(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記試料ID記載機構制御部は、前記試料ID記載候補箇所中に面積閾値以上の欠陥箇所が1個も存在せず、かつ、前記試料ID記載候補箇所を占める全欠陥箇所の総面積が最も小さい試料ID記載候補箇所を選択することを特徴とする請求項3に記載の発光分析装置。
【背景技術】
【0002】
鉄鋼品種や非鉄品種の多様化や高品質化や製鋼加工技術の発展に伴い、鉄鋼(固体試料)や非鉄(固体試料)中に含まれる微量成分、特に窒素成分、酸素成分、硫黄成分、炭素成分等の量を厳密にコントロールすることが要求されてきており、鉄鋼材や非鉄金属材等の生産工場等での製鋼・精練工程において、鉄鋼や非鉄中に含まれる微量成分を定量することが重要になってきている。
このような製鋼・精練工程はオンライン操業であるため、定量結果が速やかに製鋼・精練工程にフィードバックされることが好ましい。
【0003】
そこで、近年、鉄鋼や非鉄中に含まれる多種類の微量成分の定量を迅速に行うことができる発光分光分析方法が広く利用されるようになってきている。
このような発光分光分析方法を利用するための発光分析装置では、採取した鉄鋼等の固体試料を切断、研磨した後、この固体試料の研磨面を分析面としてアーク放電したりスパーク放電したりすることにより発光させ、その発光光を分光器に導入して各元素に特有な波長を有するスペクトルを取り出して検出する。そして、そのスペクトルの強度から成分濃度(窒素成分、酸素成分、硫黄成分、炭素成分等の量)を算出している。
【0004】
しかし、製鋼・精練工程において採取された固体試料には欠陥が多く、固体試料の分析面中における分析箇所に欠陥が存在すると、正常な発光が起こらず、その結果、正確な分析結果を得ることができない。よって、従来の発光分析装置では、分析部での分析前に撮影部でCCDカメラ又はCMOSカメラによって固体試料の分析面を撮影し、その分析面画像の輝度に基づいて、分析面中における欠陥の位置(欠陥箇所)を判定することで、欠陥箇所を避けるように固体試料の分析面中における分析箇所を決定している(例えば、特許文献1参照)。
また、固体試料を正確に分析するため、通常、一個の固体試料の分析面中において複数(例えば、3個)の分析箇所で分析して、3個の分析箇所から得られた3個の分析結果を得ている。例えば、半径rの円形の分析面中における3個の分析箇所は、分析面の中心を中心とした半径r/2の円周上に、欠陥箇所を避けるように配列されている。
【0005】
ところで、分析が終了した固体試料は一定期間保管する必要があり、分析後の固体試料の分析面中に試料ID情報が印字されている。このとき、分析後に固体試料の分析面中に試料ID情報が自動的に印字されるように、固体試料を保持するロボットアーム(搬送機構)で試料ID印字機構(試料ID記載機構)の設定位置に移送し、試料ID印字機構で固体試料の分析面中における中心領域に試料ID情報が印字されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、固体試料の分析面中における中心領域に欠陥が存在すると、試料ID情報がきちんと印字されず、その結果、複数の固体試料を保管した場合、固体試料を識別することができないことがあった。
そこで、本発明は、欠陥箇所を避けるように試料ID情報を印字したり刻印したりすることができる発光分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の発光分析装置は、固体試料の分析面中における分析箇所を示す分析箇所データを記憶する分析箇所データ記憶部と、前記固体試料の分析面中における分析箇所と、当該分析箇所に対向配置された電極との間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析する分析部と、前記固体試料の分析面中における分析箇所から得られた分析結果を分析結果記憶部に記憶させる分析制御部と、前記分析面を撮影する撮影部と、前記撮影部から分析面画像を取得する撮影制御部と、前記固体試料を保持して、前記分析部と前記撮影部との間で固体試料を移動させる搬送機構と、前記搬送機構を制御する搬送制御部とを備える発光分析装置であって、前記分析面に試料ID情報を印字又は刻印する試料ID記載機構と、前記分析面画像に基づいて、前記分析面中における欠陥箇所を検出することにより、当該欠陥箇所を避けるように固体試料の分析面中における試料ID記載箇所を決定して、前記試料ID記載機構で試料ID記載箇所に試料ID情報を印字又は刻印させる試料ID記載機構制御部とを備えるようにしている。
