特許第5776169号(P5776169)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5776169交通環境情報辞書作成装置、交通環境情報辞書作成方法、及び交通環境情報辞書作成プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776169
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】交通環境情報辞書作成装置、交通環境情報辞書作成方法、及び交通環境情報辞書作成プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20150820BHJP
   G06F 17/30 20060101ALI20150820BHJP
   G06F 17/21 20060101ALI20150820BHJP
   G06Q 50/00 20120101ALI20150820BHJP
   G06F 13/00 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   G08G1/00 A
   G06F17/30 170J
   G06F17/30 210A
   G06F17/30 310Z
   G06F17/21
   G06F17/60
   G06F13/00 510G
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2010-267810(P2010-267810)
(22)【出願日】2010年11月30日
(65)【公開番号】特開2012-118754(P2012-118754A)
(43)【公開日】2012年6月21日
【審査請求日】2013年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】村松 竜弥
(72)【発明者】
【氏名】野本 洋一
(72)【発明者】
【氏名】山田 英夫
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−250067(JP,A)
【文献】 特開2003−099456(JP,A)
【文献】 特表2003−532210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00−99/00
G06F 13/00
G06F 17/21
G06F 17/30
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報提供を行う情報提供者から提供された提供情報を、当該情報提供者によって当該提供情報が提供された位置を特定する位置情報に関連付けて格納する提供情報格納手段と、交通環境事象を特定する情報と当該交通環境事象が発生している範囲を特定する情報とを含む交通環境情報を配信する交通環境情報配信手段とに、ネットワークを介して通信可能に接続された交通環境情報辞書作成装置であって、
前記提供情報と当該提供情報に対応する前記位置情報とを、前記提供情報格納手段から取得する提供情報取得手段と、
前記交通環境情報を前記交通環境情報配信手段から取得する交通環境情報取得手段と、
前記提供情報取得手段により取得された位置情報と、前記交通環境情報取得手段により取得された交通環境情報とに基づき、前記交通環境事象が発生している範囲内で提供された前記提供情報を特定し、当該特定した提供情報に含まれる語句の少なくとも一部を、当該発生している交通環境事象に関連付けて、語句と交通環境事象とを相互に関連付けて格納する交通環境情報語句格納手段に格納する、交通環境情報辞書登録手段と、
を備える交通環境情報辞書作成装置。
【請求項2】
前記交通環境情報辞書登録手段は、同一の語句が、同種の前記交通環境事象が発生している範囲内で提供された前記提供情報に含まれていた累積回数に基づき、当該語句を前記交通環境情報語句格納手段に格納するか否かを判定する、
請求項1に記載の交通環境情報辞書作成装置。
【請求項3】
前記提供情報格納手段が、前記情報提供者を一意に識別する提供者識別情報を、当該情報提供者から提供された前記提供情報と関連付けて格納する場合において、
前記提供情報取得手段は、前記提供者識別情報を前記提供情報格納手段から取得し、
前記交通環境情報辞書登録手段は、前記語句を、当該語句を含む提供情報に対応する前記提供者識別情報に関連付けて前記交通環境情報語句格納手段に格納する、
請求項1又は2に記載の交通環境情報辞書作成装置。
【請求項4】
前記交通環境情報辞書登録手段は、前記提供情報取得手段により取得された位置情報に基づき、前記語句を、当該語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域に関連付けて前記交通環境情報語句格納手段に格納する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の交通環境情報辞書作成装置。
【請求項5】
情報提供を行う情報提供者から提供された提供情報と、当該情報提供者によって当該提供情報が提供された位置を特定する位置情報とを、当該提供情報と当該位置情報とを相互に関連付けて格納する提供情報格納手段から取得する提供情報取得ステップと、
交通環境事象を特定する情報と当該交通環境事象が発生している範囲を特定する情報とを含む交通環境情報を、当該交通環境情報を配信する交通環境情報配信手段から取得する交通環境情報取得ステップと、
前記提供情報取得ステップで取得された位置情報と、前記交通環境情報取得ステップで取得された交通環境情報とに基づき、前記交通環境事象が発生している範囲内で提供された前記提供情報を特定し、当該特定した提供情報に含まれる語句の少なくとも一部を、当該発生している交通環境事象に関連付けて記憶手段に格納する、交通環境情報辞書登録ステップと、
