、絶縁部材119は、電線103a、103bの接続部(導体接続部106)の位置に対して、電線103b側に配置される。また、フランジ部117a、117bと絶縁部材119との接合面には、防水性を確保するため、図示を省略したOリング等が設けられる。
【0008】
電線103a、103bそれぞれのアルミニウム波付管111および半導電部109の外周には、金属遮蔽層135a、135bがそれぞれ配置される。金属遮蔽層135a、135bの端部は、ゴム部材137の外周で互いに離隔するように配置される。すなわち、金属遮蔽層135a、135b同士が導通することがない。
【0009】
銅管115aには、蓋131が設けられ、蓋131を設けた孔から内部に防水コンパウンドを流し込むことができる。また、銅管115a、115bの外周面には、径方向に突出するように、端子部121a、121bが設けられる。端子部121a、121bは、例えば板状の部材であり、接続導線等を接続可能な形状を有する。
【0010】
端子部121a、121bには、それぞれ、同軸ケーブル123の内部導体127および外部導体125が接続される。すなわち、銅管115a、115bと、引出し線である内部導体127および外部導体125とがそれぞれ導通する。内部導体127および外部導体125は、前述したように、接続構造100の外部において、接地処理等が施される。
【0011】
このような接続構造においては、引出し線である内部導体127および外部導体125と、端子部121a、121bとの接続部が、接続構造の一方の径方向に突出する。この際、外部導体125、内部導体127が、フランジ部117a、117bおよび絶縁部材119と干渉しないように、各端子部121a、121bと外部導体125、内部導体127との接続部を、絶縁部材119よりも外方に配置する必要がある。
【0012】
このため、このような接続構造では、接続構造全体の外径が大きくなるという問題がある。
また、端子部が突出するため、接続構造の外形が複雑になり、接続構造の外周全体を収縮チューブ等で被覆したり、防水テープ等で当該接続部を被覆したりすることが困難である。このため、防水パテ等を使用する必要があり、作業が煩雑であるという問題がある。また、このような複雑な形状における防水処理は、施工ミス等による防水機能の低下の恐れもある。
【0013】
また、フランジ部117a、117bと絶縁部材119とをボルト接合するために、絶縁部材119の内部には、シンプル等をあらかじめ埋設する必要がある。このため、絶縁部材119の製造コストが高くなるという問題がある。
【0014】
また、接続構造100においては、絶縁部材119のフランジ部117a、117bとのそれぞれの対向面において、Oリング等を配置して防水処理を行う必要がある。したがって、Oリング用の溝加工がそれぞれの対向面に対して必要となるとともに、Oリングの配置やボルトを締め込むための作業スペースが必要となる。このため、ボルト等の接合部を、接合構造の径方向のより外周側に配置する必要がある。したがって、接合構造が大径化するという問題がある。
【0015】
また、接続部全体を覆うようにコフィンボックス129が使用される場合がある。コフィンボックス129は、全体を覆った後、蓋133から内部に防水コンパウンドを流し込むことが可能である。このようなコフィンボックスを用いれば、接続構造全体の防水性を高めることが可能である。
【0016】
しかし、コフィンボックス129を用いると、接続構造がさらに大型化するという問題がある。また、コフィンボックス129内に流し込む防水コンパウンドも多量に必要となるという問題がある。
【0017】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、接続作業性に優れ、コンパクトな電力ケーブルの接続構造等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達するために第1の発明は、電力ケーブルの接続構造であって、一方の側の電力ケーブルの遮蔽層と導通する第1の金属管と、他方の側の電力ケーブルの遮蔽層と導通する第2の金属管と、前記第1の金属管と導通する第1の引き出し線と、前記第2の金属管と導通する第2の引き出し線と、前記第1の金属管および前記第2の金属管との間に配置される筒状の絶縁部材と、を具備し、前記第1の金属管は、電力ケーブル同士の接続部を覆い、前記他方の側の電力ケーブルの周囲において、前記絶縁部材を介して前記第2の金属管と接続され、前記絶縁部材の前記第2の金属管との接続部は、前記絶縁部材の前記第1の金属管との接続部の外径よりも径が小さい縮径部であり、前記第1の金属管および前記第2の金属管の端部は、前記絶縁部材の両端それぞれの軸方向に嵌合して接続されることを特徴とする電力ケーブルの接続構造である。
