【実施例1】
【0013】
以下、本発明に係る巻上機の第1の実施例について説明する。
はじめに、本実施例に係る巻上機の構成について説明する。
図1は、本実施例に係る巻上機の断面図である。また、
図2は、本実施例に係る巻上機の側面図である。また、
図3は、本実施例に係る巻上機の正面図である。また、
図4は、本実施例に係る巻上機の背面図である。また、
図5は、本実施例に係る巻上機の他の実施例の断面図である。なお、以下の説明における左右は、
図1,2,5における左右を基準とする。
【0014】
図1〜4に示すように、本実施例に係る巻上機1においては、
綱車10は外筒10aと内筒10bを連結部10cで結合した構造となっている。左側スタンド11には、
綱車10を水平に設置するための支持部11aが形成されている。右側スタンド12には、
綱車10を水平に設置するための支持部12aが形成されている。
【0015】
綱車10の内筒10bと左側スタンド11の支持部11aとの間には、
綱車10を回転可能に支持する左側軸受け13が設置されている。
綱車10の内筒10bと右側スタンド12の支持部12aとの間には、
綱車10を回転可能に支持する右側軸受け14が設置されている。
【0016】
左側軸受け13の外輪13a及び
右側軸受け14の外輪14aは、
綱車10の内筒10bの内側と結合されている。左側軸受け13の内輪13bは、左側スタンド11の支持部11aの外側と結合されている。右側軸受け14の内輪14bは、左側スタンド12の支持部12aの外側と結合されている。
【0017】
なお、
綱車10を左側スタンド11及び右側スタンド12に設置する際には、はじめに、左側スタンド11及び右側スタンド12をベッド15に仮固定し、次に、左側スタンド11及び右側スタンド12に
綱車10を設置した上で、左側スタンド11と右側スタンド12の間隔やねじれを修正して
綱車10の回転軸の芯出しを行い、最後に、左側スタンド11と右側スタンド12をベッド15に固定する。
【0018】
綱車10の左側スタンド11側の端部には、ロータコア20が設置され、ロータコア20の内側には磁石21が設置されている。ロータコア20と磁石21とによりモータにおける二次側の回転子4を構成している。左側スタンド11の磁石21と対向する位置には、ステータコア22が設置され、ステータコア22には界磁巻線23が設置されている。ステータコア22と界磁巻線23とによりモータにおける一次側の固定子5を構成している。そして、回転子4と固定子5とによりモータ部2を構成している。
【0019】
なお、本実施例においては、ロータコア20は
綱車10とは別の部材で構成することとしたが、
図5に示すように、ロータコア20を
綱車10と一体に形成することとしてもよい。
【0020】
綱車10の右側スタンド12側の端部には、円盤状のブレーキディスク30が配置されている。右側スタンド12には、
綱車10の回転を制動するブレーキ装置31が設置されている。なお、
図1,5においては、ブレーキ装置31は二点鎖線により示す。
【0021】
ブレーキ装置31は、ブレーキディスク30に対向しブレーキディスク30を挟むライニング等の摩擦部32を備えている。そして、ブレーキ装置31は、摩擦部32によりブレーキディスク30を挟むことにより、
綱車10の回転を停止させることができる。ブレーキディスク30とブレーキ装置31によりブレーキ部3を構成している。
【0022】
なお、本実施例においては、ブレーキディスク30は
綱車10とは別の部材で構成することとしたが、
図5に示すように、ブレーキディスク30を
綱車10と一体に形成することとしてもよい。
また、本実施例においては、ディスクブレーキ方式を適用することとしたが、これ以外にも、例えば、ドラムブレーキ方式等を適用するように構成することも可能である。
【0023】
また、本実施例においては、左側にモータ部2を配置し右側にブレーキ部3を配置する構成を例として説明したが、左側にブレーキ部3を配置し右側にモータ部2を配置する構成とすることも可能である。
以上が本実施例に係る巻上機1の構成についての説明である。
【0024】
次に、本実施例に係る巻上機1の動作について説明する。
本実施例に係る巻上機1は、
綱車10が左
側スタンド11及び右
側タンド12に回転可能に支持されている。左側スタンド11及び右側スタンド12は
綱車10の回転軸が芯出しされた状態で固定されている。
【0025】
ブレーキ装置31の摩擦部32がブレーキディスク30と接触していない状態、すなわちブレーキの開放状態でモータ部2を運転すると、回転子4が回転する。この回転子4は
綱車10と結合されており、
綱車10とブレーキディスク30も結合されているため、回転子4、
