(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記重複判定回路は、前記複数の第2の識別番号のすべてが重複して設定されていると判定した場合に前記受信判定回路における前記複数の第2の識別番号のそれぞれを宛先とするパケットの受信を停止する、ことを特徴とする請求項2に記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態を添付図面に従って説明する。
図2に示すように、ネットワークシステムは、1つの送信装置(ソース装置)11と3つの受信装置(シンク装置)12,13,14を有している。送信装置11と受信装置12は、ケーブル21を介して互いに通信可能に接続され、受信装置12と受信装置13は、ケーブル22を介して互いに通信可能に接続され、受信装置13と受信装置14は、ケーブル23を介して互いに通信可能に接続されている。
【0009】
送信装置11は、映像データや音声データ等のデジタルデータを送信する装置であり、所定の記録媒体(例えばDVD:Digital Versatile Disc)に記録されたコンテンツを再生する再生装置を有している。送信装置11は、映像データや音声データを送信する。受信装置12〜14は、送信装置11から送信されるデータを受信し、内蔵する出力装置に出力する装置である。
【0010】
送信装置11は、所定の規格(例えば、IEEE1394規格)に対応する通信装置(例えば、IEEE1394プロトコルコントローラ(IPC:IEEE1394 Protocol Controller))(図示略)を有している。受信装置12は、送信装置11と同様に、上記の規格に対応する通信装置31(IPC)を有している。受信装置13,14は、受信装置12と同様に、通信装置(IPC)を有している。従って、送信装置11と各受信装置12〜14は、所定の規格(IEEE1394規格)のネットワークに含まれる装置(ノード)として機能する。
【0011】
また、受信装置12は、通信装置31を制御する制御装置32を有している。通信装置31と制御装置32は、制御信号SCと制御データDCを互いに入出力する。
また、受信装置12は、複数(
図2において2つ)の出力装置33,34を有している。出力装置33は、例えば液晶表示パネル(LCD:Liquid Crystal Display)等の映像表示装置である。出力装置34は、音声出力装置(スピーカ)である。通信装置31は、送信装置11から受信した映像データDVを出力装置33に出力する。また、通信装置31は、送信装置11から受信した音声データDAを出力装置34に出力する。
【0012】
受信装置13,14は、受信装置12と同様に構成されている。即ち、受信装置13,14は、それぞれ所定の規格に対応する通信装置,制御装置,出力装置(いずれも図示略)を有している。このネットワークシステムは、例えば、車両に搭載されている。従って、車両の乗員は、受信装置12〜14において、送信装置11にて再生したコンテンツ(例えば、DVDに記録された映画)を視聴することができる。
【0013】
このように接続された各装置11〜14は、バスのコンフィグレーションにおいて、バス初期化(Bus-Initialize)、ツリー識別(Tree-Identify)、自己識別(Self-Identify)の各フェーズを実行する。バス初期化フェーズにおいて、バスリセットが発生し、すべてのノード(送信装置11及び受信装置12〜14)はトポロジに関する情報を消去する。ツリー識別フェーズにおいて、各ノードは、他の装置に接続されたポートの親子関係を設定する。そして、接続形態等に応じて任意のノードがルートノード(許可装置)に決定される。自己識別フェーズにおいて、送信装置11及び受信装置12〜14は、所定のシーケンスに従って、それぞれ装置ID(ノードID)を取得する。ネットワークに含まれる各装置は、取得した装置ID(ノードID)に従って通信する。
【0014】
受信装置12の通信装置31は、上記のように取得したノードIDをレジスタ41に格納する。レジスタ41は第1の記憶部の一例である。また、通信装置31は、設定レジスタ42を有し、この設定レジスタ42には、上記のノードIDと異なるノードIDが格納される。設定レジスタ42は第2の記憶部の一例である。2種類のノードIDを区別するため、自己識別フェーズにより取得されてレジスタ41に格納されるノードIDを通常ノードIDとし、設定レジスタ42に格納されたノードIDを固定ノードIDとする。なお、図示しないが、他の装置11,13,14は、受信装置12と同様に、通常ノードIDを格納するレジスタと、固定ノードIDが格納されるレジスタを有している。
