特許第5776557号(P5776557)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776557
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ベルトコンベア装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/06 20060101AFI20150820BHJP
【FI】
   B65G15/06
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-3703(P2012-3703)
(22)【出願日】2012年1月12日
(65)【公開番号】特開2013-142036(P2013-142036A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】久積 和正
(72)【発明者】
【氏名】今福 健一郎
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭52−096879(JP,U)
【文献】 仏国特許出願公開第01165260(FR,A1)
【文献】 特開2001−199519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定区間に亘り粉粒体を搬送するためのベルトコンベア装置であって、
前記粉粒体が載置される搬送面を上側に向けた状態のまま平面視において環状に敷設された搬送ベルトと、
前記搬送ベルトのベルト長手方向に間隔を空けて設置され、当該搬送ベルトを下側から支持する複数の支持ローラーと、
前記複数の支持ローラー上において前記搬送ベルトをベルト長手方向に走行させる駆動機構とを備え、
前記搬送ベルトは、平面視において直線状に敷設された直線状部分と、平面視において曲線状に敷設された曲線状部分とを有し、ベルト長手方向の一部に亘る範囲においてベルト幅方向に高低差が設けられた案内部を有して、前記曲線状部分に設けられた前記案内部において、ベルト幅方向内周端又はベルト幅方向外周端が、前記直線状部分より高位置に配置されて、前記搬送面上の粉粒体がベルト幅方向の外側に案内されるように構成されていること
を特徴とするベルトコンベア装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトは、前記曲線状部分において、ベルト幅方向内周端が通る軌道長さとベルト幅方向外周端が通る軌道長さとが略同一の長さとなるように敷設されていること
を特徴とする請求項1に記載のベルトコンベア装置。
【請求項3】
複数の骨組材がなす床構面上において前記複数の支持ローラーを支持するコンベアフレームを更に備え、
前記コンベアフレームは、前記案内部での床構面の高さが他の部位での床構面の高さより低くなるように構成されていること
を特徴とする請求項1又は2に記載のベルトコンベア装置。
【請求項4】
前記駆動機構により前記搬送ベルトが走行しているときに、前記案内部において前記粉粒体を前記搬送面上の低位置に案内するガイド部材を更に備えること
を特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のベルトコンベア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱石、石炭、スラグ、石炭等の粉粒体を所定区間に亘り搬送するためのベルトコンベア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉱石、石炭、スラグ、石灰等の粉粒体を搬送するものとしてベルトコンベア装置が好適に用いられている。従来のベルトコンベア装置101は、図17図18に示すように、一対のプーリー160と、一対のプーリー160に無端状に巻き掛けられた搬送ベルト110とを備えている。このベルトコンベア装置101は、図示しない回転モーターの駆動によりプーリー160が回転することによって、搬送ベルト110がベルト長手方向に走行する。これら一対のプーリー160及び搬送ベルト110は、丸型鋼管、C形鋼、L形鋼等からなる複数の骨組材143から構築されるコンベアフレーム140により支持されるのが一般である。
【0003】
ここで、粉粒体102は、ベルトコンベア装置101の上側を走行するキャリア側ベルト110Aの搬送面110a上に載置されて搬送される。そして、粉粒体102は、プーリー160の設置位置においてキャリア側ベルト110Aが水平軸周りに回転し、搬送面110aが上下反転することによって、キャリア側ベルト110Aから外部に投下される。しかし、粉粒体102は、周辺環境の湿気等の影響によって、ベルトコンベア装置101の下側を走行するリターン側ベルト110Bの下面110bに付着したまま搬送され易い。リターン側ベルト110Bに付着した粉粒体102は、リターン側ベルト110Bを支持するリターンローラー120との接触等による振動によって落下してしまい、図18に示すように、その下方の床面やコンベアフレーム140の骨組材143に堆積する恐れがある。コンベアフレーム140の骨組材143に粉粒体102が堆積した場合は、その堆積箇所での湿度の増大により骨組材143の腐食を招き、コンベアフレーム140の寿命を低下させてしまう。
