特許第5776317号(P5776317)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5776317工業プラントのバッチ実行データを表示するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776317
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】工業プラントのバッチ実行データを表示するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20150820BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20150820BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20150820BHJP
【FI】
   G05B23/02 301N
   G05B23/02 V
   G05B19/418 Z
   G06F3/048 655A
【請求項の数】26
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2011-106114(P2011-106114)
(22)【出願日】2011年5月11日
(65)【公開番号】特開2011-248875(P2011-248875A)
(43)【公開日】2011年12月8日
【審査請求日】2014年1月24日
(31)【優先権主張番号】12/785,022
(32)【優先日】2010年5月21日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博文
(72)【発明者】
【氏名】山本 光浩
【審査官】 川東 孝至
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−151787(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/037146(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00−23/02
G05B 19/418
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各レベルに少なくとも1つのレベル要素を含む複数の要素レベルからなる階層構造をそれぞれ有した複数のバッチ実行を実行するように構成された工業プラントのバッチ実行データを表示するための方法であって、
第1レベルウィンドウ内の第1レベル要素を選択する段階と、
選択した第1レベル要素に含まれる第2レベル要素を第2レベルウィンドウ内に表示する段階と
第1レベル要素の完了済バッチ実行から収集されたトレンドデータのデータセットである参照トレンドを、第1レベル要素の未完了バッチ実行に関連付ける段階と、
第1レベル要素の未完了バッチ実行がどのように実行されているかを示す現在のトレンドデータ上に、参照トレンドを重ね合わせて表示する段階と
を有し、
第2レベルウィンドウは、第1レベルウィンドウ内において、第1レベルウィンドウ内のどの第1レベル要素も覆い隠すことなく、選択した第1レベル要素の直下に表示されることを特徴とする方法。
【請求項2】
第1レベルウィンドウ内に表示された別の第1レベル要素を選択する段階と、
選択した別の第1レベル要素に含まれる第2レベル要素を別の第2レベルウィンドウ内に表示する段階と
をさらに有し、
別の第2レベルウィンドウは、第1レベルウィンドウ内において、第1レベルウィンドウ内のどの第1レベル要素も覆い隠すことなく、選択した別の第1レベル要素の直下に表示されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウに設けられたスクロールバーを用いて表示を非分割行スクロールされるように構成された複数の列からなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウのサイズに限りがある場合に、所定の最大数の第2レベル要素の行を同時に表示するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第2レベルウィンドウ内の第2レベル要素を選択する段階と、
選択した第2レベル要素に含まれる第3レベル要素を第3レベルウィンドウ内に表示する段階と
をさらに有し、
第3レベルウィンドウは、第2レベルウィンドウ内において、第2レベルウィンドウ内のどの第2レベル要素も覆い隠すことなく、選択した第2レベル要素の直下に表示されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2レベルウィンドウ内の別の第2レベル要素を選択する段階と、
選択した別の第2レベル要素に含まれる第3レベル要素を別の第3レベルウィンドウ内に表示する段階と
をさらに有し、
別の第3レベルウィンドウは、第2レベルウィンドウ内において、第2レベルウィンドウ内のどの第2レベル要素も覆い隠すことなく、選択した別の第2レベル要素の直下に表示されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
第3レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウに設けられたスクロールバーを用いて表示を非分割行スクロールされるように構成された複数の列からなることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
