(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
まず、検査装置にかかる第1の発明を実施するための形態について説明する。
本発明の検査装置は、撮像対象に光を照射する照明装置と、前記光の照射に基づく、前記撮像対象からの反射光を、受光する撮像装置と、前記撮像装置の中に存在し、前記反射光を受光する撮像素子と、を有し、前記撮像対象の2次元画像、3次元画像のいずれかまたは双方を取得する検査装置において、前記照明装置と前記撮像対象の間に偏光子を設置し、前記撮像対象と前記撮像装置の間に検光子を設置し、前記2次元画像、前記3次元画像のいずれかまたは双方における、識別困難領域の発生を抑制する検査装置である。
【0019】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る検査装置の1例である、はんだ印刷検査装置の全体構成を示す斜視図である。このはんだ印刷検査装置1は、撮像対象である基板100に印刷されているクリーム半田(以下、「はんだ」という)の2次元測定及び3次元測定を行って、はんだを検査する機能を備えている。はんだ印刷検査装置1は、照明装置2、撮像装置3、制御装置4、テーブル5等を備えている。
【0020】
照明装置2は、2つの3次元用ライン照明装置10a,10b及び6つの2次元用ライン照明装置20a,20b,30a,30b,40a,40bを備えている。撮像装置3は、白黒画像を撮像するカメラ50と撮像レンズ60を備えている。カメラ50は、CMOSセンサの撮像素子51を備えている。制御装置4は、画像処理制御部70を備えている。画像処理制御部70は、3次元用ライン照明装置10a用の3次元撮像領域用画像メモリ71a、3次元用ライン照明装置10b用の3次元撮像領域用画像メモリ71b、2次元用ライン照明装置20a,20b用の2次元撮像領域用画像メモリ72、2次元用ライン照明装置30a,30b用の2次元撮像領域用画像メモリ73、2次元用ライン照明装置40a,40b用の2次元撮像領域用画像メモリ74を備えている。テーブル5は、X軸テーブル80、X軸用モータ81、Y軸テーブル82、Y軸用モータ83を備えている。
【0021】
2次元用ライン照明装置は、撮像対象である基板100に光を照射する。2次元用ライン照明装置20a,20bは、カメラ50と撮像レンズ60により構成される光学系を挟むような形で配置され、2次元用ライン照明装置20aの2次元用ライン照明光21aと2次元用ライン照明装置20bの2次元用ライン照明光21bが、それぞれ上方向から斜め下方向に投光することで、基板100上に2次元用ライン照明光跡21が生じる。2次元用ライン照明装置30a,30b及び2次元用ライン照明装置40a,40bも同様に配置され投光することで、基板100上に2次元用ライン照明光跡31,41が生じる。
2次元用ライン照明装置20a,20b,30a,30b,40a,40bのそれぞれと基板100の間には偏光子が設置されている(図示していない)。
【0022】
2次元用ライン照明装置20a,20bには、例えば赤色系の光源を採用し、2次元用ライン照明装置30a,30bには、例えば緑色系の光源を採用し、2次元用ライン照明装置40a,40bには、例えば青色系の光源を採用する。
【0023】
3次元用ライン照明装置は、撮像対象である基板100に光を照射する。3次元用ライン照明装置10a,10bは、カメラ50と撮像レンズ60により構成される光学系を挟むような形で配置され、それぞれが上方向から斜め下方向に投光することで、3次元用ライン照明光11a,11bが発生し、基板100上に3次元用ライン照明光跡12a,12bが生じる。
3次元用ライン照明装置10a,10bのそれぞれと基板100の間には偏光子が設置されている(図示していない)。
【0024】
3次元用ライン照明装置10a,10bには、基板100の色相に応じて赤色系の光源、あるいは青色系・緑色系の光源を採用する。
【0025】
撮像装置3は、照射光に基づく、基板100からの反射光を受光する。また、撮像素子51は、撮像装置3の中に存在し、反射光を受光する。基板100上に生じた2次元用ライン照明光跡21,31,41及び3次元用ライン照明光跡12a,12bを、撮像レンズ60を通してカメラ50の撮像素子51上に投影する。
基板100と撮像装置3の間には、検光子が設置されている(図示していない)。
【0026】
撮像素子51は、
図2に示すように、撮像領域を任意に設定することができ、2次元用ライン照明光跡21,31,41を撮像するための2次元用撮像領域53,54,55及び3次元用ライン照明光跡12a,12bを撮像するための3次元用撮像領域52a,52bの5つの領域が設定されている。2次元用撮像領域53,54,55は、その撮像幅が1画素であり、ラインセンサカメラと同等と見なすことができる。3次元用撮像領域52a,52bは、その撮像幅が最大測定高さを規定することになるので比較的大きな値が設定され、通常40〜50画素程度ある。
【0027】
以上の光学系・照明系構成で、X軸テーブル80を一定ピッチ動かしカメラ50で画像を撮像、さらにX軸テーブル80を一定ピッチ動かしカメラ50で画像を撮像、という動作を繰り返していく。以上の動作の間、2次元用撮像領域からの出力を、それぞれ対応する2次元撮像領域用画像メモリ72,73,74に蓄積していくことで面画像を得ることができる。合わせて、3次元用撮像領域からの面画像出力を、それぞれに対応する3次元撮像領域用画像メモリ71a,71bに蓄積していく。
【0028】
また、面画像が多数集積した3次元撮像領域用画像メモリ71a,71bから、測定対象面の凹凸状態を再現することができ、よって3次元はんだ検査を実施することができる。
