特許第5776940号(P5776940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気硝子株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5776940-ガラス板の端部検査装置 図000002
  • 特許5776940-ガラス板の端部検査装置 図000003
  • 特許5776940-ガラス板の端部検査装置 図000004
  • 特許5776940-ガラス板の端部検査装置 図000005
  • 特許5776940-ガラス板の端部検査装置 図000006
  • 特許5776940-ガラス板の端部検査装置 図000007
  • 特許5776940-ガラス板の端部検査装置 図000008
  • 特許5776940-ガラス板の端部検査装置 図000009
  • 特許5776940-ガラス板の端部検査装置 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776940
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】ガラス板の端部検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20150820BHJP
   G01N 21/896 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   G01N21/84 C
   G01N21/896
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-13025(P2012-13025)
(22)【出願日】2012年1月25日
(65)【公開番号】特開2013-152141(P2013-152141A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2014年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168550
【弁理士】
【氏名又は名称】友廣 真一
(72)【発明者】
【氏名】本郷 修司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 忠
(72)【発明者】
【氏名】井上 厚司
【審査官】 藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−258727(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/016369(WO,A1)
【文献】 特開2000−062951(JP,A)
【文献】 特開2011−199218(JP,A)
【文献】 特開2008−076171(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0040338(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84
G01N 21/896
CiNii
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板を下方から支持しながら搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送方向と直交する幅方向におけるガラス板の端部を撮像する撮像手段とを備えたガラス板の端部検査装置において、
前記搬送手段が、検査ステージとして、前記撮像手段に対応する位置に検査空間を有する主支持部と、前記検査空間で前記幅方向におけるガラス板の端部を補助的に支持する支持位置と前記支持位置から退避した退避位置の間を移動する補助支持部とを備え
前記主支持部が、第1の流体を噴出する複数の穴を有し、前記第1の流体を介してガラス板を浮上支持する主支持平面を有するとともに、
前記補助支持部が、第2の流体を噴出する複数の穴を有し、前記支持位置で前記第2の流体を介してガラス板を浮上支持する補助支持平面を有し、
ガラス板が所定のサイズよりも大きい場合に、ガラス板を前記主支持平面と前記補助支持平面で支持した状態で、ガラス板の端部検査を行うように構成されていることを特徴とするガラス板の端部検査装置。
【請求項2】
