【実施例】
【0026】
図面は遊技機の一例として遊技ホールに設置されるスロットマシンを示し、
図1はスロットマシンの外観斜視図を示している。このスロットマシン11は接客対応される前面上部にパネル12とリール部13を有し、前面中央の幅方向に3個の並列するストップボタン14を有し、その左側にスタートレバー15と掛け数設定ボタン16aと精算ボタン16bを、右側に返却ボタン17とメダルMを1枚ずつ投入するための投入口18とを有し、これらの前面下部に受皿19を有している。
【0027】
そして、プレーヤがスロットマシン11を遊技利用するときに、前記投入口18にメダルMが1枚ずつ投入される。投入されたメダルMは後述するメダル選別装置(メダルセレクタ)25で選別され、有効と選別された適正なメダルMは内部に取込まれ、不適正と選別されたメダル類や所定枚数を越える余剰メダルはメダル払出シュート26及び返却口27を介して受皿19へと返却される(
図2参照)。また、プレーヤが遊技を中止するために清算ボタン16bを押下操作した場合もメダルMは受皿19へと返却される。
【0028】
図2はスロットマシン11の前面扉11aを片開き式に開口した扉の内部構造を示す斜視図である。この開口されたスロットマシン本体11bには、内部空間の上部に制御部11cを設置し、中央部に外周面の絵柄の位置を回転・停止して遊技利用させる3列のリール部13を設置し、下部の中央にメダルの取込み、及び払い出し用のメダル払出装置21を設置し、その左側に電源装置22を設置し、右側にオーバフロータンク23を設置している。前記制御部11cはメダルセレクタ25の信号を処理し、またスロットマシン11の各部を制御する。
【0029】
一方、前面扉11aには、上部より下部にかけてリールカバー24と、メダルの適否を選別するメダルセレクタ25と、メダル払出シュート26と、返却口27とをこの順に有している。そして、投入口18に投入されたメダルは一旦メダルセレクタ25に導かれ、ここで適否が選別された後、受付許可されたメダルはメダルセレクタ25の出口に接続されているメダル搬送通路25aを介して前記メダル払出装置21の上部に備えられているホッパタンク21aに受入れられる。これに対し、メダルセレクタ25で受付拒否されたメダルは、メダル払出シュート26及び返却口27を介して受皿19へと返却される。
【0030】
図3(A)はメダルセレクタ25の正面側(表面側)を前カバー25bで覆った状態を示す外観斜視図、
図3(B)はその前カバー25bを外した状態を示す外観斜視図、
図4(A)はメダルセレクタ25の背面側(裏面側)を後カバー25cで覆った状態を示す外観斜視図、
図4(B)はその後カバー25cを外した状態を示す外観斜視図である。
【0031】
次に、メダルセレクタ25の構成について説明する。このメダルセレクタ25は、受付許可された適正なメダルを転動させて取り込むとともに、受付拒否された不適正な小径メダルを排除するように基板28と開閉板29とを開閉自在に対設させて構成している。
【0032】
前記基板28は平面視コの字状で、その起立した正面は正方形状を有している。そして、この正方形状の基板内面に通路の片面が形成され、基板外面にメダルを選別動作させるための各部材が取付けられている。
【0033】
一方、開閉板29は前記基板28の平面視コの字状空間に納まる一回り小さい板状を有して対設される。そして、基板28の一側部に設けられた軸受部30に、開閉板29の一側部に垂直に配置した支軸31を軸支させている。これにより、開閉板29は支軸31を回動支点に基板28と平面対向する方向に片開き式に開閉される。なお、開閉板29は基板28の軸受部30下方の別の軸受部でも軸支されている。
【0034】
さらに、開閉板29は支軸31に開閉板押圧用のコイルバネ32を巻回しており、このコイルバネ32の付勢力により開閉板29を常時基板28側に付勢して閉状態を保っている。そして、これらの基板28と開閉板29との対向面間でメダル通路33を形成している。
【0035】
図5(A)は基板28の内面に形成されるメダル通路33の片面を示し、
