(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776139
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】背負式作業機械及び作業機械
(51)【国際特許分類】
A01D 34/68 20060101AFI20150820BHJP
F02B 63/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
A01D34/68 B
F02B63/02
A01D34/68 F
【請求項の数】9
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-120048(P2010-120048)
(22)【出願日】2010年5月26日
(65)【公開番号】特開2011-244724(P2011-244724A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2013年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】河田 博英
【審査官】
井上 博之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−009052(JP,A)
【文献】
特開2006−314227(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3134673(JP,U)
【文献】
特開2004−266933(JP,A)
【文献】
実公平06−031298(JP,Y2)
【文献】
特開平01−280675(JP,A)
【文献】
特開平02−070926(JP,A)
【文献】
実公平06−033836(JP,Y2)
【文献】
特許第4039458(JP,B2)
【文献】
特開2008−061357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/68
A01G 3/00−3/08
A01M 9/00
F02B 63/00−63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端工具を駆動する第1出力軸を備えるエンジンと、
電動工具用のバッテリを着脱可能に取付けるバッテリ取付部と、
前記バッテリに接続され、前記バッテリの電力で前記先端工具を駆動する電動モータと、
前記エンジンと、前記バッテリ取付部と、を支持する背負部と、を備え、
前記エンジンは、前記第1出力軸の出力により前記バッテリ取付部に取付られた前記バッテリを充電する、
ことを特徴とする背負式作業機械。
【請求項2】
前記電動モータは、前記背負部に支持され、前記先端工具を駆動するための第2出力軸を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の背負式作業機械。
【請求項3】
前記エンジンの第1出力軸により駆動される発電機を備え、当該発電機が、前記バッテリに接続され、前記バッテリの電力で前記エンジンを始動するスタータモータを兼用する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の背負式作業機械。
【請求項4】
前記先端工具は、ドライブシャフトを内装する操作桿の一端に、前記ドライブシャフトにより駆動可能に取付けられ、
前記操作桿の他端には、フレキシブルシャフトを内装するフレキシブルチューブの一端が、前記フレキシブルシャフトと前記ドライブシャフトとの間で動力伝達可能に取付けられ、
前記エンジンは、前記フレキシブルシャフトと前記第1出力軸とを動力伝達可能に、前記フレキシブルチューブの他端に着脱可能に連結する、第1ソケットを備え、
前記電動モータは、前記フレキシブルシャフトと前記第2出力軸とを動力伝達可能に、前記フレキシブルチューブの他端に着脱可能に連結する、第2ソケットを備える、
ことを特徴とする請求項2に記載の背負式作業機械。
【請求項5】
前記バッテリ取付部は、前記バッテリを複数取付け可能である、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の背負式作業機械。
【請求項6】
前記エンジンの第1出力軸により駆動される発電機を備え、当該発電機は、前記エンジンのクランク軸に接続され、前記クランク軸を中心に円周方向に配列した略環状の複数のコイルが設けられた扁平円板状のロータを有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の背負式作業機械。
【請求項7】
