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前記磁性体は相互に対向する第1及び第2の磁性体を含み、前記第1の磁性体の残留磁化により発生する磁界と前記第2の磁性体の残留磁化により発生する磁界とが弱め合う位置に前記感磁素子が存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電流センサ。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る電流センサの概略斜視図。
【
図2】
図1に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図。
【
図3】
図1に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図。
【
図4】電流導通部10のターン数(周回数)とホールIC20の感磁面位置における磁束密度の関係を示すグラフ。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る電流センサの概略斜視図。
【
図6】
図5に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図。
【
図7】
図5に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図。
【
図8】本発明の実施の形態3に係る電流センサの概略斜視図。
【
図10】
図8に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図。
【
図11】
図8に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図。
【
図12】本発明の実施の形態4に係る電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図。
【
図13】同電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図。
【
図14】本発明の実施の形態5に係る電流センサの分解斜視図。
【
図15】
図14に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図。
【
図16】
図14に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図。
【
図17】本発明の実施の形態6に係る電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図。
【
図18】同電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図。
【
図19】感磁素子としてMR素子ブリッジ7を用いて、磁気平衡式の原理で被測定電流を検出する電流センサの回路図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態1に係る電流センサの概略斜視図である。本図により、直交する3方向であるX方向,Y方向,Z方向を定義する。この電流センサは、被測定電流の経路を成す電流導通部10と、感磁素子としてのホールIC20と、磁気遮蔽用の第1及び第2の磁性体30A,30Bと、絶縁基板40とを備える。
【0020】
対をなす第1及び第2の磁性体30A,30Bは、高透磁率磁性材(例えば珪素鋼板)を同一外形の断面コの字型に折曲げ加工したものであり、先端面(両端縁)同士が空隙Gを有して相互に対向して全体として外周面に2箇所のスリット(空隙G)が入った角筒状を成し、ホールIC20を内側に取り囲んで外部磁界から磁気遮蔽する。第1及び第2の磁性体30A,30Bの保磁力は互いに等しい又は近似する。なお、第1及び第2の磁性体30A,30Bは、図示の例ではそれぞれ断面コの字型の半角筒状としているが、半長円筒状、半円筒状、又は半楕円筒状等の他の形状としてもよい。
【0021】
ホールIC20は、絶縁基板40上に実装され、第1及び第2の磁性体30A,30Bの内側に位置する。ホールIC20の感磁面(ホールIC20に内蔵のホール素子の感磁面)はYZ平面と平行であり、感磁方向はX方向と平行である。絶縁基板40はXY平面と平行な平面上に存在する。電流導通部10は、例えば絶縁被覆導線であり、第2の磁性体30Bの基部301に巻き付けられて、第2の磁性体30Bの内側と外側に跨って所定回数だけ周回する(図示の例では周回数が6周半)。電流導通部10が通電されることにより発生する磁界がホールIC20の感磁面に印加され、電流導通部10に流れる電流に応じた出力電圧がホールIC20から得られる。
【0022】
図2は、
図1に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図である。この断面図における切断面は、ホールIC20を通り且つXZ平面と平行な(ホールIC20の感磁面と垂直な)平面である。前記切断面を仮想平面とすれば、電流導通部10は、第1及び第2の磁性体30A,30Bの内側において前記仮想平面を貫通する内側貫通部11を複数(図示の例では7個)有し、また第1及び第2の磁性体30A,30Bの外側において前記仮想平面を貫通する外側貫通部12を複数(図示の例では6個)有する。
【0023】
複数の内側貫通部11及び複数の外側貫通部12は、共通する1本の電流経路に含まれる。複数の内側貫通部11に流れる電流が前記仮想平面を貫通する向きは同じ(図示の例ではYマイナス側からYプラス側)であり、複数の外側貫通部12を流れる電流が前記仮想平面を貫通する向きも同じ(図示の例ではYプラス側からYマイナス側)であり、内側貫通部11及び外側貫通部12を流れる電流は前記仮想平面を貫通する向きが互いに逆である。
【0024】
