(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイル基板上に搭載されて前記マグネットの磁力を検出する複数のホール素子からなり、前記固定部に対する前記オートフォーカスレンズ駆動ユニットの位置を検出する位置検出手段を更に備える、請求項1に記載のレンズ駆動装置。
前記マグネットは前記固定部側に設けられ、前記コイル基板は前記オートフォーカスレンズ駆動ユニット側に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。
前記マグネットは前記オートフォーカスレンズ駆動ユニット側に設けられ、前記コイル基板は前記固定部側に設けられていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレンズ駆動装置。
【背景技術】
【0002】
静止画像の撮影時に手振れ(振動)があったとしても、結像面上での像ブレを防いで鮮明な撮影ができるようにした手振れ補正装置(像ぶれ補正装置)が、従来から種々提案されている。
【0003】
例えば、特開2006−65352号公報(特許文献1)は、複数のレンズ群から成る撮影光学系(結像光学系)中の特定の1つのレンズ群(以下、「補正レンズ」と呼ぶ)を、光軸に対して垂直面内で互いに直交する2方向に移動制御することにより像ぶれを補正する「像ぶれ補正装置」を開示している。特許文献1に開示された像ぶれ補正装置では、補正レンズが、ピッチング移動枠およびヨーイング移動枠を介して、固定枠に対して上下方向(ピッチ方向)および左右方向(ヨー方向)に移動自在に支持されている。
【0004】
特開2008−26634号公報(特許文献2)は、結像光学系の光軸に交わる方向に移動することによって、結像光学系によって形成される像のぶれを補正する補正光学部材を含む「手ぶれ補正ユニット」を開示している。特許文献2に開示された補正光学部材では、補正レンズを保持するレンズ保持枠が、ピッチスライダーおよびヨースライダーを介して、収容筒に対してピッチ方向およびヨー方向に移動自在に支持されている。
【0005】
特開2006−215095号公報(特許文献3)は、小さな駆動力で補正レンズを移動させることができ、迅速、且つ高精度の像ぶれ補正を行なうことのできる「像ぶれ補正装置」を開示している。特許文献3に開示された像ぶれ補正装置は、補正レンズを保持する保持枠と、この保持枠を第1の方向(ピッチ方向)にスライド自在に支持する第1のスライダーと、保持枠を第2の方向(ヨー方向)にスライド自在に支持する第2のスライダーと、第1のスライダーを第1の方向に駆動する第1のコイルモータと、第2のスライダーを第2の方向に駆動する第2のコイルモータとを備えている。
【0006】
特開2008−15159号公報(特許文献4)は、光軸に直交する方向に移動可能に設けられたブレ補正光学系を備えたレンズ鏡筒を開示している。特許文献4に開示されたブレ補正光学系において、VR本体ユニット内に配置された可動VRユニットは、補正レンズ(第3レンズ群)を保持し、光軸に直交するXY平面内で移動可能に設けられている。
【0007】
特開2007−212876号公報(特許文献5)は、移動枠に保持された補正レンズを、レンズ系の光軸に対して互いに直交する第1および第2の方向に移動可能とし、駆動手段により補正レンズの光軸をレンズ系の光軸と一致させるように制御することにより像ぶれを補正可能とした「像ぶれ補正装置」を開示している。
【0008】
特開2007−17957号公報(特許文献6)は、レンズ系により形成される像のぶれを補正するための補正レンズを、レンズ系の光軸と直交する方向であると共に互いに直交する第1の方向及び第2の方向へレンズ駆動部の作動により駆動させて、像ぶれを補正するようにした「像ぶれ補正装置」を開示している。特許文献6に開示された像ぶれ補正装置において、レンズ駆動部は、補正レンズの光軸と直交する方向の一側に配置して設けられている。
【0009】