前記撮像手段が、前記補助支持部の前記移動動作に合わせて、前記幅方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の端部検査装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、前記浮上支持されているガラス板を吸着支持して、前記搬送方向に沿って移動する移動支持部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の端部検査装置。
【請求項4】
前記補助支持部が、前記幅方向で複数に分割されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス板の端部検査装置。
【請求項5】
前記主支持部が、前記幅方向で複数に分割されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス板の端部検査装置。
【請求項6】
前記搬送手段が、前記検査ステージの上流側と下流側の少なくとも一方に、前記搬送方向を90度反転させ、前記搬送方向に対するガラス板の任意の1辺の向きを90度変化させる方向転換部を備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス板の端部検査装置。
【請求項7】
前記検査ステージが、前記幅方向に並列に複数配列されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のガラス板の端部検査装置。
【請求項8】
ガラス板の板厚が、0.5mm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガラス板の端部検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の端部検査装置の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板などの各種ガラス板は、その製造工程の終盤において、端部に破損の原因となり得る有害な欠陥が存在するか否かを検査するのが通例である。
【0003】
この種の検査に用いられるガラス板の端部検査装置としては、カメラなどの撮像手段でガラス板の端部を撮像し、その撮像データに基づいてガラス板の端部の欠陥の有無を検査するものが多く用いられる(例えば、特許文献1〜2)。
【0004】
また、この種のガラス板の端部検査装置には、ガラス板を所定方向に搬送しながら端部検査を行うものもあるが、この場合、搬送経路の定位置に撮像手段を配置し、ガラス板の端部を通過させるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−258231号公報
【特許文献2】特開2005−156254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、搬送経路上には、ガラス板の端部を撮像するために、ガラス板を支持しない検査用の非支持空間(以下、検査空間という。)が形成される場合がある。また、近年では多様なニーズに対応すべく、種々の大きさのガラス板が製造されており、1つの端部検査装置で異なる大きさのガラス板を検査することが要請されている。そして、この要請に対処するためには、ガラス板の大きさが異なっても、検査空間において、ガラス板の端部を食み出させる必要がある。
【0007】
しかしながら、相対的に小さいガラス板に合わせて搬送手段の検査空間の大きさを設定すると、図9に示すように、相対的に大きいガラス板Gの端部の食み出し部Gaの幅方向寸法が大きくなりすぎてしまう。このため、食み出し部Gaが、検査空間101で垂れ下がり、正確な端部検査を行うことができないという問題が生じる。
【0008】
また、垂れ下がったガラス板Gの食み出し部Gaが、検査空間101を通過した後に再び搬送手段100に差し掛かった際に、検査空間101を区画する搬送手段100の側壁と接触して破損するおそれもある。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑み、異なる大きさのガラス板であっても、端部の破損を招くことなく正確な端部検査を行うことができるガラス板の端面検査装置を提供することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために創案された本発明は、ガラス板を下方から支持しながら搬送する搬送手段と、前記搬送手段の搬送方向と直交する幅方向におけるガラス板の端部を撮像する撮像手段とを備えたガラス板の端部検査装置において、前記搬送手段が、検査ステージとして、前記撮像手段に対応する位置に検査空間を有する主支持部と、前記検査空間でガラス板を補助的に支持する支持位置と前記支持位置から退避した退避位置の間を移動する補助支持部とを備えていることに特徴づけられる。
【0011】