【0009】
ここで、「試料ID情報」とは、識別するための情報であり、例えば、複数の固体試料を分析した順番に関する情報や、日付に関する情報等が挙げられる。
本発明の発光分析装置によれば、分析制御部は、固体試料の分析面中における分析箇所を分析することにより、固体試料の分析面中における分析箇所から得られた分析結果を分析結果記憶部に記憶させる。また、撮影制御部は、撮影部で分析面を撮影させることにより、分析面画像を取得する。
そして、固体試料を分析した後に、試料ID記載機構制御部は、分析面画像に基づいて、分析面中における欠陥箇所を検出することにより、欠陥箇所を避けるように固体試料の分析面中における試料ID記載箇所を決定して、試料ID記載機構で試料ID記載箇所に試料ID情報を印字したり刻印したりさせる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明の発光分析装置によれば、欠陥箇所を避けるように試料ID情報を印字したり刻印したりすることができる。
【0011】
(他の課題を解決するための手段及び効果)
また、本発明の発光分析装置において、
前記分析面画像に基づいて、前記分析面中における欠陥箇所を検出することにより、当該欠陥箇所を避けるように固体試料の分析面中における分析箇所を決定する
分析箇所抽出処理部を備えるようにしてもよい。
本発明の発光分析装置によれば、試料ID記載箇所を決定する際に、固体試料の分析面中における分析箇所を決定したときに取得した分析面画像を利用することができる。
【0012】
そして、本発明の発光分析装置において、前記固体試料の分析面中における複数の試料ID記載候補箇所を示す試料ID記載候補箇所データを記憶する試料ID記載候補箇所データ記憶部を備え、前記試料ID記載機構制御部は、前記欠陥箇所を避けるように、複数の試料ID記載候補箇所から、前記欠陥箇所を最も避ける一の試料ID記載候補箇所を選択するようにしてもよい。
さらに、本発明の発光分析装置において、前記試料ID記載機構制御部は、前記試料ID記載候補箇所中に面積閾値以上の欠陥箇所が1個も存在せず、かつ、前記試料ID記載候補箇所を占める全欠陥箇所の総面積が最も小さい試料ID記載候補箇所を選択するようにしてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれることはいうまでもない。
【0015】
図1は、実施形態に係る発光分析装置の概略構成図である。発光分析装置1は、スペクトルを分析する分析部2と、固体試料6’の分析面6a’を撮影するCCDカメラ12を備えた撮影部10と、固体試料6’’の分析面6a’’に試料ID情報を印字する試料ID印字機構(試料ID記載機構)60と、固体試料6を保持しながら移送するためのロボットアーム(搬送機構)4と、発光分析装置1全体の制御を行うコンピュータ20とにより構成される。
なお、固体試料6(6’,6’’)は、鉄鋼材や非鉄金属材等の生産工場等での製鋼・精練工程において、オンライン操業で次々と採取されるものであり、その形状は、半径rの円形の上面と底面とを有する円柱形状である。そして、発光分析装置1の分析部2では、底面を分析面6aとして、スパーク放電することにより発光させ、その発光光を分光器2dに導入して各元素に特有な波長を有するスペクトルを取り出して検出する。また、半径rの円形の底面の分析面6a中における3個の分析箇所(第一の分析箇所、第二の分析箇所、第三の分析箇所)は、分析面6aの中心を中心とした半径r/2の円周上に、欠陥箇所を避けるように配列されるようになっている(
図2参照)。
【0016】
ロボットアーム4は、固体試料6を保持しながら移送するものである。ロボットアーム4には、座標系が設定されており、コンピュータ20は、ロボットアーム4が固体試料6を保持したときには、ロボットアーム4に対する固体試料6の位置を正確に把握することができるようになっている。
