(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す上面図である。
図2は、第1の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。ここで、
図2は、
図1の点線A−Aにおける断面図に相当する。
【0016】
半導体装置100は、表面111と裏面112とを備えた基板110を有している。基板110には、例えば、金属板が用いられている。具体的には、基板110の材料には、例えば、銅、Cu−Mo(銅−モリブデン合金)等の銅合金、AlSiC(アルミニウムシリコンカーバイド)が用いられている。また、基板110の裏面112上には、例えば、放熱フィン(不図示)が設けられている。
【0017】
基板110の表面111上には、接合材121,122をそれぞれ介して、金属パターン131,132が形成されている。接合材121,122には、例えば、はんだが用いられている。金属パターン131,132の材料には、例えば、銅、アルミニウムが用いられている。アルミニウムの場合は、はんだ接合できるようにNiメッキ等の加工が行われる。
【0018】
金属パターン131上には、絶縁基板141が形成されている。金属パターン132上には、絶縁基板142が形成されている。絶縁基板141,142の材料には、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、または、アルミナ等を主成分としたセラミックが用いられている。
【0019】
絶縁基板141上には、金属パターン151,152,153,154が形成されている。絶縁基板142上には、金属パターン155,156が形成されている。金属パターン151〜156の材料には、例えば、銅が用いられている。
【0020】
金属パターン152上には、接合材161を介して、半導体素子171,172,173,174と外部接続用端子181とが搭載されている。外部接続用端子181は、半導体素子171と半導体素子173との間に配置されている。
【0021】
金属パターン155上には、接合材162を介して、外部接続用端子182が搭載されている。金属パターン156上には、接合材162を介して、外部接続用端子183が搭載されている。
【0022】
接合材161,162には、例えば、はんだが用いられている。外部接続用端子181〜183の材料には、例えば、銅、真ちゅう、リン青銅が用いられている。半導体素子171〜174には、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor:IGBT)、または、フリーホイールダイオード(Free Wheeling Diode:FWD)等が用いられている。
【0023】
半導体素子171と金属パターン151とは、複数の配線用ボンディングワイヤー191により電気的に接続されている。半導体素子171と半導体素子172とは、複数の配線用ボンディングワイヤー192により電気的に接続されている。半導体素子172と金属パターン153とは、配線用ボンディングワイヤー193により電気的に接続されている。
【0024】
半導体素子173と金属パターン151とは、複数の配線用ボンディングワイヤー194により電気的に接続されている。半導体素子173と半導体素子174とは、複数の配線用ボンディングワイヤー195により電気的に接続されている。半導体素子174と金属パターン153とは、配線用ボンディングワイヤー196により電気的に接続されている。
【0025】
金属パターン154と金属パターン156とは、配線用ボンディングワイヤー197により電気的に接続されている。金属パターン153と金属パターン155とは、配線用ボンディングワイヤー198により電気的に接続されている。配線用ボンディングワイヤー191〜198の材料には、例えば、アルミニウム、銅、金が用いられている。
【0026】
さらに、金属パターン152上には、外部接続用端子181と半導体素子171との間に、ワイヤー部材201が形成され、外部接続用端子181と半導体素子173との間に、ワイヤー部材202が形成されている。
【0027】
また、金属パターン155上には、外部接続用端子182と金属パターン155の端部との間に、ワイヤー部材203,204が形成されている。金属パターン156上には、外部接続用端子183と金属パターン156の端部との間に、ワイヤー部材205,206が形成されている。
【0028】
