特許第5776149号(P5776149)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776149
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   A47J27/00 103M
   A47J27/00 103R
   A47J27/00 103N
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-184704(P2010-184704)
(22)【出願日】2010年8月20日
(65)【公開番号】特開2012-40218(P2012-40218A)
(43)【公開日】2012年3月1日
【審査請求日】2013年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】特許業務法人 クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 吉彦
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−115301(JP,A)
【文献】 特開2005−192902(JP,A)
【文献】 特開平06−036873(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内鍋を収納するための開口が設けられた容器本体と、
前記内鍋を加熱する蓋ヒータを有し、前記容器本体の開口を開閉自在に覆う蓋と、
前記蓋に設けられる操作部と
を備え、
前記操作部は、基板と、前記基板を覆う操作パネルと、前記基板上に実装される室温センサとを有し、
前記操作パネルは、フィルムからなるエンボス部を有し、
前記室温センサは、前記蓋が閉じた状態において、前記エンボス部と重なる位置または前記エンボス部近傍であって前記蓋ヒータと重ならない位置に、前記操作パネルに面して配置される
炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温センサが検知した室温に基づいて、吸水、昇温、沸騰維持、追い炊き、蒸らしといった炊飯工程、および保温工程の少なくとも一方を行う炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、炊飯および炊飯後の保温の少なくとも一方を行う炊飯器に関する研究が行われている。例えば、特許文献1には、外蓋の天面に操作パネルを備え、この操作パネルの内面に圧接されるように構成された室温センサを有する炊飯器が開示されている。この室温センサは、炊飯時および保温時の少なくとも一方の室温を検知するためのものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−141426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1に記載の炊飯器は、室温センサによって得られた室温データによって加熱制御を緻密に行うことができる。具体的に、この炊飯器は、検知した室温が所定の温度よりも低い場合に通常の炊飯性能を重視する通常モードで炊飯し、検知した室温が所定の温度よりも高い場合に通常モードよりも給水時間および蒸らし時間を短くし、給水温度を低くする等して省エネルギーを実現する省エネモードによって炊飯する。また、この炊飯器は、検知した室温に基づいて保温の温度を調整することで、ご飯の黄ばみの発生を抑制することができる。
【0005】
しかし、この炊飯器では、精度良く室温を感知するために、室温センサが操作パネル内面に密着して取り付けられている。このため、室温センサを操作パネル内面に取り付けるためのコネクタ等の部材が必要となり、炊飯器の製造コストの増大を招いていた。
【0006】
本発明の目的は、精度良く室温を感知することができ、かつ、製造コストを低減させることができる炊飯器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る炊飯器は、容器本体と、蓋と、操作部とを備える。容器本体には、開口が設けられている。開口は、内鍋を収納するためのものである。蓋は、内鍋を加熱する蓋ヒータを有する。そして、この蓋は、容器本体の開口を開閉自在に覆う。操作部は、蓋に設けられる。また、操作部は、基板と、操作パネルと、室温センサとを有する。操作パネルは、基板を覆う。室温センサは、基板上に実装される。また、操作パネルは、エンボス部を有する。エンボス部は、フィルムからなる。室温センサは、蓋が閉じた状態において、エンボス部と重なる位置またはエンボス部近傍であって蓋ヒータと重ならない位置に配置される。また、室温センサは、操作パネルに面して配置される。
【0008】
