特許第5776914号(P5776914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5776914ガラス板破壊及び飛散防止用保護フィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5776914
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ガラス板破壊及び飛散防止用保護フィルム
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/32 20060101AFI20150820BHJP
   C09J 7/00 20060101ALI20150820BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20150820BHJP
   C09J 127/06 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   C03C17/32 C
   C09J7/00
   G09F9/00 302
   G09F9/00 313
   C09J127/06
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-165024(P2014-165024)
(22)【出願日】2014年7月28日
【審査請求日】2014年8月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】314010500
【氏名又は名称】廣山 義高
(72)【発明者】
【氏名】大塚 尚武
(72)【発明者】
【氏名】廣山 義高
【審査官】 山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−532244(JP,A)
【文献】 特開2008−238717(JP,A)
【文献】 特開2011−042773(JP,A)
【文献】 特開2007−119204(JP,A)
【文献】 特開2014−040497(JP,A)
【文献】 特開平10−076604(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 15/00−23/00
C09J 7/00− 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板の裏面に貼着されるところのガラス板破壊及び飛散防止用保護フィルムであって、
フィルム本体(1)を、自己粘着性を有する厚みが280ミクロンの塩化ビニールで構成し、該フィルム本体(1)の素材は、可塑剤としてフタル酸エステル或いはアジピン酸エステルが塩化ビニール100部に対して40部混入して構成されており、
前記フィルム本体(1)に直径1mmの小径孔(2)を、その前後左右2mmの間隔で全面に穿孔してある、
ことを特徴とするガラス板破壊及び飛散防止用保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の破壊及び飛散を防止できるところの保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板、特に、携帯電子機器の液晶画面を保護するガラス板の破損及び飛散を防止するために、種々の保護シートが開発されている。尤も、電子機器用の保護フィルム(シート)の場合には、他の機能、例えば、防眩などの機能を備える工夫も組み合わされていることが多い。
こうした保護フィルムとしては、前述の電子機器だけでなく、一般住居用の窓ガラス、車両用のフロント等のガラスにも応用できるよう研究が進められている。
【0003】
特に問題となるのは、危険防止に鑑み、ガラス板の破損に際して保護フィルムから破損片が剥離落下するのを防止することを阻止しようとする点に重点が置かれている。一般に、一般家屋用窓ガラス或いは出入り口等の板ガラスのショットバック試験として、合否の基準は、飛散するガラスの大きな破片を10個選び、その総重量が80g以下、最大破片の1個が55g以下であるとされている。
このショットバック試験は、図4に示すような方式で行われる。即ち、45kgの錘を450mmの高さから振り子式に振り下ろしてガラスに衝撃を与えるというものである。
【0004】
前記保護フィルム乃至シートしては、種々の素材が用いられているが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニール等があるが、ガラス面に対する自己粘着性を有しない素材の場合には、接着剤(糊)を用いて接着を行うことになる。こうした接着剤を用いる場合は、剥離着脱が出来ないことになり、フィルムを広告媒体として兼用している場合に、容易に貼り替え出来ないという問題とガラス板が破損した場合には全体の取替えを行わなければならないという欠点がある。
【0005】
上述した保護フィルムとしては、次の従来技術が提案されている。
【特許文献1】特開2013−242567
【特許文献2】特開2004−130762
【特許文献3】特開2003−205588
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した保護フィルムは、接着剤を用いて板ガラスに固定するのが大半であったが、何れにしても破損、飛散防止効果を充分に備えた保護フィルム(シート)はこれまでに提案されていなかった。
【0008】
本発明は、上述した従来技術の現状に鑑み、剥離が容易でありながらガラスの破損、飛散防止に優れた保護フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるガラス板破壊及び飛散防止用保護フィルムは、上記目的達成のために、ガラス板の裏面に貼着されるところのガラス板破壊及び飛散防止用保護フィルムであって、
フィルム本体(1)を、自己粘着性を有する厚みが280ミクロンの塩化ビニールで構成し、該フィルム本体(1)の素材は、可塑剤としてフタル酸エステル或いはアジピン酸エステルが塩化ビニール100部に対して40部混入して構成されており、
前記フィルム本体(1)に直径1mmの小径孔(2)を、その前後左右2mmの間隔で全面に穿孔してある、
ことを特徴とする。
【0010】
本発明に言うフィルム本体(1)とは、軟質塩化ビニールが好ましいが、自己粘着性を発現できる素材であれば、その他の公知の合成樹脂フィルム、例えば、ポリエステル等を用いてもよい。
また、小径孔(2)は、通常パンチングによって形成するので、通常の打ち抜きピンであるので丸孔であるが、レーザー等により穿孔する場合等、丸形でなくてもよい。