【0019】
このような構成を有する電力ケーブルの接続構造によれば、第2の金属管との接続部の外径を、第1の金属管との接続部の外形よりも小さくすることができる。したがって、相対的に外径の小さな第2の金属管の接続部を必要以上に大きくする必要がない。
【0020】
また、絶縁部材の両端に対し、第1の金属管および第2の金属管が、軸方向に嵌合可能であるため、絶縁部材と各金属管との接続部において、径方向に突出するフランジ部等が不要となる。したがって、接続構造の外径を小型化することができる。また、従来のフランジ部を用いた接続構造と比較して、接続作業のスペースをより確実に確保することができる。したがって、接続作業性にも優れる。
【0021】
前記第1の引き出し線は、導線を介して前記第1の金属管と接続され、前記第1の引き出し線と前記導線との接続部、および、前記第2の引き出し線と前記第2の金属管との接続部は、前記絶縁部材の前記縮径部または前記第2の金属管の外周部に配置されることが望ましい。
【0022】
このような構成とすることで、各引き出し線とそれぞれの接続対象との接続部に用いられる端子部等を、相対的に外径の小さな第2の金属管の外周に配置することができる。したがって、外径の相対的に大きな第1の金属管の外周部に、端子部等を配置する必要がない。すなわち、接続構造をより小型化することができる。
【0023】
前記第1の引き出し線と前記導線との接続部、および、前記第2の引き出し線と前記第2の金属管との接続部の外周には、略筒状の保護部材が配置され、少なくとも、前記第1の金属管および前記保護部材の一部が防水チューブで被覆されることが望ましい。
【0024】
このような構成とすることで、各引出し線の接続部等の外形状を単純化することができ、防水チューブを被覆した際に、隙間等の形成を防止することができる。したがって、接続構造の防水性を向上することができる。
【0025】
前記絶縁部材の両端部と、前記絶縁部材と接続される前記第1の金属管および前記第2の金属管の端部には、それぞれ対応する部位に孔が形成され、前記絶縁部材の前記孔の近傍の外周面には、周方向に溝が形成され、前記絶縁部材と前記第1の金属管および前記第2の金属管が嵌合した状態で、前記孔には接続部材が挿入され、前記接続部材と前記溝とを覆うように、樹脂含浸テープが巻き付けられて、前記第1の金属管および前記第2の金属管の端部が、前記絶縁部材の両端部にそれぞれ接続されることが望ましい。
【0026】
このような構成とすることで、第1の金属管および第2の金属管の絶縁部材の軸方向に対する移動を、接続部材によって規制することができる。このため、ボルト止め等の作業が不要である。したがって、接続作業性に優れる。また、絶縁部材にボルト止めのためのシンブルを埋設したり、ネジ加工を施したりする必要がない。したがって、安価な絶縁部材を用いることができる。
【0027】
また、絶縁部材に形成された溝を覆うように樹脂含浸テープが巻付けられるため、接続部材を確実に固定することができ、接続部材の抜けや移動を防止することができる。また、この際、樹脂が溝内に浸入して硬化するため、樹脂含浸テープを絶縁部材に対して確実に固定することができる。したがって、第1の金属管および第2の金属管と絶縁部材とを確実に接合することができる。
【0028】
前記接続部材を覆うように金属テープがさらに設けられ、前記樹脂含浸テープは、前記金属テープの外周から巻き付けられてもよい。
【0029】
このような構成とすることで、接続部材近傍に形成される隙間等を金属テープで塞ぐことができる。したがって、各金属管と絶縁部材との接続部における防水性を確実に確保することができる。また、別途Oリング等を用いる必要がなく、絶縁部材へのOリング用の溝加工も不要である。したがって、Oリングを設置することができるように、絶縁部材を厚肉にする必要がなく、軽量で低コストな絶縁部材を用いることができる。
【0030】
第2の発明は、電力ケーブルの接続構造に用いられる絶縁部材であって、前記絶縁部材は、両端部にそれぞれ金属管との接続部を有し、一方の端部の接続部が他方の端部の接続部に対して縮径されており、前記絶縁部材の両端部のそれぞれの前記接続部には孔が設けられ、前記絶縁部材の外周面には、前記孔の近傍に周方向に溝が形成されることを特徴とする絶縁部材である。
【0031】
このような構成を有する絶縁部材によれば、電力ケーブルの接続部に用いられ、接続時における接続作業性に優れる。また、接続構造全体の小型化を達成することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、接続作業性に優れ、コンパクトな電力ケーブルの接続構造等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1、
