(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい形態は次の通りである
。
【0011】
前記プレート本体は、前記突部の先端部が前記プリント回路基板に固定された状態で、前記プリント回路基板との間に隙間を有している。これにより、プレート本体にプリント回路基板側の異物が付着するのが回避される。
【0012】
<実施例1>
実施例1を
図1〜
図11によって説明する。基板用コネクタは、
図1に示すように、プリント回路基板(以下、基板90という)に取り付けられるものであって、ハウジング10とアライメントプレート30と端子金具80とを備えて構成されている。基板90には、多数の接続孔(図示せず)が貫通して形成され、且つ各接続孔を挟んだ幅方向両側に一対の取付孔(図示せず)が貫通して形成されている。
【0013】
ハウジング10は合成樹脂製であって、
図4に示すように、幅方向に細長いハウジング本体11と、ハウジング本体11の幅方向両端部から後方に突出する一対の側壁12と、ハウジング本体11の後面における両側壁12間の領域から後方に突出する一対の保護壁13とを有している。
【0014】
また、ハウジング本体11は、
図2に示すように、幅方向に並列に配置された複数の略角筒状のフード部14、15を有している。各フード部14、15内には、前方から相手コネクタ(図示せず)が嵌合可能とされている。本実施例の場合、幅方向一端側(
図2における向かって左側)のフード部15は小フード部15とされ、他の2つのフード部14は小フード部15より高背で且つ開口径が大きい大フード部14とされている。大フード部14内には、相手コネクタとの誤嵌合を防止するリブ16が奥壁17から突出して形成されている。
【0015】
また、フード部14、15の奥壁17には、複数の端子金具80が圧入により装着されている。各端子金具80は導電金属製であって全体として細棒状をなし、奥壁17を略水平に貫通する水平部81(
図2を参照)と、奥壁17の後方から略直角に屈曲されて略垂直に延びる垂直部82(
図1を参照)とで構成されている。水平部81の前端部は、フード部14、15内に突出して配置され、垂直部82の下端部は、基板90の接続孔内に挿入される。
【0016】
また、垂直部82の下端部には、
図4に示すように、内外に撓み可能なプレスフィット部83が形成されている。プレスフィット部83は、基板90の各接続孔内に弾性的に圧入され、基板90の導電路(図示せず)と電気的に接続される。なお、
図2に示すように、小フード部15には、各端子金具80を挿入可能なキャビティ18が上下2段に分かれて形成され、大フード部14には、キャビティ18が上下3段に分かれて形成されている。
【0017】
フード部14、15の奥壁17の後面には、
図10に示すように、各端子金具80が引き出される装着部19が突出して形成され、且つ装着部19の下方に段差凹部20が凹み形成されている。段差凹部20は、
図11に示すように、ハウジング本体11の下面に開口する形態とされている。そして、小フード部15側の段差凹部20は、大フード部14側の段差凹部20より前方に深く凹み、アライメントプレート30の突片34(後述する)が嵌合可能な嵌合凹部21とされている。
図10及び
図11に示すように、ハウジング本体11の下端部における嵌合凹部21を挟んだ幅方向両側の壁面には一対のロック突起22が形成され、さらに大フード部14側の段差凹部20における後方を向く壁面にもロック突起23が形成されている。
図4に示すように、アライメントプレート30は、各ロック突起22、23とハウジング本体11の下面(段差凹部20の上端面)との間に板厚方向に弾性的に挟まれた状態で、ハウジング本体11に保持されるようになっている。
【0018】
一対の保護壁13は、
図4に示すように、高さ方向(上下方向)にほぼ沿った板状をなし、ハウジング本体11の後面における各フード部14、15間の位置から後方に突出する形態とされている。両保護壁13の下端縁は、段差凹部20の上端とほぼ同じ高さ位置にあり、アライメントプレート30のプレート本体31(後述する)に上方から当接可能とされている。
【0019】
両保護壁13のうち、大フード部14間を仕切る保護壁13の下端縁には、案内突起24が下向きに突出して形成されている。案内突起24は、略円柱状をなし、
図5に示すように、プレート本体31の案内孔39(後述する)に位置決め状態で挿入可能とされている。
【0020】
一対の側壁12は、
図4に示すように、高さ方向(上下方向)にほぼ沿った板状をなし、ハウジング本体11の後面の幅方向両端から後方に突出する形態とされている。両側壁12は、両保護壁13より低背で且つ両保護壁13と略平行して配置され、両保護壁13とともに各フード部14、15の奥壁17から導出された各端子金具80を幅方向から被覆可能とされている。両側壁12の下端縁は、両保護壁13の下端縁からプレート本体31の板厚以上の距離をあけて下方に位置し、基板90の表面に上方から当接可能とされている。
