(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するとともに予め定められたコマンドを生成して送信するメイン基板と、前記コマンドを受けてこれに基づき演出に関する処理を実行するサブ基板と、前記サブ基板の制御のもとで所定の表示を行う表示デバイスとを備え、
予め定められたタイミングで前記メイン基板は前記表示デバイスに関する表示情報のコマンドを生成して前記サブ基板へ送信し、前記サブ基板は当該コマンドに基づき前記表示デバイスに表示を行わせるものであり、
前記メイン基板は、生成した前記コマンドを一時的に蓄積するコマンドスタックを含み、
前記サブ基板は、電源オフ時において、前記表示デバイスに関する前記表示情報を保持するバックアップメモリを含み、
電源オフの際において、前記メイン基板は、予め定められたデータの退避処理を行うとともに、前記サブ基板は、前記表示デバイスに関する前記表示情報を前記バックアップメモリに退避させ、
電源オンの際において、前記メイン基板は、予め定められた復帰処理を行い、これにより生成したコマンドを前記コマンドスタックに蓄積し、蓄積した前記コマンドを前記サブ基板へ送信するとともに、前記サブ基板は、前記バックアップメモリから前記表示デバイスに関する前記表示情報を読み出し、これに基づき前記表示デバイスに表示を行わせ、
前記メイン基板は、退避させたデータが消去されずに電源オンされたとき、前記復帰処理において前記表示デバイスに関する前記表示情報のコマンドを生成しないが、遊技機の動作に係る設定変更が行われたときを含む、電源オンの際に退避させたデータが消去されたときは、前記復帰処理において前記表示デバイスに関する前記表示情報のコマンドを生成することを特徴とする遊技機。
内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するとともに予め定められたコマンドを生成して送信するメイン基板と、前記コマンドを受けてこれに基づき演出に関する処理を実行するサブ基板と、前記サブ基板の制御のもとで所定の表示を行う表示デバイスとを備え、
予め定められたタイミングで前記メイン基板は前記表示デバイスに関する表示情報のコマンド(以下「表示情報コマンド」)を生成して前記サブ基板へ送信し、前記サブ基板は当該コマンドに基づき前記表示デバイスに表示を行わせるものであり、
前記メイン基板は、生成した前記コマンドを一時的に蓄積するコマンドスタックを含み、
前記サブ基板は、電源オフ時において、前記表示デバイスに関する表示情報を保持するバックアップメモリを含み、
電源オフの際において、前記メイン基板は、予め定められたデータの退避処理を行うとともに、前記サブ基板は、前記表示デバイスに関する前記表示情報を前記バックアップメモリに退避させ、
電源オンの際において、前記メイン基板は、予め定められた復帰処理を行い、これにより生成したコマンドを前記コマンドスタックに蓄積し、蓄積した前記コマンドを前記サブ基板へ送信するとともに、前記サブ基板は、前記バックアップメモリから前記表示デバイスに関する前記表示情報を読み出し、これに基づき前記表示デバイスに表示を行わせ、
前記メイン基板は、退避させたデータが消去されずに電源オンされたとき、前記復帰処理において前記表示デバイスに関する前記表示情報コマンドを生成しないことを特徴とする遊技機。
前記メイン基板の前記復帰処理において生成しない前記表示デバイスに関する前記表示情報の前記コマンドは、ベットされた遊技媒体の数を表示させるもの、又は前記遊技機の内部に貯留されている遊技媒体の数を表示させるものの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項2記載の遊技機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、メイン基板からサブ基板へコマンドを送信するに際して、メイン基板で生成したコマンドを一旦スタック(バッファ)に蓄積し、所定のタイミングで(例えば処理に余裕ができたときに)送信するということが行われている。スタックを用いることにより即座に処理しなければならないという制約を緩和でき、メイン基板のCPUの負荷を軽減することができるばかりでなく、プログラムの作成の点でも有利である。
【0006】
スタックの容量が大きいほど多くのコマンドを蓄積することができ、コマンド送信処理の点では有利であるが、コマンドのスタックは、実際には、メインメモリ(RAM)の一部を使用して構成されるので、スタックを大きくするとその分プログラムで使用できるメモリ容量が小さくなるという問題を生じる。他方、スタックの容量が不十分であると、スタックにコマンドを蓄積することができなくなり(スタックオーバーフロー)、最悪の場合、コマンドが失われ、遊技機の動作(特にサブ基板に関連する処理)に異常をきたすという問題が生じる。したがって、スタックの容量は必要かつ十分な範囲で最小限であることが望ましい。
【0007】
スタックの容量を最小にすることは、遊技機において特に重要である。遊技機のメイン基板などのハードウエアについては法令による規制がかけられており、使用できるメモリ容量には上限がある。もし、スタックの容量を大きくすると、使用可能なメモリ容量が小さくなり、抽選入賞判定処理などの遊技処理に支障が生じるおそれがある。
【0008】
必要最小限のスタックの容量を見積もるための技術的検討を行ったところ、最も多くのコマンドがスタックされるタイミングは電源投入時、より具体的には設定変更時ではない電源投入であって、しかもメモリクリアされておらず電源断直前の状態に復帰する「正常な」電源投入時であることがわかった。このとき、電源断直前の状態に復帰するためのコマンドが多数生成され、それらがスタックに蓄積されるのである。