図2に示すように、接続構造1は、電力ケーブルである電線3a、3bの接続構造である。電線3a、3bは、内部に導体部5を有し、導体部5の外周には、内側から順に、絶縁部7、半導電部9、アルミニウム波付管11、外部シース13が形成される。なお、本発明においては、電線3a、3bの構成は、図示した例に限られない。
【0035】
導体部5同士は、導体接続部6で接続される。導体接続部6は、例えば金属スリーブ等である。導体接続部6の外周部には、絶縁性を確保するために、ゴム部材37が設けられる。ゴム部材37は、導体接続部6近傍の絶縁性を確保するため、所定の厚みで形成される。すなわち、導体接続部6近傍の外周部(ゴム部材37の略中央部)は、大径部となる。
【0036】
電線3a、3bそれぞれのアルミニウム波付管11および半導電部9の外周には、金属遮蔽層35a、35bがそれぞれ配置される。金属遮蔽層35a、35bは、例えば金属メッシュである。金属遮蔽層35a、35bそれぞれの端部は、ゴム部材37の外周で互いに離隔するように配置される。すなわち、金属遮蔽層35a、35b同士が導通することがない。
【0037】
ゴム部材37の外周部には、各絶縁部や導体接続部6等を保護するため、導体接続部近傍を覆うように、第1の金属管である銅管15aが設けられる。銅管15aの端部は、電線3aのアルミニウム波付管11と導通するように接合される。なお、アルミニウム波付管11は、内部の導体部5等を保護し、電線3a、3bの遮蔽層として機能する。また、銅管15aには、蓋31が設けられ、蓋31で閉じられる孔からは、銅管15a内部に防水コンパウンドを流し込むことができる。
【0038】
第2の金属管である銅管15bの端部は、銅管15aと同様に、電線3bのアルミニウム波付管11と導通するように接合される。なお、銅管15a、15bのそれぞれの端部とアルミニウム波付管11との接合は、例えば半田によって行われ、外周に防水テープ等が巻きつけられる。
【0039】
アルミニウム波付管11との接続部とは逆側の銅管15a、15bのそれぞれの端部には、絶縁部材19が接続される。絶縁部材19は略筒状の部材である。すなわち、銅管15a、15bは、絶縁部材19を介して接合される。このため、銅管15a、15bは互いに導通することがない。なお、絶縁部材19および絶縁部材19と銅管15a、15bとの接続構造については、詳細を後述する。
【0040】
銅管15bは、ゴム部材37の大径部よりも電線3b側に配置される。すなわち、銅管15aは、ゴム部材37の大部分を覆うように配置されるのに対し、銅管15bの内部には、ゴム部材37等が配置されないため、銅管15bは銅管15aと比較して小径に構成される。絶縁部材19は、銅管15aとの接続部側の外径が大きく、銅管15bとの接続部側の外径が小さい。すなわち、絶縁部材19の両端部は、銅管15a、15bの外径にそれぞれ対応する外径で形成され、絶縁部材19の外形状は、軸方向に段差形状を有する。
【0041】
図1に示すように、銅管15aの外周面に半田等によって平編線26が接続されている。平編線26は、平坦に編み込まれた導線である。平編線26は、周方向に平らになるようにして、絶縁部材19の外周を介して銅管15b側に引出され、銅管15bの外周側において、この平編線26は第1の引き出し線である内部導体27と端子28で接続される。すなわち、同軸ケーブル23の内部導体27は、平編線26を介して銅管15aと導通する。
【0042】
また、
図2に示すように、銅管15bの外周側において、第2の引き出し線である外部導体25と銅管15bとが端子部21で接続される。すなわち、同軸ケーブル23の外部導体25は、銅管15bと導通する。なお、内部導体27を端子部21と接続し、外部導体25を平編線26と接続してもよい。
【0043】
内部導体27と平編線26との接続部(端子28)と、外部導体25と銅管15bとの接続部(端子部21)とは、いずれも、銅管15b側(絶縁部材19の縮径部20bから銅管15b側)の外周部に配置される。また、外部導体25と銅管15bとの接続部(端子部21)は、内部導体27と平編線26との接続部(端子28)の位置に対して、周方向に所定の距離を離隔して配置される。
【0044】
前述の通り、絶縁部材19は、銅管15bとの接続部が縮径されており、銅管15bは、銅管15aと比較して小径である。このため、小径の銅管15b側の外周においてそれぞれ周方向に離隔して、内部導体27、外部導体25のそれぞれの接続部(端子部21、端子28)を配置することで、接続構造1を小型化することができる。
【0045】
銅管15bの外周には、絶縁部材19の一部(小径部)と銅管15bの一部とを覆うように、略筒状の樹脂パイプ30が設けられる。樹脂パイプ30は、内部導体27、外部導体25のそれぞれの接続部を保護するための保護部材として機能する。なお、樹脂パイプ30は、ある程度の形状保持性を有すれば材質は問わない。