ワイヤー部材201,202には、接合材161をはじく材料が用いられ、ワイヤー部材203〜206には、接合材162をはじく材料が用いられている。接合材をはじくとは、つまり、接合材と反応性が低いことである。すなわち、ワイヤー部材201,202には、接合材161に対する濡れ性が悪い材料が用いられ、ワイヤー部材203〜206には、接合材162に対する濡れ性が悪い材料が用いられている。
【0029】
例えば、ワイヤー部材201〜206には、配線用ボンディングワイヤー191〜198と同じ材料が用いられている。具体的には、ワイヤー部材201〜206の材料には、アルミニウムが用いられている。なお、アルミニウムは、はんだをはじく特性を備えている。すなわち、アルミニウムは、はんだに対する濡れ性が悪い。
【0030】
また、ワイヤー部材201〜206は、配線用ボンディングワイヤー191〜198のような配線用のボンディングワイヤーとは別に設けられたものである。すなわち、ワイヤー部材201,202は、金属パターン152を除く他の金属パターン151,153〜156、および、半導体素子171〜174とは接合されていない。ワイヤー部材203,204は、金属パターン155を除く他の金属パターン151〜154,156、および、半導体素子171〜174とは接合されていない。ワイヤー部材205,206は、金属パターン156を除く他の金属パターン151〜155、および、半導体素子171〜174とは接合されていない。
【0031】
なお、上述した半導体素子171〜174、および、外部接続用端子181〜183は、それぞれ、単に電子部品と称される場合もある。
次に、金属パターン155上の構造の詳細について説明する。
図3は、第1の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す部分拡大図である。
図3(A)は、
図1の点線D1で囲まれた領域を切り出した部分上面図である。
図3(B)は、
図3(A)の点線A−Aにおける断面図に相当する。
【0032】
金属パターン155の形状は、長方形であり、長辺に相当する端部155a,155bと、短辺に相当する端部155c,155dとを有している。外部接続用端子182は、台座部182aと、突起部182bとを有している。外部接続用端子182は、台座部182aが金属パターン155の中央に位置するように配置されている。
【0033】
接合材162は、外部接続用端子182を包囲するように形成されている。外部接続用端子182の台座部182aは、接合材162により接合されている。接合材162と、金属パターン155の端部155a〜155dとは、所定間隔離間している。
【0034】
ワイヤー部材203は、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155aとの間に配置されている。ワイヤー部材203は、複数のワイヤー部分203aと、複数のボンディング部分203bとを有している。複数のボンディング部分203bは、端部155aに沿って一列に並んで配置されている。複数のワイヤー部分203aはそれぞれ、端部155aに沿って延びている。
【0035】
ワイヤー部材204は、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155bとの間に位置している。ワイヤー部材204は、複数のワイヤー部分204aと、複数のボンディング部分204bとを有している。複数のボンディング部分204bは、端部155bに沿って一列に並んで配置されている。複数のワイヤー部分204aはそれぞれ、端部155bに沿って延びている。
【0036】
ワイヤー部分203a,204aの直径は、例えば、125〜500μmである。また、複数のボンディング部分203b,204bの間隔はそれぞれ、例えば、6mm以下、好ましくは、3mm以下である。
【0037】
なお、金属パターン156上の外部接続用端子183、接合材162、および、ワイヤー部材205,206も、金属パターン155上の外部接続用端子182、接合材162、および、ワイヤー部材203,204と同様の構成を有している。
【0038】
次に、金属パターン152上の構造の詳細について説明する。
図4は、第1の実施の形態に係る半導体装置の一例を示す部分拡大図である。
図4(A)は、
図1の点線D2で囲まれた領域を切り出した部分上面図である。
図4(B)は、
図4(A)の点線A−Aにおける断面図に相当する。
図4(C)は、
図4(A)の点線B−Bにおける断面図に相当する。
【0039】
ここで、接合材161について、半導体素子171を接合しているものを接合材161aとし、外部接続用端子181を接合しているものを接合材161bとして説明を行う。
