【実施例】
【0047】
以下、実施例1〜8と比較例1〜4により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。また、実施例を表に一覧化した。
【0048】
CO転化率、CO
2転化率、C転化率、ギ酸エステル選択率、メタノール選択率、メタノール収率は、それぞれ次に示す式により算出した。
【0049】
CO転化率(%)=[1−(反応後に回収されたCOモル数)/(仕込んだCOモル数)]×100
CO
2転化率(%)=[1−(反応後に回収されたCO
2モル数)/(仕込んだCO
2モル数)]×100
C転化率(%)=CO転化率(%)×[(仕込んだCOモル数)/(仕込んだCO+CO
2モル数)]+CO
2転化率(%)×[(仕込んだCO
2モル数)/(仕込んだCO+CO
2モル数)]
【0050】
ギ酸エステル選択率(%)=[(反応後に回収されたギ酸エステルモル数)/{(C転化率(%))×(仕込んだCO+CO
2モル数)}]×100
メタノール選択率(%)=[(反応後に回収されたメタノールモル数)/{(C転化率(%))×(仕込んだCO+CO
2モル数)}]×100
【0051】
(実施例1)
アルミナ担体(触媒学会参照触媒、JRC−ALO−6)を焼成処理(400℃−2h)して担体中の水分を除去した。
図1に示すスパッタリング装置に銅と亜鉛のターゲット(純度:99.99%以上、銅:亜鉛の面積比=5:3)を取り付けた後、焼成処理したアルミナ担体5gを装置の六角バレルの底辺に充填した。装置内圧力を約9.9×10
−4Paまで真空排気後、高純度アルゴン(99.9999%)を装置内が約1Paになるまで導入し、アルミナ担体に銅、亜鉛の同時スパッタリングを実施した。スパッタリング条件はアルゴン流速:13ml/min、ターゲット角度:30°、スパッタ時間:3h、RF出力:50Wとした。
【0052】
スパッタリング後の触媒は、焼成(400℃−1h)、5%H
2流通下で還元(220℃−10h)、表面不動態処理を行い、Cu/ZnO/Al
2O
3触媒を得た。触媒中のCu、Znの担持量を測定したところ(Shimadzu EDX−700/800)、Cu:0.24mass%、Zn:0.12mass%(Cu/ZnO/Al
2O
3触媒中のCu元素、Zn元素の含有率)であった。
【0053】
内容積85mlのオートクレーブを用い、溶媒として水1%を含む2−ブタノール40mlに上記の方法で調製したCu/ZnO触媒1gを添加し、合成ガス(CO 33.00vol%、二酸化炭素 5.27vol%、Ar 3.02vol%、水素 バランス)を3MPa充填して、170℃、4時間の連続反応を行い、反応生成物をガスクロマトグラフで分析した。CO転化率27.7%、CO
2転化率51.8%、TotalC転化率31.0%、メタノール選択率>99%であった。
【0054】
比較例1に示した懸濁法で調製した触媒と比較するとCu、Znの担持量は少ないが、活性は高く、メタノール選択率は著しく高い結果であった。
【0055】
(実施例2)
実施例1に記載の触媒の製造方法において、スパッタリング条件をアルゴン流速:13ml/min、ターゲット角度:30°、スパッタ時間:5h、RF出力:50Wに設定して同様にCu/ZnO/Al
2O
3触媒を調製した。触媒中のCu、Znの担持量はCu:0.36mass%、Zn:0.23mass%であった。
【0056】
上記のCu/ZnO/Al
2O
3触媒を使用する他は、実施例1に記載と同様の方法で反応を行った。CO転化率31.9%、CO
2転化率60.4%、TotalC転化率35.8%、ギ酸ブチル選択率3.7%、メタノール選択率96.3%であった。
【0057】
(実施例3)
