特許第5776327号(P5776327)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776327
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   H01H73/02 C
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-111665(P2011-111665)
(22)【出願日】2011年5月18日
(65)【公開番号】特開2012-243521(P2012-243521A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2014年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】山縣 秀人
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 善明
(72)【発明者】
【氏名】浜田 佳伸
【審査官】 塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−081843(JP,U)
【文献】 米国特許第04611187(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点を設けた固定接触子と、前記固定接点に接触する可動接点を一端に設け、他端がホルダ内に設けた保持機構に支持されて回動する可動接触子と、を備えた回路遮断器において、
前記保持機構は、前記可動接触子の他端に設けた可動側係合部と、前記ホルダに形成した係合内壁面と、前記可動側係合部が前記係合内壁面を押圧して当接するように前記可動接触子を付勢する接圧バネと、を備え、
前記可動接触子の回動中心は、前記接圧バネのバネ中心線上に位置しており、
通常の通電状態では、前記接圧バネの付勢力が作用する方向に対して、前記可動側係合部が当接する前記係合内壁面から発生する第1反力と前記固定接点に接触する前記可動接点から発生する第2反力とが逆向きに発生し、
前記可動接触子が所定の位置まで開極方向に回動した際には、前記可動側係合部が当接する前記係合内壁面から前記可動接触子の前記回動中心に向かって前記第1反力が発生することで、前記可動接触子が前記所定の位置を保持するようにしているとともに、
前記係合内壁面は、前記通常の通電状態で前記可動側係合部と当接し、前記付勢力に対して逆向きに前記第1反力を発生させる平坦状からなる第1カム面と、前記可動接触子が所定の位置まで開極方向に回動する際に前記可動側係合部と当接し、曲率中心を前記可動接触子の前記回動中心に一致させた凹曲面からなる第2カム面とを備えている、ことを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記所定の位置は、過電流通電時に前記固定接点及び前記可動接点の間の接点ギャップ長が通電経路を遮断可能とする長さとなるように、前記可動接触子を保持する位置であることを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記可動側係合部は、前記可動接触子の他端から突出した係合ピンであることを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記可動接触子が所定の位置を超えて開極方向に回動しようとするときに、当該可動接触子の回動を規制する回動規制部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記回動規制部材は、前記可動接触子が回動したときに近接する前記接圧バネの一部であることを特徴とする請求項記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記接圧バネをコイルバネで構成し、当該コイルバネの空洞部に一部を挿入したガイド部材と、前記可動接触子の前記回動中心とを、前記コイルバネの前記バネ中心線上で係合するようにしたことを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホルダに回動自在に支持され、固定接触子に対して開閉動作を行なう可動接触子を備えた回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器として、例えば特許文献1の装置が知られている。この回路遮断器は、開閉機構の動作に応じて回動するホルダと、このホルダに回動自在に支持されている可動接触子と、可動接触子の可動接点に固定接点が接離する固定接触子とを備えた装置であり、負荷電路に短絡電流、又は過負荷電流の過電流が流れたときに、固定接触子と可動接触子の接点との突き合わせによる電磁反発力を利用して可動接触子を駆動し、開閉機構が行なうトリップ動作より早く可動接触子を開極動作させるようにしている。