【0015】
各装置11〜14の固定ノードIDは、互いに異なる値に設定される。各装置11〜14の固定ノードIDは、例えば各装置11〜14が有する設定用の部材(例えば、ディップスイッチ)により設定され、設定レジスタ42に格納される。従って、各装置11〜14の固定ノードIDは、上記のバスコンフィグレーションにより変更されない。
【0016】
通信装置31は、固定ノードIDと、通信相手の固定ノードIDを用いて、通信を行う。固定ノードIDは、バスのコンフィグレーション、つまりバスリセットにより変更されない。従って、固定ノードIDを用いた通信は、コンフィグレーション完了後、バスリセット前と同様にデータ通信を即座に再開することができる。
【0017】
次に、通信装置の構成例を説明する。
図1に示すように、通信装置31の全体制御回路50は、
図2に示す制御装置32と制御信号SCを送受信し、制御信号SCに従って通信装置31に含まれる各回路を制御する。
【0018】
通信装置31は、複数(
図1において2つ)のインタフェース回路(「1394I/F」と表記)51,52を有している。インタフェース回路51は、ケーブル21により伝達される信号を、通信装置31の内部で扱う電気信号に変換して物理層(PHY)回路53に出力する。また、インタフェース回路51は、物理層回路53から出力される電気信号を、ケーブル21に対応する信号に変換して出力する。同様に、インタフェース回路52は、ケーブル22により伝達される信号を、通信装置31の内部で扱う電気信号に変換して物理層(PHY)回路53に出力する。また、インタフェース回路52は、物理層回路53から出力される電気信号を、ケーブル21に対応する信号に変換して出力する。ケーブル21,22により伝達される信号は、電気信号,光信号,等である。
【0019】
物理層回路53は、インタフェース回路51,52により受信したシリアルデータを解析・変換し、変換後のデータ(受信パケット)を受信判定回路54に出力する。また、物理層回路53は、受信判定回路54から出力される送信データ(送信パケット)を、インタフェース回路51,52に応じて変換し、変換後の送信データをインタフェース回路51,52に出力する。
【0020】
物理層回路53は、上記の自己識別フェーズにおいて装置ID(ノードID)を設定し、このノードIDをレジスタ41に格納する。
自己識別フェーズにおける装置IDの設定の概略を説明する。
【0021】
物理層回路53は、バスリセット信号(BusReset)により装置ID等を初期化(=0)する。ネットワークに接続された各装置は、セルフIDパケットの受信回数をカウントし、そのカウント値に応じて装置ID(ノードID)を設定する。各装置は、ツリー識別フェーズにおいて決定したトポロジに応じて、装置ID(ノードID)を含むセルフIDパケットを順次送信する。最初にセルフIDパケットを送信する装置は、カウント値が0であるため、値が「0」の装置IDを含むセルフIDパケットを送信する。次にセルフIDパケットを送信する装置は、上記の装置が送信したセルフIDパケットのカウント値(=1)に基づいて、値が「1」の装置IDを含むセルフIDパケットを送信する。このように、自己識別フェーズにおいて、ネットワークに接続された各装置は、装置IDを「0」から順次設定する。例えば、4台の装置が接続されたネットワークにおいて、各装置は、「0」から「3」までの装置IDを、セルフIDパケットを送信する順番に設定する。物理層回路53は、このように設定したノードIDをレジスタ41に格納する。
【0022】
受信判定回路54は、物理層回路53から出力される受信パケットを自装置が受け取るパケットか否か判定する。そして、受信判定回路54は、受信パケットを自装置が受け取るものと判定した場合、その受信パケットをID変換回路55又はリンク層(LINK)回路56に出力する。一方、受信判定回路54は、他のノードへ送信する送信パケットをリンク層回路56から受け取ると、その送信パケットを物理層回路53に出力する。リンク層回路56はパケット解析回路の一例である。
【0023】
受信パケットの判定と出力先について説明する。
受信判定回路54は、設定レジスタ42に格納された固定ノードIDを読みだす。そして、受信判定回路54は、物理層回路53から出力される受信パケットが、固定ノードID宛のパケットか否かを判定する。受信パケットは、送信元アドレス(送信元のノードを示す装置ID:sender ID)と送信先アドレス(送信先のノードを示す装置ID(destination ID)を含む。従って、受信判定回路54は、送信先アドレス(送信先ノードID)と固定ノードIDとを比較し、受信パケットが固定ノードID宛のパケットか否かを判定する。受信判定回路54は、受信パケットを固定ノードID宛と判定すると、その受信パケットをID変換回路55に出力する。そして、受信判定回路54は、その固定ノード宛の受信パケットに応じて、受信応答パケット(ACKパケット)を物理層回路53に出力する。
