(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の発光素子が発光する光のうち前記第2の封止部の上方の気体との界面で反射した光の一部は、前記第2の封止部と前記第1の封止部との界面を介して前記第1の封止部内へ進入し、前記第1の発光素子が発光する光とともに、前記第1の封止部から外部に出射される
ことを特徴とする請求項1に記載の発光モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施形態に係る発光モジュール及び照明装置を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する発光モジュール及び照明装置は、一例を示すに過ぎず、本発明を限定するものではない。また、以下の実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0011】
以下の第1の実施態様に係る発光モジュール10a〜10cは、電流供給により第1の光色を発光する第1の発光素子(例えば青色LED2a〜2c)、及び、電流供給により第2の光色を発光する第2の発光素子(例えば赤色LED4a〜4c)を備える。また、発光モジュール10a〜10cは、第1の発光素子(例えば青色LED2a〜2c)及び第2の発光素子(例えば赤色LED4a〜4c)が同一面に表面実装される基板1を備える。また、発光モジュール10a〜10cは、基板1に表面実装された第1の発光素子(例えば青色LED2a〜2c)を封止する第1の封止部(封止部3a〜3c)を備える。また、発光モジュール10a〜10cは、基板1に表面実装された第2の発光素子(例えば赤色LED4a〜4c)を第1の封止部(封止部3a〜3c)における屈折率よりも高い屈折率を有する封止部材で封止し、第1の封止部(封止部3a〜3c)との界面を形成するように配設された第2の封止部(封止部5a〜5c)を備える。
【0012】
また、以下の第2の実施態様に係る発光モジュール10a〜10cは、第2の発光素子が(例えば赤色LED4a〜4c)発光する光のうち第2の封止部(封止部5a〜5c)の上方の気体との界面で反射した光の一部は、第2の封止部(封止部5a〜5c)と第1の封止部(封止部3a〜3c)との界面を介して第1の封止部(封止部3a〜3c)内へ進入する。そして、第1の封止部(封止部3a〜3c)内へ進入した光は、第1の発光素子(例えば青色LED2a〜2c)が発光する光とともに、第1の封止部(封止部3a〜3c)から外部に出射される。
【0013】
また、以下の第3の実施態様に係る発光モジュール10a〜10cは、第1の発光素子(例えば青色LED2a〜2c)が、基板1上に環状に配置され、第2の発光素子(例えば赤色LED4a〜4c)が、基板1上における環状の中心付近に配置される。そして、第1の封止部(封止部3a〜3c)が、基板1上に環状に形成され、第2の封止部(封止部5a〜5c)が、第1の封止部(封止部3a〜3c)の環状の内部を充填するように形成される。
【0014】
また、以下の第4の実施態様に係る発光モジュール10a〜10cは、基板1の表面上において、第1の封止部3aの高さH1が、第2の封止部5aの高さH2よりも高い。
【0015】
また、以下の第5の実施態様に係る照明装置100a〜100cは、発光モジュール10a〜10cを備える。
【0016】
以下の実施形態では、発光素子をLED(Light Emitting Diode)として説明するが、これに限らず、有機EL(OLEDs、(Organic Light Emitting Diodes))、半導体レーザ等、電流供給により所定色を発光するその他の発光素子であってもよい。
【0017】
また、以下の実施形態では、LEDは、例えば、発光色が青色である窒化ガリウム(GaN)系半導体や、発光色が赤色である4元材料(Al/In/Ga/P)化合物系半導体からなる発光ダイオードチップで構成される。また、LEDは、例えば、COB(Chip On Board)技術を用いて、マトリックス状、千鳥状又は放射状など、規則的に一定の間隔で一部又は全部が配列されて実装される。または、LEDは、例えば、SMD形(Surface Mount device)で構成されたものであってもよい。また、以下の実施形態では、LEDの数は、照明の用途に応じて設計変更可能な個数の同一種類のLEDでLED群を構成する。
【0018】
また、以下の実施形態では、照明装置は、形状がクリプトン電球型であるとするが、これに限らず、一般電球型、砲弾型その他であってもよい。