【0009】
したがって、電源投入時においてスタックされるコマンドを減らすことがスタックの容量の削減につながり、遊技処理に使用可能なメモリ容量を増加させ、これによりCPUの負荷やプログラム作成時の負担を軽減することができるようになる。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、スタックの容量を削減でき、CPUの動作やプログラム作成上有利な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係る遊技機は、内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するとともに予め定められたコマンドを生成して送信するメイン基板と、前記コマンドを受けてこれに基づき演出に関する処理を実行するサブ基板と、前記サブ基板の制御のもとで所定の表示を行う表示デバイスとを備え、
予め定められたタイミング(例えば、メダルが投入されたとき、BETボタンが押下されたときなどのメダルに関する情報が更新されたとき)で前記メイン基板は前記表示デバイスに関する表示情報のコマンドを生成して前記サブ基板へ送信し、前記サブ基板は当該コマンドに基づき前記表示デバイスに表示を行わせるものであり、
前記メイン基板は、生成した前記コマンドを一時的に蓄積するコマンドスタックを含み、
前記サブ基板は、電源オフ時において、前記表示デバイスに関する表示情報を保持するバックアップメモリを含み、
電源オフの際において、前記メイン基板は、予め定められたデータの退避処理を行うとともに、前記サブ基板は、前記表示デバイスに関する前記表示情報を前記バックアップメモリに退避させ、
電源オンの際において、前記メイン基板は、予め定められた復帰処理を行い、これにより生成したコマンドを前記コマンドスタックに蓄積し、蓄積した前記コマンドを前記サブ基板へ送信するとともに、前記サブ基板は、前記バックアップメモリから前記表示デバイスに関する前記表示情報を読み出し、これに基づき前記表示デバイスに表示を行わせ、
前記メイン基板の前記復帰処理では、前記表示デバイスに関する表示情報のコマンドを生成しないものである。
前記メイン基板の前記復帰処理において生成しない前記表示デバイスに関する表示情報の前記コマンドは、例えば、ベットされた遊技媒体の数を表示させるもの、又は前記遊技機の内部に貯留されている遊技媒体の数を表示させるものの少なくともいずれかである。
前記メイン基板は、退避させたデータが消去されずに電源オンされたとき、前記復帰処理において前記表示デバイスに関する表示情報のコマンドを生成しないが、遊技機の動作に係る設定変更が行われたときを含む、電源オンの際に退避させたデータが消去されたときは、前記復帰処理において前記表示デバイスに関する表示情報のコマンドを生成するようにしてもよい。
【0012】
前記メイン基板は、前記復帰処理の後に、前記表示デバイスに関する表示情報のコマンドを生成し、これを前記サブ基板へ送信し、
前記サブ基板は、前記メイン基板から受けた前記コマンドによる前記表示デバイスに関する表示情報を、前記バックアップメモリに退避させた前記表示デバイスに関する前記表示情報と比較し、両者が一致しないとき、異常と判定するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源断時に、サブ基板で表示情報をバックアップし、電源投入時に、メイン基板からコマンドを受けることなく、サブ基板のバックアップ情報に基づき電源断直前の状態に復帰するようにしたので、電源投入時において表示情報をメイン基板からサブ基板へ送信せずにすみ、したがって、電源投入時のコマンドのスタック数を削減することができる。これにより、スタックの容量を削減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、
図2は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図1及び
図2中、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、
図1に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、
図1に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132の下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0016】
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、3つの回胴のそれぞれに対応して3つのストップスイッチ140を設けてある。前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。前記ゲーム表示部131の上側には、液晶表示装置LCDが設けてある。
【0017】
スロットマシン本体120の内部には、
図2に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。スロットマシン本体120の内部には、前扉130を閉めたときにゲーム表示部131が来る位置に三個の回胴からなるリール(回胴)ユニット203が設置されている。リールユニット203は、外周面に複数種類の図柄が配列されている3つの回胴(第1回胴〜第3回胴)を備えている。ゲーム表示部131には開口部が設けられていて、それを通して遊技者が前記リールユニット203の各回転回胴の図柄を見ることができるようになっている。ホッパ装置121の左側には電源部205が設けられている。
【0018】