を含む交通環境情報辞書作成方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる交通環境情報辞書作成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通環境情報辞書作成装置、交通環境情報辞書作成方法、及び交通環境情報辞書作成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文章に含まれている所定の単語を抽出して辞書に登録することが行われている。例えば、単語データ受信手段により受信された単語データのうちユーザ辞書に登録されていない単語データの少なくとも一部をユーザ辞書に追加して登録する、単語登録システムが提案されている。この単語登録システムでは、単語の「読み」とそれに対応する漢字とを予め対応付けた単語データを、例えばWebサイトからインターネットを介して受信し、当該受信した単語データがユーザ辞書に登録されていない場合に、ユーザ辞書に追加登録する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−99531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば渋滞、交通規制、工事、事故、イベント、天気、路面の滑りやすさ、駐車場の込み具合、鉄道の遅延状況等を含む交通環境事象と、これらの交通環境事象を表す語句とを対応付けて登録した交通環境情報辞書を作成することが考えられる。しかしながら、上述の如き従来のシステムを用いて交通環境情報辞書に語句を登録する場合、語句とそれに対応する交通環境事象とを予め対応付けたデータを用いなければ辞書に登録することができなかった。従って、交通環境事象を表す語句として一般的ではないために交通環境事象と予め対応付けられていない語句(例えば特定の地域のみで用いられる語句や、特定の利用者のみにより用いられる語句)については、当該交通環境事象と対応付けて辞書に登録することができなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、交通環境事象を表す語句として一般的ではない語句についても交通環境情報辞書に登録することができる、交通環境情報辞書作成装置、交通環境情報辞書作成方法、及び交通環境情報辞書作成プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の交通環境情報辞書作成装置は、情報提供を行う情報提供者から提供された提供情報を、当該情報提供者によって当該提供情報が提供された位置を特定する位置情報に関連付けて格納する提供情報格納手段と、交通環境事象を特定する情報と当該交通環境事象が発生している範囲を特定する情報とを含む交通環境情報を配信する交通環境情報配信手段とに、ネットワークを介して通信可能に接続された交通環境情報辞書作成装置であって、前記提供情報と当該提供情報に対応する前記位置情報とを、前記提供情報格納手段から取得する提供情報取得手段と、前記交通環境情報を前記交通環境情報配信手段から取得する交通環境情報取得手段と、前記提供情報取得手段により取得された位置情報と、前記交通環境情報取得手段により取得された交通環境情報とに基づき、前記交通環境事象が発生している範囲内で提供された前記提供情報を特定し、当該特定した提供情報に含まれる語句の少なくとも一部を、当該発生している交通環境事象に関連付けて、語句と交通環境事象とを相互に関連付けて格納する交通環境情報語句格納手段に格納する、交通環境情報辞書登録手段と、を備える。
【0007】
また、請求項2に記載の交通環境情報辞書作成装置は、請求項1に記載の交通環境情報辞書作成装置において、前記交通環境情報辞書登録手段は、同一の語句が、同種の前記交通環境事象が発生している範囲内で提供された前記提供情報に含まれていた累積回数に基づき、当該語句を前記交通環境情報語句格納手段に格納するか否かを判定する。
【0008】
また、請求項3に記載の交通環境情報辞書作成装置は、請求項1又は2に記載の交通環境情報辞書作成装置において、前記提供情報格納手段が、前記情報提供者を一意に識別する提供者識別情報を、当該情報提供者から提供された前記提供情報と関連付けて格納する場合において、前記提供情報取得手段は、前記提供者識別情報を前記提供情報格納手段から取得し、前記交通環境情報辞書登録手段は、前記語句を、当該語句を含む提供情報に対応する前記提供者識別情報に関連付けて前記交通環境情報語句格納手段に格納する。
【0009】
また、請求項4に記載の交通環境情報辞書作成装置は、請求項1から3のいずれか一項に記載の交通環境情報辞書作成装置において、前記交通環境情報辞書登録手段は、前記提供情報取得手段により取得された位置情報に基づき、前記語句を、当該語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域に関連付けて前記交通環境情報語句格納手段に格納する。
【0010】
また、請求項5に記載の交通環境情報辞書作成方法は、情報提供を行う情報提供者から提供された提供情報と、当該情報提供者によって当該提供情報が提供された位置を特定する位置情報とを、当該提供情報と当該位置情報とを相互に関連付けて格納する提供情報格納手段から取得する提供情報取得ステップと、交通環境事象を特定する情報と当該交通環境事象が発生している範囲を特定する情報とを含む交通環境情報を、当該交通環境情報を配信する交通環境情報配信手段から取得する交通環境情報取得ステップと、前記提供情報取得ステップで取得された位置情報と、前記交通環境情報取得ステップで取得された交通環境情報とに基づき、前記交通環境事象が発生している範囲内で提供された前記提供情報を特定し、当該特定した提供情報に含まれる語句の少なくとも一部を、当該発生している交通環境事象に関連付けて記憶手段に格納する、交通環境情報辞書登録ステップと、を含む。
【0011】
また、請求項6に記載の交通環境情報辞書作成プログラムは、請求項5に記載の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の交通環境情報辞書作成装置、請求項5に記載の交通環境情報辞書作成方法、及び請求項6に記載の交通環境情報辞書作成プログラムによれば、提供情報取得手段により取得された位置情報と、交通環境情報取得手段により取得された交通環境情報とに基づき、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報を特定し、当該特定した提供情報に含まれる語句の少なくとも一部を、当該発生している交通環境事象に関連付けて交通環境情報語句格納手段に格納するので、交通環境事象を表す語句として一般的ではない語句についても、特定の交通環境事象を表す語句として交通環境情報語句格納手段に格納することができる。
