特許第5776683号(P5776683)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776683
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/26 20060101AFI20150820BHJP
   D06F 58/10 20060101ALI20150820BHJP
   D06F 58/28 20060101ALI20150820BHJP
   F24F 11/02 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   B01D53/26
   D06F58/10 Z
   D06F58/28 C
   F24F11/02 102D
   F24F11/02 102H
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-504392(P2012-504392)
(86)(22)【出願日】2011年2月22日
(86)【国際出願番号】JP2011053762
(87)【国際公開番号】WO2011111514
(87)【国際公開日】20110915
【審査請求日】2012年7月19日
(31)【優先権主張番号】特願2010-50445(P2010-50445)
(32)【優先日】2010年3月8日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】壁田 知宜
(72)【発明者】
【氏名】赤松 久宇
(72)【発明者】
【氏名】新井 知史
(72)【発明者】
【氏名】若井 寛
【審査官】 近野 光知
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−340387(JP,A)
【文献】 特開2009−250527(JP,A)
【文献】 特開2007−240064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/26〜53/28
F24F 11/00〜11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中に含まれる水分を除去するための除湿手段と、
室内の空気を吸気し、前記除湿手段を通過させて得られた乾燥空気を室内に吹き出す送風手段と、を有する除湿機において、
乾燥空気の送風方向を上下左右に可変する風向可変手段と、
前記風向可変手段に取り付けられ、該風向可変手段の送風方向にある物体の表面温度を非接触にて検出する表面温度検出手段と、
室内の結露の除去運転開始を検知すると、前記風向可変手段の送風方向を上下左右に可変して得られる複数のブロックからなる表面温度検出範囲のうちの一部のブロック上のみを通る所定ルートを前記表面温度検出手段が移動するように前記風向可変手段の送風方向を制御すると共に、前記表面温度検出手段により検出される前記所定ルート上の各ブロックの表面温度を読み込み、読み込んだ表面温度の中から最低の表面温度を選定して、その最低の表面温度の方向に乾燥空気が送風されるように前記風向可変手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記最低の表面温度の方向に乾燥空気を送風する際に、前記最低の表面温度のブロックとそのブロックを囲むブロックとからなる所定範囲のエリアを設定し、そのエリアの各ブロックに順次に乾燥空気が送風されるように前記風向可変手段を制御することを特徴とする除湿機。
【請求項2】
前記制御手段は、読み込んだ表面温度の中から最低の表面温度を選定した際、その最低の表面温度が所定値より低いかどうかを判定し、最低の表面温度が所定値より低いときにはその最低の表面温度の方向に乾燥空気が送風されるように前記風向可変手段を制御することを特徴とする請求項1記載の除湿機。
【請求項3】