【0029】
すなわち、はんだ上の3次元用ライン照明光跡12a,12bと基板100上の3次元用ライン照明光跡12a,12bは、はんだの高さ分だけ位置がずれたように撮像される。3次元用ライン照明光11a,11bの基板100の上面からの取り付け角度をθとすると、はんだのずれ量にtanθを掛けることではんだの高さを測定することができる。さらに、3次元用ライン照明光跡12a,12bの長さ方向に直交する方向も同様に求めることで、はんだの体積を測定することができる。
【0030】
以上のように、カメラ50と撮像レンズ60という光学系に2次元検査用と3次元検査用の区別はなく、またX軸テーブル80を一定ピッチ動かしカメラ50で画像を撮像、という動作を繰り返す撮像走査を1回実施するだけで2次元画像と3次元画像の採取、及び2次元検査と3次元検査の実施が可能となり、はんだ印刷検査装置1の構造面および動作面で2次元検査と3次元検査が完全に融合する。
なお、検査装置は、撮像対象の2次元画像、3次元画像の双方を取得する場合に限定されない。検査装置は、撮像対象の2次元画像、3次元画像のいずれか一方のみを取得することもできる。
【0031】
本発明の検査装置における、LED光の偏光照明光学系を、
図3を用いて説明する。照明装置側に、偏光子である偏光フィルタを取り付け、照明光を偏光する。偏光子を透過した光は、偏光子の透過軸方向に振動する直線偏光になる。一方、撮像レンズ側に、検光子である偏光フィルタを取り付け、照明装置から照射された偏光が撮像対象で反射し、反射した偏光が検光子に達する際に、反射した偏光の振動方向が検光子の透過軸と垂直になるように、すなわちクロスするように取り付ける。
【0032】
本発明の検査装置における、レーザ光の偏光照明光学系を、
図4を用いて説明する。通常のレーザ光は光の振動方向が揃っている。その振動方向は、ライン光の方向に対し任意に設定できる。
図4は、レーザライン光の方向に対し、垂直方向にレーザ光が振動している図である。撮像レンズ側の検光子である偏光フィルタの透過軸を、
図4のレーザ光の振動方向に対し垂直の関係になるように、すなわちクロスするように取り付ける。このように、レーザ光の偏光照明光学系では、LED光の偏光照明光学系と同様にする。
なお、レーザ光の振動方向とレーザライン光の方向の関係は、固定して設定してある。そのため、レーザ光の振動方向と、撮像レンズ側の検光子の透過軸との関係を調整し、その後に、その撮像レンズ側の検光子の透過軸の方向に対し、LED照明装置側の偏光子の透過軸の方向を調整する。
【0033】
ここで、本発明の検査装置について、適用例を説明する。
本発明の検査装置は、2次元画像、3次元画像のいずれかまたは双方における、識別困難領域の発生を抑制する検査装置である。
識別困難領域としては、液体の表面に、発生する場合がある識別困難領域、また、固体の表面の形状が変化する前記表面に、発生する場合がある識別困難領域、また、固体の表面と、粉末組成物の表面との間に、発生する場合がある識別困難領域、また、固体の表面のうち、表面の粗さの異なる領域の間に、発生する場合がある識別困難領域のいずれかを含む。
【0034】
以下に、適用例を具体的に説明する。
図5を用いて、液体の表面に、発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例を説明する。具体的には、液体の表面の形状が変化する場所、すなわち液体の凸表面に発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例を説明する。さらに具体的には、はんだに含まれる透明物質または半透明物質に起因する識別困難領域に対する、適用例を説明する。
本発明の検査装置の偏光照明光学系により、フラックス等のはんだに含まれる透明物質または半透明物質に起因する識別困難領域を消去することが出来る。無偏光照明光学系の場合、識別困難領域は白くなり、はんだ上で白色シルク印刷やバーコードシールといった白い部分と画像処理上同じように見える領域となり、画像処理の情報としてノイズ成分となっている。
図5におけるCの領域が識別困難領域である。この識別困難領域を除去する従来方法としては、撮像カメラの露光時間を変化させ、複数回画像を取得し補間する方法などがあるが、複数回画像を取得しなければならないという問題点がある。本発明の検査装置では、一度の撮像で識別困難領域のない画像を取得することができるため、検査タクトの短縮や、画像処理の簡易化が可能である。
【0035】
図6を用いて、固体の表面の形状が変化する前記表面、すなわち固体の角部付近の表面に発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例を説明する。具体的には、基板上に設けたソルダーレジストの厚さが急激に変化する場所、すなわち基板上に設けたソルダーレジストの表面の形状が変化する前記表面に発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例を説明する。さらに具体的には、基板上に設けたソルダーレジストの角部付近の表面に発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例を説明する。
ソルダーレジストという透明物質または半透明物質の切欠き部分のエッジ、すなわちソルダーレジストの厚さが急激に変化する場所に識別困難領域が発生する場合がある。
図6におけるDの領域が識別困難領域である。この識別困難領域も、上述の適用例と同様に画像処理の情報としてノイズ成分となる。本発明の検査装置の偏光照明光学系においては、識別困難領域を消去できる。これにより、画像処理の情報としてノイズ成分が生じるのを防止できる。
【0036】
