(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来の作業車両の構成によれば、ステアリングハンドル36の下方に配置された構造部品の中で、例えば、バルブユニット39のメンテナンスを行う場合は勿論のこと、簡単な点検を行う場合でも、パネルカバー11の下方全体を覆うために設けられた大きな部品であるセンターカバー12を外す必要があった。
【0013】
本発明は、上記従来の作業車両のこの様な課題に鑑み、より小さなサイズのカバーを取り外すことで、バルブなどの構造部品についての簡単な点検が可能な作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、第1の本発明は、
エンジンを収容したエンジンルームをカバーするエンジンボンネットの後方に配置されたハンドルと、
前記ハンドルの近傍に配置されたコントロールパネルと、
前記エンジンルームの後方であって、前記ハンドルの側方に配置された操作レバーと、
前記エンジンルームの後方に配置され、
前記操作レバーの動きを伝達するリンク機構を介して前記操作レバーと
ユニット化されて連結されたバルブと、
前記コントロールパネルとフロア部との間の空間の上側に配置された上側カバーと、
前記フロア部の前方部から立ち上がる様に形成されて前記フロア部と一体構成された、前記空間の下側において前記上側カバーに隣接して配置された下側カバーと、を備え、
前記バルブは、前記下側カバーにより覆われており、
前記上側カバーは、取り外すことが可能な構成とし、
前記上側カバーは、前記エンジンを冷却するための外気を取り入れる通気口を有し、
前記ハンドルを支持するハンドルポスト枠体を設け、前記ハンドルポスト枠体の右側の側面の下側の一部に
は、前記右側の側面が左側に折り曲げられてなる空間部分
が形成
されており、
前記空間部分に前記バルブ
と前記リンク機構を配置して、前記バルブを前記ハンドルポスト枠体の表面に
着脱可能に取り付ける構成と
すると共に、前記バルブが前記表面から取り外された際、前記操作レバーと前記リンク機構と前記バルブが前記ユニット化された状態で取り外される構成であり、
前記バルブ近傍の前記ハンドルポスト枠体に通気用孔を形成した、
作業機を装着可能な作業車両である。
また、第2の本発明は、
エンジンを収容したエンジンルームをカバーするエンジンボンネットの後方に配置されたハンドルと、
前記ハンドルの近傍に配置されたコントロールパネルと、
前記エンジンルームの後方であって、前記ハンドルの側方に配置された操作レバーと、
前記エンジンルームの後方に配置され、
前記操作レバーの動きを伝達するリンク機構を介して前記操作レバーと
ユニット化されて連結されたバルブと、
前記コントロールパネルの下方位置に配置された最上位カバーと、
運転部のフロア面から上方に立ち上がった部位を含むフロア部の前方部である最下位カバーと、
前記最上位カバーと前記最下位カバーとの間に設けられた中間カバーと、を備え、
前記バルブは、前記最下位カバーと前記中間カバーにより覆われており、
前記中間カバーは、取り外すことが可能な構成とし、
前記最上位カバーと、前記中間カバーは、前記エンジンを冷却するための外気を取り入れる通気口を有し、
前記ハンドルを支持するハンドルポスト枠体を設け、前記ハンドルポスト枠体の右側の側面の下側の一部に
は、前記右側の側面が左側に折り曲げられてなる空間部分
が形成
されており、
前記空間部分に前記バルブ
と前記リンク機構を配置して、前記バルブを前記ハンドルポスト枠体の表面に
着脱可能に取り付ける構成と
すると共に、前記バルブが前記表面から取り外された際、前記操作レバーと前記リンク機構と前記バルブが前記ユニット化された状態で取り外される構成であり、
前記バルブ近傍の前記ハンドルポスト枠体に通気用孔を形成した、
作業機を装着可能な作業車両である。
また、第3の本発明は、
前記操作レバーと前記バルブを連結するリンク機構を備え、
前記リンク機構は、前記最上位カバーで覆われている、上記第2の本発明の作業車両である。
また、第4の本発明は、
ラジエータとバッテリとを備え、
前記バッテリは、前記ハンドルポスト枠体の前側の上部に配置され、
前記ラジエータは、バッテリの前側に配置され、前記ハンドルポスト枠体により支持されている、上記第1から第3のいずれかの本発明の作業車両である。
また、本発明に関連する第1発明は、
エンジンを収容したエンジンルームをカバーするエンジンボンネットの後方に配置されたハンドルと、
前記ハンドルの近傍に配置されたコントロールパネルと、
前記エンジンルームの後方であって、前記ハンドルの側方に配置された操作レバーと、
前記エンジンルームの後方に配置され、前記操作レバーと連結されたバルブと、
前記コントロールパネルとフロア部との間の空間の上側に配置された上側カバーと、