前記背負部は、肩ベルトが取付けられ、作業者の背中と接触する第1背負部と、該第1背負部から延出する第2背負部とを備え、
前記エンジンは、前記クランク軸が前記第2背負部の延出方向と略平行に前記第1出力軸が前記第1背負部から離れる方向を向くように、前記第2背負部に取付けられ、
前記発電機が前記クランク軸の第1背負部側に配置される、
ことを特徴とする請求項6に記載の背負式作業機械。
【請求項8】
発電機と先端工具を駆動するための第1出力軸とを備えるエンジンと、
電動工具用のバッテリを着脱可能に取付けるバッテリ取付部と、
前記発電機に接続され、前記バッテリ取付部に取付けられた前記バッテリを充電する充電器と、
前記エンジンと、前記バッテリ取付部と、前記充電器と、を支持する背負部と、
前記背負部に支持され、前記先端工具を駆動するための第2出力軸を備え、前記バッテリの電力で駆動される電動モータと、を備える、
ことを特徴とする背負式作業機械。
【請求項9】
先端工具を駆動し、エンジンと、当該エンジンの出力により充電されるバッテリの電力により駆動される電動モータとを備える駆動部と、
一端部が前記駆動部に接続され、他端部が前記先端工具に接続され、前記駆動部の出力を前記先端工具に伝達する連結部であって、前記一端部と前記他端部との間に把持部が設けられ、前記先端工具に接続される他端部側が管状の操作桿である前記連結部と、
前記連結部又は前記駆動部に設けられ、前記エンジンの出力により前記先端工具を駆動させる第1の駆動モードと、前記電動モータの出力により前記先端工具を駆動させる第2の駆動モードと、を切り換える駆動切換部と、
を備えることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背負式刈払機等の背負式の作業機械
及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、肩ベルトが取付けられたフレームにエンジンを搭載し、作業者が背負って草刈りや送風作業を行う背負式刈払機等の背負式作業機械が知られている。例えば、特許文献1に示す背負式刈払機は、背負いフレームに刈刃を回転させる動力源となるエンジンを搭載している。エンジンの出力はフレキシブルチューブ内のフレキシブルシャフトと操作桿内のドライブシャフトを介して刈刃に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−9051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の背負式刈払機では肩掛式刈払機に比べて排気量が大きく出力の大きいエンジンを搭載することが可能である。しかし、アイドリング時等の非作業時にはエンジンの出力を有効に利用することが困難であるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、エンジンの出力を有効に利用可能な背負式作業機械
及び作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる背負式作業機械は、
先端工具を駆動す
る第1出力軸を備えるエンジンと、
電動工具用のバッテリを着脱可能に取付けるバッテリ取付部と、
前記バッテリに接続され、前記バッテリの電力で前記先端工具を駆動する電動モータと、
前記エンジンと、前記バッテリ取付部と、を支持する背負部と、を備
え、
前記エンジンは、前記第1出力軸の出力により前記バッテリ取付部に取付られた前記バッテリを充電する、
ことを特徴とする。
【0007】
また、
前記電動モータは、前記背負部に支持され、前記先端工具を駆動するための第2出力軸を備
えてもよい。
【0008】
さらに、前記エンジンの第1出力軸により駆動される発電機を備え、当該発電機が、
前記バッテリに接続され、前記バッテリの電力で前記エンジンを始動するスタータモータを兼用してもよい。
【0009】
また、前記先端工具は、ドライブシャフトを内装する操作桿の一端に、前記ドライブシャフトにより駆動可能に取付けられ、
前記操作桿の他端には、フレキシブルシャフトを内装するフレキシブルチューブの一端が、前記フレキシブルシャフトと前記ドライブシャフトとの間で動力伝達可能に取付けられ、
前記エンジンは、前記フレキシブルシャフトと前記第1出力軸とを動力伝達可能に、前記フレキシブルチューブの他端に着脱可能に連結する、第1ソケットを備え、
前記電動モータは、前記フレキシブルシャフトと前記第2出力軸とを動力伝達可能に、前記フレキシブルチューブの他端に着脱可能に連結する、第2ソケットを備える、ことが好ましい。
【0010】
さらに、前記バッテリ取付部は、前記バッテリを複数取付け可能であることが好ましい。