このような構成によれば、相対的に小さいガラス板の場合には、補助支持部を退避位置に移動させて、ガラス板を主支持部のみで支持し、相対的に大きいガラス板の場合には、補助支持部を支持位置に移動させ、ガラス板を主支持部と補助支持部で支持することができる。このため、ガラス板の大きさが変更されても、補助支持部によって検査空間におけるガラス板の端部に形成される食み出し部の大きさを適正に保つことが可能となる。したがって、ガラス板の食み出し部が、検査空間において垂れ下がるという不具合を解消することができる。その結果、ガラス板の端部の検査精度の向上を図ると共に、ガラス板の端部が搬送手段と接触して破損するという事態を確実に低減することが可能となる。
【0012】
上記の構成において、前記撮像手段が、前記補助支持部の前記移動動作に合わせて、前記幅方向に移動するように構成されていることが好ましい。
【0013】
すなわち、ガラス板の大きさが変更されると、ガラス板の端部の位置も幅方向で変動するため、補助支持部の移動動作に合わせて、撮像手段も幅方向に移動させることが検査精度を安定させる上でも好ましい。
【0014】
上記の構成において、前記主支持部と前記補助支持部が、流体を噴射してガラス板を浮上支持するように構成されていることが好ましい。なお、浮上支持とは、ガラス板と支持部が完全に離反している場合のみならず、ガラス板と支持部が部分的に接触している場合も含む(以下、同様)。
【0015】
このようにすれば、ガラス板を移動させる際に、ガラス板と搬送手段の間の抵抗が小さくなり、ガラス板の移動を円滑に行うことが可能となる。また、ガラス板が薄板化されても、ローラ等で搬送するよりもガラス板の姿勢を安定させ易いという利点がある。このため、ガラス板の端面検査の高精度化に寄与し得る。
【0016】
上記の構成において、前記搬送手段は、前記浮上支持されているガラス板を吸着支持して、前記搬送方向に沿って移動する移動支持部を備えていてもよい。
【0017】
このようにすれば、浮上支持されたガラス板を移動支持部の移動に伴って、高速で搬送することができる。したがって、ガラス板の端面検査の高速化を図ることができる。
【0018】
上記の構成において、前記補助支持部が、前記幅方向で複数に分割されていることが好ましい。
【0019】
このようにすれば、分割された個々の補助支持部を、それぞれ退避位置と支持位置との間で移動させることで、検査空間におけるガラス板の端部の支持面積を細かく変更することができる。したがって、更に多くの大きさのガラス板の端面検査に対応することが可能となる。
【0020】
上記の構成において、前記主支持部が、前記幅方向で複数に分割されていることが好ましい。
【0021】
このようにすれば、分割された個々の主支持部の幅方向の間隔を調整させることで、更に多くの大きさのガラス板の端面検査に対応することが可能となる。
【0022】
上記の構成において、前記搬送手段が、前記検査ステージの上流側と下流側の少なくとも一方に、前記搬送方向を90度反転させて、前記搬送方向に対するガラス板の任意の1辺の向きを90度変化させる方向転換部を備えていてもよい。
【0023】
このようにすれば、搬送手段に対するガラス板の相対的な向きが、方向転換部の前後で90度変化する。このため、例えば、検査ステージの上流側に方向転換部を設ける場合には、方向転換部の上流側に更に別の検査ステージを設けることで、ガラス板全周の端部検査を実施することが可能となる。
【0024】
上記の構成において、前記検査ステージが、前記幅方向に並列に複数配列されていてもよい。
【0025】
このようにすれば、複数枚のガラス板の端部検査を同時に実施することができ、検査効率の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によれば、主支持部と補助支持部によって、ガラス板の大きさに応じた適正な支持態様が実現されることから、異なる大きさのガラス板であっても、端部の破損を招くことなく正確な端部検査を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態に係るガラス板の端部検査装置を示す斜視図であって、移動支持部が往動開始位置にある状態を示す図である。
図2】本実施形態のガラス板の端部検査装置の移動支持部を示す斜視図であって、移動支持部が復動開始位置にある状態を示す図である。
図3】(a)〜(d)は、本実施形態のガラス板の端部検査装置によるガラス板の搬送手順を説明するための図である。
図4】本実施形態のガラス板の端部検査装置の補助支持部が、支持位置に位置する状態を示す図である。
