特許第5776980号(P5776980)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5776980
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】二液吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/32 20060101AFI20150820BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   B65D81/32 S
   B65D47/06 C
   B65D47/06 U
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-18537(P2012-18537)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-154938(P2013-154938A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2014年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100076598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 一豊
(72)【発明者】
【氏名】北條 正美
(72)【発明者】
【氏名】水嶋 博
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−127070(JP,A)
【文献】 実開昭53−018288(JP,U)
【文献】 特開2002−104548(JP,A)
【文献】 特開2004−154510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/32
B65D 47/06
A47G 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内容液(A)を収納する有底筒状の胴筒部(2)の上端に連設した口筒部(3)に、筒状の第1キャップ体(4)を着脱可能に組み付けた第1容器体(1)と、第2内容液(B)を収納する有底筒状の胴部(12)の上端に連設した口部(13)に、筒状の第2キャップ体(14)を着脱可能に組み付けた第2容器体(11)とから構成し、前記第1キャップ体(4)に第2容器体(11)を吊り下げ状に取り付け、前記第1キャップ体(4)に、横方向に延出する第1吐出ノズル(8)を設けると共に、外気置換用の第1通気孔(9)を開設し、前記第2キャップ体(14)上に、有頂円筒状の回動ヘッド(18)を密に回動可能に組み付け、該回動ヘッド(18)に、横方向に延出する第2吐出ノズル(21)を設けると共に、外気置換用の第2通気孔(22)を開設したことを特徴とする二液吐出容器。
【請求項2】
第1キャップ体(4)に対する第2容器体(11)の吊り下げ状の取り付けを、前記第1キャップ体(4)の筒状の主体部(5)の上端に、内鍔状の頂板(6)を介して筒状の起立筒(10)を連設し、該起立筒(10)の上端に第2容器体(11)の口部(13)を一体に連設して達成した請求項1に記載の二液吐出容器。
【請求項3】
第2キャップ体(14)に対する回動ヘッド(18)の密で回動可能な組付きを、前記回動ヘッド(18)の円筒状をした本体筒(19)の外周に、前記第2キャップ体(14)の上端部を覆って回動可能にアンダーカット結合する結合筒片(20)を設けて達成した請求項1または2に記載の二液吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類の内容液を分別した状態で一体的に収納し、必要時にそれぞれの内容液を個々にまたは同時に吐出させることを可能とした二液吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二液吐出容器の従来技術として、例えば特許文献1には、第1の内容液を収納した第1の容器体と、第2の内容液を収納した第2の容器体を設け、両容器体のキャップに内容液吐出用のノズルを起立設し、この両容器体を並列に結合して構成した二液吐出容器が開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された従来技術は、二液吐出容器を倒立させることにより、両ノズルから内容液を同時に吐出させ、両内容液は吐出されると直ちに混合状態となるようにされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平02−022050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来技術にあっては、各容器体はそれぞれが独立した収納容器であるので、構造的には内容液を単独で吐出することができるのであるが、このように一方の容器体だけから内容液を吐出させようとする場合には、他方の容器体を、内容液吐出不能状態にするために栓体や中栓を組み付ける必要があり、その取扱いが面倒である、と云う問題があった。