第3レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウのサイズに限りがある場合に、所定の最大数の第3レベル要素の行を同時に表示するように構成されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
第2レベルウィンドウを表示する際、第1レベルウィンドウ内の第1レベル要素の最上段行に、選択した第1レベル要素を表示する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
特定のレベル要素をマーク済レベル要素として表示する段階をさらに有し、
マーク済レベル要素は、現在進行中のバッチ実行の手順要素であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
複数の完了済バッチ実行のうちの少なくとも1つの完了済バッチ実行にフラグを設定する段階をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
フラグを設定する段階が、複数のフラグからなるグループから1つのフラグを選択する段階を含み、
複数のフラグのそれぞれは、互いに異なるバッチ実行特性を表すことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
参照トレンドを未完了バッチ実行に関連付ける段階が、特定のフラグ設定済完了済バッチ実行を選択する段階を含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項14】
複数のフラグ設定済完了済バッチ実行の中から特定のフラグ設定済完了済バッチ実行を選択するために、当該複数のフラグ設定済完了済バッチ実行を表示する段階をさらに有することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第2参照トレンドとして設定される第2トレンドデータを選択する段階と、
現在のトレンドデータの表示と共に第2参照トレンドを表示する段階と
をさらに有することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項16】
各レベルに少なくとも1つのレベル要素を含む複数の要素レベルからなる階層構造をそれぞれ有した複数のバッチ実行を実行するように構成された工業プラントのバッチ実行データを表示するための装置であって、
第1レベルウィンドウ内の第1レベル要素の選択時、対応する第2レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウ内において、第1レベルウィンドウ内のどの第1レベル要素も覆い隠すことなく、対応する第1レベル要素の直下に表示されるように、第1レベルウィンドウ内に少なくとも1つの第2レベルウィンドウを表示するように構成されたウィンドウ表示モジュールと、
第1レベル要素の完了済バッチ実行から収集されたトレンドデータのデータセットである参照トレンドを、第1レベル要素の未完了バッチ実行に関連付ける関連付けモジュールと、
第1レベル要素の未完了バッチ実行がどのように実行されているかを示す現在のトレンドデータ上に、参照トレンドを重ね合わせて表示するトレンド表示モジュールと
を具備し、
各第2レベルウィンドウは、対応する第1レベル要素に含まれる第2レベル要素を表示することを特徴とする装置。
【請求項17】
第2レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウに設けられたスクロールバーを用いて表示を非分割行スクロールされるように構成された複数の列からなることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
第2レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウのサイズに限りがある場合に、所定の最大数の第2レベル要素の行を同時に表示するように構成されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項19】
ウィンドウ表示モジュールが、第2レベルウィンドウの表示の際、第1レベルウィンドウ内の第1レベル要素の最上段行に、選択した第1レベル要素を表示するようにさらに構成されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項20】
ウィンドウ表示モジュールが、第2レベルウィンドウ内の第2レベル要素の選択時、対応する第3レベルウィンドウが、第2レベルウィンドウ内において、第2レベルウィンドウ内のどの第2レベル要素も覆い隠すことなく、対応する第2レベル要素の直下に表示されるように、第2レベルウィンドウ内に少なくとも1つの第3レベルウィンドウを表示するようにさらに構成され、
各第3レベルウィンドウは、対応する第2レベル要素に含まれる第3レベル要素を表示することを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項21】
第3レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウに設けられたスクロールバーを用いて表示を非分割行スクロールされるように構成された複数の列からなることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
第3レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウのサイズに限りがある場合に、所定の最大数の第3レベル要素の行を同時に表示するように構成されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項23】
ウィンドウ表示モジュールが、特定のレベル要素をマーク済レベル要素として表示するようにさらに構成され、