図7を用いて、固体の表面と、粉末組成物の表面との間に、発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例を説明する。具体的には、部品を実装するための金属の表面と、はんだの表面との間で発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例を説明する。
従来の検査装置の無偏光照明光学系では、はんだレベラー処理された基板のはんだ検査において、部品を実装するための金属の表面と、はんだの表面との間で識別困難領域が発生する場合がある。なお、はんだレベラー処理された基板とは、プリント基板上のソルダーレジストがかかっていない銅箔部分の表面に、リフロー済みはんだをコーティングする表面処理を行った基板である。
【0037】
本発明の検査装置の偏光照明光学系では、リフロー済みはんだがコーティングされた艶のある銀色パッド部分の反射光は強度が低下し、印刷後のはんだは反射光の強度が低下しない。そのため、本発明の検査装置では、銀色パッドは黒色に撮像され、はんだは灰色に撮像される。これにより、銀色パッドとはんだの明るさに画像処理に十分な差が生じ、識別が可能となる。
【0038】
図7のAの領域とBの領域は、ともにはんだである。従来の無偏光照明光学系の場合、はんだからの反射光と銀色パッドからの反射光は明るさと色相が近くなるため、白黒画像処理、カラー画像処理の両方式においても正確な識別が困難であり、また、Bの領域のように、にじんだはんだなどは完全に銀色パッドと見た目上同化してしまう場合もある。
本発明の検査装置の偏光照明光学系から得られる画像は、はんだ部分では無偏光照明光学系と同等な反射光がえられ、銀色パッド部分では反射光が大部分カットされるために、明るさに差が生じ、画像認識が容易となる。
【0039】
図8,9を用いて、液体の表面に発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例について説明する。具体的には、液体の表面の形状が変化する場所に発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例について説明する。さらに具体的には、基板上に設けたコーティング層の表面の形状が変化する場所に、発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例について説明する。
【0040】
基板自体や、基板上に実装された電子部品のコーティングを目的とし、基板や基板上の電子部品に、透明物質または半透明物質を塗布する場合がある。
透明物質または半透明物質が塗布された基板については、無偏光照明光学系を採用する検査装置を用いて、基板上の透明物質または半透明物質の塗布の具合を見る検査、また電子部品が正確な位置に実装されているかを測定する検査、また電子部品の印字を読み取ることにより正しい部品が実装されているかを見る検査を行っていた。
【0041】
これらの検査は画像処理を用いて行うが、透明物質または半透明物質の表面の形状が変化する場所、具体的には、透明物質または半透明物質の塗布領域の淵部付近や、透明物質または半透明物質の表面の凹凸部にて識別困難領域が発生する場合があった。この識別困難領域は、画像処理の情報としてノイズ成分となり、電子部品の位置測定の精度を悪化させ、また印字の読み取りを困難にしていた。
【0042】
従来の検査装置においては、基板に設けられたコーティング剤の塗布領域を識別するために、
図8に示すようなUV励起画像が用いられていた。ここで、コーティング剤は、透明物質または半透明物質からなる、高粘性を有する液体である。UV励起画像は、UV光線を照射すると可視光で光る励起物質が含まれたコーティング剤の塗布領域を知るための画像である。明るく撮像される部分はコーティング剤が塗布されている領域であり、暗い部分はコーティング剤が塗布されていない領域である。
図8において、砂地ハッチングが施されている領域はコーティング剤が塗布されている領域であり、砂地ハッチングが施されていない領域はコーティング剤が塗布されていない領域である。したがって、UV励起画像の明暗が切り替わる境界はコーティング剤の層の境界である。
【0043】
また、UV励起画像の撮像時と同じ撮像位置にて撮像された、
図8に示すような無偏光照明光学系の画像を用いることにより、部品や基板の位置を検出できる。UV励起画像と無偏光照明光学系の画像を用いることにより、コーティング剤を塗布すべき対象となる部品や基板上の領域、または塗布すべきでない対象となる部品や基板上の領域に対して、コーティング剤が実際に塗布されている領域との位置的な相関を検査できる。すなわち、塗布すべき対象となる部品や基板上の領域については、塗布すべき部品や基板上の領域に対して、実際には塗布されていない場合が検出できる。また、塗布すべきでない対象となる部品や基板上の領域については、塗布すべきでない部品や基板上の領域に対して、実際には塗布されている場合が検出できる。
【0044】
しかし、
図8に示すように、無偏光照明光学系の画像では、コーティング層の表面の形状が変化する表面に、またコーティング層が存在する領域の淵部付近の表面に、多数の識別困難領域が発生している。すなわち、無偏光照明光学系の画像では、このコーティング層の凸表面や凹表面に、またコーティング層が存在する領域の淵部付近の表面に識別困難領域が発生する場合がある。
図8において、黒塗り部が識別困難領域を表している。
この識別困難領域は、部品形状を正確に計測するためにはノイズ成分となるという問題点がある。
【0045】