また、開閉機構が動作する前に、電磁石装置のプランジャで可動接触子を保持し、可動接触子の戻りを遅くする装置も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−176312号公報
【特許文献2】特開2000−231869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、回路遮断器の小型化が求められている。しかし、特許文献2の装置は、可動接触子を支える力とストロークを確保するプランジャが必要であり、プランジャが長くなるため小型化を図ることは困難である。
一方、特許文献1の装置は、ばねを強制的に座屈させて力を弱めるため、相当な長さのばねが必要となる。さらに、小型の可動接触子は軽量なので過電流遮断時の回動動作が速く、可動接触子と比較して開閉機構の動作が相対的に遅れる。
【0005】
すなわち、特許文献1の装置では、過電流発生による電磁反発力で一旦開極した可動接触子が、開閉機構が動作する前に電磁反発力が小さくなって固定接触子に接触してしまうおそれがある。このように、開閉機構が動作する前に可動接触子が固定接触子に接触してしまうと、遮断時間が延び、接点消耗が大きくなって、可動接触子及び固定接触子の間に接点溶着のおそれがある。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、部品数を減少させ、簡便な動作を行なう部品を備えたことでコストダウン及び小型化を図ることができる回路遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明の請求項1記載の回路遮断器は、固定接点を設けた固定接触子と、前記固定接点に接触する可動接点を一端に設け、他端がホルダ内に設けた保持機構に支持されて回動する可動接触子と、を備えた回路遮断器において、前記保持機構は、前記可動接触子の他端に設けた可動側係合部と、前記ホルダに形成した係合内壁面と、前記可動側係合部が前記係合内壁面を押圧して当接するように前記可動接触子を付勢する接圧バネと、を備え、前記可動接触子の回動中心は、前記接圧バネのバネ中心線上に位置しており、通常の通電状態では、前記接圧バネの付勢力が作用する方向に対して、前記可動側係合部が当接する前記係合内壁面から発生する第1反力と前記固定接点に接触する前記可動接点から発生する第2反力とが逆向きに発生し、前記可動接触子が所定の位置まで開極方向に回動した際には、前記可動側係合部が当接する前記係合内壁面から前記可動接触子の前記回動中心に向かって前記第1反力が発生することで、前記可動接触子が前記所定の位置を保持するようにしているとともに、前記係合内壁面は、前記通常の通電状態で前記可動側係合部と当接し、前記付勢力に対して逆向きに前記第1反力を発生させる平坦状からなる第1カム面と、前記可動接触子が所定の位置まで開極方向に回動する際に前記可動側係合部と当接し、曲率中心を前記可動接触子の前記回動中心に一致させた凹曲面からなる第2カム面とを備えている。
【0007】
この発明によると、可動接触子が所定の位置まで開極方向に回動した際には、可動側係合部が当接する係合内壁面から可動接触子の回動中心に向かって第1反力が発生することで、可動接触子が前記所定の位置を保持するようにしたので、固定接点及び可動接点の間のアーク長が短縮せず、アーク電圧が低下しないので限流性能の向上を図ることができる。
また、回路遮断器の小型化を図るために、小型軽量の可動接触子を使用しても、可動接触子の可動側係合部が当接する係合内壁面から可動接触子の回動中心に向かって反力が発生している限り、可動接触子が所定の位置を保持し、電磁発生力が減少したときの限流性能に影響を与えない。
また、係合内壁面は、通常の通電状態で可動側係合部と当接し、付勢力に対して逆向きに第1反力を発生させる平坦状からなる第1カム面と、可動接触子が所定の位置まで開極方向に回動する際に可動側係合部と当接し、曲率中心を可動接触子の回動中心に一致させた凹曲面からなる第2カム面とを備え、簡便な動作を行なう部品を備えたことで、回路遮断器のコストダウンを図ることができる。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の回路遮断器において、前記所定の位置は、過電流通電時に前記固定接点及び前記可動接点の間の接点ギャップ長が通電経路を遮断可能とする長さとなるように、前記可動接触子を保持する位置である。
この発明によると、可動接点及び固定接点の間の接点ギャップ長が、通電経路を遮断する長さとして確保されるので、短絡電流などの大電流が流れる際に、通電の遮断を確実に行なうことができる。
【0010】
また、請求項記載の発明は、請求項1記載の回路遮断器において、前記可動側係合部は、前記可動接触子の他端から突出した係合ピンである。
また、請求項記載の発明は、請求項1乃至の何れか1項に記載の回路遮断器において、前記可動接触子が所定の位置を超えて開極方向に回動しようとするときに、当該可動接触子の回動を規制する回動規制部材を設けた。
【0011】
また、請求項記載の発明は、請求項記載の回路遮断器において、前記回動規制部材は、前記可動接触子が回動したときに近接する前記接圧バネの一部である。