マーク済レベル要素は、現在進行中のバッチ実行の手順要素であることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項24】
複数のフラグからなるグループから1つのフラグを選択することによって、複数の完了済バッチ実行のうちの少なくとも1つの完了済バッチ実行にフラグを設定するように構成されたフラグモジュールをさらに具備し、
複数のフラグのそれぞれは、互いに異なるバッチ実行特性を表すことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項25】
関連付けモジュールが、複数のフラグ設定済完了済バッチ実行の中から特定のフラグ設定済完了済バッチ実行を選択して参照トレンドを提供するために、当該複数のフラグ設定済完了済バッチ実行を表示するようにさらに構成されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項26】
トレンド表示モジュールが、現在のトレンドデータと共に第2参照トレンドを表示するようにさらに構成され、
第2参照トレンドは、収集された複数のトレンドデータセットから選択されることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業プラントのバッチ実行データを表示するための方法及び装置に関する。具体的には、バッチ手順制御の間に得られるバッチ実行データを表示することに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に定義されているように、バッチ処理とは、「ある量の入力マテリアルに対し、設備のうちの一部分以上を用いて、一定時間で、順序付けられた処理動作一式を適用することによって、有限量のマテリアルを生成するプロセス」を指す。バッチ型製造プラントでは、典型的に、順序付けられた各処理動作一式は、バッチ実行と称される。ほとんどのバッチ処理において、ある2つのバッチ実行同士が完全に同一となることは無い。各バッチ実行は、製造物の品質、コスト、及び納期からなる固有の特性一式を有することとなる。
【0003】
非特許文献1にも定義されているように、バッチ処理のための手順制御には、典型的に、図8に示されるように、複数の手順要素の複数のレベルからなる階層800中の4つのレベル810,820,830,840が存在する。一般に、手順制御の4つのレベルのうちの各レベル要素は、非特許文献1にも記載の通り、それぞれ、「プロシジャ」810、「ユニットプロシジャ」820、「単位シーケンス」830、及び「フェーズ」840と称される。したがって、バッチ処理の第1レベルは、少なくとも1つの第1レベル要素810又はプロシジャ810からなる。各第1レベル要素810は、少なくとも1つの第2レベル要素820又はユニットプロシジャ820を含み得る。各第2レベル要素820は、少なくとも1つの第3レベル要素830又は単位シーケンス830を含み得る。最後に、各第3レベル要素830は、少なくとも1つの第4レベル要素840又はフェーズ840を含み得る。
【0004】
バッチ型製造プラントでは、通常、一度に多数のバッチ実行を監視する。複数のバッチ実行のうちのいくつかは、他のバッチ実行が未完了であったり実行待ちの処理動作を残してあったりしても、その動作を完了させる。典型的に、複数のバッチ実行のそれぞれは、先に記載した手順制御における第1レベル要素又はプロシジャ810である。すべてのバッチ実行又は第1レベル要素810は、通常、表示画面上の第1ウィンドウ内に第1レベル要素810のリストとして表示される。ユーザは、特定のバッチ実行810について、そのユニットプロシジャ又は第2レベル要素820をチェックしたい場合、当該バッチ実行810をクリックする。これにより、第1ウィンドウの上に第2ウィンドウが開き、当該バッチ実行810に対するすべてのユニットプロシジャ820が表示される。いくつかのバッチ実行810を一度にチェックするためには、画面上に、対応する数の新たなウィンドウを開く必要がある。さらに階層を下り、多数のバッチ実行810についてその単位シーケンス830又はフェーズ840をチェックするためには、同一画面上で互いのウィンドウ上にさらに新しいウィンドウを開かねばならない。そのような画面はたちまち乱雑となり、先に開いたウィンドウは覆い隠される。その結果、ユーザは、どのウィンドウがどのバッチ実行810に対するどのレベル要素820,830,840を表示しているのか分からなくなってしまう。
【0005】
さらに、バッチ型製造プラントでは、完了した各バッチ実行からトレンドデータセットが収集されるように、各バッチ実行の実行中に、トレンドデータが収集されることがよくある。このようにして、工業プラントの各完了済バッチ実行の製造特性が、将来の利用のために記録される。
【0006】
バッチ型製造プラントの制御システムのバッチ型製造機能のユーザは、しばしば、特に良好な特性を有する特定の完了済バッチ実行を記憶しておくことを望む。これは、以後のバッチ実行の実行時、同様の良好な特性が得られるように、それらの特定の完了済バッチ実行を再現することをユーザが試みる際に重要となる。現在、特に良好な完了済バッチ実行は、ログ帳やコントロールルームのホワイトボードにそれらのバッチ実行の参照番号を手作業で書き留めることによって記録されている。特定のバッチ実行について特筆すべき特性を記すために、各参照番号の脇に注釈が書き留められることもよくある。また、良好なバッチ実行の脇には、負事例として役立つ完了済不良バッチ実行が、ユーザによって記録される。したがって、記録された特定の完了済バッチ実行を見つけ出すことは、ある1つのバッチ実行を探すために、記録されたバッチ実行のすべてを注意深く調べるというユーザにとって退屈な作業となる。
【0007】
