特許第5777036号(P5777036)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5777036
(24)【登録日】2015年7月17日
(45)【発行日】2015年9月9日
(54)【発明の名称】筋交い金物および木造建物の接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20150820BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20150820BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20150820BHJP
   F16F 15/04 20060101ALI20150820BHJP
【FI】
   E04H9/02 311
   E04B1/58 G
   F16F15/02 S
   F16F15/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-89800(P2014-89800)
(22)【出願日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年3月10日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509346704
【氏名又は名称】学校法人都築教育学園
(74)【代理人】
【識別番号】100133271
【弁理士】
【氏名又は名称】東 和博
(72)【発明者】
【氏名】古田 智基
(72)【発明者】
【氏名】中尾 方人
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−180635(JP,A)
【文献】 特開2007−010076(JP,A)
【文献】 特開2011−174364(JP,A)
【文献】 特開2010−77765(JP,A)
【文献】 特開2012−82611(JP,A)
【文献】 特許第3684129(JP,B1)
【文献】 特開2009−115276(JP,A)
【文献】 特開2000−104787(JP,A)
【文献】 特開平5−156840(JP,A)
【文献】 特開平1−315566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00−9/16
F16F 15/00−15/36
F16F 7/12
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木造建物の鉛直方向または水平方向に延びる構造材と同構造材に対し傾斜する方向に延びる筋交いの間に取り付けられる筋交い金物(1)であって、
板状のベース部(2)と、
ベース部(2)の一辺(2A)から延在して設けられると共に、第1の取付孔(3A)が設けられ、構造材に第1の固定部材(7)により固定される構造材固定部(3)と、
ベース部(2)の両他辺(2B)からそれぞれ複数の略断面U字形のブリッヂ部(4)を介してベース部(2)と所定の隙間(d)を隔てて対向するように平行に延在して設けられると共に、第2の取付孔(5A)が設けられ、筋交いの端部に第2の固定部材(8)により固定される筋交い固定部(5)と、
ベース部(2)と筋交い固定部(5)の間に介在された減衰材(6)を備え、
ベース部(2)および減衰材(6)に、ベース部(2)側から第2の固定部材(8)を第2の取付孔(5A)に向けて挿通させる挿通孔(2C)が設けられていることを特徴とする筋交い金物。
【請求項2】
ベース部(2)の一辺(2A)に構造材固定部(3)を残し、かつベース部(2)の両他辺(2B)にブリッヂ部(4)を介して筋交い固定片(5B)を残して切り抜き加工された一枚の板状の高剛性部材を用いてなり、ベース部(2)の一辺(2A)に対し構造材固定部(3)を構造材の固定面に固定可能なように屈曲し、ベース部(2)の両他辺(2B)に対し各筋交い固定片(5B)をU字形に屈曲すると共に両端部を互いに接合して、ベース部(2)との間に減衰材(6)を介在させる隙間(d)を隔てて対向するように平行に延在する筋交い固定部(5)を形成したことを特徴とする請求項1記載の筋交い金物。
【請求項3】
減衰材(6)は、金型のキャビティ内でベース部(2)と筋交い固定部(5)の間の隙間(d)に充填された未加硫高減衰ゴム部材を加硫してなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の筋交い金物。
【請求項4】
鉛直方向に延びる構造材と水平方向に延びる構造材が突き合わされて接合され、その接合部分に前記構造材から傾斜する方向に延びる筋交いが配置されている木造建物の接合構造であって、