【0006】
また、上記した従来技術に示された容器は、二つの容器体を並列結合して構成するものであるが、この二つの容器体を並列結合した構成は、両容器体が対等に位置するので、この状態が外観として明確に認識できるものとなり易く、このため単純でシンプルな外観体裁を得ることが難しい、と云う問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく創案されたもので、二つの容器体からの内容液の吐出の切換えを容易にすると共に、容器の外観体裁をシンプルにすることを技術的課題とし、もって内容液の吐出操作を簡単なものとすると共に、容器の外観体裁をシンプルで好ましいものとする、ことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の手段の主たる構成は、
第1内容液を収納する有底筒状の胴筒部の上端に連設した口筒部に、筒状の第1キャップ体を着脱可能に組み付けた第1容器体と、第2内容液を収納する有底筒状の胴部の上端に連設した口部に、筒状の第2キャップ体を着脱可能に組み付けた第2容器体とから構成すること、
第1キャップ体に第2容器体を吊り下げ状に取り付けること、
第1キャップ体に、横方向に延出する第1吐出ノズルを設けると共に、外気置換用の第1通気孔を開設すること、
第2キャップ体上に、有頂円筒状の回動ヘッドを密に回動可能に組み付けること、
この回動ヘッドに、横方向に延出する第2吐出ノズルを設けると共に、外気置換用の第2通気孔を開設すること、
にある。
【0009】
内容液の吐出は、内容液を収納した容器体の吐出ノズルの延出方向側に容器を傾けて、内容液の自然流下により達成される。それゆえ、第1吐出ノズルと第2吐出ノズルの延出方向が異なる場合には、それぞれの吐出ノズルの延出方向側に容器を傾けることにより、各内容液を別々に吐出することができ、第1吐出ノズルと第2吐出ノズルの延出方向が同一である場合には、その延出方向側に容器を傾けることにより、両吐出ノズルからそれぞれの内容液が同時に吐出される。
【0010】
第2吐出ノズルは、第2容器体に回動可能に組み付けられた回動ヘッドに、第1吐出ノズルと同様に、横方向に延出した構成で設けられているので、回動ヘッドを回動操作することにより、第2吐出ノズルの延出方向を、全周範囲で変更調整することができ、これにより両内容液の吐出形態を切換える。
【0011】
第1キャップ体に第2容器体を吊り下げ状に取り付けているので、第2容器体は第1容器体内に吊り下げ状に位置する、すなわち第2容器体は第1容器体内に収納された状態となっている。
【0012】
本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、第1キャップ体に対する第2容器体の吊り下げ状の取り付けを、第1キャップ体の筒状の主体部の上端に、内鍔状の頂板を介して筒状の起立筒を連設し、この起立筒の上端に第2容器体の口部を一体に連設して達成した、ことを加えたものである。
【0013】
第1キャップ体の筒状の主体部の上端に、内鍔状の頂板を介して筒状の起立筒を連設し、この起立筒の上端に第2容器体の口部を一体に連設したものにあっては、第1キャップ体と第2容器体の組み合わせを、一体構造物に構成することが可能となる。
【0014】
また、本発明の別の構成は、上記した主たる構成に、第2キャップ体に対する回動ヘッドの密で回動可能な組付きを、回動ヘッドの円筒状をした本体筒の外周に、第2キャップ体の上端部を覆って回動可能にアンダーカット結合する結合筒片を設けて達成した、ことを加えたものである。
【0015】
回動ヘッドの円筒状をした本体筒の外周に、第2キャップ体の上端部を覆って回動可能にアンダーカット結合する結合筒片を設けたものにあっては、第2吐出ノズルを設けた回動ヘッドの第2キャップ体への回動可能な組み付けを、第2吐出ノズルに邪魔されることなく、かつ第2吐出ノズルの回動変位に支障を生じることなく達成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