未完了のバッチ実行は、実行が予約され、待機中のバッチ実行であるか、又は、実行中であるが、まだ完了していないバッチ実行である。未完了バッチ実行が実行中である場合、特定の完了済バッチ実行を未完了バッチ実行のための参照値として役立たせるためには、完了済バッチ実行から収集したトレンドデータが、未完了バッチ実行の現在のトレンドデータと共に参照トレンドとして示すことが求められる。このようにすることで、ユーザは、未完了バッチ実行が完了済バッチ実行にどの程度一致しているか、又は、どの程度のずれがあるか確認することができる。
【0008】
現在、未完了バッチ実行の監視と同時に参照トレンドを表示するために、ユーザは、バッチ管理機能のウィンドウを開いて、格納された複数の完了済バッチ実行の参照番号のうちの特定の完了済バッチ実行参照番号を探す。ユーザは、手作業で記録した完了済バッチ実行参照番号のリストを含むログ帳又はホワイトボードから特定の参照番号を前もって見つけ出しておくことによって、そのような特定の参照番号を知る。特定の参照番号が見つかったとき、ユーザがそれを選択し、次いで、この特定の完了済バッチ実行に対応するトレンドデータセットが、現在のトレンドデータの表示と共に参照トレンドとして表示される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】ANSI/ISA-88.01-1995, Batch Control, Part 1: Models and Terminology
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様によれば、複数のバッチ実行を実行するように構成された工業プラントのバッチ実行データを表示するための方法が提供される。各バッチ実行は、複数の要素のレベルからなる階層構造を有する。各レベルは、少なくとも1つのレベル要素を有する。上記方法は、第1レベルウィンドウ内の第1レベル要素を選択する段階と、選択した第1レベル要素に含まれる第2レベル要素を第2レベルウィンドウ内に表示する段階とを有する。第2レベルウィンドウは、第1レベルウィンドウ内において、第1レベルウィンドウ内のどの第1レベル要素も覆い隠すことなく、選択した第1レベル要素の直下に表示される。
【0011】
上記方法は、第1レベルウィンドウ内に表示された別の第1レベル要素を選択する段階と、選択した別の第1レベル要素に含まれる第2レベル要素を別の第2レベルウィンドウ内に表示する段階とをさらに有してよい。別の第2レベルウィンドウは、第1レベルウィンドウ内において、第1レベルウィンドウ内のどの第1レベル要素も覆い隠すことなく、選択した別の第1レベル要素の直下に表示される。
【0012】
上記方法は、第2レベルウィンドウ内の第2レベル要素を選択する段階と、選択した第2レベル要素に含まれる第3レベル要素を第3レベルウィンドウ内に表示する段階とをさらに有してよい。第3レベルウィンドウは、第2レベルウィンドウ内において、第2レベルウィンドウ内のどの第2レベル要素も覆い隠すことなく、選択した第2レベル要素の直下に表示される。
【0013】
上記方法は、第2レベルウィンドウ内の別の第2レベル要素を選択する段階と、選択した別の第2レベル要素に含まれる第3レベル要素を別の第3レベルウィンドウ内に表示する段階とをさらに有してよい。別の第3レベルウィンドウは、第2レベルウィンドウ内において、第2レベルウィンドウ内のどの第2レベル要素も覆い隠すことなく、選択した別の第2レベル要素の直下に表示される。
【0014】
上記方法は、第2レベルウィンドウを表示する際、第1レベルウィンドウ内の第1レベル要素の最上段行に、選択した第1レベル要素を表示する段階をさらに有してよい。
【0015】
上記方法は、特定のレベル要素をマーク済レベル要素として表示する段階をさらに有してよい。マーク済レベル要素は、現在進行中のバッチ実行の手順要素である。
【0016】
上記方法は、複数の完了済バッチ実行のうちの少なくとも1つの完了済バッチ実行にフラグを設定する段階をさらに有してよい。フラグを設定する段階は、複数のフラグからなるグループから1つのフラグを選択する段階を含んでもよい。複数のフラグのそれぞれは、互いに異なるバッチ実行特性を表す。
【0017】
上記方法は、参照トレンドを未完了バッチ実行に関連付ける段階と、未完了バッチ実行の現在のトレンドデータの表示と共に参照トレンドを選択的に表示する段階とをさらに有してよい。参照トレンドは、完了済バッチ実行から収集されたトレンドデータのデータセットである。
【0018】
参照トレンドを未完了バッチ実行に関連付ける段階は、特定のフラグ設定済完了済バッチ実行を選択する段階を含んでもよい。上記方法は、複数のフラグ設定済完了済バッチ実行の中から特定のフラグ設定済完了済バッチ実行を選択するために、当該複数のフラグ設定済完了済バッチ実行を表示する段階をさらに有してもよい。
【0019】
上記方法は、第2参照トレンドとして設定される第2トレンドデータを選択する段階と、現在のトレンドデータの表示と共に第2参照トレンドを表示する段階とをさらに有してよい。
【0020】
第2態様によれば、複数のバッチ実行を実行するように構成された工業プラントのバッチ実行データを表示するための装置が提供される。各バッチ実行は、複数の要素のレベルからなる階層構造を有する。各レベルは、少なくとも1つのレベル要素を有する。上記装置は、第1レベルウィンドウ内の第1レベル要素の選択時、対応する第2レベルウィンドウが、第1レベルウィンドウ内において、第1レベルウィンドウ内のどの第1レベル要素も覆い隠すことなく、対応する第1レベル要素の直下に表示されるように、第1レベルウィンドウ内に少なくとも1つの第2レベルウィンドウを表示するように構成されたウィンドウ表示モジュールを具備する。各第2レベルウィンドウは、対応する第1レベル要素に含まれる第2レベル要素を表示する。
【0021】