【0004】
このため、通常は、ベルトコンベア装置101の設置箇所周りやコンベアフレーム140を対象として粉粒体102の堆積の有無を定期的に点検、除去し、コンベアフレーム140の腐食度合に応じてコンベアフレーム40の補修、交換等をすることとしている。この結果、ベルトコンベア装置101の維持管理にかなりの労力負担、コストが割かれていた。
【0005】
特に、製鐵所等の大規模なプラントにおいては、ベルトコンベア装置101の個数が膨大であるため、その労力負担、コストに関する問題が助長されることになる。また、製鐵所等においては、ベルトコンベア装置101等の各設備が常時稼動しており、動作中のベルトコンベア装置101の近傍での作業に危険を伴うことから、定期的な点検作業等を行うにしても作業時間が限定されてしまう。また、製鐵所等においては、ベルトコンベア装置101自体が高所にあることが多く、定期的な点検作業等を行ううえで危険を伴うことになる。従って、ベルトコンベア装置101の維持管理をするうえでは、できる限りその作業数、頻度を減らすことが要望されている。
【0006】
このような問題を解決するため、従来より、種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1においては、搬送ベルトのリターン側ベルトを支持するリターンローラーの形状について、リターン側ベルトの両側端部のみを支持し、かつ、リターン側ベルトの中央部を支持しないように欠如させた形状にしたことを特徴としたベルトコンベアが開示されている。これにより、リターン側ベルトとリターンローラーとの接触面積を減少させて、これらが接触することによりリターン側ベルトの付着物が落下するのを抑えることが可能となっている。
【0007】
また、特許文献2においては、リターン側ベルトの形状について、搬送面を内側とした円筒状となるようにパイプ等により強制的に変形させて、その円筒状としたリターン側ベルト内に熱風を供給することを特徴としたベルトコンベアが開示されている。これにより、円筒状としたリターン側ベルト内において被搬送物の付着を掻き落とし、搬送ベルトの搬送面を清浄化することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−301935号公報
【特許文献2】特開平06−64729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1の開示技術では、リターン側ベルトとリターンローラーとの接触面積を完全に零とすることが困難であるうえ、リターン側ベルトとリターンローラーとの接触により生じる振動によって付着した被搬送物が落下することを抑えることが困難である。このため、同技術によっては、リターン側ベルトから付着した被搬送物が落下するのを完全に抑制することが困難であった。
【0010】
また、特許文献2の開示技術では、搬送ベルトを強制的に変形させることにより大きなひずみが加わることになるため、搬送ベルトの寿命の低下を招くことになる。また、リターン側ベルトからの付着した被搬送物の落下位置がリターンローラー直下である傾向があるため、被搬送物の落下を確実に防止するうえではリターン側ベルトのほぼ全長に亘る範囲で強制的に変形させる必要があり、設備コストの高騰を招く恐れが生じる。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、ベルトコンベア装置の搬送ベルトに付着した粉粒体のコンベアフレーム等に対する落下をより確実に防止することを可能とするベルトコンベア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記のベルトコンベア装置を発明した。
【0013】
第1発明に係るベルトコンベア装置は、所定区間に亘り粉粒体を搬送するためのベルトコンベア装置であって、前記粉粒体が載置される搬送面を上側に向けた状態のまま平面視において環状に敷設された搬送ベルトと、前記搬送ベルトのベルト長手方向に間隔を空けて設置され、当該搬送ベルトを下側から支持する複数の支持ローラーと、前記複数の支持ローラー上において前記搬送ベルトをベルト長手方向に走行させる駆動機構とを備え、前記搬送ベルトは、平面視において直線状に敷設された直線状部分と、平面視において曲線状に敷設された曲線状部分とを有し、ベルト長手方向の一部に亘る範囲においてベルト幅方向に高低差が設けられた案内部を有して、前記曲線状部分に設けられた前記案内部において、ベルト幅方向内周端又はベルト幅方向外周端が、前記直線状部分より高位置に配置されて、前記搬送面上の粉粒体がベルト幅方向の外側に案内されるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
発明に係るベルトコンベア装置は、第発明において、前記搬送ベルトは、前記曲線状部分において、ベルト幅方向内周端が通る軌道長さとベルト幅方向外周端が通る軌道長さとが略同一の長さとなるように敷設されていることを特徴とする。
【0016】