本発明における二液吐出容器の主たる構成においては、第2吐出ノズルの横方向への延出を、全周範囲で変更調整することにより両内容液の吐出形態の変更切換えを簡単にでき、これにより両内容液の適正な吐出状態を簡単に得ることができる。
【0017】
また、第2容器体は第1容器体内に収納された状態となっているので、容器全体の外観は、回動ヘッド等の一部を除いて第1容器体が形成することになり、これにより好ましいシンプルな外観体裁を得ることが容易となる。
【0018】
第1キャップ体の筒状の主体部の上端に、内鍔状の頂板を介して筒状の起立筒を連設し、この起立筒の上端に第2容器体の口部を一体に連設したものにあっては、第1キャップ体と第2容器体の組み合わせを、一体構造物に構成することが可能となるので、容器を構成する部品点数を少なくすることができ、これにより構造が簡単となると共に、取扱いが容易となり、さらに製造単価の低減を得ることができる。
【0019】
回動ヘッドの円筒状をした本体筒の外周に、第2キャップ体の上端部を覆って回動可能にアンダーカット結合する結合筒片を設けたものにあっては、第2吐出ノズルを設けた回動ヘッドの第2キャップ体への回動可能な組み付けを、第2吐出ノズルの回動変位に支障を生じることなく達成することができるので、簡単な構造で、第2吐出ノズルの円滑で操作し易い回動動作を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態例を示す、全体縦断面図である。
図2図1図示実施形態例の、要部縦断拡大図である。
図3図1図示実施形態例の、第1内容液の吐出状態を示す縦断面図である。
図4図1図示実施形態例の、第2内容液の吐出状態を示す縦断面図である。
図5図1図示実施形態例の、両内容液の同時吐出状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態例を、図1図5を参照しながら説明する。
本発明による二液吐出容器は、合成樹脂製の第1容器体1と、同じく合成樹脂製の第2容器体11とから構成し、第1容器体1は、第1内容液A(例えば醤油)を収納する有底筒状をした胴筒部2の上端に設けた口筒部3に、第1キャップ体4を密に着脱可能に組み付けて構成され、第2容器体11は、第2内容液B(例えばラー油)を収納する有底筒状をした胴部12の上端に設けた口部13に、第2キャップ体14を密に着脱可能に組み付け、この第2キャップ体14に密にかつ回動可能に回動ヘッド18を組み付けて構成されている。
なお、以下の説明においては、第1容器体1の口筒部3と底部との間に沿う方向を上下方向とする。
【0022】
第1容器体1の本体部分は、有底円筒形状をした胴筒部2の上端の、内鍔状の肩部を介して外周面に螺条を刻設した口筒部3を起立連設して構成されている。この口筒部3に着脱可能に組み付けられる第1キャップ体4は、下半分を口筒部3内に密嵌入させる円筒形状をした主体部5の外周面中央部から、外鍔片を介して、内周面に口筒部3の螺条に螺合する螺条を刻設した組付き筒部7を連設し、主体部5の上端に内鍔状の頂板6を介して起立筒10を起立連設している。この主体部5には第1吐出ノズル8が、横方向に延出状に設けられており、この第1吐出ノズル8よりも上位に位置する起立筒10の上端部分に、外気置換用の第1通気孔9が開設されている。
【0023】
第2容器体11の本体部分は、有底円筒形状をした胴部12の上端の、外鍔状の肩部を介して、外周面に螺条を刻設した口部13を起立連設して構成されている。この第2容器体11の口部13に着脱可能に組み付けられる第2キャップ体14は、口部13内に密嵌入させる円筒形状をした主体筒15の上端から外鍔状の頂壁16を介して、内周面に口部13の螺条に螺合する螺条を刻設した組付き筒17を連設している。この第2キャップ体14の上端部を覆う構成で密にかつ回動可能に組み付く有頂円筒形状の回動ヘッド18は、有頂円筒形状をした本体筒19の外周面下部に、第2キャップ体14の主体筒15の上端部に外嵌して、回動可能にアンダーカット結合する結合筒片20(図2参照)を有し、この結合筒片20よりも上位の主体筒15部分には、第2吐出ノズル21が、横方向に延出状に設けられており、この第2吐出ノズル21よりも上位に位置する本体筒19の上端部分に、外気置換用の第2通気孔22が開設されている。
【0024】