【0046】
樹脂パイプ30は、周方向に複数に分割され(例えば2分割)て、当該部位を覆うように配置される。また、樹脂パイプ30の外周面には、必要に応じて切欠き部が形成される。切欠き部を形成することで、樹脂パイプ30の径を小さくしても、端子部21や端子28と、樹脂パイプ30とが干渉することを避けることができる。
【0047】
樹脂パイプ30の端部には保護カバー32が設けられる。保護カバー32には、引出し口が設けられ、同軸ケーブル23が外部に引出される。すなわち、銅管15a、15bと導通する引出し線である内部導体27および外部導体25は、同軸ケーブル23として接続構造1の外部に引出され、接地処理等が施される。
【0048】
また、樹脂パイプ30の全体または少なくとも一部と、銅管15aを被覆するように、
図1、
図2に点線で示すように防水チューブが被せられて、接続構造1の防水処理が施される。なお、詳細は省略するが、保護カバー32と電線3bおよび同軸ケーブル23との境界部等には、図示を省略した防水テープ等により防水処理が施され、接続構造1内部への水の浸入が防止される。この際、接続構造1には、外周部に突出する突起(
図7における端子部121a、121bやこれらと接続される導体など)がないため、防水処理が容易である。
【0049】
次に、絶縁部材19について詳細に説明する。
図3に示すように、絶縁部材19は略筒状の部材であり、外径の大きな拡径部20aと、拡径部20aよりも外径の小さな縮径部20bから構成される。すなわち、絶縁部材19は、拡径部20aと縮径部20bとの間に段差形状を有する。なお、絶縁部材19は、例えばエポキシ等の樹脂で形成された略筒状の絶縁体である。
【0050】
絶縁部材19の拡径部20aにおける端部は、銅管15aとの接続部である接続部41aとなる。また、絶縁部材19の縮径部20bにおける端部は、銅管15bとの接続部である接続部41bとなる。接続部41a、41bには、それぞれ複数の孔43a、43bが設けられる。また、孔43a、43bの近傍における外周面には、周方向に溝18a、18bがそれぞれ設けられる。なお、孔43a、43bは、貫通孔であってもよく、底つきであってもよい。
【0051】
次に、絶縁部材19と銅管15a、15bとの接続方法について説明する。まず、
図4に示すように、銅管15aの端部に絶縁部材19の接続部41aを挿入する(図中矢印C方向)。同様に、銅管15bの端部に絶縁部材19の接続部41bを挿入する(図中矢印D方向)。接続部41aの外径は、銅管15aの内径に略対応し、接続部41bの外径は、銅管15bの内径に略対応する。すなわち銅管15a、15bの内周面が絶縁部材19の接続部41a、41bの外周面に接するように互いに嵌合する。
【0052】
この際、接続部41aにおける孔43aと対応する銅管15aの部位に、孔45aが設けられる。また、接続部41bにおける孔43bと対応する銅管15bの部位に、孔45bが設けられる。したがって、銅管15a、15bそれぞれを絶縁部材19の両端に対して軸方向に嵌合させると、孔43a、45aの位置が一致し、孔43b、45bの位置が一致する。
【0053】
銅管15a、15bと接続部41a、41bとが嵌合した状態で、孔43a、43bおよび孔43b、45bそれぞれを貫通するようにピン47が挿入される(図中矢印E方向)。ピン47は、絶縁部材19と銅管15a、15bとの接続部材であり、例えば、ボルト等であってもよい。なお、孔43a、43b、45a、45bには、ネジ加工は施されていないため、ピン47は、孔43a、45a、および孔43b、45bそれぞれに挿入されているのみであり、完全に固定されることはない。
【0054】
図5は、絶縁部材19の両端に銅管15a、15bを嵌合させ、ピン47を挿入した状態を示す図である。ピン47を挿入することで、銅管15a、15bが、絶縁部材19の端部から抜け落ちることが防止される。銅管15a、15bと絶縁部材19との接続部の外周面には、周方向に金属テープ49が巻きつけられる。すなわち、ピン47、孔45a、45bおよび銅管15a、15bと絶縁部材19との境界部等(溝18a、18bを除く)を覆うように金属テープ49が巻き付けられる。
【0055】
金属テープ49によって、ピン47が孔45a、45b等から脱落することを防止することができる。また、金属テープ49は、銅管15a、15bと絶縁部材19との接続部の防水性を確保する。
【0056】
すなわち、本発明の接続構造1においては、絶縁部材19と銅管15a、15bとは、
図7に示した従来の接続構造で採用していたようなフランジ部の対向面に配置されたOリング等による防水ではなく、絶縁部材19と銅管15aに跨って金属テープ49を巻き付け、絶縁部材19と銅管15bに跨って金属テープ49を巻き付けて、これら接続部の隙間を覆うことで防水している。なお、金属テープ49は、例えばアルミニウム粘着テープを用いることができる。