【0019】
[第1の実施形態]
(第1の実施形態に係る発光モジュールを装着した照明装置の構成)
図1は、第1の実施形態に係る発光モジュールを装着した照明装置を示す縦断面図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る照明装置100aは、発光モジュール10aを備える。また、照明装置100aは、本体11、口金部材12a、アイレット部12b、カバー13、制御部14、電気配線14a、電極接合部14a−1、電気配線14b、電極接合部14b−1を備える。
【0020】
発光モジュール10aは、本体11の鉛直方向の上面に配置される。発光モジュール10aは、基板1を備える。基板1は、低熱伝導率のセラミックス、例えば、アルミナにより形成される。基板1の熱伝導率は、例えば、300[K]大気雰囲気下において、33[W/m・K]である。
【0021】
基板1がセラミックスにより形成されたものであると、機械的強度、寸法精度も高いため、発光モジュール10aを量産する際の歩留まり向上、発光モジュール10aの製造コストの低減、発光モジュール10aの長寿命化に寄与する。また、セラミックスは、可視光の反射率が高いため、LEDモジュールの発光効率を向上させる。
【0022】
なお、基板1は、アルミナに限らず、窒化ケイ素、酸化ケイ素等を用いて形成されてもよい。また、基板1の熱伝導率は、好適には20〜70[W/m・K]である。基板1の熱伝導率が、20〜70[W/m・K]であると、製造コスト、反射率及び基板1上に実装される発光素子間の熱影響を抑制することができる。また、好適な熱伝導率を有するセラミックスにより形成された基板1は、熱伝導率が高いものと比較して、基板1上に実装される発光素子間の熱影響を抑制できる。このため、好適な熱伝導率を有するセラミックスにより形成された基板1は、基板1上に実装する発光素子間の離間距離を短くすることができ、より小型化が可能になる。
【0023】
なお、基板1は、窒化アルミニウム等のアルミニウムの窒化物を用いて形成されてもよい。この場合、基板1の熱伝導率は、例えば、300[K]大気雰囲気下において、約99.5質量%のアルミニウムの熱伝導率である225[W/m・K]よりも小さい。
【0024】
発光モジュール10aは、基板1の鉛直方向の上面の円周上に青色LED2aが配置される。また、発光モジュール10aは、基板1の鉛直方向の上面の中心付近に赤色LED4aが配置される。赤色LED4aは、青色LED2aと比較して、発光素子の温度の上昇とともに発光素子の発光量がさらに低下する。すなわち、赤色LED4aは、青色LED2aと比較して、発光素子の温度の上昇とともに発光素子の発光量がより低下するという点で熱特性が劣る。第1の実施形態は、基板1が、低熱伝導率のセラミックスであるので、青色LED2aが発した熱が基板1を介して赤色LED4aへ伝導することを抑制し、赤色LED4aの発光効率の悪化を抑制する。
【0025】
なお、
図1では、青色LED2a及び赤色LED4aは、数を省略して記載している。すなわち、第1のLED群として、複数の青色LED2aが、基板1の鉛直方向の上面の円周上に配置される。また、第2のLED群として、複数の赤色LED4aが、基板1の鉛直方向の上面の中心付近に配置される。
【0026】
複数の青色LED2aを含む第1のLED群は、封止部3aにより上部から被覆される。封止部3aは、基板1の鉛直方向の上面において、断面が略半円状又は略台形であって、複数の青色LED2aを被覆するように円環状に形成される。また、複数の赤色LED4aを含む第2のLED群は、封止部3aにより形成される円環の内側の面と、基板1とで形成される凹部ごと、封止部5aにより上部から被覆される。
【0027】
封止部3a及び封止部5aは、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂等の各種樹脂を部材として形成することができる。封止部5aは、蛍光体を含まない、拡散性が高い透明樹脂であってもよい。封止部3a及び封止部5aは、異なる種類の樹脂により形成される。そして、封止部3aの光の屈折率n1、封止部5aの光の屈折率n2、本体11及びカバー13により形成される空間に封入される気体の光の屈折率n3は、例えば、n3<n1<n2の大小関係を有する。以下、本体11及びカバー13により形成される空間に封入される気体を「封入気体」と呼ぶ。封入気体は、例えば、大気である。
【0028】