前記フロア部の前方部から立ち上がる様に形成されて前記フロア部と一体構成された、前記空間の下側において前記上側カバーに隣接して配置された下側カバーと、を備え、
前記バルブは、前記下側カバーにより覆われており、
前記上側カバーは、取り外すことが可能である、作業機を装着可能な作業車両である。
【0015】
これにより、コントロールパネルとフロア部との間の空間を覆う上側カバーと下側カバーの内、上側カバーを取り外すことにより、例えばバルブについての簡単な点検が可能となる。
【0016】
また、
本発明に関連する第
2発明は、
エンジンを収容したエンジンルームをカバーするエンジンボンネットの後方に配置されたハンドルと、
前記ハンドルの近傍に配置されたコントロールパネルと、
前記エンジンルームの後方であって、前記ハンドルの側方に配置された操作レバーと、
前記エンジンルームの後方に配置され、前記操作レバーと連結されたバルブと、
前記コントロールパネルの下方位置に配置された最上位カバーと、
運転部のフロア面から上方に立ち上がった部位を含むフロア部の前方部である最下位カバーと、
前記最上位カバーと前記最下位カバーとの間に設けられた中間カバーと、を備え、
前記バルブは、前記最下位カバーと前記中間カバーにより覆われており、
前記中間カバーは、取り外すことが可能である、作業機を装着可能な作業車両である。
【0017】
これにより、コントロールパネルの下方を覆う最上位カバーと最下位カバーと中間カバーの内、少なくとも中間カバーを取り外すことにより、例えばバルブについての簡単な点検が可能であるという効果を発揮する。
【0018】
また、
本発明に関連する第
3発明は、
前記操作レバーと前記バルブを連結するリンク機構を備え、
前記リンク機構は、前記最上位カバーで覆われている、上記
本発明に関連する第
2発明の、作業機を装着可能な作業車両である。
【0019】
これにより、リンク機構が、最上位カバーで覆われるので、外観上、その構成が見えなくなり商品価値が著しく向上するという効果を発揮する。
【0020】
また、
本発明に関連する第
4発明は、
前記最上位カバーと、前記中間カバーは、前記エンジンを冷却するための外気を取り入れる通気口を有している、上記
本発明に関連する第
2発明の、作業機を装着可能な作業車両である。
【0021】
これにより、大量のラジエータ冷却用の空気を、通気口から最も効率良く取り入れることが出来るという効果を発揮する。
【0022】
また、
本発明に関連する第5発明は、
前記ハンドルを支持するハンドルポスト枠体と、
バッテリとを備え、
前記バッテリは、前記ハンドルポスト枠体の前側の上部に配置されている、上記
本発明に関連する第
4発明の、作業機を装着可能な作業車両である。
【0023】
これにより、バッテリ専用の支持構造体を設ける必要が無いという効果を発揮する。
【0024】
また、
本発明に関連する第6発明は、
ラジエータを備え、
前記ラジエータは、前記バッテリの前側に配置され、前記ハンドルポスト枠体により支持されている、上記
本発明に関連する第
5発明の、作業機を装着可能な作業車両である。
【0025】
これにより、ラジエータ専用の支持構造体を設ける必要が無いという効果を発揮する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、より小さなサイズのカバーを取り外すことによりバルブなどの構造部品についての簡単な点検が可能な作業車両を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明の作業車両の一実施の形態のトラクタについてその構成と動作を説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1における、フロントローダ120を装着したトラクタの全体側面図であり、
図2は、本実施の形態1におけるトラクタ本体の前部の右側面概略図である。
【0030】
まず、これらの図面を用いて、本実施の形態のトラクタ100の構成を中心に説明する。
【0031】
図1、
図2に示す通り、本実施の形態のトラクタ100は、左右一対の操向操作自在な前輪101と、左右一対の後輪102とが、四輪駆動仕様によって自走するトラクタ本体105と、トラクタ本体105の前部に、着脱自在に連結可能なフロントローダ120とを備えている。
【0032】
また、トラクタ本体105は、エンジン106(
図2参照)をエンジンボンネット116でカバーした原動部117(
図2参照)をトラクタ本体の前部に備えるとともに、左右後輪102の間の上部に運転座席103を備え、かつ、運転座席103の後部には門形の転倒保護フレーム114を備えている。
【0033】