【0057】
次に、
図6に示すように、樹脂含浸テープ51をそれぞれの接続部の外周に巻付ける。樹脂含浸テープ51は、金属テープ49を完全に被覆し、かつ、溝18a、18bを覆うように巻きつけられる。樹脂含浸テープ51は、例えばガラス繊維テープに対してエポキシ樹脂が含浸されたものを用いることができる。樹脂含浸テープ51を巻付けることで、接続部41a、41bの機械的強度を確保することができるとともに、より確実に防水性を得ることができる。
【0058】
また、樹脂含浸テープ51を巻付けることで、樹脂が溝18a、18b内に流入する。その後、樹脂が硬化することで、樹脂含浸テープ51が完全に銅管15a、15bと絶縁部材19との接続部41a、41bを覆って固定される。この際、樹脂の一部が溝18a、18b内に流入して硬化するため、樹脂含浸テープ51が接合部からずれることがなく、確実に接続部41a、41b近傍を被覆して補強および防水することができる。
【0059】
以上、本発明によれば、銅管15aと銅管15bとを絶縁部材19によって確実に絶縁することができる。また、銅管15a、15bは、絶縁部材19の両端部に対し、それぞれ軸方向に嵌合し、軸方向に垂直な方向(径方向)である外周側から、ピン47によって接合される。このため、従来のような、銅管と絶縁部材とをフランジ部で接合する場合と比較して、外径を小さくすることができる。また、フランジ部での接合と比較して接合作業のための作業スペースを確保しやすく、作業性にも優れる。
【0060】
また、絶縁部材19の銅管15bとの接続部が、銅管15aとの接続部に対して縮径されている。このため、銅管15b(銅管15bの縮径部20b)の外周にスペースを確保することができる。したがって、このスペースに、同軸ケーブル23の外部導体25および内部導体27と、端子部21および端子28を配置することができる。このため、外径の大きな銅管15a(または絶縁部材19の拡径部20a)の外周には、端子部材等を配置する必要がない。したがって、接続部が大型化することがなく、接続構造全体を小型化することができる。
【0061】
また、銅管15a、15bと絶縁部材19との接続施工時に、ボルト止め等が不要である。このため、接続構造1を構築するための作業性に優れ、絶縁部材にボルトを螺合するシンブルを埋設したり、タップ加工等を施したりする必要がない。また、銅管15a、15bと絶縁部材19との接続部41a、41bにおいて、金属テープ49および樹脂含浸テープ51によりに防水処理が施されるため、Oリング等が不要であり、Oリング用の溝が不要である。したがって、絶縁部材19の肉厚を、Oリング用の溝のために厚肉とする必要がない。
【0062】
また、絶縁部材19の外周面には溝18a、18bが形成される。このため、樹脂が溝内に流入して硬化し、外周面に巻きつけられる樹脂含浸テープ51を絶縁部材19に確実に固定することができる。なお、溝18a、18bの深さは、樹脂が内部に流入して固定されれば良いため、従来のOリング溝と比較して、より浅い溝でも上述の効果を得ることができる。したがって、絶縁部材19の肉厚が過剰に厚くなることはない。
【0063】
また、本発明の接続構造では、外部導体25、内部導体27と端子部21、端子28それぞれの接続部(すなわち、銅管15bまたは絶縁部材19の縮径部20b)の外周部に略筒状の樹脂パイプ30を配置して、当該部位の外形を整えるので、当該部位に酷い凹凸形状が形成されることを抑制することができる。
【0064】
したがって、当該部位の外周部に設けた防水チューブが、熱変化や外力によって変形した場合に、防水チューブの端部等に隙間が形成されることを防止することができる。したがって、より効果的に防水性を確保することができる。
【0065】
また、樹脂パイプ30は、周方向に複数に分割されているため、接続部の外周部に配置することが容易である。また、樹脂パイプ30の一部に切欠き部を形成することで、樹脂パイプ30と端子28や端子部21(およびこれらと接続される外部導体25、内部導体27)等との干渉を防止することができる。したがって、樹脂パイプ30の外径を過剰に大きくする必要がない。
【0066】
なお、樹脂パイプ30の外径は、例えば銅管15aの外径と略同等の外径とすることができる。このようにすることで、接続構造全体の最大径が大きくなることがない。
【0067】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0068】
たとえば、接続構造1を構成する各部材等の形状は、図示した例に限られない。また、防水性や絶縁性を確保するため、適宜、図示を省略した防水テープや絶縁テープ等を設けてもよい。