また、発光モジュール10aは、後述の電極6a−1が、電極接合部14a−1と接続される。また、発光モジュール10aは、後述の電極8a−1が、電極接合部14b−1と接続される。
【0029】
本体11は、熱伝導性の良好な金属、例えば、アルミニウムで形成される。本体11は、横断面が略円の円柱状をなし、一端にカバー13が取り付けられ、他端に口金部材12aが取り付けられる。また、本体11は、外周面が、一端から他端へ向かい順次径が小さくなる略円錐状のテーパー面をなすように形成される。本体11は、外観がミニクリプトン電球におけるネック部のシルエットに近似する形状に構成される。本体11は、外周面に、一端から他端に向かい放射状に突出する図示しない多数の放熱フィンが一体形成される。
【0030】
口金部材12aは、例えば、エジソンタイプのE形口金で、ネジ山を備えた銅板製の筒状のシェル、シェルの下端の頂部に電気絶縁部を介して設けられた導電性のアイレット部12bを備える。シェルの開口部が、本体11の他端の開口部と電気的に絶縁して固定される。シェル及びアイレット部12bは、制御部14における図示しない回路基板の電力入力端子から導出された図示しない入力線が接続される。
【0031】
カバー13は、グローブを構成し、例えば、乳白色のポリカーボネートで一端に開口を備えるミニクリプトン電球のシルエットに近似させた滑らかな曲面状に形成される。カバー13は、発光モジュール10aの発光面を覆うように開口端部が本体11に嵌め込まれて固定される。これにより、一端にカバー13であるグローブを有し、他端にE形の口金部材12aが設けられた、全体の外観形状がミニクリプトン電球のシルエットに近似し、ミニクリプトン電球に代替が可能な口金付ランプとして、照明装置100aが構成される。なお、カバー13を本体11に固定する方法は、接着、嵌合、螺合、係止等、何れの方法であってもよい。
【0032】
制御部14は、基板1に実装された青色LED2a及び赤色LED4aの点灯を制御する図示しない制御回路を、外部と電気的に絶縁するように収容する。制御部14は、制御回路による制御により、交流電圧を直流電圧に変換して青色LEDa2に及び赤色LED4aへ供給する。また、制御部14は、制御回路の出力端子に青色LED2a及び赤色LED4aへ給電するための電気配線14aが接続される。また、制御部14は、制御回路の入力端子に、第2の電気配線14bが接続される。電気配線14a及び電気配線14bは、絶縁被覆される。
【0033】
電気配線14aは、本体11に形成された図示しない貫通孔及び図示しないガイド溝を介して本体11の一端の開口部に導出される。電気配線14aは、絶縁被覆が剥離された先端部分である電極接合部14a−1が、基板1上に配置された配線の電極6a−1と接合される。電極6a−1については、後述する。
【0034】
また、電気配線14bは、本体11に形成された図示しない貫通孔及び図示しないガイド溝を介して本体11の一端の開口部に導出される。電気配線14bは、絶縁被覆が剥離された先端部分である電極接合部14b−1が、基板1上に配置された配線の電極8a−1と接合される。電極8a−1については、後述する。
【0035】
このようにして、制御部14は、シェル及びアイレット部12bを介して入力された電力を、電気配線14aを介して青色LED2a及び赤色LED4aへ供給する。そして、制御部14は、青色LED2a及び赤色LED4aへ供給した電力を、電気配線14bを介して回収する。
【0036】
(第1の実施形態に係る発光モジュールの構成)
図2は、第1の実施形態に係る発光モジュールを示す上面図である。
図2は、
図1において、矢印A方向からみた発光モジュール10aの上面図である。
図2に示すように、略矩形の基板1の中心の円周上に、複数の青色LED2aを含む第1のLED群が、円環状に規則的に配置される。そして、複数の青色LED2aを含む第1のLED群は、封止部3aにより、円環状かつ全面的に被覆される。基板1において、封止部3aが被覆する領域を、第1の領域と呼ぶ。
【0037】
また、
図2に示すように、略矩形の基板1の中心付近に、複数の赤色LED4aを含む第2のLED群が、格子状に規則的に配置される。そして、複数の赤色LED4aを含むLED群は、封止部5aにより、全面的に被覆される。また、封止部5aは、前述の第1の領域の円環の内部を全面的に被覆する。基板1において、封止部5aが被覆する領域を、第2の領域と呼ぶ。
【0038】
また、
