特許第5776588号(P5776588)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776588
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20150820BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20150820BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20150820BHJP
【FI】
   H01L25/04 C
   H02M7/48 Z
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-40661(P2012-40661)
(22)【出願日】2012年2月27日
(65)【公開番号】特開2013-175682(P2013-175682A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年5月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】増谷 宗彦
(72)【発明者】
【氏名】東元 繁和
【審査官】 小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−235589(JP,A)
【文献】 特開2007−067220(JP,A)
【文献】 特開2007−067084(JP,A)
【文献】 特開2005−348529(JP,A)
【文献】 特開2011−077464(JP,A)
【文献】 特開2004−040877(JP,A)
【文献】 特開2009−071064(JP,A)
【文献】 特開2006−040926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 25/18
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極ブロックと、
前記第1の電極ブロックに対向するように設けられた共通電極ブロックと、
前記第1の電極ブロックの側面と前記共通電極ブロックの側面との間に配置され、前記第1の電極ブロックと前記共通電極ブロックに接合された第1の半導体素子と、
前記共通電極ブロックに対向するように設けられた第2の電極ブロックと、
前記共通電極ブロックの側面と前記第2の電極ブロックの側面との間に配置され、前記共通電極ブロックと前記第2の電極ブロックに接合された第2の半導体素子と、
を備えた半導体装置において、
前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドが前記共通電極ブロックと対向しない位置になるように前記第1の電極ブロックと前記共通電極ブロックとをオフセットして配置し、該配置によって前記共通電極ブロックと対向しなくなった前記第1の電極ブロックの位置では、前記電極パッドのみが前記第1の半導体素子に接続されており、
前記第1の電極ブロック、前記共通電極ブロックおよび前記第2の電極ブロックは、放熱部材に固定されており、
前記第1の電極ブロック、前記共通電極ブロックおよび前記第2の電極ブロックのそれぞれにおいて、前記側面は前記放熱部材への固定面から立設する面であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2の半導体素子の信号線用の電極パッドが前記第2の電極ブロックと対向しない位置になるように前記共通電極ブロックと前記第2の電極ブロックとをオフセットして配置したことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の半導体素子の信号線用の配線材を樹脂でモールドした第1の半導体素子用の配線ブロックを備え、当該第1の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の半導体素子の信号線用の配線材を樹脂でモールドした第2の半導体素子用の配線ブロックを備え、当該第2の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と前記第2の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の電極ブロックの前記共通電極ブロックに対するオフセット方向側に、前記第1の半導体素子の信号線用の配線材を樹脂でモールドした第1の半導体素子用の配線ブロックを備え、当該第1の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続され、
前記共通電極ブロックの前記オフセット方向側であって前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドと対向する位置に、前記第2の半導体素子の信号線用の配線材を樹脂でモールドした第2の半導体素子用の配線ブロックを備え、当該第2の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と前記第2の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続されており、