この炊飯器では、エンボス部はフィルムからなる。このため、この炊飯器では、エンボス部およびエンボス部近傍における操作部内部の温度は、室温と同じ温度または室温と近い温度になりやすい。そして、この炊飯器では、室温センサは、蓋が閉じた状態において、エンボス部と重なる位置またはエンボス部近傍に、操作パネルに面して配置される。このため、室温センサは、精度良く室温を感知することができる。
【0009】
また、この炊飯器では、室温センサは基板上に実装される。このため、この炊飯器では、室温センサを基板以外の箇所に配置するためのコネクタ等の部材が不要となる。よって、炊飯器の製造コストを低減させることができる。
【0010】
また、この炊飯器では、室温センサは、蓋が閉じた状態において、蓋ヒータと重ならない位置に配置される。このため、室温センサは、蓋ヒータから発生する熱の影響を受けにくい。したがって、室温センサは、より精度良く室温を感知することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る炊飯器は、精度良く室温を感知することができ、かつ、製造コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る炊飯器の斜視図である。
図2図1に示した炊飯器の平面図である。
図3図1に示した炊飯器の側面図である。
図4図1に示した炊飯器の側断面図である。
図5】操作パネルを取り外した状態の炊飯器の平面図である。
図6図1に示した炊飯器の操作基板の平面図である。
図7図1に示した炊飯器の蓋を開けた状態の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1〜3に示されるように、本実施形態に係る炊飯器100は、主に、容器本体200、および蓋300から構成される。
図1〜4に示されるように、容器本体200は、主に、筐体210、内鍋220、ワークコイル230、231、保温ヒータ240、温度センサ250、制御基板260、ヒンジ部270、およびロック部280から構成される。蓋300は、主に、操作部400、放熱板310、蓋ヒータ320、および調圧蓋330から構成される。調圧蓋330は、主に、調圧弁331、および蒸気口332から構成される。操作部400は、主に、操作パネル410、液晶表示部420、液晶表示部保持部材421、および操作基板430から構成される。操作パネル410は、主に、第1エンボス部411、および第2エンボス部412から構成される。
図5、6に示されるように、操作基板430は、主に、室温センサ431、第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、スペーサ432、電池440、およびグランドパターン(図示せず。以下、「GNDパターン」という。)から構成される。スペーサ432は、主に、スペーサ部433、および翼部434から構成される。
以下、炊飯器100の各構成について、それぞれ詳しく説明する。
【0014】
<容器本体>
図1〜4に示されるように、筐体210は、内鍋220が着脱自在に収納できる凹形状に形成され、内鍋220を収納するための開口を有する。筐体210は、中空に形成され、その中空空間にワークコイル230、231、保温ヒータ240、温度センサ250、制御基板260等を内蔵する(図4参照)。内鍋220は、例えば、アルミニウム等の熱伝導性の良好な非磁性体材料と、ステンレス等の磁性体材料とのクラッド鋼からなる。
【0015】
図4に示されるように、ワークコイル230は、内鍋220が筐体210に収納された状態において、内鍋220の底部の中央近傍と、筐体210を介して対向する位置に配置される。ワークコイル231は、内鍋220が筐体210に収納された状態において、内鍋220の底部の外周近傍と、筐体210を介して対向する位置に配置される。
【0016】
これらワークコイル230、231は、高周波電流が供給されることにより、交番磁界を発生する。この発生した交番磁界によって、内鍋220の磁性体材料が誘導発熱することで、内鍋220が加熱される。ワークコイル230、231による加熱の強度は、温度センサ250および室温センサ431の検出温度に応じて調節される。
【0017】
図4に示されるように、保温ヒータ240は、内鍋220が筐体210に収納された状態において、内鍋220の側部と、筐体210を介して対向する位置に配置される。この保温ヒータ240は、給電されると発熱する電熱式ヒータからなり、内鍋220を加熱する。温度センサ250は、内鍋220が筐体210に収納された状態において、内鍋220の底部の中央と面する位置に配置される。
【0018】
制御基板260は、ワークコイル230、231、保温ヒータ240、温度センサ250、蓋ヒータ320、および操作基板430と電気的に接続される。また、この制御基板260は、マイコン制御ユニット(図示せず)を備え、筐体210の後方(矢印X2の方向)側の中空空間に配置される(図4参照)。このマイコン制御ユニットは、温度センサ250、操作基板430の第1スイッチSW1、第2スイッチSW2、および室温センサ431等から送られる信号を受信する。この受信した信号に基づいて、マイコン制御ユニットは、ワークコイル230、231、保温ヒータ240、および蓋ヒータ320等の制御を行い、炊飯時および保温時の内鍋220の温度を適切な温度にする。
