特許第5776308号(P5776308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776308
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】系統連系電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20150820BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H02M7/48 R
   H02J3/38 180
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-98463(P2011-98463)
(22)【出願日】2011年4月26日
(65)【公開番号】特開2012-231606(P2012-231606A)
(43)【公開日】2012年11月22日
【審査請求日】2014年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100085833
【弁理士】
【氏名又は名称】松崎 清
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】梅沢 一喜
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−134843(JP,A)
【文献】 特開2004−153957(JP,A)
【文献】 特開平07−039086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H02J 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相交流電源波形をフィルタ処理,位相調整して得た3相波形から正相波形を算出し、この正相波形から3調波成分を算出して3相波形に加算したものを基本電圧波指令とする系統連系電力変換装置において、
前記正相波形から位相を90度遅らせた波形を演算し正相波形と90度遅れの波形とから電圧振幅レベルを演算する電圧振幅演算回路と、その電圧振幅レベルが一定範囲内に収まるよう調節演算をして前記電圧振幅レベルに対する補正値を出力するとともにその逆数を補正ゲインとして帰還し、さらに、この補正ゲインに電圧振幅レベルを乗じたものを正規化レベルとして出力する調節演算回路と、有効電力指令,無効電力指令および第一のリミッタを介して入力された前記補正ゲインに基づき電流指令を生成する電流指令生成回路と、前記電流指令生成回路で生成された電流指令と前記補正ゲインを乗じた基準正弦波および基準余弦波とに基づいて基本波電流指令を生成する座標変換器と、前記基本波電流指令と出力電流検出値とに基づき電流制御演算を行ない、前記基本電圧波指令に対する補正量を出力する電流制御演算回路とを設け、その補正量と基本電圧波指令とに基づいて制御を行なうことを特徴とする系統連系電力変換装置。
【請求項2】
前記調節演算回路は、前記電圧振幅レベルに前記補正ゲインを乗じた正規化レベルの上限が所定値に収まるようにする上限調節器と、同じく下限が所定値に収まるようにする下限調節器と、各調節器の出力を加算する第1加算器と、この第1加算器出力と前記電圧振幅レベルとを加算する第2加算器と、この第2加算器出力を制限する第のリミッタとからなり、この第のリミッタを介して前記電圧振幅レベルに対する補正値を得ることを特徴とする請求項1に記載の系統連系電力変換装置。
【請求項3】
前記電圧振幅レベルに対する補正値から前記第2加算器出力を減じたものを、前記上限調節器および下限調節器の各出力リミッタの設定値にそれぞれ加算することを特徴とする請求項2に記載の系統連系電力変換装置。
【請求項4】
前記正規化レベルが設定値を下回ったときは、ゲートブロック信号を出力することを特徴とする請求項2に記載の系統連系電力変換装置。
【請求項5】
3相交流電源が低下したとき、その低下レベルに応じて出力電流を増加させる第1の運転モードと、さらなる電圧低下により現在の出力電流を保持して運転する第2の運転モードと、この第2の運転モード以下となる電圧低下により現在の出力電流を減少させて運転する第3の運転モードと、運転継続境界設定以下に電圧が低下したときはゲートブロックし、電圧復帰後は緩やかに復帰させる第4の運転モードの少なくとも1つの運転モードを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の系統連系電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力系統に連系して給電する太陽光発電システムや風力発電システム等の分散型電源システムに用いて好適な系統連系電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムや風力発電システム等の分散型電源システムの大量導入が進み、その安定運用が技術課題となっている。