【0013】
また、請求項2に記載の交通環境情報辞書作成装置によれば、交通環境情報辞書登録手段は、同一の語句が、同種の交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれていた累積回数に基づき、当該語句を交通環境情報語句格納手段に格納するか否かを判定するので、同種の交通環境事象について一定程度使用されている語句のみを交通環境情報語句格納手段に格納することができ、交通環境情報語句格納手段の信頼性を向上させることができる。
【0014】
また、請求項3に記載の交通環境情報辞書作成装置によれば、交通環境情報辞書登録手段は、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれる語句を、当該語句を含む提供情報に対応する提供者識別情報に関連付けて交通環境情報語句格納手段に格納するので、交通環境事象を表す語句として一般的ではなく、所定の情報提供者のみにおいて用いられる語句についても、当該交通環境事象を表す情報提供者特有の語句として交通環境情報語句格納手段に格納することができる。
【0015】
また、請求項4に記載の交通環境情報辞書作成装置によれば、交通環境情報辞書登録手段は、提供情報取得手段により取得された位置情報に基づき、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれる語句を、当該語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域に関連付けて交通環境情報語句格納手段に格納するので、交通環境事象を表す語句として一般的ではなく、所定の地域のみにおいて用いられる語句についても、当該交通環境事象を表す地域特有の語句として交通環境情報語句格納手段に格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に係る交通環境情報辞書作成装置を例示するブロック図である。
図2】キーワード辞書に格納されている情報を例示した表である。
図3】情報提供者「△△」についてのユーザ辞書に格納されている情報を例示した表である。
図4】一定範囲の地域「△×地区」についてのエリア辞書に格納されている情報を例示した表である。
図5】交通環境情報辞書に格納されている情報を例示した表である。
図6】キーワード辞書登録処理のフローチャートである。
図7】端末装置から提供情報公開サーバにアップロードされ、当該提供情報公開サーバに格納される提供情報を例示した表である。
図8】分類処理のフローチャートである。
図9】交通環境情報辞書登録処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る交通環境情報辞書作成装置、交通環境情報辞書作成方法、及び交通環境情報辞書作成プログラムの実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(構成)
最初に、実施の形態に係る交通環境情報辞書作成装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る交通環境情報辞書作成装置を例示するブロック図である。図1に示すように、交通環境情報辞書作成装置1は、提供情報公開サーバ3、及び交通環境情報配信サーバ4と、ネットワーク2を介して通信可能に接続されている。
【0019】
提供情報公開サーバ3は、情報提供者から提供された提供情報を、当該提供情報が提供された位置を特定する位置情報に関連付けて格納する提供情報格納手段である。この提供情報公開サーバ3の具体的な内容は任意であり、例えば、SNS(Social Networking Service)サーバや、各種ブログサイト等のサーバを用いることができる。提供情報公開サーバ3に対しては、ネットワーク2を介して端末装置(図示省略)が接続されている。この端末装置からは、情報提供者によってテキスト形式の提供情報が提供情報公開サーバ3にアップロードされ、当該提供情報が読み出し可能に当該提供情報公開サーバ3に格納される。
【0020】
交通環境情報配信サーバ4は、交通環境事象(例えば、渋滞、交通規制、工事、事故、イベント、天気、路面の滑りやすさ、駐車場の込み具合、鉄道の遅延状況等)を特定する情報と当該交通環境事象が発生している範囲を特定する情報とを含む交通環境情報を配信する交通環境情報配信手段である。この交通環境情報配信サーバ4としては、例えば、VICS(Vehicle Information and Communication System)においてFM多重放送やビーコン等を介して交通環境情報を配信する配信サーバ等を用いることができる。なお、交通環境情報配信サーバ4は、例えば警察、道路管理者、各種交通機関運行者等から提供された情報や、車両から収集したプローブ情報等に基づき、交通環境情報を取得する。
【0021】
交通環境情報辞書作成装置1は、図1に示すように、通信部10、制御部20、及びデータ記録部30を備えている。
【0022】
(構成−通信部)
通信部10は、ネットワーク2を介して提供情報公開サーバ3や交通環境情報配信サーバ4と通信を行う通信手段であり、公知の通信装置を用いることができる。
【0023】
(構成−制御部)
制御部20は、交通環境情報辞書作成装置1を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。特に、本実施の形態に係る交通環境情報辞書作成プログラムは、任意の記録媒体又はネットワーク2を介して交通環境情報辞書作成装置1にインストールされることで、制御部20の各部を実質的に構成する。
【0024】