前記前扉130の裏面には、
図2に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
【0019】
また、メダルセレクタ1の下側には、
図2に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられたメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0020】
図3は発明の実施の形態に係るスロットマシン100の機能ブロック図を示す。
この図において電源系統についての表示は省略されている。図示しないが、スロットマシンは商用電源(AC100V)から直流電源(+5Vなど)を発生するための電源部を備える。
スロットマシン100は、その主要な処理装置としてメイン基板(処理部)10とこれからコマンドを受けて動作するサブ基板20とを備える。なお、少なくともメイン基板10は、外部から接触不能となるようにケース内部に収容され、これら基板を取り外す際に痕跡が残るように封印処理が施されている。
【0021】
メイン基板10は、遊技者の操作を受けて内部抽選を行ったり、回胴の回転・停止やメダルの払い出しなどの処理を行うためのものである。メイン基板10は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。
【0022】
サブ基板20は、メイン基板10からコマンド信号を受けて内部抽選の結果を報知したり各種演出を行うためのものである。サブ基板20は、前記コマンド信号に応じた予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPUと、前記プログラムを記憶する記憶手段であるROMおよび処理結果などを一時的に記憶するRAMを含む。コマンドの流れはメイン基板10からサブ基板20への一方のみであり、逆にサブ基板20からメイン基板10へコマンド等が出されることはない。
【0023】
メイン基板10には、ベットスイッチBET、スタートスイッチ134,ストップボタン140,リール(回胴)ユニット203、ホッパ駆動部80、ホッパ81及びホッパ81から払い出されたメダルの枚数を数えるためのメダル検出部82(これら80、81、82は前述のホッパ装置121を構成する)が接続されている。サブ基板20には液晶表示装置の制御用の液晶制御基板200、スピーカ基板201、LED基板202などの周辺基板(ローカル基板)が接続されている。
【0024】
液晶制御基板200には、
図1の液晶表示装置LCDが接続されている。なお、これ以降の説明において、特に断らない限り、液晶表示装置LCDは液晶制御基板200と液晶表示装置LCDの両方を指すものとする(別の言い方をすれば、液晶表示装置LCDは液晶制御基板200を含むものとする)。
【0025】
メイン基板10には、さらに、メダルセレクタ1のメダルセンサS1及びS2が接続されている。
【0026】
メダルセレクタ1には、メダルを計数するためのメダルセンサS1及びS2が設けられている。メダルセンサS1及びS2は、メダルセレクタ1に設けられた図示しないメダル通路の下流側(出口近傍)に設けられている(メダル通路の上流側はメダル投入口132に連通している)。2つのメダルセンサS1とS2は、メダルの進行方向に沿って所定間隔を空けて並べて設けられている。メダルセンサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向に移動する不正行為を感知することができる。
【0027】
リールユニット203は、3つの回胴40a〜40cと、これらをそれぞれ回転させるステッピングモータ155a〜155cと、それらの位置をそれぞれ検出する回胴位置検出器159a〜159cとを備える(なお、ステッピングモータ155a〜155cを単にモータ155あるいはモータと記すことがある)。
【0028】
ホッパ駆動部80は、ホッパ81を回転駆動して、メイン基板10によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。遊技機は、メダルを1枚払い出す毎に作動するメダル検出部82を備えており、メイン基板10は、メダル検出部82からの入力信号に基づいてホッパ81から実際に払い出されたメダルの数を管理することができる。
【0029】
投入受付手段1050は、メダルセレクタ1のメダルセンサS1とS2の出力を受け、遊技毎にメダルの投入を受け付けて、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに基づいて、スタートスイッチ134に対する第1回胴〜第3回胴の回転開始操作を許可する処理を行う。なお、スタートスイッチ134の押下操作が、第1回胴〜第3回胴の回転を開始させる契機となっているとともに、内部抽選を実行する契機となっている。また、遊技状態に応じて規定投入数を設定し、通常状態およびボーナス成立状態では規定投入数を3枚に設定し、ボーナス状態では規定投入数を1枚に設定する。
【0030】
メダルが投入されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度として、投入されたメダルを投入状態に設定する。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされた状態で、ベットスイッチBETが押下されると、遊技状態に応じた規定投入数を限度して、クレジットされたメダルを投入状態に設定する。メダルの投入を受け付けるかどうかは、メイン基板10が制御する。スタートスイッチ134が押下され各回胴の回転が開始した時点(遊技開始時点)から3つのストップスイッチ140が押下され各回胴の回転が停止した時点(入賞した場合はメダル払い出しが完了した時点)(遊技終了時点)の間であって、メダルの投入を受け付ける状態になっていないときは(許可されていないときは)、メダルを投入してもメダルセンサS1、S2でカウントされず、そのまま返却される。同様に、メイン基板10は、メダルの投入を受け付ける状態か否かに応じて、ベットスイッチBETの有効/無効を制御する。また、前記遊技終了時点から前記遊技開始時点までの間でベットスイッチBETは有効となるが、これ以外の期間においては(BETスイッチの押下が許可されていないときは)、ベットスイッチBETを押下しても、それは無視される。