発明に係るベルトコンベア装置は、第1発明又は第2発明において、複数の骨組材がなす床構面上において前記複数の支持ローラーを支持するコンベアフレームを更に備え、前記コンベアフレームは、前記案内部での床構面の高さが他の部位での床構面の高さより低くなるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
発明に係るベルトコンベア装置は、第1発明〜第発明の何れかにおいて、前記駆動機構により前記搬送ベルトが走行しているときに、前記案内部において前記粉粒体を前記搬送面上の低位置に案内するガイド部材を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
第1発明〜第発明によれば、搬送ベルトが搬送面を上側に向けた状態のまま平面視において環状に敷設されているため、搬送ベルトの搬送面が上下反転することがなくなり、その結果、搬送ベルトの下面に粉粒体が付着した状態のまま搬送されるということがなくなることになる。このため、コンベアフレーム等に対する粉粒体の落下をより確実に防止することが可能となる。これにより、ベルトコンベア装置の設置箇所周りやコンベアフレームを対象とした粉粒体の堆積の有無の定期的な点検、除去や、コンベアフレームの補修、交換等の作業数、頻度を大幅に減らすことが可能となり、ベルトコンベア装置の維持管理に要する労力負担、コストの低減を図ることが可能となる。また、コンベアフレームに対する粉粒体の堆積頻度が大幅に低減し、コンベアフレームの寿命の増大を図ることが可能となる。また、搬送面上の粉粒体をベルト幅方向の外側に案内するための案内部が設けられているため、搬送ベルトが搬送面を上側に向けた状態のまま敷設されているにもかかわらず、粉粒体を搬送面の外側に案内して落下させることが可能となる。
【0019】
発明によれば、搬送ベルトの曲線状部分でのたわみを抑えつつ搬送ベルトを走行させることができ、搬送ベルトの寿命低下を防止することが可能となる。
【0020】
また、第発明によれば、案内部においてベルト幅方向に高低差を設けるうえで、ベルト幅方向の一端をより低位置に配置することができ、案内部の勾配を更に大きくすることによって粉粒体をより落下させ易くなるようにすることが可能となる。
【0021】
また、第発明によれば、ガイド部材があることにより、案内部において粉粒体をより落下させ易くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)は第1実施形態に係るベルトコンベア装置の構成を概略的に示す平面図であり、(b)はその正面図である。
図2】第1実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトの曲線状部分の構成を概略的に示す拡大平面図である。
図3】(a)は図2のA−A断面やB−B断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図であり、(b)は図2のC−C断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図であり、(c)は図2のD−D断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図である。
図4】(a)は図2のE−E断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図であり、(b)は図2のF−F断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図であり、(c)は図2のG−G断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図である。
図5】第1実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトの構成を概略的に示す斜視図である。
図6】第1実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトの動作を説明するための説明図である。
図7】(a)は第2実施形態に係るベルトコンベア装置の構成を概略的に示す平面図であり、(b)はその正面図である。
図8】第2実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトの曲線状部分の構成を概略的に示す拡大平面図である。
図9】(a)は図8のA´−A´断面やB´−B´断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図であり、(b)は図8のC´−C´断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図であり、(c)は図8のD´−D´断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図である。
図10】(a)は図8のE´−E´断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図であり、(b)は図8のF´−F´断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図であり、(c)は図8のG´−G´断面でのベルトコンベア装置の構成を示す断面図である。