【0024】
また、受信判定回路54は、物理層回路53から出力される受信パケットが、自装置が受け取るパケットか否かを判定する。自装置が受け取るパケットは、通常ノードID宛のパケットと、送信元のノードが全てのノード宛に送信したパケット(ブロードキャストパケット)を含む。受信判定回路54は、受信パケットを自装置が受け取るパケットと判定すると、その受信パケットをリンク層回路56に出力する。
【0025】
ID変換回路55は、受信判定回路54から出力される受信パケットを、リンク層回路56が扱うことが可能なパケットに変換し、変換後の受信パケットをリンク層回路56に出力する。ID変換回路55が受け取る受信パケットは、送信先アドレスに固定ノードIDが設定されている。従って、ID変換回路55は、受信パケットのヘッダを書換える。例えば、ID変換回路55は、受信パケットのヘッダに含まれる送信先アドレス(宛先ノードID)を、通常ノードIDに書換え、書換え後の受信パケットをリンク層回路56に出力する。なお、ID変換回路55が宛先ノードIDを書換える通常ノードIDは、ID変換回路55がレジスタ41に格納された通常ノードIDを読み出す。なお、受信判定回路54がレジスタ41から読み出した通常ノードIDをID変換回路55に出力する、等のように、適宜変更が可能である。
【0026】
リンク層回路56は、物理層回路53又はID変換回路55から受信パケットを受け取り、その受信パケットを解析する。そして、リンク層回路56は、解析結果に基づき、受信パケットに含まれる受信データを、Async転送制御回路57又はIso転送制御回路58に出力する。
【0027】
IEEE1394規格のプロトコルは、同期転送モード(アイソクロナス(Iso:Isochronous)転送モード)と非同期転送モード(エイシンクロナス(Async:Asynchronous)転送モード)を規定する。Async転送モードは、データを含むパケットを任意のタイミングで転送するモードであり、静止画像データや制御コマンド等の転送に適している。Iso転送モードは、データを含むパケットを一定の時間間隔で転送するモードであり、音声や映像信号等のリアルタイム性が必要なデータの転送に適している。
【0028】
リンク層回路56は、Async転送のためのデータをAsync転送制御回路57に出力し、Iso転送のためのデータをIso転送制御回路58に出力する。また、リンク層回路56は、Async転送に対して、ハンドシェイクのために受信応答パケット(ACKパケット)を物理層回路53に出力する。上記の受信判定回路54は、固定ノード宛のAsyncパケットに対して、ハンドシェイクのために受信応答パケット(ACKパケット)を物理層回路53に出力する。
【0029】
Async転送制御回路57は、Async転送のためにAsyncデータを送受信する。Iso転送制御回路58は、Iso転送のためにIsoデータを送受信する。Async転送制御回路57は、リンク層回路56から出力されるデータを受け取り、
図2に示す制御装置32に対してデータDCを出力する。Iso転送制御回路58は、リンク層回路56から出力されるデータを受け取り、
図2に示す出力装置33に対して映像データDVを出力し、出力装置34に対して音声データDAを出力する。
【0030】
また、通信装置31は、重複判定回路59と機能制御回路60を有している。
重複判定回路59は、設定レジスタ42の固定ノードIDを読み出す。そして、重複判定回路59は、ネットワークに接続された他の装置(ノード)のノードIDと、自装置の固定ノードIDが重複しているか否かを判定する。重複判定回路59は、ノードIDの重複を、他の装置が応答するパケット、例えばAsyncパケットを用いて判定する。Asyncパケットを受信した装置(ノード)は、ハンドシェイクのためにパケット(例えば、受信応答パケット(ACKパケット))を送信する。従って、重複判定回路59は、自装置の固定ノードIDを送信先アドレスとし送信元アドレスに通常ノードIDを設定したAsyncパケットを送信する。そして、送信したAsuncパケットに対するACKパケットを受信しない場合、自装置の固定ノードIDと等しいノードIDが設定された他の装置がネットワーク中に存在することになる。この場合、受信判定回路54において、固定ノードIDによる通信を行うことができる。
【0031】