請求項1記載の筋交い金物が用いられ、
構造材に対し構造材固定部(3)が第1の固定部材(7)により固定され、筋交いの端部の側面に対し筋交い固定部(5)が第2の固定部材(8)により固定されていることを特徴とする木造建物の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋交い金物とそれを用いた木造建物の接合構造に関するもので、特に木造建物の耐震構造や制振構造に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建木造住宅においては、耐震性を向上させるため、仕口部における柱材と横架材(土台や梁など)に補強用金物を固定し、剛性および耐力を高める構造とするのが一般的である。このような耐震型の補強用金物に対し、弾性体または粘弾性体を配置する構造とすることにより、地震や台風など建物に入力されるエネルギを吸収・軽減し、建物の倒壊を防ぐようにした制振型の補強金物が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記提案の補強金物は、筋交いの端部に固定される筋交い側金物と、構造材に固定される構造材側金物と、これらの金物間に介在されるゴムなどの弾性体または粘弾性体からなると共に、弾性体または粘弾性体は接着剤を介して両側の金物と一体化された構造であり、建物に入力されるエネルギを、減衰材である前記弾性体または粘弾性体がせん断変形して吸収するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3684129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記提案の補強金物は、長期使用により金物とゴムなどの弾性体または粘弾性体の間の接着性が低下する場合があり、その場合にゴムなどの弾性体または粘弾性体に大きなせん断変形が生じて接着が剥がれて、弾性体または粘弾性体がエネルギを吸収できなくなり、耐震性能や制振性能が大きく低下するという問題があった。
【0006】
また、上記提案の補強金物は、複数枚の金物とゴムなどの弾性体または粘弾性体を積層して製作されるため、製作コストが高くつきやすいという課題もあった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたもので、木造建物に入力されるエネルギの吸収性能に優れると共に、耐震性能や制振性能の信頼性を向上させることのできる筋交い金物および木造建物の接合構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る筋交い金物は、
木造建物の鉛直方向または水平方向に延びる構造材と同構造材に対し傾斜する方向に延びる筋交いの間に取り付けられる筋交い金物であって、
板状のベース部と、ベース部の一辺から延在して設けられると共に、第1の取付孔が設けられ、構造材に第1の固定部材により固定される構造材固定部と、ベース部の両他辺からそれぞれ複数の略断面U字形のブリッヂ部を介してベース部と所定の隙間を隔てて対向するように平行に延在して設けられると共に、第2の取付孔が設けられ、筋交いの端部に第2の固定部材により固定される筋交い固定部と、ベース部と筋交い固定部の間に介在された減衰材とを備え、
ベース部および減衰材に、ベース部側から第2の固定部材を第2の取付孔に向けて挿通させる挿通孔が設けられていることを主要な特徴とする。
【0009】
構造材、例えば鉛直方向に延びる柱と水平方向に延びる横架材(土台または梁)が接合されると共に、その接合部分に構造材から傾斜する方向に延びる筋交いが配置された建物の接合構造に対し、本発明に係る筋交い金物を適用することにより、地震力や風力などのエネルギが建物に入力されて、柱が回転方向に変位し、筋交いに引張力・圧縮力が作用すると、柱に固定された構造用固定部から延在するベース部とこれに対向する筋交いの端部に固定された筋交い用固定部との間に介在された減衰材にせん断変形およびブリッヂ部に曲げ変形が加わり、建物に入力されたエネルギがこれらの変形によって吸収(消費)される。
【0010】
このように、建物に入力されたエネルギが減衰材のせん断変形に加えてブリッヂ部の曲げ変形によっても吸収されるので、従来のように減衰材の変形のみで吸収する場合に比べて吸収できるエネルギ量を大きくできて、エネルギの吸収性能が大きく向上し、耐震性能や制振性能に対する信頼性が大きく向上する。すなわち、建物に大きいエネルギが入力された場合であっても、同エネルギが高減衰ゴムなどの減衰材とブリッヂ部の双方に吸収され、あるいは建物にさらに大きいエネルギが入力されて高減衰ゴムなどの減衰材との接着が剥がれて減衰材による吸収が期待できなくなる場合であっても、残るブリッヂ部が塑性変形して残エネルギを吸収する。ブリッヂ部がフォールトトレランス(Fault Tolerance)機構として作用する結果、エネルギの吸収性能を十分に確保して、耐震性能や制振性能に対する信頼性を確保できるようになる。
