特許第5776755号(P5776755)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776755
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】電気ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/02 20060101AFI20150820BHJP
   H01B 7/17 20060101ALI20150820BHJP
   H01B 3/44 20060101ALI20150820BHJP
   H01B 7/295 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   H01B7/02 Z
   H01B7/18 D
   H01B3/44 D
   H01B3/44 F
   H01B3/44 M
   H01B7/02 F
   H01B7/34 B
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-260045(P2013-260045)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2014-139932(P2014-139932A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年4月16日
(31)【優先権主張番号】特願2012-275533(P2012-275533)
(32)【優先日】2012年12月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100131037
【弁理士】
【氏名又は名称】坪井 健児
(74)【代理人】
【識別番号】100099069
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】戸澤 仁宏
(72)【発明者】
【氏名】藤田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】四野宮 篤子
【審査官】 北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−352889(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/124589(WO,A1)
【文献】 特開2010−176961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/02
H01B 3/44
H01B 7/17
H01B 7/295
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素線径が0.15mm以上0.5mm以下の素線からなり断面積が20mm以上の導体7の外周を、難燃剤を含む絶縁樹脂で被覆した電気ケーブルであって、
前記絶縁樹脂が、EEA,EVA,EMAまたはEPゴムの単体またはそれらの組み合わせからなり、
電気ケーブル径/導体径が1.15以上1.40以下であり、
前記絶縁樹脂が架橋されていてそのセカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下であることを特徴とする電気ケーブル。
【請求項2】
断面積が20mm以上の導体の外周を難燃剤を含む絶縁樹脂で被覆し、該絶縁樹脂の外周にシールド導体を配し、さらに該シールド導体の外周を絶縁樹脂で被覆した電気ケーブルであって、
前記絶縁樹脂が、EEA,EVA,EMAまたはEPゴムの単体またはそれらの組み合わせからなり、
電気ケーブル径/導体径が1.40以上1.77以下であり、
前記シールド導体の内側の絶縁樹脂が架橋されていてそのセカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下であることを特徴とする電気ケーブル。
【請求項3】
前記シールド導体の内側の絶縁樹脂と前記シールド導体の外側の絶縁樹脂とが同じ樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の電気ケーブル。
【請求項4】
断面積が20mm以上の導体の外周を難燃剤を含む絶縁樹脂で被覆し、該絶縁樹脂の外周にシールド導体を配し、さらに該シールド導体の外周を絶縁樹脂で被覆した電気ケーブルであって、
前記絶縁樹脂が、EEA,EVA,EMAまたはEPゴムの単体またはそれらの組み合わせからなり、
電気ケーブル径/導体径が1.40以上1.77以下であり、
前記シールド導体の外側の絶縁樹脂が架橋されていてそのセカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下であることを特徴とする電気ケーブル。
【請求項5】
セカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下である前記絶縁樹脂がオレフィンと極性を有するコモノマーの共重合体A、または、該共重合体Aと、オレフィンとαオレフィン共重合体Bとの混合物であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電気ケーブル。