図5】本実施形態のガラス板の端部検査装置の補助支持部が、退避位置に位置する状態を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態に係るガラス板の端部検査装置の要部拡大図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るガラス板の端部検査装置を示す概念図である。
図8】本発明の第4実施形態に係るガラス板の端部検査装置を示す概念図である。
図9】本発明の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0029】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るガラス板の端部検査装置を示す斜視図である。この端部検査装置は、搬送手段1を備えており、この搬送手段1によって、上流側ステージS1から供給されるガラス板Gを下流側ステージS3へ向けて搬送しながら、その両ステージS1,S3の間の検査ステージS2でガラス板Gの端部を検査するものである。なお、図中において、ガラス板Gの端部を検査するための撮像手段は省略している。
【0030】
ガラス板Gの板厚は、例えば、0.7mm以下、好ましくは0.5mm以下である。このような板厚まで薄板化されると、ガラス板Gの垂れ下がりが問題となり易く、本実施形態の利点を最大限発揮し得るためである。また、ガラス板Gの大きさは、例えば、1辺が1m〜2m程度である。
【0031】
搬送手段1は、この実施形態では、主支持部2と、補助支持部3と、移動支持部4とを備えている。
【0032】
主支持部2は、ガラス板Gを下方から気体(例えば、空気など)を噴射して、ガラス板Gを主体的に浮上支持すると共に、ガラス板Gの搬送方向(図中の矢印方向)と直交する幅方向におけるガラス板Gの両端部を撮像するための検査空間5を有する。この実施形態では、主支持部2は、幅方向に複数に分割されており、分割された個々の主支持部2が幅方向に間隔を置いて平行に配列されている。なお、主支持部2は、分割されることなく、ガラス板Gの裏面を支持する単一平面を構成するものであってもよい。また、主支持部2は、液体(例えば、水など)、又は気体と液体を噴射するものであってもよい。
【0033】
補助支持部3は、主支持部2に設けられた検査空間5でガラス板Gを下方から気体(例えば、空気など)を噴射して、ガラス板Gを補助的に浮上支持する支持位置と、この支持位置から下方に退避した退避位置の間を移動可能とされている。なお、図1では、補助支持部3が、支持位置に位置した状態を図示している。また、補助支持部3は、液体(例えば、水など)、又は気体と液体を噴射するものであってもよい。
【0034】
移動支持部4は、主支持部2や補助支持部3によって浮上支持されているガラス板Gの幅方向中央部を下方から吸着支持して、搬送方向に移動するように構成されている。詳細には、移動支持部4は、搬送方向に延在する長尺体であって、ガラス板Gの中央部付近で隣接する2つの主支持部2の間に配置されている。また、移動支持部4は、ガラス板Gの搬送方向寸法の2枚分よりも長く、ガラス板Gの搬送方向における全長が支持される。さらに、移動支持部4は、図1及び図2に示すように、上流側ステージS1と下流側ステージS3の間を往復動するようになっている。付言すれば、移動支持部4は、往動開始位置で、図1に示すように上流側ステージS1と検査ステージS2の間に跨って配置された状態を取り、復動開始位置で、図2に示すように検査ステージS2と下流側ステージS3の間に跨って配置された状態を取る。
【0035】
次に、以上のように構成されたガラス板の端部検査装置の動作を説明する。
【0036】
まず、図3(a)に示すように、上流側ステージS1にガラス板Gが順次供給され、このガラス板Gを移動支持部4が下方から吸着支持する。この状態で、移動支持部4が搬送方向に移動し、ガラス板Gを主支持部2で浮上支持する。そして、相対的に大きなガラス板Gの場合には、図示のように、検査空間5で補助支持部3を支持位置に待機させておき、ガラス板Gの幅方向両端部の一部を補助支持部3で補助的に浮上支持しながら、図示しない撮像手段によってガラス板Gの幅方向両端部の検査を行う。
【0037】