回動ヘッド18の本体筒19の下端部は、第2キャップ体14の主体筒15内に密にかつ回動可能に嵌入している。この第2キャップ体14と回動ヘッド18の間のシールは、主体筒15と本体筒19の間や、頂壁16と結合筒片20を連設している外鍔状部分の間に、細かい複数のシール条を設ける等の手段を講じることにより、確実に達成される。
【0025】
図示実施形態例の場合、第1キャップ体4の起立筒10の上端を、第2容器体11の口部13の下端に連設した構成(図1参照)となっており、これにより第1キャップ体4と第2容器体11とは一体物となっている。このため、第1キャップ体4を第1容器体1に組み付けると、この組み付けにより第2容器体11の第1容器体1に対する吊り下げ状の組み付けが、必然的に達成されることになる。このことは、二液吐出容器を構成する部品点数を少なくして、部品管理を容易にすると共に、各構成部分の組立て処理操作が容易となることを意味している。
【0026】
次に、図示実施形態例の組み立て手順例を説明する。
第1容器体1への第1内容液Aの収納は、第1キャップ体4を取り外した状態の胴筒部2に、所望量の第1内容液Aを注入して達成する。同様にして、第2容器体11への第2内容液Bの収納は、第2キャップ体14を取り外した状態の胴部12に、所望量の第2内容液Bを注入して達成する。なお、第2容器体11への第2内容液Bの収納は、回動ヘッド18を取り外した状態で第2内容液Bを収納し、しかる後、第2キャップ体14に回動ヘッド18を打栓状に組み付けてもよい。
【0027】
第1容器体1と第2容器体11の組み付けは、第1キャップ体4に第2容器体11の胴部12が一体設されているので、第1キャップ体4を、第1内容液Aを収納した第1容器体1の口筒部3に組み付けることにより達成される。この際、第2容器体11に対する第2内容液Bの収納は、第1容器体1に組み付けた後でも、第1容器体1に組み付ける前のどちらでもかまわない。
【0028】
また、内容液の吐出操作は、下記の手順で行われる。
第1内容液Aを吐出したい場合には、第1吐出ノズル8が延出している横方向側に容器を傾け(図3参照)て、第1吐出ノズル8から第1内容液Aを自重に従って吐出させる。この際、第2吐出ノズル21は、回動ヘッド18を回動操作して、第1吐出ノズル8とは反対側に位置させておくのがよい。
【0029】
第2内容液Bを吐出したい場合には、第2吐出ノズル21が延出している横方向側に容器を傾け(図4参照)て、第2吐出ノズル21から第2内容液Bを自重に従って吐出させる。この際、第2吐出ノズル21は、回動ヘッド18を回動操作して、第1吐出ノズル8とは反対側に予め位置させておくのがよい。
【0030】
そして、第1内容液Aと第2内容液Bを同時に吐出したい場合には、回動ヘッド18を回動調整して、第2吐出ノズル21の向きを第1吐出ノズル8と同じにしておき、両吐出ノズル8,21が延出している横方向側に容器を傾け(図5参照)て、第1吐出ノズル8から第1内容液Aを、また第2吐出ノズル21から第2内容液Bを、それぞれ吐出させる。
【0031】
以上、実施形態例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施形態例に限定されるものではなく、例えば、第1キャップ体4に対する第2容器体11の組み付けを、第1キャップ体4の起立筒10に第2容器体11の口部13を一体設して達成するのではなく、口部13を密に組み付けた第2キャップ体14を、起立筒10に密に組み付けることが可能であり、また両通気孔は、対応する吐出ノズルとは反対側に設ける構成としてもよく、さらに各吐出ノズルには、個々に開閉する栓キャップを着脱自在に組み付けるようにすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の二液吐出容器は、分別して一体的に収納した二つの内容液の吐出態様を、望ましい状態に簡単に切り替え調整することができ、かつ二つの内容液をシンプルな外観体裁で収納することができるので、二液吐出容器としての用途展開をさらに広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0033】
1 ;第1容器体
2 ;胴筒部
3 ;口筒部
4 ;第1キャップ体
5 ;主体部
6 ;頂板
7 ;組付き筒部
8 ;第1吐出ノズル
9 ;第1通気孔
10;起立筒
11;第2容器体
12;胴部
13;口部
14;第2キャップ体
15;主体筒
16;頂壁
17;組付き筒
18;回動ヘッド
19;本体筒
20;結合筒片
21;第2吐出ノズル
22;第2通気孔
A ;第1内容液
B ;第2内容液
図1
図2
図3
図4
図5