この制御部20は、機能概念的に、提供情報取得部21、交通環境情報取得部22、及び交通環境情報辞書登録部23を備えている。提供情報取得部21は、提供情報と当該提供情報に対応する位置情報とを、提供情報公開サーバ3から取得する提供情報取得手段である。交通環境情報取得部22は、交通環境情報を交通環境情報配信サーバ4から取得する交通環境情報取得手段である。交通環境情報辞書登録部23は、所定の語句を交通環境情報辞書に登録する交通環境情報辞書登録手段である。これらの制御部20の各部によって実行される処理の詳細については後述する。
【0025】
(構成−データ記録部)
データ記録部30は、交通環境情報辞書作成装置1の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)の如き磁気的記録媒体を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、フラッシュメモリの如き半導体型記憶媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0026】
このデータ記録部30は、キーワード辞書31、ユーザ辞書32、エリア辞書33、及び交通環境情報辞書34を備えている。
【0027】
キーワード辞書31は、提供情報取得部21が提供情報公開サーバ3から取得した提供情報に含まれる語句を格納する格納手段である。図2は、キーワード辞書31に格納されている情報を例示した表である。この図2に示すように、キーワード辞書31には、項目「語句」「事象」及び「総使用回数」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。この内、項目「語句」に対応して格納される情報は、提供情報取得部21が提供情報公開サーバ3から取得した提供情報に含まれる語句である(図2では「渋滞」「混んでる」等)。項目「事象」に対応して格納される情報は、対応する語句を含む提供情報が提供された位置で発生していた交通環境事象を示す情報である(図2では「渋滞」)。項目「総使用回数」に対応して格納される情報は、同一の語句が、同種の交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれていた累積回数を示す情報である(図2では同一の語句「渋滞」が同種の交通環境事象「渋滞」が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれていた累積回数として「532」等)。
【0028】
ユーザ辞書32は、提供情報取得部21が提供情報公開サーバ3から取得した提供情報に含まれる語句を、その提供情報を提供した情報提供者毎に格納する格納手段である。図3は、情報提供者「△△」についてのユーザ辞書32に格納されている情報を例示した表である。この図3に示すように、ユーザ辞書32には、項目「語句」及び「ユーザ使用回数」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「語句」に対応して格納される情報は、提供情報取得部21が提供情報公開サーバ3から取得した提供情報の内、当該ユーザ辞書32に対応する情報提供者(図3の例では「△△」)が提供した提供情報に含まれる語句である(図3では「渋滞」「混んでる」等)。項目「ユーザ使用回数」に対応して格納される情報は、対応する語句が、当該ユーザ辞書32に対応する情報提供者が提供した提供情報に含まれていた回数を示す情報である(図3では語句「渋滞」について「30」等)。
【0029】
エリア辞書33は、提供情報取得部21が提供情報公開サーバ3から取得した提供情報に含まれる語句を、その提供情報が提供された位置を含む地域毎に格納する格納手段である。ここで「地域」とは、例えば「△×地区」の如き一定範囲の領域や、「□○ICから×△ICまで」の如き一定の道路区間等、何らかの境界により区分された区域を示す概念である。以下では、一定範囲の領域を示す場合を例として説明する。図4は、一定範囲の地域「△×地区」についてのエリア辞書33に格納されている情報を例示した表である。この図4に示すように、エリア辞書33には、項目「語句」及び「エリア使用回数」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。項目「語句」に対応して格納される情報は、提供情報取得部21が提供情報公開サーバ3から取得した提供情報の内、当該エリア辞書33に対応する地域(図4の例では「△×地区」)に含まれる位置から提供された提供情報に含まれる語句である(図4では「渋滞」「混んでる」等)。項目「エリア使用回数」に対応して格納される情報は、対応する語句が、当該エリア辞書33に対応する地域に含まれる位置から提供された提供情報に含まれていた回数を示す情報である(図4では語句「渋滞」について「145」等)。なお、各エリア辞書33には、当該エリア辞書33に対応する地域の範囲を特定するための情報(例えば当該地域の境界線を特定するための座標)が付加されているものとする。
【0030】
交通環境情報辞書34は、語句と交通環境事象とを相互に関連付けて格納する交通環境情報語句格納手段である。図5は、交通環境情報辞書34に格納されている情報を例示した表である。この図5に示すように、交通環境情報辞書34には、項目「語句」「事象」及び「分類」に対応する情報が相互に関連付けて格納されている。この内、項目「語句」に対応して格納される情報は、提供情報取得部21が提供情報公開サーバ3から取得した提供情報に含まれる語句の少なくとも一部である(図5では「渋滞」「混んでる」等)。項目「事象」に対応して格納される情報は、対応する語句を含む提供情報が提供された位置で発生していた交通環境事象を示す情報である(図5では「渋滞」)。項目「分類」に対応して格納される情報は、対応する語句の分類を示す情報であり、対応する交通環境事象を表す語句として一般的に用いられていることを示す情報(図5では「全域」)、対応する語句を含む提供情報を提供した情報提供者を一意に識別する提供者識別情報(図5では「△△」)、又は対応する語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域を示す情報(「△×地区」)が格納される。
【0031】
これらのキーワード辞書31、ユーザ辞書32、エリア辞書33、及び交通環境情報辞書34に各情報が格納されるタイミングや各情報の取得元等の詳細については後述する。