図11】第2実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトの構成を概略的に示す斜視図である。
図12】第2実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトの動作を説明するための説明図である。
図13】(a)は第1実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトの直線状部分と曲線状部分との境界近傍にあるコンベアフレームの構成を概略的に示す斜視図であり、(b)は第2実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトの直線状部分と曲線状部分との境界近傍にあるコンベアフレームの構成を概略的に示す斜視図である。
図14】第3実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトの曲線状部分の構成を概略的に示す拡大平面図である。
図15】第3実施形態に係るベルトコンベア装置について搬送ベルトとガイド部材の構成を概略的に示す斜視図である。
図16】搬送ベルトの曲線状部分についての変形形態の構成を概略的に示す説明図である。
図17】従来のベルトコンベア装置の構成を示す正面図である。
図18】従来のベルトコンベア装置の構成を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を適用したベルトコンベア装置を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
まず、本発明に係るベルトコンベア装置の第1実施形態について説明する。
【0025】
本発明に係るベルトコンベア装置1は、図1(a)に示すように、所定区間3に亘り粉粒体2を搬送するために用いられる。この区間3においては、例えば、その区間3の始端側から粉粒体2が搬入され、その区間3の終端側から粉粒体2が搬出される。粉粒体2としては、鉱石、石炭、スラグ、石炭等の粉体又は粒体が挙げられるが、これらに限定するものではない。また、ここでいう粉粒体2は、粉体又は粒体の何れか一方又は両方からなるものである。
【0026】
第1実施形態に係るベルトコンベア装置1は、図1図6に示すように、搬送ベルト10と、複数の支持ローラー20と、駆動機構30と、コンベアフレーム40とを備えている。
【0027】
搬送ベルト10は、粉粒体2が載置される搬送面10aを上側に向けた状態のまま平面視において環状に敷設されている。搬送ベルト10は無端状に形成されている。搬送ベルト10は、公知のベルト用材料から構成され、例えば、ゴム等の弾性材料から構成される。
【0028】
搬送ベルト10は、第1実施形態において、平面視において直線状に敷設された直線状部分11と、平面視において曲線状に敷設された曲線状部分12とを有している。搬送ベルト10は、これら直線状部分11及び曲線状部分12を連続的に組み合わせることによって、平面視において環状に敷設される。第1実施形態においては、互いに平行に設けられた一対の直線状部分11と、これらの両端に設けられた半円弧曲線状の一対の曲線状部分12とを連続的に組み合わせることによって、平面視において環状に敷設されている。この一対の直線状部分11の一方は、所定区間3の始端側から終端側に搬送ベルト10を走行させる往路として用いられ、一対の直線状部分11の他方は、所定区間3の終端側から始端側に搬送ベルト10を走行させる復路として用いられる。搬送ベルト10は、平面視において環状をなすものであれば、その平面視での形状について図示のものに限定するものではなく、矩形状等の多角形状、不定形状等でもよい。
【0029】
複数の支持ローラー20は、搬送ベルト10のベルト長手方向に間隔を空けて設置され、搬送ベルト10を下側から支持している。支持ローラー20は、図3図4に示すように、コンベアフレーム40の複数の骨組材43がなす床構面44から立設されたブラケット45に対して回転自在に支持されている。第1実施形態に係る搬送ベルト10は、図3(a)に示すように、直線状部分11において、上側に開口した凹状をなすように、複数の支持ローラー20からなるローラーユニット21により下側から支持されている。これにより、直線状部分11において搬送される粉粒体2のベルト幅方向外側への流出を防止している
【0030】
駆動機構30は、複数の支持ローラー20上において搬送ベルト10をベルト長手方向に走行可能とするものである。駆動機構30は、図1(a)、図4(f)に示すように、第1実施形態において、複数の支持ローラー20のうちの一つから構成される駆動ローラー31と、その駆動ローラー31を回転駆動するモーター32とを有している。搬送ベルト10は、第1実施形態において、モーター32が駆動ローラー31を回転駆動し、駆動ローラー31の回転力が搬送ベルト10に伝達されることにより複数の支持ローラー20上を走行可能とされている。駆動ローラー31は、第1実施形態において、搬送ベルト10の曲線状部分12に設置された支持ローラー20から構成されている。
【0031】