また、トラクタ本体105は、車体フレーム104の前輪101と後輪102との間にリンク機構110を介して草刈装置(図示省略)を備えることが出来る構成である。その場合、車体フレーム104の後部には、左右一対のリフトアーム150により昇降動作可能な刈草回収装置(図示省略)が、連結機構140を介して着脱自在に連結可能な構成である。刈草回収装置(図示省略)については、装着しないときもある。
【0034】
また、連結機構140を介して装着する作業機としては、ロータリ、リヤ草刈装置、施肥機、レベラ、プラウ、サブソイラ等がある。
【0035】
尚、本発明の作業車両の一例が本実施の形態のトラクタ本体105に該当する。また、本発明の作業機の一例が本実施の形態のフロントローダ120に該当する。
【0036】
また、フロントローダ120は、トラクタ本体105の前部左右に備えられた支持ブラケット121に脱着自在に連結固定される左右一対の支持フレーム122、各支持フレーム122の上端部に上下揺動可能に連結された左右一対の第1ブーム123aと第2ブーム123b、および、左右一対の第2ブーム123bの前端において上下回動可能に連結されたバケット124とで構成されている。
【0037】
更に、左右一対の第1ブーム123aの下方側にリフトシリンダ125が設けられており、左右一対の第2ブーム123bの上方側にチルトシリンダ126が設けられている。
【0038】
リフトシリンダ125によって左右一対の第1ブーム123aと第2ブーム123bが駆動昇降されるとともに、チルトシリンダ126によってバケット124が駆動回動されるようになっている。
【0039】
また、
図2に示す様に、エンジンボンネット116で形成されたエンジンルーム118の内部に、ラジエータ130を配置してエンジン106およびこれに付随する各種機器が収容配置されている。
【0040】
次に、
図2〜
図7を用いて、トラクタ本体105の前部の構成について更に説明する。
【0041】
図3は、本実施の形態のトラクタ本体105の前部のハンドル下部の内部構造を示す斜視図であり、
図4は、本実施の形態のトラクタ本体105の前部の斜視図である。
【0042】
図2に示す様に、エンジン106の後部には、ラジエータファン119が配置されており、更にその後方には、ラジエータ130とバッテリ131とバルブユニット170等を搭載したハンドルポスト枠体160が配置され、車体フレーム104に固定されている。
【0043】
ハンドルポスト枠体160は、薄い金属板で構成されているため、従来のアルミダイカスト製のフレーム構造体10(
図19参照)に比べて、重量の軽量化が図れ、且つコストダウンが可能となる。また、必要な機能部品であるバルブユニット170をハンドルポスト枠体160の下部右側面に固定することにより、ハンドルポスト枠体160の重心が低くなり、ハンドルポスト枠体160全体が安定した構造体となる。これにより、ハンドルポスト枠体160が軽量化されたとしても、振動や騒音の影響を受け難くすることが出来、強度も向上する。
【0044】
また、ハンドルポスト枠体160は、その右側の側面165の下側の一部が長さL分(
図6参照)だけ左側に折り曲げられて形成された空間部分を有しており、この空間部分にバルブユニット170のバルブ本体171(
図7参照)とリンク機構172を配置することで、ハンドルポスト枠体160の左右方向の幅が広がるのを抑制できて、コンパクトな構成となる。しかも、バルブユニット170はハンドルポスト枠体160の表面に取り付けているので、組み付け作業や保守点検作業が容易となる。
【0045】
また、ハンドルポスト枠体160は、ラジエータ130とバッテリ131とバルブユニット170等を全て搭載し支持しているので、ラジエータ専用の支持構造体、バッテリ専用の支持構造体、及びバルブ専用の支持構造体を設ける必要が無い。
【0046】
バッテリはハンドルポスト枠体160の前側の上部に配置されているので、エンジンボンネット116を開けるとバッテリの着脱やバッテリの保守点検作業(液の補充や確認)が容易に可能となる。
【0047】
ラジエータ130はバッテリの前側に配置されているので、バッテリと同様にエンジンボンネット116を開けることで保守点検作業が容易となる。
【0048】
また、ハンドルポスト枠体160の上端部には、パワーステアリング用の油圧コントローラ132が連結されている。油圧コントローラ132からは上方に向けて操作軸133が突き出してステアリングハンドル134が装着されている。
【0049】
図6は、上述したハンドルポスト枠体160の斜視図であり、各所に通気用孔161が設けられている。
【0050】
また、ハンドルポスト枠体160の上部は、計器パネル181や各種スイッチ類182が装着されたコントロールパネル180で覆われており、下部は、最上位カバー183と最下位カバー184と中間カバー185で覆われている。最上位カバー183の右側面には、フロントローダ120の昇降動作及びバケット124の上下回動動作をコントロールするためのジョイスティックレバー190が貫通する貫通孔190aが形成されている。また、最下位カバー184は、運転座席103の前側下部のフロア面107aから上方に立ち上がった部位を含む、フロア部107の前方部である。ジョイスティックレバー190については、