ウィンドウ表示モジュールは、第2レベルウィンドウの表示の際、第1レベルウィンドウ内の第1レベル要素の最上段行に、選択した第1レベル要素を表示するようにさらに構成されてよい。
【0022】
ウィンドウ表示モジュールは、第2レベルウィンドウ内の第2レベル要素の選択時、対応する第3レベルウィンドウが、第2レベルウィンドウ内において、第2レベルウィンドウ内のどの第2レベル要素も覆い隠すことなく、対応する第2レベル要素の直下に表示されるように、第2レベルウィンドウ内に少なくとも1つの第3レベルウィンドウを表示するようにさらに構成されてよい。各第3レベルウィンドウは、対応する第2レベル要素に含まれる第3レベル要素を表示する。
【0023】
ウィンドウ表示モジュールは、特定のレベル要素をマーク済レベル要素として表示するようにさらに構成されてよい。マーク済レベル要素は、現在進行中のバッチ実行の手順要素である。
【0024】
上記装置は、複数のフラグからなるグループから1つのフラグを選択することによって、複数の完了済バッチ実行のうちの少なくとも1つの完了済バッチ実行にフラグを設定するように構成されたフラグモジュールをさらに具備してよい。複数のフラグのそれぞれは、互いに異なるバッチ実行特性を表す。
【0025】
上記装置は、参照トレンドを未完了バッチ実行に関連付けるように構成された関連付けモジュールと、未完了バッチ実行の現在のトレンドデータを表示するとともに、現在のトレンドデータと共に参照トレンドを選択的に表示するように構成されたトレンド表示モジュールとをさらに具備してよい。参照トレンドは、完了済バッチ実行から収集されたトレンドデータのデータセットである。
【0026】
関連付けモジュールは、複数のフラグ設定済完了済バッチ実行の中から特定のフラグ設定済完了済バッチ実行を選択して参照トレンドを提供するために、当該複数のフラグ設定済完了済バッチ実行を表示するようにさらに構成されてもよい。
【0027】
トレンド表示モジュールは、現在のトレンドデータと共に第2参照トレンドを表示するようにさらに構成されてもよい。第2参照トレンドは、収集された複数のトレンドデータセットから選択される。
【0028】
どちらの態様についても、第2レベルウィンドウは、第1レベルウィンドウに設けられたスクロールバーを用いて表示を非分割行スクロールされるように構成された複数の列からなってよい。第2レベルウィンドウは、第1レベルウィンドウのサイズに限りがある場合に、所定の最大数の第2レベル要素の行を同時に表示するように構成されてよい。第3レベルウィンドウは、第1レベルウィンドウに設けられたスクロールバーを用いて表示を非分割行スクロールされるように構成された複数の列からなってよい。第3レベルウィンドウは、第1レベルウィンドウのサイズに限りがある場合に、所定の最大数の第3レベル要素の行を同時に表示するように構成されてよい。
【0029】
本発明を完全に理解し、実際の効果を容易に思い浮かべることができるように、これより、限定を意図しない例示によって本発明の実施形態について説明する。説明は、添付の各図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】工業プラントのバッチ実行データを表示するための例示的な装置の構成図である。
図2】現在のトレンドデータに重ね合わせて参照トレンドを表示した例示的なキャプチャ画面を示す図である。
図3】工業プラントのバッチ実行データを表示するための例示的な方法のフローチャートである。
図4】フラグ設定されたバッチ実行の例示的なスクリーンショットである。
図5】バッチ実行にフラグを設定する段階の例示的なスクリーンショットである。
図6】フラグ設定された完了済バッチ実行を選択し、その収集済トレンドデータセットを参照トレンドとして未完了バッチ実行に関連付ける段階の例示的なスクリーンショットである。
図7】フラグ設定された完了済バッチ実行を選択し、その収集済トレンドデータセットを第2参照トレンドとして現在のトレンドデータと共に表示するために呼び出す段階の例示的なスクリーンショットである。
図8】手順制御モデルである。
図9】工業プラントのバッチ実行データを表示するための別の例示的な方法のフローチャートである。
図10】工業プラントのバッチ実行データを表示するための別の例示的な装置の構成図である。
図11】第1レベルウィンドウ内に第2レベルウィンドウを表示する段階の例示的なスクリーンショットである。
図12図11の第2レベルウィンドウ内に第3レベルウィンドウを表示する段階の例示的なスクリーンショットである。
図13図12の第3レベルウィンドウ内に第4レベルウィンドウを表示する段階の例示的なスクリーンショットである。
図14図11の第1レベルウィンドウ内にさらに第2レベルウィンドウを表示する段階の例示的なスクリーンショットである。
図15】マーク済レベル要素を表示する段階の例示的なスクリーンショットを示す図である。
図16】単一行スクロール可能な複数の行からなる複数のレベルウィンドウであって、それぞれが最大で5つのレベル要素行を表示するレベルウィンドウの例示的なスクリーンショットを示す。
図17】第1レベルウィンドウを展開するために第1レベル要素を選択する段階の例示的なスクリーンショットである。
図18】第2レベルウィンドウを表示したとき、選択した第1レベル要素を、第1レベルウィンドウ内の複数のレベル要素うちの最上段行に移動させる段階の例示的なスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
これより、図1から図15を参照して、工業プラントのバッチ実行データを表示するための方法及び装置の例示的な実施形態について説明する。この明細書中では、語「1つの(a)」は、「ただ1つの(only one)」の意味に限定されず、「1つ以上の(one or more)」の意味も含み得る。
【0032】
