(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気掃除機によれば、集塵部を掃除機本体にセットしたときに、掃除機本体のハンドルと集塵部のハンドルとが連続して位置するため、集塵部のハンドルを持って掃除機本体を持ち運ぶことが屡々あり、このため集塵部のロック装置に大きな負荷が掛って樹脂製のロック装置が破損することがあり、場合によっては、運搬中にロック装置が破損して掃除機本体が落下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、掃除機本体を移動するときなどに、集塵部のハンドルを持つことがなく、ロック部が破損したり掃除機本体が落下したりすることのない安全な電気掃除機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気掃除機は、含塵空気から塵埃を分離する旋回室、及び該旋回室で分離された塵埃を捕集する有底の集塵室からなり、持ち手としてのハンドルが設けられた集塵部と、集塵部を着脱可能に取り付けるためのロック部を有する掃除機本体と、を備え、集塵部は、旋回室
の下端部と集塵室とが着脱自在に分離され、ハンドルは集塵室の
旋回室側から底側に向かって当該集塵室の外壁面に設けられるとともに、旋回室と集塵室とを分離する操作ボタンがハンドルの旋回室側端部に設けられ、集塵部内の塵埃を廃棄するときは、ハンドルを持って、操作ボタンを
圧下して旋回室と集塵室とを分離し、集塵室の上部から廃棄し、集塵部は、ハンドルを掃除機本体内に収容して該掃除機本体に取り付けるように構成したものである。
また、本発明に係る電気掃除機は、含塵空気から塵埃を分離する旋回室、及び該旋回室で分離された塵埃を捕集する有底の集塵室からなり、持ち手としてのハンドルが設けられた集塵部と、集塵部を着脱可能に取り付けるためのロック部を有する掃除機本体と、を備え、掃除機本体は、上面に形成された集塵部の取付部に設けられハンドルが収容されるハンドル収容部を備え、集塵部は、旋回室
の下端部と集塵室とが着脱自在に分離され、ハンドルは集塵室の
旋回室側から底側に向かって当該集塵室の外壁面に設けられるとともに、旋回室と集塵室とを分離する操作ボタンがハンドルの旋回室側端部に設けられ、集塵部内の塵埃を廃棄するときは、ハンドルを持って、操作ボタンを
圧下して旋回室と集塵室とを分離し、集塵室の上部から廃棄し、集塵部が掃除機本体に取り付けられたときにハンドルを把持できないようにハンドルをハンドル収容部に収容して、集塵部を取付部に着脱可能に取り付けるように構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、集塵部を掃除機本体に取付ける場合、集塵部に設けたハンドルを掃除機本体内に収容するようにしたので、掃除機本体を移動する際に集塵部のハンドルを持つことがなく、このため、ロック部が破損したり掃除機本体が落下したりすることのない安全で信頼性の高い電気掃除機を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の一実施の形態に係る電気掃除機の全体構成を示す斜視図、
図2は
図1の
掃除機本体から集塵部を取外した状態を示す斜視図である。
掃除機本体1は、前面に後述のホースユニット60の接続口2を有し、この接続口2を
囲むようにして門型のハンドル3が設けられている。
【0010】
そして、一方の側には、一端が接続口2に連通し、他端に流出口5を有する吸引風路4が設けられており、他方の側には排気口6が設けられている。7は吸引風路4と排気口6との間に形成された後述の集塵部20の取付部(以下、集塵部取付部という)で、前面側の幅方向の中央部には、後述の集塵部20のハンドル31に対応した形状で凹状のハンドル収容部8が設けられている。11は後部側に設けられて、後述の集塵部20の係止爪25aが係止する係止部(ロック部)、12は排気流入口である。
【0011】
また、集塵部の取付部7の下に形成されて排気流入口12と連通する室には、
図7に示すように、電動送風機13、フィルタ14、さらには電動送風機13の制御部や電源コードのコードリール(いずれも図示せず)などが設けられている。15は後部両側に設けられた後車輪、16(
図7)は底板の前面側に設けられた前車輪である。
【0012】
ホースユニット60は、一端が掃除機本体1の接続口2に着脱可能に接続され、他端に操作部63を有する手元ハンドル62が接続された蛇腹状のホース61と、手元ハンドル62に着脱可能に接続された吸引パイプ64と、吸引パイプ64に着脱可能に接続された吸込み口体65とからなっている。
【0013】
次に、
図3〜
図6により集塵部20について説明する。