【0032】
(処理)
次に、このように構成された交通環境情報辞書作成装置1によって実行される処理について説明する。交通環境情報辞書作成装置1によって実行される処理は、キーワード辞書登録処理、及び、交通環境情報辞書登録処理に大別される。
【0033】
(処理−キーワード辞書登録処理)
まず、キーワード辞書登録処理について説明する。図6はキーワード辞書登録処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。このキーワード辞書登録処理は、例えば、交通環境情報辞書作成装置1に電源が投入された後、所定の周期にて繰り返し起動される。
【0034】
図6に示すように、キーワード辞書登録処理が開始されると、提供情報取得部21は、提供情報、当該提供情報が提供された位置を特定する位置情報、及び当該提供情報を提供した情報提供者を一意に識別する提供者識別情報を、提供情報公開サーバ3から取得する(SA1)。
【0035】
図7は、端末装置から提供情報公開サーバ3にアップロードされ、当該提供情報公開サーバ3に格納される提供情報を例示した表である。図7に示すように、提供情報公開サーバ3により、項目「ユーザ」「提供情報」及び「位置情報」に対応する情報が相互に関連付けて格納される。この内、項目「ユーザ」に対応する情報は、情報提供者を一意に識別する提供者識別情報である(図7では「△△」等)。この提供者識別情報としては、例えば、提供者が端末装置により提供情報公開サーバ3にアクセスする際に必要となるユーザIDを用いることができ、端末装置から提供情報公開サーバ3に提供情報がアップロードされる際に、当該提供情報と共に提供情報公開サーバ3に送信される。項目「提供情報」に対応する情報は、情報提供者から提供された提供情報である(図7では「・・・牛歩!」等)。項目「位置情報」に対応する情報は、提供情報が提供された位置を特定する情報である(図7では「x1,y1」等)。この位置情報としては、例えばGPSを用いて特定した端末装置の現在位置を示す座標を用いることができ、端末装置から提供情報公開サーバ3に提供情報がアップロードされる際に、当該提供情報と共に提供情報公開サーバ3に送信される。これらの情報は、各ユーザの端末装置から提供情報公開サーバ3にアップロードされる度に順次公開される。提供情報取得部21は、前回のSA1の処理を実行してから今回のSA1の処理を実行するまでの間に提供情報公開サーバ3により公開された提供情報、並びに当該提供情報に関連付けられた提供者識別情報及び位置情報を、当該提供情報公開サーバ3から取得する。
【0036】
図6に戻り、提供情報取得部21は、SA1で当該提供情報取得部21が取得した提供情報が提供された位置を、当該提供情報に対応する位置情報に基づき特定し、地図上にマッピングする(SA2)。
【0037】
次に、交通環境情報取得部22は、交通環境情報を交通環境情報配信サーバ4から取得する(SA3)。交通環境情報取得部22は、例えば交通環境情報配信サーバ4から配信された交通環境情報であって、前回のSA1の処理を実行してから今回のSA1の処理を実行するまでの間に発生した交通環境事象に対応する交通環境情報を、通信部10を介して取得する。
【0038】
続いて、交通環境情報辞書登録部23は、SA1で提供情報取得部21により取得された位置情報と、SA3で交通環境情報取得部22により取得された交通環境情報とに基づき、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報を特定する(SA4)。
【0039】
具体的には、交通環境情報辞書登録部23は、SA3で交通環境情報取得部22により取得された交通環境情報に含まれる情報のうち、交通環境事象が発生している範囲を特定する情報に基づき、当該交通環境事象が発生した範囲を特定する。ここで「交通環境事象が発生している範囲を特定する情報」は、例えば、公知のナビゲーションシステムで用いられる地図情報に含まれるリンクデータであって、当該交通環境事象が発生している区間に対応するリンクデータを用いて構成される。そして、交通環境情報辞書登録部23は、当該特定した交通環境事象が発生した範囲と、SA2で提供情報取得部21が地図上にマッピングした各位置(すなわち、SA1で当該提供情報取得部21が取得した提供情報が提供された位置)とを比較することにより、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報を特定する。この際、交通環境情報辞書登録部23は、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報と当該交通環境事象とを、相互に対応付けて例えばRAMに記憶させる。
【0040】
SA4の処理の後、交通環境情報辞書登録部23は、当該SA4の処理で特定した、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報毎に、当該提供情報に含まれる語句を分類するための分類処理を実行する(SA5)。このSA5の処理の後、制御部20はキーワード辞書登録処理を終了する。
【0041】
(処理−分類処理)
ここで、分類処理について説明する。図8は分類処理のフローチャートである。図8に示すように、分類処理が開始されると、交通環境情報辞書登録部23は、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれている語句を抽出する(SB1)。例えば交通環境情報辞書登録部23は、形態素解析等の公知の言語処理技術を用いて、提供情報に含まれている語句の内、動詞、形容詞、名詞等の自立語を抽出する。
【0042】
続いて交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句が、当該語句が含まれる提供情報が提供された位置で発生していた交通環境事象に関連付けられてキーワード辞書31に格納されているか否かを判定する(SB2)。例えば交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句が含まれる提供情報に対応付けて図6のSA4でRAMに記憶された交通環境事象を取得し、当該取得した交通環境事象とSB1で抽出した語句とが、図2に示したキーワード辞書31において相互に関連付けて格納されているか否かを判定する。