図8からわかるように、従来方式の無偏光照明光学系の画像では多数の識別困難領域が発生しているのに対し、本発明の検査装置の偏光照明光学系の画像では識別困難領域が発生していない。このことにより、UV励起画像にてコーティング剤の塗布領域を識別し、識別困難領域の発生しない偏光照明光学系の画像にて部品や基板上の領域との位置的な相関を正確に検査することが出来る。
本発明の検査装置の偏光照明光学系においては、このコーティング層の凸表面や凹表面に、またコーティング層が存在する領域の淵部付近の表面に発生する場合がある識別困難領域を消去できる。これにより、画像処理の情報としてノイズ成分が生じるのを防止できる。
【0046】
図9の写真は、チップコンデンサーが実装された基板を示すものである。この写真では確認できないが、
図9の図で示すようにチップコンデンサーを覆うようにコーティング剤が塗布されている塗布領域が存在する。砂地ハッチングが施されている領域はコーティング剤が塗布されている領域であり、砂地ハッチングが施されていない領域はコーティング剤が塗布されていない領域である。無偏光照明光学系において、チップコンデンサーにコーティング剤を塗布した場合、コーティング剤が存在する領域の淵部付近の表面に識別困難領域が発生する(
図9中のe,d,a部分)。また、小さな部品であるチップコンデンサーを全体的にコーティング剤で覆うとき、表面張力によってチップコンデンサーの上面にコーティング剤の盛り上がりが発生し、コーティング剤の凸表面や凹表面に識別困難領域が発生する(
図9中のc,b部分)。そのため、コーティング剤の塗布領域の検査と共に、チップコンデンサーがシルク印刷のラインの枠内に正確に実装されているかの検査や、チップコンデンサーの定数を読み取ることにより適正なチップコンデンサーが実装されているかを調べる検査が困難となる。
【0047】
本発明の検査装置の偏光照明光学系においては、上述の無偏光照明光学系にて発生していた識別困難領域が発生しない。そのため、コーティング剤の塗布領域の検査と共に、チップコンデンサーがシルク印刷のラインの枠内に正確に実装されているかの検査や、チップコンデンサーの定数を読み取ることにより適正なチップコンデンサーが実装されているかを調べる検査が容易となる。
【0048】
固体の表面の形状が変化する前記表面に発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例について説明する。具体的には、固体の凸表面、凹表面、角部付近の表面に、発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例について説明する。さらに具体的には、錠剤の外観検査において、固体である錠剤の表面に発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例について説明する。
【0049】
錠剤には、錠剤の薬種の識別のために凹状の刻印がされているものがある。この錠剤の刻印の溝の入り口と底面付近に、形状が変化する表面が存在する。すなわち、刻印の溝の入り口は、錠剤の凸表面、すなわち角部付近の表面が形成されている。また、刻印の底面は、錠剤の凹表面が形成されている。
無偏光照明光学系で照らした時に刻印の溝の入り口や底面の形状を覆い隠すように識別困難領域が発生する場合がある。そのため、刻印の溝の入り口の欠けや底面の穴などを検査する際に識別困難領域が認識画像のノイズ成分となる。
【0050】
本発明の検査装置の偏光照明光学系にて撮像した場合は、この錠剤の表面の形状が変化する前記表面に識別困難領域が発生することがないため、刻印の溝の入り口の欠けや底面の穴の検査を精度よく行うことができる。
【0051】
固体の表面と、粉末組成物の表面との間に、発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例について説明する。具体的には、金属の表面と、金属粉末組成物の表面との間に、発生する場合がある前記識別困難領域に対する、適用例について説明する。さらに具体的には、メタルマスクの表面と、はんだの表面との間で発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例について説明する。
【0052】
はんだを基板上に印刷するために、金属板が使用されている。この金属板には、穴が設けたられており、この穴の位置と形状は、基板のレジストの開口部の位置と形状に合わせられている。金属板の上にペースト状のはんだの塊を置き、レジストの開口部と金属板の穴の位置を合わせた後に、スキージをその金属板に押し付け移動させる。そうすると、金属板の穴をはんだペーストが通り抜ける。その後に金属板と基板を離すと、レジストの開口部にはんだペーストが印刷される。この金属板をメタルマスクという。
【0053】
スキージがメタルマスクに押し付けられながら通った後、メタルマスクの穴部分以外の表面は、はんだペーストがきれいにそぎ取られていることが正常である。メタルマスクが均一な厚さであり、かつスキージの均一な圧力を作用させることにより、基板にはんだペーストが均一な厚みで印刷させることができる。基板全体にはんだペーストが均一な厚さで印刷されることが、その後の部品実装の安定性や、はんだ量の安定化にとって重要である。
【0054】
しかし、連続的にはんだペーストを基板に印刷していく生産工程にて、スキージに傷や減りなどによる摩耗部分が発生すると、メタルマスクを押すスキージの圧力がスキージの場所によって変わってしまう。この結果、傷や摩耗部分の存在により、スキージとメタルマスクとの間に隙間が出来てしまい、はんだペーストが筋状または帯状にメタルマスク上に残ってしまう。この筋状または帯状の領域に、基板のレジストの開口部があると、その開口部のはんだペーストの厚みが厚くなってしまう。また、常時そのメタルマスク表面にはんだペーストが残り、はんだペーストに含まれているフラックスとはんだの成分が分離してしまい、はんだペーストが劣化してしまう問題が発生する。