図5(B)はそのメダル通路33の通路面の一部に備えられる小径メダル降下ガイド機構100の変位ガイド片101を拡大して示している。
【0036】
上述のメダル通路33は、スロットマシン11の投入口18と対応する下方に接続され、
図5(A)にも示すように上方に開口する入口34と、下方の出口35との間を結ぶ少なくとも略L形状に配された縦方向通路と横方向通路とを有する形状に形成されている。この略L形状のメダル通路33は縦方向通路L1と、斜め下方に傾斜して出口35に至る横方向通路L2と、これら両方向通路L1,L2を滑らかな湾曲状に接続する湾曲部L3とから構成される。
【0037】
このメダル通路33に対し、不適正な大径メダルは大きいため投入口18で投入規制されるが、適正なメダルより小さい小径メダルの場合は投入されてしまうため内部で排除する必要がある。そこで、湾曲部L3の直前の縦方向通路L1には、小径メダル排除部としての小径メダル降下ガイド機構100を備えている。
【0038】
この小径メダル降下ガイド機構100は変位ガイド片101と付勢バネ102(
図8)とで構成されている。
【0039】
変位ガイド片101は、
図5(B)にも示すように、前部に、正面視略Jの字形の接触ガイド面103を有し、この接触ガイド面103をメダル排除促進用に基板28の背面側から縦方向通路L1の通路面に出没自在に臨ませるものである。
【0040】
そして、この接触ガイド面103の略Jの字形の垂直な縦方向部分が略L形状の内側L10に位置するように配設される。ここで略L形状の内側L10とは小径メダルM1を縦方向から横方向へと滑らかに方向変換させる湾曲部L3の内周側と対応する側であり、方向変換する前の縦方向通路では幅方向における該湾曲の内側及び方向変換した後の横方向通路L2では上側とつながる側である。
【0041】
このように配設された変位ガイド片101の後部には、該後部が基板28の背面側まで延設し、延設された部分に通路厚み方向に回動自由に軸支されるガイド片軸支部104が備えられている。該ガイド片軸支部104は、基板28の背面側に配設されている略水平なガイド片支軸105に回動自由に軸支される。これにより、変位ガイド片101はガイド片支軸105を回動支点に正面側の接触ガイド面103が通路厚み方向に回動して進退し、この接触ガイド面103が通路内に出没自在となるように設けられている。
【0042】
さらに、接触ガイド面103には、通路内で移動自由度が高い小径メダルに対し、その小径メダルを滑らかに降下ガイドさせながら排除させるため、該接触ガイド面103には、後述する降下ガイド部103aと、横倒ガイド部103bと、中間ガイド領域103cを形成している。
【0043】
また、変位ガイド片101は、小径メダルM1を略L形状の外側L20へと変位させる際、小径メダルM1の円形先端部を受け入れ易い略Jの字形の直線部分と湾曲部分とからなる略Jの字形に構成している。
【0044】
図6(A)は変位ガイド片101の正面図を示し、
図6(B)は降下ガイド部103aの隆起部分を断面として示し、
図6(C)は横倒ガイド部103bの隆起部分を断面として示し、
図6(D)は中間ガイド領域103cにガイドされる小径メダルM1の降下状態を断面として示し、
図6(E)は横倒ガイド部103bによって横倒しにされる小径メダルM1の横倒状態を断面として示している。
【0045】
上述の降下ガイド部103aは、
図6(A)に示すように略Jの字形の変位ガイド片101の略L形状の内側を隆起させて形成している。これにより、該降下ガイド部103aを縦方向通路L1に臨ませた時に、その略L形状の内側の降下ガイド部103aが僅かに突出した状態にあり、ここを降下する小径メダルの側端部が隆起部分に沿って接触することになる。
【0046】
したがって、この隆起した降下ガイド部103aに、