【0021】
また、
図1及び
図3に示すように、両側壁12の下端部は、その上方の部分よりも大きい板厚で且つ前後方向に延びる一対の厚肉部25とされている。両厚肉部25は、幅方向両端外方に張り出す部分を有し、小フード部15側の厚肉部25は、大フード部14側の厚肉部25より大きい板厚寸法を有している。
【0022】
そして、
図9及び
図11に示すように、両厚肉部25の下端縁には、アライメントプレート30の両突部32(後述する)を逃がすことが可能な一対の逃がし凹部26が形成されている。両逃がし凹部26は、両厚肉部25の後部に配置され、両厚肉部25を板厚方向に貫通する側面視略矩形の形態とされている。両逃がし凹部26の前後両端面は、高さ方向及び幅方向にほぼ沿った一対ずつの規制部27とされ、両突部32の前後遊動を規制可能とされている。
図11に示すように、両逃がし凹部26の上端面における幅方向内側には、一対の斜面28が切り欠くように形成されている。両斜面28は、各端子金具80が位置する領域側に向けて上り勾配となるテーパ状の形態とされている。なお、両突部32は、両斜面28に沿って両逃がし凹部26内に誘い込まれる。
【0023】
アライメントプレート30は合成樹脂製であって、
図6及び
図8に示すように、幅方向に沿った平板状のプレート本体31と、プレート本体31の幅方向両端部から突出する一対の突部32とを有している。そして、アライメントプレート30は、ハウジング本体11の後面下端部に配置され、
図5に示すように、各ロック突起22、23によってハウジング本体11に保持される。
【0024】
プレート本体31には、
図8に示すように、複数の位置決め孔33が貫通して形成されている。アライメントプレート30がハウジング本体11に取り付けられた状態では、各位置決め孔33に各端子金具80が位置決め挿入され、さらにアライメントプレート30が基板90に取り付けられた状態では、各位置決め孔33が基板90の各接続孔と同軸上に対向して配置される。このため、各端子金具80は、各位置決め孔33から各接続孔に誘導して挿入される。
【0025】
図5及び
図8に示すように、プレート本体31の前端縁の幅方向一端部には、突片34が形成されている。突片34は、幅方向に延びつつプレート本体31の前端縁から前方に突出する平板状の形態とされ、嵌合凹部21内に嵌合可能とされている。突片34の幅方向両端部には、前後方向に延びる一対のスリット35が形成され、両スリット35の幅方向外方に、前後方向に延びる一対の撓み片36が形成されている。また、プレート本体31の前端部の幅方向他端側には、幅方向に延びる別のスリット37が形成され、スリット37の前方に、幅方向に延びる別の撓み片38が形成されている。
【0026】
ここで、アライメントプレート30はハウジング本体11に下方から取り付けられる。取り付け過程では、各ロック突起22、23に各撓み片36、38が干渉して各スリット35、37側に撓み変形させられ、取り付け完了時には、各撓み片36、38が弾性復帰して、
図5に示すように、各撓み片36、38の下面に各ロック突起22、23が係止可能に配置され、これによってアライメントプレート30がハウジング本体11に対し下方に抜け止めされた状態で保持されるようになっている。
【0027】
また、プレート本体31の前端部の幅方向他端寄りには、円形の案内孔39が貫通して形成されている。アライメントプレート30がハウジング本体11に取り付けられる際に、案内孔39に案内突起24が位置決め挿入され、これによってアライメントプレート30の挿入動作が案内されるようになっている。
【0028】
さて、両突部32は、
図6及び
図8に示すように、プレート本体31の幅方向両端縁に連なる略矩形板状の一対の基端部40と、基端部40から下方に突出する略円柱状の一対の先端部41とを有している。
【0029】
図1及び
図5に示すように、両基端部40は、両逃がし凹部26内に挿入される。そして、
図6に示すように、両基端部40は、プレート本体31の幅方向両端縁に一対の段差42を介して連なり、両基端部40の上面は、段差42の高さ分、プレート本体31の上面より一段低い位置に配置される。また、両基端部40は、プレート本体31の幅方向両端から両側外方に張り出す形態とされ、両段差42は、プレート本体31の幅方向両端縁に向けて次第に肉厚(高さ寸法)を増す斜面連結部43を有している。
図5に示すように、両基端部40の前後両端面(両突部32の軸心を挟んだ前後両端面)は、高さ方向及び幅方向にほぼ沿った一対ずつの位置ずれ規制部44とされ、両逃がし凹部26内で各規制部27に当接可能に対面して配置される。
【0030】
両先端部41は、基板90の両取付孔内に位置決め挿入される。
図1に示すように、両先端部41の下端外周縁にはテーパ状の誘い込み部45が形成され、誘い込み部45によって本端部の取付孔内への挿入動作が円滑になされるようになっている。なお、