図2に示すように、青色LED2aと、赤色LED4aとの距離のうちの最短距離を、青色LED2a及び赤色LED4aの距離D1とする。なお、青色LED2a及び赤色LED4aの距離は、青色LED2aと、赤色LED4aとの距離のうちの最短距離に限らず、第1のLED群の中心位置と、第2のLED群の中心位置との距離であってもよい。
図2に示す例では、例えば、第1のLED群の中心位置は、円環状に配置される青色LED2aの各中心を通過する円周である。また、例えば、第2のLED群の中心位置は、赤色LED4aが格子状に配置される中心である。この場合、青色LED2a及び赤色LED4aの距離は、赤色LED4aが格子状に配置される中心と、円環状に配置される青色LED2aの各中心を通過する円周上の一点との距離である。
【0039】
発光モジュール10aは、熱特性が大きく異なる複数種類のLEDをセラミックスの基板1上にLEDの種類ごとに領域を分離して混載しても、例えば、青色LEDが発する熱を赤色LEDが受ける影響を抑制する。よって、発光モジュール10aは、所望の発光特性を得ることが容易となる。
【0040】
また、発光モジュール10aは、例えば、青色LED及び赤色LEDが領域を分離して配置される。このため、発光モジュール10aは、例えば、青色LEDが発する熱が赤色LEDに伝導すること抑制するため、発光モジュール10a全体の熱特性を向上させる。
【0041】
なお、
図2では、青色LED2a及び赤色LED4aの個数及び位置は、一例を示すに過ぎない。すなわち、赤色LED4aが基板1の中心付近に規則的に位置され、赤色LED4aを取り囲むように規則的に青色LED2aが配置される構成であれば、何れでの方法もよい。または、例えば、青色LED2aよりも熱特性がより劣る赤色LED4aの個数が少ない場合は、熱による赤色LED4aの発光特性の悪化による発光モジュール10a全体の発光特性の悪化を低減する。
【0042】
(第1の実施形態に係る発光モジュールの装着の詳細)
図3は、第1の実施形態に係る発光モジュールを装着した照明装置を示す横断面図である。
図3は、
図2における発光モジュール10aのB−B断面図である。
図3では、照明装置100aのカバー13や、本体11の下部の記載を省略している。
図3に示すように、照明装置100aの本体11は、発光モジュール10aの基板1を収容する凹部11a、基板1を固定する固定部材15a及び固定部材15bを備える。発光モジュール10aは、基板1が本体11の凹部11aに収容される。
【0043】
そして、基板1の縁部が、固定部材15a及び固定部材15bの押圧力により凹部11aの下方へ押圧されることにより、発光モジュール10aが本体11に固定される。これにより、発光モジュール10aが、照明装置100aに取り付けられる。なお、発光モジュール10aを照明装置100aに取り付ける方法は、
図3に示す方法に限定されず、接着、嵌合、螺合、係止等、何れの方法であってもよい。
【0044】
図3に示すように、青色LED2a及び赤色LED4aの距離D1は、基板1の鉛直方向の厚みD2よりも長い。青色LED2a及び赤色LED4aが発光により発する熱は、基板1において、鉛直方向よりも水平方向へ伝導しやすい。このため、例えば、青色LED2aが発した熱が、基板1の水平方向を介して赤色LED4aへ伝導し、赤色LED4aの発光効率をさらに悪化させる。しかし、青色LED2a及び赤色LED4aの距離D1を、基板1の鉛直方向の厚みD2よりも長くすることで、青色LED2aが発した熱が基板1の水平方向を介して赤色LED4aへ伝導することを抑制する。よって、赤色LED4aの発光効率の悪化を抑制する。
【0045】
また、
図3に示すように、封止部3aの高さH1は、封止部5aの高さH2よりも高い。この効果については、
図5を参照して後述する。なお、封止部3aの高さH1及び封止部5aの高さH2は、同一であってもよい。
【0046】
(第1の実施形態に係る発光モジュールの配線)
図4は、第1の実施形態に係る発光モジュールの電気配線を示す図である。
図4に示すように、発光モジュール10aは、基板1上において、照明装置100aの電極接合部14a−1と接続される電極6a−1、電極6a−1から延伸する配線6aを備える。また、発光モジュール10aは、基板1上において、ボンディグワイヤ9a−1により直列に接続された複数の青色LED2aを介して配線6aと並列に接続される配線7aを備える。また、発光モジュール10aは、基板1上において、ボンディグワイヤ9a−2により直列に接続された複数の赤色LED4aを介して配線7aと並列に接続される配線8aを備える。配線8aは、延伸する先端に、照明装置100aの電極接合部14b−1と接続される電極8a−1を備える。