【0055】
これらの問題を解決するために、生産工程の生産者は、はんだペーストが筋状または帯状に残っていないか目視で確認し、必要に応じてスキージを交換する必要がある。そのために、定期的にメタルマスクの状態を検査しなければならない。そこで、メタルマスクを照明で照らしながら撮像カメラで撮像し、画像認識にてメタルマスク上に筋状または帯状のはんだペーストが存在しているか監視する必要がある。このことから、はんだペーストがメタルマスク上で筋状または帯状に残っている場合に、警告を出す自動化システムの開発が望まれている。
しかし、メタルマスクの表面は、艶がある銀色を呈している。そのため、無偏光照明光学系の検査装置を用いて、メタルマスク上の銀色のはんだペーストを検査すると、はんだペーストとメタルマスクが画像上で同化してしまい識別が困難になる。
【0056】
本発明の検査装置の偏光照明光学系を使用した場合、メタルマスクのような銀色の金属板の反射光は強度が低下するが、メタルマスク上に残ったはんだは反射光の強度が低下しない。そのため、本発明の検査装置の偏光照明光学系を用いた場合、メタルマスク表面は黒色に撮像され、またはんだは灰色に撮像されるため、スキージの傷等が起因となるメタルマスク上の筋状または帯状のはんだペーストを検出することができ、スキージの交換タイミングを自動で検出できる。その結果、生産者によるスキージ交換の確認作業を軽減することができる。
【0057】
次に、固体の表面のうち、表面の粗さの異なる領域の間に、発生する場合がある識別困難領域に対する、適用例について説明する。具体的には、メタルマスクの傷に起因する識別困難領域に対する、適用例について説明する。
【0058】
取扱や生産時に、メタルマスク上に傷が発生する場合がある。無偏光照明光学系を用いて撮像した場合、傷の部分は、メタルマスクの傷のついていない表面と同色、同明るさで撮像される。そのため、傷の部分は識別困難領域となる。
これに対して、偏光照明光学系で撮像した場合、傷の部分は、面精度がメタルマスクの表面に比べ粗いので、無偏光照明光学系で撮像した時と同等の明るさで撮像される。そのため、傷の部分は、灰色に撮像される。これに対して、メタルマスクの傷のついていない表面は、反射光が大部分カットされ黒色に撮像される。そのため、メタルマスクの傷のついていない表面と、傷の部分とで明るさに画像処理に十分な差が生じ、識別が可能となる。その結果、メタルマスク上の傷を検出することができる。
なお、メタルマスク上の傷を検出する場合、3次元画像を取得する必要はない。
【0059】
上述したように、2次元画像を取得する場合、ライン照明を用いて、撮像対象を乗せたテーブルを一定ピッチ動かしカメラで画像を撮像、という動作を繰り返す撮像走査を実施する。
2次元画像を取得する方法は、この方法に限定されない。すなわち、撮像対象を2次元的に広く照射する面照射照明を用いて、カメラで撮像対象の面画像を撮像してもよい。
【0060】
上述したように、2次元画像を取得する場合、RGBの3波長を用いる。
2次元画像を取得する場合、このRGBの3波長を用いる方法に限定されない。すなわち、RGBのいずれか1波長のみを用いてもよい。
また、波長は、カメラで撮像可能な波長であり、かつ偏光素子で偏光可能な波長であれば、可視光の波長範囲380〜780nmに限定されない。すなわち、紫外レーザ、紫外LED、近赤外レーザ、近赤外LED等の可視光波長に近い波長の光源を用いてもよい。
【0061】
2次元画像取得用の照明装置は、上述したLED光の照明装置に限定されるものではない。このほか2次元画像取得用の照明装置としては、RGBのそれぞれの波長をもつレーザ光源の照明装置や、カラーフィルタでRGBに分光された白色光源(3波長蛍光灯やハロゲンランプなどの可視光波長の内RGBの波長成分を持つ光源)を使用した照明装置などを採用することができる。
【0062】
3次元画像取得用の照明装置は、上述したレーザ光の照明装置に限定されるものではない。このほか3次元画像取得用の照明装置としては、レーザ変位計や、位相シフト照明装置などを採用することができる。
【0063】
偏光子は、上述した偏光フィルタに限定されるものではない。このほか偏光子としては、反射層と透過層を縞状に持つハーフミラーなどを採用することができる。
【0064】
検光子は、上述した偏光フィルタに限定されるものではない。このほか検光子としては、反射層と透過層を縞状に持つハーフミラーなどを採用することができる。
【0065】
識別困難領域としては、(イ)液体の表面に、発生する場合がある前記識別困難領域、(ロ)固体の表面の形状が変化する前記表面に、発生する場合がある前記識別困難領域、(ハ)固体の表面と、粉末組成物の表面との間に、発生する場合がある前記識別困難領域、(ニ)固体の表面のうち、表面の粗さの異なる領域の間に、発生する場合がある前記識別困難領域のいずれかを含んでいる。
【0066】
ここで、液体としては、はんだに含まれる透明物質または半透明物質、コーティング層等を上げることができる。
ここで、液体としては、粘度の大きさを問わない。また、液体としては、透明または半透明であるかを問わない。
【0067】
固体としては、ソルダーレジスト、金属、錠剤、カプセル剤、LEDチップをモールドしている透明樹脂等を上げることができる。
ここで、錠剤としては、光沢が出るような糖衣コーティングをされた錠剤、糖衣の剥離による露出した錠剤内部等も含まれる。また、カプセル剤としては、光沢のあるカプセル剤も含まれる。
また、固体としては、透明または半透明であるかを問わない。
【0068】
粉末組成物としては、はんだ等を上げることができる。