【0043】
図8に戻り、SB2の判定の結果、SB1で抽出した語句が、当該語句が含まれる提供情報が提供された位置で発生していた交通環境事象に関連付けられてキーワード辞書31に格納されている場合(SB2、Yes)、交通環境情報辞書登録部23は、図2に示したキーワード辞書31において当該語句に関連付けて格納されている項目「総使用回数」に対応する情報を1回分加算する(SB3)。例えば、交通環境事象「渋滞」が発生している範囲内で提供された提供情報から、SB1で語句「渋滞」が抽出された場合、図2のキーワード辞書31において語句「渋滞」に関連付けて格納されている総使用回数「532」に1を加算して「533」とする。
【0044】
図8に戻り、SB2の判定の結果、SB1で抽出した語句が、当該語句が含まれる提供情報が提供された位置で発生していた交通環境事象に関連付けられてキーワード辞書31に格納されていない場合(SB2、No)、交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句をキーワード辞書31に登録する(SB4)。すなわち交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句を、当該語句が含まれる提供情報が提供された位置で発生していた交通環境事象に関連付けてキーワード辞書31に格納すると共に、対応する総使用回数として「1」を格納する。
【0045】
SB3又はSB4の処理の後、交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句が、当該語句が含まれる提供情報を提供した情報提供者についてのユーザ辞書32に格納されているか否かを判定する(SB5)。例えば交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句が含まれる提供情報と共にSA1で提供情報取得部21が取得した提供者識別情報に基づき、SB1で抽出した語句が含まれる提供情報を提供した情報提供者を特定し、当該特定した情報提供者についてのユーザ辞書32に、SB1で抽出した語句が格納されているか否かを判定する。
【0046】
その結果、SB1で抽出した語句が、当該語句が含まれる提供情報を提供した情報提供者についてのユーザ辞書32に格納されている場合(SB5、Yes)、交通環境情報辞書登録部23は、図3に示したユーザ辞書32において当該語句に関連付けて格納されている項目「ユーザ使用回数」に対応する情報を1回分加算する(SB6)。例えば、情報提供者「△△」が提供した提供情報から、SB1で語句「渋滞」が抽出された場合、図3のユーザ辞書32において語句「渋滞」に関連付けて格納されているユーザ使用回数「30」に1を加算して「31」とする。
【0047】
図8に戻り、SB5判定の結果、SB1で抽出した語句が、当該語句が含まれる提供情報を提供した情報提供者についてのユーザ辞書32に格納されていない場合(SB5、No)、交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句を当該情報提供者についてのユーザ辞書32に登録する(SB7)。すなわち交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句を、当該情報提供者についてのユーザ辞書32に格納すると共に、対応するユーザ使用回数として「1」を格納する。なお、当該語句が含まれる提供情報を提供した情報提供者についてのユーザ辞書32自体がデータ記録部30に存在しない場合は、交通環境情報辞書登録部23は、当該情報提供者についてのユーザ辞書32をデータ記録部30に新たに設けた上で、当該ユーザ辞書32にSB1で抽出した語句を登録する。
【0048】
SB6又はSB7の処理の後、交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句が、当該語句が含まれる提供情報が提供された位置を含む地域についてのエリア辞書33に格納されているか否かを判定する(SB8)。例えば交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句が含まれる提供情報と共にSA1で提供情報取得部21が取得した位置情報に基づき、SB1で抽出した語句が含まれる提供情報が提供された位置を特定し、当該特定した位置を含む地域についてのエリア辞書33に、SB1で抽出した語句が格納されているか否かを判定する。なお、各エリア辞書33に対応する地域が「提供情報が提供された位置を含む地域」であるか否かは、例えば各エリア辞書33に付加されている当該エリア辞書33に対応する地域の範囲を特定するための情報に基づき、交通環境情報辞書登録部23によって判定される。
【0049】
その結果、SB1で抽出した語句が、当該語句が含まれる提供情報が提供された位置を含む地域についてのエリア辞書33に格納されている場合(SB8、Yes)、交通環境情報辞書登録部23は、図4に示したエリア辞書33において当該語句に関連付けて格納されている項目「エリア使用回数」に対応する情報を1回分加算する(SB9)。例えば、地域「△×地区」に含まれる位置で提供された提供情報から、SB1で語句「渋滞」が抽出された場合、図4のエリア辞書33において語句「渋滞」に関連付けて格納されているエリア使用回数「145」に1を加算して「146」とする。
【0050】
図8に戻り、SB8判定の結果、SB1で抽出した語句が、当該語句が含まれる提供情報が提供された位置を含む地域についてのエリア辞書33に格納されていない場合(SB8、No)、交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句を当該地域についてのエリア辞書33に登録する(SB10)。すなわち交通環境情報辞書登録部23は、SB1で抽出した語句を、当該地域についてのエリア辞書33に格納すると共に、対応するエリア使用回数として「1」を格納する。なお、当該語句が含まれる提供情報が提供された位置を含む地域についてのエリア辞書33自体がデータ記録部30に存在しない場合は、交通環境情報辞書登録部23は、当該地域についてのエリア辞書33をデータ記録部30に新たに設けた上で、当該エリア辞書33にSB1で抽出した語句を登録する。