【請求項6】
セカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下である前記絶縁樹脂が極性を有するコモノマーを含むオレフィン系樹脂であって、コモノマー量が23重量%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の電気ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器内や車両内の配線等に用いられる電気ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器内や車両内の配線等に用いられる電気ケーブルには、狭いスペース内での配線作業(取り回し)の容易性と、曲げ半径の低減による省スペース化が必要とされ、柔軟性に優れたケーブルが求められている。例えば、特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂をベース樹脂とした、耐摩耗性、難燃性、柔軟性を有するハロゲンフリーの自動車用絶縁電線が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−127040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気ケーブルの柔軟性は、その曲げ剛性により決められるが、その曲げ剛性は、ケーブル構成体のヤング率Eと構成体の断面二次モーメントの積で表され、ケーブルの導体部分と絶縁体部分の曲げ剛性の和により設定される。自動車内の電源系統の電気ケーブルは、導体部分の容積に比べて絶縁体部分の容積が大きく、また、外側にある絶縁体の方が曲げた時の歪が導体よりも大きくなるため、その曲げ剛性は、導体部分による曲げ剛性より絶縁体部分による曲げ剛性が大きく影響している。
【0005】
また、電気ケーブルの柔軟性については、例えば、上記特許文献1に開示のように、被覆材料を所定寸法の板状に成形して試験片とし、固定台から60mm突出させた試験片の先端から10mmの位置に20gの重りを吊るして、15mm以上撓むものを柔軟性ありと判定しているが一般的ではない。電気ケーブルの柔軟性についての統一された規格はなく、柔軟性に関する定義が曖昧であった。
【0006】
本発明は、上述した実状に鑑みてなされたもので、電気ケーブルの絶縁樹脂部分の柔軟性をセカントモジュラス値によって示すと共に、柔軟性が改善された電気ケーブルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による電気ケーブルは、素線径が0.15mm以上0.5mm以下の素線からなり断面積が20mm以上の導体の外周を、難燃剤を含む絶縁樹脂で被覆した電気ケーブルであって、前記絶縁樹脂が、EEA,EVA,EMAまたはEPゴムの単体またはそれらの組み合わせからなり、電気ケーブル径/導体径が1.15以上1.40以下であり、前記絶縁樹脂が架橋されていてそのセカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下であることを特徴とする。また、本発明による電気ケーブルは、断面積が20mm以上の導体の外周を難燃剤を含む絶縁樹脂で被覆し、該絶縁樹脂の外周にシールド導体を配し、さらに該シールド導体の外周を絶縁樹脂で被覆した電気ケーブルであって、前記絶縁樹脂が、EEA,EVA,EMAまたはEPゴムの単体またはそれらの組み合わせからなり、電気ケーブル径/導体径が1.40以上1.77以下であり、前記シールド導体の内側または外側の絶縁樹脂が架橋されていてそのセカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下であることを特徴とする。
【0008】
ここで、シールド導体の内側と外側の絶縁樹脂とは同じ樹脂であってよい。また、セカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下である前記絶縁樹脂がオレフィンと極性を有するコモノマーの共重合体A、または、該共重合体Aと、オレフィンとαオレフィン共重合体Bとの混合物であってよく、あるいは、極性を有するコモノマーを23重量%以上含むオレフィン系樹脂であってもよい。さらに、絶縁樹脂が架橋されていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電気ケーブルによれば、従来にない柔軟性を確保することができ、狭いスペース内での配線作業(取り回し)を容易にし、曲げ半径の低減等による省スペース化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による電気ケーブルの概略を説明する図である。
図2】ケーブルの柔軟性を測定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明による電気ケーブルの概略を説明する。図1(A)は導体を絶縁体で絶縁した絶縁電線の例を示し、図1(B)は図1(A)で示す絶縁電線にシールド導体を配したシールド電線の例を示している。なお、図1において、10aは絶縁電線、10bはシールド電線、11は中心導体、12,12’は絶縁体、13はシールド導体、14はシースを示す。