【0011】
また、
前記エンジンの第1出力軸により駆動される発電機を備え、当該発電機は、前記エンジンのクランク軸に接続され、前記クランク軸を中心に円周方向に配列した略環状の複数のコイルが設けられた扁平円板状のロータを有してもよい。
【0012】
さらに、前記背負部は、肩ベルトが取付けられ、作業者の背中と接触する第1背負部と、該第1背負部から延出する第2背負部とを備え、
前記エンジンは、前記クランク軸が前記第2背負部の延出方向と略平行に前記第1出力軸が前記第1背負部から離れる方向を向くように、前記第2背負部に取付けられ、
前記発電機が前記クランク軸の第1背負部側に配置されてもよい。
上記目的を達成するために、本発明にかかる他の背負式作業機械は、
発電機と先端工具を駆動するための第1出力軸とを備えるエンジンと、
電動工具用のバッテリを着脱可能に取付けるバッテリ取付部と、
前記発電機に接続され、前記バッテリ取付部に取付けられた前記バッテリを充電する充電器と、
前記エンジンと、前記バッテリ取付部と、前記充電器と、を支持する背負部と、
前記背負部に支持され、前記先端工具を駆動するための第2出力軸を備え、前記バッテリの電力で駆動される電動モータと、を備える、
ことを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明にかかる作業機械は、
先端工具を駆動し、エンジンと
、当該エンジンの出力により充電されるバッテリの電力により駆動される電動モータとを備える駆動部と、
一端部が前記駆動部に接続され、他端部が前記先端工具に接続され、前記駆動部の出力を前記先端工具に伝達する
連結部であって、前記一端部と前記他端部との間に把持部が設けられ、前記先端工具に接続される他端部側が管状の操作桿である前記連結部と、
前記連結部又は前記駆動部に設けられ、前記エンジンの出力により前記先端工具を駆動させる第1の駆動モードと、前記電動モータの出力により前記先端工具を駆動させる第2の駆動モードと、を切り換える駆動切換部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発電機を備えるエンジンが発電した電力を着脱可能に取付けられるバッテリに蓄えるので、作動中のエンジンの出力を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る背負式作業機の全体を示す斜視図。
【
図4】
図1の背負式作業機に用いられるバッテリの斜視図。
【
図6】
図4のバッテリをコードレス電動工具に用いた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に沿って説明する。
図1に示すように、背負式刈払機(背負式作業機械)1は、肩ベルト2が取付けられ作業者の背中に当接する背当て部(第1背負部)3と背当て部3の下端から作業者の背中から離れる方向に延出する延出部(第2背負部)4とから構成される背負フレーム(背負部)5と、背負フレーム5の延出部4に支持されるエンジン6および電動モータ8と、エンジン6の出力軸(第1出力軸)7または電動モータ8の出力軸(第2出力軸)9に接続されるフレキシブルシャフト10を内部に備えるフレキシブルチューブ11と、フレキシブルシャフト10に接続されるドライブシャフト12を内部に備え、一端でフレキシブルチューブ11に接続し、他端(先端)に刈刃(先端工具)13が取付けられる操作桿14を備える。操作桿14には、刈刃13の作業者側の周囲を覆う飛散防護カバー15と、作業者が把持するループハンドル16とグリップ17とが設けられる。グリップ17には、起動スイッチ18、エンジン6による駆動と電動モータ8による駆動を切替える切替スイッチ19、エンジン6または電動モータ8の出力を制御するスロットルスイッチ20等が配置されたスイッチ部21が設けられる。スイッチ部21とエンジン6および電動モータ8との間には、スイッチ部21での各スイッチ19、20、21の操作をエンジン6または電動モータ8に伝達するフレキシブルコード22が設けられる。
【0016】
図2、
図3に示すように、背負フレーム5の延出部4に支持されるエンジン6は内部にエンジン6の出力軸7を収容するエンジン出力部23を有する。エンジン出力部23内でエンジン6の出力軸7は、背当て部3と略垂直に作業者の背中から離れる方向にエンジン6から延びる。同様に、電動モータ8は、内部に電動モータ8の出力軸9を収容する電動モータ出力部24を有し、電動モータ出力部24内で電動モータ8の出力軸9は、背当て部3と略垂直に作業者の背中から離れる方向に電動モータ8から延びる。エンジン出力部23には、フレキシブルシャフト10とエンジン6の出力軸7とを動力伝達可能にフレキシブルチューブ11の端部を着脱可能に連結するエンジン側ソケット(第1ソケット)25が設けられる。また、電動モータ出力部24には、フレキシブルシャフト10と電動モータ8の出力軸9とを動力伝達可能にフレキシブルチューブ11の端部を着脱可能に連結する電動モータ側ソケット(第2ソケット)26が設けられる。さらに、エンジン6は、燃料タンク27、エアクリーナ28、スタータハンドル29、エンジン6の出力軸9の軸方向に関してエンジン出力部23とは反対に位置する背当て部3側に設けられた発電機30を備える。