特開2007−17874号公報(特許文献7)は、移動枠に保持された補正レンズを、レンズ系の光軸と直交する方向であると共に互いに直交する第1の方向及び第2の方向に移動可能とし、補正レンズの光軸をレンズ系の光軸と一致させるように制御することにより像ぶれを補正可能とした「像ぶれ補正装置」を開示している。この特許文献7に開示された像ぶれ補正装置は、相対的に移動可能とされたコイルとマグネットを有する駆動手段を備える。コイル及びマグネットの一方が移動枠に固定され、他方が移動枠を移動可能に支持する支持枠に固定されている。また、この特許文献7に開示された像ぶれ補正装置は、補正レンズの第1の方向に関する位置情報を、マグネットの磁力を検出することにより検出する第1のホール素子と、補正レンズの第2の方向に関する位置情報を、マグネットの磁力を検出することにより検出する第2のホール素子とを備える。
【0010】
上述した特許文献1〜7に開示された像ぶれ補正装置(手振れ補正装置)は、いずれも、補正レンズを光軸と垂直な平面内で移動調整する構造を有している。しかしながら、このような構造の像ぶれ補正装置(手振れ補正装置)は、構造が複雑で、小型化に不向きであるという問題がある。
【0011】
この問題を解決するために、レンズと撮像素子(イメージセンサ)とを保持するレンズモジュール(カメラモジュール)それ自体を揺動させることにより、手振れ(像ぶれ)を補正するようにした、手振れ補正装置(像振れ補正装置)が提案されている。
【0012】
例えば、特開2007−41455号公報(特許文献8)は、レンズと撮像素子とを保持するレンズモジュールと、このレンズモジュールを回動軸により回動可能に支持する枠構造と、回動軸の被駆動部(ロータ)に駆動力を与えることでレンズモジュールを枠構造に対して回動させる駆動手段(アクチュエータ)と、駆動手段(アクチュエータ)を回動軸の被駆動部(ロータ)に付勢する付勢手段(板バネ)とを備えた「光学装置の像振れ補正装置」を開示している。枠構造は、内枠と外枠とから成る。駆動手段(アクチュエータ)は、回動軸の被駆動部(ロータ)に対して光軸と直角方向から当接するように配置されている。駆動手段(アクチュエータ)は、圧電素子と回動軸側の作用部とからなる。作用部は、圧電素子の縦振動および屈曲振動により回動軸を駆動する。
【0013】
また、特開2007−93953号公報(特許文献9)は、撮影レンズ及びイメージセンサを一体化したカメラモジュールを筐体の内部に収容するとともに、カメラモジュールを撮影光軸と直交し、かつ互いに直角に交差する第一軸と第二軸とを中心に揺動自在に筐体に軸着し、手振れセンサで検出された筐体の振れに応じてカメラモジュール全体の姿勢を筐体内部で制御して、静止画像撮影時の手振れを補正するようにした「カメラの手振れ補正装置」を開示している。特許文献9に開示されたカメラの手振れ補正装置は、カメラモジュールが固定された内枠をその外側から第一軸を中心に揺動自在に支持する中枠と、筐体に固定され、中枠をその外側から第二軸を中心に揺動自在に支持する外枠と、中枠に組み込まれ、手振れセンサ(ピッチ方向の手振れを検出する第1のセンサモジュール)からの手振れ信号に応じて内枠を第一軸の回りに揺動させる第一駆動手段と、外枠に組み込まれ、手振れセンサ(ヨー方向の手振れを検出する第2のセンサモジュール)からの手振れ信号に応じて中枠を第二軸の回りに揺動させる第二駆動手段とを備える。第一駆動手段は、第1のステッピングモータと、その回転を減速する第1の減速ギヤトレインと、最終段のギヤと一体に回転して内枠に設けられた第1のカムフォロアを介して内枠を揺動させる第1のカムとから成る。第二駆動手段は、第2のステッピングモータと、その回転を減速する第2の減速ギヤトレインと、最終段のギヤと一体に回転して中枠に設けられた第2のカムフォロアを介して中枠を揺動させる第2のカムとから成る。
【0014】
特開2007−41418号公報(特許文献10)は、振れ補正機構(回転支持機構)により揺動駆動されるレンズ鏡筒(被駆動物)への塵埃等の付着を未然に防止でき、またカメラ(撮像装置)本体ボディ等に取り付ける際の相対位置調整を行うことができる、回転支持機構を開示している。特許文献10に開示された回転支持機構は、撮像装置の本体ボディ等に一体化される固定体と、この固定体にジンバル機構により回転揺動可能に支持される可動体と、この可動体に揺動力を与えるアクチュエータとを有する。可動体には、揺動駆動される所定の被駆動物を保持する保持空間と、この保持空間に繋がる開口部とが備えられる。また、特許文献10に開示された回転支持機構は、撮像手段のための第1フレキシブル基板と、露出制御手段及び焦点調節手段のための第2フレキシブル基板と、アクチュエータのための第3フレキシブル基板とを備え、それらフレキシブル基板を固定体の外周で引き回している。
【0015】