バッチ型製造プラントでは、図4の例示的なスクリーンショットに示すように、しばしば、一度に多数のバッチ実行161を監視することが望まれる。図4に示されたバッチ実行161のそれぞれは、典型的に、以下で図8を参照して説明されるような手順制御下の5つのレベル要素810又はプロシジャ810である。バッチ実行810に続いて複数のレベル要素820,830,840をチェックする際、従来技術で見られるような新たなウィンドウが次々と互いの上に開くことによる乱雑化及び混乱を回避するために、図9及び図10に示されたような方法900及び装置1000を提供する。
【0033】
方法900では、特定のバッチ実行又は第1レベルウィンドウ801内に表示された第1レベル要素811をチェックするために、図11の例示的なスクリーンショットに示すように、ユーザにより、その展開のために第1レベルウィンドウ801内の第1レベル要素811が選択される(ステップ920)。これは、選択した第1レベル要素811に固有のアイコン819、すなわち、各第1レベル要素810に提供される図中の三角形819などをクリックすることによって行われる。選択の前、三角形819は右方向を指しており、選択の後、三角形819は下方向を指す。装置1000のウィンドウ表示モジュール1020は、図11に示すように、第1レベル要素811の選択(ステップ920)により、後続の又は第2のレベルウィンドウ802を、選択した第1レベル要素811の直下で、かつ第1レベルウィンドウ801内のどの第1レベル要素810も覆い隠すことなく、第1レベルウィンドウ801内に表示する又は開く(ステップ940)ように構成される。これは、第1レベルウィンドウ801内の選択された第1レベル要素811の下に本来は表示される筈であった他の第1レベル要素810のすべてが、第1レベルウィンドウ801内に留まりつつ、第2レベルウィンドウ802の下に表示されるように、第1レベルウィンドウ801内で下方移動することを意味する。これにより、第2レベルウィンドウ802内に表示される第2レベル要素820が、選択された第1レベル要素811に含まれる又は「属する(belong to)」こと、かつ、他のどの第1レベル要素810にも含まれない又は属しないということがユーザに明確となる。
【0034】
同様に、方法900及び装置1000により、ユーザは、それに付与されたアイコン829をクリックすることによって、展開のために第2レベルウィンドウ802内の第2レベル要素821を選択することができる。そうすると、選択された第2レベル要素821に含まれる第3レベル要素830が、後続の又は第3のレベルウィンドウ803内に表示される。第3レベルウィンドウ803は、図12の例示的なスクリーンショットに示すように、選択された第2レベル要素821の直下で、第2レベルウィンドウ802内に表示される。これにより、第3レベル要素830が、選択された第2レベル要素821に属すること、さらには、選択された第1レベル要素811に属することがユーザに明確となる。
【0035】
同様に、第4レベル要素840は、第3レベルウィンドウ803内の第3レベル要素831が、そのアイコン839、すなわち、各第3レベル要素830に付与されたアイコンをクリックすることによって展開のために選択されたとき、図13の例示的なスクリーンショットに示すように、後続の第4レベルウィンドウ804内に表示される。同様に、第4レベルウィンドウ804は、選択された第3レベル要素831の直下で、第3レベルウィンドウ803内に表示される。
【0036】
よって、方法900及び装置1000は、後から開く各レベルウィンドウ802,803,804を、それより前のレベルウィンドウ内の他のレベル要素を覆い隠すことなく、前のレベルウィンドウ内に表示することを可能にする。これにより、ユーザが後続レベル要素811,821,831の展開によって、各バッチ実行811を詳細に見ることを望むときには、例えば、図13に、入れ子状態の複数のレベルウィンドウ801,802,803,804として示されたように、表示しようとするウィンドウは次々と入れ子状態となる。先に開かれたウィンドウ内に新たに開かれた各ウィンドウを表示することにより、入れ子状態の各ウィンドウが特定のバッチ実行811だけのものであることがユーザに明確となり、その乱雑化及び混乱が回避される。
【0037】
また、方法900及び装置1000は、同一のレベルに対して2つ以上のレベル要素が常に表示されることを許可するように構成される。例えば、図14の例示的なスクリーンショットに示すように、第1レベルウィンドウ801から2つの第1レベル要素811,812が選択されている。したがって、対応する2つの第2レベルウィンドウ802−1,802−2が開かれる。両第2レベルウィンドウ802−1,802−2は、各自、それぞれについて選択された第1レベル要素811,812の直下で、第1レベルウィンドウ801内に表示される。同様に、複数の第2、第3、及び第4レベル要素820,830,840は、複数の第2、第3、及び第4レベルウィンドウ802,803,804をそれぞれ開くように選択されてよい。そのようにしても、方法900及び装置1000を用いた複数のウィンドウの入れ子表示により、ユーザは、画面上にあるさまざまなレベル要素のすべての整頓された明瞭なビューを引き続き得ることができる。
【0038】