【0051】
SB9又はSB10の処理の後、制御部20は分類処理を終了し、メインルーチンに戻る。
【0052】
(処理−交通環境情報辞書登録処理)
次に、交通環境情報辞書登録処理について説明する。図9は交通環境情報辞書登録処理のフローチャートである。この交通環境情報辞書登録処理は、例えば、交通環境情報辞書作成装置1に電源が投入された後、キーワード辞書登録処理が所定回数実行される度に繰り返し起動される。
【0053】
図9に示すように、交通環境情報辞書登録処理が開始されると、交通環境情報辞書登録部23は、キーワード辞書31に格納されている語句のうち、交通環境情報辞書34に格納されていない語句を抽出する(SC1)。
【0054】
次に、交通環境情報辞書登録部23は、SC1で抽出した同一の語句が同種の交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれていた累積回数が、閾値以上か否かを判定する(SC2)。すなわち交通環境情報辞書登録部23は、図2に例示したキーワード辞書31を参照し、SC1で抽出した語句に関連付けて格納されている「総使用回数」が、閾値以上か否かを判定する。この閾値の具体的な値は任意で、例えば10回を用いる。
【0055】
その結果、SC1で抽出した同一の語句が同種の交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれていた累積回数が、閾値以上ではない場合(閾値未満である場合)(SC2、No)、当該語句を交通環境情報辞書34に登録する段階ではないものとし、交通環境情報辞書登録部23は交通環境情報辞書登録処理を終了する。
【0056】
一方、SC1で抽出した同一の語句が同種の交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれていた累積回数が、閾値以上である場合(SC2、Yes)、交通環境情報辞書登録部23は、当該語句を交通環境情報辞書34に登録する段階であるものとし、当該語句を含む提供情報を提供した情報提供者の数が1より大きいか否かを判定する(SC3)。具体的には、交通環境情報辞書登録部23は、SC1で抽出した語句を格納するユーザ辞書32の数が1より大きい場合に、当該語句を含む提供情報を提供した情報提供者の数が1より大きいと判定する。
【0057】
その結果、SC1で抽出した語句を含む提供情報を提供した情報提供者の数が1より大きくない場合(SC3、No)、すなわちSC1で抽出した語句を格納するユーザ辞書32の数が1である場合、交通環境情報辞書登録部23は、当該語句を、当該語句を含む提供情報を提供した情報提供者特有の語句として分類する(SC4)。この際、交通環境情報辞書登録部23は、当該分類結果を例えばRAMに記憶させる。
【0058】
一方、SC3の判定において、SC1で抽出した語句を含む提供情報を提供した情報提供者の数が1より大きい場合(SC3、Yes)、すなわちSC1で抽出した語句を格納するユーザ辞書32の数が1より大きい場合、交通環境情報辞書登録部23は、当該語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域の数が1より大きいか否かを判定する(SC5)。具体的には、交通環境情報辞書登録部23は、SC1で抽出した語句を格納するエリア辞書33の数が1より大きい場合に、当該語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域の数が1より大きいと判定する。
【0059】
その結果、SC1で抽出した語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域の数が1より大きくない場合(SC5、No)、すなわちSC1で抽出した語句を格納するエリア辞書33の数が1である場合、交通環境情報辞書登録部23は、当該語句を、当該語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域特有の語句として分類する(SC6)。この際、交通環境情報辞書登録部23は、当該分類結果を例えばRAMに記憶させる。
【0060】
一方、SC5の判定において、SC1で抽出した語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域の数が1より大きい場合(SC5、Yes)、すなわちSC1で抽出した語句を格納するエリア辞書33の数が1より大きい場合、交通環境情報辞書登録部23は、当該語句は当該語句に対応する交通環境事象を表す語句として一般的な語句であるものとし、一般的な語句であることを示す「全域」の語句として分類する(SC7)。この際、交通環境情報辞書登録部23は、当該分類結果を例えばRAMに記憶させる。
【0061】
SC4、SC6、又はSC7の処理の後、交通環境情報辞書登録部23は、当該SC4、SC6、又はSC7の分類結果に応じて、SC1で抽出した語句を交通環境情報辞書34に格納する(SC8)。すなわち交通環境情報辞書登録部23は、SC1で抽出した語句に関連付けてキーワード辞書31に格納されていた交通環境事象を特定する情報と、SC4、SC6、又はSC7の分類結果に対応する情報とを、SC1で抽出した語句に関連付けて交通環境情報辞書34に格納する。
【0062】
例えば図2に例示したキーワード辞書31からSC1で語句「渋滞」が抽出され、当該語句「渋滞」の分類がSC7で「全域」とされた場合、図5に示すように、交通環境情報辞書登録部23は、当該語句に関連付けてキーワード辞書31に格納されていた交通環境事象「渋滞」と、SC7の分類結果を示す「全域」とを、語句「渋滞」に関連付けて交通環境情報辞書34に格納する。
【0063】