【0031】
メイン基板10は、乱数発生手段1100を内蔵する。乱数発生手段1100は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお本実施形態において「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0032】
内部抽選手段1200は、遊技者がスタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う。すなわち、メイン基板10のメモリ(図示せず)に記憶されている抽選テーブル(図示せず)を選択する抽選テーブル選択処理、乱数発生手段1100から得た乱数の当選を判定する乱数判定処理、当選の判定結果で大当たりなどに当選したときにその旨のフラグを設定する抽選フラグ設定処理などを行う。
【0033】
抽選テーブル選択処理では、図示しない記憶手段(ROM)に格納されている複数の抽選テーブル(図示せず)のうち、いずれの抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを決定する。抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役(ベル、チェリー)、レギュラーボーナス(RB:ボーナス)、およびビッグボーナス(BB:ボーナス)などの各種の役が対応づけられている。また、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態が設定可能とされ、さらにリプレイの抽選状態として、リプレイ無抽選状態、リプレイ低確率状態、リプレイ高確率状態が設定可能とされる。
【0034】
乱数判定処理では、スタートスイッチ134からのスタート信号に基づいて、遊技毎に前記乱数発生手段(図示せず)から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について前記抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0035】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役の抽選フラグを非当選状態(第1のフラグ状態、オフ状態)から当選状態(第2のフラグ状態、オン状態)に設定する。2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。抽選フラグの設定情報は、記憶手段(RAM)に格納される。
【0036】
入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されていることがある。この場合、前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、レギュラーボーナス(RB)およびビッグボーナス(BB)があり、それ以外の役(例えば、小役、リプレイ)は後者の持越不可フラグに対応づけられている。
【0037】
すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でレギュラーボーナスに当選すると、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態を、レギュラーボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行い、内部抽選でビッグボーナスに当選すると、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナスが入賞するまで持ち越す処理を行う。このときメイン基板10は、内部抽選機能により、レギュラーボーナスやビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、レギュラーボーナスおよびビッグボーナス以外の役(小役およびリプレイ)についての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、レギュラーボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているレギュラーボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定し、ビッグボーナスの抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、内部抽選で小役あるいはリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナスの抽選フラグと内部抽選で当選した小役あるいはリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0038】