一方、送信したAsuncパケットに対するACKパケットを受信した場合、自装置の固定ノードIDと等しいノードIDが設定された他の装置がネットワーク中に存在することになる。この場合、重複判定回路59は、受信判定回路54における固定ノードIDでの受信を一時的に停止し、固定ノードIDが重複していることを、全体制御回路50を介して例えば
図2に示す制御装置32に通知する。
【0032】
機能制御回路60は、ネットワークに接続された装置の台数を検出し、その検出結果に応じて、上記の固定ノードIDを用いた通信の利用/非利用(機能のオン/オフ)を制御する。
【0033】
所定の規格(IEEE1394規格)は、ネットワークに接続される装置の台数を規定(63台)している。ネットワークに接続された全ての装置が、上記のように1つの固定ノードIDを有する場合、固定ノードIDを通常ノードIDと重複しないように設定すると、ネットワークに接続可能な装置の台数は「31」となる。従って、ネットワークに32台の装置が接続された場合、少なくとも2つの装置において固定ノードID同士又は固定ノードIDと通常ノードIDとが重複することになる。このため、機能制御回路60は、ネットワークに接続された装置の接続台数が32台の場合、受信判定回路54における固定ノードIDでの受信を一時的に停止し、固定ノードIDによる通信を停止したことを、全体制御回路50を介して例えば
図2に示す制御装置32に通知する。
【0034】
なお、上記の判定は、各装置に1つの固定ノードIDを設定した場合である。このため、各装置に複数の固定ノードIDを設定した場合、設定した固定ノードIDの数に応じて、接続可能な装置の最大台数が変化する。例えば、2つの固定ノードIDを設定した場合、接続可能な装置の最大台数は、21台(=63÷3)(「3」は通常ノードIDと2つの固定ノードIDに基づく)となる。このため、機能制御回路60は、接続台数が22台以上の場合に、受信判定回路54における固定ノードIDでの受信を一時的に停止し、固定ノードIDによる通信を停止したことを、全体制御回路50を介して例えば
図2に示す制御装置32に通知する。
【0035】
次に、受信判定回路54が実行する受信処理を説明する。
図3に示すように、
図2に示す設定レジスタ42から固定ノードIDを受け取り、受信したAsyncパケットの送信先アドレス(受信側アドレス又は宛先アドレス)に含まれるノードID(destination ID)が固定ノードIDか否かを判定する(ステップ71)。固定ノードIDの場合(判定:Yes)、リンク層回路56と同様に受信応答パケット(アクノリッジ(ACK)パケット)を送信元のノードに送信し(ステップ72)、ID変換回路55にAsyncパケットを転送する(ステップ73)。
【0036】
受信したAsyncパケットのノードIDが固定ノードIDではない場合(ステップ71の判定:No)、
図2に示す物理層回路53のレジスタ41に格納された通常ノードIDを受け取り、そのノードIDが通常ノードIDか否かを判定する(ステップ74)。通常ノードIDの場合(判定:YES)、リンク層回路56にAsyncパケットを転送する(ステップ75)。
【0037】
受信したAsyncパケットのノードIDが通常ノードIDではない場合(ステップ74の判定:No)、Asyncパケットがブロードキャストされたものか否かを判定する(ステップ76)。ブロードキャストされたAsyncパケットの場合(判定:YES)、通常ノードIDのAsyncパケットと同様に、リンク層回路56にAsyncパケットを転送する(ステップ75)。
【0038】
受信したAsyncパケットがブロードキャストされたものではない場合(ステップ76の判定:NO)、処理を終了する。この場合、受信したAsyncパケットは他のノード宛のパケットである。
【0039】
次に、重複判定回路59が実行する重複判定処理を説明する。
図4に示すように、
図2に示す設定レジスタ42から設定値(固定ノードID)を取得する(ステップ81)。
【0040】
次いで、送信先ノードアドレスに設定値(固定ノードID)を含むパケットを送信する(ステップ82)。この送信するパケットは、パケットを受信したノードが、受信応答を返信するものであり、例えば、アシンクロナス(Asyn:Asynchronous)パケット(以下、Asyncパケット)である。Asyncパケットは、例えば書き込み要求パケット(Write Request Packet)である。このライトパケットにおいてデータを書き込むアドレスは、実際に書き込むことが不可能なアドレスを指定する。書き込み不可能なアドレスは、例えばコンフィグレーションロム(Configuration ROM)の空間(ディスティネーション・オフセットアドレスを0xFFFFF0000400h にしたアドレス空間)である。受信応答は、例えば受信応答パケット(アクノリッジ(ACK)パケット)である。送信先ノードアドレスと等しいノードIDが設定されたノードはAsyncパケットを受信し、ACKパケットを送信する。従って、ACKパケットの受信は、同じ設定値(固定ノードID)が設定された他のノードが存在することを示す。Asyncパケットを所定時間経過するまでに受信しない場合、送信先ノードアドレスに含まれる設定値(固定ノードID)と等しいノードIDを有するノードがネットワーク中に存在しない。