尚、特開2007−142938号公報(特許文献11)は、ジャイロなどの角速度センサを用いて、撮影時の手ぶれを補正する機能を有する、携帯情報端末器を開示している。撮影画像の手ぶれの補正を行うには、カメラレンズの光軸と直交する面内に、互いに直交し合う、基準となるピッチ軸とヨー軸を設定し、ピッチ軸を回転の中心軸とする回転と、ヨー軸を回転の中心軸とする回転との両方の角速度を検出する必要がある。特許文献11は、撮像装置の側面に、ピッチ軸回りの回転の回転角速度を検出する第1のジャイロと、ヨー軸回りの回転の回転角速度を検出する第2のジャイロとを配置したものを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
前述した特許文献1〜7に開示された像ぶれ補正装置(手振れ補正装置)は、いずれも、補正レンズを光軸と垂直な平面内で移動調整しているので、構造が複雑で、小型化に不向きであるという問題がある。
【0018】
一方、特許文献8に開示された像振れ補正装置では、駆動手段(アクチュエータ)として、圧電素子と回動軸側の作用部とからなるアクチュエータを使用している。作用部を楕円運動させて、ロータ(被駆動部)を回動させている。ロータ(被駆動部)とアクチュエータの作用部の作用点で磨耗が生じると、正確な接触が阻害される恐れがある。その為、この磨耗を減らすために、ロータ(被駆動部)として特別の材質のものを使用する必要がある。更に、圧電素子と作用部とからなるアクチュエータでは、作用部をロータ(被駆動部)に接触させているため、レンズモジュール(オートフォーカスレンズ駆動ユニット)をその中立位置(初期位置)に戻すことは困難である。
【0019】
また、特許文献9に開示された手振れ補正装置では、駆動手段として、ステッピングモータと減速ギヤトレインとカムとの組み合わせを使用している。そのため、トーションバネの付勢により、カムフォロアをカムのカム面に当接させる必要がある。従って、駆動手段の構成が複雑になってしまう。また、カムフォロアをカムのカム面に当接させているため、カメラモジュール(オートフォーカスレンズ駆動ユニット)をその中立位置(初期位置)に戻すことは困難である。
【0020】
特許文献10に開示された振れ補正機構(回転支持機構)では、フレキシブル基板を固定体の外周で引き回す必要があり、配線が困難になるという問題がある。
【0021】
尚、特許文献11に開示された携帯情報端末器は、手振れセンサとしてジャイロなどの角速度センサを使用したものを開示しているに過ぎない。
【0022】
したがって、本発明の解決課題は、配線を容易に行うことができる、レンズ駆動装置、カメラユニット、およびカメラを提供することにある。
【0023】
本発明の他の解決課題は、オートフォーカスレンズ駆動ユニットをその中立位置(初期位置)に容易に戻すことが可能な、小型のレンズ駆動装置、カメラユニット、およびカメラを提供することにある。
【0024】
本発明の他の目的は、説明が進むにつれて明らかになるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明によれば、レンズ可動部を光軸(O)方向に移動させるオートフォーカスレンズ駆動ユニットと;このオートフォーカスレンズ駆動ユニットを保持する保持部材(32)と;この保持部材(32)を介してオートフォーカスレンズ駆動ユニットと離間した位置に配置される固定部(36;36A,41)と;マグネット(42)と、このマグネットと対向して設けられたコイル(44−1,44−2)と、このコイルが配置されたコイル基板(44)とからなり、オートフォーカスレンズ駆動ユニットを固定部(36;36A,41)に対し、光軸(O)に直交しかつ互いに交差する方向に
揺動させるボイスコイルモータ(40)と;保持部材(32)と固定部(36;36A,41)との間に光軸(O)に関して回転対称に配置され、オートフォーカスレンズ駆動ユニットをその中立位置に戻すように作用する複数の中立保持バネ(60;60A)と;を備え、複数の中立保持バネ(60;60A)は、コイル基板(44)に半田により電気的に接続されて
おり、オートフォーカスレンズ駆動ユニットとコイル基板(44)と固定部(36;36A,41)とが、この順番で光軸(O)方向に配置されていることを特徴とするレンズ駆動装置(30;30A)が得られる。
【0026】
