特許第5776885号(P5776885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776885
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】車両の車体前部構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/24 20060101AFI20150820BHJP
   B62D 21/15 20060101ALI20150820BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20150820BHJP
   B62D 25/20 20060101ALI20150820BHJP
   B60R 19/34 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   B60R19/24 N
   B62D21/15 C
   B62D25/08 C
   B62D25/20 C
   B60R19/34
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-97146(P2011-97146)
(22)【出願日】2011年4月25日
(65)【公開番号】特開2012-228907(P2012-228907A)
(43)【公開日】2012年11月22日
【審査請求日】2014年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】川本 篤史
(72)【発明者】
【氏名】上野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】福島 正信
(72)【発明者】
【氏名】竹下 弘明
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−213739(JP,A)
【文献】 特開2010−274912(JP,A)
【文献】 特開2002−284034(JP,A)
【文献】 特開平07−187003(JP,A)
【文献】 特開2000−053022(JP,A)
【文献】 特開2006−224728(JP,A)
【文献】 特開2006−175988(JP,A)
【文献】 特開2004−066932(JP,A)
【文献】 特開2012−214211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00−25/08
B62D 25/14−29/04
B60R 19/24
B60R 19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のダッシュパネルの車体前方側に設けられた左右一対のサイドフレームと、
上記サイドフレームの前端にそれぞれ接続されたクラッシュボックスと、
上記クラッシュボックスの前端にその左右両端部が接続され上記クラッシュボックスを互いに連結するように車幅方向に延びるバンパービームと、
上記ダッシュパネルの車体前方側に設けられ、車幅方向に延びるサスクロスメンバを有するサスペンションメンバと、
上記サスクロスメンバに支持されたサスペンションアームと、
上記サイドフレームの車幅方向外方に配置され、上記サスペンションアームに連結されたフロントタイヤと、を有する車両の車体前部構造であって、
上記サイドフレームは、その側方部から車幅方向外方に向けて延びる第1突設部を有し、
上記バンパービームは、その左右両側部からそれぞれ車幅方向外方に向けて延びるバンパービーム延設部を有し、
上記バンパービーム延設部は、上記サイドフレームの第1突設部に向けて車体後方に延びる第2突設部を有し、
上記サイドフレームには、衝突荷重を吸収するための折れ起点部が形成され、
上記サイドフレームの第1突設部は、上記折れ起点部より車両前方側に設けられることを特徴とする車両の車体前部構造。
【請求項2】
上記バンパービーム延設部の第2突設部は、正面視で、上記サイドフレームより車幅方向外方側且つ上記フロントタイヤより車幅方向内方側に設けられる請求項1記載の車両の車体前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体前部構造に係わり、特に、衝撃吸収機能を有するサイドフレームを備えた車両の車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の前方衝突時、衝突した障害物の衝突エネルギを主にサイドフレームで吸収するようにした車体前部構造が知られている。
【0003】
特許文献1には、車両前方からバンパレインフォース及びサイドフレームに衝突荷重が入力されたとき、その衝突初期において、前輪を後方移動させてサイドシルに干渉させることにより、衝突荷重を車体骨格部材に分散させるようにした車体前部構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−182643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の構造では、電柱や標識などのポール状の障害物が、サイドフレームに対して車幅方向外方にずれた位置で前方から衝突し、ポール状の障害物がサイドフレームとフロントタイヤとの間に侵入するような衝突形態の場合、衝撃エネルギはサイドフレームで有効に吸収されない、という問題があった。