前記所定ルートには、前記表面温度検出範囲の中心を通る2本の対角線が含まれていることを特徴とする請求項1又は2記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば窓ガラスや壁に発生する結露を乾燥させる除湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の除湿機において、赤外線検出手段による温度検出結果と、温度検出手段による室内雰囲気の温度検出結果を制御手段が比較することで、被乾燥物の吸収した水分蒸発による顕熱低下を判別し、被乾燥物の顕熱低下による室内温度より低い温度分布の所在を被乾燥物の配置範囲と判断するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本特開2007−240100号公報(特許請求の範囲、図3図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来の除湿機では、室内温度より低い温度分布の所在を被乾燥物の配置範囲としているが、室内によっては温度の低い部分があり、その部分も被乾燥物の配置範囲と判断されてしまう虞があり、効率良く乾燥空気を当てることができない可能性がある。
【0005】
本発明は、前述のような課題を解決するためになされたものであり、室内の中で最も温度の低い場所を誤ることなく検知し、そこに集中的に乾燥空気を当てる除湿機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る除湿機は、空気中に含まれる水分を除去するための除湿手段と、室内の空気を吸気し、除湿手段を通過させて得られた乾燥空気を室内に吹き出す送風手段と、乾燥空気の送風方向を上下左右に可変する風向可変手段と、風向可変手段に取り付けられ、その風向可変手段の送風方向にある物体の表面温度を非接触にて検出する表面温度検出手段と、室内の結露の除去運転開始を検知すると、風向可変手段の送風方向を上下左右に可変して得られる複数のブロックからなる表面温度検出範囲のうちの一部のブロック上のみを通る所定ルートを表面温度検出手段が移動するように風向可変手段の送風方向を制御すると共に、表面温度検出手段により検出される所定ルート上の各ブロックの表面温度を読み込み、読み込んだ表面温度の中から最低の表面温度を選定して、その最低の表面温度の方向に乾燥空気が送風されるように風向可変手段を制御する制御手段とを備え、制御手段は、最低の表面温度の方向に乾燥空気を送風する際に、最低の表面温度のブロックとそのブロックを囲むブロックとからなる所定範囲のエリアを設定し、そのエリアの各ブロックに順次に乾燥空気が送風されるように風向可変手段を制御するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明においては、室内の結露の除去運転開始を検知すると、風向可変手段の送風方向を上下左右に可変して得られる表面温度検出範囲のうち所定ルートを表面温度検出手段が移動するように風向可変手段の送風方向を制御すると共に、表面温度検出手段により検出される所定ルート上の表面温度を読み込む。そして、読み込んだ表面温度の中から最低の表面温度を選定して、その最低の表面温度の方向に乾燥空気が送風されるように風向可変手段を制御するようにしている。これにより、室内の中で最も低い場所を迅速に検知でき、効率良く乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る除湿機を示す外観斜視図である。
図2】実施の形態に係る除湿機の内部を示す概略構成図である。
図3図1の風向変更手段を拡大して示す概略斜視図である。
図4】例えば窓ガラスの結露を検知するときの赤外線センサーの移動ルートを示す模式図である。
図5】実施の形態の除湿機における結露の除去運転の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は実施の形態に係る除湿機を示す外観斜視図、図2は実施の形態に係る除湿機の内部を示す概略構成図、図3図1の風向変更手段を拡大して示す概略斜視図、図4は例えば窓ガラスの結露を検知するときの赤外線センサーの移動ルートを示す模式図である。
【0010】
本実施の形態の除湿機は、図1に示すように、自立可能に構成された除湿機筐体100と、除湿機筐体100内に室内空気Aを取り込むための吸込口101と、吸込口101に取り込まれた空気から除去された水分を溜める貯水タンク102と、水分が除去された乾燥空気Bを除湿機筐体100から室内へ排出する排気口103とで構成されている。排気口103は、乾燥空気Bの風向を可変可能な風向可変手段1により構成されている。風向可変手段1は、鉛直方向の風向を可変する縦方向ルーバー1aと、水平方向の風向を可変する横方向ルーバー1bとによって構成されている。貯水タンク102は、除湿機筐体100に着脱可能に取り付けられている。