図6(B)に示すように小径メダルM1の側端部が接した時、小径メダルM1は変位ガイド片101を押し沈めて降下する。この際、変位ガイド片101を通路内に向けて付勢している後述する付勢バネ102の付勢力により、降下ガイド部103aの隆起の低い方向である略L形状の外側寄りに向かって変位されながら降下する。このため、小径メダルM1は略L形状の外側寄りに変位し、変位された小径メダルM1は略L形状の外側L20の径方向の通路基準となる基準縁部(下ガイドプレート107)に沿って降下し、通路内で弾むことなく降下する。
【0047】
ここで略L形状の外側L20とは小径メダルM1を縦方向から横方向へと滑らかに方向変換させる湾曲部L3の外周側と対応する側であり、方向変換する前の縦方向通路L1では幅方向における該湾曲の外側及び方向変換した後の横方向通路L2では下側とつながる側である。
【0048】
上述の中間ガイド領域103cは、降下ガイド部103aの形成位置よりも略L形状の外側かつ、横倒ガイド部103bの形成位置よりも上流側に形成している。さらに、この中間ガイド領域103cは、メダル通路内への突出が降下ガイド部103a及び横倒ガイド部103bより低く、該メダル通路面及び横倒ガイド部103bとの間を滑らかな曲面でつないで形成している。
【0049】
そして、小径メダルM1が変位ガイド片の中間ガイド領域103cに導かれた際、小径メダルM1は変位ガイド片101の隆起した降下ガイド部103aより幅方向外周側に滑り移動するが、その際に小径メダルM1の円形先端部が低位部分である中間ガイド領域103cへと滑り移動して導かれ、小径メダルM1を滑り移動し易くする。また、小径メダルM1は低位の中間ガイド領域103cから隆起した横倒ガイド部103bとの高低差を大きくとれるため横倒ガイド部103bによって付勢された際の該小径メダルM1の降下方向に対する傾きを促進して小径メダルM1の排除効果をより一層高めることができる。
【0050】
上述の横倒ガイド部103bは、略Jの字形の変位ガイド片101の下流側に連設され、縦方向通路L1と交差する縦方向通路下流側の位置を
図6(C)に示すように隆起させて形成している。これにより、該横倒ガイド部103bを縦方向通路L1に臨ませた時に横倒ガイド部103bが通路幅方向にかけて突出した状態になる。
【0051】
中間ガイド領域103cにガイドされ、
図6(D)に示すように変位ガイド片101を押し沈めながら降下してきた小径メダルM1は、滑らかにつながった中間ガイド領域103cによって横倒ガイド部103bを乗り越え、さらに降下する。
【0052】
その後、小径メダルM1が
図6(E)に示すように横排除口200に達した時、付勢バネ102によって付勢された変位ガイド片101の横倒ガイド部103bにより該小径メダルM1を横倒して横排除口200より排除することができる。
【0053】
また、変位ガイド片101はメダルの降下速度を落し過ぎないようにするためメダルと接触する接触面積が極力小さくなるようにしている。例えば、変位ガイド片101をメダル通路面に臨ませた際、降下するメダルと接触する表面形状を必要な部分のみをメダルと接触させるように構成している。
【0054】
図7(A)は基板28側のメダル通路33を表し、
図7(B)は前カバー25bを外したメダルセレクタ25の正面図を表し、
図8(A)乃至(C)は
図7(B)のa−a線矢視断面を表し、
図9(A)乃至(C)は
図7(B)のb−b線矢視断面を表している。なお、
図3(B)及び
図7(B)では、適正なメダルMの降下状態と、小径メダルM1が倒れかかっている状態とを併せて示している。
【0055】
このとき、小径メダルM1がメダル通路33に導かれる前の状態を
図8(A)及び
図9(A)の断面図で表わし、小径メダルM1が変位ガイド片101と対応している状態を
図8(B)及び
図9(B)の断面図で表わし、小径メダルM1が変位ガイド片101を通過している状態を
図8(C)及び
図9(C)の断面図で表わしている。
【0056】
そして、小径メダルM1が変位ガイド片101に降下ガイドされた際、小径メダルM1は変位ガイド片101の変位ガイド作用を受けて縦方向通路L1の降下中に略L形状の外側L20に沿って滑らかに降下する。これにより、縦方向通路L1から降下した小径メダルは横方向通路L2に至っても落下衝撃のような当接を回避できるので弾まなくなり、小径メダルM1を径の計測の基準となる横方向通路L2の下側の基準縁部(下ガイドプレート107)に沿って導き、