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、ポール状の障害物が車両前方からサイドフレームに対して車幅方向外方にずれた位置で衝突しても、その衝突エネルギを効果的に吸収することが出来る車両の車体前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、車両のダッシュパネルの車体前方側に設けられた左右一対のサイドフレームと、サイドフレームの前端にそれぞれ接続されたクラッシュボックスと、クラッシュボックスの前端にその左右両端部が接続されクラッシュボックスを互いに連結するように車幅方向に延びるバンパービームと、ダッシュパネルの車体前方側に設けられ、車幅方向に延びるサスクロスメンバを有するサスペンションメンバと、サスクロスメンバに支持されたサスペンションアームと、サイドフレームの車幅方向外方に配置され、サスペンションアームに連結されたフロントタイヤと、を有する車両の車体前部構造であって、サイドフレームは、その側方部から車幅方向外方に向けて延びる第1突設部を有し、バンパービームは、その左右両側部からそれぞれ車幅方向外方に向けて延びるバンパービーム延設部を有し、バンパービーム延設部は、サイドフレームの第1突設部に向けて車体後方に延びる第2突設部を有し、サイドフレームには、衝突荷重を吸収するための折れ起点部が形成され、サイドフレームの第1突設部は、折れ起点部より車両前方側に設けられることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、サイドフレームは、その側方部から車幅方向外方に向けて延びる第1突設部を有し、バンパービームは、その左右両側部からそれぞれ車幅方向外方に向けて延びるバンパービーム延設部を有し、バンパービーム延設部は、サイドフレームの第1突設部に向けて車体後方に向けて延びる第2突設部を有するので、ポール状の障害物がバンパービームから車幅方向外方に外れた位置で前方から車体に衝突する場合、その障害物をバンパービーム延設部に衝突させ、その衝突により、バンパービーム延設部及び第2突設部を後退させ、第2突設部を、その車体後方に設けられたサイドフレームの第1突設部に当接させることが出来る。このような当接により、バンパービーム延設部に加わった入力荷重を第2突設部及び第1突設部を介してサイドフレームに有効に伝達させることが出来る。従って、ポール状の障害物がバンパービームから車幅方向外方に外れた位置で車体に衝突し、ポール状の障害物がサイドフレームとフロントタイヤとの間に侵入するような衝突形態であっても、サイドフレームを効果的に変形させて、衝撃エネルギを有効に吸収することが出来る。
また、本発明においては、サイドフレームの第1突設部は、折れ起点部より車両前方側に設けられるので、第2突設部が第1突設部に当接することでサイドフレームに伝達される衝突荷重が、有効に、折れ起点部にも伝達され、これにより、サイドフレームを折れ起点部で効果的に変形させて、サイドフレームでより有効に衝突エネルギを吸収することが出来る。
【0008】
また、本発明において、好ましくは、バンパービーム延設部の第2突設部は、正面視で、サイドフレームより車幅方向外方側且つフロントタイヤより車幅方向内方側に設けられる。
このように構成された本発明においては、バンパービーム延設部の第2突設部は、正面視で、サイドフレームより車幅方向外方側且つフロントタイヤより車幅方向内方側に設けられるので、障害物が、サイドフレームとフロントタイヤとの間の空間に対応する車体前方側の位置でバンパービーム延設部に前方から衝突した場合に、より効果的に、第2突設部を第1突設部に当接させることが出来る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポール状の障害物が車両前方からサイドフレームに対して車幅方向外方にずれた位置で衝突しても、その衝突エネルギを効果的に吸収することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による車両の車体前部構造を斜め前方且つ上方から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態による車両の車体前部構造を車両側方から見た側面図である。
図3】本発明の実施形態による車両の車体前部構造を車両上方側から見た平面図である。
図4】本発明の実施形態による車両の車体前部構造における車体前方からの荷重入力時の変形状態をシミュレーションした結果の一例を示す車両上方側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、添付図面により、本発明の実施形態による車両の車体前部構造を説明する。
先ず、図1乃至図4により、本発明の実施形態が適用された車両の車体前部構造を説明する。図1は、本発明の実施形態による車両の車体前部構造を斜め前方且つ上方から見た斜視図であり、図2は、本発明の実施形態による車両の車体前部構造を車両側方から見た側面図であり、図3は、本発明の実施形態による車両の車体前部構造を車両上方側から見た平面図である。
【0013】