図2に示すように、複数の内側貫通部11に流れる電流の発生する磁界は、ホールIC20の存在位置(感磁面位置)で互いに強め合ってホールIC20に印加されるとともに、第1及び第2の磁性体30A,30Bにも流れる。一方、複数の外側貫通部12に流れる電流の発生する磁界は、第2の磁性体30Bに遮られてホールIC20には印加されない。なお、複数の内側貫通部11及び複数の外側貫通部12に流れる電流の発生する磁界は第1及び第2の磁性体30A,30Bの内部において同方向である。
【0025】
図3は、
図1に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図である。この断面図における切断面は
図2と同じである。第1及び第2の磁性体30A,30Bは電流導通部10に通電したときの磁界によって磁化されており、電流導通部10に通電していないときにも第1及び第2の磁性体30A,30Bの残留磁化の影響によりホールIC20に磁界が印加される。但し、
図3に示すように、第1の磁性体30Aが磁化されたことにより発生する磁界と、第2の磁性体30Bが磁化されたことにより発生する磁界は、ホールIC20の存在位置(感磁面位置)で互いに弱め合う(好ましくは打ち消し合ってゼロになる)。ホールIC20の感磁面のZ方向位置を第1及び第2の磁性体30A,30Bの空隙Gの中心と一致させ若しくはその近傍とし、X方向位置を第1及び第2の磁性体30A,30Bの幅方向中心と一致させ若しくはその近傍とし、第1及び第2の磁性体30A,30Bの保持力を互いに等しく又は近似させることで、第1及び第2の磁性体30A,30Bの残留磁化により発生する磁界を感磁面位置でよりゼロに近づけることができる。なお、ホールIC20の感磁面位置をホールIC20の外形から正確に推定することが困難な場合であっても、おおよそホールIC20の厚み寸法の1/2の高さ位置に感磁面があると推定して配置すれば、同様の効果が得られる。ホールIC20の感磁面の大きさは空隙Gの長さに比較して充分小さいため、感磁面の大きさについては無視して点として考察可能である。
【0026】
図4は、電流導通部10のターン数(周回数)とホールIC20の感磁面位置における磁束密度の関係を示すグラフである。本図に示すように、電流導通部10のターン数、すなわち内側貫通部11の数を増やすことで、ホールIC20への印加磁界(磁束密度)を高めることができる。
【0027】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0028】
(1) 従来のように1本のバスバーが感磁素子の近傍を1度だけ通過する構成と比較して、感磁素子としてのホールIC20への印加磁界(磁束密度)を高めることができ、検出感度を向上して小電流レンジに好適に対応可能であるとともに測定分解能を向上することができる。
【0029】
(2) 電流導通部10のターン数(周回数)は特に限定されないため、要求される様々な測定レンジに柔軟に対応することができる。すなわち、電流導通部10のターン数を大電流向けには少なくし、小電流向けには多くすることで、対象となる被測定電流の大きさに応じた感度の電流センサを簡単に実現できる。
【0030】
(3) 電流導通部10の通電時に磁気遮蔽用の第1及び第2の磁性体30A,30Bが磁化されたことに起因する残留磁界の影響を排除若しくは低減可能であり、電流センサの検出出力のヒステリシスを原理的にゼロ(若しくはゼロ近傍)にすることが可能である。すなわち、電流センサのゼロアンペア測定精度の向上を図ることができる。
【0031】
(4) 磁気遮蔽用の第1及び第2の磁性体30A,30Bに用いる磁性材料特有の保磁力(ヒステリシス特性)に関わらず、電流センサの検出出力のヒステリシスを低減することが可能なため、廉価な磁性材料で優れた電流センサの検出出力特性を実現でき、コストダウンが可能となる。
【0032】
(5) 磁気遮蔽用の第1及び第2の磁性体30A,30Bを対向させた内側にホールIC20を配置しているため、リング状の磁気コアの空隙に感磁素子を配置する従来構造と比較して感磁素子としてのホールIC20に流れ込む外乱磁界が少なくなり、外乱ノイズ耐性が向上する。
【0033】
(6) 電流導通部10を第2の磁性体30Bに巻き付けているため、電流導通部10のズレが発生しにくい。
【0034】
図5は、本発明の実施の形態2に係る電流センサの概略斜視図である。
図6は、
図5に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図である。
図7は、
図5に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図である。本実施の形態の電流センサは、
図1等に示す実施の形態1のものと比較して、対をなす第1及び第2の磁性体30A,30Bの先端面(両端縁)同士の間に空隙Gが無い(両端縁同士が接触している)点で相違し、その他の点で一致する。本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。なお、空隙Gが無くても、第1及び第2の磁性体30A,30Bが別体であれば(一体でなければ)、電流センサの検出出力のヒステリシスを低減する効果がある。
【0035】
図8は、本発明の実施の形態3に係る電流センサの概略斜視図である。
図9は、
図8に示す電流センサの分解斜視図である。本実施の形態の電流センサは、
図1等に示す実施の形態1のものと比較して、電流導通部10が絶縁基板40上の導体パターンである点で相違し、その他の点は同様である。絶縁基板40には貫通孔40Aが2つ設けられている。電流導通部10は双方の貫通孔40Aの周りを周回する。周回数は任意である。なお、電流導通部10(導体パターン)の両端にはスルーホール40Bがそれぞれ形成され、双方のスルーホール40Bは絶縁基板40の裏面の図示しない別々の電極部に導通される。各電極部は被測定電流の入口、出口となる。
【0036】
絶縁基板40の厚さは空隙Gの長さ以下であり、組立の際には、
