【0008】
以下、本発明の実施形態を図面に示す実施例を参照しながら説明する。
なお、本明細書では左側及び右側とはコンバインが前進する方向に向かっての方向を言い、前側と後側はそれぞれコンバインの前進側と後進側を言うものとする。
図1に示すコンバイン1の全体図において、機体フレーム2の下部には、ゴムなどの可撓性材料を素材として無端帯状に成型した左右一対のクローラ4を持ち、乾田はもちろんのこと、湿田においてもクローラ4が若干沈下するだけで自由に走行できる構成の走行装置3を備え、機体フレーム2の前部には刈取装置6を搭載し、機体フレーム2の上部にはエンジン(図示省略)ならびに脱穀装置(図示省略)、操縦席20およびグレンタンク30を走行車台22に搭載する。
刈取装置6は、図示しない刈取昇降シリンダの伸縮作用により刈取装置6全体を昇降して、圃場に植生する穀稈を所定の高さで刈取りができる構成としている。刈取装置6の前端下部に分草具7を、その背後に傾斜状にした穀稈引起し装置を、その後方底部には刈刃5を配置している。刈刃5と脱穀装置のフィードチェンの始端部との間に、前部搬送装置と供給搬送装置などを、順次穀稈の受継搬送と扱深さ調節とができるように配置している。
コンバイン1の刈取装置6の作動は次のように行われる。まず、エンジンを始動して主変速レバー10をコンバイン1が前進するように操作し、刈取レバー(図示省略)で刈取クラッチを入り操作し、また脱穀レバー(図示省略)で脱穀クラッチを入り操作して機体の回転各部を駆動しながら、走行フレーム2を前進走行させると、刈取作業や脱穀作業が開始される。
圃場に植立する穀稈は刈取装置6の前端下部にある分草具7によって分草作用を受け、次いで穀稈引起し装置の引起し作用によって倒伏状態にあれば直立状態に引起こされ、穀稈の株元が刈刃5に達して刈取られ、前部搬送装置に掻込まれて後方に搬送され、供給搬送装置に受け継がれて順次連続状態で後部上方に搬送される。
さらに、穀稈は供給搬送装置からフィードチェンと挟把杆の始端部に受け継がれ、脱穀装置に供給される。脱穀装置には、上側に扱胴を軸架した扱室を配置し、扱室の下側に選別室を一体的に設け、供給されて搬送方向に移送される刈取穀稈の穂先を脱穀して選別する。
脱穀装置に供給された穀稈の穂先側は、扱室に送られて脱穀され、比重の重い穀粒は揚穀筒
(請求項における「揚穀装置」)54を経てグレンタンク30へ搬送され、グレンタンク30に一時貯留される。
脱穀装置の扱室の終端に到達して脱穀された残りの穀稈は図示しない排藁チェーンと排藁穂先チェーンに挟持されて搬送され、脱穀装置の後部の藁用カッター(図示せず)に投入された後、切断され、圃場に放出される。
前記グレンタンク30は、樹脂で一体成型し、
図2の(a),(b),(c),(d),(e),(f)に示す外観形状を呈している。
グレンタンク30の前面49は操縦席20の下部に設けるエンジン動力伝動部を収納するように湾曲して上部に前側に向けて張出した張出部30aを形成し、出来るだけ容量を増やしている。
この前面49の上部に続く張出部30aの上面側には、前側傾斜面(傾斜面)40を形成し、前側傾斜面40の上端部から後部を前側傾斜面40よりも緩やかに後上がりする後側傾斜面(
上面)41とし、さらに縦オーガ18への取付部45に向かって下り傾斜面42に形成している。
後側傾斜面41の略中央には開口部52を形成し、該開口部52を閉じる開閉蓋
(請求項における「蓋」)43をヒンジ50で取り付け、ロック部材51で留めるようにしている。開口部52の上端縁と開閉蓋43との間にはシール53を挟んでいる。
また、開閉蓋43のヒンジ50は揚穀筒54を取り付けた投入口44から最も遠い位置で、開閉蓋43の内側に環状に下方へ伸びる突起縁43bを形成しているが、揚穀筒54の投入口44から遠い位置で突起縁43bを長くして、揚穀筒54の跳ね出し翼54で勢い良く跳ね出される穀粒を突起縁43bに当てて落下させ、穀粒が開口部52と開閉蓋43の間から飛び出さないようにしている。なお、開閉蓋43に形成する突起縁43bは、開閉蓋43の剛性を向上させる効果もある。