【0012】
本発明による電気ケーブルは、例えば、ハイブリット自動車や電気自動車内のモータやインバータ等の電源系統の配線に用いられる。
図1(A)の絶縁電線10aとして示す電気ケーブルは、中心導体11(以下、単に導体と言う)が、導体断面積20SQ(20mm)以上で、その絶縁体12をポリオレフィン系の樹脂をベース樹脂としたケーブルを対象とする。
また、図1(B)のシールド電線10bとして示す電気ケーブルは、図1(A)の絶縁電線10aの絶縁体12’の外側に、編組または横巻きで形成したシールド導体13を配し、その外側をシース(外被とも言う)14で覆ったケーブルを対象とする。
【0013】
導体11としては、単線または複数本の素線を撚り合わせた撚線で形成され、銅、軟銅、銀、ニッケルめっき軟銅、錫めっき軟銅等の、一般に汎用されている導体材料からなるものを使用することができる。なお、撚線で形成する場合は、素線径が0.18mm〜0.5mm程度のものが用いられる。
【0014】
また、本発明による電気ケーブルは、導体11の外径をD1とし、絶縁体12の外径をD2とし、シース14の外径をD3としたとき、導体外径D1に対する絶縁体外径D2の比(D2/D1)が1.15〜1.40、あるいは、導体外径D1に対するシース外径D3の比(D3/D1)が1.40〜1.77の範囲にあるケーブルを対象とする。
【0015】
絶縁体12のベース樹脂であるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等の他、樹脂に柔軟性を付与すべくα−オレフィン以外の他の極性を有するモノマーを導入した、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の共重合体も使用することができる。そして、後述するように、上記のベース樹脂に難燃剤、酸化防止剤や架橋剤等の添加剤を添加して導体11の外周に絶縁体12として押出成形される。
【0016】
絶縁体12は、押出成形等によって導体11の外面に均一の厚さで被覆して電気的に絶縁する。また、絶縁被覆としての絶縁体12は、比較的温度の高い環境下で外力を受けた際に変形して電気絶縁性が低下したりするのを防止すべく、その耐熱変形性を向上するために、導体外面に被覆された後に、電離放射線(γ線や電子線など)の照射や過酸化物架橋、シラン架橋などの化学架橋によって架橋処理される。なお、本発明の電気ケーブルは、架橋してもしなくてもよいが、架橋することにより抗張力、耐熱性が向上するので好ましい。また、架橋することにより、後述するセカントモジュラスは数〜数10%上昇する。
シールド電線10bは、絶縁体12’またはシース14のいずれかが絶縁体12と同じ樹脂である。絶縁体12’およびシース14の両方が絶縁体12と同じ樹脂であってもよい。絶縁体12’、シース14の成形は、絶縁体12と同様に押出成形される。押出成形された上に架橋処理されてもよい。
【0017】
本発明は、上述した比較的太径の電気ケーブルで、絶縁体12、12’およびシース14の絶縁体部分のセカントモジュラスを10Pa以上50MPa以下とすることで柔軟性を確保している。これにより、導体サイズの大きな電気ケーブルであっても、電気ケーブルに柔軟性と取り回し性をもたせるようにしている。ここで、セカントモジュラスを10Pa以上としたのは、この値より小さいと、電気ケーブルを押出後巻取る際に変形し、所定の外径とならずに外径不安定となるからである。
【0018】
絶縁体12としては、ベース樹脂に用いるポリオレフィン系樹脂のうちでも、特に、EEAを用いるのが好ましい。EEAは、これに含まれるエチルアクリレート(EA)により結晶化度が小さくなり、本用途に好ましい高い柔軟性が得られ、また、EEAは熱分解開始温度が300℃と高く、ポリオレフィン系樹脂の中では長期老化耐熱性が高く、通電時に発熱する電気ケーブルとして長期に使用するには好ましい。また、燃焼時に炭化層を形成しやすく、炭化層によって酸素が遮蔽され燃焼が阻害されるため、難燃剤の添加量を少なくして、低比重で高難燃性を実現しやすい。なお、コポリマーの含有率は23重量%以上とするのが好ましく、これより小さいと結晶度が大きく柔軟性が低下する。また、絶縁体がオレフィンと極性を有するコモノマーの共重合体、または、この共重合体と、オレフィンとαオレフィン共重合体との混合物であってもよい。
【0019】
表1は、電気ケーブルに用いる絶縁体12、12’またはシース14の樹脂材料とセカントモジュラスの関係を例示したものであり、すべて電子線架橋を行った例を示している。例えば、配合例1は、コモノマー含有率が33重量%のEVAをベース樹脂とし、このEVA100重量部に対し、添加剤として55〜110重量部が添加される。この添加剤は、例えば、難燃剤を55重量部、酸化防止剤を25重量部、滑剤を1.5重量部、架橋助剤を3重量部である。また、例えば、配合例5は、コモノマー含有率が19重量%のEVAとEPゴムの混合物をベース樹脂とし、EVA40重量部、EPゴム60重量部のベース樹脂に対し、添加剤として、難燃剤を55重量部、酸化防止剤を25重量部、滑剤を1.5重量部、架橋助剤を3重量部添加したものである。そして、配合例1〜8までの絶縁材料として、セカントモジュラスが5〜81MPaまでのものを得た。