また、ロボットアーム4は、固体試料6を保持したまま、コンピュータ20からの制御信号により動作可能となっている。コンピュータ20は、出力した制御信号に基づいて、発光分析装置1に対するロボットアーム4の位置を把握することができるようになっている。
【0017】
これにより、ロボットアーム4は、分析部2では、固体試料6の分析面6aに対向配置される電極2aの位置が変化するように固体試料6を移送することで、固体試料6の分析面6a中における第一の分析箇所から第二の分析箇所に変更したり、固体試料6を撮影部10の設定位置へ移送することで、固体試料6の分析面6a全面を撮影したり、固体試料6の分析面6aの所定の領域が試料ID印字部60aに対向配置されるように固体試料6を試料ID印字機構60へ移送したりすることができるようになっている。
【0018】
撮影部10は、撮影の妨害となる外光を避ける遮蔽カバー8を備え、遮蔽カバー8の内部に、横向きに設置されたCCDカメラ12と、上向きに設置された照明ランプ14と、撮影方向と同軸方向から分析面6aを照明ランプ14で照明するためのハーフミラー16とを備える。そして、遮蔽カバー8の下面には、ロボットアーム4を挿入するための開口部8aが形成されている。
これにより、遮蔽カバー8の開口部8aからロボットアーム4’によって固体試料6’の分析面6a’が垂直に起立した状態となるように挿入されて、撮影部10の設定位置に配置されると、固体試料6’の分析面6a’全面が、照明ランプ14で照明されて、CCDカメラ12で撮影されるようになっている。そして、CCDカメラ12で撮影された画像データ(分析面画像)がコンピュータ20に出力される。
【0019】
分析部2は、分光スタンド2bを備え、分光スタンド2bの内部に、上向きに設置された対向電極2aと、発光光が導入される分光器2dとを備える。そして、分光スタンド2bの上面には、対向電極2aと対向する位置に円形状の開孔2cが形成されている。
これにより、ロボットアーム4によって固体試料6の分析面6aの分析箇所が、分光スタンド2bの開孔2cを塞ぐように当接されて、分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うと、その発光光を分光器2dに導入して各元素に特有な波長を有するスペクトルを取り出して検出するようになっている。そして、分光器2dで得られた検出信号(分析結果)がコンピュータ20に出力される。
また、ロボットアーム4によって、分光スタンド2bの開孔2cに当接される固体試料6の分析面6aの位置を変化させることで、固体試料6の分析面6a中における分析箇所を順番に変更することができ、その結果、一個の固体試料6の分析面6a中において3個の分析箇所で分析すれば、3個の分析結果(第一の分析結果、第二の分析結果、第三の分析結果)がコンピュータ20に順番に出力される。
【0020】
試料ID印字機構60は、所定の長方形領域に試料ID情報(例えば、「ABCD1234」の横方向に並ぶ8文字等)を印字する試料ID印字部60aを備える。
これにより、ロボットアーム4’’によって固体試料6’’の分析面6a’’における試料ID記載箇所が所定の長方形領域と一致するように配置されると、固体試料6’’の分析面6a’’における試料ID記載箇所に試料ID情報が印字されるようになっている。
また、ロボットアーム4によって、所定の長方形領域に配置される固体試料6の分析面6aの位置を変化させることで、固体試料6の分析面6a中における試料ID記載箇所の位置を変更することができ、その結果、詳細は後述するが、一個の固体試料6の分析面6a中において最適な試料ID記載箇所が所定の長方形領域と一致するように配置されると、固体試料6’’の分析面6a’’における最適な試料ID記載箇所に試料ID情報が印字されるようになっている。
【0021】
コンピュータ20においては、CPU21やメモリ22を備え、さらにモニタ画面等を有する表示装置31と、キーボードやマウス等を有する入力装置30とが連結されている。