【0017】
背負フレーム5の背当て部3には、発電機30に第1ケーブル31を介して接続される充電器32と、複数のバッテリ33を着脱可能に取付ける充電器32に接続されたバッテリ取付部34と、充電器32から電動モータ8に電力を供給する第2ケーブル35が設けられる。バッテリ33は
図4に示すように電動ドライバ等の各種の電動工具に利用可能な突出部36を有する汎用バッテリであり、バッテリ取付部34には突出部36が挿入可能なバッテリ受部37が複数配置される。充電器32は、発電機30が発電した電力をバッテリ33に供給してバッテリ33を充電する他、バッテリ33の電力を電動モータ8に供給して電動モータ8を駆動する、充電制御装置38を備える。なお、充電制御装置38は、充電時にバッテリ38の電池残量に応じて電池残量の少ないバッテリ33から順次充電を行うようにしてもよく、電動モータ8の駆動時は、電動モータ8に電力を供給するバッテリ33の電池残量が少なくなると順次電池残量の多いバッテリ33に切り換えるように制御してもよい。また、バッテリ取付部34には、それぞれのバッテリ33の近傍に、それぞれのバッテリ33の充電状態、例えば満充電であるか否か、あるいはバッテリ残量、を表示する表示装置を設けてもよい。さらに、充電制御装置38は、発電機30が発電した電力を電動モータ8に供給して電動モータ8を駆動するようにしてもよい。
【0018】
図5に示すように、発電機30は、エンジン6のクランク軸39に固定された円板状のロータ40と、発電機30に環状の第1ヨーク41とともに固定された複数の磁石42と、ロータ40を挟んで第1ヨーク41に対向するように設けられた環状の第2ヨーク43と、ロータ40より背当て部3側でロータ40に固定された冷却ファン44を備える。ロータ40は、クランク軸39を中心に円板面上に環を形成するように配列した略環状の複数のコイルが設けられたコイルディスク45が複数積層された扁平円板状のロータ40として構成される。磁石42の磁束は、クランク軸39の軸方向にロータ40を通過する。ロータ40のエンジン側の円板面46にはブラシ47が接触する。そして、発電機30は、ロータ40、磁石42、第1ヨーク41、第2ヨーク43、ブラシ47を備えた直流発電機として構成される。なお、起動スイッチ18の操作時に、充電器32の充電制御装置38によりバッテリ33からブラシ47に電流を供給し、ロータ40に固定されたクランク軸39を回転駆動することで、発電機30はエンジン6を始動するスタータモータを兼用することもできる。
【0019】
このように構成された背負式刈払機1によれば、エンジン6の駆動中はエンジン6の出力軸7の回転がフレキシブルシャフト10からドライブシャフト12を経由して刈刃13に伝えられ刈払い作業を行うことができると同時に、エンジン6のクランク軸39に固定されたロータ40が回転することにより発電機30は発電する。発電機30により発電された電力が充電器32を介してバッテリ33に供給され、バッテリ33の充電が行われる。この状態から、例えば、燃料切れ等によりエンジン6の駆動ができなくなった場合には、切替スイッチ19により駆動源を電動モータ8に切り替えるとともに、フレキシブルチューブ11をエンジン側ソケット25から取外して電動モータ側ソケット26に取付ける。そして、スロットルスイッチ20を操作することにより、エンジン6の駆動中に充電されたバッテリ33により電動モータ8を駆動して刈払い作業を継続することが可能になる。したがって、アイドリング時等エンジン6は作動しているものの切断作業にエンジン6の出力が利用されない場合であっても、エンジン6の出力をバッテリ33に充電することで蓄えることができ、エンジン6の出力を有効に利用することが可能となる。また、エンジン6の出力により充電されたバッテリ33により電動モータ8を駆動するという点でも、エンジン6の出力を有効に利用することができる。そして、燃料の量や電池残量に応じて、エンジン6または電動モータ8のいずれか適切な動力源を用いて背負式刈払機1を駆動することができ、作業時間を長く確保することも可能となる、作業効率を向上させることができる。