上記本発明によるレンズ駆動装置(30;30A)において、コイル基板(44)上に搭載されてマグネット(42)の磁力を検出する複数のホール素子(51,52)からなり、固定部(36;36A,41)に対するオートフォーカスレンズ駆動ユニットの位置を検出する位置検出手段(50)を更に有してよい。位置検出手段(50)は、オートフォーカスレンズ駆動ユニットの光軸(O)に直交する第1の方向の移動に伴う第1の位置を検出する第1のホール素子(51)と、第1の方向と直交する第2の方向の移動に伴う第2の位置を検出する第2のホール素子(52)と、から構成されてよい。また、マグネット(42)は固定部(36;36A,41)側に設けられ、コイル基板(44)はオートフォーカスレンズ駆動ユニット側に設けられてよい。その代わりに、マグネット(42)はオートフォーカスレンズ駆動ユニット側に設けられ、コイル基板(44)は固定部(36;36A,41)側に設けられてもよい。
【0027】
また、本発明によれば、上記レンズ駆動装置(30;30A)を搭載したことを特徴とする、カメラユニット(10;10A)が得られる。カメラユニットにおいて、レンズにより結像された被写体像を撮像して電気信号に変換する撮像素子を搭載してよい。さらに、外側にシールドケースを付けてもよい。
【0028】
尚、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、これらに限定されないのは勿論である。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、保持部材と固定部との間に、光軸に関して回転対称に複数の中立保持バネを配置して、複数の中立保持バネとコイル基板とを半田で電気的に接続したので、配線を容易に行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0032】
図1乃至
図3を参照して、本発明の第1の実施の形態による手振れ補正装置30を含むカメラユニット10について説明する。
図1はカメラユニット10を示す分解斜視図である。
図2は
図1に示したカメラユニット10の組立斜視図である。
図3は
図1に示したカメラユニット10の正面断面図である。
【0033】
カメラユニット10は、カメラモジュール20と手振れ補正装置30とから構成される。カメラモジュール20は、後述するレンズと撮像素子とを保持する。図示のカメラモジュール20は、オートフォーカスレンズ駆動ユニットを含む。
【0034】
オートフォーカスレンズ駆動ユニットは、レンズ可動部とレンズ駆動部とから構成される。レンズ駆動部は、レンズ可動部を光軸O方向に摺動可能に支持しながら、レンズ可動部を駆動する。
【0035】
カメラモジュール20は、モジュール筐体22を備える。モジュール筐体22は、カップ状の上側カバー24と下側ベース26とを含む。上側カバー24の上面は、レンズの光軸Oを中心軸とした円形開口24aを有する。一方、下側ベース26の中央部には、基板(図示せず)に配置された撮像素子(後述する)が搭載される。この撮像素子は、レンズ(後述する)により結像された被写体像を撮像して電気信号に変換する。撮像素子は、例えば、CCD(charge coupled device)型イメージセンサ、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサ等により構成される。
【0036】
手振れ補正装置30は、カメラモジュール20を、光軸Oに直交し、かつ互いに交差する第1の軸Pと第2の軸Yとの回りに揺動させることにより、手振れを補正するためのものである。図示の例では、第1の軸Pはピッチ方向に延在するピッチ軸であり、第2の軸Yはヨー方向に延在するヨー軸である。
【0037】
手振れ補正装置30は、内枠32と中枠34と外枠36とを含む。内枠32は、その内部にカメラモジュール20を固定(保持)するためのものである。内枠32は、第1の軸(ピッチ軸)Pの方向(ピッチ方向)に、中枠34に向けて外側へ突出する一対のピッチ支軸32a、32a(
図1では一方のみ図示する)を有する。中枠34は、内枠32をその外側から第1の軸(ピッチ軸)Pの回りに揺動自在に支持する。このため、中枠34は、第1の軸(ピッチ軸)Pの方向(ピッチ方向)に延在する一対のピッチ受け部(受け孔)34a、34a(
図1では一方のみ図示する)を持ち、これら一対のピッチ受け部(受け孔)34a、34aには上記一対のピッチ支軸32a、32aが挿入される。
【0038】