また、CPU(制御部)21が処理する機能をブロック化して説明すると、ロボットアーム4を制御する搬送制御部23と、撮影部10を制御する撮影制御部24と、分析部2を制御する分析制御部25と、分析面画像と抽出アルゴリズム(後述する)とに基づいて欠陥箇所を回避するように固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所を抽出する分析箇所抽出処理部26と、分析面画像と選択アルゴリズム(後述する)とに基づいて欠陥箇所を回避するように固体試料6の分析面6a中における試料ID記載箇所を決定して試料ID印字機構60で試料ID記載箇所に試料ID情報を印字させる試料ID印字機構制御部(試料ID記載機構制御部)27とを有する。
【0022】
さらに、メモリ22は、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所を抽出するための抽出アルゴリズム(抽出情報と輝度閾値T
1)を記憶する抽出情報記憶領域51と、分析面画像を記憶するための画像データ記憶領域52と、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所と分析順とを示す分析箇所データを記憶するための分析箇所データ記憶領域53と、分析結果を記憶するための分析結果記憶領域54と、固体試料6の分析面6a中における試料ID記載箇所を決定するための選択アルゴリズム(選択情報と輝度閾値T
1と面積閾値D
1)を記憶する試料ID記載候補箇所データ記憶領域55とを有する。
【0023】
撮影制御部24は、ロボットアーム4’によって固体試料6’が撮影部10の設定位置に配置されると、固体試料6’の分析面6a’を照明ランプ14で照明して、CCDカメラ12で撮影するように、撮影部10を制御することにより、CCDカメラ12で撮影された分析面画像を読み込み、分析面画像を画像データ記憶領域52に記憶させる制御を行う。
【0024】
分析箇所抽出処理部26は、画像データ記憶領域52に記憶された分析面画像と、抽出情報記憶領域51に記憶された抽出アルゴリズムとに基づいて、欠陥箇所を回避するように固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所を抽出して、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所と分析順とを示す分析箇所データを分析箇所データ記憶領域53に記憶させる制御を行う。
ここで、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所を抽出するための抽出アルゴリズムの一例について説明する。
図2は、抽出アルゴリズムの一例について説明するための図である。
【0025】
図2(a)に示すように、分析面画像の中心を中心とした円周41上で適宜に決めた基準位置(これを角度0°とする)に円形の第一の分析箇所候補42aを設定し、その位置から所定方向に所定角度(例えば、反時計回り方向に90°)だけ離れた位置に、円形の第二の分析箇所候補42bを設定し、さらに第二の分析箇所候補42bから同様に所定角度だけ離れた位置に、円形の第三の分析箇所候補42cを設定する。ところで、上述したように分析箇所に欠陥が存在すると、正常な発光が起こらず、その結果、正確な分析結果を得ることができないので、
図2(b)に示すように、第nの分析箇所候補の一部に欠陥43が存在すると判定した場合には、第nの分析箇所候補を飛ばして次に所定角度だけ離れた位置に、新たな第nの分析箇所候補を設定する。このとき、分析箇所候補に欠陥43が存在するか否かの判定は、分析面画像中の分析箇所候補の輝度と輝度閾値T
1とを比較することにより、分析箇所候補の全部の領域の輝度が輝度閾値T
1以上であるときには、分析箇所候補に欠陥が存在しないとされ、一方、分析箇所候補の一部の領域の輝度が輝度閾値T
1未満であるときには、分析箇所候補に欠陥が存在するように実行される。
このように欠陥箇所を回避するように分析面画像中における3個の分析箇所候補42a、42b、42cを抽出したときには、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所と分析順とを示す分析箇所データを分析箇所データ記憶領域53に記憶させる。
【0026】
分析制御部25は、ロボットアーム4によって固体試料6が分析部2の設定位置に配置されると、固体試料6の分析面6a中における第nの分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析するように、分析部2を制御することにより、第nの分析結果を分析結果記憶領域54に記憶させる制御を行う。