【0069】
固体の表面のうち、表面の粗さの異なる領域としては、メタルマスクの傷、レーザ刻印により削られて面精度が粗くなった金属面等を上げることができる。
【0070】
本発明の検査装置の用途としては、はんだ印刷検査装置、実装後基板外観検査装置、錠剤検査装置、はんだ印刷機のスキージ摩耗状態監視装置、メタルマスクの外観検査装置等を上げることができる。
【0071】
以上のことから、本発明を実施するための形態によれば、撮像対象に光を照射する照明装置と、前記光の照射に基づく、前記撮像対象からの反射光を、受光する撮像装置と、前記撮像装置の中に存在し、前記反射光を受光する撮像素子と、を有し、前記撮像対象の2次元画像、3次元画像のいずれかまたは双方を取得する検査装置において、前記照明装置と前記撮像対象の間に偏光子を設置し、前記撮像対象と前記撮像装置の間に検光子を設置することにより、前記2次元画像、前記3次元画像のいずれかまたは双方における、識別困難領域の発生を抑制することができる。
なお、本発明は上述の発明を実施するための形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0072】
つぎに、検査装置にかかる第2の発明を実施するための形態について説明する。
本発明の検査装置は、撮像素子に撮像領域を設け、前記撮像領域は反射光を受光し、前記撮像領域の上にバンドパスフィルタを設ける検査装置である。
【0073】
ここで、本発明の検査装置について、適用例を説明する。
最初の適用例の検査装置は、3つの撮像領域を有する、2次元画像用の撮像領域グループが存在し、前記3つの撮像領域の上に、前記3つの撮像領域にそれぞれ対応する3つのバンドパスフィルタを設け、前記3つのバンドパスフィルタは、それぞれ赤、緑、青の波長のみを透過する検査装置である。
【0074】
以下に、適用例を具体的に説明する。
特許文献1においては、撮像素子のCMOSセンサ上に複数の撮像領域を設けている。同時に複数波長の2次元画像や3次元画像を取得する場合、
図10のような走査用のライン形状をした撮像領域をCMOSセンサ上に設けている。2次元画像を取得するためにRGBの異なる照明光を撮像対象に照射し、RGB用の撮像領域で反射光を受光している。3次元画像を取得するためにレーザ光を撮像対象に照射し、レーザ用の撮像領域で反射光を受光している。
【0075】
RGBを個別の撮像領域で走査するための照明において、RGB合成時のカラーバランスが崩れないようにするため、または、照射対象の色ごとの反射特性を正確に把握するためには、他の波長の照明光が撮像領域に干渉するのを防がなければならず、照射位置や照射形状の制限があった。
【0076】
照明の照射方式は、撮像領域にほかの色(波長)の照明光が干渉しない様に、かつ照射死角を少なくするため、
図11のようにライン形状の照明光を前後2方向から照射している。ライン形状の2方向からの照射光の場合、完全な全周照射とはならず、前後照明のつなぎ目付近で、局所的だが照射死角が発生してしまう問題点がある。
【0077】
本発明の検査装置においては、
図12に示すように、CMOSセンサのサイズと同じか、またはCMOSセンサのサイズより大きいガラスウィンドウ上に、複数波長のバンドパスフィルタ、すなわちCMOSセンサ上の各波長の照明の撮像領域を覆うように、異なるバンドパス帯のバンドパスフィルタをコーティングし、各撮像領域を覆うようにバンドパスフィルタを
図13のように設置する。
【0078】
2次元画像用の照明としては、RGB混合光または白色光を用いた。RGB混合光では、R(622.5nm),G(525nm),B(465nm)の波長を有するLEDを用いた。白色光では、可視光範囲の波長を有するLEDを用いた。3次元画像用の照明としては、レーザ光(665nm,または406nm)を用いた。
【0079】
RGB混合光または白色光の2次元画像用の照明装置には、撮像対象との間にバンドパスフィルタを設置した。バンドパスフィルタとしては、レーザ光(665nm)を用いる場合はショートパスフィルタ(650nm以下)を設置し、レーザ光(406nm)を用いる場合はロングパスフィルタ(430nm以上)を設置した。
【0080】
2次元画像用のバンドパスフィルタで透過する波長の範囲は、RGBそれぞれR(622.5nm±10nm),G(525nm±10nm),B(465nm±10nm)とした。3次元画像用のバンドパスフィルタで透過する波長の範囲は、レーザ光(665nm,または406nm)に対応させて、665nm±15nm,または406nm±15nmとした。
【0081】
バンドパスフィルタで透過と不透過の切り分けが出来ることを条件として、透過させたい波長のバンドパスフィルタとその波長範囲の照明とCMOSセンサ上の撮像領域を用意することにより照射方法や、明るさ、色などを変えた条件の照明光を1度の走査で撮像することが可能で、互いの照明光が混ざり合っていても個別の色の画像情報を取得することができる。
【0082】
1つのCMOSセンサ上に撮像領域ごとに透過するバンドパスフィルタを置くことにより、従来のRGB照明における、照射位置や照射形状の制限の問題点を解消することができる。
【0083】
CMOSセンサのすぐ手前でバンドパスを行うため、各撮像領域に必要な波長の光だけを受光させることが出来るため、
図14のように他の撮像領域に干渉しても良い照射方式が可能となり、指向性の高い集光したライン光ではなく、撮像視野の全面を照射する全周照射方式にすることができる。その結果、照射死角をなくすことが出来る。
【0084】