中枠34は、第2の軸(ヨー軸)Yの方向(ヨー方向)に、外枠36に向けて外側へ突出する一対のヨー支軸34b、34bを有する。外枠36は、中枠34をその外側から第2の軸(ヨー軸)Yの回りに揺動自在に支持する。そのため、外枠36は、第2の軸(ヨー軸)Yの方向(ヨー方向)に延在する一対のヨー受け部(受け孔)36a、36a(
図1では一方のみを図示する)を持ち、これら一対のヨー受け部(受け孔)36a、36aには上記一対のヨー支軸34b、34bが挿入される。外枠36は、下端部側が膨らんだスカート部362を備える。
【0039】
尚、外枠36は、後述するカメラ付き携帯電話100(
図7)の筐体に固定されている。
【0040】
上記実施の形態では、2軸嵌合部が、凹凸の円柱状で形成されている。すなわち、一対のピッチ支軸32a、32aと一対のヨー支軸34b、34bの各々は、凸の円柱状をしており、一対のピッチ受け部(受け孔)34a、34aと一対のヨー受け部(受け孔)36a、36aの各々は、凹の円柱状をしている。このため、2軸嵌合部でクリアランスが多少発生する可能性がある。この対策として、支軸を円錐形状とし、受け部(受け孔)をすり鉢形状としても良い。
【0041】
手振れ補正装置30は、内枠32の底部と外枠36の底部とに設けられたボイスコイルモータ(VCM)40(後述する)を更に備えている。ボイスコイルモータ40は、内枠32および中枠34を、それぞれ、第1の軸(ピッチ軸)Pおよび第2の軸(ヨー軸)Yの回りで揺動させるように駆動する。
【0042】
次に、手振れ補正装置30に使用されるボイスコイルモータ(VCM)40について説明する。
【0043】
ボイスコイルモータ(VCM)40は、外枠36の底部に取付けられたベース41と、このベース41上に配置された平板の4つの単極マグネットから成る4極着磁マグネット42と、この4極着磁マグネット42に対向して内枠32に設けられたコイル基板44と、4極着磁マグネット42の背面に取り付けられたバックヨーク46とから構成されている。
【0044】
4極着磁マグネット42の4磁極は、外枠36の中心軸Cの回りに回転対称に設けられている。コイル基板44には、4極着磁マグネット42の隣接する磁極間に跨るように、光軸Oを中心として90度の角度間隔離間した位置に配置された第1及び第2のコイル44−1および44−2が配置されている。
【0045】
図示のコイル基板44は、複数層の多層基板から成る。したがって、第1及び第2のコイル44−1、44−2はコイル基板(多層基板)44の内部に形成されている。
【0046】
図4はコイル基板44の正面図である。第1のコイル44−1は、光軸Oからピッチ方向Pに離間して配置されている。第2のコイル44−2は、光軸Oからヨー方向Yに互いに離間して配置されている。第1のコイル44−1は、カメラモジュール20を第1の軸(ピッチ軸)Pの回りに揺動するために使用されるので、ピッチング用コイルパターンとも呼ばれる。第2のコイル44−2は、カメラモジュール20を第2の軸(ヨー軸)Yの回りに揺動するために使用されるので、ヨーイング用コイルパターンとも呼ばれる。
【0047】
第1及び第2のコイル44−1、44−2に電流が流れていない状態(非通電時)では、後述する4枚のフレキシブルプリント基板60は、カメラモジュール20をその中立位置(初期位置)に保持している。その為、非通電時では、
図3から明らかように、光軸Oと外枠36の中心軸Cとが一致している。
【0048】
また、4極着磁マグネット42は、オートフォーカス対応カメラモジュール20に磁界の影響を与えないように、外枠36の底面に配置されている。
【0049】
尚、図示の例では、マグネット42として、バックヨーク46上に平板の4つの単極マグネットを配置したものを使用しているが、1個の4極着磁マグネットを使用しても良いのは勿論である。
【0050】
図示の手振れ補正装置30は、外枠36に対する内枠32の位置を検出するための位置検出手段50を更に備えている。図示の位置検出手段50は、コイル基板44上に搭載された、第1および第2のホール素子51、52から構成されている。第1のホール素子51は、光軸Oからピッチ方向Pに第1のコイル44−1と対向した位置で、コイル基板44上に搭載されている。第2のホール素子52は、光軸Oからヨー方向Yに第2のコイル44−1と対向した位置で、コイル基板44上に搭載されている。第1のホール素子51は、4極着磁マグネット42の磁力を検出することにより、第1の軸(ピッチ軸)Pの回りの揺動に伴う第1の位置(ピッチング位置)を検出する。第2のホール素子52は、4極着磁マグネット42の磁力を検出することにより、第2の軸(ヨー軸)Yの回りの揺動に伴う第2の位置(ヨーイング位置)を検出する。