そして、移動支持部4の搬送方向への移動が進行し、同図(b)に示す位置まで移動支持部4が移動すると、移動支持部4による吸着を一旦解除する。このとき、ガラス板Gが検査空間5を通過して、検査空間5の下流側に位置する主支持部2のみで支持された状態となる。換言すれば、移動支持部4が、往動開始位置から復動開始位置まで移動する過程で、ガラス板Gの両端部の全長に亘る検査が完了する。その後、移動支持部4が、同図(c)に示す位置まで搬送方向とは逆向きに移動すると共に、検査ステージS2で浮上支持されたガラス板Gを再び吸着支持する。そして、移動支持部4が、同図(d)に示す位置まで再び移動することで、検査ステージS2上のガラス板Gを下流側ステージS3に搬送する。下流側ステージS3まで搬送されたガラス板Gは、図外の後続の工程へと搬送される。以後、図3(a)〜(d)に示す動作を繰り返し、ガラス板Gを上流側ステージS1→検査ステージS2→下流側ステージS3へと順次搬送する。なお、このような動作は、移動支持部4で搬送方向の前後で2枚のガラス板Gを同時に吸着支持しながら行ってもよい。付言すれば、図3(a)の状態で、移動支持部4によって、上流側ステージS1と検査ステージS2でそれぞれガラス板Gを吸着支持し、2枚のガラス板Gを同時に搬送するようにしてもよい。
【0038】
そして、以上のように搬送される過程で、ガラス板Gの幅方向両端部はそれぞれ検査空間5を通過し、端部検査が実施される。詳細には、図4に示すように、補助支持部3によってガラス板Gの幅方向両端部の一部を浮上支持し、補助支持部3の外側方の検査空間5に食み出したガラス板Gの食み出し部Gaを撮像手段6によって撮像し、この撮像データに基づいて端部の欠陥の有無等を検査する。
【0039】
ここで、この実施形態では、移動支持部4の上面が、ガラス板Gの浮上支持を考慮し、主支持部2及び補助支持部3のそれぞれの上面よりも僅かに上方に位置している。もちろん、移動支持部4の上面は、主支持部2及び補助支持部3のそれぞれの上面と同一平面上に位置していてもよいし、僅かに下方に位置していてもよい。また、図示例では、撮像手段6がガラス板Gの端部上方に配置されているが、これに限定されるものではなく、公知の端部検査手法の光学配置を適宜採用することができる。
【0040】
一方、ガラス板Gが相対的に小さな場合には、図5に示すように、予め補助支持部3を退避位置へ下降させておき、ガラス板Gの幅方向両端部の一部を主支持部2の外側方の検査空間5に食み出させ、その食み出し部Gaを撮像手段6によって撮像する。この場合、補助支持部3の退避位置への下降動作に合わせて、撮像手段6を幅方向中央側に移動させる。
【0041】
ここで、ガラス板Gの大きさに関わらず、端部検査の際に、ガラス板Gの食み出し部Gaの搬送方向前後位置は、幅方向端部に配置された主支持部2によってそれぞれ支持される。
【0042】
以上のようにすれば、小さいガラス板Gの場合には、補助支持部3を退避位置に移動させて、ガラス板Gを主支持部2で支持することができ、大きいガラス板Gの場合には、補助支持部3を支持位置に移動させ、ガラス板Gを主支持部2と補助支持部3で支持することができる。このため、ガラス板Gの大きさが変更されても、補助支持部3によって検査空間5におけるガラス板Gの食み出し部Gaの大きさを適正に保つことが可能となる。したがって、ガラス板Gの食み出し部Gaが、検査空間5において垂れ下がるという不具合を解消することができる。その結果、ガラス板Gの端部の検査精度の向上を図ると共に、ガラス板Gの端部が搬送手段1と接触して破損するという事態を確実に低減することが可能となる。
【0043】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係るガラス板の端部検査装置の要部拡大図である。この第2実施形態に係る端部検査装置が、第1実施形態に係る端部検査装置と相違するところは、補助支持部3を幅方向で複数に分割した点にある。
【0044】
詳細には、分割された補助支持部3が、それぞれ独立して、各支持位置と各退避位置との間を昇降可能となっている。なお、撮像手段6は、各補助支持部3の昇降動作に合わせて、幅方向に段階的に移動するようになっている。
【0045】
このようにすれば、検査空間5におけるガラス板Gの端部の支持面積を細かく変更することができるため、大きさの異なる多数種のガラス板Gを検査対象とする場合であっても、各ガラス板Gの食み出し部Gaの幅方向寸法を適正に調整することができる。
【0046】
<第3実施形態>
図7は、本発明の第3実施形態に係るガラス板の端部検査装置の概念図である。この第3実施形態に係る端部検査装置が、第1〜2実施形態に係る端部検査装置と相違する第1の相違点は、検査ステージS2の上流側に位置する上流側ステージS1と下流側ステージS3にそれぞれガラス板Gの搬送方向を90度変化させる方向転換部7、8を設けたところにある。なお、上流側ステージS1の第1方向転換部7と、下流側ステージS3の第2方向転換部8は、それぞれ構成が共通しているので、以下では第1方向転換部7の構成を説明する。
【0047】
