(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態による地上タンク(コンクリート構造物)の側壁施工方法について、
図1乃至
図9に基づいて説明する。
本実施形態による地上タンクの側壁施工方法は、
図1に示すような鉄筋コンクリート造の地上タンクの側壁1を構築する方法で、側壁1のコンクリートの打設を高さ方向に複数回に分割して行っている。ここで1回分のコンクリート打設を1ロットとして以下説明する。
本実施形態では、直径が約80m、高さが約45〜50mの円筒状の側壁1を構築している。このため、側壁1のコンクリートの打設を6ロット(#1〜#6)で行っており、側壁1の底部2と頂部3を除く中間部4のコンクリートの打設を4ロット(#2〜#5)で行っている。中間部4の1ロットあたりのコンクリート打設高さは、約9〜10mに設定されている。
そして、本実施形態による地上タンクの側壁施工方法では、ロット毎に配筋作業や型枠作業を行い、コンクリートを打設している。
【0014】
(型枠)
まず、本実施形態の側壁1の中間部4の構築に使用する型枠について説明する。
図2に示すように、型枠11は、1つのロットの下部側に設置される下部型枠12と、上部側に設置される上部型枠13と、下部型枠12と上部型枠13との間に設置される中間部型枠14とを備えている。これらの下部型枠12、上部型枠13および中間部型枠14は、円筒状の側壁1の内側と外側に側壁1の厚さ分の間隔をあけてそれぞれ設置されている。また、下部型枠12、上部型枠13および中間部型枠14は、それぞれ円筒状に形成されている。
【0015】
下部型枠12は、例えば、合成樹脂製等の透明の板材で高さが約5mに形成され、内部に打設されたコンクリートを外部から目視により確認できるように構成されている。
上部型枠13は、木製や鋼製の公知の型枠で高さが約3.5mに形成されている。
【0016】
中間部型枠14は、高さが約1.5mの木製の型枠で、周方向に所定の間隔をあけて複数の開口部15aが形成されているとともに、該開口部15aに相当する形状で該開口部15aを閉塞可能な蓋材16(
図3参照)を備えている。
本実施形態では、開口部15aが形成された開口部付き型枠17と、開口部15aのない開口部無し型枠18とが周方向に交互に配列されて中間部型枠14を構成している。
なお、この開口部15aは、下部型枠12の内部に打設されたコンクリートを締め固めるためのバイブレータ37(
図7参照)を挿入するために形成されている。
【0017】
図3に示すように、開口部付き型枠17は、開口部15aが形成された枠材15と、蓋材16とを備えている。枠材15は、幅(周方向の寸法)が約0.6mに形成されていて、開口部15aは枠材15の略中央に、高さが約1.1m、幅が約0.3mに形成されている。蓋材16は、開口部15aに嵌合するように、高さが約1.1m、幅が約0.3mに形成されている。そして、開口部15aに蓋材16が嵌合されると、枠材15と蓋材16の各内側の面(コンクリートが打設される側の面)が面一となるように構成されている。
また、
図4に示すように、本実施形態では、開口部15aの内周部および蓋材16の外周部に、外側(コンクリートが打設されない側)から内側に向かって狭くなるテーパ面15b,16bが形成されている。
そして、開口部15aの内周部および蓋材16の外周部にテーパ面15b,16bが形成されていることにより、外側から枠材15の開口部15aに蓋材16を設置すると、蓋材16を枠材15に対して所定の位置に設置することができ、枠材15と蓋材16の内側の面を容易に面一にすることができる。
【0018】
図2に戻り、これらの下部型枠12、上部型枠13および中間部型枠14は、外方に設置された横端太材21および縦端太材22によって所定の位置に支持されているとともに、セパレータ23によって向かい合う型枠11の間隔が所定の寸法に保持されている。
【0019】
横端太材21は、中間部型枠14の開口部15aと干渉しないように設置され、下部型枠12および上部型枠13を上下方向に約30cm〜40cmのピッチで支持するように設置されている。そして、中間部型枠14においては、開口部15aの上部および下部の高さにおいて支持している。