綱車10及びブレーキディスク30は共に回転する。したがって、モータ部2の回転を制御することにより、
綱車10及びブレーキディスク30の回転を制御することができる。
【0026】
また、ブレーキディスク30にブレーキ装置31の摩擦部32を押し付けて圧力を加えた状態、すなわちブレーキの作動状態では、ブレーキディスク30にブレーキトルクが発生し、回転中のブレーキディスク30が減速して停止する。ブレーキディスク30の停止後は、ブレーキディスク30の停止状態が保持される。
【0027】
また、モータ部2の回転数の制御によりブレーキディスク30が停止した後にブレーキを作動させた場合も、ブレーキディスク30の停止状態を保持することができる。そして、回転子4、
綱車10及びブレーキディスク30は一体となっているため、回転子4、
綱車10及びブレーキディスク30を共に回転させ、停止させることができる。
以上が本実施例に係る巻上機1の動作についての説明である。
【0028】
以上説明したように、本実施例に係る巻上機1によれば、
綱車10に回転子4とブレーキディスク30を直接取り付ける構成となっているため、片持ち軸が不要となり、巻上機1の構造を簡素化することができる。
【0029】
また、本実施例に係る巻上機1によれば、撓みの発生しやすい片持ち軸がなくなるため、片持ち軸の軸荷重による撓みの問題がなくなり、従来の巻上機に比べ部品数が減少し、小型化及び軽量化を図ることができる。
また、本実施例に係る巻上機1によれば、撓みの発生しやすい片持ち軸がなくなるため、片持ち軸の軸荷重による撓みの問題がなくなり、超大型の巻上機を製作することができる。
【0030】
また、本実施例に係る巻上機1によれば、巻上機1の構造を簡素化し、小型化及び軽量化を図ることができるため、コストを低減することができる。
また、本実施例に係る巻上機1によれば、巻上機1の小型化を図ることができるため、エレベータの設置スペースを小さくすることができる。
【0031】
したがって、本実施例に係る巻上機1によれば、簡素な構成でありながら積載質量の大きい巻上機を提供することができる。
【実施例3】
【0038】
以下、本発明に係る巻上機の第3の実施例について説明する。
図11は、本実施例に係る巻上機の断面図である。また、
図12は、本実施例に係る巻上機の側面図である。また、
図13は、本実施例に係る巻上機の正面図である。また、
図14は、本実施例に係る巻上機の背面図である。また、
図15は、本実施例に係る巻上機の他の実施例の断面図である。なお、以下の説明における左右は、
図11,12,15における左右を基準とする。
【0039】
図11〜14に示すように、本実施例に係る巻上機1の構成は、第1の実施例に係る巻上機1の構成とほぼ同様であるが、
綱車10の内筒10bの内部に凸部10dを形成し、この凸部10dに設置した回転検出軸50と、回転検出軸50に設置される回転検出器60とを備える点が異なっている。
【0040】
回転検出器60は、内側の回転部60aと外側の固定部60bとにより構成されている。回転検出器60の回転部60aは、ナット50aにより回転検出軸50に固定する。回転検出器60の固定部60bは、固定部材11bにより左側スタンド11に固定する。
【0041】
したがって、本実施例に係る巻上機1においては、
綱車10の内筒10bの内部の凸部10dに設置された回転検出軸50が
綱車10と共に回転する。そして、回転検出器60は、回転検出軸50と左側スタンド11との間に取り付けられているため、
綱車10と共に回転し、停止するモータ部2の回転を検出することができる。
【0042】
なお、本実施例においては、ロータコア20は
綱車10とは別の部材で構成することとしたが、
図15に示すように、ロータコア20を
綱車10と一体に形成することとしてもよい。
また、本実施例においては、ブレーキディスク30は
綱車10とは別の部材で構成することとしたが、
図15に示すように、ブレーキディスク30を
綱車10と一体に形成することとしてもよい。
【0043】
また、本実施例においては、回転検出器60を左側に配置する場合を例に説明したが、
図15に示すように、回転検出器60を右側に配置する構成とし、回転検出器60の固定部60bを固定部材12bにより右側スタンド12に固定することも可能である。
また、本実施例に係る巻上機1の構成は、第2の実施例に係る巻上機1においても適用することが可能である。
【0044】
以上説明したように、本実施例に係る巻上機1によれば、第1の実施例に係る巻上機1の奏する効果に加え、通常、アウターロータ型の巻上機1においては回転検出軸50を外部に取り出すことが困難であるため、回転検出器60の取り付け構造が複雑となるが、アウターロータ型の巻上機1であっても、簡素な構造で回転検出器60を取り付けることができる。