【0047】
このように、ボンディグワイヤ9a−1及びボンディグワイヤ9a−2により直列に接続された複数の青色LED2a及び複数の赤色LED4aを並列に接続することで、各青色LED2a及び各赤色LED4aあたりに流れる電流量を抑制して発熱を抑える。よって、発光モジュール10aは、発熱による発光特性の悪化を低減する。さらに、例えば、ボンディグワイヤ9a−2により直列に接続された赤色LED4aの並列接続数を
図4に示すよりも多くし、1つの青色LED2aを流れる電流よりも1つの赤色LED4aを流れる電流を小さくする。これにより、発光モジュール10aは、熱による赤色LED4aの発光特性の悪化による、発光モジュール10aは全体の発光特性の悪化を低減する。
【0048】
(第1の実施形態に係る各発光素子の発光色の反射)
図5は、第1の実施形態に係る発光モジュールにおける各発光素子の発光色の反射を示す図である。
図5の前提として、上述したように、封止部3aの光の屈折率n1、封止部5aの光の屈折率n2、本体11及びカバー13により形成される空間に封入される封入気体の光の屈折率n3は、n3<n1<n2の大小関係を有するとする。
【0049】
すると、
図5において実線矢印で示すように、赤色LED4aが発光した光は、前述の屈折率の大小関係により、封止部5aと、封入気体との界面でほぼ全反射して封止部3aの方向へ進む。また、
図5において実線矢印で示すように、封止部5aと、封入気体との界面で反射して封止部3aの方向へ進んだ光は、前述の屈折率の大小関係により、封止部5aと、封止部3aとの界面で屈折して封止部3a内部へと進む。
【0050】
一方、青色LED2aが発した光は、
図5において二点鎖線の矢印で示すように、前述の屈折率の大小関係により、封止部3aと、封入気体との界面で屈折して封入気体方向へ進む。なお、青色LED2aが発した光の多くは、前述の屈折率の大小関係により、封止部3aと、封止部5aとの界面で反射する。また、封止部3aの高さH1は、封止部5aの高さH2よりも高い。このため封止部3aと、封止部5aとの界面の面積を小さする一方、封止部3aと、封入気体との界面の面積をより大きくすることができる。
【0051】
このようにして、青色LED2aが発した光と、赤色LED4aが発した光のほとんどが、封止部3aと、封入気体との界面付近で適度に合成されて出射されるので、発光の均一性を高めることができる。また、発光モジュール10aは、赤色LED4aが発する光を効率よく取り出し、青色LED2aが発する光と効率よく合成するので、赤色LED4aの搭載個数を減らすこともできる。よって、発光モジュール10aは、熱による赤色LED4aの発光特性の悪化による、全体の発光特性の悪化を抑制する。
【0052】
また、
図5において破線矢印で示すように、赤色LED4aが発した光の一部は、封止部5aと、封入気体との界面で反射せず、屈折して封止部5a上方の封入気体の方向へ進む。一方、青色LED2aが発した光の一部は、
図5において一点鎖線の矢印で示すように、封止部3aと、封入気体との界面で屈折し、封止部5a上方の封入気体方向へ進む。このように、封止部5aから上方へ赤色LED4aが発した光の一部が出射したとしても、封止部3aが封止部5aよりも高さが高いため、封止部3aにおける封止部5a側の上方領域から出射した青色LED2aの光と、封止部5aから出射した赤色LED4aの光がより均一に混色されやすい。したがって、発光色の異なるLEDを別々の領域に設けても、混色における色むらがより抑制される。
【0053】
発光モジュール10aは、発光光量が小さい、例えば、赤色LEDが配置されている第2の領域を、蛍光体を含まない透明樹脂で封止することにより、蛍光体による光の吸収を回避でき、発光効率が向上する。また、発光モジュール10aは、赤色LEDが所定個数配置される第2の領域を拡散性が高い透明樹脂で封止すると、赤色光が効果的に拡散するため、LEDモジュールの色ムラを抑制する。すなわち、発光モジュール10aは、発する光の演色性及び発光効率の低下を低減できる。
【0054】
なお、以上の第1の実施形態では、青色LED2aを基板1上に円環状に配置し、その円環状の中心付近に赤色LED4aを配置するとした。しかし、円環状に限らず、矩形、菱形その他、環状をなす形状であれば、何れでもよい。
【0055】
(第1の実施形態による効果)