【0011】
本発明に係る筋交い金物は、ベース部の一辺に構造材固定部を残し、かつベース部の両他辺にブリッヂ部を介して筋交い固定片を残して切り抜き加工された一枚の板状の高剛性部材を用いてなり、ベース部の一辺に対し構造材固定部を構造材の固定面に固定可能なように屈曲し、ベース部の両他辺に対し各筋交い固定片をU字形に屈曲すると共に両端部を互いに接合して、ベース部との間に減衰材を介在させる隙間を隔てて対向するように平行に延在する筋交い固定部を形成したことを第2の特徴とする。
【0012】
本発明に係る筋交い金物は、減衰材が、金型のキャビティ内でベース部と筋交い固定部の間の隙間に充填された未加硫高減衰ゴム部材を加硫してなることを第3の特徴とする。
【0013】
ブリッヂ部は、ベース部の対応する全幅に対し、全体で少なくとも2%以上、60%以下を占めることが望ましい。全体で少なくとも2%以上、60%以下とすることで、建物に入力されるエネルギを減衰材だけでなくブリッヂ部に効果的に吸収でき、また、大エネルギの入力によって減衰材との接着が剥がれた時でもブリッヂ部を効果的に塑性変形させて残エネルギを吸収できるようになる。ブリッヂ部は、ベース部の対応する全幅に対し、全体で少なくとも3%以上、50%以下とすることがより好ましい。さらには5%以上、30%以下とすることがより好ましい。

【0014】
鉛直方向に延びる構造材と水平方向に延びる構造材が突き合わされて接合され、その接合部分に前記構造材から傾斜する方向に延びる筋交いが配置されている木造建物の接合構造であって、
請求項1記載の筋交い金物が用いられ、
構造材に対し構造材固定部が第1の固定部材により固定され、筋交いの端部の側面に対し筋交い固定部が第2の固定部材により固定されていることを特徴とする。
【0015】
筋交い金物のうち、金物部分の材質は、高剛性部材、例えば鋼板などの金属板、FRPなどの合成樹脂板などが用いられる。また、第1および第2の固定部材には、木ねじ、釘などが用いられる。減衰材には、高減衰ゴム、ポリウレタンゴム、ブチルゴムなどの粘弾性体または天然ゴムなどの弾性体が用いられる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によると、建物に入力されるエネルギを、本発明に係る筋交い金物の、減衰材の変形およびブリッヂ部の変形の双方によって吸収させるようにしているので、エネルギの吸収量を大きくして、エネルギの吸収性能を向上させると共に、耐震性能や制振性能に対する信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【0017】
また、本発明によると、一枚の金物を屈曲させてその内部に高減衰ゴムなどの粘弾性体または弾性体を介在させることにより、筋交い金物を得ることができるので、製作コストの低減化、製作品質の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る筋交い金物を木造建物の柱および筋交いに取り付けた状態を示す要部斜視図、
図2】(A)は図1に示す筋交い金物の取付状態を示す正面図、(B)はその側面図、
図3】本発明に係る筋交い金物を示す斜視図、
図4図3に示す筋交い金物を反対側から見た斜視図、
図5図1に示す筋交い金物の取付状態の要部を示す断面図、
図6図3に示す筋交い金物の金物ユニットの展開状態を示す図、
図7】木造建物の構造フレームに水平力(エネルギ)が入力された時の変形の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明における木造建物は、従来と同様に金物継ぎ手を用いて、基礎、土台、柱、梁からなる構造材フレームが一体化され、一定の強度・剛性が確保された建物となっている。
【0020】
図1および図2に示すように、木造建物は、鉛直方向に延びる構造材である柱100と、水平方向に延びる構造材である土台101とが逆T字形状に突き合わされて接合され、同接合部分に柱100および土台101から傾斜する方向に延びる筋交い102が当接するように配置されており、同接合部分において、筋交い金物1が、柱100および筋交い102の端部102Aに取り付けられている。
【0021】
筋交い金物1は、図3および図4に示すように、板状のベース部2と、ベース部2の一辺2Aから直角に屈曲して延在する板状の柱固定部(構造材固定部)3と、ベース部2の一辺2Aに隣接する二つの他辺2Bから狭幅の複数(図示例では3つ)のブリッヂ部4を介してベース部2と所定の隙間dを隔てて平行に延在し、中央付近で互いに接合されてなる板状の筋交い固定部5から構成される金物ユニットUと、同金物ユニットUの互いに平行なベース部2と筋交い固定部5の間に保持された減衰材(例えば高減衰ゴム)6を備えた構造とされている。これら金物ユニットUと減衰材6は加硫接着により一体化されている。