【0041】
従って、受信応答パケット(ACKパケット)を受信したか否かを判定する(ステップ83)。受信応答パケットを受信した場合(判定:YES)、設定値(固定ノードID)が重複するノードが存在する。従って、受信判定回路54における固定ノードIDによる受信を一時的に停止し(ステップ84)、全体制御回路50を介して受信停止を、受信装置12を制御する制御装置(例えば、MPU:Micro Processing Unit)に通知する(ステップ85)。受信装置12の制御装置は、例えば発光ダイオード(LED)を点灯することで、受信装置12を設定する作業者等に、固定ノードIDの重複を通知する。従って、固定ノードIDの重複設定を容易に解消することが可能となる。
【0042】
上記のステップ83において、受信応答パケットを受信しない場合(判定:NO)、この処理を終了する。この場合、設定値(固定ノードID)が重複するノードが存在しないため、ステップ81において
図1に示す設定レジスタ42から取得した設定値(固定ノードID)を用いて通信する。
【0043】
次に、機能制御回路60が実行する機能制御処理を説明する。
図5に示すように、リンク層回路56からセルフIDパケットを取得する(ステップ91)。
【0044】
次いで、接続台数が32台以上か否かを判定する(ステップ92)。ネットワークに含まれる各装置は、自己識別フェーズにおいて、所定のシーケンスに従って、装置ID(通常ノードID)をそれぞれ設定し、通常ノードID(装置ID)を含むセルフIDパケットを送信する。従って、リンク層回路56から取得したセルフIDパケットに含まれる通常ノードID(装置ID)により、自己識別フェーズを実行する装置の台数、つまりネットワークに接続された装置の台数を取得することができる。
【0045】
接続台数が32台未満の場合(判定:NO)、
図4に示す重複判定処理を行い(ステップ93)、処理を終了する。
接続台数が32台以上の場合(判定:YES)、受信判定回路54における固定ノードIDによる受信を一時的に停止し(ステップ94)、全体制御回路50を介して受信停止を、受信装置12を制御する制御装置(例えば、MPU:Micro Processing Unit)に通知する(ステップ95)。受信装置12の制御装置は、例えば発光ダイオード(LED)を点灯することで、装置を接続する作業者等に、接続可能な台数より多くの数の装置が接続されていることを通知する。
【0046】
なお、ネットワークには、固定ノードIDが設定されない装置、つまり、通常ノードIDにより通信を行う装置(以下、通常装置)を接続することができる。従って、このような通常装置が接続されたネットワークでは、接続可能な最大の台数が上記の数と異なる。このため、ステップ92の判定において、接続台数が接続可能な最大の台数より多い場合に、
図4に示す重複判定処理を行い、その判定結果に基づいて、ノードIDに重複が無い場合には、
図5に示す機能制御処理を終了して通信を開始する。一方、ノードIDが重複している場合に、
図5に示すステップ94とステップ95の処理を実行して機能制御処理を終了するようにしてもよい。
【0047】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)受信装置12の通信装置31は、自己識別フェーズにおいて取得したノードID(通常ノードID)をレジスタ41に格納する。この通信装置31は設定レジスタ42を有し、この設定レジスタ42には、ノードID(通常ノードID)と異なるノードID(固定ノードID)が格納される。通信装置31は、通常ノードIDを宛先とするパケットを受信し、受信したパケットを処理する。また、通信装置31は、固定ノードIDを宛先とするパケットを受信し、受信したパケットの宛先を固定ノードIDから通常ノードIDに変換して処理する。固定ノードIDは、バスのコンフィグレーションによって変更されない。従って、固定ノードIDを用いたデータ転送は、各ノード間で機器情報の取得・確認処理を必要としないため、バスリセット後にデータ通信を即座に再開することができる。
【0048】