図7を用いて、更に後述する。
【0051】
この様に、ジョイスティックレバー190が、最上位カバー183の右側面に設けられた貫通孔190aから外部に突き出しているので、レバー握り部191を、作業者が最も使いやすい位置へ、最短の経路で配置することが出来る。
【0052】
図2に示す様に、ハンドルポスト枠体160に搭載されたラジエータ130等は、最上位カバー183と、最下位カバー184と、中間カバー185によって覆われている。
【0053】
また、バルブ本体171とリンク機構172(
図7参照)は、最上位カバー183と、最下位カバー184と、中間カバー185によって覆われている。また、バッテリ131は、最上位カバー183によって覆われている。
【0054】
最下位カバー184又はハンドルポスト枠体160には、中間カバー185をねじ式で固定するための、左右一対の第2の下穴184cを有する固定用プレート184aが取り付けられている(
図2、
図4参照)。尚、この部分の固定方式については、ねじ式ではなく、単に差し込み式の留め具で工具無しで着脱するように構成してもよい。この点については、
図15を用いて更に後述する。
【0055】
また、中間カバー185は、独立して取り外すことが出来るように、ハンドルポスト枠体160等にねじ式により固定されている。具体的には、中間カバー185は、最下位カバー184に設けられた固定用プレート184aに形成された第2の下穴184cと、ハンドルポスト枠体160に形成された第3の下穴185c(
図5参照)に対して、左右一対の第3のねじ185bにより固定されている。よって、バルブ本体171について簡単な点検を行う場合、小さなサイズの中間カバー185は、容易に取り外すことが可能である。
【0056】
尚、前述したように、左右一対の第2の下穴184c部分での中間カバー185の取り付けに関しては、
図15(a)〜
図15(c)に示す通り、差し込み式の留め具のみで構成してもよい。これにより、中間カバー185の着脱作業が更に容易に行える。
【0057】
即ち、
図15(a)は、中間カバー185を取り付ける前の状態の概略斜視図であり、
図15(b)は、中間カバー185を取り付けた状態の概略斜視図であり、
図15(c)は、中間カバー185を取り付けた状態の、本発明の別の例としてのトラクタ本体の前部の概略斜視図である。
【0058】
図15(a)に示す通り、差し込み式の留め具の一例である左右一対の差込ピン2185bが、中間カバー185の中央部に固定されている。
図15(b)に示す通り、これら左右一対の差込ピン2185bの先端部が、固定用プレート184aに形成された左右一対の第2の下穴184cに差し込まれた後、中間カバー185の両端部を、左右一対の第3のねじ185bを用いて、ハンドルポスト枠体160に形成された第3の下穴185c(
図5参照)に固定する構成である。
【0059】
更にまた、第2の下穴184cの穴の内周縁部をゴム部材で覆う構成としても良い。この様にすることで、左右一対の差込ピン2185bを第2の下穴184cに挿入した場合、差込ピン2185bの外周面がゴム部材に密着するので、差込ピン2185bの位置が安定し、中間カバー185の振動を低減出来る。
【0060】
また、最上位カバー183は、独立して取り外すことが出来るように、ハンドルポスト枠体160に対してねじ式により固定されている。具体的には、ハンドルポスト枠体160の後部枠体160a(
図5、
図9参照)に形成された左右一対の第1の下穴183cと、前部枠体160b(
図5、
図9参照)に形成された上下の左右一対の第1の下穴183cに対して、それぞれ第1のねじ183bにより固定されている。
【0061】
よって、第1のねじ183bを外した後、ジョイスティックレバー190の立ち上がり方向に沿って、最上位カバー183をスライド移動させることにより、最上位カバー183を取り外すことが出来る。
【0062】
最上位カバー183を外す場合としては、バルブ本体171の簡単な点検の他に、バルブユニット170を交換する場合や、計器パネル181等のメンテナンス時が挙げられる。
【0063】
この構成により、簡単な点検やメンテナンス等の作業効率が向上する。
【0064】
これにより、少なくとも最上位カバー183と中間カバー185が、それぞれ独立して取り外せるので、コントロールパネル180の下方に配置された構造部品の簡単な点検や、メンテナンスを行う場合、その内容に応じて、より小さなサイズのカバーを取り外すことで作業効率が向上する。
【0065】
尚、最上位カバー183は、コントロールパネル180と一体的に構成してもよい。
【0066】