【0019】
図4に示されるように、ヒンジ部270は、筐体210の後方(矢印X2の方向)側、かつ、上方(矢印Y1の方向)側に配置される。このヒンジ部270は、蓋300が容器本体200の開口を開閉自在に覆うように、蓋300を保持する。
【0020】
図4に示されるように、ロック部280は、筐体210の前方(矢印X1の方向)側に配置され、閉じた状態の蓋300を容器本体200に係止する。
【0021】
<蓋>
図4に示されるように、蓋300は、容器本体200の開口を覆う形状に形成される。放熱板310は、蓋300に設けられ、蓋300が閉じた状態において、内鍋220近傍に、水平方向に配置される。蓋ヒータ320は、放熱板310の上方(矢印Y1の方向)側に、放熱板310と接触して配置される。
【0022】
蓋ヒータ320は、給電されると発熱する電熱式ヒータからなり、放熱板310を加熱する。加熱された放熱板310は、内鍋220に向かって放熱し、内鍋220および内鍋220内のお米またはご飯を加熱する。後述する室温センサ431は、蓋300が閉じた状態の炊飯器100を平面視したとき、蓋ヒータ320と重ならない位置に配置される(図5参照)。なお、図5に示した蓋ヒータ320は、配置されている箇所がわかりやすいように、簡易的に記載したものである。
【0023】
図4に示されるように、調圧蓋330は、蓋300に設けられる。調圧弁331は、ボール状に形成され、調圧蓋330の内部に配置される。蒸気口332は、調圧蓋330の上方(矢印Y1の方向)側の表面に配置される。
【0024】
調圧弁331は、蓋300が閉じた状態において、容器本体200内部の圧力が調圧弁331の弁圧を超えたとき、容器本体200内部の蒸気を調圧蓋330内部へと流入させる。蒸気口332は、調圧蓋330内部の蒸気を調圧蓋330外部に放出する。このように、調圧蓋330は、炊飯器100内部の蒸気を炊飯器100外部に適宜放出することによって、炊飯器100内部の圧力を調整する。
【0025】
図4に示されるように、操作部400は、蓋300に設けられ、蓋ヒータ320の上方(矢印Y1の方向)側に、かつ、中央よりも前方(矢印X1の方向)側に配置される。この操作部400は、ユーザが炊飯時および保温時などにおける各種設定操作を行うためのものである。
【0026】
<操作部>
図2、4に示されるように、操作パネル410は、フィルムのみの箇所が複数形成されるようにして、フィルムをインサート成形した樹脂材料からなる。操作パネル410のフィルムのみの箇所、すなわち、フィルムからなる箇所が、複数の第1エンボス部411、および複数の第2エンボス部412となる。操作パネル410は、操作基板430を覆うように配置され、操作基板430に水および水蒸気が付着しないように操作部400内部を密閉する。
【0027】
第1エンボス部411および第2エンボス部412は、指で押されると陥没した形状に変形し、指が外されると元の形状に戻るフィルムである。
【0028】
図4に示されるように、第1エンボス部411は、操作基板430の第1スイッチSW1に面して配置される。第2エンボス部412は、操作基板430の第2スイッチSW2に面して配置される。第1スイッチSW1は、第1エンボス部411を介して押され、第2スイッチSW2は、第2エンボス部412を介して押される。
【0029】
第1スイッチSW1は、第2スイッチSW2よりも使用頻度の高いスイッチであり、例えば、「炊飯スイッチ」、「予約スイッチ」、および「取消スイッチ」である。これら第1スイッチSW1に対応して、第1エンボス部411には、「炊飯」、「予約」、および「取消」の文字が印刷されている(図2参照)。第2スイッチSW2は、第1スイッチSW1よりも使用頻度の低いスイッチであり、例えば、時間を設定するための「時刻設定スイッチ」、「保温スイッチ」、おこげを作るための「おこげスイッチ」、および各種メニューを設定するための「メニュースイッチ」である。これら第2スイッチSW2に対応して、第2エンボス部412には、「時・分」、「保温」、「おこげ」、および「メニュー」の文字が印刷されている(図2参照)。
【0030】
図2に示されるように、使用頻度の高いスイッチである第1スイッチSW1を第2スイッチSW2よりも押しやすくするために、第1エンボス部411は、第2エンボス部412よりも広い面積で形成される。よって、第1エンボス部411および第1エンボス部411近傍の操作部400内部の温度は、第2エンボス部412および第2エンボス部412近傍の操作部400内部の温度に比べて、室温と同じ温度または室温と近い温度になりやすい。
【0031】
図4、5に示されるように、液晶表示部420は、炊飯器100の動作状態、予約時間などを表示する。この液晶表示部420は、液晶表示部保持部材421によって保持される。また、液晶表示部420は、操作基板430の上方(矢印Y1の方向)側に、操作パネル410に面して配置される(図4参照)。