(2)受信装置12の通信装置31は、自己識別フェーズにおいて取得したノードID(通常ノードID)をレジスタ41に格納する。従って、通信装置31は、固定ノードIDが設定されない従来の通信装置と同様に動作するため、この通信装置31と従来の通信装置とを接続したネットワークを構築することができ、通信装置31と従来の通信装置との間でデータ転送を行うことができる。
【0049】
(3)通信装置31の重複判定回路59は、ネットワークに接続された他の装置(ノード)のノードIDと、自装置の固定ノードIDが重複しているか否かを判定する。そして、重複判定回路59は、固定ノードIDが重複して設定されていると判定した場合に、受信判定回路54における固定ノードIDを宛先とするパケットの受信を停止するようにした。従って、複数のノードが接続されたネットワークにおいて、重複設定された固定ノードIDによる通信の誤動作を防止することができる。
【0050】
(4)重複判定回路59は、固定ノードIDが重複して設定されていると判定した場合に、全体制御回路50を介して受信停止を、受信装置12を制御する制御装置32に通知する。受信装置12の制御装置32は、例えば発光ダイオード(LED)を点灯することで、受信装置12を設定する作業者等に、固定ノードIDの重複を通知する。従って、固定ノードIDの重複設定を容易に解消することが可能となる。
【0051】
(5)受信装置12の通信装置31は、ネットワークに接続された装置の台数を検出し、その検出結果に応じて、上記の固定ノードIDを用いた通信の利用/非利用(機能のオン/オフ)を制御する、つまり、受信判定回路54における固定ノードIDによる受信を一時的に停止する。従って、複数のノードが接続されたネットワークにおいて、重複設定された固定ノードIDによる通信の誤動作を防止することができる。
【0052】
(6)機能制御回路60は、設定値以上の装置が接続されている場合に、全体制御回路50を介して受信停止を、受信装置12を制御する制御装置32に通知する。受信装置12の制御装置32は、例えば発光ダイオード(LED)を点灯することで、装置を接続する作業者等に、接続可能な台数より多くの数の装置が接続されていることを通知する。従って、設定値以上の装置がネットワークに接続されて固定ノードIDが重複することを容易に解消することが可能となる。
【0053】
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・
図1に示す設定レジスタ42に、複数の固定ノードIDを設定してもよい。そして、重複判定回路59は、設定レジスタ42に格納された複数の固定ノードIDを順次読み出し、ネットワーク中の他の装置のノードIDと重複しているか否かを判定し、重複していないと判定した固定ノードIDを受信判定回路54に通知する。受信判定回路54は、重複判定回路59からの通知に従って固定ノードIDを設定レジスタ42から読み出し、通信を行う。このように、複数の固定ノードIDを設定することで、他の装置に設定した固定ノードIDの確認や固定ノードIDの変更等の手間が省略でき、短時間で容易に各装置を接続することができる。
【0054】
なお、重複判定回路59は、重複していないと判定した固定ノードIDを受信判定回路54に出力し、受信判定回路54は重複判定回路59から受け取る固定ノードIDを用いて通信を行うようにしてもよい。
【0055】
また、重複判定回路59は、設定レジスタ42に格納された複数の固定ノードIDの全てが1つ又は複数の他の装置のノードIDと重複する場合、上記実施形態と同様に、受信判定回路54における受信を一時的に停止し、全体制御回路50を介して例えば
図2に示す制御装置32に通知する。
【0056】
・固定ノードIDを機能に応じて設定するようにしてもよい。例えば、デジタルテレビに対して「31」の固定ノードIDを設定し、ディスク装置に対して「32」の固定ノードIDを設定し、ラジオに対して「33」の固定ノードIDを設定する。このように設定すると、ネットワークに接続された装置を交換した場合に、同じ固定ノードIDに対して通信することで、交換前と同じデータを転送することが可能となる。このため、固定ノードIDの設定を、交換した装置に応じて変更する必要がなくなり、短時間で容易に各装置を接続することができる。
【0057】
・受信装置12は、
図2に示すように、出力装置33,34を含む受信装置12としたが、出力装置が外部接続される受信装置に具体化してもよい。また、出力装置を内蔵するとともに出力装置が外部接続可能な受信装置に具体化してもよい。
【0058】
・上記実施形態の記録媒体(DVD)以外の記録媒体(例えば、ハードディスク装置)に記憶されたコンテンツを再生する再生装置を含む送信装置としてもよい。また、記録媒体を再生する再生装置が外付けされた送信装置としてもよい。