半導体素子171と外部接続用端子181とは、隣り合って配置されている。接合材161aは、金属パターン152と半導体素子171との間に充填されている。さらに、接合材161aは、半導体素子171の周囲に一部はみ出している。
【0040】
外部接続用端子181は、台座部181aと、突起部181bとを有している。接合材161bは、外部接続用端子181を包囲するように形成されている。外部接続用端子181の台座部181aは、接合材161bにより接合されている。接合材161aと接合材161bとは、所定間隔離間している。
【0041】
ワイヤー部材201は、半導体素子171と外部接続用端子181との間に配置されている。ワイヤー部材201は、複数のワイヤー部分201aと、複数のボンディング部分201bとを有している。
【0042】
複数のボンディング部分201bは、半導体素子171と外部接続用端子181とを結ぶ方向と垂直に交差する方向に一列に並んで配置されている。複数のワイヤー部分201aはそれぞれ、半導体素子171と外部接続用端子181とを結ぶ方向と垂直に交差する方向に延びている。
【0043】
ワイヤー部分201aの直径は、例えば、125〜500μmである。また、複数のボンディング部分201bの間隔は、例えば、6mm以下、好ましくは、3mm以下である。
【0044】
なお、ワイヤー部材202についても、半導体素子173と外部接続用端子181との間に、ワイヤー部材201と同様に形成されている。
以上説明してきたように、半導体装置100では、
図3に示したように、金属パターン155上において、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155bとの間に、接合材162をはじく材料を含み、配線用ボンディングワイヤーとは別のワイヤー部材203,204が形成されている。
【0045】
この構成によれば、外部接続用端子182を接合材162を介して金属パターン155上に搭載する際等に、外部接続用端子182を接合する接合材162が流動して周囲に拡がった場合でも、ワイヤー部材203,204が接合材162をはじき、接合材162はワイヤー部材203,204によりせき止められる。このため、接合材162が金属パターン155の端部155a,155bに到達することを抑制することができる。
【0046】
接合材162が金属パターン155の端部155a,155bにまで拡がってしまうと、熱が加えられた際に、金属パターン155の端部155a,155b付近の絶縁基板142に大きな応力がかかりクラックが発生してしまう可能性がある。絶縁基板142にクラックが発生すると、部分放電が発生したり、絶縁耐圧の低下が起こる可能性がある。
【0047】
ここで、クラックの発生について、参考例を用いて説明する。
図5は、参考例1の装置を示す図である。
図6は、参考例2の装置を示す図である。
図5(A)は、参考例1の装置を示す上面図であり、
図5(B)は、
図5(A)の点線A−Aにおける断面図に相当する。
図6(A)は、参考例2の装置を示す上面図であり、
図6(B)は、
図6(A)の点線A−Aにおける断面図に相当する。
【0048】
まず、参考例1の装置300を説明する。
図5(A)、(B)に示すように、装置300は、銅合金を材料とする金属基板310を有している。金属基板310上には、はんだ320を介して銅箔330が形成されている。銅箔330上には、セラミックス基板340が形成されている。セラミックス基板340上には、銅箔350が形成されている。銅箔350上には、はんだ360を介して、銅を材料とする外部接続用端子370が搭載されている。
【0049】
ここで、外部接続用端子370は、銅箔350の端部351に接近して配置されており、はんだ360は、銅箔350の端部351にまで拡がっている。この場合、装置300に熱が加えられると、セラミックス基板340と銅箔350およびはんだ360との熱膨張係数が大きく異なるため、銅箔350の端部351付近に位置するセラミックス基板340に大きな応力がかかり、
図5(B)に示すように、クラック341が発生してしまう可能性がある。
【0050】
次に、参考例2の装置400を説明する。
図6(A)、(B)に示すように、装置400は、銅合金を材料とする金属基板410を有している。金属基板410上には、はんだ420を介して銅箔430が形成されている。銅箔430上には、セラミックス基板440が形成されている。セラミックス基板440上には、銅箔450が形成されている。銅箔450上には、はんだ460を介して、銅を材料とする外部接続用端子470が搭載されている。