具体的には、発光分析装置1では、まず、ロボットアーム4によって分析箇所データに基づいて、固体試料6の分析面6a中における第一の分析箇所で分析するように、固体試料6が分析部2の設定位置に配置されると、固体試料6の分析面6a中における第一の分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析するように、分析部2を制御する。そして、分光器2dで得られた第一の分析結果を分析結果記憶領域54に記憶させる。
【0027】
次に、ロボットアーム4によって分析箇所データに基づいて、固体試料6の分析面6a中における第二の分析箇所で分析するように、固体試料6が分析部2の設定位置に配置されると、固体試料6の分析面6a中における第二の分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析するように、分析部2を制御する。そして、分光器2dで得られた第二の分析結果を分析結果記憶領域54に記憶させる。
最後に、ロボットアーム4によって分析箇所データに基づいて、固体試料6の分析面6a中における第三の分析箇所で分析するように、固体試料6が分析部2の設定位置に配置されると、固体試料6の分析面6a中における第三の分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析するように、分析部2を制御する。そして、分光器2dで得られた第三の分析結果を分析結果記憶領域54に記憶させる。
【0028】
試料ID印字機構制御部27は、画像データ記憶領域52に記憶された分析面画像と、試料ID記載候補箇所データ記憶領域55に記憶された選択アルゴリズムとに基づいて、欠陥箇所を回避するように固体試料6の分析面6a中における試料ID記載箇所を決定して、試料ID印字機構60で試料ID記載箇所に試料ID情報を印字させる制御を行う。
ここで、固体試料6の分析面6a中における試料ID記載箇所を決定するための選択アルゴリズムの一例について説明する。
図3は、選択アルゴリズムの一例について説明するための図である。
【0029】
図3(a)に示すように、分析面画像中に、試料ID印字機構60が印字する長方形領域に対応する大きさの長方形領域となる第一の試料ID記載候補箇所44aを設定し、第一の試料ID記載候補箇所44aから所定方向に所定距離だけ離れた位置に、長方形領域となる第二の試料ID記載候補箇所44bを設定し、さらに第二の試料ID記載候補箇所42bから同様に順に所定方向に所定距離だけ離れた位置に、第三〜第六の試料ID記載候補箇所44c〜44fを設定する。ところで、上述したように試料ID記載箇所に欠陥43a〜43cが存在すると、正常に試料ID情報が印字されない。よって、第一〜第六の試料ID記載候補箇所44a〜44fの中から、欠陥43a〜43cが存在しない一個の試料ID記載候補箇所を選択する。このとき、試料ID記載候補箇所44a〜44fに欠陥43a〜43cが存在するか否かの判定は、分析面画像中の試料ID記載候補箇所44a〜44fの輝度と輝度閾値T
1とを比較する。そして、試料ID記載候補箇所中に面積閾値D
1以上の欠陥箇所43aが1個も存在せず、かつ、試料ID記載候補箇所を占める全欠陥箇所の総面積が最も小さい試料ID記載候補箇所を選択する。その結果、第五の試料ID記載候補箇所44eと第六の試料ID記載候補箇所44fとが候補に挙がるが、この場合、試料の中心近くに記載するため記載候補箇所数の1/2に最も近い数値である第五の試料ID記載候補箇所44eを選択する。
そして、ロボットアーム4によって選択された第五の試料ID記載候補箇所44eを、試料ID印字機構60の所定の長方形領域と一致するように配置させて、
図3(b)に示すように、第五の試料ID記載候補箇所44eに試料ID印字機構60で試料ID情報「ABCD1234」を印字させる。
【0030】
次に、発光分析装置1により、固体試料6を分析する分析方法について説明する。
図4は、発光分析装置1による分析方法について説明するためのフローチャートである。
まず、ステップS101の処理において、使用者はロボットアーム4に固体試料6を設置する。