【0020】
縦端太材22は、型枠11の周方向に沿って中間部型枠14の開口部15aと干渉しないよう、周方向に約40cm〜60cmのピッチで設置されていて、横端太材21を介して型枠11を支持している。
【0021】
セパレータ23は、中間部型枠14の開口部15aと干渉しないように設置され、型枠11の周方向に、約60cmのピッチで設置され、上下方向に、開口部15aのない部分では約60cm〜70cmのピッチで設置され、開口部15aがある部分では、約130cmのピッチで設置されている。
【0022】
また、中間部型枠14の開口部15aの上側に設置された横端太材21aと、下側に設置された横端太材21bとの間には、これらの横端太材21a,22b間を上下方向に移動可能に構成され、開口部15aに嵌合した蓋材16を押さえることが可能な移動横端太材24が設けられている。移動横端太材24は、横端太材21よりも厚さが小さくなるように形成されている。
そして、移動横端太材24は、開口部15aに嵌合した蓋材16を押さえるときには、
図5に示すように、蓋材16の高さ方向の中間に位置するように設置され、縦端太材22との間にクサビなどの間詰め材25が挿入されることで固定されている。これにより、蓋材16が開口部15aに固定される。
【0023】
(地上タンクの側壁施工方法)
続いて、地上タンクの側壁施工方法について説明する。ここでは、側壁1の底部2および頂部3は従来の方法で構築されているものとし、中間部4の施工方法について説明する。
(型枠設置工程)
まず、
図1に示す底部2の直上にあたる中間部4のロット(#2)の配筋を行うとともに、型枠11を設置する。
図2に示すように、型枠11の設置は、下側から上側に向かって下部型枠12、中間部型枠14、上部型枠13を設置する。そして、セパレータ23を設置して、下部型枠12、中間部型枠14および上部型枠13を縦端太材22および横端太材21で支持する。
このとき、中間部型枠14の蓋材16は開口部15aから外しておき、開口部15aが開口した状態とする。
また、中間部型枠14の開口部15aの上側に設置された横端太材21aと、下側に設置された横端太材21bとの間に、開口部15aと略干渉しないように移動横端太材24を仮置きする。本実施形態では、2本の移動横端太材24を仮置きしており、1つは開口部15aの下側に設置された横端太材21bの上に仮置きし、もう1つは、開口部15aの上側に設置された横端太材21aの下側に仮置きしている。
上記において、移動横端太材24を開口部15aと略干渉しないように仮置きするとしたのは、移動横端太材24の仮置き位置が開口部15aから型枠11内部へのバイブレータ37の挿入に支障がない位置であればよく、さらに、移動横端太材24が蓋材16を開口部15aに嵌合させるときに開口部15aに干渉しないように開口部15aから退避可能に構成されていれば、開口部15aと多少干渉してもよいためである。
なお、移動横端太材24を開口部15aと全く干渉しない位置に仮置きしてもよい。
【0024】
(コンクリート打設工程)
次に、型枠11内へコンクリートの打設を行う。
型枠11内へのコンクリートの打設工程は、下部型枠12にコンクリートを打設する下部コンクリート打設工程と、中間部型枠14および上部型枠13にコンクリートを打設する上部コンクリート打設工程の2つの工程から構成されている。
また、
図6(a)および(b)に示すように、型枠11内へのコンクリートの打設は、上部型枠13の上方から型枠11内部の下方へ延ばされたコンクリート打設用ホース31の先端部(下端部)31aから型枠11内部へコンクリートを供給して行う。
このコンクリート打設用ホース31は、基端部(上端部)31bが上部型枠13の上方に上部型枠13の上端部13a沿って延びるコンクリート圧送用の横引き配管32と接続されている。そして、この横引き配管32の一方の端部32a(
図6(b)参照)には、地上のコンクリートポンプ車33(
図6(a)参照)と接続された縦引き配管34が接続されている。
【0025】
横引き配管32は、約40m〜60mの長さに形成されていて、約2〜4m毎にコンクリート打設用ホース31が接続可能な分岐管35が設けられている。この分岐管35にはバルブ36がそれぞれ設けられている。