【0059】
・送信装置11を、パーソナルコンピュータ、ハードディスク装置(HDD)、レコーダ、プリンタ、デジタルカメラ、等としてもよい。
・出力装置として、表示装置,スピーカ以外の装置にデータを出力する通信装置に具体化してもよい。出力装置の数は、上記実施形態に限定されず、3つ以上としてもよい。また、出力装置が外付けされた受信装置としてもよい。
【0060】
上記各実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
識別処理により割り当てた第1の識別番号を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の識別番号と異なるように設定された第2の識別番号を記憶する第2の記憶部と、
前記第1の識別番号を宛先とするパケットと前記第2の識別番号を宛先とするパケットを受信して出力する受信判定回路と、
前記受信判定回路から出力される前記第2の識別番号を宛先とするパケットの宛先を前記第1の識別番号に変換し、変換後のパケットを出力する変換回路と、
前記受信判定回路から出力される前記第1の識別番号を宛先とするパケットと、前記変換回路から出力されるパケットとを解析し、前記パケットの種類に応じて、対応する転送制御回路に前記パケットに含まれるデータを出力するパケット解析回路と、
を有する通信装置。
(付記2)
前記第2の記憶部から読み出した前記第2の識別番号がネットワークに重複して設定されているか否かを判定し、重複して設定されていると判定した場合に、前記受信判定回路における前記第2の識別番号を宛先とするパケットの受信を停止する重複判定回路を有することを特徴とする付記1記載の通信装置。
(付記3)
前記重複判定回路は、前記第2の記憶部から読み出した前記第2の識別番号を宛先とし、受信したノードが応答パケットを送信するパケットを送信する、ことを特徴とする付記2に記載の通信装置。
(付記4)
前記第2の記憶部には、異なる複数の第2の識別番号が記憶され、
前記重複判定回路は、前記複数の第2の識別番号について重複設定を順次判定し、
前記受信判定回路は、重複して設定されていないと判定された第2の識別番号を宛先とするパケットを受信する、ことを特徴とする付記2又は3に記載の通信装置。
(付記5)
前記重複判定回路は、前記複数の第2の識別番号のすべてが重複して設定されていると判定した場合に前記受信判定回路における前記複数の第2の識別番号のそれぞれを宛先とするパケットの受信を停止する、ことを特徴とする付記4に記載の通信装置。
(付記6)
ネットワーク内の複数のノードに識別番号を順次割り当てるためのパケットを前記パケット解析回路から取得して前記ネットワークに接続されたノードの数を算出し、算出したノードの数と設定数とを比較し、比較結果に応じて前記受信判定回路を制御する機能制御回路を有することを特徴とする付記1〜5のうちの何れか一項に記載の通信装置。
(付記7)
前記受信判定回路は、ネットワークに含まれるすべてのノードに対して送信されたパケットを受信して前記パケット解析回路に出力する、ことを特徴とする付記1〜6のうちのいずれか一項に記載の通信装置。
(付記8)
バスケーブルを介して接続される複数のノードを含むネットワークシステムであって、
前記複数のノードのうち少なくとも1つのノードは、
識別処理により割り当てた第1の識別番号を記憶する第1の記憶部と、
前記第1の識別番号と異なるように設定された第2の識別番号を記憶する第2の記憶部と、
前記第1の識別番号を宛先とするパケットと前記第2の識別番号を宛先とするパケットを受信して出力する受信判定回路と、
前記受信判定回路から出力される前記第2の識別番号を宛先とするパケットの宛先を前記第1の識別番号に変換し、変換後のパケットを出力する変換回路と、
前記受信判定回路から出力される前記第1の識別番号を宛先とするパケットと、前記変換回路から出力されるパケットとを解析し、前記パケットの種類に応じて、対応する転送制御回路に前記パケットに含まれるデータを出力するパケット解析回路と、
を有することを特徴とするネットワークシステム。
(付記9)
識別処理により割り当てた第1の識別番号を宛先とするパケットと、前記第1の識別番号と異なるように設定された第2の識別番号を宛先とするパケットを受信し、
前記第2の識別番号を宛先とするパケットの宛先を前記第1の識別番号に変換し、
前記第1の識別番号を宛先とするパケットと、前記宛先が変換されたパケットとを解析し、前記パケットの種類に応じて、対応する転送制御回路に前記パケットに含まれるデータを出力する、
ことを特徴とするパケットの処理方法。