図8に示すように、両先端部41のうち、幅方向他端側の先端部41は、円形の断面形状とされるが、幅方向一端側の先端部41は、幅方向両端が前後方向に沿った直線状で且つ前後両端が円弧状の断面形状とされる。
図6に示すように、幅方向一端側の先端部41の方が幅方向他端側の先端部41よりも小さい幅寸法で構成されている。
【0031】
次に、実施例1に係る基板用コネクタの作用効果を説明する。
組み付けに際し、各フード部14、15の各キャビティ18内に後方から各端子金具80が圧入して装着される。続いて、ハウジング本体11に下方からアライメントプレート30が取り付けられる。アライメントプレート30の取り付け過程では、案内孔39に案内突起24が挿入されるとともに、各位置決め孔33に各端子金具80のプレスフィット部83が挿通され、且つ両突部32の基端部40が両側壁12の逃がし凹部26内に挿入される。
【0032】
アライメントプレート30が正規状態で取り付けられると、プレート本体31の各撓み片36、38が各ロック突起22、23に弾性的に係止され、プレート本体31がハウジング本体11から脱落するのが規制される。このとき、プレート本体31は、両厚肉部25とほぼ同じ高さ位置に配置され、且つ上面が両保護壁13の下端にほぼ当接して配置される。また、両突部32の基端部40の下面が側壁12の下端縁とほぼ同じ高さ位置で前後方向に並んで配置されるとともに、両突部32の基端部40の上面が逃がし凹部26の内側の上端面とほぼ同じ高さ位置に前後方向に並んで配置され、且つ両突部32の各位置ずれ規制部44が両逃がし凹部26の各規制部27と当接可能に対面して配置される。
【0033】
この状態で、仮に、アライメントプレート30が軸周りに位置ずれしようとしても、両突部32の各位置ずれ規制部44が両逃がし凹部26の各規制部27と当接することでそれ以上の位置ずれが規制され、アライメントプレート30が正規の取付け位置に安定して保持される。
【0034】
次いで、基板90の表面に上記アライメントプレート30が取り付けられたハウジング本体11が載置される。このとき、基板90の両取付孔に両突部32の先端部41が位置決め挿入され、且つ基板90の各接続孔に各端子金具80のプレスフィット部83が圧入接続される。両突部32の先端部41が両取付孔に挿入されることにより、基板90に対するアライメントプレート30の位置決めがなされ、各端子金具80が各接続孔に円滑に挿入される。
【0035】
基板90にハウジング本体11が固定されると、基板90の表面に両突部32の基端部40の下面が当接して配置される一方、基板90の表面からプレート本体31の下面が離間して配置される。このため、基板90の各接続孔と各端子金具80のプレスフィット部83との間に供給されるコンタクトオイル等の基板90上の異物がプレート本体31の下面に付着するのが回避される。
【0036】
以上説明したように実施例1によれば、両突部32の先端部41が基板90の両取付孔に位置決め挿入されることにより、アライメントプレート30が基板90に位置決めされる。また、両突部32の基端部40が両側壁12の逃がし凹部26内に挿入されることにより、両突部32と両側壁12との間の干渉が回避される。このとき、両突部32の各位置ずれ規制部44が両側壁12の各規制部27と前後方向で当接可能に配置されるため、アライメントプレート30が軸周りに位置ずれするのが防止される。したがって、逃がし凹部26が突部32を逃がす機能とアライメントプレート30の位置ずれを規制する機能とを兼備するため、両機能を別々に備えるよりも全体の構成を簡素化することができる。
【0037】
また、両突部32の基端部40が段差42を介することによりプレート本体31に対して下側(基板90側)にシフトして配置されるため、そのシフト分、逃がし凹部26の深さを浅くすることができ、側壁12の強度が脆弱になるのを回避することができる。しかも、ハウジング本体11の高さ範囲内にプレート本体31を支障なく配置することができる。
【0038】
さらに、両突部32の基端部40がシフトすることにより、プレート本体31と基板90との間に隙間が形成されるため、プレート本体31に基板90側のコンタクトオイルが付着するのが回避される。その結果、耐油性が比較的低いアライメントプレート30を用いることができる。
【0039】
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような態様であってもよい。
(1)逃がし凹部は、側壁を板厚方向に貫通せず、側壁の内面にのみ開口する形態であってもよい。
(2)端子金具がハウジング本体にインサートして装着されるものであってもよい。
(3)端子金具は、プレスフィット部を有さず、基板の接続孔に挿入された後、半田接続されるものであってもよい。
(4)逃がし凹部には、アライメントプレートの幅方向両端部のうち突部の軸心を挟んだ前後両端部が挿入されればよく、必ずしも突部そのものが挿入されなくてもよい。