図8(C)及び
図9(C)に示すように小径メダルM1を横倒して排除することができる。
【0057】
付勢バネ102は上述の変位ガイド片101を付勢する付勢部材として例えばコイルバネ等を用いて構成される。この付勢バネ102は
図8に示すように、基板28の背面に備えられたガイド片支軸105に巻回して備えられ、該付勢バネ102の付勢力により常に変位ガイド片101の接触ガイド面103を縦方向通路L1に臨ませるように付勢している。これにより、接触ガイド面103は縦方向通路L1に出没自在であり、降下してきたメダルとの接触時にはメダルの降下力を受けて直ちに没入して退避し、メダルの降下を妨げない程度の付勢力に設定している。
【0058】
このように付勢支持された変位ガイド片101は無負荷時では通路内に突出し、降下してきたメダルとの接触により没入し、メダル通過後は再び突出する。また、変位ガイド片101の動きを妨げないように、変位ガイド片101はメダルと最初に接触する該変位ガイド片101の上端側(中間ガイド領域103c)を、メダル通路の内壁面と面一か、それより低く設定して配置する。
【0059】
なお、参考までに変位ガイド片101が無い場合は、小径メダルM1は自重により縦方向通路L1を可動物による抵抗なく略真下に降下して湾曲部L3の下側縁部に勢いよく当接して跳ね返る。このため、変位ガイド片101が無いと、横方向通路L2上では
図13(C)に想像線で示すように小径メダルM1が弾んで上下に変動し、この変動が小径メダルの飲み込み発生原因となる。
【0060】
ところが、縦方向通路L1に変位ガイド片101を備えることにより、小径メダルM1を弾ませずに降下させることができる。この結果、飲み込み発生原因を降下過程で解消できる安定した排除動作を確保することができる。
【0061】
また、開閉板29には小径メダルM1の排除部となる横排除口200が開口されている。この横排除口200はメダル通路33に沿って開閉板29に開口され、縦方向通路L1の下流側と、横方向通路L2の上流側との間をつなぐ開口長さを有している。開口幅は小径メダルM1を排除する大きさに開口されている。さらに、横排除口200の始端側は小径メダルM1を排除促進する変位ガイド片101と対向する位置から開口されている。
【0062】
これにより、前記変位ガイド片101によって横倒しされた小径メダルM1はこの横排除口200より速やかに排除される。排除された小径メダルM1は開閉板29と前カバー25bとの間から降下され、メダル払出シュート26を介して返却される。
【0063】
また、小径メダルM1を排除する以外に、プレーヤの手動操作によりメダルを排除するためのイジェクト用ピン208(
図4)が備えられている。このイジェクト用ピン208は基板28の外面に配設され、返却ボタン17の押下に連動して開閉板29を押して開くために配設されている。そして、プレーヤが返却ボタン17を押してイジェクト用ピン208が押下されると、これに連動して開閉板29が開かれ、この開かれた両板間の開口部よりメダルは下方に落下し、強制的に排除される。
【0064】
さらに、開閉板29側の横方向通路L2の上流側には耐磨耗性の良好な金属製の上ガイドプレート106と下ガイドプレート107(
図11)とを設置して、立姿で転動する適正なメダルMの上下部を搬送ガイドするように構成している。前記前カバー25bは、小径メダルM1を排除する開閉板29の横排除口200を覆っており、メダルM及び小径メダルM1の飛び出し防止カバーとしての役目を有している。
【0065】
上述の変位ガイド片101の後段の横方向通路L2には、メダル詰まり防止機構300と、リンクブロッカ400と、第1センサS1と、第2センサS2とが配設されている。
メダル詰まり防止機構300は、基板28に搭載された駆動機構301と開閉板29に搭載された可動ガイド板302とから構成される。
【0066】