また、後述するリンク機構172が、最上位カバー183で覆われるので、外観上、その構成が見えなくなり商品価値が著しく向上する。
【0067】
更に、中間カバー185の右側近傍には、後述するカプラーユニット173が配置されている。そのため、もし、最上位カバー183が中間カバー185と一体的に形成されていた場合、カプラーユニット173を外さない限り、ジョイスティックレバー190が貫通しているカバーを取り外すことは困難である。しかし、本実施の形態では、最上位カバー183が、中間カバー185から分離しているため、カプラーユニット173を外さなくても、ジョイスティックレバー190が貫通している最上位カバー183を取り外すことが出来る。
【0068】
尚、最下位カバー184は、上述した通り、フロア部107の一部であるため、最下位カバー184を取り外すためには、車体フレーム104にねじ式により固定されているフロア部107の全体を取り外す必要がある。このため、作業内容によってはフロア部107とともに最下位カバー184を外して作業することもある。
【0069】
最上位カバー183と中間カバー185には、それぞれ防塵構造の第1の通気口183aと第3の通気口185aが形成されており、これら第1の通気口183a、第3の通気口135aから導入された外気が、通気用孔161等を通って、ラジエータファン119によって吸引されてラジエータ130に導かれた後、エンジンルーム118内を前方に流動し、エンジンルーム内の熱気がエンジンボンネット116の前面および左右前部の通気口116aから機外に排出されるようになっている。
【0070】
これにより、大量のラジエータ冷却用の空気を、通気口から最も効率良く取り入れることが出来る。さらに、バルブ本体171及びリンク機構172の近傍に通気用孔161が形成されているので、バルブユニット170の冷却効率が向上する。
【0071】
また、
図5に示す様に、ハンドルポスト枠体160の右側下部に配置されたバルブユニット170は、カプラーユニット173を介して、リフトシリンダ125及びチルトシリンダ126に配管接続可能に構成されている。
図5は、
図3に示した本実施の形態のトラクタ本体105の内部構造の斜視図であって、ハンドルポスト枠体160にラジエータ130、バッテリ131、バルブユニット170等を搭載した状態を示す図である。
【0072】
図6は、本実施の形態のトラクタ本体105のハンドルポスト枠体160の斜視図である。
【0073】
この様に、ハンドルポスト枠体160で、ラジエータ130、バッテリ131、バルブユニット170等を支持する構成としたことにより、より少ない構成部品でより多くの機能を有することが出来る。
【0074】
また、
図9に示すように、ハンドルポスト枠体160は、主にステアリングハンドル134を支持する後部枠体160aと、ラジエータ130を支持する前部枠体160bと、バッテリ131を支持する中間部枠体160cから構成されている。中間部枠体160cは、後部枠体160aと前部枠体160bを連結する構成であり、バッテリ載置部160dで構成されている。
【0075】
尚、本発明の操作レバーの一例が、本実施の形態のジョイスティックレバー190に該当する。
【0076】
次に、
図7を用いて、バルブユニット170の構成を説明する。
図7は、本実施の形態のトラクタ本体105のバルブユニット170を示す斜視図である。
【0077】
図7に示す様に、バルブユニット170は、バルブ本体171とジョイスティックレバー190と、ジョイスティックレバー190の動きをバルブ本体171に伝達するリンク機構172と、配管を含むカプラーユニット173等から構成されている。
【0078】
尚、ジョイスティックレバー190の下端部は、リンク機構172の上端部にねじ式により固定されている。
【0079】
本発明のバルブの一例が、本実施の形態のバルブ本体171に該当する。
【0080】
作業者が、ジョイスティックレバー190を前後方向(
図7中の符号Xを参照)に操作することにより、リフトシリンダ125が伸縮して、フロントローダ120の昇降動作が行われる。また、作業者が、ジョイスティックレバー190を左右方向(
図7中の符号Yを参照)に操作することにより、チルトシリンダ126が伸縮して、バケット124の上下回動動作が行われる。
【0081】
上記構成により、より少ないリンク構成で、バルブ本体171とジョイスティックレバー190とを連結することが出来る。
【0082】
また、バルブ本体171とジョイスティックレバー190と、それらを連結するリンク機構172と、カプラーユニット173とをユニット化した構成により、製造工程において、バルブユニット170を別工程で予め組み立てることが可能となり、組立工程の効率化、及び品質の向上が可能となる。
【0083】
また、