【0051】
ここで、外部接続用端子470は、銅箔450の中央に配置され、はんだ460は、銅箔450の端部451,452にまで拡がっている。この場合、装置400に熱が加えられると、セラミックス基板440と銅箔450およびはんだ460との熱膨張係数が大きく異なるため、銅箔450の端部451,452付近に位置するセラミックス基板440に大きな応力がかかり、
図6(B)に示すように、クラック441,442が発生してしまう可能性がある。
【0052】
半導体装置100では、上述したように、接合材162が金属パターン155の端部155a,155bに到達することを抑制することができるため、金属パターン155の端部155a,155b付近の絶縁基板142にクラックが発生してしまう可能性を抑制することができる。また、半導体装置100では、金属パターン156上にも、金属パターン155上と同様に、ワイヤー部材205,206が形成されているため、金属パターン156の端部付近の絶縁基板142にクラックが発生してしまう可能性を抑制することができる。これにより、半導体装置100の信頼性を向上させることが可能となる。
【0053】
図7は、参考例2における試験結果を示す図である。
図7に示すグラフの横軸は経過温度サイクルを示し、縦軸はセラミックス基板440に発生するクラックのクラック長を示す。このグラフは、装置400において、銅箔450を厚く形成した構造Aと、銅箔450を薄く形成した構造Bとに対して、外部接続用端子470と銅箔450の端部451,452との間にワイヤー部材を形成した場合と、ワイヤー部材を形成しない場合とにおいて、温度サイクル試験を行った結果を示す。
【0054】
折れ線a1は、構造Aにおいて、ワイヤー部材を形成した場合の試験結果を示す。折れ線a2は、構造Aにおいて、ワイヤー部材を形成しない場合の試験結果を示す。折れ線b1は、構造Bにおいて、ワイヤー部材を形成した場合の試験結果を示す。折れ線b2は、構造Bにおいて、ワイヤー部材を形成しない場合の試験結果を示す。
【0055】
グラフから、構造A,Bの両方において、ワイヤー部材を形成した方が、セラミックス基板440に発生するクラックのクラック長が短くなっていることが伺える。構造Bにおいては、折れ線b1により示されるように、クラックはほとんど発生していない。
【0056】
さらに、半導体装置100では、
図3に示したように、ワイヤー部材203,204のワイヤー部分203a,204aはそれぞれ、金属パターン155の端部155a,155bに沿って延びている。
【0057】
これにより、接合材162の流動方向と交差する方向に、ワイヤー部分203a,204aが延在するため、金属パターン155の端部155a,155bに向けて流動する接合材162を効果的にせき止めることが可能となる。また、ワイヤー部材205,206についても、ワイヤー部材203,204と同様に、金属パターン156の端部に向けて流動する接合材162を効果的にせき止めることが可能となる。
【0058】
さらに、半導体装置100では、ワイヤー部材203〜206は、配線用ボンディングワイヤー191〜198と同じワイヤーボンディング工程で形成することが可能であるため、ワイヤー部材203〜206を設けるために、新たな工程を必要としない。これにより、製造コストを抑制することが可能となる。
【0059】
さらに、ワイヤー部材203〜206は、材料費が安いため、半導体装置100のコストを低減することが可能となる。
また、半導体装置100では、
図4に示したように、金属パターン152上において、半導体素子171と外部接続用端子181との間に、接合材161a,161bをはじく材料を含み、配線用ボンディングワイヤーとは別のワイヤー部材201が形成されている。
【0060】
この構成によれば、半導体素子171および外部接続用端子181を接合材161a,161bを介して金属パターン152上に搭載する際等に、接合材161aと接合材161bとが流動して周囲に拡がった場合でも、ワイヤー部材201が接合材161a,161bをはじき、接合材161a,161bは、ワイヤー部材201によりせき止められる。このため、接合材161aと接合材161bとが交わってしまうことを抑制することができる。
【0061】
接合材161aと接合材161bとが交わってしまった場合、半導体素子171の接合に影響を与えてしまう場合がある。この影響について、参考例3を用いて説明する。
図8は、参考例3の装置を示す図である。
【0062】
図8(A)は、参考例3の装置を示す上面図である。