前記第2の半導体素子用の配線ブロックは、前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドに対する部位に開口する凹部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において電力半導体素子が開示されている。詳しくは、放熱部の上に正側導体と第1の導体とが対向するように設けられ、その間に第1の半導体チップが接合されている。放熱部の上に負側導体と第2の導体とが対向するように設けられ、その間に第2の半導体チップが接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−67220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、トランジスタ等の能動素子においては制御端子を有しており、制御端子に対する信号線の取り出しが必要となってくる。
本発明の目的は、信号線を容易に取り出すことができる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明では、第1の電極ブロックと、前記第1の電極ブロックに対向するように設けられた共通電極ブロックと、前記第1の電極ブロックの側面と前記共通電極ブロックの側面との間に配置され、前記第1の電極ブロックと前記共通電極ブロックに接合された第1の半導体素子と、前記共通電極ブロックに対向するように設けられた第2の電極ブロックと、前記共通電極ブロックの側面と前記第2の電極ブロックの側面との間に配置され、前記共通電極ブロックと前記第2の電極ブロックに接合された第2の半導体素子と、を備えた半導体装置において、前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドが前記共通電極ブロックと対向しない位置になるように前記第1の電極ブロックと前記共通電極ブロックとをオフセットして配置し、該配置によって前記共通電極ブロックと対向しなくなった前記第1の電極ブロックの位置では、前記電極パッドのみが前記第1の半導体素子に接続されており、前記第1の電極ブロック、前記共通電極ブロックおよび前記第2の電極ブロックは、放熱部材に固定されており、前記第1の電極ブロック、前記共通電極ブロックおよび前記第2の電極ブロックのそれぞれにおいて、前記側面は前記放熱部材への固定面から立設する面であることを要旨とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、第1の半導体素子の信号線用の電極パッドが共通電極ブロックと対向しない位置になるように第1の電極ブロックと共通電極ブロックとがオフセットして配置されているので、信号線を容易に取り出すことができる。また、第1の電極ブロック、共通電極ブロックおよび第2の電極ブロックを介して放熱部材により放熱することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の半導体装置において、前記第2の半導体素子の信号線用の電極パッドが前記第2の電極ブロックと対向しない位置になるように前記共通電極ブロックと前記第2の電極ブロックとをオフセットして配置したことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、第2の半導体素子の信号線用の電極パッドが第2の電極ブロックと対向しない位置になるように共通電極ブロックと第2の電極ブロックとがオフセットして配置されているので、信号線を容易に取り出すことができる。
【0010】
求項に記載の発明では、請求項1又は2に記載の半導体装置において、前記第1の半導体素子の信号線用の配線材を樹脂でモールドした第1の半導体素子用の配線ブロックを備え、当該第1の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続されていることを要旨とする。
【0011】
請求項に記載の発明によれば、第1の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と第1の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続され、容易に信号線を引き出すことができる。
【0012】
請求項に記載の発明では、請求項1〜のいずれか1項に記載の半導体装置において、前記第2の半導体素子の信号線用の配線材を樹脂でモールドした第2の半導体素子用の配線ブロックを備え、当該第2の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と前記第2の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続されていることを要旨とする。
【0013】
請求項に記載の発明によれば、第2の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と第2の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続され、容易に信号線を引き出すことができる。
【0014】