第1の実施形態によれば、発光モジュール10aは、電流供給により第1の光色を発光する第1の発光素子(例えば青色LED2a)を備える。また、発光モジュール10aは、電流供給により第2の光色を発光する第2の発光素子(例えば赤色LED4a)を備える。また、発光モジュール10aは、第1の発光素子(例えば青色LED2a)及び第2の発光素子(例えば赤色LED4a)が同一面に表面実装される基板1を備える。また、発光モジュール10aは、基板1に表面実装された第1の発光素子(例えば青色LED2a)を封止する第1の封止部(封止部3a)を備える。また、発光モジュール10aは、基板1に表面実装された第2の発光素子(例えば赤色LED4a)を第1の封止部(封止部3a)における屈折率よりも高い屈折率を有する封止部材で封止し、第1の封止部との界面を形成するように配設された第2の封止部(封止部5a)を備える。これにより、発光モジュール10aは、異種の発光素子それぞれからの発光色の混合が不均一となることを低減する。
【0056】
また、発光モジュール10aは、第2の発光素子(例えば赤色LED4a)が発光する光のうち第2の封止部(封止部5a)の上方の気体との界面で反射した光の一部は、第2の封止部(封止部5a)と第1の封止部(封止部3a)との界面を介して第1の封止部(封止部3a)内へ進入する。そして、第1の封止部(封止部3a)内へ進入した光は、第1の発光素子(例えば青色LED2a)が発光する光とともに、第1の封止部(封止部3a)から外部に出射される。これにより、発光モジュール10aは、異種の発光素子それぞれからの発光色の混合が不均一となることを低減するともに、第2の発光素子(例えば赤色LED4a)が発する光を効率的に取り出すことができる。
【0057】
また、発光モジュール10aは、第1の発光素子(例えば青色LED2a)は、基板1上に環状に配置され、第2の発光素子(例えば赤色LED4a)は、基板1上における環状の中心付近に配置される。そして、発光モジュール10aは、第1の封止部(封止部3a)は、基板1上において第1の発光素子(例えば青色LED2a)を上部から被覆して封止するように環状に形成され、第2の封止部(封止部5a)は、基板1上において第2の発光素子(例えば赤色LED4a)を上部から被覆して封止するように第1の封止部(封止部3a)の環状の内部を充填するように形成される。これにより、発光モジュール10aは、異種の発光素子それぞれからの発光色の混合が不均一となることをより低減するともに、第2の発光素子(例えば赤色LED4a)が発する光をより効率的に取り出すことができる。
【0058】
また、発光モジュール10aは、基板1の表面上において、第1の封止部(封止部3a)の高さが、第2の封止部(封止部5a)の高さよりも高い。これにより、発光モジュールは、発光モジュールは、異種の発光素子それぞれからの発光色の混合が不均一となることをより低減するともに、第2の発光素子(例えば赤色LED4a)が発する光をより効率的に取り出すことができる。また、第2の封止部(封止部5a)から上方へ第2の発光素子(例えば赤色LED4a)が発した光の一部が出射したとしても、第1の封止部(封止部3a)が第2の封止部(封止部5a)よりも高さが高いため、第1の封止部(封止部3a)における第2の封止部(封止部5a)側の上方領域から出射した第1の発光素子(例えば青色LED2a)の光と、第2の封止部(封止部5a)から出射した第2の発光素子(例えば赤色LED4a)の光がより均一に混色されやすい。したがって、発光色の異なるLEDを別々の領域に設けても、混色における色むらがより抑制される。
【0059】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、LEDの配置形態が異なる。その他の点は、第1の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
図6は、第2の実施形態に係る発光モジュールを示す上面図である。
図6は、
図1において、矢印A方向からみた第2の実施形態に係る発光モジュール10bの上面図である。
【0060】
図6に示すように、発光モジュール10bは、基板1上において、複数の青色LED2bを含む2つの第1のLED群が対角線上に配置される。また、発光モジュール10bは、基板1上において、複数の赤色LED4bを含む2つの第2のLED群が、第1のLED群の配置と基板1の中心に関して対称となる対角線上に配置される。
【0061】