分散型電源システムでは、系統に連系させるために保護機能や制御機能を持たせることが義務付けられており、これらの機能は、系統異常に対しては一度停止してから再起動することが前提である。そのため、停止条件となっている保護機能により、大量導入された分散型電源システムが瞬時電圧低下時に系統から一斉に脱落することにより、系統周波数の低下や電圧レベルの変動が懸念される。したがって、瞬時電圧低下時には分散型電源システムの運転を継続し、系統の安定性を確保することが望ましい。
【0003】
図8は、交流分散型電源システムの一般的な例を示す構成図である。
同図において、1は電力系統などの交流電源、2〜4はスイッチ、10は系統連系電力変換装置(インバータ)、5は交流電源1や変換装置10から給電される負荷である。変換装置10にはコンデンサ8およびACリアクトル9が設けられ、交流電源1の電圧を検出する電圧検出器(トランス)6の検出値と、出力電流を検出する電流検出器(CT)7の検出値とに基づきPWM制御されたオン,オフ信号が形成され、変換装置10が駆動される。
【0004】
変換装置10を制御するために、ここではPLL(Phase−Locked Loop)回路11、座標変換器12、出力電流制御部13、電圧指令生成回路14およびゲート生成回路15などが設けられる。
PLL回路11は、交流電源1の周波数に同期した基準正弦波sinωtと、位相を90度ずらしたcosωtを生成する。座標変換器12ではsinωt,cosωtに基づき、有効電流指令Idref,無効電流指令Iqrefを座標変換して、例えばU相,W相出力電流指令Iuref,Iwrefを生成し、出力する。U相,W相以外の2相でも良い。
【0005】
出力電流制御部13は座標変換器12で生成されたU相,W相出力電流指令Iuref,Iwrefと、電流検出器7で検出された変換装置10の出力電流検出値Iu,Iwとが一致するように電流調節(ACR)制御を行なう。その結果、出力電流制御部13は3相の電圧指令信号Vuref,Vvref,Vwrefを補正するための補正信号ΔVuref,ΔVvref,ΔVwrefを生成し、出力する。なお、電圧指令信号Vuref,Vvref,Vwrefは、電圧指令生成回路14においてPLL回路11からの出力に基づき生成される。
【0006】
ゲート生成回路15は、各相の電圧指令信号Vuref,Vvref,Vwrefと、その補正信号ΔVuref,ΔVvref,ΔVwrefとを各相ごとに加算して、各相の変調信号を生成する。また、これら各相の変調信号をキャリア信号と比較することで、PWM信号を発生し、変換装置10に与える。変換装置10ではこれらの信号に基づき図示されないスイッチング素子をオンオフ制御し、所望の3相交流電圧を出力するようにしている。
【0007】
PLL回路を用いる系統連系変換装置としては、例えば特許文献1,2に示されるものがあり、ここでは特許文献1の例を図9に示す。
系統電圧検出値16と90度位相をずらした信号23とを乗算器17で乗算し、ローパスフィルタ18により2倍周波数成分を除去して直流信号を得、PI(比例・積分)調節器19に入力する。PI調節器19の出力信号とキャリア発生器21からの出力とを加算器20で加算し、cos関数器22を通すことにより、検出値16より90度位相をずらした信号23に変換する。また、PI調節器19の出力信号とキャリア発生器21からの出力とを加算した値を、位相シフト回路24およびSIN関数器25により3相基準正弦波とし、直流電圧値27を乗算することで、3相電流指令信号28を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0018309号明細書
【特許文献2】特開2010−161901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1に記載の方法では、瞬時電圧低下時にPLL回路では積分動作を伴うため位相演算精度が出ず、交流電源と基準正弦波との間に位相差を生じるおそれがあり、同期外れが生じたりすると系統連系変換装置が停止するという問題がある。また、交流電源が正常時から電圧低下する過程および電圧低下時から正常電圧に復帰する過程においては、急激な電圧変動により変換装置の出力電流が定格を超えてしまい、過電流を発生するおそれがある。
さらに、系統異常により給電系統切替等がなされて、全位相急変が発生した場合においても、PLL制御による波形追従制御方式では交流入力電圧への位相,周波数調整器系が必要で、位相検出方法および制御性能にて同期精度,応答が決まるため、系統異常のレベルにおいてすべてを同期ロックすることは困難である。
【0010】
上記のような課題を解決するため、出願人は例えば図10に示すようなものを提案している。
これは、系統電圧の検出波形から変換装置に必要な電圧,電流波形を生成するものである。すなわち、電圧検出器6から得た系統電圧の検出波形から、振幅演算器33にて振幅レベルを算出し、演算器32によりその逆数を求め、これを有効電力指令Pdrefおよび無効電力指令Pqrefに乗じて電流指令Idref,Iqrefを生成し、その他は図8と同様にして変換装置10を制御するものである。
【0011】
図10の方法では、電圧検出波形から基準電流波形を生成しているため、電圧波形の追従性は良いが、電流波形の追従性が良くないだけでなく、電流制御の精度および安定性に問題がある。また、系統電圧の低下レベルによっては、変換装置を安定に電流制御することができなくなるという問題もある。