先ず、図1乃至図3に示すように、符号1は、本発明の実施形態による車両の車体前部構造を示す。この車体前部構造1は、ダッシュパネル2の車体前方側で車体前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレーム4と、これらのフロントサイドフレーム4の前端にそれぞれ接続されたクラッシュボックス6と、これらのクラッシュボックス6に接続されたバンパービーム8とを備えている。バンパービーム8は、左右のクラッシュボックス6を互いに連結するように車幅方向に延び、その両端部8a、8bが、各々のクラッシュボックス6の前端に接続されている。フロントサイドフレーム4の後端は、各々、車室のフロアの下方側に取り付けられた車体前後方向に延びるフロアサイドフレーム10の前端に接続され、ダッシュパネル2の下側の部分には、車幅方向の補強部材であるNo.1クロスメンバ(図示せず)が取り付けられている。フロントサイドフレーム4には、サスタワー12が設けられている。
【0014】
ここで、フロントサイドフレーム4は、伝達される衝突荷重に対して所定の衝突エネルギ吸収特性が得られるようにその全体的な剛性が調整されている。その前後方向の中間部には、衝突荷重の伝達時にフロントサイドフレーム4の変形の起点となる折れ起点部4aが形成されている。また、クラッシュボックス6は、衝突初期の衝突荷重或いは比較的低い衝突荷重を主に吸収するようにその剛性が調整されている。即ち、本実施形態では、後述するバンパービーム延長部材30への障害物の衝突初期に、バンパービーム延長部材30の内方端部30a及びバンパービーム8の端部8a(8b)を介してクラッシュボックス6に伝達される比較的小さい荷重により、クラッシュボックス6が車体前後方向に座屈或いはつぶれ変形するようにしている。
【0015】
次に、車体前部構造1は、ダッシュパネル2の車体前方側に設けられたサスペンションメンバ(サブフレーム)14を備える。サスペンションメンバ14は、ダッシュパネル2の車体前方側で車体前後方向に延びる左右一対の前後方向メンバ16と、これらの前後方向メンバ16と一体に形成され、車幅方向に延びるサスクロスメンバ18と、このサスクロスメンバ18の車体前方側で車幅方向に延び、左右の前後方向メンバ16を連結するフロントクロスメンバ20とを有している。なお、サスクロスメンバ18は、前後方向メンバ16と別体で形成され、溶接やボルト締め等により、前後方向メンバ16に取り付けられるようになっていても良い。
【0016】
図2に示すように、前後方向メンバ16の後端部は、ダッシュパネル2の下側の部分に接続され、前後方向メンバ16の前端部は、車体上下方向に延びる連結部材22を介してフロントサイドフレーム4の前端部に接続されている。また、図3に示すように、サスペンションメンバ14は、サスタワー12の下方の位置で、サスクロスメンバ18から立設した連結部材23を介してフロントサイドフレーム4に接続されている。
【0017】
次に、図3に示すように、サスクロスメンバ18には、サスペンションアーム24の内方端部が揺動自在に接続されている。サスペンションアーム24の外方端部は、フロントサイドフレーム4の車幅方向外方に配置されたフロントタイヤ26のホイールキャリア(図示せず)に連結されている。
【0018】
次に、図1乃至図3に示すように、本実施形態による車体前部構造1は、バンパービーム8の左右両側にそれぞれ設けられたバンパービーム延長部材(バンパービーム延設部)30を備えている。これらのバンパービーム延長部材30は、各々、その車幅方向の内方端部30aがバンパービーム8の両端部8a、8bに接続され、それらの左右両端部8a、8bから車幅方向外方に向けて延びている。本実施形態では、バンパービーム延長部材30は、バンパービーム8と別体で形成され、その車幅方向の内方端部30aが、バンパービーム8の左右両端部8a、8bにスポット溶接等により取り付けられている。なお、このような取り付けは、ボルト締め等の機械的締結であってもよく、また、バンパービーム延長部材30は、バンパービーム8と一体で成型されているようなものでも良い。
【0019】
図1乃至図3に示すように、バンパービーム延長部材30は、その高さ方向の寸法がほぼバンパービーム8の高さ寸法と同一に形成され、バンパービーム8と同様に、車体前方側の面が障害物を受ける面として形成されている。また、バンパービーム延長部材30は、平面視で、車幅方向外方に向かうほど車体後方側に折れ曲がるように、全体的に湾曲した形状に形成されている。
【0020】
図1及び図3に示すように、バンパービーム延長部材30には、その車体後方側の面から車体後方側に向けて延びる後方突出部材(第2突設部)32が設けられている。この後方突出部材32は、その車体後方側に設けられた後述する側方突出部材34に向けて所定長さ延びるように設けられている。後方突出部材32のこの所定長さは、後方突出部材32と側方突出部材34との間に、衝突初期のクラッシュボックス6の変形を妨げず且つ衝突時にクラッシュボックス6が大きく変形したとき後方突出部材32が側方突出部材34に当接するような隙間が設けられるように設定される。
【0021】
また、図3に示すように、後方突出部材32は、図3中のAの方向から見た正面視で、フロントタイヤ26より車幅方向内方側且つフロントサイドフレーム4より車幅方向外方側に配置されている。なお、後方突出部材32は、側方突出部材34の剛性や大きさに応じて、図3中A方向から見た正面視で、フロントタイヤ26とオーバーラップする位置に配置されていても良い。
【0022】
本実施形態では、後方突出部材32は、バンパービーム延長部材30と一体でプレス成形されている。後方突出部材32の剛性は、後述するように衝突時に側方突出部材34に当接したときにも、衝突荷重を有効に側方突出部材34に伝達し得るように、即ち、衝突荷重でそれ自身が変形しにくいように調整されている。なお、後方突出部材32は、バンパービーム延長部材30と別体で形成され、スポット溶接やボルト締め等により、バンパービーム延長部材30に取り付けられるようなものでも良い。