集塵部20は、複数のパーツ22a,22b,22cを連結してなる旋回室22と、この旋回室22の下端部に着脱可能に連結された集塵室30とからなっており、旋回室22を構成する複数のパーツ22a〜22cは、その前面側と背面側に設けた各一対のロック部23a,23bによりロックされている。24は旋回室22の上面に設けられたロック部で、掃除機本体1の係止部11に係止する係止爪25aを有するロックレバー25(
図7)、このロックレバー25を操作する操作ボタン26を備えている。27は前面側のロック部23aを覆う前面カバーである。
【0014】
31は集塵室30の背面側に設けられたほぼ三角形状のハンドルで、上部には集塵室30を旋回室22に着脱可能に連結してロックするロック部32が設けられている。このロック部32は、
図8に示すように、ハンドル31の上面には、ボタンカバー33がねじ及び爪で固定されており、ハンドル31に設けた軸35には、先端部に係止爪34aを有するほぼL字状の係止レバー34と一体に成形された操作ボタン36が回動可能に支持され、ハンドル31との間に介装されたばね37により常時上方に付勢されており、係止爪34aが旋回室22に設けた係止部28に係止している。38は操作ボタン36の両側においてボタンカバー33に設けられたガイドリブで、操作ボタン36の上面より高く形成されている。
【0015】
上記のように構成したロック部32は、集塵室30を旋回室22に連結すると、係止レバー34の係止爪34aが旋回室22の係止部28に係止し、自動的にロックされる。
また、操作ボタン36を圧下すると、操作ボタン36と一体に成形された係止レバー34は、軸35を中心に時計方向周りに回動し、係止爪34aを旋回室22の係止部28から離脱し、ロックを解除する。
【0016】
旋回室22は、
図5、
図6に示すように、一次サイクロン部40とこれに並設された二次サイクロン部50とからなっている。一次サイクロン部40において、41は掃除機本体1の流出口5に接続される一次流入口で、一次旋回室42に連通しており、この一次旋回室42は、円筒部と下部になるにしたがって縮径されて下端部が開口された円錐部とからなっている。43は円筒部と下部になるにしたがって縮径された円錐部とからなり、周壁に多数の小孔が設けられて一次旋回室42の上部に設けられた一次流出口体で、二次流入口46に開口している。44は一次旋回室42の周壁に設けられた開口部、45は一次旋回室42の下部外周に設けられた一次集塵室である。
【0017】
二次サイクロン部50において、51は円筒部と下部になるにしたがって縮径された円錐部とからなる二次旋回室で、下端部には二次集塵室52が設けられている。53は二次旋回室51の下部外周から二次集塵室52の外周にかけて形成された0次集塵室で、一次旋回室42の開口部44と連通している。54は二次旋回室51の上部に設けられて、掃除機本体1の排気流入口12に接続される二次排出口である。なお、上記の説明では、集塵部20を構成する旋回室22を、複数のバーツ22a〜22cを連結して構成した場合を示したが、旋回室22は1個のパーツで構成してもよい。
【0018】
次に、上記のように構成した集塵部20の掃除機本体1への取付手順の一例について、
図7、
図8により説明する。
先ず、集塵部20を、集塵室30の前面カバー27を前面側(接続口2側)にし、ハンドル31を下にして掃除機本体1の取付部7上に位置させる。そして、ハンドル31をハンドル収容部8内に挿入し、先端部(集塵室30の底部)を接続口2の背面側に設けた壁面9に押し付ける。ここで、集塵部20が掃除機本体1に取り付けられたときに、ハンドル31を使用者が把持できないようにハンドル31をハンドル収容部8に収容して、集塵部20が取付部7に着脱可能に取付けられる。
【0019】
このとき、ハンドル31の下に設けた係止片39が、ハンドル収容部8の底部と壁面9との間に形成されたすき間10に挿入される。そして、後部側を圧下すると、ロック部24の係止爪25aが掃除機本体1に設けた係止部11に係止し、自動的にロックされる。
【0020】
これにより、集塵部20は掃除機本体1に装着され、集塵部20の一次流入口41は吸引風路4の流出口5に接続され、二次排出口54は排気流入口12に接続される。
そして、前面側は係止片39がハンドル収容部8の底板と壁面9との間に形成されたすき間10に挿入され、後部側は掃除機本体1に設けた係止部11に集塵部20のロック部24の係止爪25aが係止するので、集塵部20は掃除機本体1に確実に取付けられる。
【0021】
このようにして、ホースユニット60から流入した含塵空気が、吸引風路4、一次流入口41、一次旋回室42、二次流入口46、二次旋回室51を順次通過して清浄化され、二次排出口54から掃除機本体1内に導かれて、排気口6から外部へ排出される風路が形成される。
【0022】
集塵部20を掃除機本体1から取り外すときは、集塵部20の上面に設けたロック部24の操作ボタン26を前面カバー27側に引くことにより、ロックレバー25を回動させて係止爪25aを係止部11から離脱させてロックを解除し、集塵部20を前方に引きながら上方に取出せばよい。