【0020】
表1で示すように、一般的に、樹脂材料はコモノマーの含有率が大きいほど柔らかくなり、セカントモジュラスは小さくなる。例えば、配合例8では、コモノマー含有率が41重量%のEVAをベース樹脂とし、このEVA100重量部に対し、添加剤として難燃剤を55重量部、酸化防止剤を25重量部、滑剤を1.5重量部、架橋助剤を3重量部添加しているが、セカントモジュラスは5MPaとなっている。しかし、配合例8の樹脂材料は、絶縁被覆の外径を安定して製造することができないため、電気ケーブルに用いて評価を行う前に不適切な配合例になっている。そして、押出被覆形成時に外径不安定とならないためには、先述したようにセカントモジュラスが10MPa以上である必要がある。
【0021】
【表1】
【0022】
また、本発明の電気ケーブルは、ハロゲンフリーあるいは非ハロゲンフリーケーブルとして構成できる。ハロゲンフリーの場合は、難燃材に金属水酸化物(水酸化マグネシウムなど)、窒素系難燃物、三酸化アンチモン、リン系難燃剤(赤リン、リン酸エステル)などを使用すればよく、また、非ハロゲンフリーの場合は、臭素系難燃剤を使用できる。
【0023】
表2は、本発明による電気ケーブルの一例と比較例を示すものであり、導体の断面積が20SQ(20mm)以上で、それぞれ導体の素線径、絶縁体12の厚さ、あるいは、シース14の厚さを変えた電気ケーブルについて、絶縁体12とシース14の樹脂材料として表1で示した配合例の樹脂材料を用いて試作した電気ケーブル(シールド電線)の柔軟性(曲げ剛性)を示したものである。
表2において、編組構成の上段が打数、下段が持数を示す。また、実施例1〜6、実施例8、および比較例の導体は撚撚構造で、表の上段の値が子撚の素線数であり、表の下段の数値が子撚りの数である。
【0024】
【表2】
【0025】
ケーブルの柔軟性は、IEC60794−1−2 Method17cに準拠して、例えば、図2に示すような方法で判定する。固定面20とその固定面20に平行になるように配置した板21の間にケーブル10を置いて180°曲げ、ケーブル10の端を固定部材22によって固定する。板21上にロードセルを置き、曲げ半径が50mmになるまで加えたときの荷重を測定して曲げ剛性(N・mm)を求める。試験は常温で行う。そして、各測定結果について、表3に示すサイズ(導体の断面積SQ)ごとの曲げ剛性の値以下の場合にケーブルは柔軟であるとしている。例えば、導体の断面積が40SQ(40mm)の場合、曲げ剛性が365×10N・mm以下の場合に柔軟であるとする。導体の断面積が小さいケーブルほど、小さい曲率で曲げて使われることが多く、より大きな柔軟性が求められる。そして、表3の値は、図1(B)に示すようなシールド電線について、曲げ伸ばし作業が容易にできる柔軟性を経験値から求めたものである。また、図1(A)に示すような絶縁電線について、曲げ伸ばし作業が容易にできる柔軟性は表4の通りであり、本発明の絶縁電線の曲げ剛性はこれらの値以下である。
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
表2で示す実施例1から実施例8および比較例までは、サイズ(導体の断面積)が20SQから70SQまでの種々のケーブルについて、絶縁体及びシースの配合を配合例1から配合例7までの絶縁材料を用いて曲げ剛性を計測した例を示している。いずれの実施例についても、曲げ剛性は表3で示す値以下であり、柔軟性は良であった。そして、配合例1〜6までの絶縁材料のセカントモジュラスは、10MPa〜50MPaであった。しかし、実施例8のケーブルの絶縁材料を配合例2から配合例7に変更した比較例の場合は、曲げ剛性が701×10N・mmと大きくなり、表3で示す40SQの値365×10N・mmよりも大きく、柔軟性の点で不可であった。
【0029】
以上から、導体の断面積が20SQ(20mm)以上の電気ケーブルについては、セカントモジュラスが10〜50MPaの絶縁材料を用いると、柔軟性の良好なケーブルを得ることができる。そして、ベース樹脂のコモノマーの含有率を変えたり、架橋を行うことによって絶縁材料のセカントモジュラスを変えることができ、絶縁樹脂が極性を有するコモノマーを含むオレフィン系樹脂の場合、コモノマー量が23重量%以上であればゴム成分をベース樹脂に混ぜなくても、セカントモジュラスが50MPaの樹脂を得ることができる。
【0030】
また、表2の結果より、絶縁体外径/導体外径の値に注目して、素線径が0.15mm以上0.5mm以下の素線からなり断面積が20mm以上の導体の外周を、難燃剤を含む絶縁樹脂で被覆し、電気ケーブル径/導体径が1.15以上1.40以下とした電気ケーブルについて、絶縁樹脂のセカントモジュラスが10MPa以上50MPa以下とすれば、柔軟性の良好な電気ケーブルが得られると考えられる。
【符号の説明】
【0031】
10a…絶縁電線、10b…シールド電線、11…中心導体(導体)、12,12’…絶縁体、13…シールド導体、14…シース、20…固定面、21…板、22…固定部材。
図1
図2