【0023】
次に、図1乃至図3に示すように、フロントサイドフレーム4には、その側面から車幅方向外方に向けて延びる側方突出部材(第1突設部)34が設けられている。この側方突出部材34は、フロントサイドフレーム4の前端部に設けられている。また、図3に示すように、側方突出部材34は、上述したフロントサイドフレーム4の折れ起点部4aより前方の部分に設けられている。
【0024】
側方突出部材34の大きさ及び形状は、後方突出部材32が衝突時に車体後方側に向けて後退したとき、その後方突出部材32が当接するように設定されている。本実施形態では、側方突出部材34は、フロントサイドフレーム4と別体で形成され、スポット溶接により、フロントサイドフレーム4に取り付けられている。側方突出部材34の剛性は、衝突時に後方突出部材32が側方突出部材34に当接したとき、後方突出部材32から伝達される衝突荷重を有効にフロントサイドフレーム4に伝達し得るように調整されている。なお、側方突出部材34のフロントサイドフレーム4への取り付けは、ボルト締め等の機械的締結であってもよく、また、側方突出部材34は、フロントサイドフレーム4と一体で成型されているようなものでも良い。
【0025】
次に、本発明の実施形態による車両の車体前部構造の作用効果を説明する。
本実施形態では、フロントサイドフレーム4に、その側方部から車幅方向外方に向けて延びる側方突出部材34が設けられており、バンパービーム延長部材30には、その車体後方側に設けられた側方突出部材34に向けて延びる後方突出部材32が設けられているので、ポール状の障害物がバンパービーム8から車幅方向外方に外れた位置で前方から車体に衝突する場合、その障害物をバンパービーム延長部材30に衝突させ、その衝突により、バンパービーム延長部材30及び後方突出部材32を後退させ、後方突出部材32を、その車体後方に設けられたフロントサイドフレーム4の側方突出部材34に当接させることが出来る。このような当接により、バンパービーム延長部材40に加わった入力荷重を後方突出部材32及び側方突出部材34を介してフロントサイドフレーム4に有効に伝達させることが出来る。従って、ポール状の障害物がバンパービーム8から車幅方向外方に外れた位置で車体に衝突しても、フロントサイドフレーム4を効果的に変形させて、衝撃エネルギを有効に吸収することが出来る。
【0026】
また、本実施形態では、バンパービーム延長部材30の後方突出部材32は、正面視で、フロントサイドフレーム4より車幅方向外方側且つフロントタイヤ26より車幅方向内方側に設けられているので、障害物が、フロントサイドフレーム4とフロントタイヤ26との間の空間に対応する車体前方側の位置でバンパービーム延長部材30に前方から衝突した場合に、より効果的に、後方突出部材32を側方突出部材34に当接させることが出来る。
【0027】
また、本実施形態では、フロントサイドフレーム4の側方突出部材34は、衝突荷重を吸収するための折れ起点部4aより車両前方側に設けられているので、後方突出部材32が側方突出部材34に当接することでフロントサイドフレーム4に伝達される衝突荷重が、有効に、折れ起点部4aにも伝達され、これにより、フロントサイドフレーム4を折れ起点部4aで効果的に変形させて、より有効に衝突エネルギを吸収することが出来る。
【0028】
次に、図4により、本発明の実施形態による車両の車体前部構造の衝突時の変形状態の一例を説明する。図4は、本発明の実施形態による車両の車体前部構造における車体前方からの荷重入力時の変形状態をシミュレーションした結果の一例を示す車両上方側から見た平面図である。
ポール状の障害物Pが、図4に示すようなバンパービーム8から車幅方向に外れた位置、即ち、フロントサイドフレーム4とフロントタイヤ26との間の空間に対応する車体前方側の位置で前方から衝突した場合、障害物Pがバンパービーム延長部材30に衝突し、その衝突により、バンパービーム延長部材30が車体後方に向けて後退すると共に、バンパービーム延長部材30の内方端部30a及びバンパービーム8の端部8a(8b)を介して衝突荷重が伝達されたクラッシュボックス6がその前後方向長さにわたり全体的に潰れる。そして、図4に示すように、バンパービーム延長部材30の後退により、後方突出部材32の後端部が側方突出部材34に当接する。このような当接により、バンパービーム延長部材30に衝突した障害物Pの衝突エネルギが、後方突出部材32及び側方突出部材34を介して、フロントサイドフレーム4に有効に伝達され、図4に示すように、フロントサイドフレーム4は、側方突出部材34を設けた位置の後方側の部分が大きく変形すると共に、折れ起点部4aで折れ曲がるように変形している。
【符号の説明】
【0029】
1 車体前部構造
2 ダッシュパネル
4 フロントサイドフレーム(サイドフレーム)
6 クラッシュボックス/クラッシュカン
8 バンパービーム
8a、8b バンパービームの左右端部
14 サスペンションメンバ/サブフレーム
16 サスペンションメンバの前後方向メンバ
18 サスペンションメンバのサスクロスメンバ
24 サスペンションアーム
26 フロントタイヤ
30 バンパービーム延長部材(バンパービーム延設部)
32 バンパービーム延長部材の後方突出部材(第2突設部)
34 フロントサイドフレームの側方突出部材(第1突設部)
図1
図2
図3
図4