【0051】
換言すると、第1および第2のホール素子51および52は、第1および第2のコイル44−1および44−2とは異なる位置で、かつ光軸Oを中心として90度の角度間隔離間した位置に配置されている。
【0052】
このように、本実施の形態では、第1および第2のコイル44−1および44−2の対向部に第1および第2のホール素子51および52を配置しているので、他軸が傾いてもギャップ(ホール素子とマグネット42との間の隙間)の変動を小さくすることができる。その結果、第1および第2のホール素子51および52の感度変動を少なくすることができる。
【0053】
図5は、内枠32とコイル基板44と4枚のフレキシブルプリント基板60との組立体を裏面側から見た斜視図である。また、
図6は1枚のフレキシブルプリント基板60を示す平面図である。
【0054】
内枠32は実質的に四角筒状をしており、外枠36も実質的に四角筒状をしている。換言すれば、内枠32は4枚の側板322から構成されており、外枠36のスカート部362も4枚の側板から構成されている。内枠32の4枚の側板322と外枠のスカート部(4枚の側板)362との間に、4枚のフレキシブルプリント基板60が配置されている。各フレキシブルプリント基板60は、
図3に示されるように、U字形に折り曲げられている。これら4枚のフレキシブルプリント基板60は、カメラモジュール20をその中立位置(初期位置)に戻すように作用する。
【0055】
4枚のフレキシブルプリント基板60は、カメラ出力信号の経路として、第1および第2のホール素子51および52からの位置検出信号の経路として、及び第1および第2のコイル44−1および44−2に電流を印加するための経路として使用される。
【0056】
図6に示されるように、各フレキシブルプリント基板60は、第1の端61と第2の端62とを持つ。フレキシブルプリント基板60の第1の端61は、
図5に示されるように、コイル基板44に半田により電気的に接続される。一方、フレキシブルプリント基板60の第2の端62は、
図2に示されるように、プリント配線基板70と半田により電気的に接続される。尚、プリント配線基板70の代わりに、フレキシブルプリント基板を使用してもよい。
【0057】
このように、本発明の第1の実施の形態では、4枚のフレキシブルプリント基板60を内枠32と外枠36との間に配置したので、配線を容易に行うことができる。また、4枚のフレキシブルプリント基板60を中立保持バネとしても使用しているので、ばね性の安定化を図ることができる。4枚のフレキシブルプリント基板60のみでカメラモジュール20の中立位置を保持しているので、軸周りの負荷を低減することができる。
【0058】
次に、
図4を参照して、ボイスコイルモータ(VCM)40の動作について説明する。
【0059】
第1および第2のコイル44−1、44−2に通電していないとき、光軸Oと外枠36の中心軸Cとは一致している。すなわち、カメラモジュール20は中立位置(初期位置)に置かれている。このとき、第1および第2のホール素子51、52は出力電圧を発生しない。
【0060】
この状態において、第1のコイル(ピッチング用コイルパターン)44−1に電流を流したとする。この場合、4極着磁マグネット42の磁界(磁束)とピッチング用コイルパターン44−1を流れる電流との相互作用により、フレミングの左手の法則によって、ピッチング用コイルパターン44−1に電磁力(推力)が発生する。その結果、内枠32(カメラモジュール20)は、第1の軸(ピッチ軸)Pの回りに揺動する。
【0061】
コイルの推力と中立保持バネ60との付勢力とが釣り合ったところで、外枠36に対して内枠32(カメラモジュール20)が保持される。
【0062】
このとき、第1のホール素子51は、4極着磁マグネット42に対する第1の位置(ピッチング位置)がずれので、その第1の位置(ピッチング位置)に対応した電圧を発生する。
【0063】