コンベアフレーム40は、図1(b)、図3図4に示すように、複数の支持ローラー20及び搬送ベルト10を支持するものとして用いられる。コンベアフレーム40は、第1実施形態において、床面41から立設された柱材42により支持されている。コンベアフレーム40は、図3図4図13(a)に示すように、複数の骨組材43を組み合わせた骨組構造体として構築され、その複数の骨組材43がなす床構面44上に立設されたブラケット45を介して支持ローラー20を支持している。骨組材43としては、例えば、丸型鋼管、C形鋼、L形鋼、H形鋼等が用いられる。
【0032】
ここで、本発明に係る搬送ベルト10は、ベルト長手方向の一部に亘る範囲においてベルト幅方向に高低差が設けられた案内部13を有する。案内部13は、第1実施形態において、ベルト長手方向の一部に亘る範囲としての、搬送ベルト10の曲線状部分12に設けられている。この高低差は、搬送ベルト10を支持している複数の支持ローラー20を水平面に対して傾斜して配置することにより設けられる。また、第1実施形態において、案内部13は、ベルト長手方向の一方に向かうにつれて高低差が徐々に大きくなり、高低差が最大となった以降はベルト長手方向の一方に向かうにつれて高低差が徐々に小さくなるように設けられている。また、搬送ベルト10の案内部13を支持する複数の支持ローラー20も、案内部13の高低差と同様に、ベルト長手方向の一方に向かうにつれて傾斜角度が徐々に大きくなり、案内部13の高低差が最大となった以降は、ベルト長手方向の一方に向かうにつれて傾斜角度が徐々に小さくなるように設けられている。
【0033】
また、搬送ベルト10は、図6に示すように、この案内部13において搬送面10a上の粉粒体2がベルト幅方向の外側に案内されるように構成されている。具体的には、搬送ベルト10は、案内部13における搬送面10aの水平面に対する勾配が調整されている。これにより、案内部13の搬送面10a上において粉粒体を自重により低位置に案内し、ベルト幅方向の一端から外側に粉粒体2を落下させることが可能となる。なお、図6においては、説明のため、搬送ベルト10のベルト長手方向に一定間隔を空けた位置毎にベルト幅方向と平行な線を記載している。
【0034】
また、搬送ベルト10は、第1実施形態において、曲線状部分12において、ベルト幅方向内周端10bが通る軌道長さと、ベルト幅方向外周端10cが通る軌道長さとが略同一の長さとなるように敷設されている。このような条件を満足するようにするうえで、通常は、ベルト幅方向外周端10cが通る軌道の平面視での長さのほうが、ベルト幅方向内周端10bを通る軌道の平面視での長さよりも短くなる。このため、ベルト幅方向外周端10cを通る面に対してベルト幅方向内周端10bが上下方向の何れかに凸状となるように搬送ベルト10を敷設し、ベルト幅方向内周端10bの軌道長さが平面視での見かけ上の長さより大きくなるようにする必要がある。このような条件を満足するうえでは、搬送ベルト10の曲線状部分12での各位置での高さ、支持ローラー20の角度等が調整される。これにより、搬送ベルト10の曲線状部分12でのたわみを抑えつつ搬送ベルト10を走行させることができ、搬送ベルト10の寿命低下を防止することが可能となる。
【0035】
以上の第1実施形態によれば、搬送ベルト10が搬送面10aを上側に向けた状態のまま平面視において環状に敷設されているため、搬送ベルト10の搬送面10aが上下反転することがなくなり、その結果、搬送ベルト10の下面に粉粒体が付着した状態のまま搬送されるということがなくなることになる。このため、コンベアフレーム40等に対する粉粒体2の落下をより確実に防止することが可能となる。これにより、ベルトコンベア装置1の設置箇所周りやコンベアフレーム40を対象とした粉粒体2の堆積の有無の定期的な点検、除去や、コンベアフレーム40の補修、交換等の作業数、頻度を大幅に減らすことが可能となり、ベルトコンベア装置1の維持管理に要する労力負担、コストの低減を図ることが可能となる。また、これにより、コンベアフレーム40に対する粉粒体2の堆積頻度が大幅に低減し、コンベアフレーム40の寿命の増大を図ることが可能となる。
【0036】
また、搬送面10a上の粉粒体2をベルト幅方向の外側に案内するための案内部13が設けられているため、搬送ベルト10が搬送面10aを上側に向けた状態のまま敷設されているにもかかわらず、粉粒体2を搬送面10aの外側に案内して落下させることが可能となる。
【0037】
次に、本発明に係るベルトコンベア装置1の第2実施形態について説明する。なお、上述した構成要素と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより以下での説明を省略する。
【0038】
第2実施形態に係るベルトコンベア装置1は、図7図12図13(b)に示すように、主としてコンベアフレーム40の点で第1実施形態と相違している。第2実施形態に係るベルトコンベア装置1のコンベアフレーム40は、案内部13での床構面44の高さが他の部位での床構面44の高さより低くなるように構成されている。第2実施形態において、具体的には、コンベアフレーム40は、図13(b)に示すように、搬送ベルト10の案内部13が設けられている曲線状部分12での床構面44の高さが、搬送ベルト10の直線状部分11での床構面44の高さより低くなるように構成されている。