【0011】
前述の除湿機には、図2に示すように、吸込口101から室内空気Aを吸い込んで排気口103から乾燥空気Bを排出するという気流を発生させる送風ファン2と、送風ファン2を回転させるファンモーター2aと、吸込口101から吸引された室内空気Aの温度を検出する温度センサー3と、室内空気Aの湿度を検出する湿度センサー4と、室内空気Aに含まれる水分を除去して乾燥空気Bを生成する除湿手段5と、縦方向ルーバー1aを鉛直方向に可変する縦方向可変モーター1cと、横方向ルーバー1bを水平方向に可変する横方向可変モーター1dと、表面温度検出手段である赤外線センサー6と、制御手段を有する制御回路7とが備えられている。
【0012】
除湿手段5は、空気中の水分を除去して凝縮させることができるものであれば良く、例えば、最も一般的なものとして、ヒートポンプ回路を構成し蒸発器において空気中の水分を凝縮させる方式や、吸着剤によって除去された空気中の水分を熱交換器で凝縮させるデシカント方式などが用いられている。除湿手段5によって室内空気Aから除去された水分は、凝縮水Cとして貯水タンク102に貯留される。
【0013】
縦方向ルーバー1aは、図3に示すように、除湿機筐体100の幅方向に延びる長方形状の開口を有し、前述した縦方向可変モーター1cの回転軸をほぼ軸として鉛直方向に可変可能に構成されている。横方向ルーバー1bは、縦方向ルーバー1a内に等間隔に配置され、縦方向ルーバー1aの開口の反対側の奧に水平方向に可変可能に軸支され、前述した横方向可変モーター1dの駆動に連動するように構成されている。
【0014】
赤外線センサー6は、縦方向ルーバー1a内に配置されたほぼ中央の横方向ルーバー1bの片面に取り付けられている。これにより、赤外線センサー6は、風向可変手段1の送風方向にある物体、例えばガラス窓や壁の表面温度を検出することになる。赤外線センサー6の検出範囲は、風向可変手段1の送風方向を上下左右に可変して得られる送風範囲の内側となる。赤外線センサー6は、例えば熱起電力効果を利用したものが用いられており、検出範囲の表面から発せられる熱放射(赤外線)を受ける赤外線吸収膜6aと、赤外線吸収膜6aの温度を検出するサーミスタ6bとで構成されている(図2図3参照)。この赤外線センサー6は、熱放射を吸収することによって昇温する赤外線吸収膜6aの感熱部分の温度(温接点)と、サーミスタ6bによって検出される赤外線吸収膜6aの温度(冷接点)との差を電圧等の電気信号に変換し、後述する制御回路7に入力する。この電気信号の大きさから検出範囲の表面温度を判別できる。
【0015】
本実施の形態においては、例えば図4に示すように、赤外線センサー6の検出範囲に対して横方向に21個、縦方向に21個の計441個のブロックに分割し、各ブロックの配置位置に対して座標を設定し、これをデータとして制御回路7に設定している。これは、図中に示す所定ルート(太線)上に赤外線センサー6を移動させるときに、赤外線センサー6により検出される各ブロックの表面温度を記録するためである。
【0016】
結露を検知するとき、先ず、検出範囲の初期位置である座標(1,1)のブロックに赤外線センサー6が向くように各ルーバー1a、1bを可変し、次いで、座標(1,1)と座標(21,21)の各ブロックを結ぶ対角線上を赤外線センサー6が移動するように各ルーバー1a、1bを可変する。この場合は、横方向ルーバー1bの可変速度を縦方向ルーバー1aより速くすることで赤外線センサー6を対角線上に移動させることができる。次に、座標(21,21)のブロックから座標(21,1)のブロックに至る鉛直線上を赤外線センサー6が移動するように縦方向ルーバー1aのみを可変する。その後、座標(21,1)と座標(1,21)の各ブロックを結ぶ対角線上を赤外線センサー6が移動するように各ルーバー1a、1bを可変する。この場合も前記と同様に、横方向ルーバー1bの可変速度を縦方向ルーバー1aより速くすることで可能になる。
【0017】