請求項に記載の発明では、請求項1又は2に記載の半導体装置において、前記第1の電極ブロックの前記共通電極ブロックに対するオフセット方向側に、前記第1の半導体素子の信号線用の配線材を樹脂でモールドした第1の半導体素子用の配線ブロックを備え、当該第1の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続され、前記共通電極ブロックの前記オフセット方向側であって前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドと対向する位置に、前記第2の半導体素子の信号線用の配線材を樹脂でモールドした第2の半導体素子用の配線ブロックを備え、当該第2の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と前記第2の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続されており、前記第2の半導体素子用の配線ブロックは、前記第1の半導体素子の信号線用の電極パッドに対する部位に開口する凹部を有することを要旨とする。
【0015】
請求項に記載の発明によれば、第2の半導体素子用の配線ブロックにおける凹部により第1の半導体素子の信号線用の電極パッドから容易に信号線を引き出すことができる。
また、第1の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と第1の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続され、容易に信号線を引き出すことができる。第2の半導体素子用の配線ブロックの信号線用の配線材と第2の半導体素子の信号線用の電極パッドが電気的に接続され、容易に信号線を引き出すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、信号線を容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】(a)は実施形態における半導体装置の平面図、(b)は半導体装置の正面図、(c)は半導体装置の右側面図。
図2】半導体装置の斜視図。
図3】半導体装置における要部を示す斜視図。
図4】半導体装置の電気回路図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
なお、図面において、水平面を、直交するX,Y方向で規定するとともに、上下方向をZ方向で規定している。
【0019】
図1に示す半導体装置10は、図4に示すインバータにおける上下のアーム100,101を構成している。他の上下のアーム102,103および、上下のアーム104,105についても図1に示す半導体装置10と同様に構成されている。
【0020】
図4において、インバータは、U相用の上下のアーム100,101と、V相用の上下のアーム102,103と、W相用の上下のアーム104,105とを備えている。各アーム100,101,102,103,104,105は、並列接続したIGBTとダイオードにより構成されている。IGBTは制御端子としてのゲート端子(ゲート電極)を有している。
【0021】
図1,2に示すように、半導体装置10は、放熱部材としての放熱板20と、銅製の第1の電極ブロック30と、銅製の共通電極ブロック40と、銅製の第2の電極ブロック50と、ゲート配線ブロック60と、ゲート配線ブロック70を備えている。さらに、半導体装置10は、上アーム100を構成するトランジスタチップ80およびダイオードチップ81と、下アーム101を構成するトランジスタチップ90およびダイオードチップ91を備えている。
【0022】
第1の電極ブロック30と共通電極ブロック40と第2の電極ブロック50とは、導電体よりなり、断面長方形の四角柱状をなし、4つの側面を有している。3つの電極ブロック30,40,50は断面の形状および断面の寸法が同一となっている。
【0023】
放熱板20の上面には第1の電極ブロック30の一側面(下面)と、共通電極ブロック40の一側面(下面)と、第2の電極ブロック50の一側面(下面)が絶縁層を介して固定されている。第1の電極ブロック30と共通電極ブロック40と第2の電極ブロック50とは並設されている。つまり、四角棒状をなす第1の電極ブロック30はX方向に延びるように配置され、この第1の電極ブロック30に対しY方向に離間した位置において、四角棒状をなす共通電極ブロック40がX方向に延びるように配置されている。この共通電極ブロック40に対しY方向に離間した位置において、四角棒状をなす第2の電極ブロック50がX方向に延びるように配置されている。
【0024】
また、第1の電極ブロック30の立側面(立設面)31と、共通電極ブロック40の立側面(立設面)41とが対向し、この間に上アーム100用のトランジスタチップ80とダイオードチップ81が配置されている。
【0025】
第1の電極ブロック30の立側面31には上アーム100用のトランジスタチップ80のコレクタおよびダイオードチップ81のカソードがはんだ付け等により接合されている。また、共通電極ブロック40の立側面41には上アーム100用のトランジスタチップ80のエミッタおよびダイオードチップ81のアノードが導電性接着剤等で接合されている。
【0026】
共通電極ブロック40の立側面(立設面)42と第2の電極ブロック50の立側面(立設面)51とが対向し、この間に下アーム101用のトランジスタチップ90とダイオードチップ91が配置されている。
【0027】