一方、第2のコイル(ヨーイング用コイルパターン)44−2に電流を流したとする。この場合、4極着磁マグネット42の磁界(磁束)とヨーイング用コイルパターン44−2を流れる電流との相互作用により、フレミングの左手の法則によって、ヨーイング用コイルパターン44−2に電磁力(推力)が発生する。その結果、内枠32(カメラモジュール20)は、第2の軸(ヨー軸)Yの回りに揺動する。コイルの推力と中立保持バネ60の付勢力とが釣り合ったところで、外枠36に対して内枠32(カメラモジュール20)が保持される。第2のホール素子52は、4極着磁マグネット42に対する第2の位置(ヨーイング位置)がずれので、その第2の位置(ヨーイング位置)に対応した電圧を発生する。
【0064】
図7は、
図1乃至
図3に示したカメラユニット10を搭載したカメラ付き携帯電話100の構成を示すブロック図である。
【0065】
カメラモジュール20は、複数のレンズL1、L2、L2と、撮像素子28とを保持している。図示の例では、レンズL2が、オートフォーカスレンズである。
【0066】
カメラ付き携帯電話100は、全体制御部110を有する。全体制御部110は、振れ補正制御部112を内蔵している。全体制御部100は、タイミングジェネレータ(TG)122に接続されている。撮像素子28で撮像された信号は、アナログ処理部(AFE)124に供給される。タイミングジェネレータ(TG)122は、タイミング信号を撮像素子28とアナログ処理部(AFE)124に供給する。アナログ処理部(AFE)124で処理された信号は、画像処理部126で画像処理された後、画像メモリ128に記録(保存)される。画像処理部126と画像メモリ128は、全体制御部110で制御される。
【0067】
全体制御部110には、表示部130と画像記録部132とが接続されている。また、全体制御部110は、フォーカス制御部134にフォーカス指令信号を送出する。このフォーカス指令信号に応答して、フォーカス制御部134は、カメラモジュール20内のレンズL2を光軸に沿って移動させる。全体制御部110は、シャッタ駆動部136へシャッタ制御信号を送出する。このシャッタ制御信号に応答して、シャッタ駆動部136はカメラユニット10のシャッタ(図示せず)を駆動する。
【0068】
図8は、手振れ補正装置(手振れ補正機構)30を制御する手振れ補正アクチュエータ200の構成を示すブロック図である。
【0069】
カメラ付き携帯電話100の筐体(図示せず)には、ピッチ方向の振れ(ピッチ軸Pの回りの振れ)を検出するためのピッチ方向ジャイロ202と、ヨー方向の振れ(ヨー軸Yの回りの振れ)を検出するためのヨー方向ジャイロ204とが設けられている。
【0070】
ピッチ方向ジャイロ202は、ピッチ方向の角速度を検出し、検出したピッチ方向の角速度を表すピッチ方向角速度信号(第1の角速度信号)を出力する。ヨー方向ジャイロ204は、ヨー方向の角速度を検出し、検出したヨー方向の角速度を表すヨー方向角速度信号(第2の角速度信号)を出力する。第1および第2の角速度信号は、振れ補正制御部112に供給される。振れ補正制御部112には、シャッターボタン206からシャッタ操作指令信号が供給される。
【0071】
振れ補正制御部112は、第1及び第2の角速度検出信号からカメラ付き携帯電話100の筐体の振れを検出する振れ検出回路212と、シャッタ操作指令信号を受けるシーケンスコントロール回路214とを有する。振れ検出回路212は、フィルタ回路と増幅回路とを含む。振れ検出回路212は、振れ検出信号を振れ量検出回路216に供給する。振れ量検出回路216は、振れ検出信号からカメラ付き携帯電話100の筐体の振れ量を検出し、振れ量検出信号を係数変換回路218へ送出する。係数変換回路218は、振れ量検出信号を係数変換し、係数変換した信号を制御回路220へ送出する。この制御回路220には、手振れ補正装置(手触れ補正機構)30に設けられている位置検出手段(位置センサ)50からの位置検出信号が供給される。
【0072】
制御回路220は、係数変換した信号に応答して、位置検出信号に基いて、振れ検出回路212で検出された振れを相殺するような制御信号を出力する。シーケンスコントロール回路214は、シャッタ操作指令信号に応答して、振れ量検出回路216、係数変換回路218、および制御回路220のタイミングを制御する。制御信号は、駆動回路222に供給される。
【0073】