さらに。請求項記載の発明は、請求項1乃至の何れか1項に記載の回路遮断器において、前記接圧バネをコイルバネで構成し、当該コイルバネの空洞部に一部を挿入したガイド部材と、前記可動接触子の前記回動中心とを、前記コイルバネの前記バネ中心線上で係合するようにした。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る回路遮断器によると、可動接触子が所定の位置まで開極方向に回動した際には、可動側係合部が当接する係合内壁面から可動接触子の回動中心に向かって第1反力が発生することで、可動接触子が前記所定の位置を保持するようにしたので、固定接点及び可動接点の間のアーク長が短縮せず、アーク電圧が低下しないので限流性能の向上を図ることができる。
【0013】
そして、回路遮断器の小型化を図るために、小型軽量の可動接触子を使用しても、可動接触子の可動側係合部が当接する係合内壁面から可動接触子の回動中心に向かって反力が発生している限り、可動接触子が所定の位置を保持し、電磁発生力が減少したときの限流性能に影響を与えない。したがって、部品数を減少させ、簡便な動作を行なう部品を備えたことでコストダウン及び小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る通常の通電状態で使用される回路遮断器を示す断面図である。
図2図1の回路遮断器において開閉機構の動作により可動接触子の開極操作を行なった状態を示す図である。
図3】本発明に係るホルダ内に設けた保持機構に支持されている可動接触子を示す図である。
図4】可動接触子を支持している保持機構を分解して示した図である。
図5】通常の通電状態の回路遮断器の保持機構の動作を示す図である。
図6】通電経路に過電流が流れた短絡トリップの初期の回路遮断器の保持機構の動作を示す図である。
図7】短絡トリップの中期の回路遮断器の保持機構の動作を示す図である。
図8】短絡トリップの終期の回路遮断器の保持機構の動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る1実施形態の多極回路遮断器10の閉極状態を示し、図2は、多極回路遮断器10のトリップ状態を示すものである。
本実施形態の多極回路遮断器10は、モールド樹脂製の本体ケース13に内蔵された電源側端子14、負荷側端子15、固定接触子16、可動接触子17、ホルダ18、消弧装置19、開閉機構20、過電流引外し装置22、トリップクロスバー23及び可撓リード線24を備えている。
【0016】
本体ケース13は、箱形のベース11a、カバー11b、これらベース11a及びカバー11bの間に配置した中間カバー11cの3分割構造である。
開閉機構20はトグルリンク機構とラッチを備えており、その下端部がホルダ18に連結されており、上部は、カバー11bから外部に突出したロッカー式操作ハンドル21に連結されている。過電流引外し装置22は、バイメタルと電磁石を組合せた熱動−電磁形の装置である。トリップクロスバー23は、過電流引外し装置22の機械的な動作信号を受けて開閉機構20をトリップ動作させる。また、可撓リード線24は、電源側端子14及び可動接触子17の間を接続している。
【0017】
そして、図2に示すように、電源側端子14及び負荷側端子15の間の通電経路に短絡電流、又は過負荷電流の過電流が流れて過電流引外し装置22が動作すると、トリップクロスバー23を介して開閉機構20がトリップ動作を行い、ホルダ18が回転動作を行なうことで可動接触子17が開極方向(時計方向)に回動するようになっている。
【0018】
本実施形態の多極回路遮断器10は、図示しないが、本体ケース13内に複数の極室が相間隔壁に隔てられて隣接配置されており、各極室毎に、電源側端子14、負荷側端子15、固定接触子16及び可動接触子17が配置され、可動接触子17の開極移動経路に沿って負荷側端子15側に消弧装置19が配置されている。そして、各極室の可動接触子17は、複数の極室を横切って配置したホルダ18に回動自在に支持されている。
【0019】
各極室の固定接触子16は、図1に示すように、斜め下方に延在する接触子アーム12を設けており、その接触子アーム12の端部側の下面に、固定接点16aが設けられている。
また、各極室の可動接触子17は、図1及び図3に示すように、一端側に固定接触子16の固定接点16aと接触する可動接点17aが設けられ、他端側にカム係合ピン25が固定されているとともに、可動接点17a及びカム係合ピン25の間の位置に、後述するガイド部材26が係合する可動側係合凹部27が形成されている。
【0020】
図3に示すように、複数の極室を横切って配置されているホルダ18には、各極室の可動接触子17の他端側を包み込みながら回動自在に保持している複数の保持機構28が設けられている。