回胴制御手段1300は、遊技者のスタートスイッチ134の押下操作(回転開始操作)によるスタート信号に基づいて、第1回胴〜第3回胴をステッピングモータにより回転駆動させ、第1回胴〜第3回胴の回転速度が所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)に達した状態において回転中の回胴にそれぞれ対応する3つのストップボタン140の押下操作(停止操作)を許可する制御を行うとともに、ステッピングモータにより回転駆動されている第1回胴〜第3回胴を抽選フラグの設定状態(内部抽選の結果)に応じて停止させる制御を行う。
【0039】
また、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140に対する押下操作(停止操作)が許可(有効化)された状態において、遊技者が3つのストップボタン140を押下することにより、その回胴停止信号に基づいて、リールユニット203のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1回胴〜第3回胴の各回胴を停止させる制御を行う。
【0040】
すなわち、回胴制御手段1300は、3つのストップボタン140の各ボタンが押下される毎に、第1回胴〜第3回胴のうち押下されたボタンに対応する回胴の停止位置を決定して、決定された停止位置で回胴を停止させる制御を行っている。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている停止制御テーブル(図示せず)を参照して3つのストップボタンの押下タイミングや押下順序等(停止操作の態様)に応じた第1回胴〜第3回胴の停止位置を決定し、決定された停止位置で第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行う。
【0041】
ここで停止制御テーブルでは、ストップボタン140の作動時点における第1回胴〜第3回胴の位置(押下検出位置)と、第1回胴〜第3回胴の実際の停止位置(または押下検出位置からの滑りコマ数)との対応関係が設定されている。抽選フラグの設定状態に応じて、第1回胴〜第3回胴の停止位置を定めるための停止制御テーブルが用意されることもある。
【0042】
遊技機では、リールユニット203がフォトセンサからなるインデックスセンサを備えており、回胴制御手段1300は、回胴が1回転する毎にインデックスセンサで検出される基準位置信号に基づいて、回胴の基準位置(インデックスセンサによって検出されるコマ)からの回転角度(ステップモータの回転軸の回転ステップ数)を求めることによって、現在の回胴の回転状態を監視することができるようになっている。すなわち、メイン基板10は、ストップスイッチ140の作動時における回胴の位置を、回胴の基準位置からの回転角度を求めることにより得ることができる。
【0043】
回胴制御手段1300は、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とを回胴を停止させる制御として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止するように(当選した役を入賞させることができるように)回胴を停止させる制御処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役に対応する図柄が有効な入賞判定ライン上に停止しないように(当選していない役を入賞させることができないように)回胴を停止させる制御処理である。すなわち本実施形態の遊技機では、上記引き込み処理及び蹴飛ばし処理を実現させるべく、抽選フラグの設定状態、ストップボタン140の押下タイミング、押下順序、既に停止している回胴の停止位置(表示図柄の種類)などに応じて各回胴の停止位置が変化するように停止制御テーブルが設定されている。このように、メイン基板10は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないように第1回胴〜第3回胴を停止させる制御を行っている。
【0044】
遊技機では、第1回胴〜第3回胴が、ストップボタン140が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中の回胴を停止させる制御状態に設定されている。すなわち回転している各回胴の停止位置を決めるための停止制御テーブルでは、ストップボタン140の押下時点から各回胴が停止するまでに要するコマ数が0コマ〜4コマの範囲(所定の引き込み範囲)で設定されている。
【0045】
入賞判定手段1400は、第1回胴〜第3回胴の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する処理を行う。具体的には、記憶手段(ROM)に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、第1回胴〜第3回胴の全てが停止した時点で入賞判定ライン上に表示されている図柄組合せが、予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。
【0046】
入賞判定手段1400は、その判定結果に基づいて、入賞時処理を実行する。入賞時処理としては、例えば、小役が入賞した場合にはホッパ81を駆動してメダルの払出制御処理が行われるか、あるいはクレジットが増加され(規定の最大枚数例えば50枚まで増加され、それを超えた分だけ実際にメダル払い出される)、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理が行われ、ビッグボーナスやレギュラーボーナスが入賞した場合には遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0047】