図3に示す様に、最上位カバー183と最下位カバー184と中間カバー185とを外すことで、バルブ本体171とリンク機構172が見えるので、少なくともバルブ本体171とリンク機構172を点検又は修理又は交換する場合、或いは、バルブユニット170の全体を交換する場合、トラクタ本体からの取り外し・取り付け作業が容易に行える。
【0084】
また、各種電気配線(図示省略)は、保護チューブ(図示省略)内に収納されて、バッテリ131やバルブユニット170等が搭載されたハンドルポスト枠体160の空間を有効利用して配設されている。
【0085】
尚、
図8〜
図10は、
図5に示す本発明の実施の形態1におけるトラクタ本体の内部構造を別の方向から見た斜視図である。上述した構成部品と同じものには同じ符号を付した。
【0086】
(実施の形態2)
図11は、上記実施の形態1における第2トラクタ本体1105に草刈装置200を装着した第2のトラクタ1100の全体側面図である。
【0087】
本実施の形態の第2トラクタ本体1105の構成は、後述するリフトアーム本体1152と、モアリンク機構1110の一部とが一体化されている構成を除き、上記実施の形態1で説明したトラクタ本体105と基本的に同じである。同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略し、異なる構成を中心に説明する。
【0088】
図11に示す様に、第2トラクタ本体1105は、車体フレーム104の前輪101と後輪102との間にモアリンク機構1110を介して、着脱自在の草刈装置200を装着した構成である。左右一対の第2リフトアーム1150は、リフトアーム回動軸310を中心にして、矢印Q方向に回動可能に設けられている。そして、車体フレーム104の後部には、左右一対の第2リフトアーム1150により昇降動作可能な刈草回収装置や別の作業機等(図示省略)が、連結機構140を介して着脱自在に連結される構成である。
【0089】
また、エンジン106(
図2参照)の下方に設けられた動力取り出し機構(図示省略)により取り出されたエンジン106の出力は、伝動ベルト(図示省略)及び回転伝動軸(図示省略)等を介して草刈装置200に伝達される。
【0090】
更に、モアリンク機構1110は、車体フレーム104に上下揺動自在に支持された左右一対の揺動リンク111及び後述する左右一対の第1モアリンク300等からなり、その左右一対の揺動リンク111の先端部は、草刈装置200の後部に位置する後連結部材201に連結されている。
【0091】
また、フロア部107の下方に配置されたL字形状の左右一対の第1モアリンク300は、第1回転支軸301を介して、車体フレーム104により回動可能に支持されている。更に、左右一対のそれぞれの第1モアリンク300の一方の端部300aは、第2モアリンク302を介して、揺動リンク111の下方先端部に上下揺動可能に連結されており、他方の端部300bは、連結ロッド303を介して第2リフトアーム1150の一方の端部に一体化された第3モアリンク1151に連結されている。また、第2リフトアーム1150の他方の端部であるアーム本体先端部1150bは、刈草回収装置や別の作業機等(図示省略)に連結されており、刈草回収装置の昇降動作を行う部材である。
【0092】
前輪101と後輪102の間に草刈装置200を装着するときには、左右一対の第2リフトアーム1150には別の作業機は装着せずに、刈草回収装置を装着したり装着しなかったりする場合がある。
【0093】
前輪101と後輪102の間に草刈装置200を装着しないときに、左右一対の第2リフトアーム1150に別の作業機を装着して作業を行う。
【0094】
運転座席103の右側に作業機昇降レバー(図示省略)を設けており、中立位置に対して機体後方側への操作と機体前方側への操作を行う構成としている。
【0095】
この作業機昇降レバーを機体後方に操作している間は油圧により第2リフトアーム1150とモアリンク機構1110が上昇し、作業機昇降レバーから手を離すと、レバーは中立位置に戻って第2リフトアーム1150とモアリンク機構1110の上昇は停止する。
【0096】
作業機昇降レバーを機体前方に操作している間は油圧により第2リフトアーム1150とモアリンク機構1110が下降し、作業機昇降レバーから手を離すと、レバーは中立位置に戻って第2リフトアーム1150とモアリンク機構1110の下降は停止する。これにより、第2リフトアーム1150に装着している作業機又はモアリンク機構1110に装着している草刈装置が昇降する。第2リフトアーム1150とモアリンク機構1110については、いずれか一方にしか作業機(ここでは、作業機には、刈草回収装置は含まれない)を装着しないので問題はない。
【0097】
尚、本実施の形態のモアリンク機構1110は、左右一対の揺動リンク111と、左右一対の第1モアリンク300と、左右一対の第2モアリンク302と、左右一対の第3モアリンク1151、及び連結ロッド303等を含む。