そして、小径孔(2)の径及び所定の間隔については、フィルムの全体の大きさによっても異なるが、直径0.5乃至2ミリで、これと同程度の寸法の間隔を隔てて形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、厚みが280ミクロンの塩化ビニールで自己粘着性を有するので、ガラス板に対して剥離容易であり、これを広告手段として兼用する場合に、容易に張替えできる利点がある。
そして、フィルム本体は、可塑剤としてフタル酸エステル或いはアジピン酸エステルが塩化ビニール100部に対して40部混入して構成され、且つ、フィルム本体に直径1mmの小径孔を前後左右に2mmの間隔で穿孔してあることで、これをガラス板の裏面、即ち、衝撃を受ける面と反対側に貼着することで、正面から衝撃が加えられても、ガラス板が容易に破損しないのである(但し、正面側に貼着した場合は効果がない)。ここでは、ショットバック試験(JIS A5759)によって、破損しないことが確認されている。本来は、破損によるガラス小片の落下の程度によって判定されるが、本発明では、そもそも破損が防止されるという顕著な効果を奏するものである。
その他の利点は、以下の実施例の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施に際しては、前記フィルム本体(1)の素材が塩化ビニールで構成され、該素材は、可塑剤が塩化ビニール100部に対して40部乃至60部混入されている、ことが好ましい。
このようなフィルム本体である場合には、ショットバック試験において、板ガラス(1930X864X5mm)で、保護フィルム(1906X840mm、厚み280μ)の貼着によれば、破損を防止できている。
【0013】
また、前記フィルム本体(1)が、厚みが100ミクロン乃至280ミクロンとされ、前記小径孔(2)が、直径0.5乃至2ミリであることを特徴とし、当該小径孔(2)が、その直径と同距離乃至2倍以内の間隔でもって穿孔されている、のが好ましい。
このように、フィルム本体(1)の厚みが100ミクロン乃至280ミクロで、前記小径孔(2)が、直径0.5乃至2ミリであると、尚、一層上述した破損防止効果が確実に得られることが実験で確かめられている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかる保護フィルムの正面図。
図2】本発明にかかる保護フィルムをガラス板に貼着した場合の縦断面図。
図3】本発明にかかる保護フィルムの比較表。
図4】ショットバック試験を示す模式図。
【実施例】
【0015】
本発明にかかる保護フィルムの好適実施例を図面に基づいて以下詳述する。図1に示すように、ここでは、フィルム本体1には、軟質塩化ビニールのフィルムを用いている。
この軟質塩化ビニールは、可塑剤、例えば、フタル酸エステル(DINP,DEHPなど)或いはアジビン酸エステルが塩化ビニール100部に対して40部混入されており、その厚みは、280ミクロンである。しかし、可塑剤は、40部から60部の間であれば、所要の作用を得られることが判っているので、本発明の目的が達せられる。また、厚みについては、100ミクロンから400ミクロンであれば、機能上の差異はなく、本発明の目的を達することができる。
【0016】
図1に示すように、フィルム本体1には、小径孔2、ここでは、直径1mmの孔が、2mmの間隔をもって全面に穿孔されている。この穿孔は、パンチング(打ち抜き)によって形成されている。但し、図示においては、この小径孔2は全面表示でなく簡略的に部分表示としてある。
前記小径孔2については、直径は、1mm程度が好ましいが、0.5mm乃至2mm程度あっても略目的を達することができるものである。この場合には、孔間の間隔も、2mmでなく、孔径の2倍程度に設定するのが好ましいものである。図2は、フィルム本体1をガラス板3に貼着させた拡大縦断面である。
【0017】
図3に示すのは、フィルム本体1と従来品の物性及びショットバック試験結果を示す比較表であり、本発明とA社の製品(商品名:SH2CLX)とを比較したものである。
ここにおいて、本発明のサンプルは、軟質塩化ビニールで、可塑剤が軟質塩化ビニール100部に対して40部混入、混練されたもので、厚みが280ミクロンとされたものである。また、小径孔2は、1mmとし、前後左右に2mmの間隔をもって全面に穿孔されている。
【0018】
比較表から分かるように、フィルムの物性、引張強さ(N/25mm)、が66.31であるの対し、158.5である点においてA社の従来品の方が優れていることが分かる。しかし、伸び(%)は、本発明のサンプル75.62に対して53.13であるところから、僅かに本発明の方が優れている。しかし、従来A社においてガラスの破損がみられ、本発明において破損防止が得られたのは、その保護フィルムの物性ではなく、構造的特異性、即ち、小径孔の所定間隔を隔てた穿孔にあるものと推測される。勿論、前記フィルム本体1は、ガラス面の裏側、即ち、振り子錘が衝突面の裏側に貼着される。
【0019】
衝突のメカニズムとしては、錘がガラス面に衝突した際に、ガラス面が外側に変形するのをフィルム本体1が伸張することでエネルギーを吸収するものと考えられるが、その際、前記小径孔2がフィルム1の全方向への伸張を許容させることができることで、ガラス板の全方向への均等な変形膨出を許容し、破壊を未然に回避させているものと考えられる。実験において、小径孔2を有しない保護フィルムは、ガラス板の破壊を免れなかった。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明にかかるガラス板の保護フィルムは、家屋用の窓ガラス板、出入り口の板ガラスのみならず、電子機器の液晶画面、携帯電話等のガラス面に対して有効であり、その応用範囲は広い。
【符号の説明】
【0021】
1:フィルム本体
2:小径孔
3:ガラス板
【要約】      (修正有)
【課題】剥離が容易でありながらガラスの破損、飛散防止に優れた保護フィルムを提供すること。
【解決手段】フィルム本体1を、自己粘着性を有する軟質合成樹脂製で構成し、フィルム本体1に所定の間隔を隔てて小径孔2を全面に穿孔してあるガラス板破壊及び飛散防止用保護フィルムであり、フィルム本体1の素材が塩化ビニールで構成され、該素材は、可塑剤が塩化ビニール100部に対して40〜60部混入されている、保護フィルム。フィルム本体1は、厚みが100〜280μmとされ、小径孔2が直径0.5〜2mmであり、小径孔2がその直径の1.0〜2.0倍の間隔で穿孔されている保護フィルム。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4