共通電極ブロック40の立側面42には下アーム101用のトランジスタチップ90のコレクタおよびダイオードチップ91のカソードがはんだ付け等により接合されている。第2の電極ブロック50の立側面51には下アーム101用のトランジスタチップ90のエミッタおよびダイオードチップ91のアノードが導電性接着剤等で接合されている。
【0028】
並設された3つの電極ブロック30,40,50について、左側の端面はY方向において面一となっている(揃えられている)。3つの電極ブロック30,40,50は長さが異なり、電極ブロック50が最も短く、次に電極ブロック40が長く、次に電極ブロック30が長い。
【0029】
図3に示すように、上アーム100用のトランジスタチップ80におけるゲートパッド(ゲート電極)85は共通電極ブロック40の右端面から出た位置に設けられている。つまり、信号線が出る部分はオフセットして配置され、共通電極ブロック40が信号線の部分に覆いかぶさらないようにずれている。このようにして、トランジスタチップ80の信号線用の電極パッドとしてのゲートパッド85が共通電極ブロック40と対向しない位置になるように第1の電極ブロック30と共通電極ブロック40とがオフセットして配置されている。
【0030】
第1の電極ブロック30の右端面にはゲート配線ブロック60が配置されている。ゲート配線ブロック60は、ゲート配線材61を樹脂62で封止することにより構成したものであり、直方体をなしている。このように、第1の半導体素子の信号線用の配線材61を樹脂62でモールドした第1の半導体素子用の配線ブロックとしてのゲート配線ブロック60を備えている。
【0031】
このゲート配線ブロック60は放熱板20に固定されている。ゲート配線材61の一端のパッド61aは樹脂製直方体の一側面に露出している。ゲート配線材61の他端側は樹脂製直方体の上面から3本に分岐して突出し、上方に延びている。信号線引出用ゲートパッド61aはトランジスタチップ80のゲートパッド(素子側ゲートパッド)85と接近して位置している。
【0032】
上アーム100用のトランジスタチップ80におけるゲートパッド85とゲート配線ブロック60のゲート配線材61のパッド61aとはワイヤW1によりボンディングされている。そして、トランジスタチップ80のゲートはワイヤW1を介してゲート配線ブロック60のゲート配線材61に接続され、ゲート配線材61により上方に延設されている。このように、ゲート配線ブロック60の配線材61とゲートパッド85が電気的に接続されている。
【0033】
図3に示すように、下アーム101用のトランジスタチップ90におけるゲートパッド(ゲート電極)95は第2の電極ブロック50の右端面から出た位置に設けられている。つまり、信号線が出る部分はオフセットして配置され、第2の電極ブロック50が信号線の部分に覆いかぶさらないようにずれている。このようにして、第2の半導体素子の信号線用の電極パッドとしてのゲートパッド95が第2の電極ブロック50と対向しない位置になるように共通電極ブロック40と第2の電極ブロック50とがオフセットして配置されている。
【0034】
図2に示すように、共通電極ブロック40の右端面にはゲート配線ブロック70が配置されている。ゲート配線ブロック70は、ゲート配線材71を樹脂72で封止することにより構成したものであり、直方体をなしている。このように、第2の半導体素子の信号線用の配線材71を樹脂72でモールドした第2の半導体素子用の配線ブロックとしてのゲート配線ブロック70を備えている。
【0035】
このゲート配線ブロック70は放熱板20に固定されている。ゲート配線材71の一端のパッド71aは樹脂製直方体の一側面に露出している。ゲート配線材71の他端側は樹脂製直方体の上面から3本に分岐して突出し、上方に延びている。信号線引出用ゲートパッド71aはトランジスタチップ90のゲートパッド(素子側ゲートパッド)95と接近して位置している。
【0036】
また、ゲート配線ブロック70におけるブロック30,60と対向する面には凹部75(図1参照)が形成され、この凹部75の内部にワイヤW1が配置している。よって、凹部75によりワイヤW1がゲート配線ブロック70に接触するが回避されている。つまり、ゲート配線ブロック70は、ゲートパッド85に対応する部位に開口する凹部75を有する。
【0037】
下アーム101用のトランジスタチップ90におけるゲートパッド95とゲート配線ブロック70のゲート配線材71のパッド71aとはワイヤW2によりボンディングされている。そして、トランジスタチップ90のゲートはワイヤW2を介してゲート配線ブロック70のゲート配線材71に接続され、ゲート配線材71により上方に延設されている。このように、ゲート配線ブロック70の配線材71とゲートパッド95が電気的に接続されている。
【0038】
電極ブロック30の上面における左側の部位には、L字状の帯板よりなる外部接続端子35の一方の辺が接合され、他の辺は上方に延びている。同様に、電極ブロック40の上面における左側の部位には、L字状の帯板よりなる外部接続端子45の一方の辺が接合され、他の辺は上方に延びている。電極ブロック50の上面における左側の部位には、L字状の帯板よりなる外部接続端子55の一方の辺が接合され、他の辺は上方に延びている。
【0039】
次に、このように構成した半導体装置10の作用について説明する。