従って、この発明の課題は、電圧レベルがどのように変動しても安定に電圧,電流制御を行なうことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明では、3相交流電源波形をフィルタ処理,位相調整して得た3相波形から正相波形を算出し、この正相波形から3調波成分を算出して3相波形に加算したものを基本電圧波指令とする系統連系電力変換装置において、
前記正相波形から位相を90度遅らせた波形を演算し正相波形と90度遅れの波形とから電圧振幅レベルを演算する電圧振幅演算回路と、その電圧振幅レベルが一定範囲内に収まるよう調節演算をして前記電圧振幅レベルに対する補正値を出力するとともにその逆数を補正ゲインとして帰還し、さらに、この補正ゲインに電圧振幅レベルを乗じたものを正規化レベルとして出力する調節演算回路と、有効電力指令,無効電力指令および第一のリミッタを介して入力された前記補正ゲインに基づき電流指令を生成する電流指令生成回路と、前記電流指令生成回路で生成された電流指令と前記補正ゲインを乗じた基準正弦波および基準余弦波とに基づいて基本波電流指令を生成する座標変換器と、前記基本波電流指令と出力電流検出値とに基づき電流制御演算を行ない、前記基本電圧波指令に対する補正量を出力する電流制御演算回路とを設け、その補正量と基本電圧波指令とに基づいて制御を行なうことを特徴とする。
【0013】
また、請求項1の発明においては、前記調節演算回路は、前記電圧振幅レベルに前記補正ゲインを乗じた正規化レベルの上限が所定値に収まるようにする上限調節器と、同じく下限が所定値に収まるようにする下限調節器と、各調節器の出力を加算する第1加算器と、この第1加算器出力と前記電圧振幅レベルとを加算する第2加算器と、この第2加算器出力を制限する第二のリミッタとからなり、この第二のリミッタを介して前記電圧振幅レベルに対する補正値を得ることができる(請求項2の発明)。
この請求項2の発明においては、前記電圧振幅レベルに対する補正値から前記第2加算器出力を減じたものを、前記上限調節器および下限調節器の各出力リミッタの設定値にそれぞれ加算することができる(請求項3の発明)。
【0014】
また、請求項2の発明においては、前記正規化レベルが設定値を下回ったときは、ゲートブロック信号を出力することができる(請求項4の発明)。
請求項1〜4のいずれか1つの発明においては、3相交流電源が低下したとき、その低下レベルに応じて出力電流を増加させる第1の運転モードと、さらなる電圧低下により現在の出力電流を保持して運転する第2の運転モードと、この第2の運転モード以下となる電圧低下により現在の出力電流を減少させて運転する第3の運転モードと、運転継続境界設定以下に電圧が低下したときはゲートブロックし、電圧復帰後は緩やかに復帰させる第4の運転モードの少なくとも1つの運転モードを含むことができる(請求項5の発明)。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、電流指令系をほぼ一定にすることができるので、電流制御を安定に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施の形態を示す構成図である。
図2図1に示すフィルタ位相調整回路の具体例を示す構成図である。
図3図1に示す基準調節器の具体例を示す構成図である。
図4】ゲートブロック回路図である。
図5】この発明の動作を説明する波形図である。
図6】この発明の運転モード説明図である。
図7】この発明の動作を従来例と比較して説明する波形図である。
図8】交流分散型電源システムの一般的な例を示す構成図である。
図9】PLL回路を用いた系統連系変換装置の例を示すブロック図である。
図10】提案例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1はこの発明の実施形態を示す構成図である。
同図からも明らかなように、図10に示すものに対しフィルタ位相調整器40、正相演算器41、3調波成分演算器42、および調節器回路43などを付加した点が特徴である。
従って、トランス(検出器)6を介して検出される系統電圧をフィルタ位相調整器40に通すことで、ノイズ成分が除去された三相正弦波を得る。
図2にフィルタ位相調整器の具体例を示す。これは、3相のうちの1相分を示すもので、バンドパスフィルタBPFにてノイズ成分を除去し、ローパスフィルタLPFを経てゲインK1調整した後に減算し、これにレベル調整K2を施して正弦波を得るものである。
【0018】
次に、フィルタ位相調整器40の出力を正相演算器41に与えて正相電圧を抽出するとともに、3調波成分演算器42にて3調波成分を算出し、これにフィルタ位相調整器40で生成した三相正弦波を基本電圧波形生成回路29にて加算することで、基本電圧波指令が生成される。これは、基本電圧波形を台形波とするもので、電圧利用率を向上させるための操作と言える。
【0019】