図8(B)、(C)は、
図8(A)の点線A−Aにおける断面図に相当する。ここで、
図8(B)、(C)は、異なる現象が発生した際の装置の断面図をそれぞれ示すものである。
【0063】
図8(A)〜(C)に示すように、装置500は、銅合金を材料とする金属基板510を有している。金属基板510上には、はんだ520を介して銅箔530が形成されている。銅箔530上には、セラミックス基板540が形成されている。セラミックス基板540上には、銅箔550が形成されている。銅箔550上には、はんだ560aを介して半導体素子570が搭載され、さらに、はんだ560bを介して銅を材料とする外部接続用端子580が搭載されている。
【0064】
ここで、半導体素子570と外部接続用端子580とは、隣り合って配置されており、はんだ560aとはんだ560bとが交わっている。この場合、次の2つの現象が発生する可能性がある。
【0065】
まず、1つ目の現象としては、
図8(B)に示すように、はんだ560aとはんだ560bとが交わると、はんだ560aが外部接続用端子580側に引き寄せられて、半導体素子570の下にボイド561が発生してしまう可能性がある。この場合、半導体素子570から金属基板510へ向かう放熱経路の熱抵抗が大きくなってしまい、放熱性が低下してしまう可能性がある。放熱性が低下すると、半導体素子570が十分に冷却されず温度が高くなり、配線等が影響を受け、信頼性が低下してしまう。
【0066】
次に、2つ目の現象としては、
図8(C)に示すように、はんだ560aとはんだ560bとが交わると、はんだ560bが半導体素子570側に引き寄せられて、半導体素子570の下の接合材が厚くなってしまう可能性がある。この場合も、半導体素子570から金属基板510へ向かう放熱経路の熱抵抗が大きくなってしまい、放熱性が低下してしまう可能性がある。
【0067】
なお、はんだの熱伝導率は、40〜60W/mK程度であり、例えば、アルミニウムや銅等の金属の熱伝導率(200〜400W/mK程度)と比べて大幅に低い。
半導体装置100では、上述したように、接合材161aと接合材161bとが交わってしまうことを抑制できるため、半導体素子171の下の接合材に、ボイドが発生したり、半導体素子171の下の接合材が厚くなってしまう現象を回避することができる。これにより、半導体素子171から基板110へ向かう放熱経路の熱抵抗が高くなることを抑制できる。
【0068】
また、半導体装置100では、金属パターン152上において、半導体素子173と外部接続用端子181との間にも同様に、ワイヤー部材202が形成されているため、半導体素子173を接合する接合材と、外部接続用端子181を接合する接合材161bとが交わってしまうことを抑制でき、半導体素子173から基板110へ向かう放熱経路の熱抵抗が高くなることを抑制できる。
【0069】
これにより、半導体装置100では、放熱性を低下させることなく、半導体素子171,173と外部接続用端子181とを、同じ金属パターン152上に近接して配置させることが可能となる。つまり、半導体装置100は、小型化と放熱性の向上とを両立して実現できる。
【0070】
さらに、半導体装置100では、
図4に示したように、ワイヤー部材201のワイヤー部分201aは、半導体素子171と外部接続用端子181とを結ぶ方向と垂直に交差する方向に延びている。
【0071】
これにより、接合材161a,161bの流動方向と交差する方向に、ワイヤー部分201aが延在するため、接合材161a,161bを効果的にせき止めることが可能となる。また、ワイヤー部材202についても、ワイヤー部材201と同様に、半導体素子173を接合する接合材と、外部接続用端子181を接合する接合材161bとを効果的にせき止めることが可能となる。
【0072】
さらに、半導体装置100では、ワイヤー部材201,202は、配線用ボンディングワイヤー191〜198と同じワイヤーボンディング工程で形成することが可能であるため、ワイヤー部材201,202を設けるために、新たな工程を必要としない。これにより、製造コストを抑制することが可能となる。
【0073】
さらに、ワイヤー部材201,202は、材料費が安いため、半導体装置100のコストを低減することが可能となる。
図9は、参考例3における試験結果を示す図である。
図9に示す表は、参考例3の装置500に対して、半導体素子570と外部接続用端子580との間に、ボンディングピッチが6mmのワイヤー部材を形成したものと、ボンディングピッチが3mmのワイヤー部材を形成したものと、ワイヤー部材を形成しないものとをそれぞれ多数投入した場合に、はんだ560aとはんだ560bとが交わってしまった件数(発生数)をそれぞれカウントした結果である。