各保持機構28は、図4に示すように、可動接触子17の他端側が入り込むようにホルダ18に設けた切欠き開口部29の内壁に形成され、可動接触子17のカム係合ピン25が係合するカム面30と、カム面30に対向して切欠き開口部29の内壁に設けた平坦なバネ受け面31と、可動接触子17の可動側係合凹部27に係合するガイド部材26と、ガイド部材26を保持してガイド部材26及びバネ受け面31との間に圧縮した状態で配置されるコイルバネ32と、を備えている。
【0021】
ガイド部材26は、図4に示すように、コイルバネ32の空洞部の入り込む狭幅板部26aと、コイルバネ32の一端部に係合する広幅板部26bと、広幅板部26bの端部に形成され、可動接触子17の可動側係合凹部27に係合するガイド側係合凹部26cとを備えた部材である。
また、カム面30の近くには、ホルダ18の外周から切欠き開口部29内に向けて第1挿通孔33aが形成されており、この第1挿通孔33aの延長線上に、バネ受け面31に直交する第2挿通孔33bが形成されている。
【0022】
そして、第1挿通孔33aから挿入したガイド部材26は、バネ受け面31上に配置したコイルバネ32に狭幅板部26aが入り込む。そして、狭幅板部26aを第2挿通孔33bに挿入して広幅板部26bをカム面30から離間させることでコイルバネ32を圧縮した後、これら広幅板部26b及びカム面30の間に可動接触子17の他端側を配置し、可動側係合凹部27及びガイド側係合凹部26cを係合すると、圧縮状態のコイルバネ32のスプリング力が、ガイド部材26を介して可動接触子17に入力され、可動接触子17のカム係合ピン25がカム面30に押し付けられた状態となる(図3参照)。
【0023】
ここで、図4に示すように、可動接触子17のカム係合ピン25が接触するホルダ18のカム面30は、平坦な第1カム面30aと、所定曲率の凹曲面を有する第2カム面30bとで構成されている。
次に、図5から図8は、固定接触子16及びホルダ18に支持された可動接触子17の開閉状態を示すものであり、図5は多極回路遮断器10がON状態(通常の通電状態)のときを示し、図6は通電経路に過電流が流れた短絡トリップの初期を示し、図7は短絡トリップの中期を示し、図8は短絡トリップの終期を示すものである。
【0024】
図5のON状態では、カム係合ピン25がカム面30の平坦な第1カム面30aに当接し、可動接点17aが固定接点16aに接触している。
ここで、互いに係合する可動側係合凹部27及びガイド側係合凹部26cは、コイルバネ32のバネ中心線P上に位置している。
このとき、ガイド部材26からコイルバネ32のスプリング力Fsが可動接触子17の可動側係合凹部27に作用しているので、カム係合ピン25が当接する平坦な第1カム面30aからスプリング力Fsと逆向きに反力Fpが作用する。また、異なった位置でスプリング力Fs、反力Fpが作用する可動接触子17には、固定接点16aに接触する可動接点17aから接圧Fcが作用する。
【0025】
ここで、接圧Fc及びスプリング力Fsが平行に作用せずに可動接点17a及び固定接点16aが接触する場合がある。この場合には、スプリング力Fsが作用する方向に対して直交する外力がガイド部材26に作用する場合があるので、接圧Fc及びスプリング力Fsが平行に作用するように可動接点17a及び固定接点16aを接触させる構造とすることが望ましい。
【0026】
次に、図6の短絡トリップの初期では、通電経路に過電流が流れることで、固定接点16a及び可動接点17aに互いに逆方向の電磁反発力が発生して可動接触子17が開極方向(時計回り方向)に回動し、固定接点16a及び可動接点17aの間にアーク35が生じる。
このとき、可動接触子17には、カム係合ピン25が当接する第1カム面30aからスプリング力Fs´と逆向きに反力Fp´が作用し、可動接点17aに電磁反発力Feが作用するが、反力Fp´に対して電磁反発力Feが大きな値を示しているので、ガイド部材26のガイド側係合凹部26cに係合している可動側係合凹部27を回動中心として、可動接触子17が時計回り方向(開極方向)に回動する。
【0027】
ここで、カム係合ピン25は、可動接触子17の開極方向の回動とともに第2カム面30b側に移動していく。
次に、図7の短絡トリップの中期状態では、可動接点17aに作用する電磁反発力Fe´(>Fe)が増大するので、ガイド部材26のガイド側係合凹部26cに係合している可動側係合凹部27を回動中心として、可動接触子17がさらに開極方向に回動する。
【0028】
可動接触子17がさらに開極方向に回動すると、カム係合ピン25は、平坦な第1カム面30aの当接から所定曲率の凹曲面を有する第2カム面30bへの当接に変更される。
ここで、第2カム面30aからスプリング力Fs″に抗する反力Fp″が作用するが、第2カム面30bは、反力Fp″が可動接触子17の回動中心(可動側係合凹部27)に向かって作用するように、曲率中心を可動接触子17の回動中心に一致させた凹曲面に形成されている。
【0029】
このため、反力Fp″が可動接触子17の回動中心(可動側係合凹部27)に向かって作用する可動接触子17には、反時計回り方向(閉極方向)に回動させる力が作用しない。