そして、本実施形態では、側壁1が直径が約80mの円筒状に形成され、その周長が約250mとなるため、コンクリートを打設する領域を周方向に4〜6打設区画に分割(本実施形態では
図6(b)に示すように4分割)し、打設区画毎に横引き配管32を設置している。このとき、横引き配管32は、上部型枠13の上端部13aに沿って円を描くように周方向に配列されている。
また横引き配管32は、一方の端部32aに縦引き配管34が接続されていて、各分岐管35にはコンクリート打設用ホース31が接続されるようになっている。
これらの横引き配管32および縦引き配管34は、例えば、足場などに支持されている。
なお、コンクリート打設用ホース31、横引き配管32および縦引き配管34の形態は上記以外の形態としてもよい。
【0026】
(下部コンクリート打設工程)
まず、下部型枠12内部へのコンクリートの打設工程について説明する。
コンクリート打設用ホース31を、その先端部31aが下部型枠12内部へ達するように延ばし、コンクリートポンプ車33から縦引き配管34、横引き配管32およびコンクリート打設用ホース31を介して下部型枠12内部にコンクリートを打設する。
【0027】
このとき、まず、横引き配管32に設けられた分岐管35のうち、横引き配管32の他方の端部32b側に設けられた分岐管35のバルブ36を開き、他の分岐管35のバルブ36を閉めた状態とする。そして、このバルブ36を開いた分岐管35に接続されたコンクリート打設用ホース31から下部型枠12内部へコンクリートを打設する。
【0028】
続いて、打設されたコンクリートの高さが約50cmに達したら、開いていたバルブ36を閉めて、このバルブ36が設けられた分岐管35の横引き配管32の一方の端部32a側の隣の分岐管35のバルブ36を開き、このバルブ36を開いた分岐管35に接続されたコンクリート打設用ホース31から下部型枠12内部へコンクリートを打設する。
そして、このコンクリート打設用ホース31から打設されたコンクリートの高さが50cm程に達したら、開いていたバルブ36を閉めて、このバルブ36が設けられた分岐管35の横引き配管32の一方の端部32a側の隣の分岐管35のバルブ36を開き、同様にコンクリートを打設する。
【0029】
このようにして、分岐管35のバルブ36を順番に開いて、各分岐管35に接続されたコンクリート打設用ホース31から順番に下部型枠12内部にコンクリートを打設する。
このとき、下部型枠12が透明の板材で形成されているため、コンクリートの打設の状態を下部型枠12の外部から目視で確認することができる。
また、コンクリートを所定の高さ(本実施形態では約50cm)打設する毎に、コンクリート打設用ホース31の先端部31a側を上方へ引き上げて、コンクリートの打設高さにあわせてコンクリート打設用ホース31の先端部31a側を切断するようにしている。
【0030】
そして、上記の約50cm毎のコンクリート打設を繰り返して、
図5に示すようにコンクリートを下部型枠12の上端付近まで充填するとともに、
図7に示すように中間部型枠14の各開口部15aから下部型枠12のコンクリートにバイブレータ37を挿入し、コンクリートの締め固めを行う。
コンクリートの締め固め作業が完了したら、開口部15aからバイブレータ37を取り出す。
これにより下部コンクリート打設工程が完了する。
【0031】
(上部コンクリート打設工程)
次に、中間部型枠14および上部型枠13の内部にコンクリートを打設する。
まず、
図5に示すように、中間部型枠14の開口部15aに蓋材16を嵌合させ、移動横端太材24を蓋材16と縦端太材22との間に移動させて、移動横端太材24と縦端太材22との間に間詰め材25を挿入し、蓋材16を固定する。これにより開口部15aが閉塞される。
【0032】
続いて、中間部型枠14および上部型枠13の内部にコンクリートを打設する。
上部コンクリート打設工程においても下部コンクリート打設工程と同様に、横引き配管32の分岐管35のバルブ36を順番に開いて行う。
そして、