払出制御手段1500は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパ駆動部80でホッパ81を駆動して払い出させる。この際に、ホッパ81に内蔵される図示しないモータに電流が流れることになる。
【0048】
メダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパ81によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段(RAM)のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0049】
リプレイ処理手段1600は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。リプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに前回の遊技と同じ規定投入数のメダルが自動的に投入状態に設定される自動投入処理が行われ、遊技機が前回の遊技と同じ入賞判定ラインを有効化した状態で次回の遊技における回転開始操作(遊技者によるスタートスイッチ134の押下操作)を待機する状態に設定される。リプレイの抽選状態として、リプレイが内部抽選の対象から除外されるリプレイ無抽選状態、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定されるリプレイ低確率状態、およびリプレイの当選確率が約1/6に設定されるリプレイ高確率状態という複数種類の抽選状態を設定可能とされている。リプレイの抽選状態を変化させることにより、内部抽選におけるリプレイの当選確率を変動させる。
【0050】
また、メイン基板10は、通常状態、ボーナス成立状態、およびボーナス状態の間で遊技状態を移行させる制御を行うことがある(遊技状態移行制御機能)。遊技状態の移行条件は、1の条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の条件のうち1の条件が成立したこと、あるいは複数の条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を他の遊技状態へ移行させることができる。
【0051】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナスあるいはレギュラーボーナスに当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、通常状態における内部抽選でビッグボーナスが当選した場合、ビッグボーナスが入賞するまでビッグボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持され、通常状態における内部抽選でレギュラーボーナスが当選した場合、レギュラーボーナスが入賞するまでレギュラーボーナスに対応する抽選フラグが当選状態に維持される。ボーナス状態では、ボーナス遊技によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判断し、入賞したボーナスの種類に応じて予め定められた払出上限数を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる。
【0052】
メイン基板10は、内部抽選処理を含む遊技に係る制御を実行するとともに予め定められたコマンドを生成してサブ基板20へ送信するが、生成されたコマンドは、コマンドスタック1700に一時的に格納される。コマンドスタック1700は、メインメモリ(RAM)の一部に設けられている。
【0053】
メイン基板10が生成して送信するコマンドには、ベット枚数やクレジット枚数(表示情報)を表示させるためのコマンドが含まれる。サブ基板20は、メイン基板10からの当該コマンドに従い、ベット枚数やクレジット枚数を中部表示部203bに表示する(中部表示部203bを備えないときは、液晶表示装置LCDに表示することもある。以下、中部表示部203bで表示する場合を例に取り説明を加える)。表示デバイス203は、
図3に示すように、7セグメントLEDなどから構成される中部表示部203b(あるいは液晶表示装置LCD)と、サブ基板20の制御に従い中部表示部203bに所定の表示を行わせる中部スレーブ基板203aとを含む。中部表示部203bは、例えば、前扉130のゲーム表示部131の下側に設けられている(図示せず)。
なお、メイン基板10も、7セグメントLEDなどから構成される投入枚数クレジット枚数表示部DSPによりベット枚数やクレジット枚数を表示するが、以下の説明では、専ら表示デバイス203、中部表示部203bによるベット枚数やクレジット枚数の表示について説明する。「ベット枚数やクレジット枚数の表示」とは、中部表示部203bによるものを指す。遊技機によっては、中部表示部203bを設けず、液晶表示装置LCDの画面上にベット枚数やクレジット枚数の表示を行うこともある(
図3の点線はその場合の信号の流れを示す)。本明細書において、「表示デバイス」は、7セグメントLEDなどから構成される中部表示部203bを含む表示デバイスとともに、液晶表示装置LCDを含む表示デバイスのいずれをも意味するものとする。
ちなみに、ベット枚数やクレジット枚数の表示は重要な情報であり、もともとメイン基板10がその表示を担当しているが、ベット枚数やクレジット枚数の表示とともに、他の情報(例えば、AT(ART)の残り回数や、非遊技時に行うその日に行われたAT(ART)の回数等)を表示するために、追加的に表示デバイス203、中部表示部203bが設けられた。投入枚数クレジット枚数表示部DSPと、中部表示部203bは、遊技機の前面のそれぞれ別の場所に設けられている(例えば、前者はベットボタン付近の下扉の上面に設けられ、後者は前扉130のゲーム表示部131の下側に設けられている)。