さらに、図8の短絡トリップの終期では、可動接点17aに作用する電磁反発力により、可動接触子17がさらに開極方向に回動しようとする。ところが、開極方向に回動しようとする可動接触子17の一部がコイルバネ32に接触することで、可動接触子17の開極方向への回動が停止される。
【0030】
この際、図7と同様に、第2カム面30aからスプリング力Fs″に抗する反力Fp″が作用し、この反力Fp″が可動接触子17の回動中心(可動側係合凹部27)に向かって作用しているので、可動接触子17には閉極方向に回動させる力が作用しない。
このため、短絡トリップの終期における可動接触子17は、可動接点17aと固定接触子16の固定接点16aとの間の接点ギャップ長Gが確保されてトリップ状態が保持される。ここで、上述した接点ギャップ長Gは、可動接点17a及び固定接点16aの間の通電経路の遮断が可能な長さである。
【0031】
ここで、本発明に係る回路遮断器が多極回路遮断器10に対応し、本発明に係る可動側係合部がカム係合ピン25に対応し、本発明に係る係合内壁面がカム面30に対応し、本発明に係る接圧バネがコイルバネ32に対応し、本発明に係る係合ピンがカム係合ピン25に対応し、本発明に係る付勢力がスプリング力Fs,Fs´,Fs″に対応し、本発明に係る第1反力が反力Fp,Fp´,Fp″に対応し、本発明に係る第2反力が接圧Fcに対応している。
【0032】
したがって、本実施形態によると、可動接触子17の回動中心は、互いに係合する可動側係合凹部27及びガイド側係合凹部26cの位置であり、この回動中心は、コイルバネ32のバネ中心線P上に位置しており、図5に示す通常の通電状態では、コイルバネ32のスプリング力Fsが作用する方向に対して、カム係合ピン25が当接する第1カム面30aから発生するFp´と固定接点16aに接触する可動接点17aから発生する接圧Fcとが逆向きに発生し、図8に示す可動接触子17が接点ギャップ長Gまで開極方向に回動した際には、カム係合ピン25が当接する第2カム面30bから可動接触子17の回動中心に向かって反力Fp″が発生し、可動接触子17が接点ギャップ長Gを保持して短絡トリップ状態が保持されるので、固定接点16a及び可動接点17aの間のアーク長が短縮せず、アーク電圧が低下しないので限流性能の向上を図ることができる。
【0033】
また、多極回路遮断器10の小型化を図るために、小型軽量の可動接触子17を使用しても、可動接触子17のカム係合ピン25が当接する第2カム面30bから可動接触子17の回動中心に向かって反力が発生している限り、可動接触子17が接点ギャップ長Gまで開極方向に回動している動作を保持し、電磁発生力が減少したときの限流性能に影響を与えないので、開閉機構20が動作する前に可動接触子17が固定接触子16に接触せず、可動接触子17の開極動作を正常に行なうことができる。したがって、小型化を図った回路遮断器を提供することができる。
【0034】
また、可動接触子17の短絡トリップ状態が保持されているときには、可動接点17a及び固定接点16aの間の接点ギャップ長Gを、通電経路を遮断する長さとして確保されるので、短絡電流などの大電流が流れる際に、通電の遮断を確実に行なうことができる。
また、可動接触子17のカム係合ピン25が接触するホルダ18のカム面30は、平坦な第1カム面30aと、所定曲率の凹曲面を有する第2カム面30bとで構成されており、可動接触子17が可動接点17a及び固定接点16aの間の接点ギャップ長Gを確保する位置まで回動したときに、カム係合ピン25が接触する第2カム面30bから可動接触子17の回動中心(可動側係合凹部27)に向かって反力Fp″が作用することで可動接触子17が保持されるので、可動接触子17を保持する機構を容易に行なうことができる。したがって、簡便な動作を行なう部品を備えたことで回路遮断器のコストダウンを図ることができる。
【0035】
また、可動接触子17の短絡トリップの終期では、可動接点17aに作用する電磁反発力により、可動接触子17がさらに開極方向に回動しようとすると、可動接触子17の一部がコイルバネ32に接触することで、可動接触子17の開極方向への回動を容易に停止することができる。
【符号の説明】
【0036】
10…多極回路遮断器、11a…ベース、11b…カバー、11c…中間カバー、12…接触子アーム、13…本体ケース、14…電源側端子、15…負荷側端子、16…固定接触子、16a…固定接点、17…可動接触子、17a…可動接点、18…ホルダ、19…消弧装置、20…開閉機構、21…ロッカー式操作ハンドル、22…過電流引外し装置、23…トリップクロスバー、24…可撓リード線、25…カム係合ピン、26…ガイド部材、26a…狭幅板部、26b…広幅板部、26c…ガイド側係合凹部、27…可動側係合凹部、28…保持機構、29…切欠き開口部、30…カム面、30a…第1カム面、30b…第2カム面、31…バネ受け面、32…コイルバネ、33a…第1挿通孔、33b…第2挿通孔、G…接点ギャップ長、P…バネ中心線
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8