さらに、民家が近くに存在し、騒音の発生を抑える必要がある等、作業時の周囲の環境に応じて、エンジン6または電動モータ8のいずれか適切な動力源を用いて背負式刈払機1を駆動することが可能となり、周辺環境への負荷を軽減することも可能となる。また、背負フレーム5に電動モータ8とエンジン6を両方搭載しているため、作業中にその場で動力源の変更が可能である。また、バッテリ33は背負フレーム5に取付けることが可能であるため、背負フレーム5のデッドスペースを有効に利用することができる。また、背負式刈払機1では肩掛式刈払機に比べて排気量が大きく出力の大きいエンジン6を搭載することが可能であるため、エンジン6の出力に余裕を持つものがあるが、エンジン6の出力の余裕分をバッテリ33に充電することで有効に利用することができる。
【0020】
バッテリ取付部34には、
図6に示す電動ドライバ50等の各種のコードレス電動工具に利用可能な突出部36を有する汎用のバッテリ33が複数取付けられるので、バッテリ33を電動モータ8の駆動に用いる以外に取り外して他の電動工具に利用することが可能となり、利便性が向上するうえ、エンジン6の出力により充電されたバッテリ33を他の電動工具の駆動に利用するという点で、エンジン6の出力を有効に利用することができる。例えば、作業ライトに使用して作業性を向上させたり、同場所で行われている別作業用の電動工具に使用したり、又は別の電動の刈払機に使用して作業を継続するなど多様に用いることが考えられる。また、他の電動工具に取付けられた充電済みの電池を取り外してバッテリ取付部34に取付けて電動モータ8の駆動に利用することも可能なため、電池残量が無くなった場合でも他の電動工具の電池を利用して作業を継続することが可能となり、利便性が向上する。また、汎用のバッテリ33が用いられる電動工具は、モータからドリルビットやブロワファン等の先端工具に動力を伝達して駆動可能に構成されており、バッテリ33自体が高負荷に耐え得るよう設計されているため、駆動源を切り替えての作業においても、エンジン6と同等かそれに近い作業性を確保することが可能となる。また、バッテリ33としては、ニッケル水素電池、ニカド電池、リチウムイオン電池などを使用することができ、電池電圧が7.2V〜36Vの電池を使用することができる。さらに、発電機30はスタータモータとして利用することが可能なため、始動時の利便性を向上させることもできる。また、スタータハンドル29を備える手動のスタータをエンジン6と発電機30との間に備えているため、始動方法の選択が可能であり、例えばバッテリ33に始動に十分な電力が蓄えられていない場合でも、エンジン6を始動させることが可能である。また、発電機30は、扁平円板状のロータ40を有するので、発電機30のクランク軸39方向の寸法をコンパクトにすることが可能となる。そして、発電機30がクランク軸39の背当て部3側、つまり、エンジン6と背当て部3との間に配置されるので、エンジン6の重心の背当て部3からの距離が離れることを抑制することが可能となり背負い作業時の操作性が向上する。また、冷却ファン44が発電機30の背当て部3側のクランク軸39に固定されるため、冷却ファン44により発生した冷却風により、発電機30、エンジン6、充電器32及びバッテリ33の温度上昇を緩和することも可能となる。
【0021】
尚、本発明の背負式刈払機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本発明では、駆動源の切り替えには、フレキシブルチューブ11をエンジン側ソケット25から取外して電動モータ側ソケット26に取付ける手順を必要としたが、切替スイッチ19の操作に連動して、フレキシブルフャフト10の駆動源側の端部がエンジン6の出力軸7と電動モータ8の出力軸9との間で接続状態を切り替えられる構成としてもよい。このようにすれば、フレキシブルチューブ11を着脱することなく、動力源をエンジン6と電動モータ8との間で変更することができるため作業性が向上し、さらに背負ったままでの継続作業が可能となる。
【0022】
また、本発明では、バッテリ33に突出部36を備え、バッテリ受部37をバッテリ33の突出部36が挿入可能なよう構成したが、例えばバッテリ受部37にレール部を形成し、バッテリ33をスライド可能に取付けるようにしてもよい。このようにしても、各種の電動工具に利用可能なバッテリを流用することができ、利便性が向上する。
【符号の説明】
【0023】
1 背負式刈払機
3 背当て部
4 延出部
5 背負フレーム
6 エンジン
8 電動モータ
11 フレキシブルチューブ
13 刈刃
14 操作桿
30 発電機
32 充電器
33 バッテリ
34 バッテリ取付部
38 充電器制御装置