【0021】
本発明の前記構成の間隔保持部材を用いたコンクリート型枠工法は、以下の3つの工程からなる。なお、各型枠は、前記棒状部材と共に取り外して再利用する例を示す。
まず、第1の工程として、型枠間に前記構成の間隔保持部材を取り付けてコンクリート打設空間を形成する。
この工程では、一方側の型枠に予め前記間隔保持部材の一方側の端部が貫通して取り付けられ、該間隔保持部材の他方側の端部には着座部材が取り付けられている。この状態では、間隔保持部材を構成する筒状部材の端部は、直接もしくは間接的に当接しており、棒状部材の端部は型枠から突出している。
なお、前述のように施工時の手間を省くために、一方の型枠に形成した貫通孔に、着座部材を組み付けた状態の間隔保持部材を次々と所定位置に配設するようにしてもよい。
その後は定法に準じて所定位置に他方側の型枠を着座部材が当接するように配すると共に間隔保持部材の各端部をフォームタイ(R)等の押さえ部材(ボルト材)と連結し、各型枠の外側には縦バタ、横バタ等を配し、前記押さえ部材にて締め付け固定すると共にしてコンクリート打設空間を形成する。
次に、第2の工程として、前記コンクリート打設空間にコンクリートを打設する。
この工程にてコンクリートは、前記間隔保持部材の周囲を埋め尽くすように充填されるが、前述のように棒状部材は筒状部材にて包囲されているため、直接的に接触しない。
そして、第3の工程として、コンクリートの硬化後に、棒状部材を抜き出す。
前記第2の工程にて説明したように、棒状部材はコンクリートと直接的に接触していないので、特別な治具や特に強い力を必要とすることなく一方側の型枠の外側から押さえ部材の締め付けを解除して容易に抜き出すことができる。より具体的には、各型枠の外側に配したバタ(縦、横)等の押さえ具を取り外し、型枠を撤去した後、他方側の端部に取り付けた着座部材を外し、一方側から棒状部材を抜き出す。筒状部材は、棒状部材を抜き出した後もそのままコンクリート内に埋設される。
【実施例1】
【0023】
図1(a)に示す本発明の第1実施例の間隔保持部材1は、
図3に示すようにその端部が直接もしくは間接的に一方側(右側)の型枠5Aに当接する筒状部材2と、前記筒状部材2の内部に位置し、その端部が型枠5Aから突出すると共に、少なくとも突出部分31に雄ねじ加工を施した棒状部材3とからなり、前記筒状部材2より大径で筒状部材2の端部に挿着される着座部材4が、前記棒状部材3の少なくとも一方の雄ねじ部31に係止されている構成である。
【0024】
前記筒状部材2は、
図1(b),(d)に示すように棒状部材3の大部分(=直棒材3A)を包囲し、後述する
図3に示すように包囲した直棒材3Aとコンクリート7との接触を防止すると共にコンクリート7の硬化後も基本的にはコンクリート7内に残存させる部材である。
図示実施例の筒状部材2は、その端部(右側端部)が断面視台形状(錐状)の台座3Bを介して型枠5Aに間接的に当接するものであって、樹脂製の管材からなる複数部材2A〜2Cを組み合わせたものである。より詳しくは長さ方向に略同一径の直管材2Aと、
図2(f)に示す大径部21を含む異径管材2Cと、その両者を連結する
図2(d)に示す連結管材2Bとからなり、前記大径部21内には、棒状部材3(直棒材3A)より大径な雌ねじ部22として
図2(c)に示すナット2dが保持されている。この雌ねじ部22であるナット2dは、予めその螺合溝が、後述するアンカーボルト8と螺合するものを用いている。
なお、前記連結管材2Bには、直管材2Aの端縁(左側端縁)が嵌め込まれる直管嵌合部23が一方側(右側)に形成され、異径管材2Cの端縁(右側端縁)25が嵌め込まれる異径管嵌合部24が他方側(左側)に形成される構成であるが、
図2(e)に示す連結管材2B'のように前記異径管嵌合部24に代えて異径管材2Cの端縁(右側端縁)25の内側に嵌め込む挿着部26を形成した構成でもよい。
【0025】
前記棒状部材3は、
図1(b),(e)に示すようにその大部分(直棒材3A)が前記筒状部材2の内部に位置し、その端部が型枠5A,5Bから突出すると共に、その突出部分31,31に雄ねじ加工を施した部材であり、コンクリート7の打設時には、前記筒状部材2と共に型枠5A,5B間を保持するが、コンクリート7の硬化後には抜き取りする部材である。
図示実施例の棒状部材3は、長さ方向に略同一径の直棒材3Aと、断面視台形状(錐状)の台座3Bと、短棒材3Cとをそれぞれ螺合手段により直列状に連結した構成であり、そのうち直棒材3Aのみが前記筒状部材2にて包囲される部材である。
この棒状部材3は、コンクリート7の硬化後には一方側(右側)の型枠5Aと共に一方側から一連に抜き取りするものであり、前記突出部分31,31とは、短棒材3Cの端部が一方側の型枠5Aから突出する部分と、直棒材3Aが他方側(左側)の型枠5Bから突出する部分とを指す。
【0026】
前記着座部材4は、
図1(b),(c)、