【0098】
次に、
図12〜
図13を用いて、第2リフトアーム1150の構成を更に説明する。
【0099】
図12は、第2リフトアーム1150の斜視図であり、
図13(a)は第2リフトアーム1150の平面図、
図13(b)は第2リフトアーム1150の正面図、
図13(c)は第2リフトアーム1150の左側面図である。
【0100】
図12に示す様に、第2リフトアーム1150は、一方の端部に、リフトアーム回動軸310を挿入固定するための軸固定孔1152aを有し、他方の端部に刈草回収装置(図示省略)等を連結するための連結孔1152bを有したリフトアーム本体1152と、軸固定孔1152aの一方の縁部1152cからリフトアーム回動軸310の軸方向Pに沿って突き出した円弧状突起部1153を有する第3モアリンク1151とから構成されている。
【0101】
また、第3モアリンク1151に含まれる円弧状突起部1153の先端部には、軸方向Pに直交する方向に突き出した、所定間隔を隔てて互いに対向する一対のロッド固定用リブ1153aが形成されている。また、一対の固定用リブ1153aには、軸方向Pに平行に形成されたストッパー挿入孔1153bが形成されており、そのストッパー挿入孔1153bに、連結ロッド303の一方の端部をロッド固定用リブ1153aに連結固定するための円筒状のストッパー1154が回動可能に挿入されている。
【0102】
以上の構成のもと、モアリンク機構1110は、
図11に示す様に、第2リフトアーム1150の矢印Q方向への昇降動作に連動して、連結ロッド303等を介して、左右一対の揺動リンク111が揺動操作されることによって車体フレーム104に対して上下に揺動操作される。
【0103】
即ち、
図11に示す様に、第2リフトアーム1150が、リフトアーム回動軸310を中心に反時計回りに回動すると、刈草回収装置(図示省略)が上昇するとともに、連結ロッド303が
図11の右方向に移動し、第1モアリンク300が、第1回転支軸301を中心に時計回りに回動し、第2モアリンク302が上方に移動し、その結果、揺動リンク111の先端部が上方に移動することにより、草刈装置200が地面から上方に持ち上げられる。また、第2リフトアーム1150が、リフトアーム回動軸310を中心に時計回りに回動すると、刈草回収装置(図示省略)が下降するとともに、連結ロッド303が
図11の左方向に移動し、第1モアリンク300が、第1回転支軸301を中心に反時計回りに回動し、第2モアリンク302が下方に移動し、その結果、揺動リンク111の先端部が下方に移動することにより、草刈装置200が地面に接地される。
【0104】
これにより、第2リフトアーム1150の昇降動作に連動して、草刈装置200を前後側において支持する支持車輪202が地面に接地した下降作業状態と、各支持車輪202が地面から上昇した上昇非作業状態とに昇降操作可能となる。
【0105】
この様に、リフトアーム本体1152と、モアリンク機構1110の一部である第3モアリンク1151とが一体化されて、第2リフトアーム1150を構成したことにより、部品点数が削減され、双方の部品を組み立てる必要も無い。
【0106】
また、リフトアーム本体1152と円弧状突起部1153については、従来は別部品として構成されており、スプライン嵌合やボルト等で連結していたので、部品点数が多くなっていた。このため、
図12に示すように、リフトアーム本体1152と円弧状突起部1153を一体構成(鋳物で一体又は別部品を溶接)にすることで、部品点数が削減できて廉価な構成となる。
【0107】
尚、上記実施の形態では、最下位カバー184は、上述した通り、フロア部107の一部であるため、最下位カバー184を取り外すためには、車体フレーム104にねじ式により固定されているフロア部107の全体を取り外す必要がある。しかし、これに限らず例えば、
図14(a)、
図14(b)に示す通り、分割フロア部1107が、前方部と後方部に分割されており、且つ、前方部が右側と左側に分割されており、それら左右に分割された前方部が、更にそれぞれ2分割された構成であっても良い。
【0108】
即ち、
図14(a)に示す通り、斜線を付した第1右側カバー1184aと、第2右側カバー1184bは、分割フロア部1107の前方部の右側のフロア部として、それぞれ車体フレーム104にねじ式により固定されている。本願発明の最下位カバーの一例が、
図14(a)、
図14(b)に示した第1右側カバー1184aに該当する。
【0109】
図14(b)に示す様に、第1右側カバー1184aは、カプラーユニット173の配管を通すための切欠部1185と、車体フレーム104に第1右側カバー1184aを固定するためのねじ1186を通すねじ孔1187とを備えている。従って、第1右側カバー1184aは簡単に取り外せる。また、第2右側カバー1184bも、第1右側カバー1184aと同様、車体フレーム104にねじ式により固定されているので、簡単に取り外せる。