【0022】
筋交い金物1のうち、金物ユニットUの材質は、高剛性部材、例えば鋼板などの金属板、FRPなどの合成樹脂板などが用いられる。減衰材6は、高減衰ゴムの代わりにポリウレタンゴム、ブチルゴムなどの他の粘弾性体、天然ゴムなどの弾性体を用いてよい。弾性体を用いると、ブリッヂ部4の形状保持の効果を期待できる。
【0023】
そして、金物ユニットUの柱固定部3には、同柱固定部3を複数の第1固定部材(例えば木ねじ)7により柱100の側面に固定するための複数の第1取付孔3Aが開設され、同じく、筋交い固定部5には、同筋交い固定部5をベース部2の外側から複数の第2固定部材(例えば木ねじ)8により筋交い102の端部102Aの側面に固定するための複数の第2取付孔5Aが開設され、さらにベース部2には、複数の第2固定部材8を複数の第2取付孔5Aに向けて挿通させる複数の挿通孔2Cが設けられている。図5に、ベース部2の外側から複数の第2固定部材8により同筋交い固定部5を筋交い102の端部102Aの側面に固定した状態を示す。
【0024】
なお、第1、第2固定部材7、8は、それぞれ木ねじの代わりに釘などを用いてよい。
【0025】
ブリッヂ部4は、略断面逆U字形をして、建物に入力されるエネルギをその変形により減衰材6と共に吸収するもので、かかるブリッヂ部4は、ベース部2の他辺2Bの幅方向中央および幅方向両端に位置して設けられている。各ブリッヂ部4の幅は、例えばそれぞれ0.5mm以上の幅をもち、ベース部2の他辺2Bの全幅に対し、全体で2〜60%、好ましくは3〜50%、より好ましくは5〜30%の幅に設定されている。
【0026】
また、各ブリッヂ部4は、大エネルギの入力によって減衰材6の接着が剥がれた時にフォールトトレランス(Fault Tolerance)機構として作用し、効果的に塑性変形して残エネルギを吸収し、耐震性能・制振性能の信頼性を高める役目も果たすようになっている。
【0027】
なお、ブリッヂ部4は、ベース部2の一辺2Aに沿って幅方向に等間隔または不等間隔に多数の孔を開設して、ベース部2と筋交い固定部5の間の架橋部分をブリッヂ部としてよい。
【0028】
筋交い固定部5は、ベース部2の両他辺2Bからそれぞれ複数のブリッヂ部4を介してベース部2と平行に延在する一対の筋交い固定片5B、5Bからなり、中央付近で一方の筋交い固定片5Bの端部に設けられた蟻溝状の接合凹部5Cに、他方の筋交い固定片5Bの端部に設けられた蟻状の接合凸部5Dを嵌合させて、端部どうしを接合している。かかる強固な接合により、エネルギ入力時に筋交い固定片5B、5Bの接合端の引き抜きを防止し、筋交い102からの応力伝達を確実なものとしている。
【0029】
なお、ベース部2と柱固定部3の屈曲部には、筋交い金物1の断面二次モーメントを上げるべく、複数のノッヂ9が設けられている。
【0030】
前記構成の筋交い金物1は、次のようにして製作する。すなわち、鋼板などの一枚の板状の高剛性部材から、図6に示すように、ベース部2部分、柱固定部3部分、狭幅の複数のブリッヂ部4部分、筋交い固定片5B部分を残してプレスやレーザ等により切り抜き加工し、所定の位置に複数の第1取付孔3A、第2取付孔5A、挿通孔2Cを開設する。
【0031】
次に、図6に示す金物ユニットU用部材に対し、ベース部2部分の一辺2Aから柱固定部3部分を90度屈曲させると共に、ノッヂ9を突設加工し、ベース部2の隣接する他辺2Bから筋交い固定片5B部分を逆U字形に屈曲させ、ベース部2との間に所定の隙間d(図3参照)を残したまま、最後に一方の端部の接合凹部5Cに対し、他方の端部の接合凸部5Dを嵌合させて端部どうしを接合して、金物ユニットUを得る。また、必要に応じて、筋交い固定片5B部分の屈曲後にベース部2の内面と筋交い固定片5Bの内面に接着剤を塗布する。
【0032】
次に、図示しない金型のキャビティ内に上記金物ユニットUをセットし、同金物ユニットUのベース部2と筋交い固定部5の間の隙間dに未加硫高減衰ゴム材を充填して、金型を一定温度、一定時間加熱し、未加硫高減衰ゴム材を加硫する。さらに、ベース部2の各挿通孔2Cの直下の減衰材6に挿通孔6Aを開設する。このようにして、上記構成からなる筋交い金物1を得ることができる。
【0033】
そして、筋交い金物1を建物の接合部分に取り付けるには、まず、第1取付孔3Aを通じて第1固定部材7により柱固定部3を柱100に固定する一方、図5に示すように、挿通孔2C、6Aを通じてベース部2の外側から第2取付孔5Aを通じて第2固定部材8により筋交い固定部5を筋交い102の端部102Aに固定する。これにより、柱100と筋交い102の端部102Aが筋交い金物1の各ブリッヂ部2および減衰材6を介して結合される。