上述の駆動機構301は、基板28の外面に取り付けられたソレノイド303と、その駆動力を受けて可動する可動板304を有しており、該ソレノイド303によって駆動される可動板304の先端部を可動板復帰用の図示しないバネで付勢されたリンクアーム305(
図4)に対設させている。
【0067】
リンクアーム305は、内面側に設けられたリンク軸306(
図7)が基板28の外面側より横方向通路L2に向けて突出し、この突出したリンク軸306が後述する可動ガイド板302を押下する。
【0068】
上述の可動ガイド板302は、上下方向に長いレバー形状を有し、横方向通路L2の通路方向に沿って開閉板29の外面に架設された支軸307に、該可動ガイド板302の中央部が軸支されて回動可能となっている。
【0069】
さらに、可動ガイド板302の上部内面に対しては、前記基板28の外面から内面に向けて突出させた前記リンク軸306を対向させ、その先端が該可動ガイド板302の上部内面315(
図14)を押下可能に対向させている。
【0070】
また、可動ガイド板302の下部内面と開閉板29の外面との間には図示しないコイル状の可動ガイド板付勢バネを圧縮状態に介在させている。この可動ガイド板付勢バネにより可動ガイド板302は支軸307を回動支点として下部が外面側に付勢され、上部が内面側に付勢され、この上部内面315が前記リンク軸306に押されたとき、可動ガイド板302は支軸307を回動支点として可動ガイド板付勢バネの付勢力に抗して下部が基板28側に回動する。
【0071】
したがって、可動ガイド板302はソレノイド303のON・OFFに基づいて進退するリンク軸306の押圧力を受けて通路形成位置と通路非形成位置とに可動ガイドされる。
【0072】
さらに、可動ガイド板302は下端に、メダル通路33の通路底面を形成する後述の通路形成プレート308を有している。この通路形成プレート308を開閉板29の下部に開口された下部開口部309を介してメダル通路33の通路領域下部に向けて出没自由に突出させている。
【0073】
ソレノイド303の非励磁(電源OFF)時は、図示しない可動ガイド板付勢バネの付勢力を受けて可動ガイド板302の通路形成プレート308がメダル通路33より退避し、メダル通路33の下部がメダル排除用に開口された状態にある。これに対し、ソレノイド303を励磁(電源ON)してリンク軸306からの押圧力を可動ガイド板302が受けて回動すると、その下部の通路形成プレート308がメダル通路33の下部に突出してメダル通路33の底面を形成し、メダルMの通過を可能にする。
【0074】
図10(A)乃至(C)はソレノイド303を駆動(電源ON)してメダル通路33を形成し、ここに適正なメダルMを適正に取込処理しているメダル受付許可状態を示している。
図11(A)乃至(C)はソレノイド303を駆動(電源ON)して適正なメダルMを適正に取込処理している開閉板29側でのメダル受付許可状態を示している。
【0075】
このうち、
図10(A)と
図11(A)は適正なメダルMがメダル通路33に導かれる際の状態を表わし、
図10(B)と
図11(B)は適正なメダルMが変位ガイド片101と対応している状態を表わし、
図10(C)と
図11(C)は適正なメダルMが変位ガイド片101を通過している状態を表わしている。
【0076】
そして、適正なメダルMが降下ガイドされる際、適正なメダルMはその通路幅方向の移動許容される空間が少ないため適正なメダルMは通路内で変動する余地が極めて少なく円滑に降下する。また、メダル通路33に突出する変位ガイド片101は、適正なメダルMと接触した時点で没入するので適正なメダルMの降下を妨げない。
【0077】
図12(A)乃至(C)はソレノイド303を駆動(電源ON)してメダル通路33を形成したメダル受付許可状態のときに導かれた小径メダル排除状態を示している。
図13(A)乃至(C)はメダル受付許可状態のメダル通路33に小径メダルM1が導かれたときの開閉板29側でのメダル排除状態を示している。
【0078】
次に、上述のメダル詰まり防止機構300の詰まり防止構造及びその動作について