【0074】
表に示されるように、ボンディングピッチが3mmのワイヤー部材を形成した場合の発生率は0%である。ボンディングピッチが6mmのワイヤー部材を形成した場合の発生率は6%と低い値である。ワイヤー部材を形成しなかった場合の発生率は100%である。このように、ワイヤー部材を形成することにより、はんだ560aとはんだ560bとが交わることを抑制することができる。
【0075】
なお、半導体装置100において、外部接続用端子181〜183に換えて、他の電子部品、例えば、半導体素子を搭載した場合も、上述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(変形例1)
次に、半導体装置100に対して、金属パターン155,156上に、ワイヤー部材203〜206に換えて、他のワイヤー部材を形成した複数の変形例を、変形例1として説明する。
図10〜
図12は、第1の実施の形態に係る半導体装置の変形例1を示す図である。ここでは代表して、金属パターン155上の構成について説明する。
【0077】
図10〜
図12に示す各図面はそれぞれ、互いに異なる変形例を示すものである。また、
図10〜
図12に示す各図面はそれぞれ、
図3(A)に示した部分上面図に対応している。
【0078】
図10(A)に示す変形例では、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155bとの間に、ワイヤー部分と複数のボンディング部分とを有するワイヤー部材501が形成されている。
【0079】
図10(B)に示す変形例では、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155bとの間に、複数のワイヤー部分と複数のボンディング部分とを有するワイヤー部材502が形成されている。
【0080】
図10(C)に示す変形例では、ワイヤー部分が切断され、ボンディング部分のみから成るワイヤー部材503が複数形成されている。複数のワイヤー部材503は、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155bとの間に、端部155a,155bに沿って一列に並んで配置されている。
【0081】
なお、ここでは、ボンディング部分のみから成るものも、ワイヤー部材と称している。ワイヤー部材503は、ワイヤー部分を有していないが、ボンディング部分により、接合材162をせき止めることができる。
【0082】
さらに、ワイヤー部材503が、ワイヤー部分を有していないことにより、複数のワイヤー部材503を、ワイヤーボンディング装置により、短い間隔で配置させることができる。
【0083】
図10(D)に示す変形例では、複数のワイヤー部材503が、外部接続用端子182を包囲するように形成されている。
図11(A)に示す変形例では、外部接続用端子182が金属パターン155の端部155dに近接している。なお、これは、
図11(B)〜(F)、
図12(A)〜(E)に示す変形例についても同様である。
【0084】
さらに、
図11(A)に示す変形例では、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155bとの間に、複数のワイヤー部分と複数のボンディング部分とを有するワイヤー部材504が形成されている。
【0085】
図11(B)に示す変形例では、ワイヤー部材504が、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155bとの間に形成されている。さらに、ワイヤー部材503が、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155dとの間に形成されている。
【0086】
図11(C)に示す変形例では、ワイヤー部材504が、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155bとの間に形成されている。さらに、ワイヤー部材503が、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155c,155dとの間に形成されている。
【0087】
図11(D)に示す変形例では、ワイヤー部材501が、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155bとの間に形成されている。