発光モジュール10bは、基板1上において、照明装置100bの電極接合部14a−1と接続される電極6b−1、電極6b−1から延伸する配線6bを備える。また、発光モジュール10bは、基板1上において、ボンディグワイヤ9b−1により直列に接続された青色LED2b、並びに、ボンディグワイヤ9b−2により直列に接続された赤色LED4bを介して配線6bと並列に接続される配線8bを備える。配線8bは、延伸する先端に、照明装置100bの電極接合部14b−1と接続される電極8b−1を備える。なお、青色LED2bは、第1の実施形態の青色LED2aと同様の熱特性を有する。また、赤色LED4bは、第1の実施形態の赤色LED4aと同様の熱特性を有する。
【0062】
図6に示すように、青色LED2b及び赤色LED4bを基板1上に配置すると、封止部3bで封止された第1の領域及び封止部5bで封止された第2の領域が基板1の中心に関して点対称の位置に位置する。よって、発光モジュール10bは、青色LED2a及び赤色LED4aそれぞれが発光する光をバランスよく合成し、所望の発光パターン、輝度又は色合いの光を容易に得ることができる。
【0063】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第1の実施形態及び第2の実施形態と比較して、LEDの配置形態が異なる。その他の点は、第1の実施形態及び第2の実施形態と同一であるので、説明を省略する。
図7は、第3の実施形態に係る発光モジュールを示す上面図である。
図7は、
図1において、矢印A方向からみた第3の実施形態に係る発光モジュール10cの上面図である。
【0064】
図7に示すように、発光モジュール10cは、基板1上において、複数の青色LED2cを含む第1のLED群が基板1を等分した一方の領域に配置される。また、発光モジュール10cは、基板1上において、複数の赤色LED4cを含む第2のLED群が、基板1を等分した、第1のLED群が配置されない他方の領域に配置される。
【0065】
発光モジュール10cは、基板1上において、照明装置100cの電極接合部14a−1と接続される電極6c−1、電極6c−1から延伸する配線6cを備える。また、発光モジュール10cは、基板1上において、ボンディグワイヤ9c−1により直列に接続された複数の青色LED2c、並びに、ボンディグワイヤ9c−2により直列に接続された複数の赤色LED4cを介して配線6bと並列に接続される配線8cを備える。配線8cは、延伸する先端に、照明装置100cの電極接合部14b−1と接続される電極8c−1を備える。なお、青色LED2cは、第1の実施形態の青色LED2aと同様の熱特性を有する。また、赤色LED4cは、第1の実施形態の赤色LED4aと同様の熱特性を有する。
【0066】
図7に示すように、青色LED2c及び赤色LED4cを基板1上にまとめ、封止部3cにより封止される第1の領域及び封止部5cにより封止される第2の領域を分離して形成する。よって、照明装置10cの制御部14は、青色LED2c及び赤色LED4cそれぞれの駆動制御及び熱管理が容易となる。延いては、発光モジュール10cは、熱による赤色LED4cの発光特性の悪化による、全体の発光特性の悪化を抑制する。
【0067】
[他の実施形態]
以上の実施形態で説明した照明装置100a〜100cは、LEDへ電力を供給する制御回路は、1系統であるとした。しかし、これに限らず、照明装置100a〜100cは、基板1上にLEDの熱又は輝度を検知するセンサを備えてもよい。そして、照明装置100a〜100cは、センサの検出結果に応じて青色LED2a〜2c、赤色LED4a〜4cそれぞれの駆動電流又は駆動パルス幅を個別に制御する2系統の制御回路を備えもよい。発光モジュール10a〜10cは、青色LED2a〜2c、赤色LED4a〜4cを分離された領域に配置されるため、効率的に各LEDの発光を制御できる。
【0068】
また、以上の実施形態では、青色LED2a〜2cを第1の発光素子とし、赤色LED4a〜4cを第2の発光素子とした。しかし、これに限らず、第1の発光素子と、第1の発光素子より熱特性が劣る第2の発光素子の組合せであれば、発光色を問わず、何れの発光素子でもよい。また、以上の実施形態では、基板1はアルミナにより形成されるとした。しかし、これに限らず、基板1は、アルミニウムやその他の素材を用いて形成されてもよい。また、封止部3a〜3c及び封止部5a〜5cによる青色LED2a〜2c及び赤色LED4a〜4cの封止方法は、実施形態で説明したものに限らず、種々の方法を用いてもよい。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。