また、図2に例示したキーワード辞書31からSC1で語句「○△渋」(例えば施設○△の近傍で渋滞が発生していることを意味する語句)が抽出され、当該語句「○△渋」の分類がSC6で「当該語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域特有」とされた場合、図5に示すように、交通環境情報辞書登録部23は、当該語句に関連付けてキーワード辞書31に格納されていた交通環境事象「○△渋」と、SC7の分類結果に対応する情報として当該語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域を示す「△×地区」とを、語句「○△渋」に関連付けて交通環境情報辞書34に格納する。このように、交通環境事象を表す語句として一般的ではなく、所定の地域のみにおいて用いられる語句についても、当該交通環境事象を表す地域特有の語句として交通環境情報辞書34に登録することができる。
【0064】
また、図2に例示したキーワード辞書31からSC1で語句「牛歩」が抽出され、当該語句「牛歩」の分類がSC4で「当該語句を含む提供情報を提供した情報提供者特有」とされた場合、図5に示すように、交通環境情報辞書登録部23は、当該語句に関連付けてキーワード辞書31に格納されていた交通環境事象「牛歩」と、SC4の分類結果に対応する情報として当該語句を含む提供情報を提供した情報提供者を示す「△△」とを、語句「牛歩」に関連付けて交通環境情報辞書34に格納する。このように、交通環境事象を表す語句として一般的ではなく、所定の情報提供者のみにおいて用いられる語句についても、当該交通環境事象を表す情報提供者特有の語句として交通環境情報辞書34に登録することができる。
【0065】
SC8の処理の後、制御部20は交通環境情報辞書登録処理を終了する。
【0066】
(効果)
このように本実施の形態によれば、提供情報取得部21により取得された位置情報と、交通環境情報取得部22により取得された交通環境情報とに基づき、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報を特定し、当該特定した提供情報に含まれる語句の少なくとも一部を、当該発生している交通環境事象に関連付けて交通環境情報辞書34に格納するので、交通環境事象を表す語句として一般的ではない語句についても、特定の交通環境事象を表す語句として交通環境情報辞書34に登録することができる。
【0067】
また、交通環境情報辞書登録部23は、同一の語句が、同種の交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれていた累積回数に基づき、当該語句を交通環境情報辞書34に格納するか否かを判定するので、同種の交通環境事象について一定程度使用されている語句のみを交通環境情報辞書34に登録することができ、交通環境情報辞書34の信頼性を向上させることができる。
【0068】
また、交通環境情報辞書登録部23は、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれる語句を、当該語句を含む提供情報に対応する提供者識別情報に関連付けて交通環境情報辞書34に格納するので、交通環境事象を表す語句として一般的ではなく、所定の情報提供者のみにおいて用いられる語句についても、当該交通環境事象を表す情報提供者特有の語句として交通環境情報辞書34に登録することができる。
【0069】
また、交通環境情報辞書登録部23は、提供情報取得部21により取得された位置情報に基づき、交通環境事象が発生している範囲内で提供された提供情報に含まれる語句を、当該語句を含む提供情報が提供された位置を含む地域に関連付けて交通環境情報辞書34に格納するので、交通環境事象を表す語句として一般的ではなく、所定の地域のみにおいて用いられる語句についても、当該交通環境事象を表す地域特有の語句として交通環境情報辞書34に登録することができる。
【0070】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0071】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏することがある。
【0072】
(交通環境情報辞書作成装置について)
上述の実施の形態では、交通環境情報辞書作成装置1の設置対象について特に明記していないが、例えばカーナビゲーション装置の一部として車両に搭載してもよく、あるいはスマートフォンの如き携帯型情報端末に搭載してもよい。
【0073】
(交通環境事象について)
上述の実施の形態では、交通環境事象として渋滞が発生している範囲内で提供情報が提供された場合を例として説明したが、対象となる交通環境事象は渋滞に限られず、他の任意の交通環境事象(交通規制、工事、事故、イベント、天気、路面の滑りやすさ、駐車場の込み具合、鉄道の遅延状況等)が発生している範囲内で提供情報が提供された場合においても、上述の実施の形態と同様に交通環境情報辞書作成装置1を用いて当該交通環境事象を表す語句を交通環境情報辞書34に登録することができる。
【0074】
(位置情報について)
上述の実施の形態では、提供情報が提供された位置を特定する位置情報として、GPSを用いて特定された端末装置の現在位置を示す座標であって、当該端末装置から提供情報と共に提供情報公開サーバ3に送信された座標を用いる場合を例として説明したが、他の情報を位置情報として用いてもよい。例えば、提供情報を提供した位置を示すために情報提供者が意図的に提供情報に付加した情報(例えば地図上の特定の位置を表示するWebページへのリンク等)を位置情報として用いてもよく、あるいは、提供情報自体に含まれる位置を示す情報(例えば「今○○にいます」との提供情報における「○○」)を公知の言語解析技術を用いて特定し、当該情報を位置情報として用いてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 交通環境情報辞書作成装置
2 ネットワーク
3 提供情報公開サーバ
4 交通環境情報配信サーバ
10 通信部
20 制御部
21 提供情報取得部
22 交通環境情報取得部
23 交通環境情報辞書登録部
30 データ記録部
31 キーワード辞書
32 ユーザ辞書
33 エリア辞書
34 交通環境情報辞書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9