【0054】
また、サブ基板20は、電源断時において予め定められた情報(例えば、電源断直前のベット枚数やクレジット枚数)を保持するためのバックアップメモリ21を備えている。バックアップメモリ21はフラッシュメモリなどの不揮発性メモリあるいは電池などによるバックアップ電源を備えるメモリであり、電源断においてもその内容は保持されている。
【0055】
投入受付手段1050がメダル投入を検知すると、メイン基板10はその枚数を表示させるためのコマンドを生成し、サブ基板20へ送る。当該コマンドに基づき、サブ基板20は中部スレーブ基板203aを制御して、投入された枚数を表示させる。あるいは、遊技機にメダルがクレジットされているとき(言い換えれば、クレジット枚数が変化したとき)、メイン基板10はクレジット枚数を表示させるためのコマンドを生成し、サブ基板20へ送る。当該コマンドに基づき、サブ基板20は中部スレーブ基板203aを制御して、クレジット枚数を表示させる。
【0056】
図4は、発明の実施の形態に係る遊技機の処理フローチャートを示す。同図は、電源オフから電源投入時にかけてのメダルの投入枚数とクレジット枚数の表示制御に関する処理のみを示している。他にも、抽選入賞処理及びこれに関連する表示処理、演出処理があるが、それらは省略している。
【0057】
以下、
図4を参照して遊技機の動作について説明を加える。なお、
図4は、設定変更時ではない電源投入であって、しかもメモリクリアされておらず電源断直前の状態に復帰する「正常な」電源投入時に関する処理を示している。設定変更とは次のようなものである。
通常の遊技機は、BB,RB、小役等の抽選確率の異なる複数(例えば6つ)の抽選テーブルを予め備える。遊技機の抽選では、それら複数の抽選テーブルの中から1つが設定され、この設定された抽選テーブルに基づいて抽選による当たり/ハズレの判定がなされる。複数の抽選テーブルのうちどれを使用するかに関する設定を変更することを、設定変更と称している。スロットマシンのような遊技機では、設定値(通常1〜6)を変更する場合、遊技機の扉を開け、電源部に設けられた設定変更キースイッチに設定変更キーを挿入して当該キースイッチをオンにした状態で遊技機の電源を投入して設定変更可能な状態にし、設定変更ボタン(押ボタン)を1回押下するごとに、7セグメント表示器などに表示される設定値がインクリメントされて1〜6までの値を循環的に変化させ、所望する設定値が表示器に表示されたところでスタートスイッチを操作することで、所望する設定値を確定させていた。
なお、設定変更などによりメモリクリアが行われた場合は、
図4の手順とは異なる。具体的には、設定変更が終了した後に、メイン基板からサブ基板へ情報表示コマンドが送信される。設定変更により、ベットやクレジット等の情報が結果的にクリアされる。
【0058】
メイン基板10は、メダルが投入されたこと、あるいはBETボタンが押下されたこと、小役の入賞による払い出し、リプレイの入賞による自動投入処理、精算などに応じてその管理を行う(S1)。
【0059】
メダル投入枚数又はクレジット枚数が変更されたとき、その変更後の表示を行うために、メイン基板10は所定のメダル情報コマンドを生成し、サブ基板20へ送る(S2)。
【0060】
サブ基板20は、メダル情報コマンドを受けて、中部スレーブ基板203aへ変更後のメダル投入枚数(ベット枚数)又はクレジット枚数を表示するための情報表示コマンドを送る(S4)。
【0061】
中部スレーブ基板203aは、当該コマンドを受けて表示を行う(S4)。
【0062】
以上の処理S1〜S4は、必要に応じて適宜繰り返し行われる。
【0063】
ここで、遊技機の電源がオフ(電源断)になったとする(符号t1)。すなわち、ホール店員が遊技機の前扉130を開き、内部の電源部205に設けられている電源スイッチをオフにする。
【0064】
電源オフの際に、メイン基板10及びサブ基板20ではデータの退避処理が行われる。すなわち、メイン基板10は、そのメインメモリに存在する遊技に関するデータ(例えば上述したフラグなど)を不揮発性メモリあるいはバックアップ電源の接続されたメモリに退避し(S5)、サブ基板20は、少なくともメダル投入枚数及びクレジット枚数に関するデータをバックアップメモリ21に退避する(S6)。このメダル投入枚数及びクレジット枚数は、メイン基板10からのメダル情報コマンドに含まれていた情報である。
【0065】
遊技機の電源電圧は、電源オフによって直ちに低下するのではなく、一定時間維持される(
図4では時刻t1からt2にかけて維持される)。その間、電源断であることを所定の通知(電源断予告信号)により知ったメイン基板10とサブ基板20は、退避処理S5,S6を実行する。その後、電源電圧が低下する。
【0066】
そして、時刻t3において電源がオンになったとする。
【0067】
サブ基板20はバックアップメモリ21の内容を調べ、バックアップされた情報を読み出す(S7)。メダル投入枚数及びクレジット枚数に関する読み出した情報を、S3の情報表示コマンドと同様の形式にして送信する(S8)。
【0068】
中部スレーブ基板203aは、当該コマンドを受けて中部表示部203bに表示を行う(S9)。S6〜S9の処理により、表示部203bで電源断直前の表示が行われる。ここで、メイン基板10からコマンドを受けることなく、当該表示が行われることに注意されたい。
【0069】
他方、メイン基板10は電源断直前の状態に戻るための復帰処理を行う(S10)。この際、サブ基板20を電源断直前の状態に戻すためのコマンドを作成する。当該コマンドは一旦スタックされる。ここでスタックされるコマンドは、メダル情報コマンドを含まない。当該コマンドがなくても、S6〜S9の処理により電源断直前の状態が表示されるからである。