基準正弦波生成回路30は、正相演算器41からの正相電圧から正弦波,余弦波sinωt,cosωtを算出するとともに、振幅演算器33により振幅レベル(単に振幅ともいう)Vpを算出して基準調節器35に加える。基準調節器35から出力される補正値Lvrefを逆数演算器32で逆数化して得た補正ゲインVALrefを、基準調節器35に帰還するとともに、第一のリミッタ36を介して電流指令生成回路31に入力する。また、振幅レベルVpを逆数演算器32にて逆数化した補正ゲインVALrefは、乗算器38,39により基準正弦波生成回路30からの正弦波,余弦波sinωt,cosωtと乗算され、座標変換器12に入力される。
電流指令生成回路31は、入力された補正ゲインVALrefを図10の提案例と同様に有効電力指令Pdrefおよび無効電力指令Pqrefに乗じて電流指令Idref,Iqrefを生成する。
【0020】
図3に調節器回路43の中心部をなす基準調節器の具体例を示す。
基準調節器35は振幅演算器33からの振幅Vpを入力し、これに補正ゲインVALrefを乗じたもの(正規化レベルReg)から許容上限値51を減算して、調節器54へ入力する。一方、正規化レベルRegから許容下限値52を減算して、調節器55へ入力する。そして、調節器54の出力を可変リミッタ57を通したものと、調節器55の出力を可変リミッタ58を通したものとを加算し、この加算値にさらに振幅演算器33からの振幅Vpをリミッタ59に通したものを加算し、第二リミッタ62を経て補正値Lvrefとして出力する。
【0021】
さらに、補正値Lvrefから第二リミッタ62の入力を減算したものの一方は、正極
リミッタ53を通して上限リミッタ60と加算され、可変リミッタ57のリミット値となる。また、補正値Lvrefから第二リミッタ62の入力を減算したものの他方は、負極
リミッタ56を通して下限リミッタ61と加算され、可変リミッタ58のリミット値となる。
以上のように構成される基準調節器35は、電圧振幅Vpの低下時に、基準電圧指令生成回路31に入力する補正値Lvref、および座標変換器12に入力する基準正弦波,余弦波sinωt,cosωtを変動無く一定レベルに保持するように機能する。
【0022】
図4にゲートブロック判定回路の具体例を示す。
同図のCPは比較器を示し、ここで電圧振幅Vpと補正ゲインVALrefとの積で示される正規化レベルRegを、運転継続限界設定値と比較し、正規化レベルRegの方が小さい場合は、電力変換装置10を構成するスイッチ素子のオン信号をオフとし、出力電流が零となるようにゲートブロックする。
【0023】
図5図6を参照して、図1の動作について説明する。
いま、図5(イ)に示す電圧レベルが図示のように低下すると、第一のリミッタ(36)の制限値にかかる前のt1の段階では、図5(ロ)に示す電流指令は電圧低下に応じて上昇し、図5(ハ)に示す基準波形レベルは一定となり、図6のように運転モード1となる。これは、電力指令に追従するため、電圧低下に反して電流を上昇させる必要があるためである。
【0024】
さらに電圧が低下し第一のリミッタ(36)にかかると、電流指令生成回路31の演算結果である電流指令は一定となり、図6のように運転モード2となる(図5のt2参照)。さらに、電圧レベルが低下して第二のリミッタ(62)にかかると(図5のt3参照)、基準波形レベルが低下するため、図5(ニ)の最終電流指令レベルも低下し、図6のように運転モード3となる。さらに電圧低下すると、図5(ホ)のようにゲートブロック信号が送出され、図6のように運転モード4となる。
【0025】
すなわち、運転モード1では系統電圧低下による電力保持動作となり、出力電流は増加する。運転モード2も系統電圧低下による電流保持動作となり出力電流は一定となる。運転モード3では系統電圧低下に基づく電流低減動作となり、出力電流が低下する。また、運転モード4では系統電圧低下によってゲートブロックとなり、出力電流は零となる。そして、系統電圧復帰後に緩やかに電流を上昇させる。
【0026】
図7に、系統電圧変動時の出力電流指令の変化を示す。
従来は、図7(ハ)のような系統電圧変動に対し、出力電流指令は図7(ニ)のように変化して不安定であるが、この発明によれば、図7(イ)のような電圧変動に対し、出力電流指令は図7(ロ)のようにほぼ一定となり、安定な運転が行なわれることになる。
【符号の説明】
【0027】
1…交流電源、2…系統遮断器、3…負荷遮断器、4…変換装置遮断器、5…負荷、6…電圧検出器(トランス)、7…電流検出器(CT)、8…フィルタコンデンサ、9…ACリアクトル、10…系統連系変換装置(インバータ)、12…座標変換器、13…出力電流制御部、15…ゲート生成回路、29…基本電圧波形生成回路、30…基準正弦波生成回路、31…電流指令生成回路、32…逆数演算器、33…振幅演算器、34…ゲートブロック判定回路、35…基準調節器、36…第一リミッタ、38,39…乗算器、40…フィルタ位相調整器、41…正相演算器、42…第三調波演算器、43…調節器回路、50…補正ゲイン、51…許容上限値、52…許容下限値、53…正極リミッタ、54,55…調節器、56…負極リミッタ、57,58…可変リミッタ、59…リミッタ、60…上限リミッタ、61…下限リミッタ、62…第二リミッタ、63…振幅、64…正規化レベル、CP…比較器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10