図14乃至
図17を参照して具体的に説明する。
図14は可動ガイド板302の内面側を示し、
図15は可動ガイド板302に備えた通路形成プレート308の出没状態の断面図を示し、
図16は通路形成プレート308の支持構造を示し、
図17はメダル詰まり回避動作の一例を断面図により示している。
【0079】
前記可動ガイド板302の内面下部には、横方向通路L2の通路方向に平行する長い板状の通路形成プレート308と、該通路形成プレート308を通路方向と平行する平行姿勢で通路交差方向に進退させる平行リンク部310と、該平行リンク部310により該通路形成プレート308を横方向通路L2に出没自在に付勢する通路形成プレート付勢バネ311(
図16)とがメダル詰まり防止部材として備えられている。
【0080】
図14(A)は可動ガイド板302の通路形成プレート308が突出した状態を示し、
図14(B)は可動ガイド板302の通路形成プレート308が退避した状態を示している。
【0081】
可動ガイド板302は、内面を横方向通路L2の片側のガイド壁面312の一部として略垂直に構成している。そして、このガイド壁面312の下面316に沿って長い板状の通路形成プレート308を配設し、該通路形成プレート308を横方向通路L2の通路交差方向に出没自在に設けている。
【0082】
この通路形成プレート308は、通常、
図16(B)に示すように、通路形成プレート付勢バネ311で付勢されて通路交差方向に水平に突出し、横方向通路L2の通路底面を形成した状態にある。
【0083】
この際、通路形成プレート308は
図14(A)に示すように、通路底面を形成するためメダル通路厚さと略同じ突出量tか、それ以上を突出可能に構成している。また、通路底面を開放可能に退避許容して構成している。
【0084】
平行リンク部310は、可動ガイド板302の軸支部317に回動自由に軸支された左右一対の回動アーム313を備え、これらの回動アーム313の先端を通路形成プレート308の下面に垂設された左右一対の支軸314にそれぞれ枢着させて接続している。これにより、該通路形成プレート308を、平行リンク部310を介して通路方向と平行する平行姿勢を保って通路交差方向に進退させるリンク構成を有している。
【0085】
さらに、通路形成プレート308は通路形成プレート付勢バネ311によって通路内方に突出するように付勢支持されている。このため、ソレノイド303からの駆動力を受けた可動ガイド板302がメダル通路33を形成する方向に可動した時に、通路形成プレート308の先端と、これと対向する基板28側の通路壁318(
図17)との間でメダルを挟むようなメダル挟持現象が生じるおそれがある。このような場合に可動ガイド板302の動きが規制されても、通路形成プレート308は通路形成プレート付勢バネ311の付勢力に抗して通路より退避し、メダルの動きを許容するように一時的にメダル通路33を開放する。このため、挟持されかかっていたメダルは開放された通路から落下し、メダル詰まりは直ちに回避される。その後、通路形成プレート308は通路形成プレート付勢バネ311の付勢力によって直ちに元の通路形成位置に突出する。
【0086】
この結果、ソレノイド303を駆動して可動ガイド板302をどのようなタイミングで通路有効状態にしても、可動ガイド板302の通路非有効状態から有効状態への切替時に発生するおそれのあるメダル挟持現象は、その挟持部分の一方を構成する通路形成プレート308が通路外方へと退避する退避構造を有しているためメダル詰まりを自然に回避することができる。
【0087】
例えば、メダル通路非有効状態から可動ガイド板302を動作させてメダル通路有効状態に切り替える時に、可動ガイド板302と、該可動ガイド板302と対向する通路壁318との間に通路非有効状態で倒れかかっていたメダルが排除される前に通路有効状態となって挟まれるおそれがある。このような場合でも、可動ガイド板302の通路形成プレート308が通路より退避し、可動ガイド板302の部分が開口してメダルの排除が可能になる。
【0088】