図8に示すように、中間部型枠14および上部型枠13の内部にコンクリートを打設するとともに、上部型枠13の上方から打設されたコンクリートの内部にバイブレータ37を挿入し、コンクリートの締め固めを行う。
【0033】
(養生工程・脱型工程)
続いて、型枠11内のコンクリートの所定期間の養生を行い、養生終了後に型枠11を外して、
図9に示すような側壁1の中間部4の1ロット(#2)が完成する。
【0034】
続いて、このロット(#2)の直上のロット(#3)をロット(#2)と同様に構築し、続いて上部のロット(#4,#5)を順番に構築する。このようにして、頂部3の直下のロット5まで完成させ、側壁1の中間部4が完成する。
そして、側壁1の頂部3を構築することで、側壁1が完成する。
【0035】
次に、上述した地上タンクの側壁施工方法の効果について図面を用いて説明する。
本実施形態による地上タンクの側壁施工方法によれば、下部型枠12と上部型枠13との間に閉塞可能な開口部15aが形成された中間部型枠14を設置することにより、下部型枠12内に打設するコンクリートの締め固めをこの開口部15aから行うことができるため、1ロットのコンクリートの打設高さを従来よりも高く設定することができ、効率よく側壁1を構築することができる効果を奏する。
例えば、従来の地上タンクの側壁施工方法では、同様の側壁1を構築する場合、中間部4のコンクリートの打設を1ロットあたり約4.5〜5.5mの高さに抑える必要があり、8ロットに分けて行っているが、本実施形態では、1ロットあたりの高さを従来の2倍近くに設定でき、4ロットに分けて行うため、効率よく側壁1を構築することができる。
【0036】
以上、本発明による地上タンクの側壁施工方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上述した実施形態では、下部型枠12は、全て透明な材料で形成されているが、下部型枠12の一部が透明な材料で形成されていてもよく、内側と外側の一方のみに透明な材料が使用されていてもよい。また、下部型枠12は、透明な材料で形成されていなくてもよい。
また、上述した実施形態では、型枠11の寸法が設定されているが、上記以外の寸法としてもよい。
【0037】
また、上述した実施形態では、下部コンクリート打設工程において、下部型枠12の内部にコンクリートを打設し、上部コンクリート打設工程において、中間部型枠14および上部型枠13の内部にコンクリートを打設しているが、下部コンクリート打設工程において、中間部型枠14の開口部15aの下端の高さまでコンクリートを打設しておいて、上部コンクリート打設工程において、中間部型枠14の開口部15aの下端から上方で上部型枠13の高さ範囲までの型枠内部にコンクリートを打設するようにしてもよい。
【0038】
また、上述した実施形態では、中間部型枠14は、開口部付き型枠17と開口部無し型枠18とが交互に配列された構成となっているが、開口部付き型枠17の枠材15の幅寸法を大きくすることで、開口部付き型枠17を複数配列させた構成としても良い。また、1つの開口部付き型枠17に複数の開口部15aが周方向に所定の間隔をあけて形成されていてもよい。
また、上述した実施形態では、上部コンクリート打設工程において2本の移動横端太材24で開口部15aに嵌合された蓋材16を固定しているが、開口部15aに蓋材16が嵌合された状態の中間部型枠14がコンクリート打設時の側圧に耐えられる場合において、1本の移動横端太材24で蓋材16を固定してもよい。この場合、下部コンクリート工程で移動横端太材24が仮置きされる位置は、開口部15aの上側および下側のいずれでもよい。また、3本以上の移動横端太材24で開口部15aに嵌合された蓋材16を固定してもよい。
また、上述した実施形態では、型枠11は、下部型枠12、上部型枠13、中間部型枠14に分割されているが、例えば、上部型枠13と中間部型枠14が一体化されているなど、分割されていなくてもよい。
また、上述した実施形態では、地上タンクの側壁を施工しているが、地上タンク以外のコンクリート構造物の側壁を施工するとき、例えば、地下タンクにおいて、連続地中壁の内側に片側のみに型枠を設置して側壁を構築するときに、本実施形態による側壁の施工方法を適用してもよい。