【0070】
スタックされたコマンドがサブ基板20へ送信され(S11)、サブ基板20で所定の動作が行われる(S12)。
【0071】
S7〜S12の処理により、時刻t4には電源断直前の状態に復帰する。
【0072】
発明の実施の形態によれば、サブ基板がベット枚数及びクレジット枚数の表示を制御し、電源断時に、サブ基板がベット枚数及びクレジット枚数の情報をバックアップし、電源投入時に、メイン基板からコマンドを受けることなく、サブ基板のバックアップ情報に基づき電源断直前の状態に復帰するようにしたので、電源投入時においてベット枚数とクレジット枚数のメダル関連の情報をメイン基板からサブ基板へ送信せずにすみ、したがって、コマンドスタックにコマンドが最大積み上がる電源投入時のコマンドのスタック数を削減することができる。これにより、スタック使用量が最大となる電源投入時においてスタック最大使用量が減り、スタックの容量を削減することができるという顕著な効果を奏する。言い換えれば、遊技に関する処理に使用できるメモリ容量を減らさずに済み、プログラム作成時の負担を軽減することができる。
【0073】
なお、サブ基板がベット枚数及びクレジット枚数の表示を制御しているので、その表示デバイスでART(アシストリプレイタイム)の残り回数を表示するようにしてもよい。
【0074】
上記効果について、
図5を参照してさらに説明を加える。
図5は、仮に、サブ基板がベット枚数及びクレジット枚数の情報をバックアップせず、電源投入時に、メイン基板からコマンドを受け、これに基づき電源断直前の状態に復帰するようにしたときの処理フローチャートである。
【0075】
図4と対比すると、
図5は、
図4のS6:退避処理、S7:バックアップ情報読み出し、及び、S8:バックアップ情報送信、を備えない点、並びに、復帰処理後のコマンドにメダル情報コマンドを含むかどうかの点で相違する。
【0076】
図5の処理によれば、電源断時に、メイン基板10がベット枚数及びクレジット枚数の情報をバックアップし、電源投入時に、メイン基板10からコマンドを送り、サブ基板20は当該コマンドを受けて電源断直前の状態に復帰するようにしている。したがって、電源投入時においてベット枚数とクレジット枚数のメダル関連の情報をメイン基板10からサブ基板20へ送信しなければならず、コマンドスタックにコマンドが最大積み上がる電源投入時のコマンドのスタック数を削減することができない。よって、
図5の処理では、本発明の実施の形態の効果を奏することができない。
【0077】
ところで、サブ基板20でバックアップした情報と、メイン基板10でバックアップした情報を比較することで、遊技機全体として正しくバックアップ及び復帰の処理ができているかどうか判断するようにしてもよい。このようにすれば、例えば不正行為によりメイン基板10が交換されたことをサブ基板20で検知することができ、それを報知することで不正行為を抑止することができるようになる。
【0078】
そのための処理の一例を
図6に示す。
図6はサブ基板20の処理を示す。
【0079】
S20:バックアップ情報を読み出す。
これは、
図4のS7に相当する。
【0080】
S21:バックアップ情報に基づきベット枚数・クレジット枚数を表示する。
これは、
図4のS8及びS9に相当する。
【0081】
S22:メダル情報コマンドを受けたかどうか判定する。
【0082】
S23:メダル情報コマンドを受けたとき、これが復帰処理時のメダル情報コマンドかどうか判定する。
【0083】
サブ基板20が受けるメダル情報コマンドには2種類ある。ひとつは、前述のように遊技処理を行っているときに受けるメダル情報コマンド(
図4のS2に相当する)であり、もうひとつは、復帰処理に関連して受けるメダル情報コマンド(
図5のS11’に相当する)である。後者のコマンドを受けたときに、S24〜S26の処理を実行する。
【0084】
なお、
図5のように復帰処理時にコマンドを生成するとスタックが大きくなり好ましくないから、復帰処理が終了した時点、言い換えればスタックにあるコマンドが少なくなったときにバックアップされていたメダル情報コマンドを送るようにしてもよい。このようにすればスタック容量の問題は生じない。また、メダル情報コマンドの送信が遅れても、
図4のS6〜S9の処理によりベット枚数及びクレジット枚数の表示は行われているので、表示の遅れという問題も生じない。
【0085】
S24:バックアップ情報とメダル情報コマンドを比較する。
【0086】
S25:ベット枚数及びクレジット枚数が一致しているかどうか判定する。
メイン基板10でバックアップされた内容と、サブ基板20でバックアップされた内容は同じであり、S25で一致という判定がなされるはずである。
【0087】
しかし、不一致である場合は、何らかのトラブルが生じている可能性がある。例えば(1)メイン基板10又はサブ基板20のバックアップ機構に問題が生じている(例えば、バックアップ電源が劣化し、電源断時に所定の電圧を維持できなかった)、(2)不正行為によりメイン基板10が交換された、などのトラブルである。
【0088】
S26:S25でNO(不一致)であるとき、エラー報知を行う。例えば、液晶表示装置LCDにその旨の表示を行う、及び/又は、いわゆるホールコンピューターへその旨の通知を行う。
これにより、例えば上記(1)(2)のトラブルをホール店員などに知らせることができる。
【0089】
なお、本発明の実施の形態は、パチンコ機にも適用できる。
【0090】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。