さらに、座標(1,21)のブロックから座標(1,1)のブロックに至る鉛直線上を赤外線センサー6が移動するように縦方向ルーバー1aのみを可変する。その後、検出範囲の横方向の中央の座標(11,1)のブロックまで赤外線センサー6が移動するように横方向ルーバー1bのみを可変する。次いで、座標(11,1)のブロックから座標(11,21)のブロックに至る鉛直線上を赤外線センサー6が移動するように横方向ルーバー1bを前方に向けると共に、縦方向ルーバー1aを下方に可変していく。赤外線センサー6の向きが座標(11,21)のブロックに達したときには、縦方向ルーバー1aと横方向ルーバー1bの可変速度をほぼ同一にして初期位置である座標(1,1)のブロックまで赤外線センサー6を移動させ、前述した動作を繰り返し行う。縦方向ルーバー1aと横方向ルーバー1bの可変速度の制御は、制御回路7が縦方向可変モーター1c及び横方向可変モーター1dの回転速度を制御して行われている。
【0018】
前述した制御回路7は、図示せぬ操作部のスイッチ操作から通常の除湿モードの選択を検知した場合には、風向可変手段1の縦方向可変モーター1cと横方向可変モーター1dを駆動して排気口103から送風可能にし、ファンモーター2aを駆動して送風ファン2を回転させ、除湿手段5を駆動する。その後、制御回路7は、室内の所望領域の方向に乾燥空気Bが送風されるように、風向可変手段1の縦方向可変モーター1cと横方向可変モーター1dを制御して各ルーバー1a、1bの方向を可変する。これにより、室内空気Aは、吸込口101から除湿機筐体100内に取り込まれ、温度センサー3及び湿度センサー4によりそれぞれ室内の温度と湿度が検出された後、除湿手段5により除湿されて乾燥空気Bとなり、排気口103から室内に吹き出される。
【0019】
また、制御回路7は、結露の除去運転の開始を検知したときには、動作の説明のときに詳述するが、赤外線センサー6が初期位置に向くように風向可変手段1の送風方向を制御する。次いで、制御回路7は、赤外線センサー6が所定ルートを移動するように風向可変手段1の送風方向を制御すると共に、赤外線センサー6により検出される所定ルート(図4の太線)上の各ブロックの表面温度を読み込む。その後、制御回路7は、読み込んだ表面温度の中から最低の表面温度を選定して、その表面温度が所定値より低いかどうかを判定する。制御回路7は、最低の表面温度が所定値より低いときには結露と判定してその表面温度のブロック及びそのブロックを囲む所定範囲内のブロックに乾燥空気が送風されるように風向可変手段1の送風方向を制御する。
【0020】
前述した所定値は、例えば温度センサー3により検出された室内温度を所定のΔTで減算して得られた値である。なお、室内の温度が例えば20℃のときには、所定値を求めることなく20℃を所定値として最低の表面温度と比較するようにしている。
【0021】
次に、結露の除去運転が選択されたときの動作について図5を用いて説明する。
図5は実施の形態の除湿機における結露の除去運転の動作を示すフローチャートである。
除湿機の制御回路7は、結露の除去運転の開始を検知すると、風向可変手段1の縦方向可変モーター1c及び横方向可変モーター1dを駆動して排気口103から送風可能にし、ファンモーター2aを駆動して送風ファン2を回転させ、除湿手段5を駆動する。その後、制御回路7は、赤外線センサー6の検出範囲の初期位置である座標(1,1)のブロックに赤外線センサー6が向くように縦方向可変モーター1c及び横方向可変モーター1dを制御する(S1)。続いて、制御回路7は、赤外線センサー6が図4に示す太線のルート上を順に移動するように縦方向可変モーター1c及び横方向可変モーター1dを制御すると共に、赤外線センサー6により検出される所定ルート上(図4の太線)の各ブロックの表面温度(以下、単に「温度」という)を読み込む(S2)。
【0022】
そして、制御回路7は、読み込んだ各ブロックの温度の中から最低温度を選定し(S3)、その最低温度が所定値(室温−ΔT)より低いかどうかを判定する(S4)。制御回路7は、最低温度が所定値より高いときには、座標(11,21)のブロックに位置する赤外線センサー6を初期位置である座標(1,1)のブロックまで移動させ(S1)、前述した動作を繰り返す。
【0023】