【0032】
図4、6に示されるように、室温センサ431、複数の第1スイッチSW1、および複数の第2スイッチSW2は、操作パネル410に面して配置され、操作基板430上に実装される。
【0033】
図2に示されるように、室温センサ431は、サーミスタからなり、蓋300が閉じた状態の炊飯器100を平面視したとき、第1エンボス部411近傍に配置される。また、室温センサ431は、操作パネル410と非接触状態で、かつ、操作基板430に接触した状態で配置される。
【0034】
図5に示されるように、室温センサ431は、平面視において、中央より前方(矢印X1の方向)側に配置される。このため、室温センサ431は、平面視において、中央より後方(矢印X2の方向)側に配置される場合に比べて、ヒンジ部270から遠い位置に配置される。
【0035】
よって、図7に示されるように、蓋300を開けた状態のとき、室温センサ431は、中央より後方側に配置される場合に比べて、加熱された内鍋220および保温ヒータ240との距離が遠くなる。このため、室温センサ431は、内鍋220および保温ヒータ240の熱の影響を受けにくくなる。したがって、室温センサ431は、より精度良く室温を感知することができる。
【0036】
電池440は、操作部400のバックアップ用電源電池であり、液晶表示部420近傍に配置される(図5、6参照)。GNDパターンは、金属箔、例えば銅箔からなり、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2が実装されている側の面とは反対側の面に設けられる。
【0037】
図6に示されるように、室温センサ431は、図左側の第1スイッチSW1と、図中央の第1スイッチSW1との間に配置される。このため、室温センサ431は、金属箔からなる広いGNDパターンが設けられた第1スイッチSW1間に配置されることになる。よって、2つの第1スイッチSW1に係るGNDパターンは、容器本体200側から来る熱をより放熱して、容器本体200側から来る熱が室温センサ431に伝わることを抑制する。したがって、室温センサ431は、より精度良く室温を感知することができる。なお、室温センサ431は、第1スイッチSW1と第2スイッチSW2との間、または第2スイッチSW2間に配置されてもよい。
【0038】
図4、6に示されるように、スペーサ432は、操作パネル410と操作基板430との間に設けられる。スペーサ部433は、第1エンボス部411と第1スイッチSW1との間に設けられ、かつ、第2エンボス部412と第2スイッチSW2との間に設けられる。翼部434は、スペーサ部433の下方(矢印Y2の方向)側の周縁から延出し、液晶表示部保持部材421と繋がった形状で形成される。
【0039】
図6に示されるように、室温センサ431は、翼部434近傍に配置される。ユーザが指で第1エンボス部411およびスペーサ部433を介して第1スイッチSW1を押すとき、スペーサ部433は第1エンボス部411の動きと連動して動く。このため、翼部434および第1エンボス部411の両方の周囲の空気が流動する。よって、翼部434近傍に熱がこもりにくくなる。よって、翼部434近傍における操作部400内部の温度は、室温と同じ温度または室温と近い温度によりなりやすい。したがって、室温センサ431は、より精度良く室温を感知することができる。さらに、スペーサ部433は、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2を押す際の操作性を向上させる。
【0040】
<本実施形態における効果>
以上のように、本実施形態に係る炊飯器100では、第1エンボス部411はフィルムからなる。このため、この炊飯器100では、第1エンボス部411および第1エンボス部411近傍における操作部400内部の温度は、室温と同じ温度または室温と近い温度になりやすい。そして、この炊飯器100では、室温センサ431は、蓋300が閉じた状態の炊飯器100を平面視したとき第1エンボス部411近傍に、操作パネル410に面して配置される。このため、室温センサ431は、精度良く室温を感知することができる。
【0041】
また、この炊飯器100では、室温センサ431は操作基板430上に実装される。このため、この炊飯器100では、室温センサ431を操作基板430以外の箇所に配置するためのコネクタ等の部材が不要となる。よって、炊飯器100の製造コストを低減させることができる。
【0042】