カラーフィルタではなく、バンドパスフィルタを使用する理由としては、カラーフィルタは、R全般(GやBは透過させない)または、G全般(RやBを透過させない)、B全般(GやRは透過させない)という具合に、透過対象波長がバンドパスフィルタに比べ2倍以上広い。そのため、RGB用にカラーフィルタをそれぞれ用意した場合でも、透過波長帯が50nm以上あり、それぞれの色の透過領域がオーバ-ラップしてしまい、RとG(もしくはGとB)の中間波長の光が干渉してしまう。また、本実施例ではLEDの他に、赤や青紫のような可視光レーザを使用するためそれらを識別するためには、同色でありながら透過波長帯を10〜20nmしかもたないバンドパスフィルタにてのみ行える。また、狙い透過波長の透過率をカラーフィルタに対し高く製作することが出来る。
【0085】
つぎの適用例の検査装置は、3つの撮像領域を有する、2次元画像用の撮像領域グループが、複数存在し、前記3つの撮像領域の上に、前記3つの撮像領域にそれぞれ対応する3つのバンドパスフィルタを設け、前記3つのバンドパスフィルタは、それぞれ赤、緑、青の波長のみを透過し、複数の前記撮像領域グループに使用する前記バンドパスフィルタの透過波長は、前記撮像領域グループ相互間で異なる検査装置である。
また、この検査装置は、複数の撮像領域グループに対応する照明装置が存在し、個々の前記照明装置は、明るさが相互に異なる検査装置である。
【0086】
以下に、適用例を具体的に説明する。
カラー画像を撮像する中で物質の反射率が異なるために、識別が困難な領域が発生したり、暗くて映らない部分が発生したりする。これらを解消しようと、たとえば識別が困難な領域の発生を防ごうと撮像感度や照明照度を下げると、暗く映らない場所が、撮像感度や照明照度の変更前に比べて、増加してしまう。その逆もあり、暗い部分を明るく撮像しようと、撮像感度を上げたり照明照度を上げたりすると、識別が困難な領域が増加してしまう。
【0087】
この対策として、露光時間を変えて2回以上撮像し、暗い部分もしくは識別が困難な領域を補完する手法がある。しかし、この手法では2回以上の走査時間がかかる上に、照明照度、露光時間の切り替え作業が必要となり、撮像タクトがかかってしまうという問題点がある。
【0088】
そこで、本発明の検査装置では、R1,G1,B1の照明光からなる照明グループ1と、少し波長をシフトしたR2,G2,B2の照明光からなる照明グループ2を用意する。R1,G1,B1の照明装置、およびR2,G2,B2の照明装置には、撮像対象との間に、それぞれバンドパスフィルタを設置する。それぞれのバンドパスフィルタの中心波長は、R1(618nm),G1(522nm),B1(444nm),およびR2(640nm),G2(544nm),B2(466nm)である。また、それぞれのバンドパスフィルタで透過する波長の範囲は中心波長±10nmである。
【0089】
撮像素子の撮像領域は、
図15に示すように、R1,G1,B1の照明グループ1と、R2,G2,B2の照明グループ2に対応させたものを作製する。各撮像領域の上に設置するバンドパスフィルタの中心波長と透過する波長の範囲は、照明装置側の対応するバンドパスフィルタの中心波長と透過する波長の範囲と同じである。
【0090】
例えば、照明グループ1の照明光の明るさを所定の値に設定して、基準明るさ画像を撮像し、照明グループ2の照明光の明るさを、照明グループ1より明るく、または暗く映るように設定する。この結果、1度の走査で基準明るさ画像と、識別が困難な領域または暗くて映らない部分を補間する画像のデータが取得できる。
【0091】
バンドパスフィルタでなく、カラーフィルタを用いた場合では、例えばR1(618nm)とR2(640nm)の波長の違いが識別できないため、異なる2種類の画像を取得することはできない。
【0092】
図16に、照明装置と実験結果を示す。
図16(A)の照明装置には、R1、G1、B1のグループのLEDとR2、G2、B2のグループのLEDがリング状に実装されている。R1とR2、G1とG2、B1とB2の各同色のLEDどうしは、波長を20nm以上ずれるようにバンドパスフィルタを用い照射させている。R1、G1、B1は、画像の識別が困難な領域の発生を防止するために暗めの照明ボリュームにして照射している。R2、G2、B2は、ラインのエッジをシャープに撮像するために明るめの照明ボリュームにして照射している。
【0093】
図16(B)は撮像素子の前に設置するフィルタをR1撮像領域にはR1用に、G1撮像領域にはG1用に、B1撮像領域にはB1用に、R2撮像領域にはR2用に、G2撮像領域にはG2用に、B2撮像領域B2用に、それぞれ透過波長帯を合わせたバンドパスフィルタを設置し撮像した場合の画像であり、代表としてR1とR2を表示した。
【0094】
図16(C)は撮像素子の前に設置するフィルタをカラーフィルタにした場合である。(B)の場合、R1とR2の波長の差20nmにおいて、バンドパスフィルタを使用し、それぞれの透過波長帯を透過し、それ以外を不透過にできているため、暗めの画像と明るめの画像を切り分けられている。(C)は、カラーフィルタを使用しているためR1撮像領域、R2撮像領域共にR1とR2の両方の光が受光され同じ明るさとなってしまい、暗めの画像、明るめの画像の切り分けが出来ていない。
【0095】
つぎの適用例の検査装置は、3つの撮像領域を有する、2次元画像用の撮像領域グループが、複数存在し、前記3つの撮像領域の上に、前記3つの撮像領域にそれぞれ対応する3つのバンドパスフィルタを設け、前記3つのバンドパスフィルタは、それぞれ赤、緑、青の波長のみを透過し、複数の前記撮像領域グループに使用する前記バンドパスフィルタの透過波長は、前記撮像領域グループ相互間で異なる検査装置である。
また、この検査装置は、複数の撮像領域グループに対応する照明装置が存在し、個々の前記照明装置から撮像対象に照射される光は、偏光の振動方向が相互に異なる検査装置である。ここで、一部の照明装置は、撮像対象との間に偏光子を設置しない場合がある。