次に、ステップS102の処理において、ロボットアーム4は、固体試料6を撮影部10の設定位置に配置する。
【0031】
次に、ステップS103の処理において、撮影制御部24は、固体試料6’の分析面6a’を照明ランプ14で照明して、CCDカメラ12で撮影するように、撮影部10を制御することにより、CCDカメラ12で撮影された分析面画像を読み込み、分析面画像を画像データ記憶領域52に記憶させる。
次に、ステップS104の処理において、分析箇所抽出処理部26は、画像データ記憶領域52に記憶された分析面画像と、抽出情報記憶領域51に記憶された抽出アルゴリズムとに基づいて、欠陥箇所を回避するように固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所を抽出して、固体試料6の分析面6a中における3個の分析箇所と分析順とを示す分析箇所データを分析箇所データ記憶領域53に記憶させる。
次に、ステップS105の処理において、分析箇所の分析順パラメータをn=1とする。
【0032】
次に、ステップS106の処理において、ロボットアーム4は、固体試料6の分析面6a中における第nの分析箇所で分析するように、固体試料6を分析部2の設定位置に配置する。
次に、ステップS107の処理において、分析制御部25は、固体試料6の分析面6a中における第nの分析箇所と対向電極2aとの間で放電を行うことにより発生したスペクトルを分析するように、分析部2を制御することにより、第nの分析結果を分析結果記憶領域54に記憶させる。
【0033】
次に、ステップS108の処理において、n=3であるか否かを判定する。n=3でないと判定したときには、ステップS109の処理において、n=n+1とし、ステップS106の処理に戻る。
一方、n=3であると判定したときには、ステップS110の処理において、試料ID印字機構制御部27は、画像データ記憶領域52に記憶された分析面画像と、試料ID記載候補箇所データ記憶領域55に記憶された選択アルゴリズムとに基づいて、欠陥箇所を回避するように固体試料6の分析面6a中における試料ID記載箇所を決定する。
【0034】
次に、ステップS111の処理において、ロボットアーム4は、選択された試料ID記載候補箇所を、試料ID印字機構60の所定の長方形領域と一致するように配置する。
次に、ステップS112の処理において、試料ID印字機構60は、所定の長方形領域に試料ID情報を印字する。
次に、ステップS113の処理において、使用者はロボットアーム4から固体試料6を取り除く。そして、ステップS113の処理を終了したときには、本フローチャートを終了させる。
【0035】
以上のように、本発明の発光分析装置1によれば、欠陥箇所43を避けるように試料ID情報を印字することができる。
【0036】
(他の実施形態)
(1)上述した実施形態では、CCDカメラ12で撮影する構成としたが、CMOSカメラで撮影するような構成としてもよい。
(2)上述した実施形態では、撮影部10において照明ランプ14とハーフミラー16とを備える構成としたが、分析面を照明ランプで照明することができればよく、例えば、CCDカメラを中心としたドーナツ状の照明ランプを備えたり、ドーム状の照明ランプを備えたりするような構成としてもよい。
【0037】
(3)上述した実施形態では、所定の長方形領域に試料ID情報を印字する試料ID印字機構60を備える構成としたが、所定の長方形領域に試料ID情報を刻印する試料ID刻印機構を備えたりするような構成としてもよい。
(4)上述した実施形態では、試料ID印字機構制御部27は、分析をする前に取得した分析面画像を用いる構成としたが、分析した後に取得した分析面画像を用いるような構成としてもよい。
(5)上述した実施形態では、試料ID印字機構制御部27は、試料ID記載候補箇所中に面積閾値D
1以上の欠陥箇所43aが1個も存在せず、かつ、試料ID記載候補箇所を占める全欠陥箇所の総面積が最も小さい試料ID記載候補箇所を選択する構成としたが、試料ID記載候補箇所を占める全欠陥箇所の総面積が最も小さい試料ID記載候補箇所を選択したり、試料ID記載候補箇所中に面積閾値D
1以上の欠陥箇所43aが1個も存在しない試料ID記載候補箇所を選択したりするような構成としてもよい。