【0039】
これにより、案内部13においてベルト幅方向に高低差を設けるうえで、図9図10に示すように、ベルト幅方向の一端をより低位置に配置することができ、案内部13の勾配を更に大きくすることによって粉粒体2をより落下させ易くなるようにすることが可能となる。なお、図9図10においては、ベルト幅方向の外周端10がより低位置に配置することができる場合を例示している。
【0040】
次に、本発明に係るベルトコンベア装置1の第3実施形態について説明する。
【0041】
第3実施形態に係るベルトコンベア装置1は、図14図15に示すように、駆動機構30により搬送ベルト10が走行しているときに、案内部13において粉粒体2を搬送面10a上の低位置に案内するガイド部材50を更に備えている。ガイド部材50は、例えば、図示のようにベルト幅方向に長い板状部材や、搬送ベルト10の搬送面10aにほぼ全幅に亘る範囲で接触して粉粒体2を掻き上げるブラシ体等からなるものである。ガイド部材50は、コンベアフレーム40の骨組材43等に取り付けられる。
【0042】
このガイド部材50は、案内部13においてベルト幅方向に対して傾斜して設置されている。このガイド部材50のベルト幅方向に対する傾斜角度は、搬送ベルト10が走行しているときに、ベルト幅方向の高位置側の粉粒体2が先にガイド部材50に接触し、ベルト幅方向の低位置側の粉粒体2が後に接触するように調整されている。これにより、搬送ベルト10が走行しているときに、ベルト幅方向の高位置側でガイド部材50に接触した粉粒体2が、搬送ベルト10の走行に伴い方向Pに示すように低位置に案内され、最終的には、搬送ベルト10のベルト幅方向外側に案内されることになる。このようなガイド部材50があることにより、案内部13において粉粒体2をより落下させ易くすることが可能となる。
【0043】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0044】
例えば、上述の各実施形態においては、図6図12等に示すように、搬送ベルト10の曲線状部分12に設けられた案内部13について、ベルト幅方向内周端10bが高位置にあり、ベルト幅方向外周端10cが低位置にあるような高低差が設けられている場合を例示した。この場合、粉粒体2は案内部13において曲線状部分12の外周側から搬送ベルト10の外側に案内されることになる。これに対して、図16に示すように、搬送ベルト10の曲線状部分12に設けられた案内部13は、ベルト幅方向内周端10bが低位置にあり、ベルト幅方向外周端10cが高位置にあるような高低差が設けられていてもよい。この場合、粉粒体2は案内部13において曲線状部分12の内周側から搬送ベルト10の外側に案内されることになる。
【0045】
また、搬送ベルト10の案内部13に高低差を設けるうえでは、曲線状部分12の外周端10c又は内周端10bの何れか一方のみをベルト長手方向に向かうにつれて上昇又は下降させる手段がある。また、この他には、曲線状部分12の外周端10c又は内周端10bの何れか一方をベルト長手方向に向かうにつれて上昇又は下降させつつ、そのうちの他方をベルト長手方向に向かうにつれてその一方とは逆側に上昇又は下降させる手段がある。これらの手段のうち、案内部13の高低差を大きくするうえでは、後者の手段を採ることが望ましい。
【0046】
また、上述の各実施形態においては、搬送ベルト10の直線状部分11が水平面に対して略平行に設けられている場合を例示したが、直線状部分11が水平面に対して傾斜して設けられていてもよい。
【0047】
また、直線状部分11においては、搬送ベルト10の支持形態として、支持ローラー20により支持するローラー式の代わりに圧縮空気により支持する空気浮上式の支持形態を適用してもよい。
【0048】
また、駆動機構30は、上述の実施形態のものに限定されるものではない。駆動機構30は、例えば、搬送ベルト10の表面にベルト長手方向に一定間隔を空けて複数の突起を設け、その突起をラックとして突起間の隙間にピニオンを嵌合させ、ピニオンをモーター等により回転駆動することにより搬送ベルト10を走行させるものから構成されていてもよい。
【0049】
また、コンベアフレーム40は、搬送ベルト10及び複数の支持ローラー20を支持可能であれば、特にその具体的な構成について限定するものではない。コンベアフレーム40は、上述のような、複数の骨組材43を組み合わせた骨組構造体上において、搬送ベルト10及び複数の支持ローラー20を設置するトラスフレーム構造でもよいし、複数の骨組材43を組み合わせた骨組構造体の内部において、搬送ベルト10及び複数の支持ローラー20を設置するギャラリーフレーム構造でもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ベルトコンベア装置
2 粉粒体
10 搬送ベルト
10a 搬送面
10b 内周端
10c 外周端
11 直線状部分
12 曲線状部分
13 案内部
20 支持ローラー
30 駆動機構
40 コンベアフレーム
43 骨組材
44 床構面
50 ガイド部材
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