【0034】
このようにすれば、地震や台風の横揺れ時など、図7に示すように、木造建物にエネルギ(水平力)Pが入力されて、柱100が変形すると、柱100に固定された筋交い金物1の構造材固定部3から延在するベース部2とこれに対向して筋交い102の端部102Aに固定された筋交い固定部5との間にずれ(相対変位)が生じるが、かかるずれは、ベース部2および筋交い固定部5間に介在された減衰材6および各ブリッヂ部4の変形によって解消され、もってエネルギを吸収(消費)することができる。
【0035】
特に各ブリッヂ部4は、小さいエネルギ入力に対しては、弾性変形して減衰材6がエネルギを吸収し、大きなエネルギ入力に対しては、減衰材6およびブリッヂ部4が協力してエネルギを吸収し、より多大なエネルギ入力により減衰材6との接着が剥がれる場合には、各ブリッヂ部4が塑性変形して残エネルギを吸収し、フォールトトレランス機構として作用する。したがって、筋交い金物1を適用することにより、耐震性能や制振性能に対する信頼性を大きく高めることができるようになる。
【0036】
本実施形態の筋交い金物1では、ブリッヂ部4をベース部2の他辺2Bの幅方向中央および幅方向両端に設けたが、これに限らない。例えば、ベース部2の他辺2Bの幅方向中央に1つだけ設けてもよく、あるいはベース部2の他辺2Bの幅方向両端に2つ設けてもよい。いずれの場合も、ブリッヂ部4の幅は、ベース部2の他辺2Bの全幅に対し、全体で2〜60%の幅に設定することが望ましい。
【0037】
本実施形態の筋交い金物1では、筋交い固定部5をベース部2から柱固定部3の屈曲方向と同じ側へ屈曲させるようにしたが、柱100の側面に対する筋交い102の位置に合わせて、筋交い固定部5を柱固定部3の屈曲方向と反対側へ屈曲させるようにしてもよい。
【0038】
また、減衰材6は、ベース部2と筋交い固定部5の間の隙間dに充填するようにしたが、隙間dに限らず、ベース部2と筋交い固定部5の周囲を覆うように配設してもよい。周囲を覆うことで筋交い金物1の腐食を防止でき、耐久性の向上につながる。
【0039】
本発明の筋交い金物は、ボックス型の筋交い金物に対しても適用可能である。すなわち、柱、横架材(梁、土台)、および筋交いの三方向に同時に取付け可能なボックス型の筋交い金物に対し、ベース部からブリッヂ部を介して筋交い固定部をベース部と平行になるように屈曲させ、ベース部と筋交い固定部との隙間に減衰材を介在させる。そして、ベース部から90度屈曲する柱固定部および横架材固定部をそれぞれ木ねじ等により柱および横架材に固定する一方、ベース部側から挿通孔を通して筋交い固定部を木ねじ等により筋交いの端部に固定すればよい。
【0040】
かくして、木造建物の鉛直方向に延びる構造材と水平方向に延びる構造材の接合部に、本発明の筋交い金物1を適用することにより、地震や台風などによって木造建物に入力されるエネルギを減衰材およびブリッヂ部で吸収し、もってエネルギの吸収性能を向上させると共に、耐震性能や制振性能に対する信頼性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る筋交い金物は、木造建物の構造材と筋交いの間に取り付けられる耐震用あるいは制振用の金物として利用可能であり、さらにはホールダウン金物その他の金物にも適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 筋交い金物
2 ベース部
2A,6A 挿通孔
3 構造材固定部
3A 第1取付孔(第1の取付孔)
4 ブリッヂ部
5 筋交い固定部
5A 第2取付孔(第2の取付孔)
5B 筋交い固定片
5C 接合凹部
5D 接合凸部
6 減衰材
7 第1固定部材(第1の固定部材)
8 第2固定部材(第2の固定部材)
100 柱
101 土台
102 筋交い
102A 筋交いの端部
d 隙間
U 金物ユニット
【要約】
【課題】木造建物に入力されるエネルギの吸収性能に優れると共に、耐震性能や制振性能の信頼性を向上させることのできる筋交い金物および木造建物の接合構造を提供する。
【解決手段】板状のベース部2と、ベース部2から延在して取付孔3Aを備える板状の構造材固定部3と、複数のブリッヂ部4を介してベース部2と隙間dを隔てて対向して取付孔5Aを備える板状の筋交い固定部5と、ベース部2と筋交い固定部5の間に介在された減衰材6とを備える筋交い金物1を用い、木ねじ7により構造材固定部3を柱100に取り付け、木ねじ8によりベース部2の挿通孔2Aを通して筋交い固定部5を筋交い102の端部に取り付ける。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7