ユーザらに使い勝手の良いビューを提供するように、図16に示すように、第1レベルウィンドウ801内にさらに下方展開される全コンテンツを見るために、第1レベルウィンドウ801にスクロールバー880が提供されてよい。当然ながら、第1レベルウィンドウ内のコンテンツは、それらが既に開かれていた場合に、1つ以上の後続レベルウィンドウ802,803,804を含み得る。複数のレベルウィンドウ801,802,803,804のそれぞれは、ヘッダ行861と、メニュー行862と、1つ以上のレベル要素行860とからなる多数の行を有する。各レベルウィンドウ801,802,803,804は、スクロールバー880の使用によって、例えば、スクロールバー880の両端の単一(非分割)行スクロールボタン887−1,887−2がシングルクリックされたとき、又は、スクロールバーつまみ888がドラッグされたとき、単一(非分割)行スクロールを可能にするように構成される。したがって、各レベルウィンドウ801,802,803,804は、ダウンスクロールボタン887−2を1度だけクリックした際に行ブロック全体がスキップされるように、各ブロックが1つの行として扱われる場合に、従来のように行毎の1ブロックとしては構成されない。各行861,862,860が別個の行として認識され、取り扱われる場合に単一行スクロールを可能とするよう、各レベルウィンドウ801,802,803,804を構成することによって、ユーザには、第1レベルウィンドウ801内の特定の行861,862,860の選択した範囲を見るためのユーザ設定可能な表示が提供される。
【0039】
好ましくは、後続レベルウィンドウ802,803,804には、スクロールバー880を設けない。これは、開かれた各後続レベルウィンドウ802,803,804の表示エリアを不本意に減少させるおそれがあるためである。その代わりとして、各後続レベルウィンドウ802,803,804内でのスクロール機能を引き続き保つために、好ましくは、スクロールボタン881〜886が提供される。好ましくは、スクロールボタン881〜886は、「先頭へ移動(jump to top)」881、「末尾へ移動(jump to bottom)」886、ページアップ移動882、ページダウン移動885、1行アップ移動883、及び1行ダウン移動884を行うように構成される。第1レベルウィンドウ801だけにスクロールバー880を提供し、かつ後続レベルウィンドウ802,803,804にスクロールボタン881〜886を提供することによって、ユーザフレンドリーかつ直感的であり、また、表示領域を最大化するインタフェースがユーザに対して提供される。
【0040】
バッチ実行データの表示をさらに単純化するために、好適には、現在アクティブである各後続レベルウィンドウ802,803,又は804(例えば、図16における第3レベルウィンドウ803)は、当該後続レベルウィンドウ802,803,又は804内に所定の最大数以上のレベル要素820,830,又は840がそれぞれ存在し、かつ第1レベルウィンドウ801中の利用可能なウィンドウスペースが限られる場合に、所定の最大数のレベル要素の行860を同時に表示するように構成される。表示上の所定の最大数を越えた残りのレベル要素の行860は、提供されるスクロールボタン881〜886のうちの適切なものを用いることによって見ることができる。そのような構成により、各後続レベルウィンドウ802,803,又は804に表示されるデータが管理可能に格納され、かつユーザらに対する明瞭さを向上させた単純な視覚効果が達成され、限られた表示領域しか利用できない場合に特に有用となる。図16に示された例示的な実施形態では、表示される行860の所定の最大数は5である。好適には、この数は、ユーザによって設定できる。
【0041】
ユーザらに対する明瞭さをさらに向上させるために、図17に示すように、第1レベルウィンドウ内で現在選択されている第1レベル要素811は、それに対応する第2レベルウィンドウ802を表示するために展開される際、第1レベル要素810の最上段行861へ移動する。よって、ユーザは、最上段行861のバッチ実行811が、続いて開かれたレベルウィンドウ802,803,又は804であるとともに、現在アクティブなビューであることを、常に把握する。また、現在アクティブな展開されたバッチ実行811を最上段行861へ移動させることは、さらに展開される後続レベルウィンドウ802,803,804を表示するために、下方により多くのスペースを作り出し、興味のある領域を見るためにウィンドウ内でアップ及びダウンスクロールを行う必要性を最小化する。
【0042】
複数のレベルウィンドウを次々と入れ子状態にして表示することに加え、方法900及び装置1000は、特定のレベル要素をマーク済レベル要素として表示するようにさらに構成される。マークされたレベル要素は、バッチ実行が現在進行中である手順要素である。例えば、図15の例示的なスクリーンショットに示すように、特定の第3レベル要素830が、その要素831に「+」型のマーク890を表示することによって、マーク済要素831として表示されている。これにより、ユーザらは、バッチ実行811が、現在のところ、マークされた第3レベル要素831で進行中であることを把握できる。進行中であることは、バッチ実行811がマークされたレベル要素831において処理中であること、又はマークされた要素831において停止中であることを意味する。いずれの場合でも、特定のレベル要素の進行中マーク890の表示は、バッチ実行が、現在のところ、マークされたレベル要素831で処理中又は停止中であり、他のどのような状態でもないということをユーザに通知する。
【0043】
図1に示すように、装置1000は、フラグモジュール160をさらに具備してよい。フラグモジュール160は、図4の例示的なスクリーンショットに示すように、複数のバッチ実行161のうちの少なくとも1つのバッチ実行165にフラグを設定するように構成される。図5の例示的なスクリーンショットに示すように、バッチ実行167へのフラグ設定は、ドロップダウンメニュー166中の複数のフラグのグループの中から当該バッチ実行167に対するフラグ163を選択することによる。グループ166中の各フラグは、互いに異なるバッチ実行特性を表すように差別化されている。例えば、レッドフラグは、第1ランクの製造結果を有したバッチ実行を表すために使用され、一方、イエローフラグは、第3ランクの製造結果を表すために使用される。したがって、フラグモジュール160を用いて、あるバッチ実行165にフラグを設定することにより、ユーザらは、そのフラグの色によって、各フラグ設定済バッチ実行のバッチ実行特性を容易に伝えることができる。