また、開閉蓋43の中央部は透明にすると共に上方へ膨出して膨出部43aを形成している。この膨出部43aは、
図2(e)の平面図に示す如く、ロック部材51の取付部の周囲まで膨出させて操縦席20の作業者がグレンタンク30の内部を透視可能にしている。なお、膨出部43aは、中央部の厚みを薄くしたり密度を低くしたりする凹レンズ状にして太陽光がグレンタンク30内で拡散して穀粒が乾燥するようにする。
或いは、膨出部43aは、中央部の厚みを厚くしたり密度を高くしたりして凸レンズ状にしてグレンタンク30の内部を拡大して見ることが出来るようにしても良い。
グレンタンク30の背面視では、後側傾斜面41は左右方向に略水平で、内側の脱穀装置側で上部に内側下り傾斜面47を形成し、外側側面の中央部に側方膨出部48を形成している。底部には、走行フレーム2に取り付ける底部取付部46を設けている。
なお、開閉蓋43の全体を透明な部材により形成してもよく、このようにすることで、グレンタンク30の内部をより視認し易くなる。
図5は、グレンタンク30の別実施例を示し、前側傾斜面40の上下に上覗き窓55aと下覗き窓55bを設け、上覗き窓55aがグレンタンク30内の上部を良く見えるようにし、下覗き窓55bがグレンタンク30内の下部を良く見えるようにしている。或いは、上覗き窓55aを通常の拡大しない窓とし、下覗き窓55bを拡大レンズ付きの窓とすることで、グレンタンク30内の穀粒が少ない場合に下覗き窓55bで確認し易くするのも良い。
図6は、グレンタンク30のさらに別実施例を示し、前側傾斜面40の左右に左覗き窓56aと右覗き窓56bを設け、左覗き窓56aと右覗き窓56bのどちらか一方を拡大レンズ付きの窓として、グレンタンク30内の穀粒が少ない場合に拡大レンズ付きの窓で穀粒の溜まり具合を確認出来る。
図7は、別実施例のグレンタンク30の外観形状である。
図8は、別実施例のグレンタンク30の外観形状である。
図9は、別実施例のグレンタンク30の外観形状である。
図10は、グレンタンク30内の穀粒を取り出す縦オーガ18と横オーガ19を示し、縦オーガ18を旋回モータ21で旋回させて横オーガ19の方向を変更し、横オーガ19を昇降シリンダ22で起伏角度を変更出来るようにしている。また、横オーガ19は、伸縮モータ23で伸縮ネジ24を駆動回転することで、元横オーガ19aに対して先横オーガ19bを伸縮させて、先端の排出口25の位置を変更可能にしている。
図11は、オーガ駆動の自動制御ブロック図で、オーガ制御装置60に対して入力する信号は、自動伸長スイッチ61のオン・オフ信号と、自動短縮スイッチ62のオン・オフ信号と、伸長量調節ダイヤル63の設定値と、短縮量調節ダイヤル64の設定値と、張出スイッチ65のオン・オフ信号と、収納スイッチ66のオン・オフ信号と、伸長側リミットスイッチ67の検出信号と、短縮側リミットスイッチ68の検出信号で、オーガ制御装置60から出力する信号は、旋回モータ21に対する駆動信号と、昇降シリンダ22の昇降ソレノイド69に対する駆動信号と、伸縮モータ23に対する駆動信号である。
図12の制御フローチャート図に示す如く、自動短縮スイッチ62を押すと短縮量調節ダイヤル64で設定した位置或いは短縮側リミットスイッチ68の位置まで先横オーガ19bが自動で短縮する。
また、
図13の制御フローチャート図に示す如く、自動伸長スイッチ61を押すと伸長量調節ダイヤル63で設定した位置或いは伸長側リミットスイッチ67の位置まで先横オーガ19bが自動で伸長する。
自動で伸縮する位置はタイマで設定する駆動時間を設定変更して変更出来るようにする。
なお、コンバイン1の走行装置3と刈取装置6と脱穀装置をそれぞれに設けるバッテリで駆動する場合に、バッテリ電力が低下すると、走行装置3のバッテリに優先して全電力を供給するようにすれば、全体のバッテリ電力が低下した場合に、コンバイン1を退避位置まで移動出来る。