前述したように、手振れ補正装置(手触れ補正機構)30は、ボイスコイルモータ40として、カメラモジュール20を第1の軸(ピッチ軸)Pの回りに揺動するためのピッチング用コイルパターン44−1と、カメラモジュール20を第2の軸(ヨー軸)Yの回りに揺動するためのヨーイング用コイルパターン44−2とを備えている。ピッチング用コイルパターン44−1は、第1方向アクチュエータ44Pとも呼ばれ、ヨーイング用コイルパターン44−2は、第2方向アクチュエータ44Yとも呼ばれる。とにかく、手振れ補正装置(手触れ補正機構)30は、第1方向アクチュエータ44Pと第2方向アクチュエータ44Yとを含む。
【0074】
駆動回路222は、制御信号に応答して、第1方向アクチュエータ44Pおよび第2方向アクチュエータ44Yを駆動する。
【0075】
このような構成により、カメラ付き携帯電話100の筐体の振れを打ち消すように、カメラモジュール20を揺動させることができる。その結果、手振れを補正することができる。
【0076】
図9を参照して、本発明の第2の実施の形態による手振れ補正装置30Aを含むカメラユニット10Aについて説明する。
図9はカメラユニット10Aを示す分解斜視図である。
【0077】
図示の手振れ補正装置30Aは、外枠と4枚のフレキシブルプリント基板とが後述するように変更されている点を除いて、
図1乃至
図3に図示した手振れ補正回路30と同様の構成を有する。したがって、外枠および4枚のフレキシブルプリント基板に、それぞれ、36Aおよび60Aの参照符号を付してある。
図1乃至
図3に示した構成要素と同一のものには同一の参照符号を付し、説明の簡略化のために、以下では異なる点についてのみ説明する。
【0078】
外枠36Aは、実質的に四角筒状をしている。すなわち、外枠36Aは4枚の側板362Aから構成されている。内枠32の4枚の側板322と外枠36Aの4枚の側板362Aとの間に、4枚のフレキシブルプリント基板60Aが配置されている。
【0079】
図10は1枚のフレキシブルプリント基板60Aを示す平面図である。
【0080】
図6に示したフレキシブルプリント基板60は垂直方向に延在しているが、
図10に示したフレキシブルプリント基板60Aは水平方向に延在している。
【0081】
各フレキシブルプリント基板60Aは、
図9に示されるように、互いに隣接する側板に渡って橋架されている。これら4枚のフレキシブルプリント基板60Aは、カメラモジュール20をその中立位置(初期位置)に戻すように作用する。
【0082】
図10に示されるように、各フレキシブルプリント基板60Aは、第1の端61Aと第2の端62Aとを持つ。フレキシブルプリント基板60Aの第1の端61Aは、コイル基板44に半田により電気的に接続される。一方、フレキシブルプリント基板60Aの第2の端62Aは、
図2に示されるようなプリント配線基板70に半田により電気的に接続される。
【0083】
このように、本発明の第2の実施の形態でも、4枚のフレキシブルプリント基板60Aを内枠32と外枠36Aとの間に配置したので、配線を容易に行うことができる。また、4枚のフレキシブルプリント基板60Aを中立保持バネとしても使用しているので、ばね性の安定化を図ることができる。さらに、図示の手振れ補正装置30Aでは、中立保持バネとして働く4枚のフレキシブルプリント基板60Aの付勢力を、手振れ補正装置30において使用されるフレキシブルプリント基板60よりも小さくすることが可能である。これにより、内枠32の回転運動に対する4枚のフレキシブルプリント基板60Aの影響を少なくすることができる。また、第1および第2のコイル44−1、44−2に流す電流を少なくできるので、消費電力を少なくすることができる。
【0084】
上述したように、本発明による手振れ補正装置では、カメラモジュール20が規格化されたカメラモジュールであればどのようなものでも、その手振れを補正することが可能である。
【0085】
以上、本発明についてその好ましい実施の形態によって説明してきたが、本発明の精神を逸脱しない範囲内で、種々の変形が当業者によって可能であるのは明らかである。例えば、上述した実施の形態では、ボイスコイルモータは、外枠に設けた4極着磁マグネットと、内枠に設けたコイル基板とから構成されているが、このような構造のものに限定されてない。例えば、ボイスコイルモータは、内枠に設けた4極着磁マグネットと、外枠に設けたコイル基板とから構成されても良い。また、上記実施の形態では、位置検出手段(位置センサ)として、ホール素子を使用しているが、他の位置検出手段(位置センサ)を使用しても良い。なお、カメラユニットの外側に導電性シールドケースを付けることで、EMC対策を行っても良い。