前記リンクブロッカ400は、可動ガイド板302の動きに連動させてメダルを排除促進させるものであって、このリンクブロッカ400は開閉板29の外面に、前記可動ガイド板302と隣接して取り付けられている。このリンクブロッカ400は可動ガイド板302の外面下部に横方向通路L2に沿って架設された支軸402に該リンクブロッカ400の下部が軸支されて回動可能となっている。
【0089】
そして、該リンクブロッカ400の上端には開閉板29の外面より内面側に向けて折曲したブロッカ部401を有しており、このブロッカ部401をメダル通路33に向けて出没自由に支持している。
【0090】
さらに、該リンクブロッカ400の下端内面と開閉板29の外面との間には図示しないコイルバネを圧縮状態に介在させている。このコイルバネによりブロッカ部401がメダル通路33の内面側に付勢されてメダル通路33に突出する。
【0091】
また、リンクブロッカ400は可動ガイド板302の動きに連動するように可動ガイド板302の外面に一部重なるように重合させて配設し、その対応する部分を係合(図示省略)させて構成している。これにより、可動ガイド板302が回動すると、これに連動してリンクブロッカ400も回動する。
【0092】
前記第1センサS1は、横方向通路L2の中央部に配設され、ここでメダルの通過を検知する。この第1センサS1は基板28の背面側から大レバー501と小レバー502との各先端部を横方向通路L2に出没自在に臨ませている。
【0093】
そして、これらの各レバー501,502の基端側を図示しないフォトセンサ等で検知することによりメダルの通過を検知する構成としている。この第1センサS1は第1センサケース503によって基板28の裏面側に配置されている。
【0094】
第2センサS2は、メダル通路33の出口35の直前に備えられる。この第2センサS2はメダル通路33を形成する基板28の外面から内面に臨ませて配置され、メダル通路33の横方向通路L2の終端部を通過するメダルMを検知する図示しない第1検知部と第2検知部を通路方向に順に有している。
【0095】
これらの両検知部は投受光してメダルMの通過を検知する光学式検知センサで構成することができ、メダルMがメダル通路33に沿って移動し、このメダルMが両検知部の光軸をこの順に遮ることで、メダルMの通過を検知する。具体的には、メダルの進行方向を検知すると共に、センサ出力時間、位相差、出力順位などを検知し、さらにメダルの選別と通過したメダル枚数を計数するため、適正なメダルの直径長さより短くなる間隔に2つの検知部を配置している。これら2つの両検知部はユニット化されたメダル計数用の第2センサケース504によって基板28の裏面側に配置されている。
【0096】
次に、メダルセレクタ25の処理動作について説明する。
スロットマシン11がメダルMの受付けを許可している制御状態の場合、該スロットマシン11の制御部11cはソレノイド303を励磁状態(ON)に維持させている。このとき、可動ガイド板302はソレノイド303の励磁作用に連動して回動しており、
図15(A)に示すように、可動ガイド板302を基板28側に平面的に押し付けてメダル通路33を形成している。
【0097】
このメダル通路33を形成している状態でプレーヤが投入口18にメダルを投入すると、この投入されたメダルMは真下に対応するメダルセレクタ25へと導かれ、このメダルセレクタ25のメダル通路33を流下する。この際、メダルは縦方向通路L1から横方向通路L2へと方向変換しつつ流下する。
【0098】
ここを流下する立姿のメダルMは、その上下がそれぞれ径によるメダル選別のために配置された下ガイドプレート107に沿い上ガイドプレート106との間でメダルの径により選別されており、適正であれば上ガイドプレート106と下ガイドプレート107の両方にガイドされているため、メダルが横排除口200に達し、変位ガイド片101の付勢を受けたとしても横排除口200に排除されることなく、適切に内部に取り込まれる。
【0099】