また、制御回路7は、選定した最低温度が所定値より低いときにはその最低温度のブロック及びそのブロックを囲む所定範囲を設定する。例えば、制御回路7は、図4に示すように所定値より低い最低温度のブロックの座標が(16,)の場合、その座標を中心としてX座標−2を左端とし、X座標+2を右端とする。また、制御回路7は、座標(16,)を中心としてY座標−2を上端とし、Y座標+2を下端とする範囲内のブロック、即ち5×5ブロックのエリアをスポットエリアとして設定する(S5)。
【0024】
そして、制御回路7は、スポットエリアの初期座標(14,4)のブロックに各ルーバー1a、1bを向けて乾燥空気Bが当たるようにし、その位置から縦方向ルーバー1aのみを下方に可変し、座標(14,8)に達したときに横方向ルーバー1bのみを右へ1ブロック分移動させる。次いで、制御回路7は、その位置から縦方向ルーバー1aのみを上方に可変し、座標(15,4)に達したときに横方向ルーバー1bのみを右へ1ブロック分移動させる。制御回路7は、この動作を繰り返し行って座標(18,8)に達したときには、予め設定された例えば10分を経過したかどうかを判定し(S7)、10分を経過していないときには再び初期座標のブロックに乾燥空気Bが当たるように各ルーバー1a、1bを向け、前述した動作を繰り返す(S6)。
【0025】
制御回路7は、設定したスポットエリアへの乾燥空気Bの送風を繰り返し行っているうちに10分が経過すると、他に所定値より低い最低温度が所定ルート上に存在するかどうかを判定する(S8)。例えば図4に示すように所定値より低い最低温度のブロックの座標が(1,20)の場合、制御回路7は、その座標を中心としてX座標+を右端とし、また、その座標を中心としてY座標−3を上端とし、Y座標+1を下端とする5×5ブロックのエリアを新スポットエリアとして設定する(S9)。その後、制御回路7は、10分間、前記と同様に各ルーバー1a、1bを可変して新スポットエリアに乾燥空気Bを当てるようにする。また、制御回路7は、S8において他に所定値より低い最低温度が所定ルート上に存在しないと判定したときにはS1に戻って、前述した一連の動作を繰り返す。
【0026】
また、制御回路7は、新スポットエリアへの乾燥空気Bの送風が終了した後に、例えば座標(1,15)のブロックの温度が所定値より低い場合には、その座標を中心としてX座標+を右端とし、また、その座標を中心としてY座標−3を上端とし、Y座標+1を下端とする5×5ブロックのエリアをスポットエリアとする。このスポットエリアにおいてY座標+1とするのは、先の新スポットエリアと重ならないようにするためである。
【0027】
以上のように本実施の形態によれば、結露の除去運転のとき、赤外線センサー6の検出範囲のうち所定ルートを赤外線センサー6が移動するように風向可変手段1の送風方向を制御すると共に、赤外線センサー6により検出される所定ルート上の各ブロックの温度(表面温度)を読み込む。そして、読み込んだ温度の中から最低温度を選定し、選定した最低温度が所定値より低いときには最低温度のブロック及びそのブロックを囲む所定範囲(5×5ブロック)のスポットエリアに乾燥空気Bが送風されるように風向可変手段1の送風方向を制御する。これにより、窓ガラスや壁に発生した結露を誤ることなく迅速に検知でき、効率良く乾燥させることができる。
【0028】
なお、実施の形態においては、乾燥空気Bを送風するスポットエリアを5×5ブロックとしたが、これに限定されるものではなく、例えば7×7ブロックや9×9ブロックをスポットエリアとしても良い。
【0029】
また、梅雨時などは室内の温度分布がほぼ均一となるので、室内全体の空気を循環させるためにスポット送風ではなく、ワイド送風に切り換える制御を付加するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、例えば窓ガラスや壁に発生する結露を乾燥させる除湿機に利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 風向可変手段、1a 縦方向ルーバー、1b 横方向ルーバー、1c 縦方向可変モーター、1d 横方向可変モーター、2 送風ファン、2a ファンモーター、3 温度センサー、4 湿度センサー、5 除湿手段、6 赤外線センサー、6a 赤外線吸収膜、6b サーミスタ、7 制御回路、100 除湿機筐体、101 吸込口、
102 貯水タンク、103 排気口、A 室内空気、B 乾燥空気。
図1
図2
図3
図4
図5