放熱板20の上に3つの電極ブロック30,40,50が並設されている。第1の電極ブロック30と共通電極ブロック40との間に上アーム100を構成する素子(トランジスタチップ80、ダイオードチップ81)が接合されているとともに共通電極ブロック40と第2の電極ブロック50との間に下アーム101を構成する素子(トランジスタチップ90、ダイオードチップ91)が接合されている。また、第1の電極ブロック30と共通電極ブロック40と第2の電極ブロック50とは右端がずらされており、この部位にゲートパッド85,95が配置され、ワイヤW1,W2によりゲート配線ブロック60,70のゲート配線材61,71と接続されている。
【0040】
そして、トランジスタチップ80の駆動に伴いトランジスタチップ80およびダイオードチップ81が発熱する。その熱は電極ブロック30,40に伝わる。さらに、電極ブロック30,40の下面から放熱板20に伝わる。そして、放熱板20から逃がされる。
【0041】
同様に、トランジスタチップ90の駆動に伴いトランジスタチップ90およびダイオードチップ91が発熱する。その熱は電極ブロック40,50に伝わる。さらに、電極ブロック40,50の下面から放熱板20に伝わる。そして、放熱板20から逃がされる。
【0042】
このようにして、上下2つの素子としてのチップ80,81およびチップ90,91に挟み込まれた共通電極ブロック40が厚みを持ち、素子が接合された面とは異なる面(下面)にて放熱することができる。
【0043】
また、上下のアームを構成するIGBTであるスイッチング素子を使用する際、電極ブロック30,40,50がオフセットして配置されてゲートパッド85,95が電極ブロック40,50で覆われないようにしている。これにより、信号線(ゲート信号線)が取り出せる。
【0044】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)半導体装置10の構成として、第1の電極ブロック30と、共通電極ブロック40と、第1の半導体素子としてのトランジスタチップ80およびダイオードチップ81と、第2の電極ブロック50と、第2の半導体素子としてのトランジスタチップ90およびダイオードチップ91を備える。共通電極ブロック40は、第1の電極ブロック30に対向するように設けられ、第1の電極ブロック30と共通電極ブロック40との間にトランジスタチップ80およびダイオードチップ81が配置され、第1の電極ブロック30と共通電極ブロック40に接合されている。第2の電極ブロック50は、共通電極ブロック40に対向するように設けられ、共通電極ブロック40と第2の電極ブロック50との間にトランジスタチップ90およびダイオードチップ91が配置され、共通電極ブロック40と第2の電極ブロック50に接合されている。また、トランジスタチップ80の信号線用の電極パッドとしてのゲートパッド85が共通電極ブロック40と対向しない位置になるように第1の電極ブロック30と共通電極ブロック40とがオフセットして配置されている。
【0045】
よって、トランジスタチップ80のゲートパッド85が共通電極ブロック40と対向しない位置になるように第1の電極ブロック30と共通電極ブロック40とがオフセットして配置されているので、信号線を容易に取り出すことができる。
【0046】
(2)第2の半導体素子の信号線用の電極パッドとしてのゲートパッド95が第2の電極ブロック50と対向しない位置になるように共通電極ブロック40と第2の電極ブロック50とをオフセットして配置したので、信号線を容易に取り出すことができる。
【0047】
(3)第1の電極ブロック30、共通電極ブロック40および第2の電極ブロック50は、放熱部材としての放熱板20に固定されているので、放熱性に優れている。詳しくは、電極ブロック30,40,50における素子が接合された面とは異なる面にて放熱することにより、放熱性に優れる。
【0048】
(4)第1の半導体素子の信号線用の配線材61を樹脂62でモールドした第1の半導体素子用の配線ブロックとしてのゲート配線ブロック60を備え、ゲート配線ブロック60の配線材61とゲートパッド85が電気的に接続されているので、信号線を容易に引き出せる。
【0049】
(5)第2の半導体素子の信号線用の配線材71を樹脂72でモールドした第2の半導体素子用の配線ブロックとしてのゲート配線ブロック70を備え、ゲート配線ブロック70の配線材71とゲートパッド95が電気的に接続されているので、信号線を容易に引き出せる。
【0050】
(6)ゲート配線ブロック70は、ゲートパッド85に対応する部位に開口する凹部75を有するので、凹部75によりトランジスタチップ80から容易に信号線を引き出すことができる。つまり、信号線の引き出しにゲート配線ブロック70が邪魔することを回避することができる。
【0051】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。
・半導体素子はIGBTであったが、これに限ることなく、他にも例えば、パワーMOSFET等であってもよい。
【0052】
・放熱板20に代わり、放熱部材として冷却器(例えば水冷式冷却器)を用いてもよい。
・インバータに具体化したが、他の電子機器でもよい。
【符号の説明】
【0053】
10…半導体装置、20…放熱板、30…第1の電極ブロック、40…共通電極ブロック、50…第2の電極ブロック、60…ゲート配線ブロック、70…ゲート配線ブロック、80…トランジスタチップ、81…ダイオードチップ、85…ゲートパッド、90…トランジスタチップ、91…ダイオードチップ、95…ゲートパッド。
図1
図2
図3
図4