これに対し、小径メダルM1が投入された場合は、縦方向通路L1に配設されている変位ガイド片101の接触ガイド面103に小径メダルM1が接触して降下する。このとき、小径メダルM1はそのメダル面が接触ガイド面103の降下ガイド部103aに接触して略L形状の外側寄りに変位しつつ降下することになる。
【0100】
さらに、小径メダルM1が変位ガイド片101の中間ガイド領域103cに導かれた際には、小径メダルM1の降下方向先端の円形先端部が降下ガイド部103aより低位部分である中間ガイド領域103cへと滑り移動して導かれ、小径メダルM1の滑り移動をし易くする。
【0101】
続いて、横倒ガイド部103bによって小径メダルM1は横倒ガイド部103bを乗り越えて降下することになり、このときに小径メダルM1は
図8(C)及び
図9(C)に示すように、横排除口200に達すると、開閉板29側の通路面が開放されて自由となり、小径メダルM1は変位ガイド片101による基板28側からの付勢を受けて横倒しされ、その横倒し方向に開口されている横排除口200より排除されることになる。
【0102】
このように小径メダルM1は変位ガイド片101と対応する流下途中で横倒しされ、その横方向に開口している横排除口200から排除される。そして、この横排除口200から排除されたメダルはメダル払出シュート26を降下してスロットマシン11の受皿19へと返却される。
【0103】
一方、スロットマシン11の制御部11cがメダルMを受付拒否している場合は、ソレノイド303に電源を供給せず、非励磁状態(OFF)にする。このため、可動ガイド板302はソレノイド303の励磁作用を受けず、可動ガイド板302が基板28と離れる方向に回動し、メダル通路33が開放されてメダルを下方に排除可能になる。また、リンクブロッカ400のブロッカ部401も回動してメダル通路33に突出し、ここに導かれたメダルMの通過を規制して余剰メダル等のメダルMをメダル通路33より確実に落下させて排除させる。
【0104】
さらに、可動ガイド板302の通路非有効状態から通路有効状態への切替時において、可動ガイド板302と、該可動ガイド板302と対向する通路壁318との間に排除方向に倒れかかっていたメダルが排除される前に挟まれてロックされるおそれがある。
【0105】
このような場合でも、可動ガイド板302の通路形成プレート308がメダル通路33より退避するためメダル通路33が開口してメダルの排除が可能になる。このため、可動ガイド板302でのメダル詰まりのおそれがなくなり、メダル詰まりを確実に防止することができる。
【0106】
上述のように、小径メダルM1が投入された場合は、その小径メダルM1が縦方向通路L1を降下中に変位ガイド片101によって小径メダルM1を略L形状の外側L20に変位させて滑らかに降下させることができる。また、小径メダルM1が横排除口200に達した際は、横倒ガイド部103b及び中間ガイド領域103cのガイド作用によって小径メダルM1を確実に排除することができる。これにより、小径メダルの飲み込みを確実に防止することができる。
【0107】
また、可動ガイド板302を通路非有効状態から通路有効状態へ切り替える際に、メダルを挟んでメダル詰まりが発生しようとしても、この可動ガイド板302に備えられた通路形成プレート308が詰まり発生原因となる負荷が生じた時点で退避してメダル詰まりを回避するため、メダル詰まりを的確に防止できる信頼性の高いスロットマシンとして運用することができる。
【0108】
この発明の構成と、上述の一実施例の構成との対応において、
この発明のメダル選別装置は、実施例のメダルセレクタ25に対応し、
以下同様に、
小径メダル降下ガイド手段は、小径メダル降下ガイド機構100に対応し、
付勢手段は、付勢バネ102に対応し、
遊技機は、スロットマシン11に対応するも、この発明は請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、上述の一実施例の構成のみに限定されるものではない。例えば、上述の一実施例では、遊技機で利用されるメダルを例にとって示したが、これに限らず、硬貨であっても適用することができる。