【0044】
また、装置1000は、図3に示した方法のステップ300に加え、参照トレンド142を未完了バッチ実行に関連付ける(ステップ302)ように構成された関連付けモジュール120を具備してもよい。参照トレンド142は、図2に示すように、未完了バッチ実行の現在のトレンドデータ144と共に表示するために関連付けがなされる(ステップ304)。参照トレンド142は、ある特性を有した完了済バッチ実行から収集されたトレンドデータのデータセットである。例えば、特定の完了済バッチ実行は、ユーザが後続の未完了バッチ実行に対して達成を希望する所望の製造物品質を有する。参照トレンド142を未完了バッチ実行に関連付けることで、参照トレンド142と未完了バッチ実行とがリンクされ、その結果、当該未完了バッチ実行が実行される際、未完了バッチ実行から収集中であり、かつ現在実行中である現在のトレンドデータ144との比較のために、参照トレンド142に容易にアクセスできるようになる。
【0045】
現在のトレンドデータ144を表示するために、トレンド表示モジュール140が提供され、それにより、ユーザは、未完了バッチ実行がどのように実行されているかを監視できるようになる。また、トレンド表示モジュール140は、現在のトレンドデータ144の表示と共に参照トレンド142を選択的に表示するように構成される。これは、図2の例示的なスクリーンショット141に示すように、現在のトレンドデータ144上に参照トレンド142を重ね合わせる(スパーインポーズする)ことによって実現できる。参照トレンド142は、既に未完了バッチ実行に関連付けられているので、単にマウスを右クリックして参照トレンド142を呼び出すことによって容易に表示でき、また、さらなる右クリックによって画面上から参照トレンド142を取り除くことができる。あるいは、参照トレンド142を呼び出して、同一のトレンドパネル145に現在のトレンドデータ144と共に表示するために、ユーザに対し、専用のオンスクリーンボタン又はアイコンが提供されてもよい。
【0046】
現在のトレンドデータ144と共に参照トレンド142を表示することにより、ユーザは、未完了かつ実行中のバッチ実行の適切な製造物パラメータを調整することによって、現在のトレンドデータ144を参照トレンド142に一致させるよう試みることができる。このようにして、実行中の未完了バッチ実行は、参照トレンド142を取得した完了済バッチ実行に等しい特性を達成できる。
【0047】
フラグモジュール160が提供される場合、未完了バッチ実行164に関連付けるための参照トレンド142を提供するために、特定のフラグ設定済バッチ実行162がユーザによって選択される。あるいは、関連付けモジュール120が、図6に示すように、複数のフラグ設定済完了済バッチ実行168を表示するようにさらに構成されてもよい。このようにして、参照トレンド142を未完了バッチ実行164に関連付けることをユーザが望むとき、ユーザは、複数のフラグ設定済完了済バッチ実行168の中から特定のフラグ設定済完了済バッチ実行162を簡単に選択できる。よって、選択したフラグ設定済完了済バッチ実行162から収集されたトレンドデータセットは、その参照トレンド142として、未完了バッチ実行164に関連付けられることとなる。先に記載の通り、参照トレンド142が未完了バッチ実行164に一旦関連付けられたならば、参照トレンド142の表示は、トレンドパネル145上での右クリック又は専用アイコンのクリックといった単純な手法となる。
【0048】
また、現在のトレンドデータ144と共に参照トレンド142を選択的に表示する(ステップ304)ことに加え、トレンド表示モジュール140は、現在のトレンドデータ144と共に第2参照トレンド146を表示するように構成されてもよい。既に未完了バッチ実行に関連付けられている参照トレンド142とは異なり、第2参照トレンド146は、未完了バッチ実行に関連付けがなされていない第2完了済バッチ実行176から収集された第2トレンドデータセットである。トレンド表示モジュール14のこの構成により、ユーザらは、必要に応じて、現在のトレンドデータ144と比較するために、一時的な参照トレンドを呼び出すことができる。そのために、図7に示すように、第2参照トレンド146は、複数の完了済トレンドデータセット178から手作業で選択される第2完了済バッチ実行176から取得される。関連付けの済んだ参照トレンド142とは異なり、第2参照トレンド146は、未完了バッチ実行174に関連付けされていないので、単なる右クリックでは、第2参照トレンド146を表示することはできない。関連付け済参照トレンド142の傍に、現在のトレンドデータ144との比較を行うための一時的な参照トレンド146を呼び出すことをユーザに可能にすることによって、バッチ処理をより向上させることができる。
【0049】
以上の通り本発明の好適な実施形態が説明されたが、本発明から逸脱することなく、その配置又は構成の細部にさまざまな変形又は修正を行えるということが当業者には明らかである。
【符号の説明】
【0050】
120 関連付けモジュール
140 トレンド表示モジュール
160 フラグモジュール
1000 バッチ実行データを表示するための装置
1020 ウィンドウ表示モジュール
図1
図3
図8
図9
図10
図2
図4
図5
図6
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図11
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