図2(a)に示すように前記筒状部材2より大径の基部41と、前記筒状部材2の端部に挿着される短筒状の挿着部42とからなる部材であり、前述のように前記棒状部材3の雄ねじ部31に係止されることにより筒状部材2の抜け落ち(脱落)を防止することができる。
図示実施例の着座部材4は、挿着部42の内側に略爪状の係止部421が形成される構成であり、該挿着部42の係止部(爪)421がその内側に位置する棒状部材3の雄ねじ部31に外側から係止するため、筒状部材2が棒状部材3から抜け落ち(脱落)することがない。
なお、
図2(b)に示す別の態様の着座部材4'のように基部41の内側に略爪状の係止部411を設けるようにしてもよい。
【0027】
図3(a)〜(d)は、前記構成の間隔保持部材1を用いたコンクリート型枠工法を示すものであって、まず第1の工程として、
図3(a)に示すように型枠5A,5B間に前記構成の間隔保持部材1を取り付けてコンクリート打設空間70を形成する。
この工程では、予め着座部材4を組み付けた間隔保持部材1の一方側(右側)の端部を、前記
図1(b)に示すように、工場等にて貫通孔を形成した一方側の型枠5A(同図では点線で示した)に次々に取り付けるようにした。この状態では、筒状部材2は棒状部材3を包囲した状態で他方側(左側)へスライドするが、その端部(雄ねじ部31)に着座部材4が取り付けられているので、他方側の型枠5Bを配設する以前に抜け落ち(脱落)すること無くコンクリート打設空間70を形成することができる。
そして、この間隔保持部材1の端部、即ち棒状部材2の各端部31は、それぞれ型枠5A,5Bから突出しているので、各端部31をそれぞれフォームタイ(R)等の押さえ部材(ボルト材)9と連結し、各型枠5A,5Bの外側には縦バタ6A、横バタ6B等を配し、前記押さえ部材9にて締め付け固定すると共にしてコンクリート打設空間70を形成する。
【0028】
次に、第2の工程として、
図3(b)に示すように前記コンクリート打設空間70にコンクリート7を打設する。
この工程にてコンクリート7は、前記間隔保持部材1の周囲を埋め尽くすように充填されるが、前述のように棒状部材3の大部分(直棒材3A)は筒状部材2にて包囲されているため、この直棒材3Aは直接的にコンクリート7と接触することがない。
なお、同図は、既にコンクリート7の硬化後に型枠5A,5Bと共に押さえ部材9、縦バタ6A、横バタ6Bを取り外した状態を示している。
【0029】
そして、第3の工程として、
図3(c)に示すように硬化したコンクリート7から、棒状部材3を抜き出す。
前記第2の工程にて説明したように、棒状部材3の直棒材3A及び短棒材3Cはコンクリート7と直接的に接触しておらず、棒状部材3の台座3Bは側面が他方側(左側)が縮径するテーパ状であるため、特別な治具や特に強い力を必要とすることなく容易に抜き出すことができる。
なお、棒状部材3の抜き出しに際し、図示するように他方側の端部31に取り付けた着座部材4を外しておく。
【0030】
その後、
図3(d)に示すように他方側(左側)からアンカーボルト8をコンクリート7に埋設された筒状部材2内に挿入し、ナット2dの螺合溝である雌ねじ部22に螺合させて固定する。
【0031】
このように本発明の間隔保持部材1は、棒状部材3の雄ねじ部31に係止された着座部材4が、筒状部材2の抜け落ち(脱落)を防止するので、他方側(左側)型枠5Bを所定位置に配設する構築作業を容易に実施することができる。また、例えば施工時の手間を省くために、一方側(右側)の型枠5Aに形成した貫通孔に当該着座部材4を組み付けた間隔保持部材1を差し込んで取り付けることもできるため、型枠工事が極めて短時間で実施できるものとなる。
そして、コンクリート7の硬化後に棒状部材3を抜き取りすることにより、使用する部材を繰り返し利用でき、冷熱の伝わり(冷熱橋)が遮断されるため、断熱性能にも優れたコンクリート壁7とすることができる。
【0032】
また、図示実施例の筒状部材2には、一部を大径部21とし、その大径部21内に、前記棒状部材3より大径な雌ねじ部22(ナット2d)を形成したので、コンクリート壁7の硬化後に取り付けるアンカーボルト8をその雌ねじ部22に安定に且つ強固に固定することができる。
また、図示実施例の着座部材4は、型枠5B内面に接触する基部41と、短筒状の挿着部42とからなり、挿着部42内側に係止部421を形成したので、挿着部42の係止部421がその内側に位置する棒状部材3の雄ねじ部31に外側から係止するため、筒状部材2が棒状部材3から抜け落ち(脱落)することがない。
【0033】
そして、本発明の間隔保持部材1を用いた壁体構造は、コンクリート7の硬化後に埋設された筒状部材2にアンカーボルト8を螺合させて取り付けてなるので、多様な外装材に対応することができる。特に筒状部材2に雌ねじ部22を設けたので、該雌ねじ部22にアンカーボルト8を安定に且つ強固に固定することができ、外装材の構築をより安定におこなうことができる。