【0096】
以下に、適用例を具体的に説明する。
従来、偏光画像と無偏光画像の双方を取得しようとする場合、偏光した状態の画像取得と偏光しない状態の画像取得では、光学系の切り替え作業が必要となり、切り替え作業と切り替えた前後での2倍以上の撮像時間、操作時間により撮像タクトがかかってしまうという問題点がある。
【0097】
そこで、本発明の検査装置では、R1,G1,B1の照明光からなる照明グループ1と、少し波長をシフトしたR2,G2,B2の照明光からなる照明グループ2を用意する。R1,G1,B1の照明装置、およびR2,G2,B2の照明装置には、撮像対象との間に、それぞれバンドパスフィルタを設置する。それぞれのバンドパスフィルタの中心波長は、R1(618nm),G1(522nm),B1(444nm),およびR2(640nm),G2(544nm),B2(466nm)である。また、それぞれのバンドパスフィルタで透過する波長の範囲は中心波長±10nmである。
【0098】
撮像素子の撮像領域は、
図17に示すように、R1,G1,B1の照明グループ1と、R2,G2,B2の照明グループ2に対応させたものを作製する。各撮像領域の上に設置するバンドパスフィルタの中心波長と透過する波長の範囲は、照明装置側の対応するバンドパスフィルタの中心波長と透過する波長の範囲と同じである。
【0099】
図18に示すように、R1,G1,B1の照明装置およびR2,G2,B2の照明装置には、撮像対象との間に、それぞれ偏光子を設置する。また、撮像レンズと撮像対象との間に検光子を設置する。
R1,G1,B1の照明装置の偏光子の透過軸を設定する。例えば、R1,G1,B1の照明装置から照射された偏光が撮像対象で反射し、反射した偏光が検光子に達する際に、反射した偏光の振動方向が検光子の透過軸と垂直になるように設定する。
R2,G2,B2の照明装置の偏光子の透過軸を設定する。例えば、R2,G2,B2の照明装置から照射された偏光が撮像対象で反射し、反射した偏光が検光子に達する際に、反射した偏光の振動方向が検光子の透過軸と平行になるように設定する。
また、R2,G2,B2の照明装置に偏光子を設置しない場合もある。
【0100】
本発明の検査装置によれば、
図19に示すように、撮像素子は、1度の走査で偏光した画像のデータと偏光していない画像のデータを同時に取得できる。
偏光した画像は、反射した偏光の振動方向が検光子の透過軸と垂直になるように、偏光子を設定した場合に取得できる。
偏光していない画像は、反射した偏光の振動方向が検光子の透過軸と平行になるように、偏光子を設定した場合に取得できる。また、偏光していない画像は、照明装置に偏光子を設置しない場合に取得できる。
【0101】
なお、本発明の検査装置は、
図18の検査装置に限定されない。撮像レンズを対象にして、向かい合う2つの照明装置を2組設けてもよい。向かい合う2つの照明装置をR1,G1,B1の照明装置とし、残る2つの照明装置をR2,G2,B2の照明装置とする。これにより、照射死角の少ない画像データを取得できる。
本発明の検査装置の照明装置は、
図18のようなスポット照明装置に限定されない。全周照明装置を採用してもよい。
【0102】
偏光した画像からは、はんだに含まれる透明物質または半透明物質に起因する識別困難領域、基板上に設けたソルダーレジストの厚さが急激に変化する場所に発生する場合がある識別困難領域、部品を実装するための金属の表面とはんだの表面との間で発生する場合がある識別困難領域などの発生が抑制された画像が取得できる。
【0103】
偏光していない画像からは、位置決め用に設けられたパッド表面など、周辺の基板基材とのコントラストを出すために光らせる必要がある場所の画像を取得でき、位置決めなどをすることができる。
【0104】
本発明の検査装置の1例を
図20に示す。装置の左右に位置するレーザ光照明装置の偏光子(図示していない)の透過軸方向と検光子の透過軸方向を垂直の関係にする。その検光子の透過軸方向と装置の中央下方に位置するRGB照明装置の偏光子の透過軸方向を垂直の関係にする。その結果、2次元画像用光学系、3次元画像用光学系は共に偏光照明光学系となる。また、撮像装置の内部の撮像素子の前に、複数波長バンドパスフィルタを設置し、混合波長光から特定の波長の光を取り出し撮像する。なお、本発明の検査装置は、この例に限定されない。
また、
図20の光切断法のほかに、光を利用して高さを計測する他のレーザ式変位センサや位相シフト法においても同様の効果が得られる。
【0105】
バンドパスフィルタで透過する波長の範囲は、中心波長±10nmの範囲内にあることが好ましい。また、透過する波長の範囲は、中心波長±5nmの範囲内にあることがさらに好ましい。
【0106】
バンドパスフィルタで透過する波長の範囲が中心波長±10nmの範囲内にあると、同色の照明でも波長をずらすことにより、明暗や偏光無偏光などを切り分けて撮像することが出来るという利点がある。透過する波長の範囲が中心波長±5nmの範囲内にあると、この効果がより顕著になる。
【0107】
本発明の検査装置の用途としては、上述したはんだ印刷検査装置に限定されるものではない。このほか検査装置の用途としては、実装後基板外観検査装置、錠剤検査装置などがある。
【0108】
以上のことから、本発明を実施するための形態によれば、撮像素子に撮像領域を設け、前記撮像領域は反射光を受光し、前記撮像領域の上にバンドパスフィルタを設けることにより、新規な検査装置を提供することができる。
【0109】
なお、本発明は上述の発明を実施するための形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。