図11(E)に示す変形例では、複数のワイヤー部材503が、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155bとの間に、端部155a,155bに沿って一列に並んで配置されている。
【0088】
図11(F)に示す変形例では、ワイヤー部材503が、外部接続用端子182と金属パターン155の端部155a,155b,155dとの間に形成されている。
図12(A)〜(E)に示す変形例では、それぞれ、複数のワイヤー部材503が、外部接続用端子182を包囲するように形成されている。
【0089】
(変形例2)
次に、半導体装置100に対して、金属パターン152上に、ワイヤー部材201,202に換えて、他のワイヤー部材を形成した複数の変形例を、変形例2として説明する。
図13は、第1の実施の形態に係る半導体装置の変形例2を示す図である。ここでは代表して、半導体素子171と外部接続用端子181との間の構成について説明する。
【0090】
図13に示す各図面はそれぞれ、互いに異なる変形例を示すものである。また、
図13に示す各図面はそれぞれ、
図4(A)に示した部分上面図に対応している。
図13(A)に示す変形例では、外部接続用端子181と半導体素子171との間に、ワイヤー部分と複数のボンディング部分とを有するワイヤー部材511が形成されている。
【0091】
図13(B)〜(E)に示す変形例では、ワイヤー部分が切断され、ボンディング部分のみから成るワイヤー部材512が複数形成されている。複数のワイヤー部材512は、外部接続用端子181と半導体素子171との間に形成され、外部接続用端子181と半導体素子171とを結ぶ方向と交差する方向に一列に並んで配置されている。
【0092】
ワイヤー部材512は、ワイヤー部分を有していないが、ボンディング部分により、接合材161a,161bをせき止めることができる。
さらに、ワイヤー部材512が、ワイヤー部分を有していないことにより、複数のワイヤー部材512を、ワイヤーボンディング装置により、短い間隔で配置させることができる。
【0093】
[第2の実施の形態]
次に、第1の実施の形態の半導体装置100の製造方法を、第2の実施の形態として説明する。
図14〜
図17は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法の一例を示す工程図である。
図14は、上面図であり、
図15は、
図14の点線A−Aにおける断面図である。
図16は、上面図であり、
図17は、
図16の点線A−Aにおける断面図である。
【0094】
まず、
図14、
図15に示すように、基板110上に接合材121,122を介して金属パターン131,132が形成され、金属パターン131,132上に絶縁基板141,142が形成され、絶縁基板141,142上に金属パターン151〜156が形成された積層体を準備する。そして、この積層体に対して、金属パターン152上に接合材161を介して半導体素子171〜174を搭載する。
【0095】
次に、
図16、
図17に示すように、ワイヤーボンディング装置を用いて、配線用ボンディングワイヤー191〜198、および、ワイヤー部材201〜206を形成する。すなわち、配線用ボンディングワイヤー191〜198、および、ワイヤー部材201〜206は、同じワイヤーボンディング工程で形成される。
【0096】
次に、金属パターン152上に接合材161を供給し、金属パターン155,156上に接合材162を供給する。その後、金属パターン152上に、接合材161を介して外部接続用端子181を搭載し、金属パターン155上に接合材162を介して外部接続用端子182を搭載し、金属パターン156上に接合材162を介して外部接続用端子183を搭載する。以上の工程により、
図1、
図2に示す半導体装置100が生成される。
【0097】
このように、第2の実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、ワイヤー部材201〜206は、配線用ボンディングワイヤー191〜198と同じワイヤーボンディング工程で形成される。
【0098】
この構成によれば、ワイヤー部材201〜206を形成するために、新たな工程を必要としない。これにより、製造コストを抑制することが可能となる。
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではなく、対応するすべての変形例および均等物は、添付の請求項およびその均等物による本発明の範囲とみなされる。