【0110】
例えば、バルブ本体171とカプラーユニット173との間に設けられた配管のメンテナンスを行う場合、第1及び第2の実施の形態の構成では、少なくともフロア部107の全体を取り外す必要があるが、
図14(a)、
図14(b)に示す構成によれば、第1右側カバー1184a及び第2右側カバー1184bが独立して取り外せるため、更に効率良くメンテナンスが行える。
【0111】
また、
図14(a)に示した実施の形態では、分割フロア部1107が、前方部と後方部に分割されており、且つ、前方部が右側と左側に分割されており、更に左右ともそれぞれ2分割された構成である場合について説明した。しかし、これに限らず例えば、分割フロア部が前方部と後方部に2分割されているだけの構成でも良いし、あるいは、前方部が右側と左側に2分割されているだけの構成でも良いし、あるいは、左側前方部は分割されていないが、右側前方部が2分割されている構成でも良い。
【0112】
また、上記実施の形態では、バルブ本体171が、最上位カバー183、最下位カバー184、及び中間カバー185によって覆われている場合について説明した。しかし、これに限らず例えば、バルブ本体171が最上位カバー183によって覆われておらず、最下位カバー184と中間カバー185によって覆われている構成であっても良い(
図16参照)。
【0113】
この場合、最上位カバー183を外さなくても、バルブ本体171を点検又は修理又は交換することが可能である。
図16は、バルブ本体171が最上位カバー183によって覆われておらず、最下位カバー184と中間カバー185によって覆われている場合の構成を示す本発明の別の例としてのトラクタ本体の前部の右側面概略図である。
【0114】
また、上記実施の形態では、コントロールパネル180の下方位置に配置されたカバーが、最上位カバー183と最下位カバー184と中間カバー185から構成されている場合について説明した。しかしこれに限らず例えば、
図17,
図18に示す通り、コントロールパネル180と第2のフロア部2107の間の空間に配置されたカバーが、上側カバーと下側カバーにより構成されていても良い。
【0115】
図17は、上側カバーと下側カバーを説明するための、本発明の別の例としてのトラクタ本体の前部の斜視図であり、
図18は、
図17に示すトラクタ本体の右側面概略図である。この場合、上側カバー2183は、上記実施の形態で説明した最上位カバー183(
図2、
図4参照)と同じ構成である。一方、下側カバー2186は、
図17、18に示す通り、第2のフロア部2107の前方部から立ち上がる様に形成されて第2のフロア部2107と一体構成された、上記空間の下側において上側カバー2183に隣接して配置されている。
【0116】
この構成の場合、上側カバー2183の取り外し方は、上述した最上位カバー183の取り外し方と同じであるので、その説明は省略する。また、上側カバー2183を取り外すことが出来るので、上述した最上位カバー183の場合と同様、作業効率が向上する。また、下側カバー2186が第2のフロア部2107と一体構成であるので、部品点数が少なくなり簡素な構成となる。
【0117】
また、上側カバー2183と下側カバー2186の両方を取り外せば、例えば、バルブ本体171やバルブユニット170のメンテナンスや取り替えも可能である。この場合、下側カバー2186は、第2のフロア部2107と一体構成であるため、下側カバー2186の左右一対の固定ねじ2186bを外すとともに、車体フレーム104(
図5参照)と第2のフロア部2107とを固定しているねじ(図示省略)も外す必要がある。
【0118】
また、
図18では、バルブ本体171が、上側カバー2183、下側カバー2186によって覆われている場合について説明した。しかし、これに限らず例えば、バルブ本体171が上側カバー2183によって覆われておらず、下側カバー2186によって覆われている構成であっても良い。
【0119】
また、上記実施の形態では、最上位カバー183、最下位カバー184、中間カバー185の全てが着脱自在である場合について説明した。しかしこれに限らず、例えば、少なくとも中間カバー185が着脱自在である構成でも良い。この場合でも、従来より小さなサイズのカバー(中間カバー185)を取り外すことで、バルブ本体171等についての簡単な点検が可能である。
【0120】
また、上記実施の形態では、上側カバー2183、下側カバー2186の全てが着脱自在である場合について説明した。しかしこれに限らず、例えば、少なくとも上側カバー2183が着脱自在である構成でも良い。この場合でも、従来より小さなサイズのカバーを取り外すことで、バルブ本体171等についての簡単な点検が可能である。