実施例1に記載の触媒の製造方法において、スパッタリング条件をアルゴン流速:13ml/min、ターゲット角度:30°、スパッタ時間:3h、RF出力:100Wに設定して同様にCu/ZnO/Al
2O
3触媒を調製した。触媒中のCu、Znの担持量はCu:0.57mass%、Zn:0.48mass%であった。
【0058】
上記のCu/ZnO/Al
2O
3触媒を使用する他は、実施例1に記載と同様の方法で反応を行った。CO転化率29.3%、CO
2転化率51.4%、TotalC転化率32.4%、ギ酸ブチル選択率4.4%、メタノール選択率95.6%であった。
【0059】
(実施例4)
実施例1に記載の触媒の製造方法において、ターゲット面積比として銅:亜鉛の面積比=5:4にする他は同様の条件にてCu/ZnO/Al
2O
3触媒を調製した。触媒中のCu、Znの担持量はCu:0.36mass%、Zn:0.32mass%であった。
【0060】
上記のCu/ZnO/Al
2O
3触媒を使用する他は、実施例1に記載と同様の方法で反応を行った。CO転化率23.0%、CO
2転化率56.4%、TotalC転化率27.6%、メタノール選択率>99%であった。
【0061】
(実施例5)
実施例4に記載の触媒の製造方法において、ターゲット角度を0°に設定する他は同様の条件にてCu/ZnO/Al
2O
3触媒を調製した。触媒中のCu、Znの担持量はCu:0.17mass%、Zn:0.09mass%であった。
【0062】
上記のCu/ZnO/Al
2O
3触媒を使用する他は、実施例1に記載と同様の方法で反応を行った。CO転化率27.7%、CO
2転化率51.8%、TotalC転化率31.0%、メタノール選択率>99%であった。
【0063】
(実施例6)
実施例1に記載の触媒の製造方法において高純度酸素(99.999%)も導入した反応性スパッタリングとし、スパッタリング条件をアルゴン流速:13ml/min、酸素流速:2ml/min、ターゲット角度:30°、スパッタ時間:3h、RF出力:50Wに設定した。スパッタリング後の触媒は焼成処理を行わずに還元処理のみ行い、Cu/ZnO/Al
2O
3触媒を調製した。触媒中のCu、Znの担持量はCu:0.17mass%、Zn:0.07mass%であった。
【0064】
上記のCu/ZnO/Al
2O
3触媒を使用する他は、実施例1に記載と同様の方法で反応を行った。CO転化率18.3%、CO
2転化率60.7%、TotalC転化率24.1%、メタノール選択率>99%であった。
【0065】
(比較例1)
Cu、Znの硝酸塩をCu:Zn=1:1となるように溶解した水溶液、炭酸ナトリウムを溶解した水溶液、粉末状に粉砕し乾燥させたアルミナ担体(触媒学会参照触媒、JRC−ALO−6)をイオン交換水に分散させたスラリーを用意した。スラリーの温度を65℃に保持しながら、Cu、Znの硝酸塩を溶解した水溶液、炭酸ナトリウムを溶解した水溶液の滴下速度を制御し、pH=8.5に保持してCu/Znを沈殿させた。24h熟成後、イオン交換水で沈殿を洗浄し、乾燥(120℃−12h)した。得られた粉末を、焼成(350℃−1h)、5%H
2流通下で還元(220℃−10h)、表面不動態処理を行い、Cu/ZnO/Al
2O
3触媒を得た。触媒中のCu、Znの担持量はCu:2.66mass%、Zn:2.08mass%であった。
【0066】
上記のCu/ZnO/Al
2O
3触媒を使用する他は、実施例1に記載と同様の方法で反応を行った。CO転化率27.3%、CO
2転化率28.3%、TotalC転化率27.7%、ギ酸ブチル選択率56.0%、メタノール選択率44.0%であった。
【0067】
【表1】
【0068】
上記の実施例、比較例より、Cu/ZnO触媒の製造においてスパッタリング法を実施することで触媒中Cu質量当たりのメタノール製造効率は増加することが明らかとなった。