また、本実施形態に係る炊飯器100では、ユーザは、指で第1エンボス部411を介して第1スイッチSW1を押す。第1エンボス部411は、指で押されると陥没した形状に変形し、指が外されると元の形状に戻る。第1エンボス部411の形状が変わることによって、第1エンボス部411の周囲の空気が流動するので、第1スイッチSW1近傍に熱がこもりにくくなる。このため、第1エンボス部411および第1エンボス部411近傍における操作部400内部の温度は、室温と同じ温度または室温と近い温度によりなりやすい。したがって、室温センサ431は、より精度良く室温を感知することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る炊飯器100では、ユーザが指でスイッチを押すときに邪魔になるため、第1スイッチSW1近傍では、他の電子部品を操作基板430上に実装することができない。このため、第1スイッチSW1では、操作基板430の第1スイッチSW1が実装されている側の面(実装面)とは反対側の面(半田面)に、通常、他の電子部品と比べて、広いGNDパターンが設けられている。このGNDパターンは、金属箔からなるので、容器本体200側から来る熱を放熱して、容器本体200側から来る熱が室温センサ431に伝わることを抑制することができる。よって、室温センサ431は、より精度良く室温を感知することができる。さらに、金属箔からなる広いGNDパターンが操作基板430に設けられることによって、操作基板430の強度が向上する。
【0044】
また、本実施形態に係る炊飯器100では、室温センサ431は、蓋300が閉じた状態の炊飯器100を平面視したとき、蓋ヒータ320と重ならない位置に配置される。このため、室温センサ431は、蓋ヒータ320から発生する熱の影響を受けにくい。したがって、室温センサ431は、より精度良く室温を感知することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る炊飯器100では、室温センサ431と操作パネル410との間に低熱伝導性である空気の空間が存在することで、操作パネル410側から来る熱、例えば、操作パネル410に付着した蒸気、おねば等の熱が室温センサ431に伝わりにくくなる。このため、室温センサ431は、より精度良く室温を感知することができる。
【0046】
<変形例>
(A)
室温センサ431は、操作基板430から浮かせた状態で配置されてもよい。この炊飯器100では、室温センサ431と操作基板430との間に低熱伝導性である空気の空間が存在することで、操作基板430側から来る熱が室温センサ431に伝わりにくくなる。このため、室温センサ431は、より精度良く室温を感知することができる。
【0047】
(B)
第1エンボス部411および第2エンボス部412は、空気を通し、水および水蒸気を遮断する水分バリア性を有するフィルムが用いられてもよい。このフィルムは、例えば、実公平06−026235に開示されているフィルム、具体的にナイロン製布地にポリウレタンをコーテイングしたフィルムである。
【0048】
第1エンボス部411および第2エンボス部412は空気を通すので、操作部400内部と操作部400外部との間を空気が行き来しやすくなる。このため、操作部400内部に熱がこもりにくくなる。なお、第1エンボス部411または第2エンボス部412のいずれか一方が、空気を通し、水分バリア性を有するフィルムであってもよい。また、操作パネル410全体が、空気を通し、水分バリア性を有するものであってもよい。
【0049】
(C)
室温センサ431は、蓋300が閉じた状態の炊飯器100を平面視したとき、第1エンボス部411と重なる位置に配置されてもよい。また、室温センサ431は、第2エンボス部412と重なる位置または第2エンボス部412近傍に配置されてもよい。これらのような室温センサ431の配置の場合であっても、炊飯器100は上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0050】
(D)
操作パネル410は、フィルムをインサート成形したものではなく、フィルムのみからなるものであってもよい。
【0051】
(E)
室温センサ431は、第1スイッチSW1および第2スイッチSW2のうち、ユーザの押す頻度が最も高いスイッチ近傍に配置されてもよい。ユーザの押す頻度が最も高いスイッチに対応するエンボス部は、指で押されて形状が頻繁に変わる。このため、エンボス部の周囲の空気がより流動しやすくなる。よって、この炊飯器100では、ユーザの押す頻度が最も高いスイッチ近傍に熱がこもりにくくなる。
【0052】
(F)
電池440は、使用温度の制限を考慮して、室温センサ431と同様に、蓋300が閉じた状態の炊飯器100を平面視したとき、蓋ヒータ320と重ならない位置に配置されてもよい。また、その他の使用温度に制限のある部品についても、上記と同様の位置に配置されてもかまわない。
【符号の説明】
【0053】
100 炊飯器
200 容器本体
220 内鍋
300 蓋
400 操作部
410 操作パネル
411 第1エンボス部(エンボス部)
412 第2エンボス部(エンボス部)
430 操作基板(基板)
431 室温センサ
SW1 第1スイッチ(スイッチ)
SW2 第2スイッチ(スイッチ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7