図9に示すように絶縁基板40を空隙Gに通し、第2の磁性体30Bの先端部と絶縁基板40の貫通孔40Aの位置を合わせ、貫通孔40に第2の磁性体30Bの先端部を所定長だけ挿入し、ホールIC20の感磁面のZ方向位置を第1及び第2の磁性体30A,30Bの空隙Gの中心と略一致させる。なお、絶縁基板40を第1及び第2の磁性体30A,30Bの先端面(両端縁)同士で挟み込む構造としてもよい。この場合、貫通孔40Aは不要となる。または、絶縁基板40の貫通孔40Aに第2の磁性体30Bの先端部を挿通後に第1の磁性体30Aを組み込む構造としてもよい。この場合、絶縁基板40の厚さは空隙Gの長さ以上でもよい。
【0037】
図10は、
図8に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図である。この断面図における切断面は
図2と同じである。
図10に示すように、複数の内側貫通部11に流れる電流の発生する磁界は、ホールIC20の存在位置(感磁面位置)で互いに強め合ってホールIC20に印加されるとともに、第1及び第2の磁性体30A,30Bにも流れる。一方、複数の外側貫通部12に流れる電流の発生する磁界は、第1及び第2の磁性体30A,30Bに遮られてホールIC20には印加されない。なお、複数の内側貫通部11及び複数の外側貫通部12に流れる電流の発生する磁界は第1及び第2の磁性体30A,30Bの内部において同方向である。
【0038】
図11は、
図8に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図である。この断面図における切断面は
図10と同じである。
図11に示すように、第1の磁性体30Aが磁化されたことにより発生する磁界と、第2の磁性体30Bが磁化されたことにより発生する磁界は、ホールIC20の存在位置(感磁面位置)で互いに弱め合う(好ましくは打ち消し合ってゼロになる)。この点については
図3での説明と同様なので、再度の説明は省略する。
【0039】
本実施の形態も、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0040】
図12は、本発明の実施の形態4に係る電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図である。
図13は、同電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図である。本実施の形態の電流センサは、
図8等に示す実施の形態3のものと比較して、対をなす第1及び第2の磁性体30A,30Bの先端面(両端縁)同士の間に空隙Gが無い(両端縁同士が接触している)点で相違し、その他の点で一致する。本実施の形態も、実施の形態3と同様の効果を奏することができる。
【0041】
図14は、本発明の実施の形態5に係る電流センサの分解斜視図である。本実施の形態の電流センサは、
図8等に示す実施の形態3のものと比較して、電流導通部10が絶縁基板40の貫通孔40Aの一方の周りを周回するものの他方の周りは周回しない点で相違し、その他の点は同様である。
図15は、
図14に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図である。この断面図における切断面は
図10と同じである。
図15に示す磁束の流れは、
図10の左側の外側貫通部12を流れる電流によるものが無くなった以外は
図10と同じである。
図16は、
図14に示す電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図である。この断面図における切断面は
図15と同じである。
図16に示す磁界の流れは、
図11と同じである。本実施の形態も、実施の形態3と同様の効果を奏することができる。
【0042】
図17は、本発明の実施の形態6に係る電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電しているときの磁束の流れを示す説明図である。
図18は、同電流センサの正断面図であり、電流導通部10に通電していないときの磁束の流れを示す説明図である。本実施の形態の電流センサは、
図14等に示す実施の形態5のものと比較して、対をなす第1及び第2の磁性体30A,30Bの先端面(両端縁)同士の間に空隙Gが無い(両端縁同士が接触している)点で相違し、その他の点で一致する。本実施の形態も、実施の形態5と同様の効果を奏することができる。
【0043】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
【0044】
実施の形態では感磁素子としてホールIC20を例示したが、感磁素子は磁気抵抗効果素子(MR素子)であってもよい。
図19は、感磁素子としてMR素子ブリッジ7を用いて、磁気平衡式の原理で被測定電流を検出する電流センサの回路図である。なお、感磁素子としてMR素子ブリッジ7を用いる場合、感磁面はXY平面と平行とする(感磁方向もXY平面と平行となる)。
図19に示すように、電源1の高電圧側と低電圧側の間に4つのMR素子7a〜7dがフルブリッジ接続される。MR素子7a,7bの相互接続点と、MR素子7c,7dの相互接続点とが、負帰還用差動増幅器2の入力端子にそれぞれ接続される。負帰還用差動増幅器2の出力端子にはフィードバックコイル3と検出抵抗6が直列接続される。検出抵抗6の両端子は出力用差動増幅器4の入力端子にそれぞれ接続される。フィードバックコイル3はMR素子ブリッジ7の近傍に例えば素子基板上の導体パターンとして形成される。電流導通部10に通電するとMR素子ブリッジ7に磁界が印加される。負帰還用差動増幅器2の作用により、フィードバックコイル3には、MR素子7a,7bの相互接続点とMR素子7c,7dの相互接続点との電位差がゼロになるように、すなわちMR素子ブリッジ7に印加される磁界がゼロになるように、フィードバック電流が流れる。フィードバック電流は被測定電流に比例するから、フィードバック電流を検出抵抗6で電圧に変換して出力用差動増幅器4で増幅したセンサ出力から被測定電流の大きさを特定できる。