なお、集塵部20の掃除機本体1への着脱にあたっては、集塵室30のハンドル31の上に設けたロック部32がハンドル収容部8の周壁などに接触することがあるが、操作ボタン36の両側にはこれより高いガイドリブ38が設けられているので、このガイドリブ38が周壁などに接触して操作ボタン36が周壁などに接触することがなく、このため、集塵部20の着脱の途中で旋回室22と集塵室30が分離するようなことはない。
【0023】
次に、上記のように構成した電気掃除機の動作について説明する。
先ず、コードリールから引き出した電源コードを商用電源のコンセントに接続し、ホースユニット60の手元ハンドル62に設けた操作部63の電源スイッチをONして、掃除機本体1内の電動送風機13に通電し、電気掃除機の運転を開始する。
これにより、電動送風機13の吸引力により吸込み口体65から含塵空気が吸引され、この含塵空気は、ホースユニット60、吸引風路4を経て、一次サイクロン部40の一次流入口41から一次旋回室42に流入し、その周壁に沿って流れて旋回気流となる。
【0024】
この旋回気流は、一次旋回室42の中心軸近傍の強制渦領域と、外周側の準自由渦領域とを形成しながらその経路構造と重力とにより一次旋回室42内を下方に向って流れる。
このとき、旋回している含塵空気中の塵埃に遠心力が作用し、含塵空気は塵埃と空気に分離される。ここで、一次旋回室42では、塵埃を大きく分けて、比重/大きさにより大、中、小に分離される。
【0025】
遠心力によって分離された塵埃のうち、比重の大きい塵埃(例えば、大きな砂や小石等、以下塵埃Aという)は、一次旋回室42の壁面に設けた開口部44から二次サイクロン部50の0次集塵室53に飛び出して捕集される。この0次集塵室53に捕集された塵埃Aは、比較的比重が大きいため再飛散しにくく、0次集塵室53の底部に蓄積される。
【0026】
一方、開口部44から飛び出さなかった中、小の塵埃を含む含塵空気は、旋回しながら一次旋回室42の下方、つまり、円筒部から円錐部に向って流れる。円錐部に進んだ含塵空気の旋回流は、下降するほど旋回半径(円筒部の径)が小さくなるため、旋回速度が増加する。これにより、塵埃Aよりも比重が小さい塵埃(例えば、綿塵埃や細かい軽砂等、以下、塵埃Bという)を遠心力により分離することができ、分離された塵埃Bは円錐部の下部の開口部から一次集塵室45に捕集され、蓄積される。
【0027】
そして、含塵空気から塵埃A及び塵埃Bが除去された比重の小さい微細塵を含む空気は、一次旋回室42の中心軸に沿って上昇して一次流出口体43内に導かれ、二次流入口46を経て二次サイクロン部50へ流入する。
【0028】
二次サイクロン部50へ流入した微細塵を含む空気は、二次旋回室51の円筒部の周壁に沿ってほぼ水平に流入して旋回流となり、その中心軸近傍の強制渦領域と、その外周側の準自由渦領域とを形成しながら、経路構造と重力とにより下向きに流れる。
そして、二次旋回室51の円錐部内を下降して微細塵が分離され、分離された微細塵は二次集塵室52内に捕集されて、蓄積される。微細塵が除去されて清浄化された空気は、二次旋回室51内を上昇し、二次排出口54からフィルタ14を介して掃除機本体1内に流入し、電動送風機13や制御部、コードリール部などの発熱部を冷却したのち、排気口6から外部へ排出される。
集塵部20の集塵室30内に塵埃が溜ったときは、前述の要領で集塵部20を掃除機本体1から取り出して集塵室30を旋回室22から分離し、ハンドル31を持って集塵室30を移動し、塵埃を廃棄する。そして、必要に応じて集塵室30を水洗いし、また、旋回室22も適宜水洗する。
塵埃の廃棄などが終わったときは集塵室30を旋回室22に連結し、再び掃除機本体1にセットする。
【0029】
上記のように、本発明に係る電気掃除機によれば、ホースユニット60によって吸引された含塵空気は、集塵部20により塵埃と空気に確実に分離され、分離された塵埃は集塵室30に捕集されて蓄積され、清浄化された空気は掃除機本体1内の発熱部を冷却して外部へ排出するようにしたので、清掃能力が高く効率のよい電気掃除機を得ることができる。
【0030】
また、集塵部20を掃除機本体1に取付ける場合は、集塵部20に設けたハンドル31を下向きにし、ハンドル収容部8内に収容してセットするようにしたので、ハンドル31がセットの際の位置決めとなるばかりでなく、誤取付けを防止することができる。
また、集塵部20のハンドル31は、ハンドル収容部8内に収容されるため、掃除機本体1を移動する際に、集塵部20のハンドル31を持たれることがないので、ロック部24に余分な荷重がかかることがなく、このためロック部24が破損したり掃除機本体1が落下したりすることがないので、安全である。
【0031】
上記の説明では、図示の電気掃除機の掃除機本体1に、図示の集塵部20を取付けた場合を示したが、これに限定するものではなく、これらは他の構造のものであってもよい。