第1方向転換部7は、この実施形態では、図中の矢印A方向にガラス板Gを搬送する第1ローラ群9と、第1ローラ群9の搬送方向と直交する図中の矢印B方向にガラス板Gを搬送する第2ローラ群10とを備え、各ローラ群9、10はそれぞれ昇降動作可能となっている。そして、次のように動作する。
【0048】
まず、第2ローラ群10を下降させた状態で、上流側から供給されるガラス板Gを所定位置まで第1ローラ群9によって図中の矢印A方向に送りを加えながら搬送する。所定位置までガラス板Gを搬送した後に、第2ローラ群10を上昇させると共に、第1ローラ群9を下降させ、ガラス板Gを第1ローラ群9から第2ローラ群10へ引き渡す。第2ローラ群10へ引き渡されたガラス板Gは、移動支持部4によって吸着支持され、第2のローラ群10により図中の矢印B方向に送りを加えられながら、移動支持部4の移動によって検査ステージS2上に搬送される。なお、その後の移動支持部4によるガラス板Gの搬送手順は第1実施形態で説明した通りであるので省略する。
【0049】
第2の相違点は、第1方向転換部7よりも上流側に更に別の検査ステージS0を有するところにある。ここでは、便宜上、S0を第1検査ステージと、S2を第2検査ステージという。なお、第2検査ステージS2の構成は、第1実施形態と同様とする。
【0050】
第1検査ステージS0は、この実施形態では、ガラス板Gを浮上支持する主支持部11と、ガラス板Gを接触支持し且つ搬送方向(矢印A方向)に送りを加えるローラ群12とを備えている。主支持部11は、搬送方向と直交する幅方向(矢印B方向)に複数に分割されており、隣接する主支持部11間の幅方向間隔が調整可能となっている。また、ローラ群12は、幅方向の両端部に位置しており、幅方向に移動可能となっている。なお、ローラ群12の各ローラは、撮像手段13に対応する位置に配置されておらず、この空間が検査空間とされる。
【0051】
すなわち、第1検査ステージS0は、ガラス板Gの大きさに合わせて、主支持部11の幅方向間隔と、ローラ群12と主支持部11との間の幅方向間隔を調整することで、ガラス板Gの端部に形成される食み出し部の寸法を調整するようになっている。
【0052】
そして、この実施形態では、第1検査ステージS0でガラス板Gの矢印B方向に対向する2辺の端部検査が実施され、第2検査ステージS2でガラス板Gの矢印A方向に対向する残りの2辺の端部検査が実施される。なお、第1検査ステージS0は、上流側ステージS1の上流側に配置されているが、下流側ステージS3の下流側に配置してもよい。
【0053】
<第4実施形態>
図8は、本発明の第4実施形態に係るガラス板の端部検査装置の概念図である。この第4実施形態に係る端部検査装置が、第1〜3実施形態に係る端部検査装置と相違するところは、検査ステージS2を搬送方向と直交する幅方向に複数(図中では3つ)並列に配列に配置した点にある。
【0054】
詳細には、上流側から供給される複数枚のガラス板Gを、各上流側ステージS1で搬送方向を図中の矢印C1〜C3のように90度反転させながら振り分け、各検査ステージS2へと供給する。そして、各検査ステージS2では、図中の矢印D1〜D3方向に各ガラス板Gを搬送しながら端部検査を実施する。その後、検査が終了した各ガラス板Gは、各検査ステージS2の下流側に配置された各下流側ステージS3によって搬送方向を図中の矢印E1〜E3のように90度反転させながら1箇所に集められ、下流側へと搬送される。なお、この場合、各検査ステージS2では、ガラス板Gの対向する2辺の端部検査が実施されるが、残りの対向する2辺の端部検査は、上流側ステージS1の上流側又は下流側ステージS3の下流側で実施してもよい。
【0055】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施することができる。例えば、分割された主支持部2や、1又は分割された補助支持部3を幅方向に移動可能とし、それぞれの幅方向間隔を調整可能としてもよい。このようにすれば、ガラス板Gの大きさの変更に対してより緻密に対応することができる。
【0056】
また、移動支持部4を1つ設ける場合を説明したが、ガラス板Gが大きい場合には、移動支持部4を複数設けてもよい。さらに、また、移動支持部4に代えて、ガラス板Gに対してローラで送りを加えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 搬送手段
2 主支持部
3 補助支持部
4 移動支持部
5 検査空間
6 撮像手段
G ガラス板
Ga 食み出し部
S1 上流側ステージ
S2 検査ステージ
S3 下流側ステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9